JP2004225806A - ナットの弛み止め構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ねじ棒(10)の雄ねじ(11)にはその周方向の一部に小径部(12)を形成し、ナットには段部(22)を形成する。段部とねじ棒の雄ねじとの間及び小径部とナットの雌ねじとの間には流動性材料を注入して硬化させ、ねじ棒の小径部に嵌まり合う係止部(31)及び大径の弛み止めブロック部(32)を一体に形成し、係止部によって弛み止めブロック部をねじ棒の雄ねじに対して廻り止めし、弛み止めブロック部によってナットの雌ねじの弛み方向の回転を阻止する。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はナットの弛み止め構造に関し、特に雄ねじに螺合させたナットが簡単に弛まないようにした構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、床面の基礎上に構造物を固定する場合、床面の基礎にアンカーボルトを埋め込んでコンクリートで固定し、構造物の挿通穴にアンカーボルトを挿通し、ボルトの雄ねじにナットの雌ねじを螺合させ、締めつけて締結する方式が一般的である。
【0003】
ところで、この種の締結方式では振動、熱膨張、経時変化等の原因によって締結が緩むおそれがあることから、種々な弛み止め方法が提案されている。例えば、曲げ座金やロックワイヤを用いる方法、ナット及びボルトに割りピンを貫通させる方法、二重ナットを用いる方法(特許文献1、参照)、セルフロックねじを有するボルトを用いる方法(例えば、特許文献2、参照)、ナットに係止爪を設け、ボルトねじ部側に係止爪の係合しうる受け部を形成し、ナットの締め付け方向の回転のみ許容する方法(例えば、特許文献3、参照)、等が知られている。
【0004】
しかし、これらの弛み止め方法ではナットが過大な力で故意に廻されると、締結を簡単に外すことができてしまう。
【0005】
他方、ボルトの雄ねじ又はナットの雌ねじに楔溝を形成し、ナットを螺合させた後、楔溝に楔を打込み、雌ねじ又は雄ねじのねじ山を潰し、過大な力を加えてもナットを弛められないようにした方法が提案されている(例えば、特許文献4
特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、等参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平06ー26512号公報
【特許文献2】特開平07ー42724号公報
【特許文献3】特開平06ー249222号公報
【特許文献4】特開昭50−145761号公報
【特許文献5】実公昭35−28620号公報
【特許文献6】実公昭37−10620号公報
【特許文献7】実公昭46−1710号公報
【特許文献8】実公昭55−158313号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ねじ山を潰しながら楔を楔溝内に打ち込むのには大きな力を必要とし、現場作業が非常に煩雑であるという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑み、簡単な作業によりナットを確実に弛み止めでき、現場作業に適したナットの弛み止め構造を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明に係るナットの弛み止め構造は、ねじ棒の雄ねじに螺合されたナットを弛み止めするようにした弛み止め構造であって、上記ねじ棒の雄ねじの少なくともナットが螺合される部位にはその周方向の一部に上記ナットの雌ねじの内径よりも小さい外径を有する小径部が形成される一方、上記ナットの雌ねじの弛み方向側には少なくとも雌ねじの内径よりも大きな内径を有する段部が少なくとも上記ねじ棒の小径部と連続し得る周方向の範囲にわたって形成され、上記ナットの段部とねじ棒の雄ねじとの間及び上記ねじ棒の小径部とナットの雌ねじとの間には硬化時に所定の硬さを有する流動性材料が注入されて硬化されることにより、上記ねじ棒の小径部に嵌まり合う係止部及び上記ナットの雌ねじのねじ山よりも大径の弛み止めブロック部が一体に形成されており、上記弛み止めブロック部は上記係止部によってねじ棒の雄ねじに対して廻り止めされるとともに、上記ナットの雌ねじの弛み方向の回転を阻止するようになしたことを特徴とする。
【0010】
本発明の特徴の1つはナットに段部を、ねじ棒に小径部を形成し、ナットとねじ棒との間の空間に流動性材料を注入して硬化させ、ねじ棒の小径部に嵌まり合う係止部と、ナットの雌ねじのねじ山よりも大径の弛み止めブロック部とを一体に形成するようにした点にある。
【0011】
これにより、流動性材料の硬化した係止部はナットの雌ねじによって径方向外方への動きを規制され、しかも係止部の内面側が小径部に嵌まり合う形状となっているので、ねじ棒の雄ねじに対して廻り止めされ、係止部と一体に形成された弛み止めブロック部も廻り止めされる。この弛み止めブロック部には雄ねじが形成されていないので、ナットは締め付け方向には回転することができるが、弛み方向には弛み止めブロックに当たって回転を阻止される。
【0012】
その結果、ナットを故意に弛めようとしても、弛み止めブロック部が壊れない限り、弛み止めブロック部がナットの弛み方向の回転の障害物となるので、ナットは全く回転できず、確実に廻り止めされる。
【0013】
また、流動性材料を注入して硬化させることにより係止部及び弛み止めブロック部を形成するようにしているので、従来のように雄ねじ又は雌ねじのねじ山を潰しながら楔を打ち込む方式に比して大きな力を必要とせさず、作業が簡単であり、構造物の設置現場等の現場での作業に最適である。
【0014】
ねじ棒の小径部はナットの雌ねじの内径よりも小さい外径を有していれば、係止部をねじ棒に対して廻り止めをすることができるので、その形状は特に限定されず、例えば円筒側面の一部の形状としてもよく、又凹状としてもよい。
【0015】
また、ねじ棒の小径部は少なくとも1つのねじ山に形成されていれば、係止部をねじ棒に対して廻り止めできるので、ねじ棒の軸線方向の長さは特に限定されないが、係止部を確実に廻り止めする上で、小径部はねじ棒の軸線方向の少なくとも2つのねじ山にわたる長さに形成されているのがよい。
み止め構造。
【0016】
さらに、ねじ棒の小径部は少なくとも1つ設けられていれば係止部をねじ棒に対して廻り止めできるが、係止部を確実に廻り止めする上で、少なくとも周方向の相互に対向する部位に2つ設けられているのがよい。例えば、ねじ棒には断面楕円形状をなすねじ節鉄筋を用いることができる。
【0017】
ナットの段部は弛み止めブロック部によってナットの弛みを阻止する上で、ナットの雌ねじの弛み方向側に設けられていればよく、例えばナットの雌ねじを除去して形成してもよく、又雌ねじの終端よりも外側に別途形成してもよい。
【0018】
また、ナットの段部は少なくとも雌ねじの内径よりも大きな内径を有していれば弛み止めブロック部によってナットの弛みを阻止できるが、確実に弛み止めブロック部によってナットの弛みを阻止する上で、ナットの雌ねじの谷の内径よりも大きな内径に形成するのがよい。
【0019】
さらに、ナットの段部はナット軸線方向の高さは特に限定されないが、十分な強度を確保する上で、ナットの軸線方向の少なくとも2つのねじ山にわたる高さに形成されているのが好ましい。
【0020】
また、ナットの段部は少なくともねじ棒の小径部と連続し得る周方向の範囲にわたって形成されていれば、係止部と弛み止めブロックとが一体化されるが、係止部と弛み止めブロックとの高い連結強度を確保する上で、段部はナットの全周にわたって形成されているのが好ましい。
【0021】
流動性材料は流動後に硬化し、所定の硬さ、具体的にはナットの雌ねじの弛み方向の荷重に耐える硬さを有する材料であれば特に限定されない。例えば、棒鋼の接続に用いられるグラウト材を用いることができる。グラウト材にはセメントを主成分とする無機質グラウト材、エポキシ樹脂等の有機質グラウト材があるが、いずれを用いてもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図5は本発明に係るナットの弛み止め構造の好ましい実施形態を示す。図において、ねじ棒10には断面楕円形状をなすねじ節鉄筋が用いられている。
【0023】
このねじ棒10の断面の対向する部位には雄ねじ11が刻設される一方、雄ねじ11の形成された部位と直交する部位はねじ山が形成されていない、即ちナット20のねじ山よりも内径の大きな平坦な形状の小径部12となっており、該小径部12はねじ棒10の長手方向の全長にわたって形成されている。
【0024】
他方、ナット20の内面にねじ棒10の雄ねじ11と螺合する雌ねじ21が刻設され、ナット20の弛み方向側にはナット20の谷の径よりも大きな内径でかつナット軸線方向に少なくとも2つのねじ山を越える高さの段部22が全周にわたって形成されている。
【0025】
ねじ棒10の雄ねじ1とナット20の雌ねじ21とは相互に螺合され、その間にはセメントを主成分とする無機質グラウト材(流動性材料)30が注入されて硬化されている。この硬化したグラウト材30によって,ねじ棒10の小径部12と嵌まり合う係止部31と、係止部31と一体に形成された大径の弛み止めブロック部32とが構成されている。
【0026】
弛み止めブロック部32の下方の係止部31はねじ棒10の小径部12と嵌まり合うとともに、ナット20の雌ねじ21と螺合する外形状に形成されている。なお、雌雄のねじ11、21の間の隙間にもグラウト材30が薄く流入するので、実際には図5に示されるように、ねじ棒10の表面にグラウト材30が薄く付着した状態となる。
【0027】
本例の弛み止め構造では、係止部31はナット20の雌ねじ21によって径方向外方への動きを阻止されるとともに、ねじ棒10の小径部11に嵌まり合い、ねじ棒10に対して周方向の動きを阻止されて廻り止めされており、この係止部31には弛み止めブロック部32が一体的に連結されている。
【0028】
今、ナット20を締め付け方向に回転させると、係止部31がナット20の雌ねじ21と螺合する形状をなしているので、ナット20を締め付ける方向に廻すことはできる。しかし、通常はナット20の締め付け方向側には被締結部材(図示せず)が存在し、ナット20と競った状態となっているので、ナット20は締め付け方向側に回転させることはできない。
【0029】
他方、ナット20を弛める方向に回転させようとすると、ナット20の雌ねじ21はねじ棒10に保持された弛み止めブロック部32と当たるが、弛み止めブロック部32には雄ねじが形成されておらず、単なる硬質のブロックであるので、ナット20は弛み止めブロック部32が壊れない限り、弛み方向側に回転することはできない。
【0030】
その結果、ナット20が一旦ねじ棒10に螺合すると、弛み方向側への回転ができず、確実に弛み止めされることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る弛み止め構造の好ましい実施形態を示す斜視図である。
【図2】上記実施形態においてナットの断面形状及びねじ棒平面形状を湿す図である。
【図3】上記実施形態においてねじ棒及びナットを組立てる方法を示す斜視図である。
【図4】上記実施形態の構造を示す斜視図である。
【図5】上記実施形態の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
10 ねじ棒
11 雄ねじ
12 小径部
20 ナット
21 雌ねじ
22 段部
30 グラウト材(流動性材料)
31 係止部
32 弛み止めブロック部
Claims (7)
- ねじ棒の雄ねじに螺合されたナットを弛み止めするようにした弛み止め構造であって、
上記ねじ棒の雄ねじの少なくともナットが螺合される部位にはその周方向の一部に上記ナットの雌ねじの内径よりも小さい外径を有する小径部が形成される一方、
上記ナットの雌ねじの弛み方向側には少なくとも雌ねじの内径よりも大きな内径を有する段部が少なくとも上記ねじ棒の小径部と連続し得る周方向の範囲にわたって形成され、
上記ナットの段部とねじ棒の雄ねじとの間及び上記ねじ棒の小径部とナットの雌ねじとの間には硬化時に所定の硬さを有する流動性材料が注入されて硬化されることにより、上記ねじ棒の小径部に嵌まり合う係止部及び上記ナットの雌ねじのねじ山よりも大径の弛み止めブロック部が一体に形成されており、
上記弛み止めブロック部は上記係止部によってねじ棒の雄ねじに対して廻り止めされるとともに、上記ナットの雌ねじの弛み方向の回転を阻止するようになしたことを特徴とするナットの弛み止め構造。 - 上記小径部はねじ棒の軸線方向の少なくとも2つのねじ山にわたる長さに形成されている請求項1記載のナットの弛み止め構造。
- 上記小径部は少なくとも周方向の相互に対向する部位に2つ設けられている請求項1又は2記載のナットの弛み止め構造。
- 上記段部はナットの軸線方向の少なくとも2つのねじ山にわたる高さに形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載のナットの弛み止め構造。
- 上記段部はナットの全周にわたって形成されている請求項1、2又は4に記載のナットの弛み止め構造。
- 上記流動性材はグラウト材である請求項1ないし5のいずれかに記載のナットの弛み止め構造。
- 上記ねじ棒は断面楕円形状をなすねじ節鉄筋である請求項1ないし6のいずれかに記載の記載のナットの廻り止め構造。
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JP2003014329A JP2004225806A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | ナットの弛み止め構造 |
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JP4663813B2 (ja) * | 2008-02-20 | 2011-04-06 | 裕 道脇 | 両ねじ体及び雌ねじ体 |
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2003
- 2003-01-23 JP JP2003014329A patent/JP2004225806A/ja active Pending
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KR101128597B1 (ko) * | 2008-02-20 | 2012-03-27 | 히로시 미치와키 | 양나사체 및 암나사체 |
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