JP2004225813A - 2方向屈曲連接体、掻出用2方向屈曲連接体、及びこれを用いた鉄道用バラスト掻出機 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構造で、小形化が図れると共に、耐久性があり、またリンクピッチを短くできる2方向屈曲連接体、掻出用2方向屈曲連接体、及びこれを用いた鉄道用バラスト掻出機を提供する。
【解決手段】2方向屈曲連接体は、両端部に互いに異なる方向の孔(5a,5b,6)を有する第1リンク(1)と、両端部に互いに異なる方向の孔(13a,13b,14a,14b)を有する第2リンク(2)と、前記第1リンク(1)及び第2リンク(2)の同一方向の孔(6,14a,14b)(5a,5b,13a,13b)どうしを連結する連接部材(7,8)とを備える。前記リンク(1)に、掘削・掻出機能を有する掻出部(20)を装着する。
【選択図】 図1
【解決手段】2方向屈曲連接体は、両端部に互いに異なる方向の孔(5a,5b,6)を有する第1リンク(1)と、両端部に互いに異なる方向の孔(13a,13b,14a,14b)を有する第2リンク(2)と、前記第1リンク(1)及び第2リンク(2)の同一方向の孔(6,14a,14b)(5a,5b,13a,13b)どうしを連結する連接部材(7,8)とを備える。前記リンク(1)に、掘削・掻出機能を有する掻出部(20)を装着する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2方向屈曲連接体、掻出用2方向屈曲連接体、及びこれを用いた鉄道用バラスト掻出機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、鉄道軌道下に設けたバラストを掘削し回収するために用いられる鉄道用バラスト掻出機には、掘削・搬送するための掻出部が取付けられたチェーンやリンク連接体等の無端連接体が備えられている。この無端連接体には、鉄道用バラスト掻出機において、略水平姿勢でバラストの掘削・搬送を行う水平掘削搬送部と、このバラストを略垂直上方に搬送し、車体上部に設けたコンベヤ等の搬送装置に渡す垂直搬送部152とを連続的に備えたものが一般的である。このため、異なる2方向に屈曲可能な無端連接体が多く用いられている。このような2方向屈曲無端連接体の従来技術としては、例えば次のものがある。
【0003】
図13及び図14は、それぞれ特許文献1に記載された第1例を表すチェーン装置の一部断面図、及び第2例を表すチェーンリンクの側面断面図である。図13において、チェーン装置70のチェーン71は、自在継手72により互いに接続されたチェーンリンク73で構成されている。各自在継手72は、中間エレメント74を有して、互いに垂直に配置した2つの自在継手ボルト75,76から成る。ピン77からなる垂直のボルト75の両端にはボルトヘッド78が設けてあり、それぞれのボルトヘッド78には、駆動部(図示せず)の歯車が係合して動力を伝達する。チェーンリンク73は、ボルト75のピン77と、ボルト76のピン79とを中心として互いに交差する種々の平面を互いに相対的にピボット運動する。
また、第2例として、図14において、チェーンリンク82は、ボール・ソケット継手83により互いに接続されている。チェーンリンク82は、ボルト84のピンを中心としてピボット運動し、球状エレメントを中心として種々の平面で回転する。
【0004】
図15及び図16は、それぞれ特許文献2に記載されたチェーン体の側面図、及びチェーン体に用いる連結体の側面図である。図15、図16において、チェーン体90は、リンク部材91と連結体92によって構成されている。リンク部材91の上部に有する上面板93の下面には一対の脚片94,95が連接されており、この脚片94,95間に前記連結体92が挿入されている。各リンク部材91を連結する連結体92は、対向するヒンジ連結部96とピン孔97を有する2つの半体92A,92Bからなり、垂直なヒンジピン98によって連結されている。また、連結体92のそれぞれの半体92A,92Bのヒンジ連結部96と反対側にはピン挿入孔99が形成されており、このピン挿入孔99に挿入されるリンクピン99aによって連結体92とリンク部材91とが連結されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭59−134203号公報(第5−6頁、第3,6図)
【特許文献2】
特開2002−30602号公報(第2頁、第4,7図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の2方向屈曲連接帯には、次のような問題がある。
特許文献1に記載のチェーン装置70において、第1例では、チェーンリンク73を互いに交差し、かつ垂直に延びる2本のピン77,79により接続するようにしているので、両ピン77,79を支承する自在継手72の構造が複雑で、大形であるという問題がある。また、同チェーン装置の第2例では、チェーンリンク82を球面軸受であるボール・ソケット継手83により接続しているが、このような球面軸受構造のものは、一般的に軸受の摺動部の表面硬化処理が困難なため、耐久性が充分に満足されないという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載されたチェーン体90は、各リンク部材91,91間が、ヒンジピン98によって連接された半体92A,92Bからなる連接体92と、前記ヒンジピン98に直交する方向のリンクピン99aにより連結されており、連接体92が介在するためリンクピッチが長くなり、チェーン体90の屈曲部での曲率半径が大きくなる。このため、駆動スプロケットの半径が大きくなり、例えば前出の鉄道用バラスト掻出機等、チェーン体の適用機械の小形化が困難であるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたもので、簡単な構造で、小形化が図れると共に、耐久性があり、またリンクピッチを短くできる2方向屈曲連接体、掻出用2方向屈曲連接体、及びこれを用いた鉄道用バラスト掻出機を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記目的を達成するため、第1発明は、2方向屈曲連接体において、
両端部に互いに異なる方向の孔を有する第1リンクと、両端部に互いに異なる方向の孔を有する第2リンクと、前記第1リンク及び第2リンクの同一方向の孔どうしを連結する連接部材とを備えた構成としている。
【0010】
第1発明によると、別の連接体を介さずに、リンクどうしを連結し、このとき、各リンクの両端部にそれぞれ有する同一方向の孔どうしを連結するので、リンクピッチが短い2方向屈曲連接体を構成できる。これにより、屈曲部での曲率半径が小さい連接体となり、小型・軽量な2方向屈曲連接体となる、故に、本2方向屈曲連接体の適用機械の小型・軽量化が図れるので適用範囲が広がる。
【0011】
また、第2発明は、第1発明の2方向屈曲連接体において、
前記第1リンクの両孔の少なくともいずれか一方、及び/又は、前記第2リンクの両孔の少なくともいずれか一方には、前記連接部材との間にブッシュを挿入した構成としている。
【0012】
第2発明によると、表面硬化処理したブッシュをリンク孔に挿入することにより、リンクと連接部材間の摺動部の耐磨耗性を向上し、連接体の耐久性を向上できる。しかも、リンク部材を直接硬化処理するよりも低コストで耐久性を向上できる。
【0013】
また、第3発明は、第2発明の2方向屈曲連接体において、
前記ブッシュが回転自在に装着された構成としている。
【0014】
第3発明によると、例えば駆動スプロケットと連接部材の回転自在なブッシュとを噛合させることにより、ブッシュ外周部の摺動磨耗を少なくすることができ、しかも均一摩耗するので、2方向屈曲連接体の耐久性を格段に向上させることができる。
【0015】
第4発明は、第1、第2又は第3発明に記載の2方向屈曲連接体のリンクに、掘削・掻出機能を有する掻出部を装着した掻出用2方向屈曲連接体である。
【0016】
第4発明によると、前記の2方向屈曲連接体のリンクに掻出部を装着したので、小型化ができ、耐久性があり、しかも低コストの掻出装置を構成できる。
【0017】
また、第5発明は、鉄道用バラスト掻出機において、陸路を走行可能な走行体を備えた車体と、前記車体の前後部にそれぞれ昇降自在に設けた、鉄道軌道上を走行可能な左右1対の鉄輪と、鉄道軌道の道床のバラストを掘削、搬送する掘削・搬送装置と、基端部が前記車体に上下方向揺動自在に取り付けられた第1アームと、先端部に前記掘削・搬送装置が旋回可能に装着され、基端部が第1アームに昇降自在に取り付けられた第2アームと、第1アームの先端下部に昇降自在に設けられ、軌道上を転動して前記掘削・搬送装置の高さ位置を設定する左右1対のガイドローラを有する高さ位置決め装置と、前記掘削・搬送装置で搬送されたバラストを受けて外部に排出する排出装置とを備え、前記掘削・搬送装置は、第4発明に記載の掻出用2方向屈曲連接体を有する構成としている。
【0018】
第5発明によると、前記の掻出用2方向屈曲連接体をバラストの掘削・搬送装置に適用したので、小型でコンパクトであり、耐久性があり、しかも低コストの掘削・搬送装置を構成できる。これにより、軌道上の狭い作業エリアでバラスト掻出作業を行うのに好適な鉄道用バラスト掻出機を構成できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の図面で、図13〜図16に示した構成と同一のものには同一符号を付して、説明は省略する。
【0020】
先ず、図1〜図8により第1実施形態を説明する。
図1は第1実施形態に係る掻出用無端連接体の平面図であり、図2は同側面図である。図1及び図2において、無端連接体10は、2種類のリンク1,2が交互にピン7,8によって連結されている。第1のリンク1は平面視でコの字形状を成し、一端側に設けた連結部4と、他端側に対向して突設された一対の対向部3a,3bとを一体的に設けている。第1のリンク1の一方の対向部3a側の外側面部には、掻出部20の運搬基板21が溶接等によって固着されている。前記連結部4には側面視(図2参照)で上下方向に第1ピン孔6が形成されており、また前記一対の対向部3a,3bには第1ピン孔6に直交する方向に同軸心の第2ピン孔5a,5bがそれぞれ形成されている。
【0021】
第2のリンク2は平面視で逆コの字形状を成し、一端側に設けた連結部12と、他端側に対向して突設された一対の対向部11a,11bとを一体的に設けている。さらに、この連結部12は側面視でコの字形状を成しており、前記対向部11a,11b寄りの基部に設けた連結部15と、端部に対向して突設した一対の対向部12a,12bとを備えている。この連結部12には、前記一対の対向部12a,12bを側面視(図2参照)で上下方向に貫通した同軸心の第1ピン孔14a,14bがそれぞれ形成されており、また前記対向部11a,11bにはこの第1ピン孔14a,14bに直交する方向に貫通した同軸心の第2ピン孔13a,13bがそれぞれ形成されている。
【0022】
第1のリンク1の一端側の前記連結部4は、第2のリンク2の一端側の、前記連結部12の一対の対向部12a,12b間に挿入されており、この第1のリンク1の第1ピン孔6と、第2のリンク2の第1ピン孔14a,14bとに第1ピン7を挿入して、第1のリンク1と第2のリンク2との一端側どうしが連結されている。第1ピン7は、第1のリンク1に揺動自在に挿入され、第2のリンク2に圧入されている。
【0023】
また、第2のリンク2の他端側の、前記一対の対向部11a,11bは、第1のリンク1の他端側の、前記一対の対向部3a,3b間に挿入されており、この第1のリンク1の第2ピン孔5a,5bと、第2のリンク2の第2ピン孔13a,13bとに第2ピン8を挿入して、第1のリンク1と第2のリンク2との他端側どうしが連結されている。第2ピン8は、第2のリンク2の対向部11a,11bに揺動自在に挿入され、第1のリンク1の対向部3a,3bに圧入されている。
【0024】
また、第2のリンク2の対向部11a,11bの第2ピン孔13a,13bにはブッシュ16が圧入されており、ブッシュ16は全面に硬化処理が実施され、第2ピン8の外径部も硬化処理されている。また、ブッシュ16の内周面と第2ピン8との間には、グリス等の潤滑材が注入されている。以上により、第2ピン8回りの第1のリンク1と第2のリンク2の摺動による磨耗を低減している。さらに、対向部11a,11b間に位置する第2ピン8(本例では、この第2ピン8の外周部に位置する前記ブッシュ16)の外周部には、回転自在にブッシュ17(以下、回転ブッシュと言う)が挿入されており、この回転ブッシュ17の外周面に本無端連接体10の図示しない駆動装置のスプロケットの歯が噛み合うようにしている。
【0025】
前記掻出部20は、前記運搬基板21と、この運搬基板21の第1のリンク1と反対側の面に、外方に突出させて固着された運搬縦板22と、この運搬縦板22の先端部に取り付けた掘削歯23とを備えている。また、各リンク1,2が第2ピン8の回りに揺動したときに、隣接する2つの運搬基板21,21の端部どうしが干渉しないように、一方の運搬基板21の端部には切欠部25が形成されている。隣接する2つの運搬基板21,21の端部は、切欠部25の切欠量を少なくして運搬量を充分に確保するため、第2ピン8の軸線上近傍を通るように位置決めされている。本例では、無端連接体10の周回方向に対して左右一側にのみ揺動するようにしているので、上記切欠部25は中心から一側(図2では上側)のみに形成している。さらに、この切欠部25と反対側には、隣接する2つの運搬基板21,21のいずれか一方の端部に、上記の揺動時に両端部間に生じる隙間を覆うラップ板24を取り付けている。
【0026】
次に、図3〜図8を参照して、上記無端連接体10を鉄道用バラスト掻出機に適用した場合の作用を説明する。図3〜図8は、上記掻出部20を取付けた無端連接体10を鉄道用バラスト掻出機に適用する例を示しており、図3は鉄道用バラスト掻出機の側面図で、図4はその正面図であり、図5は図4のS矢視図である。また、図6はその鉄道用バラスト掻出機の水平掻出搬送部の正面図で、図7は同底面図で、図8は駆動装置のスプロケット部の詳細図である。
【0027】
まず図3及び図4により、鉄道用バラスト掻出機の構成を説明する。鉄道用バラスト掻出機100は軌陸両用の下部走行体101を備え、該下部走行体101上に旋回自在に上部旋回体110を有している。下部走行体101は、走行フレーム102の左右に1対のクローラ式走行装置103,103を備えると共に、該クローラ式走行装置103,103の内側で、走行フレーム102の前後部左右には4個の鉄輪105を上下方向に揺動自在に備えている。4個の鉄輪105はそれぞれ油圧シリンダ106の伸縮によって上下揺動し、下方に揺動したときに軌道41上に押し付けられて下部走行体101のクローラ式走行装置103,103が地面(軌道41の側方のバラスト上面)から浮き上がり、4個の鉄輪105で軌道41上を走行可能となる。また、上部旋回体110の旋回フレーム111上には、車両前部左側に運転室112が設置され、車両後部にエンジンルーム113が設けられている。
【0028】
旋回フレーム111前部の左右略中央には第1アーム115が上下揺動自在に取付けられており、第1アーム115の先端部には下方に向けて延設された先端アーム116を有し、さらに先端アーム116の下端部左右に上下揺動自在にブラケット118が設けられている。この左右一対のブラケット118,118にはそれぞれ軌道41上を転動可能なガイドローラ119が回転自在に設けられ、ブラケット118,118は、固定ピン117によって、図3に実線で図示の上端位置(クローラ接地作業姿勢)と、2点鎖線で図示の下端位置(鉄輪接地作業姿勢)とに固定自在となっている。作業時に、この左右のガイドローラ119,119を軌道41上を転動させることにより、本掻出機の掘削高さを安定させるようにしている。本ガイドローラ119,119により、クローラ接地、鉄輪接地のそれぞれの条件において、第1アーム115、第2アーム123、及び伸縮装置127(詳細は後述)を軌道41に対して一定の角度に保つようにしている。
【0029】
また第1アーム115の前部には平行リンク121,121を介して上下揺動自在に第2アーム123が設けられており、第1アーム115と平行リンク121との間に取付けた油圧シリンダ122の伸縮によって、第2アーム123は上下揺動するようになっている。なお、第2アーム123は第1アーム115に対して角度を一定に保ちながら昇降自在に設ければよい。第2アーム123は側面視(図3参照)で逆L字形状を成し、第2アーム123の先端部123a上には旋回装置125を介して伸縮装置127が備えられている。伸縮装置127は内蔵の油圧シリンダの伸縮によって伸縮自在とされた伸縮アーム128を有しており、この伸縮アーム128の先端部に、掘削・搬送装置120の支持フレーム131が上下方向のピン129を中心に水平揺動自在に取付けられている。
【0030】
図5に示すように、伸縮装置127の外装ケース部には油圧シリンダ126のチューブのロッド側端部が水平揺動自在に(すなわち、いわゆるトラニオン式に)連結されており、この油圧シリンダ126のロッド先端部はリンク機構130を介して前記支持フレーム131に水平揺動自在にピン連結されている。この油圧シリンダ126を伸縮することにより、支持フレーム131はピン129を中心にして車両左右方向姿勢と車両前後方向姿勢との間を所定角度θ(少なくとも90°)水平揺動するようになっている。
【0031】
支持フレーム131に本バラスト掻出機のガイドフレーム132が取付けてあり、ガイドフレーム132の外周部に前記無端連接体10が周回方向に移動自在に装着されている。ガイドフレーム132は正面視(図4参照)で略コの字形状を成しており、その下部は略水平方向に延設されていて水平掻出搬送部151を形成し、中間部は略垂直方向に延設されていて垂直搬送部152を形成し、また上部は車両中央へ向けてやや上方に傾斜させて延設されていて排出部153を形成している。ガイドフレーム132の上端部となる、該排出部153の終端部は、バラスト排出シュータ141の側面部に設けた開口孔内に貫通して設けられており、排出シュータ141はガイドフレーム132にブラケット142を介して支持されている。
【0032】
図6,図7に詳細に示すように、水平掻出搬送部151と垂直搬送部152との間の、車両前部下部の左側には、無端連接体10の駆動装置30がその駆動軸を略車両前後方向に向けて配設されており、水平掻出搬送部151の先端部の、車両前部下部の右側には第1遊動輪33がその回動軸を略上下方向に向けて配設されている。また、図4に示すように、排出部153の終端部には第2遊動輪36が回動軸を略上下方向に向けて配設され、排出部153と垂直搬送部152との間には第3遊動輪37が回動軸を略前後方向に向けて配設されている。これらの駆動装置30と第1遊動輪33と第2遊動輪36と第3遊動輪37とに、前記掻出部20を取付けた無端連接体10が巻装されている。駆動装置30は、油圧モータ133と、該油圧モータ133の出力軸にチェーン134等の動力伝達手段を介して連結されたスプロケット31と、該スプロケット31に対して略同軸心上に回転自在に配設された第4遊動輪32とを備えており、前記スプロケット31及び第4遊動輪32によって無端連接体10の周回面を上下方向と水平方向に変更している。
【0033】
図8に示すように、スプロケット31の歯35は無端連接体10の第2ピン8の外周部に設けた回転ブッシュ17に係合するようになっている。
【0034】
上部旋回体110の左右略中央の上部には、搬送装置例のベルトコンベヤ143,148が配設されている。第1のベルトコンベヤ143の後部は、旋回フレーム111上に設けた支持フレーム146にピン144によって上下揺動自在に連結されており、その前部は、前記第2アーム123の上部に取付けた支持フレーム147にボールローラ145を介して前後左右に摺動自在に支持されている。第1のベルトコンベヤ143の前部が、前記排出シュータ141の下方に位置するように設置される。また、第2のベルトコンベア148はその先端部を前記第1のベルトコンベヤ143後部の下方に重ねるように設けられ、旋回フレーム111上に設けた支持フレーム149に支持されている。
【0035】
図6、図7に示すように、水平掻出搬送部151では、無端連接体10は略水平面内で周回しており、水平掻出搬送部151の車体側では、駆動装置30の駆動力により無端連接体10をスプロケット31の方に引張り、この引張り力により軌道41の下方のバラスト42を掻出部20の掘削歯23で掘削、掻出し、運搬基板21及び運搬縦板22で搬送するようにしている。垂直搬送部152では、無端連接体10を略垂直面内で周回させており、この垂直搬送部152及び排出部153の無端連接体10を覆う、図示しないフレームケース内に前記水平掻出搬送部151からのバラストを取り込み、前記掻出部20の運搬基板21及び運搬縦板22で排出部151の排出シュータ141まで搬送している。そして、排出シュータ141の側面に設けた開口から前記搬送したバラストを排出し、排出シュータ141を経由して前記ベルトコンベヤ143,148等の搬送装置に供給し、搬送装置によって外部に搬送している。
【0036】
次に、上記構成の鉄道用バラスト掻出機100の作動を説明する。
先ず、最初に、左右のブラケット118を、クローラ接地の時は上端位置に固定ピン117で固定し、鉄輪接地の時は下側に固定し、水平掻出搬送部151を地面と平行にセットする。作業開始前に、他の掘削方法で、軌道41の左側方に枕木43の下面よりも深い穴を掘る。次に、油圧シリンダ126を伸長して支持フレーム131を車両前後方向姿勢にし、本掻出機の水平掻出搬送部151が軌道41に沿うようにすると共に、水平掻出搬送部151が枕木43よりも左方に位置するように伸縮装置127を伸長させる。さらに、第2アーム123を下降して、水平掻出搬送部151を前記軌道側方の穴内に入れ、略水平姿勢にする。このとき、下部走行体101は鉄輪105又はクローラ式走行装置103で走行可能な状態とする。
【0037】
次に、駆動装置30の油圧モータ133を駆動して無端連接体10を動かしつつ、油圧シリンダ126を縮小して水平掻出搬送部151を徐々に車両左右方向に向けて揺動させ、さらに伸縮装置127を徐々に縮小して水平掻出搬送部151を左右軌道41,41の側方から中央に位置させる。これにより、水平掻出搬送部151は枕木43より下方のバラスト42を掻き出しながら車両左右方向を向いた作業姿勢になる。
【0038】
水平掻出搬送部151が車両左右方向を向いた作業姿勢になると、次に、下部走行体110を鉄輪105又はクローラ式走行装置103によって所定速度で後方へ移動させる。このとき、水平掻出搬送部151における無端連接体10の車体側の掻出部20によってバラスト42が掻出され、搬送され、垂直搬送部152で上方へ搬送され、排出部153で排出シュータ141内に排出される。
【0039】
この際、無端連接体10が第1遊動輪33及び第2遊動輪36の周りを略水平面内で周回するときには、第1ピン7を中心にして各リンク1,2は揺動する。また、スプロケット31、第3遊動輪37及び第4遊動輪32の周りを略垂直面内で周回するときには、第2ピン8を中心にして各リンク1,2は揺動する。これによって、無端連接体10は、交差する2つの平面(本例では、水平面と垂直面)間で連続的に周回可能な2方向屈曲無端連接体を構成している。
【0040】
上記構成の無端連接体10によると、第1のリンク1と第2のリンク2とは第1ピン7を中心に第1平面内で揺動し、また第2ピン8を中心に第2平面内で揺動する。第1ピン7と第2ピン8は互いに略直交する方向に設けられているので、この無端連接体10は直交する2方向に屈曲自在となる。
【0041】
上記第1実施形態により、次の効果が得られる。
互いに直交する2方向のピン孔6とピン孔5a,5bを両端部に有する第1のリンク1、及び互いに直交する2方向のピン孔14a,14bとピン孔13a,13bを両端部に有する第2のリンク2を、同一方向の孔どうしに挿入するピン7,8によって連結して、2方向屈曲自在な無端連接体10を構成しているため、隣接するリンク1,2間に従来のような他の連接部材が無いので、同一方向のピン間のピッチを短くすることができ、低コストで構成できる。このため、前記鉄道用バラスト掻出機100等に適用した場合に、スプロケット31及び遊動輪32,33,36,37等の屈曲部での無端連接体10の曲率半径が小さくなるので、スプロケット31や遊動輪32,33,36,37の半径を小さくでき、駆動装置30や遊動輪33部をコンパクトに、低コストで構成できる。
【0042】
これにより、鉄道用バラスト掻出機100を車幅方向に出っ張らないようにコンパクトに構成でき、軌道上での作業中に、左右側方にあるプラットホーム、電柱、制御盤等との干渉が発生し難くなる。従って、本バラスト掻出機による掻出作業時の作業性を向上できる。
【0043】
リンク2の第2ピン孔13a,13bとそれに挿入された第2ピン8との間で摺動している個所に、ブッシュ16を挿入しているので、ブッシュ16の内外径部を硬化処理することにより、安価に、揺動部(摺動部)の耐久性を向上できる。また、駆動装置30のスプロケット31の歯35と噛合するピン8の外周部に回転ブッシュ17を挿入しているので、スプロケット31の歯35と回転ブッシュ17との接触面での滑りが無くなり、磨耗を低減して、これらの耐久性を格段に向上できる。
【0044】
次に、図9〜図12により第2実施形態を説明する。
図9〜図11により無端連接体10aの構成を説明する。図9は第2実施形態に係る無端連接体の平面図で、図10は図9のX矢視図で、図11は図9のY矢視図である。無端連接体10aは、2種類のリンク1a,2aが交互に外径部が硬化処理されたピン57,58によって連結されている。第1のリンク1aは側面視(図11参照)で略U字形状を成し、このU字形状の下部に設けた基部51と、上部に互いに対向して該基部51から突設された一対の対向部52a,52bとを一体的に設けている。前記一対の対向部52a,52bには、無端連接体連接方向の一端側に両対向部52a,52bを貫通する方向の同軸心の第1ピン孔56a,56bがそれぞれ形成されている。前記基部51の無端連接体連接方向の他端側、すなわち前記第1ピン孔56a,56bと反対側の端部には、平面視(図9参照)でコの字形状をなす溝部54が形成されており、該溝部54の側面部には対向する一対の対向部53a,53bが形成されている。この一対の対向部53a,53bには、前記第1ピン孔56a,56bに直交する方向に同軸心の第2ピン孔55a,55bがそれぞれ形成されている。
【0045】
第1のリンク1aの基部51の外側面部には、掻出部20の運搬基板21が溶接等によって固着されている。
【0046】
第2のリンク2aは平面視でやや鈍角状に折れ曲がった形状を成し、中央部65から略上方に向けて延設された一側連結部62と、中央部65から略水平方向に向けて延設された他側連結部61とを一体的に設けている。前記一側連結部62には平面視で奥行き方向に貫通した第1ピン孔64が形成されており、また前記他側連結部61にはこの第1ピン孔64に直交する方向(平面視で上下方向)に貫通した第2ピン孔63が形成されている。
【0047】
第2のリンク2aの一側連結部62は、第1のリンク1aの一端側の、一対の対向部52a,52b間に挿入され、この対向部52a,52bの第1ピン孔56a,56bと、第2のリンク2aの一側連結部62の第1ピン孔64とに第1ピン57を挿入して、第1のリンク1aと第2のリンク2aとの一端側どうしが連結されている。第1ピン57は、第2のリンク2aに揺動自在に挿入され、第1のリンク1aに圧入されている。なお、第2のリンク2aの第1ピン孔64内には内径部が硬化処理されたブッシュ59が挿入されており、ブッシュ59の硬化処理された内径部と第1ピン57の硬化処理された外径部との回動時の摺動磨耗を低減している。
【0048】
第2のリンク2aの他側連結部61は、第1のリンク1aの他端側の、一対の対向部53a,53b間に挿入され、この対向部53a,53bの第2ピン孔55a,55bと、第2のリンク2aの他側連結部61の第2ピン孔63とに第2ピン58を挿入して、第1のリンク1aと第2のリンク2aとの他端側どうしが連結されている。第2ピン58は、第2のリンク2aに揺動自在に挿入され、第1のリンク1aに圧入されている。なお、第2のリンク2aの第2ピン孔63内には内径部が硬化処理されたブッシュ66が挿入されており、ブッシュ66の硬化処理された内径部と第2ピン58の硬化処理された外径部との回動時の摺動磨耗を低減している。
【0049】
掻出部20の前記運搬基板21には、第1のリンク1aと反対側の面に、異なる機能を有する2種類の部材が交互に固着されている。第1の種類として、外方に突出させて、かつ無端連接体の移動方向と直交する方向に固着された運搬縦板22が設けられている。また、第2の種類として、外方に突出させて、かつ無端連接体の移動方向と平行に固着された2枚の掘削歯23,23が設けられている。この2枚の掘削歯23,23で掘削して掻き出し、運搬基板21と運搬縦板22で搬送するようになっている。
【0050】
図12は、第2実施形態の無端連接体10aの鉄道用バラスト掻出機への適用例を表す説明図である。なお、本例では、鉄道用バラスト掻出機の構成は前記図3〜図5に示したものと略同様であり、異なるのは、無端連接体10aの駆動装置が、前記図4の遊動輪36の代わりに排出部153の上端の折り返し位置に配設される点である。図12において、駆動装置30の図示しない油圧モータに所定の動力伝達手段を介して連結されたスプロケット31は、垂直搬送部152の上端の折り返し位置に配設されている。このスプロケット31の歯35は、無端連接体10aの第2のリンク2aの一側連結部62の外周面に係合して、駆動力を伝達するようになっている。スプロケット31で無端連接体10aを引っ張り上げ、垂直搬送部152を経由して水平掻出搬送部151の無端連接体10aの掻出部20に駆動力を伝達して掘削する。なお、垂直搬送部152と水平掻出搬送部151の間に位置するバラスト掻出機のフレームケースには所定曲率半径の屈曲ケース部が設けられており、無端連接体10aはこの屈曲ケース部の内周面を摺動しつつ移動するようになっている。また、水平掻出搬送部151の無端連接体10aの折り返し位置には前記第1遊動輪33と同様の遊動輪が配設されている。
【0051】
無端連接体10aが上記スプロケット31の周りを周回するとき、及び上記水平掻出搬送部151の遊動輪の周りを周回するときには、図12に示すように、各リンク1a,2aは第1ピン57を中心に揺動する。また、無端連接体10aが、上記垂直搬送部152と水平掻出搬送部151の間に位置する、所定曲率半径の屈曲ケース部内を摺動するときには、各リンク1a,2aは第2ピン58を中心に揺動する。
【0052】
第2実施形態の構成による効果は次の通りである。
第1のリンク1aの両端部に、互いに略直交する方向の第1ピン孔56a,56bと第2ピン孔55a,55bを形成し、第2のリンク2aの両端部に、互いに略直交する方向の第1ピン孔64と第2ピン孔63とを形成している。そして、これらのピン孔のうち、同一方向のピン孔どうしをそれぞれ第1ピン57、第2ピン58で揺動自在に連結している。このため、従来のような他の連接部材が無いことから、同一方向のピン孔間のピッチが短くなるので、本無端連接体10aの最小曲率半径を小さくできる。これにより、スプロケット31や遊動輪等の半径を小さくして、駆動装置30及び遊動輪部をコンパクトに、低コストで構成することができる。
【0053】
第1ピン57と第2のリンク2aの第1ピン孔64との間にブッシュ59を挿入したので、第1ピン57と第2のリンク2aの第1ピン孔64との間での摺動磨耗を低減できる。さらに、第2ピン58と第2のリンク2aの第2ピン孔63との間にブッシュ66を挿入したので、第2ピン58と第2のリンク2aの第2ピン孔63との間での摺動磨耗を低減できる。従って、第1ピン57と第2のリンク2aの第1ピン孔64、及び第2ピン58と第2のリンク2aの第2ピン孔63の耐久性をそれぞれ向上できる。
【0054】
なお、上記実施形態では、無端連接体をバラスト掻出機の掘削・搬送装置に適用した例を挙げたが、本発明の適用機械はこれに限定されない。
また、バラスト掻出機を構成する軌陸両用の車体として、下部走行体に旋回自在に搭載した上部旋回体を用いた例で説明したが、旋回自在である必要は無い。
【0055】
以上説明したように、本発明により次の効果が得られる。
両端部に異なる方向のピン孔を有する2つのリンクの同一方向の孔どうしをピン連結して、無端連接体を構成したので、同一方向の孔間のピッチが短くなり、同孔を中心としたリンク揺動の平面内における無端連接体の曲率半径を小さくできる。これにより、無端連接体の駆動装置のスプロケットや遊動輪等の半径を小さく、コンパクトに構成できるので、この無端連接体の適用機械の小形化および低コスト化が図れる。
【0056】
また、リンクの孔と連結ピンとの摺動部にブッシュを挿入したので、リンクの孔と連結ピンの摺動部の耐磨耗性を向上して、無端連接体の耐久性を向上できると共に、両者の寿命を同程度にしてメンテナンス性を向上できる。また、駆動スプロケットの歯と噛合するピンの外周面部に回転ブッシュを挿入することにより、スプロケットと噛合する該ブッシュが回転して滑りが発生しないため、摺動磨耗を減少させることができるので、無端連接体の耐久性を格段に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る掻出用無端連接体の平面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】鉄道用バラスト掻出機の側面図である。
【図4】同正面図である。
【図5】図4のS矢視図である。
【図6】鉄道用バラスト掻出機の水平掻出搬送部の正面図である。
【図7】同底面図である。
【図8】駆動装置のスプロケット部の詳細図である。
【図9】第2実施形態に係る無端連接体の平面図である。
【図10】図9のX矢視図である。
【図11】図9のY矢視図である。
【図12】第2実施形態の無端連接体の駆動スプロケット部の説明図である。
【図13】従来技術の第1例を表すチェーン装置の一部断面図である。
【図14】従来技術の第2例を表すチェーンリンクの側面断面図である。
【図15】従来技術の第3例を表すチェーン体の側面図である。
【図16】同チェーン体に用いる連結体の側面図である。
【符号の説明】
1,2,1a,2a…リンク、3a,3b…対向部、4…連結部、5a,5b…第2ピン孔、6…第1ピン孔、7,8…ピン(連結部材)、10,10a…無端連接体、11a,11b…対向部、12,15…連結部、12a,12b…対向部、13a,13b…第2ピン孔、14a,14b…第1ピン孔、16…ブッシュ、17…回転ブッシュ、20…掻出部、21…運搬基板、22…運搬縦板、23…掘削歯、24…ラップ板、25…切欠部、30…駆動装置、31…スプロケット、32,33,36,37…遊動輪、35…歯、41…軌道、42…バラスト、43…枕木、51…基部、52a,52b…対向部、53a,53b…対向部、54…溝部、55a,55b…第2ピン孔、56a,56b…第1ピン孔、57,58…ピン(連結部材)、59…ブッシュ、61…他側連結部、62…一側連結部、63…第2ピン孔、64…第1ピン孔、65…中央部、66…ブッシュ、100…鉄道用バラスト掻出機、101…下部走行体、103…クローラ式走行装置、105…鉄輪、110…上部旋回体、111…旋回フレーム、112…運転室、113…エンジンルーム、115…第1アーム、116…先端アーム、118…ブラケット、119…ガイドローラ、120…掘削・搬送装置、121…平行リンク、122…油圧シリンダ、123…第2アーム、125…旋回装置、126…油圧シリンダ、127…伸縮装置、129…ピン、130…リンク機構、131…支持フレーム、132…ガイドフレーム、133…油圧モータ、141…排出シュータ、143,148…ベルトコンベヤ、151…水平掻出搬送部、152…垂直搬送部、153…排出部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、2方向屈曲連接体、掻出用2方向屈曲連接体、及びこれを用いた鉄道用バラスト掻出機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、鉄道軌道下に設けたバラストを掘削し回収するために用いられる鉄道用バラスト掻出機には、掘削・搬送するための掻出部が取付けられたチェーンやリンク連接体等の無端連接体が備えられている。この無端連接体には、鉄道用バラスト掻出機において、略水平姿勢でバラストの掘削・搬送を行う水平掘削搬送部と、このバラストを略垂直上方に搬送し、車体上部に設けたコンベヤ等の搬送装置に渡す垂直搬送部152とを連続的に備えたものが一般的である。このため、異なる2方向に屈曲可能な無端連接体が多く用いられている。このような2方向屈曲無端連接体の従来技術としては、例えば次のものがある。
【0003】
図13及び図14は、それぞれ特許文献1に記載された第1例を表すチェーン装置の一部断面図、及び第2例を表すチェーンリンクの側面断面図である。図13において、チェーン装置70のチェーン71は、自在継手72により互いに接続されたチェーンリンク73で構成されている。各自在継手72は、中間エレメント74を有して、互いに垂直に配置した2つの自在継手ボルト75,76から成る。ピン77からなる垂直のボルト75の両端にはボルトヘッド78が設けてあり、それぞれのボルトヘッド78には、駆動部(図示せず)の歯車が係合して動力を伝達する。チェーンリンク73は、ボルト75のピン77と、ボルト76のピン79とを中心として互いに交差する種々の平面を互いに相対的にピボット運動する。
また、第2例として、図14において、チェーンリンク82は、ボール・ソケット継手83により互いに接続されている。チェーンリンク82は、ボルト84のピンを中心としてピボット運動し、球状エレメントを中心として種々の平面で回転する。
【0004】
図15及び図16は、それぞれ特許文献2に記載されたチェーン体の側面図、及びチェーン体に用いる連結体の側面図である。図15、図16において、チェーン体90は、リンク部材91と連結体92によって構成されている。リンク部材91の上部に有する上面板93の下面には一対の脚片94,95が連接されており、この脚片94,95間に前記連結体92が挿入されている。各リンク部材91を連結する連結体92は、対向するヒンジ連結部96とピン孔97を有する2つの半体92A,92Bからなり、垂直なヒンジピン98によって連結されている。また、連結体92のそれぞれの半体92A,92Bのヒンジ連結部96と反対側にはピン挿入孔99が形成されており、このピン挿入孔99に挿入されるリンクピン99aによって連結体92とリンク部材91とが連結されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭59−134203号公報(第5−6頁、第3,6図)
【特許文献2】
特開2002−30602号公報(第2頁、第4,7図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の2方向屈曲連接帯には、次のような問題がある。
特許文献1に記載のチェーン装置70において、第1例では、チェーンリンク73を互いに交差し、かつ垂直に延びる2本のピン77,79により接続するようにしているので、両ピン77,79を支承する自在継手72の構造が複雑で、大形であるという問題がある。また、同チェーン装置の第2例では、チェーンリンク82を球面軸受であるボール・ソケット継手83により接続しているが、このような球面軸受構造のものは、一般的に軸受の摺動部の表面硬化処理が困難なため、耐久性が充分に満足されないという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載されたチェーン体90は、各リンク部材91,91間が、ヒンジピン98によって連接された半体92A,92Bからなる連接体92と、前記ヒンジピン98に直交する方向のリンクピン99aにより連結されており、連接体92が介在するためリンクピッチが長くなり、チェーン体90の屈曲部での曲率半径が大きくなる。このため、駆動スプロケットの半径が大きくなり、例えば前出の鉄道用バラスト掻出機等、チェーン体の適用機械の小形化が困難であるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたもので、簡単な構造で、小形化が図れると共に、耐久性があり、またリンクピッチを短くできる2方向屈曲連接体、掻出用2方向屈曲連接体、及びこれを用いた鉄道用バラスト掻出機を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記目的を達成するため、第1発明は、2方向屈曲連接体において、
両端部に互いに異なる方向の孔を有する第1リンクと、両端部に互いに異なる方向の孔を有する第2リンクと、前記第1リンク及び第2リンクの同一方向の孔どうしを連結する連接部材とを備えた構成としている。
【0010】
第1発明によると、別の連接体を介さずに、リンクどうしを連結し、このとき、各リンクの両端部にそれぞれ有する同一方向の孔どうしを連結するので、リンクピッチが短い2方向屈曲連接体を構成できる。これにより、屈曲部での曲率半径が小さい連接体となり、小型・軽量な2方向屈曲連接体となる、故に、本2方向屈曲連接体の適用機械の小型・軽量化が図れるので適用範囲が広がる。
【0011】
また、第2発明は、第1発明の2方向屈曲連接体において、
前記第1リンクの両孔の少なくともいずれか一方、及び/又は、前記第2リンクの両孔の少なくともいずれか一方には、前記連接部材との間にブッシュを挿入した構成としている。
【0012】
第2発明によると、表面硬化処理したブッシュをリンク孔に挿入することにより、リンクと連接部材間の摺動部の耐磨耗性を向上し、連接体の耐久性を向上できる。しかも、リンク部材を直接硬化処理するよりも低コストで耐久性を向上できる。
【0013】
また、第3発明は、第2発明の2方向屈曲連接体において、
前記ブッシュが回転自在に装着された構成としている。
【0014】
第3発明によると、例えば駆動スプロケットと連接部材の回転自在なブッシュとを噛合させることにより、ブッシュ外周部の摺動磨耗を少なくすることができ、しかも均一摩耗するので、2方向屈曲連接体の耐久性を格段に向上させることができる。
【0015】
第4発明は、第1、第2又は第3発明に記載の2方向屈曲連接体のリンクに、掘削・掻出機能を有する掻出部を装着した掻出用2方向屈曲連接体である。
【0016】
第4発明によると、前記の2方向屈曲連接体のリンクに掻出部を装着したので、小型化ができ、耐久性があり、しかも低コストの掻出装置を構成できる。
【0017】
また、第5発明は、鉄道用バラスト掻出機において、陸路を走行可能な走行体を備えた車体と、前記車体の前後部にそれぞれ昇降自在に設けた、鉄道軌道上を走行可能な左右1対の鉄輪と、鉄道軌道の道床のバラストを掘削、搬送する掘削・搬送装置と、基端部が前記車体に上下方向揺動自在に取り付けられた第1アームと、先端部に前記掘削・搬送装置が旋回可能に装着され、基端部が第1アームに昇降自在に取り付けられた第2アームと、第1アームの先端下部に昇降自在に設けられ、軌道上を転動して前記掘削・搬送装置の高さ位置を設定する左右1対のガイドローラを有する高さ位置決め装置と、前記掘削・搬送装置で搬送されたバラストを受けて外部に排出する排出装置とを備え、前記掘削・搬送装置は、第4発明に記載の掻出用2方向屈曲連接体を有する構成としている。
【0018】
第5発明によると、前記の掻出用2方向屈曲連接体をバラストの掘削・搬送装置に適用したので、小型でコンパクトであり、耐久性があり、しかも低コストの掘削・搬送装置を構成できる。これにより、軌道上の狭い作業エリアでバラスト掻出作業を行うのに好適な鉄道用バラスト掻出機を構成できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の図面で、図13〜図16に示した構成と同一のものには同一符号を付して、説明は省略する。
【0020】
先ず、図1〜図8により第1実施形態を説明する。
図1は第1実施形態に係る掻出用無端連接体の平面図であり、図2は同側面図である。図1及び図2において、無端連接体10は、2種類のリンク1,2が交互にピン7,8によって連結されている。第1のリンク1は平面視でコの字形状を成し、一端側に設けた連結部4と、他端側に対向して突設された一対の対向部3a,3bとを一体的に設けている。第1のリンク1の一方の対向部3a側の外側面部には、掻出部20の運搬基板21が溶接等によって固着されている。前記連結部4には側面視(図2参照)で上下方向に第1ピン孔6が形成されており、また前記一対の対向部3a,3bには第1ピン孔6に直交する方向に同軸心の第2ピン孔5a,5bがそれぞれ形成されている。
【0021】
第2のリンク2は平面視で逆コの字形状を成し、一端側に設けた連結部12と、他端側に対向して突設された一対の対向部11a,11bとを一体的に設けている。さらに、この連結部12は側面視でコの字形状を成しており、前記対向部11a,11b寄りの基部に設けた連結部15と、端部に対向して突設した一対の対向部12a,12bとを備えている。この連結部12には、前記一対の対向部12a,12bを側面視(図2参照)で上下方向に貫通した同軸心の第1ピン孔14a,14bがそれぞれ形成されており、また前記対向部11a,11bにはこの第1ピン孔14a,14bに直交する方向に貫通した同軸心の第2ピン孔13a,13bがそれぞれ形成されている。
【0022】
第1のリンク1の一端側の前記連結部4は、第2のリンク2の一端側の、前記連結部12の一対の対向部12a,12b間に挿入されており、この第1のリンク1の第1ピン孔6と、第2のリンク2の第1ピン孔14a,14bとに第1ピン7を挿入して、第1のリンク1と第2のリンク2との一端側どうしが連結されている。第1ピン7は、第1のリンク1に揺動自在に挿入され、第2のリンク2に圧入されている。
【0023】
また、第2のリンク2の他端側の、前記一対の対向部11a,11bは、第1のリンク1の他端側の、前記一対の対向部3a,3b間に挿入されており、この第1のリンク1の第2ピン孔5a,5bと、第2のリンク2の第2ピン孔13a,13bとに第2ピン8を挿入して、第1のリンク1と第2のリンク2との他端側どうしが連結されている。第2ピン8は、第2のリンク2の対向部11a,11bに揺動自在に挿入され、第1のリンク1の対向部3a,3bに圧入されている。
【0024】
また、第2のリンク2の対向部11a,11bの第2ピン孔13a,13bにはブッシュ16が圧入されており、ブッシュ16は全面に硬化処理が実施され、第2ピン8の外径部も硬化処理されている。また、ブッシュ16の内周面と第2ピン8との間には、グリス等の潤滑材が注入されている。以上により、第2ピン8回りの第1のリンク1と第2のリンク2の摺動による磨耗を低減している。さらに、対向部11a,11b間に位置する第2ピン8(本例では、この第2ピン8の外周部に位置する前記ブッシュ16)の外周部には、回転自在にブッシュ17(以下、回転ブッシュと言う)が挿入されており、この回転ブッシュ17の外周面に本無端連接体10の図示しない駆動装置のスプロケットの歯が噛み合うようにしている。
【0025】
前記掻出部20は、前記運搬基板21と、この運搬基板21の第1のリンク1と反対側の面に、外方に突出させて固着された運搬縦板22と、この運搬縦板22の先端部に取り付けた掘削歯23とを備えている。また、各リンク1,2が第2ピン8の回りに揺動したときに、隣接する2つの運搬基板21,21の端部どうしが干渉しないように、一方の運搬基板21の端部には切欠部25が形成されている。隣接する2つの運搬基板21,21の端部は、切欠部25の切欠量を少なくして運搬量を充分に確保するため、第2ピン8の軸線上近傍を通るように位置決めされている。本例では、無端連接体10の周回方向に対して左右一側にのみ揺動するようにしているので、上記切欠部25は中心から一側(図2では上側)のみに形成している。さらに、この切欠部25と反対側には、隣接する2つの運搬基板21,21のいずれか一方の端部に、上記の揺動時に両端部間に生じる隙間を覆うラップ板24を取り付けている。
【0026】
次に、図3〜図8を参照して、上記無端連接体10を鉄道用バラスト掻出機に適用した場合の作用を説明する。図3〜図8は、上記掻出部20を取付けた無端連接体10を鉄道用バラスト掻出機に適用する例を示しており、図3は鉄道用バラスト掻出機の側面図で、図4はその正面図であり、図5は図4のS矢視図である。また、図6はその鉄道用バラスト掻出機の水平掻出搬送部の正面図で、図7は同底面図で、図8は駆動装置のスプロケット部の詳細図である。
【0027】
まず図3及び図4により、鉄道用バラスト掻出機の構成を説明する。鉄道用バラスト掻出機100は軌陸両用の下部走行体101を備え、該下部走行体101上に旋回自在に上部旋回体110を有している。下部走行体101は、走行フレーム102の左右に1対のクローラ式走行装置103,103を備えると共に、該クローラ式走行装置103,103の内側で、走行フレーム102の前後部左右には4個の鉄輪105を上下方向に揺動自在に備えている。4個の鉄輪105はそれぞれ油圧シリンダ106の伸縮によって上下揺動し、下方に揺動したときに軌道41上に押し付けられて下部走行体101のクローラ式走行装置103,103が地面(軌道41の側方のバラスト上面)から浮き上がり、4個の鉄輪105で軌道41上を走行可能となる。また、上部旋回体110の旋回フレーム111上には、車両前部左側に運転室112が設置され、車両後部にエンジンルーム113が設けられている。
【0028】
旋回フレーム111前部の左右略中央には第1アーム115が上下揺動自在に取付けられており、第1アーム115の先端部には下方に向けて延設された先端アーム116を有し、さらに先端アーム116の下端部左右に上下揺動自在にブラケット118が設けられている。この左右一対のブラケット118,118にはそれぞれ軌道41上を転動可能なガイドローラ119が回転自在に設けられ、ブラケット118,118は、固定ピン117によって、図3に実線で図示の上端位置(クローラ接地作業姿勢)と、2点鎖線で図示の下端位置(鉄輪接地作業姿勢)とに固定自在となっている。作業時に、この左右のガイドローラ119,119を軌道41上を転動させることにより、本掻出機の掘削高さを安定させるようにしている。本ガイドローラ119,119により、クローラ接地、鉄輪接地のそれぞれの条件において、第1アーム115、第2アーム123、及び伸縮装置127(詳細は後述)を軌道41に対して一定の角度に保つようにしている。
【0029】
また第1アーム115の前部には平行リンク121,121を介して上下揺動自在に第2アーム123が設けられており、第1アーム115と平行リンク121との間に取付けた油圧シリンダ122の伸縮によって、第2アーム123は上下揺動するようになっている。なお、第2アーム123は第1アーム115に対して角度を一定に保ちながら昇降自在に設ければよい。第2アーム123は側面視(図3参照)で逆L字形状を成し、第2アーム123の先端部123a上には旋回装置125を介して伸縮装置127が備えられている。伸縮装置127は内蔵の油圧シリンダの伸縮によって伸縮自在とされた伸縮アーム128を有しており、この伸縮アーム128の先端部に、掘削・搬送装置120の支持フレーム131が上下方向のピン129を中心に水平揺動自在に取付けられている。
【0030】
図5に示すように、伸縮装置127の外装ケース部には油圧シリンダ126のチューブのロッド側端部が水平揺動自在に(すなわち、いわゆるトラニオン式に)連結されており、この油圧シリンダ126のロッド先端部はリンク機構130を介して前記支持フレーム131に水平揺動自在にピン連結されている。この油圧シリンダ126を伸縮することにより、支持フレーム131はピン129を中心にして車両左右方向姿勢と車両前後方向姿勢との間を所定角度θ(少なくとも90°)水平揺動するようになっている。
【0031】
支持フレーム131に本バラスト掻出機のガイドフレーム132が取付けてあり、ガイドフレーム132の外周部に前記無端連接体10が周回方向に移動自在に装着されている。ガイドフレーム132は正面視(図4参照)で略コの字形状を成しており、その下部は略水平方向に延設されていて水平掻出搬送部151を形成し、中間部は略垂直方向に延設されていて垂直搬送部152を形成し、また上部は車両中央へ向けてやや上方に傾斜させて延設されていて排出部153を形成している。ガイドフレーム132の上端部となる、該排出部153の終端部は、バラスト排出シュータ141の側面部に設けた開口孔内に貫通して設けられており、排出シュータ141はガイドフレーム132にブラケット142を介して支持されている。
【0032】
図6,図7に詳細に示すように、水平掻出搬送部151と垂直搬送部152との間の、車両前部下部の左側には、無端連接体10の駆動装置30がその駆動軸を略車両前後方向に向けて配設されており、水平掻出搬送部151の先端部の、車両前部下部の右側には第1遊動輪33がその回動軸を略上下方向に向けて配設されている。また、図4に示すように、排出部153の終端部には第2遊動輪36が回動軸を略上下方向に向けて配設され、排出部153と垂直搬送部152との間には第3遊動輪37が回動軸を略前後方向に向けて配設されている。これらの駆動装置30と第1遊動輪33と第2遊動輪36と第3遊動輪37とに、前記掻出部20を取付けた無端連接体10が巻装されている。駆動装置30は、油圧モータ133と、該油圧モータ133の出力軸にチェーン134等の動力伝達手段を介して連結されたスプロケット31と、該スプロケット31に対して略同軸心上に回転自在に配設された第4遊動輪32とを備えており、前記スプロケット31及び第4遊動輪32によって無端連接体10の周回面を上下方向と水平方向に変更している。
【0033】
図8に示すように、スプロケット31の歯35は無端連接体10の第2ピン8の外周部に設けた回転ブッシュ17に係合するようになっている。
【0034】
上部旋回体110の左右略中央の上部には、搬送装置例のベルトコンベヤ143,148が配設されている。第1のベルトコンベヤ143の後部は、旋回フレーム111上に設けた支持フレーム146にピン144によって上下揺動自在に連結されており、その前部は、前記第2アーム123の上部に取付けた支持フレーム147にボールローラ145を介して前後左右に摺動自在に支持されている。第1のベルトコンベヤ143の前部が、前記排出シュータ141の下方に位置するように設置される。また、第2のベルトコンベア148はその先端部を前記第1のベルトコンベヤ143後部の下方に重ねるように設けられ、旋回フレーム111上に設けた支持フレーム149に支持されている。
【0035】
図6、図7に示すように、水平掻出搬送部151では、無端連接体10は略水平面内で周回しており、水平掻出搬送部151の車体側では、駆動装置30の駆動力により無端連接体10をスプロケット31の方に引張り、この引張り力により軌道41の下方のバラスト42を掻出部20の掘削歯23で掘削、掻出し、運搬基板21及び運搬縦板22で搬送するようにしている。垂直搬送部152では、無端連接体10を略垂直面内で周回させており、この垂直搬送部152及び排出部153の無端連接体10を覆う、図示しないフレームケース内に前記水平掻出搬送部151からのバラストを取り込み、前記掻出部20の運搬基板21及び運搬縦板22で排出部151の排出シュータ141まで搬送している。そして、排出シュータ141の側面に設けた開口から前記搬送したバラストを排出し、排出シュータ141を経由して前記ベルトコンベヤ143,148等の搬送装置に供給し、搬送装置によって外部に搬送している。
【0036】
次に、上記構成の鉄道用バラスト掻出機100の作動を説明する。
先ず、最初に、左右のブラケット118を、クローラ接地の時は上端位置に固定ピン117で固定し、鉄輪接地の時は下側に固定し、水平掻出搬送部151を地面と平行にセットする。作業開始前に、他の掘削方法で、軌道41の左側方に枕木43の下面よりも深い穴を掘る。次に、油圧シリンダ126を伸長して支持フレーム131を車両前後方向姿勢にし、本掻出機の水平掻出搬送部151が軌道41に沿うようにすると共に、水平掻出搬送部151が枕木43よりも左方に位置するように伸縮装置127を伸長させる。さらに、第2アーム123を下降して、水平掻出搬送部151を前記軌道側方の穴内に入れ、略水平姿勢にする。このとき、下部走行体101は鉄輪105又はクローラ式走行装置103で走行可能な状態とする。
【0037】
次に、駆動装置30の油圧モータ133を駆動して無端連接体10を動かしつつ、油圧シリンダ126を縮小して水平掻出搬送部151を徐々に車両左右方向に向けて揺動させ、さらに伸縮装置127を徐々に縮小して水平掻出搬送部151を左右軌道41,41の側方から中央に位置させる。これにより、水平掻出搬送部151は枕木43より下方のバラスト42を掻き出しながら車両左右方向を向いた作業姿勢になる。
【0038】
水平掻出搬送部151が車両左右方向を向いた作業姿勢になると、次に、下部走行体110を鉄輪105又はクローラ式走行装置103によって所定速度で後方へ移動させる。このとき、水平掻出搬送部151における無端連接体10の車体側の掻出部20によってバラスト42が掻出され、搬送され、垂直搬送部152で上方へ搬送され、排出部153で排出シュータ141内に排出される。
【0039】
この際、無端連接体10が第1遊動輪33及び第2遊動輪36の周りを略水平面内で周回するときには、第1ピン7を中心にして各リンク1,2は揺動する。また、スプロケット31、第3遊動輪37及び第4遊動輪32の周りを略垂直面内で周回するときには、第2ピン8を中心にして各リンク1,2は揺動する。これによって、無端連接体10は、交差する2つの平面(本例では、水平面と垂直面)間で連続的に周回可能な2方向屈曲無端連接体を構成している。
【0040】
上記構成の無端連接体10によると、第1のリンク1と第2のリンク2とは第1ピン7を中心に第1平面内で揺動し、また第2ピン8を中心に第2平面内で揺動する。第1ピン7と第2ピン8は互いに略直交する方向に設けられているので、この無端連接体10は直交する2方向に屈曲自在となる。
【0041】
上記第1実施形態により、次の効果が得られる。
互いに直交する2方向のピン孔6とピン孔5a,5bを両端部に有する第1のリンク1、及び互いに直交する2方向のピン孔14a,14bとピン孔13a,13bを両端部に有する第2のリンク2を、同一方向の孔どうしに挿入するピン7,8によって連結して、2方向屈曲自在な無端連接体10を構成しているため、隣接するリンク1,2間に従来のような他の連接部材が無いので、同一方向のピン間のピッチを短くすることができ、低コストで構成できる。このため、前記鉄道用バラスト掻出機100等に適用した場合に、スプロケット31及び遊動輪32,33,36,37等の屈曲部での無端連接体10の曲率半径が小さくなるので、スプロケット31や遊動輪32,33,36,37の半径を小さくでき、駆動装置30や遊動輪33部をコンパクトに、低コストで構成できる。
【0042】
これにより、鉄道用バラスト掻出機100を車幅方向に出っ張らないようにコンパクトに構成でき、軌道上での作業中に、左右側方にあるプラットホーム、電柱、制御盤等との干渉が発生し難くなる。従って、本バラスト掻出機による掻出作業時の作業性を向上できる。
【0043】
リンク2の第2ピン孔13a,13bとそれに挿入された第2ピン8との間で摺動している個所に、ブッシュ16を挿入しているので、ブッシュ16の内外径部を硬化処理することにより、安価に、揺動部(摺動部)の耐久性を向上できる。また、駆動装置30のスプロケット31の歯35と噛合するピン8の外周部に回転ブッシュ17を挿入しているので、スプロケット31の歯35と回転ブッシュ17との接触面での滑りが無くなり、磨耗を低減して、これらの耐久性を格段に向上できる。
【0044】
次に、図9〜図12により第2実施形態を説明する。
図9〜図11により無端連接体10aの構成を説明する。図9は第2実施形態に係る無端連接体の平面図で、図10は図9のX矢視図で、図11は図9のY矢視図である。無端連接体10aは、2種類のリンク1a,2aが交互に外径部が硬化処理されたピン57,58によって連結されている。第1のリンク1aは側面視(図11参照)で略U字形状を成し、このU字形状の下部に設けた基部51と、上部に互いに対向して該基部51から突設された一対の対向部52a,52bとを一体的に設けている。前記一対の対向部52a,52bには、無端連接体連接方向の一端側に両対向部52a,52bを貫通する方向の同軸心の第1ピン孔56a,56bがそれぞれ形成されている。前記基部51の無端連接体連接方向の他端側、すなわち前記第1ピン孔56a,56bと反対側の端部には、平面視(図9参照)でコの字形状をなす溝部54が形成されており、該溝部54の側面部には対向する一対の対向部53a,53bが形成されている。この一対の対向部53a,53bには、前記第1ピン孔56a,56bに直交する方向に同軸心の第2ピン孔55a,55bがそれぞれ形成されている。
【0045】
第1のリンク1aの基部51の外側面部には、掻出部20の運搬基板21が溶接等によって固着されている。
【0046】
第2のリンク2aは平面視でやや鈍角状に折れ曲がった形状を成し、中央部65から略上方に向けて延設された一側連結部62と、中央部65から略水平方向に向けて延設された他側連結部61とを一体的に設けている。前記一側連結部62には平面視で奥行き方向に貫通した第1ピン孔64が形成されており、また前記他側連結部61にはこの第1ピン孔64に直交する方向(平面視で上下方向)に貫通した第2ピン孔63が形成されている。
【0047】
第2のリンク2aの一側連結部62は、第1のリンク1aの一端側の、一対の対向部52a,52b間に挿入され、この対向部52a,52bの第1ピン孔56a,56bと、第2のリンク2aの一側連結部62の第1ピン孔64とに第1ピン57を挿入して、第1のリンク1aと第2のリンク2aとの一端側どうしが連結されている。第1ピン57は、第2のリンク2aに揺動自在に挿入され、第1のリンク1aに圧入されている。なお、第2のリンク2aの第1ピン孔64内には内径部が硬化処理されたブッシュ59が挿入されており、ブッシュ59の硬化処理された内径部と第1ピン57の硬化処理された外径部との回動時の摺動磨耗を低減している。
【0048】
第2のリンク2aの他側連結部61は、第1のリンク1aの他端側の、一対の対向部53a,53b間に挿入され、この対向部53a,53bの第2ピン孔55a,55bと、第2のリンク2aの他側連結部61の第2ピン孔63とに第2ピン58を挿入して、第1のリンク1aと第2のリンク2aとの他端側どうしが連結されている。第2ピン58は、第2のリンク2aに揺動自在に挿入され、第1のリンク1aに圧入されている。なお、第2のリンク2aの第2ピン孔63内には内径部が硬化処理されたブッシュ66が挿入されており、ブッシュ66の硬化処理された内径部と第2ピン58の硬化処理された外径部との回動時の摺動磨耗を低減している。
【0049】
掻出部20の前記運搬基板21には、第1のリンク1aと反対側の面に、異なる機能を有する2種類の部材が交互に固着されている。第1の種類として、外方に突出させて、かつ無端連接体の移動方向と直交する方向に固着された運搬縦板22が設けられている。また、第2の種類として、外方に突出させて、かつ無端連接体の移動方向と平行に固着された2枚の掘削歯23,23が設けられている。この2枚の掘削歯23,23で掘削して掻き出し、運搬基板21と運搬縦板22で搬送するようになっている。
【0050】
図12は、第2実施形態の無端連接体10aの鉄道用バラスト掻出機への適用例を表す説明図である。なお、本例では、鉄道用バラスト掻出機の構成は前記図3〜図5に示したものと略同様であり、異なるのは、無端連接体10aの駆動装置が、前記図4の遊動輪36の代わりに排出部153の上端の折り返し位置に配設される点である。図12において、駆動装置30の図示しない油圧モータに所定の動力伝達手段を介して連結されたスプロケット31は、垂直搬送部152の上端の折り返し位置に配設されている。このスプロケット31の歯35は、無端連接体10aの第2のリンク2aの一側連結部62の外周面に係合して、駆動力を伝達するようになっている。スプロケット31で無端連接体10aを引っ張り上げ、垂直搬送部152を経由して水平掻出搬送部151の無端連接体10aの掻出部20に駆動力を伝達して掘削する。なお、垂直搬送部152と水平掻出搬送部151の間に位置するバラスト掻出機のフレームケースには所定曲率半径の屈曲ケース部が設けられており、無端連接体10aはこの屈曲ケース部の内周面を摺動しつつ移動するようになっている。また、水平掻出搬送部151の無端連接体10aの折り返し位置には前記第1遊動輪33と同様の遊動輪が配設されている。
【0051】
無端連接体10aが上記スプロケット31の周りを周回するとき、及び上記水平掻出搬送部151の遊動輪の周りを周回するときには、図12に示すように、各リンク1a,2aは第1ピン57を中心に揺動する。また、無端連接体10aが、上記垂直搬送部152と水平掻出搬送部151の間に位置する、所定曲率半径の屈曲ケース部内を摺動するときには、各リンク1a,2aは第2ピン58を中心に揺動する。
【0052】
第2実施形態の構成による効果は次の通りである。
第1のリンク1aの両端部に、互いに略直交する方向の第1ピン孔56a,56bと第2ピン孔55a,55bを形成し、第2のリンク2aの両端部に、互いに略直交する方向の第1ピン孔64と第2ピン孔63とを形成している。そして、これらのピン孔のうち、同一方向のピン孔どうしをそれぞれ第1ピン57、第2ピン58で揺動自在に連結している。このため、従来のような他の連接部材が無いことから、同一方向のピン孔間のピッチが短くなるので、本無端連接体10aの最小曲率半径を小さくできる。これにより、スプロケット31や遊動輪等の半径を小さくして、駆動装置30及び遊動輪部をコンパクトに、低コストで構成することができる。
【0053】
第1ピン57と第2のリンク2aの第1ピン孔64との間にブッシュ59を挿入したので、第1ピン57と第2のリンク2aの第1ピン孔64との間での摺動磨耗を低減できる。さらに、第2ピン58と第2のリンク2aの第2ピン孔63との間にブッシュ66を挿入したので、第2ピン58と第2のリンク2aの第2ピン孔63との間での摺動磨耗を低減できる。従って、第1ピン57と第2のリンク2aの第1ピン孔64、及び第2ピン58と第2のリンク2aの第2ピン孔63の耐久性をそれぞれ向上できる。
【0054】
なお、上記実施形態では、無端連接体をバラスト掻出機の掘削・搬送装置に適用した例を挙げたが、本発明の適用機械はこれに限定されない。
また、バラスト掻出機を構成する軌陸両用の車体として、下部走行体に旋回自在に搭載した上部旋回体を用いた例で説明したが、旋回自在である必要は無い。
【0055】
以上説明したように、本発明により次の効果が得られる。
両端部に異なる方向のピン孔を有する2つのリンクの同一方向の孔どうしをピン連結して、無端連接体を構成したので、同一方向の孔間のピッチが短くなり、同孔を中心としたリンク揺動の平面内における無端連接体の曲率半径を小さくできる。これにより、無端連接体の駆動装置のスプロケットや遊動輪等の半径を小さく、コンパクトに構成できるので、この無端連接体の適用機械の小形化および低コスト化が図れる。
【0056】
また、リンクの孔と連結ピンとの摺動部にブッシュを挿入したので、リンクの孔と連結ピンの摺動部の耐磨耗性を向上して、無端連接体の耐久性を向上できると共に、両者の寿命を同程度にしてメンテナンス性を向上できる。また、駆動スプロケットの歯と噛合するピンの外周面部に回転ブッシュを挿入することにより、スプロケットと噛合する該ブッシュが回転して滑りが発生しないため、摺動磨耗を減少させることができるので、無端連接体の耐久性を格段に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る掻出用無端連接体の平面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】鉄道用バラスト掻出機の側面図である。
【図4】同正面図である。
【図5】図4のS矢視図である。
【図6】鉄道用バラスト掻出機の水平掻出搬送部の正面図である。
【図7】同底面図である。
【図8】駆動装置のスプロケット部の詳細図である。
【図9】第2実施形態に係る無端連接体の平面図である。
【図10】図9のX矢視図である。
【図11】図9のY矢視図である。
【図12】第2実施形態の無端連接体の駆動スプロケット部の説明図である。
【図13】従来技術の第1例を表すチェーン装置の一部断面図である。
【図14】従来技術の第2例を表すチェーンリンクの側面断面図である。
【図15】従来技術の第3例を表すチェーン体の側面図である。
【図16】同チェーン体に用いる連結体の側面図である。
【符号の説明】
1,2,1a,2a…リンク、3a,3b…対向部、4…連結部、5a,5b…第2ピン孔、6…第1ピン孔、7,8…ピン(連結部材)、10,10a…無端連接体、11a,11b…対向部、12,15…連結部、12a,12b…対向部、13a,13b…第2ピン孔、14a,14b…第1ピン孔、16…ブッシュ、17…回転ブッシュ、20…掻出部、21…運搬基板、22…運搬縦板、23…掘削歯、24…ラップ板、25…切欠部、30…駆動装置、31…スプロケット、32,33,36,37…遊動輪、35…歯、41…軌道、42…バラスト、43…枕木、51…基部、52a,52b…対向部、53a,53b…対向部、54…溝部、55a,55b…第2ピン孔、56a,56b…第1ピン孔、57,58…ピン(連結部材)、59…ブッシュ、61…他側連結部、62…一側連結部、63…第2ピン孔、64…第1ピン孔、65…中央部、66…ブッシュ、100…鉄道用バラスト掻出機、101…下部走行体、103…クローラ式走行装置、105…鉄輪、110…上部旋回体、111…旋回フレーム、112…運転室、113…エンジンルーム、115…第1アーム、116…先端アーム、118…ブラケット、119…ガイドローラ、120…掘削・搬送装置、121…平行リンク、122…油圧シリンダ、123…第2アーム、125…旋回装置、126…油圧シリンダ、127…伸縮装置、129…ピン、130…リンク機構、131…支持フレーム、132…ガイドフレーム、133…油圧モータ、141…排出シュータ、143,148…ベルトコンベヤ、151…水平掻出搬送部、152…垂直搬送部、153…排出部。
Claims (5)
- 2方向屈曲連接体において、
両端部に互いに異なる方向の孔(5a,5b,6)を有する第1リンク(1)と、両端部に互いに異なる方向の孔(13a,13b,14a,14b)を有する第2リンク(2)と、前記第1リンク(1)及び第2リンク(2)の同一方向の孔(6,14a,14b)(5a,5b,13a,13b)どうしを連結する連接部材(7,8)とを備えた
ことを特徴とする2方向屈曲連接体。 - 請求項1記載の2方向屈曲連接体において、
前記第1リンク(1)の両孔(5a,5b,6)の少なくともいずれか一方、及び/又は、前記第2リンク(2)の両孔(13a,13b,14a,14b)の少なくともいずれか一方には、前記連接部材(7,8)との間にブッシュ(16)を挿入した
ことを特徴とする2方向屈曲連接体。 - 請求項2記載の2方向屈曲連接体において、
前記ブッシュ(17)が回転自在に装着されたことを特徴とする2方向屈曲連接体。 - 請求項1,2又は3記載の2方向屈曲連接体のリンク(1)に、掘削・掻出機能を有する掻出部(20)を装着した
ことを特徴とする掻出用2方向屈曲連接体。 - 鉄道用バラスト掻出機において、
陸路を走行可能な走行体(101)を備えた車体(111)と、
前記車体の前後部にそれぞれ昇降自在に設けた、鉄道軌道上を走行可能な左右1対の鉄輪(105)と、
鉄道軌道(41)の道床のバラスト(42)を掘削、搬送する掘削・搬送装置(120)と、基端部が前記車体(111)に上下方向揺動自在に取り付けられた第1アーム(115)と、
先端部に前記掘削・搬送装置(120)が旋回可能に装着され、基端部が第1アーム(115)に昇降自在に取り付けられた第2アーム(123)と、
第1アーム(115)の先端下部に昇降自在に設けられ、軌道(41)上を転動して前記掘削・搬送装置(120)の高さ位置を設定する左右1対のガイドローラ(119)を有する高さ位置決め装置と、
前記掘削・搬送装置(120)で搬送されたバラスト(42)を受けて外部に排出する排出装置(141,143)と
を備え、
前記掘削・搬送装置(120)は、請求項4に記載の掻出用2方向屈曲連接体(10)を有する
ことを特徴とする鉄道用バラスト掻出機。
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JP2003014617A Pending JP2004225813A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | 2方向屈曲連接体、掻出用2方向屈曲連接体、及びこれを用いた鉄道用バラスト掻出機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004225813A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010070741A1 (ja) * | 2008-12-17 | 2010-06-24 | 株式会社水谷組 | 無端チェーン及びこれを備えるバラスト除去装置 |
CN109554970A (zh) * | 2019-01-18 | 2019-04-02 | 孙艳东 | 扒板装置 |
CN110725167A (zh) * | 2019-11-19 | 2020-01-24 | 常州市瑞泰工程机械有限公司 | 挖掘链单元、挖掘链和边坡清筛车 |
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2003
- 2003-01-23 JP JP2003014617A patent/JP2004225813A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010070741A1 (ja) * | 2008-12-17 | 2010-06-24 | 株式会社水谷組 | 無端チェーン及びこれを備えるバラスト除去装置 |
JP5238040B2 (ja) * | 2008-12-17 | 2013-07-17 | マルマテクニカ株式会社 | 無端チェーン及びこれを備えるバラスト除去装置 |
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CN109554970B (zh) * | 2019-01-18 | 2024-05-07 | 唐山昆铁科技有限公司 | 扒板装置 |
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