JP2004225718A - 面間調整用治具および面間調整用治具を用いた弁の面間調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一対のフランジの面間が伸縮可能な面間調整機能を有する弁に対して、面間寸法調整作業が容易に行え、フランジの平行度が容易に確保でき、フランジの心出しが可能な面間調整用治具を提供する。
【解決手段】面間調整用治具30は、軸心方向に伸縮自在な間隔保持部材31と、間隔保持部材31の伸縮を固定するロックナット44と、固定フランジ5のボルト孔4に嵌込み可能な一方のワッシャ32aと、可動フランジ10のボルト孔4に嵌込み可能な他方のワッシャ32bと、一方のワッシャ32aに挿通されて間隔保持部材31の一端部に螺合可能な一方のボルト33aと、他方のワッシャ32bに挿通されて間隔保持部材31の他端部に螺合可能な他方のボルト33bとで構成され、各ワッシャ32a,32bに心出用のテーパー面が形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】面間調整用治具30は、軸心方向に伸縮自在な間隔保持部材31と、間隔保持部材31の伸縮を固定するロックナット44と、固定フランジ5のボルト孔4に嵌込み可能な一方のワッシャ32aと、可動フランジ10のボルト孔4に嵌込み可能な他方のワッシャ32bと、一方のワッシャ32aに挿通されて間隔保持部材31の一端部に螺合可能な一方のボルト33aと、他方のワッシャ32bに挿通されて間隔保持部材31の他端部に螺合可能な他方のボルト33bとで構成され、各ワッシャ32a,32bに心出用のテーパー面が形成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対のフランジの面間が伸縮可能な面間調整機能を有する弁に用いられる面間調整用治具および面間調整用治具を用いた弁の面間調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、面間調整機能を有する弁としては、例えば図11に示すように、オリフィス式の弁体61を内蔵した筒状の弁箱62の一端部に、この弁箱62の軸心方向Aへ移動自在な筒状のソケット63が外嵌され、このソケット63の一端部に接続用の可動フランジ64が固着され、上記弁箱62の他端部に接続用の固定フランジ65が設けられているものがある。上記弁箱62とソケット63との間はシールリング66によってシールされている。また、上記ソケット63は、面間寸法調整手段67によって、上記軸心方向Aへ移動し且つ位置決めされる。尚、上記面間寸法調整手段67は、弁箱62側に固着された面間寸法調整用第1フランジ68と、ソケット63に固着された面間寸法調整用第2フランジ69と、これら第1および第2フランジ68,69に貫通した複数のボルト70と,各ボルト70に螺合された複数のナット71とで構成されている(例えば、特許文献1。)。
【0003】
これによると、面間寸法調整手段67の各ナット71を回転操作することによって、ソケット63と共に可動フランジ64が上記軸心方向Aへ移動し、両フランジ64,65間の面間寸法Bが調整される。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−5325号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来形式では、面間寸法Bを調整する場合、面間寸法調整手段67の各ナット71をそれぞれ同程度に回転操作した後、面間寸法Bを測定するといった作業を繰り返して行い、最終的に所定の面間寸法Bに調整しなければならないため、面間寸法調整作業に手間がかかるといった問題があった。
【0006】
また、面間寸法調整手段67の各ナット71の回転量が不均一になり、これによって、固定フランジ65に対して可動フランジ64が平行にならずに傾斜してしまい、フランジの平行度を確保することが難しいといった問題があった。
【0007】
さらに、面間寸法調整手段67の各ボルト70は第1および第2フランジ68,69に形成されたボルト孔に対して径方向にガタツキを有するため、可動フランジ64の軸心が固定フランジ65の軸心に対して径方向に位置ずれするといった問題があった。
【0008】
本発明は、面間寸法調整作業が容易に行え、また、フランジの平行度を容易に確保でき、さらに、フランジの心出しが可能な面間調整用治具および面間調整用治具を用いた弁の面間調整方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本第1発明は、一対のフランジの面間が伸縮可能な面間調整機能を有する弁に用いられる面間調整用治具であって、軸心方向に伸縮自在な間隔保持部材と、この間隔保持部材の伸縮を固定する固定部材と、上記一方のフランジのボルト孔に挿通され且つ上記間隔保持部材の一端部に螺合可能な一方のボルトと、上記他方のフランジのボルト孔に挿通され且つ上記間隔保持部材の他端部に螺合可能な他方のボルトとで構成され、上記一方および他方のボルトはそれぞれ、先端部から基端部にかけて漸次拡径する心出用のテーパー面を介して、ボルト孔に挿通されているものである。
【0010】
これによると、間隔保持部材の長さを所定の面間寸法から両フランジの厚さを除いた寸法に設定して固定部材で固定し、間隔保持部材を両フランジ間に配置し、間隔保持部材の一端が一方のフランジの裏側に当接するとともに他端が他方のフランジの裏側に当接するように両フランジ間の間隔を調整する。この状態で、心出用のテーパー面を介して一方のボルトを一方のフランジのボルト孔に挿通して間隔保持部材の一端部に螺合させるとともに、心出用のテーパー面を介して他方のボルトを他方のフランジのボルト孔に挿通して間隔保持部材の他端部に螺合させる。
【0011】
これにより、両フランジ間に間隔保持部材がセットされ、このようにして複数の間隔保持部材を両フランジ間にセットすることによって、両フランジ間を所定の面間寸法に調整することができ、面間寸法調整作業が容易に行える。
【0012】
また、複数の間隔保持部材の長さを、全て、所定の面間寸法から両フランジの厚さを除いた寸法に設定しているため、フランジの平行度を容易に確保することができる。
【0013】
さらに、一方のボルトは心出用のテーパー面を介して一方のフランジのボルト孔に挿通されているため、一方のボルトの径方向のガタツキがほとんど無くなる。同様に、他方のボルトは心出用のテーパー面を介して他方のフランジのボルト孔に挿通されているため、他方のボルトの径方向のガタツキがほとんど無くなる。これにより、一方のフランジのボルト孔のセンターと他方のフランジのボルト孔のセンターとが一致し、一方のフランジの軸心と他方のフランジの軸心との径方向への位置ずれがほとんど無くなり、フランジの心出しが可能となる。
【0014】
本第2発明は、上記第1発明に記載した面間調整用治具を用いた弁の面間調整方法であって、間隔保持部材の長さを所定の面間寸法から両フランジの厚さを除いた寸法に設定し、上記間隔保持部材を両フランジ間に配置し、間隔保持部材の一端が一方のフランジの裏側に当接するとともに他端が他方のフランジの裏側に当接するように両フランジ間の間隔を調整し、この状態で、心出用のテーパー面を介して一方のボルトを一方のフランジのボルト孔に挿通して上記間隔保持部材の一端部に螺合させるとともに、心出用のテーパー面を介して他方のボルトを他方のフランジのボルト孔に挿通して上記間隔保持部材の他端部に螺合させるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における第1の実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。
図1〜図4に示すように、1は面間調整機能を有するバタフライ弁であり、このバタフライ弁1の構造を以下に説明する。
【0016】
すなわち、バタフライ弁1の弁箱2内には、弁棒6の回転によって開閉自在な弁体3が設けられている。上記弁箱2の一端外周部には、複数のボルト孔4を有する接続用の固定フランジ5(一方のフランジの一例)が設けられている。また、弁箱2の他端には受口7が形成され、この受口7には、弁箱2の流路軸心8の方向Aへ移動自在な円筒状の挿口9の一端部が挿入されている。この挿口9の他端外周部には、複数のボルト孔4を有する接続用の可動フランジ10(他方のフランジの一例)が設けられている。また、受口7の内周面に形成された環状溝12には、受口7の内周面と挿口9の外周面との間をシールするゴム輪13が嵌合装着されている。
【0017】
また、上記弁箱2の他端外周部の複数箇所(例えば4箇所)には、一方の固定用フランジ板15が周方向に所定角度毎(例えば90°毎)に振り分けられて立設されている。また、図3に示すように、上記可動フランジ10の外周縁の複数箇所(例えば4箇所)には、上記一方の固定用フランジ板15に対向する他方の固定用フランジ板16が周方向に所定角度毎(例えば90°毎)に振り分けられて立設されている。
【0018】
上記一方の各固定用フランジ板15にはそれぞれボルト孔18aが形成され、他方の各固定用フランジ板16にはそれぞれねじ孔18bが形成されている。上記ボルト孔18aには固定用ボルト17の一端部が挿通され、固定用ボルト17の他端部が上記ねじ孔18bに螺合されている。これら各固定用ボルト17にはそれぞれ、一方の固定用フランジ板15の表裏両面側に配置された一対の固定ナット19と、他方の固定用フランジ板16の裏面側のみに配置された調節ナット20とが螺合している。尚、上記一対の固定ナット19と一方の固定用フランジ板15との間にはワッシャ21が介装され、上記固定ナット19とワッシャ21との相当接する面が球面22に形成されている。
【0019】
これによると、固定用ボルト17と固定ナット19と調節ナット20とワッシャ21とを取り外した状態で、挿口9を流路軸心8の方向Aへ移動させることにより、固定フランジ5と可動フランジ10との面間寸法Bを調整することができる。その後、図4に示すように、各固定用ボルト17の一端部を一方の固定用フランジ板15のボルト孔18aに挿通するとともに他端部を他方の固定用フランジ板16のねじ孔18bに螺合し、ワッシャ21を取付け、固定ナット19と調節ナット20とを固定用ボルト17に螺合して、他方の固定用フランジ板16を一方の固定用フランジ板15に連結する。これにより、可動フランジ10が弁箱2側に固定され、上記両フランジ5,10の面間寸法Bが確定される。
【0020】
次に、両フランジ5,10の面間を調整する面間調整用治具30の構成を以下に説明する。
すなわち、上記面間調整用治具30は、間隔保持部材31と、一対の心出用ワッシャ32a,32bと、一対のボルト33a,33bとで構成されている。
【0021】
上記間隔保持部材31は、棒状の軸体35と、細長い円筒状のフレーム体36とで構成されている。上記軸体35の外周面には雄ねじが形成されている。また、上記軸体35の片端には、ねじ孔37を有する一方の端部部材38が設けられている。さらに、上記フレーム体36の片端には、フレーム体36の内外に貫通したねじ孔39を有する接続部材40が設けられ、フレーム体36のもう片端には、ねじ孔41を有する他方の端部部材42が設けられている。図1に示すように、上記軸体35を接続部材40のねじ孔39に螺合することによって、軸体35がフレーム体36に接続され、軸体35(又はフレーム体36)を回転することにより、軸体35のフレーム体36へのねじ込み量が増減するため、間隔保持部材31が軸心方向へ伸縮し、これにより、図7に示すように、間隔保持部材31の長さL(すなわち上記一方の端部部材38から他方の端部部材42までの長さ)を変えることができる。尚、上記軸体35には、軸体35の回転を固定する(すなわち間隔保持部材31の伸縮を固定する)ロックナット44(固定部材の一例)が螺合されている。
【0022】
図6に示すように、上記心出用ワッシャ32a,32bはそれぞれ円筒状の本体46の基端部に鍔47を有するものである。上記本体46の外周面は、先端部から基端部にかけて漸次拡径する心出用のテーパー面48を備えた円錐状に形成されている。一方の心出用ワッシャ32aの本体46は固定フランジ5のボルト孔4に嵌め込み可能であり、他方の心出用ワッシャ32bの本体46は可動フランジ10のボルト孔4に嵌め込み可能である。尚、上記心出用ワッシャ32a,32bの本体46の最大外径Dは、上記ボルト孔4の内径とほぼ同一、或いは上記ボルト孔4の内径よりもわずかに大きく設定されている。
【0023】
図8に示すように、上記一方のボルト33aは一方の心出用ワッシャ32aに挿通されて間隔保持部材31の一方の端部部材38のねじ孔37に螺合可能であり、また、上記他方のボルト33bは他方の心出用ワッシャ32bに挿通されて間隔保持部材31の他方の端部部材42のねじ孔41に螺合可能である。
【0024】
次に、上記面間調整用治具30を用いて、バタフライ弁1の面間を調整する方法を以下に説明する。
図7(a)の実線に示すように、軸体35(又はフレーム体36)を回転して間隔保持部材31の長さLを所定の面間寸法Bから両フランジ5,10の厚さTを除いた寸法に設定する。そして、軸体35に螺合したロックナット44を回して軸心方向へ移動させ接続部材40の端面に当て付けることによって、上記軸体35の回転を固定する。これにより、間隔保持部材31の伸縮が固定される。
【0025】
その後、上記間隔保持部材31を固定フランジ5と可動フランジ10との間に配置し、図7(a)の仮想線に示すように、間隔保持部材31の一端(すなわち一方の端部部材38)が固定フランジ5の裏側に当接するとともに他端(すなわち他方の端部部材42)が可動フランジ10の裏側に当接するように可動フランジ10を流路軸心8の方向Aへ移動させて、上記両フランジ5,10間の間隔を調整する。
【0026】
そして、図7(b)に示すように、固定フランジ5のボルト孔4に表側から一方の心出用ワッシャ32aを嵌め込むとともに、可動フランジ10のボルト孔4に表側から他方の心出用ワッシャ32bを嵌め込み、一方のボルト33aを一方の心出用ワッシャ32aに挿通して間隔保持部材31の一端部のねじ孔37に螺合させるとともに、他方のボルト33bを他方の心出用ワッシャ32bに挿通して間隔保持部材31の他端部のねじ孔41に螺合させる。
【0027】
これにより、図8に示すように、両フランジ5,10間に間隔保持部材31がセットされ、上記のような一連の手順で複数の間隔保持部材31を所定角度おきに振り分けて両フランジ5,10間にセットする(図2,図3参照)ことによって、両フランジ5,10間を所定の面間寸法Bに調整することができ、面間寸法調整作業が容易に行える。
【0028】
また、上記複数の間隔保持部材31の長さを、全て、所定の面間寸法Bから両フランジ5,10の厚さTを除いた寸法に設定しているため、固定フランジ5に対する可動フランジ10の平行度を容易に確保することができる。
【0029】
さらに、図8に示すように、一方のボルト33aは一方の心出用ワッシャ32aを介して固定フランジ5のボルト孔4に挿通されているため、一方のボルト33aの外周面と上記ボルト孔4の内周面との隙間が一方の心出用ワッシャ32aによって埋められ、一方の心出用ワッシャ32aのテーパー面48によって一方のボルト33aの径方向のガタツキがほとんど無くなる。同様に、他方のボルト33bは他方の心出用ワッシャ32bを介して可動フランジ10のボルト孔4に挿通されているため、他方のボルト33bの外周面と上記ボルト孔4の内周面との隙間が他方の心出用ワッシャ32bによって埋められ、他方の心出用ワッシャ32bのテーパー面48によって他方のボルト33bの径方向のガタツキがほとんど無くなる。これにより、可動フランジ10のボルト孔4のセンターが固定フランジ5のボルト孔4のセンターに一致し、固定フランジ5の軸心に対する可動フランジ10の軸心の径方向への位置ずれがほとんど無くなり、固定フランジ5に対して可動フランジ10の心出しが可能となる。
【0030】
その後、図4に示すように、各固定用ボルト17の一端部を一方の固定用フランジ板15のボルト孔18aに挿通するとともに他端部を他方の固定用フランジ板16のねじ孔18bに螺合し、ワッシャ21を取付け、固定ナット19と調節ナット20とを固定用ボルト17に螺合して、他方の固定用フランジ板16を一方の固定用フランジ板15に連結する。これにより、可動フランジ10が弁箱2側に固定され、上記両フランジ5,10の面間寸法Bが確定され、不用意に変動することはない。
【0031】
その後、一方のボルト33aを間隔保持部材31の一端部のねじ孔37から取り外して固定フランジ5から離脱させ、一方の心出用ワッシャ32aを固定フランジ5のボルト孔4から脱抜するとともに、他方のボルト33bを間隔保持部材31の他端部のねじ孔41から取り外して可動フランジ10から離脱させ、他方の心出用ワッシャ32bを可動フランジ10のボルト孔4から脱抜し、全ての間隔保持部材31を両フランジ5,10間から取り外した状態で、バタフライ弁1を出荷する。
【0032】
上記第1の実施の形態では、ボルト33a,33bと心出用ワッシャ32a,32bとを別体とし、心出用のテーパー面48を各心出用ワッシャ32a,32bに形成したが、第2の実施の形態として、図9,図10に示すように、各ボルト33a,33bに心出用のテーパー面48を一体に形成し、心出用ワッシャ32a,32bを不要にしてもよい。
【0033】
すなわち、すなわち、上記ボルト33a,33bはそれぞれ、ねじ孔37,41に螺合自在なねじ部51と、六角形の頭部52と、これらねじ部51と頭部52との間に形成された円錐台部53とで構成されている。上記心出用のテーパー面48は、円錐台部53の外周面に形成されており、ねじ部51側(先端部)から頭部52側(基端部)にかけて漸次拡径している。尚、円錐台部53の先端部最小径はボルト孔4の内径よりも小さく、円錐台部53の基端部最大径はボルト孔4の内径よりも大きく形成されている。
【0034】
これによると、面間調整用治具30を用いて、バタフライ弁1の面間を調整する場合、図7(a)の実線に示すように、間隔保持部材31の長さLを所定の面間寸法Bから両フランジ5,10の厚さTを除いた寸法に設定してロックナット44で固定する。
【0035】
そして、上記間隔保持部材31を固定フランジ5と可動フランジ10との間に配置し、図7(a)の仮想線に示すように、間隔保持部材31の一端(すなわち一方の端部部材38)が固定フランジ5の裏側に当接するとともに他端(すなわち他方の端部部材42)が可動フランジ10の裏側に当接するように可動フランジ10を流路軸心8の方向Aへ移動させて、上記両フランジ5,10間の間隔を調整する。
【0036】
次に、図10に示すように、一方のボルト33aを固定フランジ5のボルト孔4に表側から挿通して、一方のボルト33aのねじ部51を間隔保持部材31の一端部のねじ孔37に螺合させるとともに、他方のボルト33bを可動フランジ10のボルト孔4に表側から挿通して、他方のボルト33bのねじ部51を間隔保持部材31の他端部のねじ孔41に螺合させる。
【0037】
これにより、両フランジ5,10間に間隔保持部材31がセットされ、上記のような一連の手順で複数の間隔保持部材31を所定角度おきに振り分けて両フランジ5,10間にセットする(図2,図3参照)ことによって、両フランジ5,10間を所定の面間寸法Bに調整することができ、面間寸法調整作業が容易に行える。
【0038】
また、上記複数の間隔保持部材31の長さを、全て、所定の面間寸法Bから両フランジ5,10の厚さTを除いた寸法に設定しているため、固定フランジ5に対する可動フランジ10の平行度を容易に確保することができる。
【0039】
さらに、図10に示すように、一方のボルト33aは心出用のテーパー面48により案内されて固定フランジ5のボルト孔4に挿通されているため、一方のボルト33aの径方向のガタツキがほとんど無くなる。同様に、他方のボルト33bは心出用のテーパー面48により案内されて可動フランジ10のボルト孔4に挿通されているため、他方のボルト33bの径方向のガタツキがほとんど無くなる。これにより、可動フランジ10のボルト孔4のセンターが固定フランジ5のボルト孔4のセンターに一致し、固定フランジ5の軸心に対する可動フランジ10の軸心の径方向への位置ずれがほとんど無くなり、固定フランジ5に対して可動フランジ10の心出しが可能となる。
【0040】
その後、図4に示すように、各固定用ボルト17とワッシャ21と固定ナット19と調節ナット20とを取付けて、可動フランジ10を弁箱2側に固定する。そして、一方のボルト33aを間隔保持部材31の一端部のねじ孔37から取り外して固定フランジ5から離脱させるとともに、他方のボルト33bを間隔保持部材31の他端部のねじ孔41から取り外して可動フランジ10から離脱させ、全ての間隔保持部材31を両フランジ5,10間から取り外した状態で、バタフライ弁1を出荷する。
【0041】
上記各実施の形態では、弁の一例としてバタフライ弁1を挙げたが、バタフライ弁以外の形式のものであってもよい。
上記各実施の形態では、図1に示すように、バタフライ弁1の一方のフランジを固定フランジ5とし、他方のフランジを可動フランジ10としているが、一方のフランジを可動フランジ10とし、他方のフランジを固定フランジ5としてもよい。
【0042】
上記各実施の形態では、面間調整時、間隔保持部材31の一端(すなわち一方の端部部材38)を固定フランジ5の裏側に当接させるとともに他端(すなわち他方の端部部材42)を可動フランジ10の裏側に当接させているが、間隔保持部材31の一端を可動フランジ10の裏側に当接させるとともに他端を固定フランジ5の裏側に当接させてもよい。
【0043】
上記各実施の形態では、図2,図3に示すように、面間調整用治具30を90°おきに4セット取り付けているが、4セット以外の複数セット取り付けてもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、一対のフランジの面間寸法の調整作業を容易に行うことができ、また、上記フランジの平行度を容易に確保することができ、さらに、フランジの心出しが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における面間調整用治具を取付けたバタフライ弁の断面図である。
【図2】同、バタフライ弁の側面図である。
【図3】同、バタフライ弁の正面図である。
【図4】同、バタフライ弁の可動フランジを弁箱側へ固定する固定機構を示す断面図である。
【図5】同、面間調整用治具の分解図である。
【図6】同、面間調整用治具の心出用ワッシャの断面図である。
【図7】同、面間調整用治具を用いた面間調整方法の手順を示す図であり、(a)は両フランジ間に間隔保持部材を挿入した状態を示し、(b)は両フランジの裏側を間隔保持部材の両端に当接させた状態を示す。
【図8】同、面間調整用治具の両端と両フランジとの連結部分の拡大断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における面間調整用治具のボルトの図である。
【図10】同、面間調整用治具の両端と両フランジとの連結部分の拡大断面図である。
【図11】従来の面間調整機能を有する弁の断面図である。
【符号の説明】
1 バタフライ弁
4 ボルト孔
5 固定フランジ(一方のフランジ)
10 可動フランジ(他方のフランジ)
30 面間調整用治具
31 間隔保持部材
32a,32b 心出用ワッシャ
33a,33b ボルト
44 ロックナット(固定部材)
48 テーパー面
B 面間寸法
L 間隔保持部材の長さ
T フランジの厚さ
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対のフランジの面間が伸縮可能な面間調整機能を有する弁に用いられる面間調整用治具および面間調整用治具を用いた弁の面間調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、面間調整機能を有する弁としては、例えば図11に示すように、オリフィス式の弁体61を内蔵した筒状の弁箱62の一端部に、この弁箱62の軸心方向Aへ移動自在な筒状のソケット63が外嵌され、このソケット63の一端部に接続用の可動フランジ64が固着され、上記弁箱62の他端部に接続用の固定フランジ65が設けられているものがある。上記弁箱62とソケット63との間はシールリング66によってシールされている。また、上記ソケット63は、面間寸法調整手段67によって、上記軸心方向Aへ移動し且つ位置決めされる。尚、上記面間寸法調整手段67は、弁箱62側に固着された面間寸法調整用第1フランジ68と、ソケット63に固着された面間寸法調整用第2フランジ69と、これら第1および第2フランジ68,69に貫通した複数のボルト70と,各ボルト70に螺合された複数のナット71とで構成されている(例えば、特許文献1。)。
【0003】
これによると、面間寸法調整手段67の各ナット71を回転操作することによって、ソケット63と共に可動フランジ64が上記軸心方向Aへ移動し、両フランジ64,65間の面間寸法Bが調整される。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−5325号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来形式では、面間寸法Bを調整する場合、面間寸法調整手段67の各ナット71をそれぞれ同程度に回転操作した後、面間寸法Bを測定するといった作業を繰り返して行い、最終的に所定の面間寸法Bに調整しなければならないため、面間寸法調整作業に手間がかかるといった問題があった。
【0006】
また、面間寸法調整手段67の各ナット71の回転量が不均一になり、これによって、固定フランジ65に対して可動フランジ64が平行にならずに傾斜してしまい、フランジの平行度を確保することが難しいといった問題があった。
【0007】
さらに、面間寸法調整手段67の各ボルト70は第1および第2フランジ68,69に形成されたボルト孔に対して径方向にガタツキを有するため、可動フランジ64の軸心が固定フランジ65の軸心に対して径方向に位置ずれするといった問題があった。
【0008】
本発明は、面間寸法調整作業が容易に行え、また、フランジの平行度を容易に確保でき、さらに、フランジの心出しが可能な面間調整用治具および面間調整用治具を用いた弁の面間調整方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本第1発明は、一対のフランジの面間が伸縮可能な面間調整機能を有する弁に用いられる面間調整用治具であって、軸心方向に伸縮自在な間隔保持部材と、この間隔保持部材の伸縮を固定する固定部材と、上記一方のフランジのボルト孔に挿通され且つ上記間隔保持部材の一端部に螺合可能な一方のボルトと、上記他方のフランジのボルト孔に挿通され且つ上記間隔保持部材の他端部に螺合可能な他方のボルトとで構成され、上記一方および他方のボルトはそれぞれ、先端部から基端部にかけて漸次拡径する心出用のテーパー面を介して、ボルト孔に挿通されているものである。
【0010】
これによると、間隔保持部材の長さを所定の面間寸法から両フランジの厚さを除いた寸法に設定して固定部材で固定し、間隔保持部材を両フランジ間に配置し、間隔保持部材の一端が一方のフランジの裏側に当接するとともに他端が他方のフランジの裏側に当接するように両フランジ間の間隔を調整する。この状態で、心出用のテーパー面を介して一方のボルトを一方のフランジのボルト孔に挿通して間隔保持部材の一端部に螺合させるとともに、心出用のテーパー面を介して他方のボルトを他方のフランジのボルト孔に挿通して間隔保持部材の他端部に螺合させる。
【0011】
これにより、両フランジ間に間隔保持部材がセットされ、このようにして複数の間隔保持部材を両フランジ間にセットすることによって、両フランジ間を所定の面間寸法に調整することができ、面間寸法調整作業が容易に行える。
【0012】
また、複数の間隔保持部材の長さを、全て、所定の面間寸法から両フランジの厚さを除いた寸法に設定しているため、フランジの平行度を容易に確保することができる。
【0013】
さらに、一方のボルトは心出用のテーパー面を介して一方のフランジのボルト孔に挿通されているため、一方のボルトの径方向のガタツキがほとんど無くなる。同様に、他方のボルトは心出用のテーパー面を介して他方のフランジのボルト孔に挿通されているため、他方のボルトの径方向のガタツキがほとんど無くなる。これにより、一方のフランジのボルト孔のセンターと他方のフランジのボルト孔のセンターとが一致し、一方のフランジの軸心と他方のフランジの軸心との径方向への位置ずれがほとんど無くなり、フランジの心出しが可能となる。
【0014】
本第2発明は、上記第1発明に記載した面間調整用治具を用いた弁の面間調整方法であって、間隔保持部材の長さを所定の面間寸法から両フランジの厚さを除いた寸法に設定し、上記間隔保持部材を両フランジ間に配置し、間隔保持部材の一端が一方のフランジの裏側に当接するとともに他端が他方のフランジの裏側に当接するように両フランジ間の間隔を調整し、この状態で、心出用のテーパー面を介して一方のボルトを一方のフランジのボルト孔に挿通して上記間隔保持部材の一端部に螺合させるとともに、心出用のテーパー面を介して他方のボルトを他方のフランジのボルト孔に挿通して上記間隔保持部材の他端部に螺合させるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における第1の実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。
図1〜図4に示すように、1は面間調整機能を有するバタフライ弁であり、このバタフライ弁1の構造を以下に説明する。
【0016】
すなわち、バタフライ弁1の弁箱2内には、弁棒6の回転によって開閉自在な弁体3が設けられている。上記弁箱2の一端外周部には、複数のボルト孔4を有する接続用の固定フランジ5(一方のフランジの一例)が設けられている。また、弁箱2の他端には受口7が形成され、この受口7には、弁箱2の流路軸心8の方向Aへ移動自在な円筒状の挿口9の一端部が挿入されている。この挿口9の他端外周部には、複数のボルト孔4を有する接続用の可動フランジ10(他方のフランジの一例)が設けられている。また、受口7の内周面に形成された環状溝12には、受口7の内周面と挿口9の外周面との間をシールするゴム輪13が嵌合装着されている。
【0017】
また、上記弁箱2の他端外周部の複数箇所(例えば4箇所)には、一方の固定用フランジ板15が周方向に所定角度毎(例えば90°毎)に振り分けられて立設されている。また、図3に示すように、上記可動フランジ10の外周縁の複数箇所(例えば4箇所)には、上記一方の固定用フランジ板15に対向する他方の固定用フランジ板16が周方向に所定角度毎(例えば90°毎)に振り分けられて立設されている。
【0018】
上記一方の各固定用フランジ板15にはそれぞれボルト孔18aが形成され、他方の各固定用フランジ板16にはそれぞれねじ孔18bが形成されている。上記ボルト孔18aには固定用ボルト17の一端部が挿通され、固定用ボルト17の他端部が上記ねじ孔18bに螺合されている。これら各固定用ボルト17にはそれぞれ、一方の固定用フランジ板15の表裏両面側に配置された一対の固定ナット19と、他方の固定用フランジ板16の裏面側のみに配置された調節ナット20とが螺合している。尚、上記一対の固定ナット19と一方の固定用フランジ板15との間にはワッシャ21が介装され、上記固定ナット19とワッシャ21との相当接する面が球面22に形成されている。
【0019】
これによると、固定用ボルト17と固定ナット19と調節ナット20とワッシャ21とを取り外した状態で、挿口9を流路軸心8の方向Aへ移動させることにより、固定フランジ5と可動フランジ10との面間寸法Bを調整することができる。その後、図4に示すように、各固定用ボルト17の一端部を一方の固定用フランジ板15のボルト孔18aに挿通するとともに他端部を他方の固定用フランジ板16のねじ孔18bに螺合し、ワッシャ21を取付け、固定ナット19と調節ナット20とを固定用ボルト17に螺合して、他方の固定用フランジ板16を一方の固定用フランジ板15に連結する。これにより、可動フランジ10が弁箱2側に固定され、上記両フランジ5,10の面間寸法Bが確定される。
【0020】
次に、両フランジ5,10の面間を調整する面間調整用治具30の構成を以下に説明する。
すなわち、上記面間調整用治具30は、間隔保持部材31と、一対の心出用ワッシャ32a,32bと、一対のボルト33a,33bとで構成されている。
【0021】
上記間隔保持部材31は、棒状の軸体35と、細長い円筒状のフレーム体36とで構成されている。上記軸体35の外周面には雄ねじが形成されている。また、上記軸体35の片端には、ねじ孔37を有する一方の端部部材38が設けられている。さらに、上記フレーム体36の片端には、フレーム体36の内外に貫通したねじ孔39を有する接続部材40が設けられ、フレーム体36のもう片端には、ねじ孔41を有する他方の端部部材42が設けられている。図1に示すように、上記軸体35を接続部材40のねじ孔39に螺合することによって、軸体35がフレーム体36に接続され、軸体35(又はフレーム体36)を回転することにより、軸体35のフレーム体36へのねじ込み量が増減するため、間隔保持部材31が軸心方向へ伸縮し、これにより、図7に示すように、間隔保持部材31の長さL(すなわち上記一方の端部部材38から他方の端部部材42までの長さ)を変えることができる。尚、上記軸体35には、軸体35の回転を固定する(すなわち間隔保持部材31の伸縮を固定する)ロックナット44(固定部材の一例)が螺合されている。
【0022】
図6に示すように、上記心出用ワッシャ32a,32bはそれぞれ円筒状の本体46の基端部に鍔47を有するものである。上記本体46の外周面は、先端部から基端部にかけて漸次拡径する心出用のテーパー面48を備えた円錐状に形成されている。一方の心出用ワッシャ32aの本体46は固定フランジ5のボルト孔4に嵌め込み可能であり、他方の心出用ワッシャ32bの本体46は可動フランジ10のボルト孔4に嵌め込み可能である。尚、上記心出用ワッシャ32a,32bの本体46の最大外径Dは、上記ボルト孔4の内径とほぼ同一、或いは上記ボルト孔4の内径よりもわずかに大きく設定されている。
【0023】
図8に示すように、上記一方のボルト33aは一方の心出用ワッシャ32aに挿通されて間隔保持部材31の一方の端部部材38のねじ孔37に螺合可能であり、また、上記他方のボルト33bは他方の心出用ワッシャ32bに挿通されて間隔保持部材31の他方の端部部材42のねじ孔41に螺合可能である。
【0024】
次に、上記面間調整用治具30を用いて、バタフライ弁1の面間を調整する方法を以下に説明する。
図7(a)の実線に示すように、軸体35(又はフレーム体36)を回転して間隔保持部材31の長さLを所定の面間寸法Bから両フランジ5,10の厚さTを除いた寸法に設定する。そして、軸体35に螺合したロックナット44を回して軸心方向へ移動させ接続部材40の端面に当て付けることによって、上記軸体35の回転を固定する。これにより、間隔保持部材31の伸縮が固定される。
【0025】
その後、上記間隔保持部材31を固定フランジ5と可動フランジ10との間に配置し、図7(a)の仮想線に示すように、間隔保持部材31の一端(すなわち一方の端部部材38)が固定フランジ5の裏側に当接するとともに他端(すなわち他方の端部部材42)が可動フランジ10の裏側に当接するように可動フランジ10を流路軸心8の方向Aへ移動させて、上記両フランジ5,10間の間隔を調整する。
【0026】
そして、図7(b)に示すように、固定フランジ5のボルト孔4に表側から一方の心出用ワッシャ32aを嵌め込むとともに、可動フランジ10のボルト孔4に表側から他方の心出用ワッシャ32bを嵌め込み、一方のボルト33aを一方の心出用ワッシャ32aに挿通して間隔保持部材31の一端部のねじ孔37に螺合させるとともに、他方のボルト33bを他方の心出用ワッシャ32bに挿通して間隔保持部材31の他端部のねじ孔41に螺合させる。
【0027】
これにより、図8に示すように、両フランジ5,10間に間隔保持部材31がセットされ、上記のような一連の手順で複数の間隔保持部材31を所定角度おきに振り分けて両フランジ5,10間にセットする(図2,図3参照)ことによって、両フランジ5,10間を所定の面間寸法Bに調整することができ、面間寸法調整作業が容易に行える。
【0028】
また、上記複数の間隔保持部材31の長さを、全て、所定の面間寸法Bから両フランジ5,10の厚さTを除いた寸法に設定しているため、固定フランジ5に対する可動フランジ10の平行度を容易に確保することができる。
【0029】
さらに、図8に示すように、一方のボルト33aは一方の心出用ワッシャ32aを介して固定フランジ5のボルト孔4に挿通されているため、一方のボルト33aの外周面と上記ボルト孔4の内周面との隙間が一方の心出用ワッシャ32aによって埋められ、一方の心出用ワッシャ32aのテーパー面48によって一方のボルト33aの径方向のガタツキがほとんど無くなる。同様に、他方のボルト33bは他方の心出用ワッシャ32bを介して可動フランジ10のボルト孔4に挿通されているため、他方のボルト33bの外周面と上記ボルト孔4の内周面との隙間が他方の心出用ワッシャ32bによって埋められ、他方の心出用ワッシャ32bのテーパー面48によって他方のボルト33bの径方向のガタツキがほとんど無くなる。これにより、可動フランジ10のボルト孔4のセンターが固定フランジ5のボルト孔4のセンターに一致し、固定フランジ5の軸心に対する可動フランジ10の軸心の径方向への位置ずれがほとんど無くなり、固定フランジ5に対して可動フランジ10の心出しが可能となる。
【0030】
その後、図4に示すように、各固定用ボルト17の一端部を一方の固定用フランジ板15のボルト孔18aに挿通するとともに他端部を他方の固定用フランジ板16のねじ孔18bに螺合し、ワッシャ21を取付け、固定ナット19と調節ナット20とを固定用ボルト17に螺合して、他方の固定用フランジ板16を一方の固定用フランジ板15に連結する。これにより、可動フランジ10が弁箱2側に固定され、上記両フランジ5,10の面間寸法Bが確定され、不用意に変動することはない。
【0031】
その後、一方のボルト33aを間隔保持部材31の一端部のねじ孔37から取り外して固定フランジ5から離脱させ、一方の心出用ワッシャ32aを固定フランジ5のボルト孔4から脱抜するとともに、他方のボルト33bを間隔保持部材31の他端部のねじ孔41から取り外して可動フランジ10から離脱させ、他方の心出用ワッシャ32bを可動フランジ10のボルト孔4から脱抜し、全ての間隔保持部材31を両フランジ5,10間から取り外した状態で、バタフライ弁1を出荷する。
【0032】
上記第1の実施の形態では、ボルト33a,33bと心出用ワッシャ32a,32bとを別体とし、心出用のテーパー面48を各心出用ワッシャ32a,32bに形成したが、第2の実施の形態として、図9,図10に示すように、各ボルト33a,33bに心出用のテーパー面48を一体に形成し、心出用ワッシャ32a,32bを不要にしてもよい。
【0033】
すなわち、すなわち、上記ボルト33a,33bはそれぞれ、ねじ孔37,41に螺合自在なねじ部51と、六角形の頭部52と、これらねじ部51と頭部52との間に形成された円錐台部53とで構成されている。上記心出用のテーパー面48は、円錐台部53の外周面に形成されており、ねじ部51側(先端部)から頭部52側(基端部)にかけて漸次拡径している。尚、円錐台部53の先端部最小径はボルト孔4の内径よりも小さく、円錐台部53の基端部最大径はボルト孔4の内径よりも大きく形成されている。
【0034】
これによると、面間調整用治具30を用いて、バタフライ弁1の面間を調整する場合、図7(a)の実線に示すように、間隔保持部材31の長さLを所定の面間寸法Bから両フランジ5,10の厚さTを除いた寸法に設定してロックナット44で固定する。
【0035】
そして、上記間隔保持部材31を固定フランジ5と可動フランジ10との間に配置し、図7(a)の仮想線に示すように、間隔保持部材31の一端(すなわち一方の端部部材38)が固定フランジ5の裏側に当接するとともに他端(すなわち他方の端部部材42)が可動フランジ10の裏側に当接するように可動フランジ10を流路軸心8の方向Aへ移動させて、上記両フランジ5,10間の間隔を調整する。
【0036】
次に、図10に示すように、一方のボルト33aを固定フランジ5のボルト孔4に表側から挿通して、一方のボルト33aのねじ部51を間隔保持部材31の一端部のねじ孔37に螺合させるとともに、他方のボルト33bを可動フランジ10のボルト孔4に表側から挿通して、他方のボルト33bのねじ部51を間隔保持部材31の他端部のねじ孔41に螺合させる。
【0037】
これにより、両フランジ5,10間に間隔保持部材31がセットされ、上記のような一連の手順で複数の間隔保持部材31を所定角度おきに振り分けて両フランジ5,10間にセットする(図2,図3参照)ことによって、両フランジ5,10間を所定の面間寸法Bに調整することができ、面間寸法調整作業が容易に行える。
【0038】
また、上記複数の間隔保持部材31の長さを、全て、所定の面間寸法Bから両フランジ5,10の厚さTを除いた寸法に設定しているため、固定フランジ5に対する可動フランジ10の平行度を容易に確保することができる。
【0039】
さらに、図10に示すように、一方のボルト33aは心出用のテーパー面48により案内されて固定フランジ5のボルト孔4に挿通されているため、一方のボルト33aの径方向のガタツキがほとんど無くなる。同様に、他方のボルト33bは心出用のテーパー面48により案内されて可動フランジ10のボルト孔4に挿通されているため、他方のボルト33bの径方向のガタツキがほとんど無くなる。これにより、可動フランジ10のボルト孔4のセンターが固定フランジ5のボルト孔4のセンターに一致し、固定フランジ5の軸心に対する可動フランジ10の軸心の径方向への位置ずれがほとんど無くなり、固定フランジ5に対して可動フランジ10の心出しが可能となる。
【0040】
その後、図4に示すように、各固定用ボルト17とワッシャ21と固定ナット19と調節ナット20とを取付けて、可動フランジ10を弁箱2側に固定する。そして、一方のボルト33aを間隔保持部材31の一端部のねじ孔37から取り外して固定フランジ5から離脱させるとともに、他方のボルト33bを間隔保持部材31の他端部のねじ孔41から取り外して可動フランジ10から離脱させ、全ての間隔保持部材31を両フランジ5,10間から取り外した状態で、バタフライ弁1を出荷する。
【0041】
上記各実施の形態では、弁の一例としてバタフライ弁1を挙げたが、バタフライ弁以外の形式のものであってもよい。
上記各実施の形態では、図1に示すように、バタフライ弁1の一方のフランジを固定フランジ5とし、他方のフランジを可動フランジ10としているが、一方のフランジを可動フランジ10とし、他方のフランジを固定フランジ5としてもよい。
【0042】
上記各実施の形態では、面間調整時、間隔保持部材31の一端(すなわち一方の端部部材38)を固定フランジ5の裏側に当接させるとともに他端(すなわち他方の端部部材42)を可動フランジ10の裏側に当接させているが、間隔保持部材31の一端を可動フランジ10の裏側に当接させるとともに他端を固定フランジ5の裏側に当接させてもよい。
【0043】
上記各実施の形態では、図2,図3に示すように、面間調整用治具30を90°おきに4セット取り付けているが、4セット以外の複数セット取り付けてもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、一対のフランジの面間寸法の調整作業を容易に行うことができ、また、上記フランジの平行度を容易に確保することができ、さらに、フランジの心出しが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における面間調整用治具を取付けたバタフライ弁の断面図である。
【図2】同、バタフライ弁の側面図である。
【図3】同、バタフライ弁の正面図である。
【図4】同、バタフライ弁の可動フランジを弁箱側へ固定する固定機構を示す断面図である。
【図5】同、面間調整用治具の分解図である。
【図6】同、面間調整用治具の心出用ワッシャの断面図である。
【図7】同、面間調整用治具を用いた面間調整方法の手順を示す図であり、(a)は両フランジ間に間隔保持部材を挿入した状態を示し、(b)は両フランジの裏側を間隔保持部材の両端に当接させた状態を示す。
【図8】同、面間調整用治具の両端と両フランジとの連結部分の拡大断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における面間調整用治具のボルトの図である。
【図10】同、面間調整用治具の両端と両フランジとの連結部分の拡大断面図である。
【図11】従来の面間調整機能を有する弁の断面図である。
【符号の説明】
1 バタフライ弁
4 ボルト孔
5 固定フランジ(一方のフランジ)
10 可動フランジ(他方のフランジ)
30 面間調整用治具
31 間隔保持部材
32a,32b 心出用ワッシャ
33a,33b ボルト
44 ロックナット(固定部材)
48 テーパー面
B 面間寸法
L 間隔保持部材の長さ
T フランジの厚さ
Claims (2)
- 一対のフランジの面間が伸縮可能な面間調整機能を有する弁に用いられる面間調整用治具であって、軸心方向に伸縮自在な間隔保持部材と、この間隔保持部材の伸縮を固定する固定部材と、上記一方のフランジのボルト孔に挿通され且つ上記間隔保持部材の一端部に螺合可能な一方のボルトと、上記他方のフランジのボルト孔に挿通され且つ上記間隔保持部材の他端部に螺合可能な他方のボルトとで構成され、上記一方および他方のボルトはそれぞれ、先端部から基端部にかけて漸次拡径する心出用のテーパー面を介して、ボルト孔に挿通されていることを特徴とする面間調整用治具。
- 請求項1に記載した面間調整用治具を用いた弁の面間調整方法であって、間隔保持部材の長さを所定の面間寸法から両フランジの厚さを除いた寸法に設定し、上記間隔保持部材を両フランジ間に配置し、間隔保持部材の一端が一方のフランジの裏側に当接するとともに他端が他方のフランジの裏側に当接するように両フランジ間の間隔を調整し、この状態で、心出用のテーパー面を介して一方のボルトを一方のフランジのボルト孔に挿通して上記間隔保持部材の一端部に螺合させるとともに、心出用のテーパー面を介して他方のボルトを他方のフランジのボルト孔に挿通して上記間隔保持部材の他端部に螺合させることを特徴とする面間調整用治具を用いた弁の面間調整方法。
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