JP2004225630A - 蓄圧式燃料噴射システム - Google Patents

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Abstract

【課題】通常の運転中にサプライポンプの異常判定を実行させて、異常現象の兆候を積極的に早期に検出する。
【解決手段】エンジンの運転中にコモンレール室の目標圧力が下がる異常検出モードになると、サプライポンプに搭載される第1、第2プランジャポンプを圧送停止と圧送を交互に行わせるとともに、圧送量を少量に抑える。そして、燃料を圧送しないタイミング▲1▼〜▲3▼で読み取られたコモンレール圧から圧送時▲4▼の第1無圧送推定圧αを推定し、圧送時▲4▼における実圧α’とを比較する。そして、第1無圧送推定圧αより実圧α’の方が所定値以上高いと正常、所定値に満たないと異常と判定する。続いて、燃料を圧送しないタイミング▲5▼で読み取られたコモンレール圧から圧送時▲6▼の第2無圧送推定圧βを推定し、圧送時▲6▼における実圧β’とを比較する。そして、第2無圧送推定圧βより実圧β’の方が所定値以上高いと正常、所定値に満たないと異常と判定する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄圧室に高圧燃料を圧送する高圧燃料圧送ポンプを搭載した蓄圧式燃料噴射システムに関するものであり、高圧燃料圧送ポンプのタイプや、燃料圧の調量方法を問わない発明である。
【0002】
【従来の技術】
蓄圧式燃料噴射システムは、高圧燃料圧送ポンプ(以下、サプライポンプと称す)から蓄圧室(以下、コモンレールと称す)に高圧燃料を供給し、コモンレール内に蓄圧された高圧燃料をインジェクタから噴射する構成となっている。
サプライポンプに故障が発生してポンプ吐出量が不足するとインジェクタの噴射量不足、噴射圧(以下、コモンレール圧と称す)が低下し、内燃機関運転状態が悪化する。
【0003】
サプライポンプに搭載される吸入調量弁(サクション・コントロール・バルブ:以下SCVと称す)の断線の有無を検出することによってSCVの「電気的故障」を判定できる。
また、コモンレール圧は、コモンレール圧センサによってモニターされているため、コモンレール圧の低下を検出できる。このため、SCVの「電気的故障」以外におけるコモンレール圧の低下時には、「燃料漏れ診断」を行うことができる。
つまり、従来ではSCVの「電気的故障」と「燃料漏れ診断」の2種の診断・判定を行うことができる(特許文献なし)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
SCVに異物が作用することでSCVが固着異常を発生して、吸入不良による高圧燃料の圧送不良が発生する可能性がある。
この異常現象が発生して整備する場合、整備手段としては異常箇所を捕らえるために、異常現象が継続していることが要求される。しかし、単発的、偶発的に異常現象が発生するような異常現象が継続しない場合では、整備する際に異常現象が再現できず異常箇所の確認ができない。
このため、このように単発的、偶発的に異常現象が発生するような場合は、蓄圧式燃料噴射システムのどこに異常箇所があるのかの調査に多大な工数が必要となるため、調査・対策費用がかさんでしまう。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、通常の運転中にサプライポンプの異常判定を実行させて、異常現象の兆候を積極的に早期に検出する蓄圧式燃料噴射システムの提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の手段〕
請求項1の手段を採用する蓄圧式燃料噴射システムの異常検出手段は、インジェクタが燃料噴射せずに、蓄圧室の目標圧が低下して、燃料圧が降下する期間内に燃料圧送を実行して、燃料圧検出手段によって検出される燃料圧に、燃料圧送を実行した時の特徴が現れるか否かで高圧燃料圧送ポンプに圧送異常があるか否かを判定するものである。
即ち、コモンレール圧センサによって検出されるコモンレール圧(実圧)に圧送実行時の特徴が現れればサプライポンプに圧送異常がないと判定し、コモンレール圧センサによって検出されるコモンレール圧に圧送実行時の特徴が現れなければサプライポンプに圧送異常があると判定するものである。
【0007】
上記の異常判定は、通常の運転中(インジェクタが燃料噴射しない期間)に実施されるものである。
このため、通常の運転中にサプライポンプの異常判定を実行させることによって、異常現象の兆候を積極的に早期に検出できる。
また、サプライポンプに単発的、偶発的な異常現象が発生するような場合であっても、異常発生を特定することができる(例えば、記憶装置に異常データを残したり、乗員にランプ等で知らせる等)。このため、再現性が困難な異常がサプライポンプに発生した場合であっても、サプライポンプに圧送異常が発生した旨を容易に判定することができる。
【0008】
〔請求項2の手段〕
請求項2の手段を採用する蓄圧式燃料噴射システムの異常検出手段は、サプライポンプが燃料の圧送を実行しない期間内にコモンレール圧の変位を読み取って、ポンプ押切タイミングに無圧送であった場合のコモンレール圧を推定する。そして、推定される無圧送時のコモンレール圧と、実際に燃料を圧送した場合のコモンレール圧とを比較し、推定される無圧送時のコモンレール圧より、実際に燃料を圧送した場合のコモンレール圧が所定値以上高い場合に正常と判定し、所定値に満たない場合に圧送異常と判定するものである。
【0009】
このため、請求項1の発明と同様、通常の運転中にサプライポンプの異常判定を実行させて、異常現象の兆候を積極的に早期に検出できる。また、サプライポンプに単発的、偶発的な異常現象が発生するような場合であっても、サプライポンプの異常を特定することができる。このため、再現性が困難な異常がサプライポンプに発生した場合であっても、容易に異常を判定できる。
【0010】
また、請求項2の発明では、サプライポンプが複数の燃料圧送系を搭載し、各燃料圧送系の圧送タイミングがずれている場合、ポンプ押切タイミングでコモンレール圧が上昇しない箇所に異常が発生していることを検出できる。即ち、複数の燃料圧送系を搭載する場合は、圧送異常を発生している燃料圧送系を特定できる。
【0011】
〔請求項3の手段〕
請求項3の手段を採用する蓄圧式燃料噴射システムの異常検出手段は、ポンプ押切タイミングのコモンレール圧が、その直前のコモンレール圧より上昇した場合に正常と判定し、ポンプ押切タイミングのコモンレール圧が、その直前のコモンレール圧より上昇しない場合に圧送異常と判定するものである。
【0012】
このため、請求項1の発明と同様、通常の運転中にサプライポンプの異常判定を実行させて、異常現象の兆候を積極的に早期に検出できる。また、サプライポンプに単発的、偶発的な異常現象が発生するような場合であっても、サプライポンプの異常を特定することができる。このため、再現性が困難な異常がサプライポンプに発生した場合であっても、容易に異常を判定できる。
【0013】
また、請求項2の発明と同様、サプライポンプが複数の燃料圧送系を搭載し、各燃料圧送系の圧送タイミングがずれている場合、ポンプ押切タイミングでコモンレール圧が上昇しない箇所に異常が発生していることを検出できる。即ち、複数の燃料圧送系を搭載する場合は、圧送異常を発生している燃料圧送系を特定できる。
【0014】
〔請求項4の手段〕
請求項4の手段を採用する蓄圧式燃料噴射システムの異常検出手段は、コモンレール圧の降下の開始時から所定時間内に基準圧まで低下しない場合に正常と判定し、所定時間内に基準圧に低下した場合に圧送異常と判定するものである。
このため、請求項1の発明と同様、通常の運転中にサプライポンプの異常判定を実行させて、異常現象の兆候を積極的に早期に検出できる。また、サプライポンプに単発的、偶発的な異常現象が発生するような場合であっても、サプライポンプの異常を特定することができる。このため、再現性が困難な異常がサプライポンプに発生した場合であっても、容易に異常を判定できる。
【0015】
また、サプライポンプが複数の燃料圧送系を搭載する場合は、コモンレール圧の降下の開始時から基準圧に低下するまでの時間が短いほど、サプライポンプに設けられた燃料圧送系の故障数が多いことを判定できる。即ち、複数の燃料圧送系を搭載する場合は、圧送異常を発生している燃料圧送系の数を特定できる。
【0016】
〔請求項5の手段〕
請求項5の手段を採用する蓄圧式燃料噴射システムは、サプライポンプの圧送異常を判定した際に、乗員にサプライポンプに圧送異常が発生した旨の表示を行う表示手段を作動させるとともに、異常内容を記憶装置に記憶させるものである。
これによって、圧送異常が発生してコモンレール圧が低下した状態の時に、燃料漏れではなく、サプライポンプに圧送異常が生じたことを乗員が知ることができる。また、記憶装置が異常内容を記憶しているため、サプライポンプに異常が再現されない場合であっても整備時など後日に異常内容を特定できる。
【0017】
〔請求項6の手段〕
請求項6の手段を採用する蓄圧式燃料噴射システムのエンジンコントロールユニット(以下、ECUと称す)は、異常検出手段によってサプライポンプの圧送異常を判定すると、インジェクタの最大噴射量を抑制するフル噴射量ガード制御を行う。
これによって、サプライポンプに故障が発生してポンプ吐出量が不足してコモンレール圧が低下した状態の時に、インジェクタから内燃機関に噴射される最大噴射量が抑えられることとなり、スモークの発生を抑制できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、複数の実施例と変形例を用いて説明する。
[第1実施例の構成]
第1実施例を図1〜図6を参照して説明する。まず、蓄圧式燃料噴射システムの構成を図2を参照して説明する。
【0019】
蓄圧式燃料噴射システムは、例えばディーゼルエンジン(以下、エンジン)1に燃料噴射を行うシステムであり、コモンレール2、インジェクタ3、サプライポンプ4、ECU5等から構成される。
【0020】
コモンレール2は、インジェクタ3に供給する高圧燃料を蓄圧する蓄圧容器であり、燃料噴射圧に相当するコモンレール圧が蓄圧されるように燃料配管(高圧燃料流路)6を介して高圧燃料を吐出するサプライポンプ4の吐出口と接続されている。
なお、インジェクタ3からのリーク燃料は、リーク配管(燃料還流路)7を経て燃料タンク8に戻される。
また、コモンレール2から燃料タンク8へのリリーフ配管(燃料還流路)9には、プレッシャリミッタ11が取り付けられている。このプレッシャリミッタ11は圧力安全弁であり、コモンレール2内の燃料圧が限界設定圧を超えた際に開弁して、コモンレール2の燃料圧を限界設定圧以下に抑える。
【0021】
インジェクタ3は、エンジン1の各気筒毎に搭載されて燃料を各気筒内に噴射供給するものであり、コモンレール2より分岐する複数の分岐管の下流端に接続されて、コモンレール2に蓄圧された高圧燃料を各気筒に噴射供給する燃料噴射制御を行う電磁弁等を搭載する。
そして、インジェクタ3の電磁弁は、ECU5から与えられる駆動電流によって噴射タイミングおよび噴射量が制御されるものであり、電磁弁の通電(ON)により高圧燃料を気筒内に噴射供給し、電磁弁の通電停止(OFF )により燃料噴射を停止するものである。
【0022】
サプライポンプ4を図3を参照して説明する。
このサプライポンプ4は、コモンレール2へ高圧燃料を圧送する燃料圧送系を2系統搭載する複数圧送タイプの燃料ポンプであり、フィードポンプ12(図中では90°展開した状態で開示される)、レギュレータバルブ13、および第1、第2燃料圧送系を備える。
この実施例の第1、第2燃料圧送系は、それぞれに第1、第2吸入調量弁(以下、第1、第2SCV)15a、15b、第1、第2吸入弁16a、16b、第1、第2プランジャポンプ17a、17b、第1、第2吐出弁18a、18bを備える。
【0023】
フィードポンプ12は、燃料タンク8から燃料を吸引して第1、第2プランジャポンプ17a、17bへ送る低圧ポンプであり、カムシャフト19によって回転駆動されるベーンポンプによって構成される。このフィードポンプ12が駆動されると、燃料入口21から吸引されてフィルタ22を通過した燃料が第1、第2SCV15a、15bおよび第1、第2吸入弁16a、16bを介して第1、第2プランジャポンプ17a、17bに供給される。
なお、カムシャフト19はポンプ駆動軸であり、図2に示されるように、エンジン1のクランク軸23によって回転駆動されるものである。
【0024】
レギュレータバルブ13は、フィードポンプ12の吐出側と供給側とを連通する燃料流路24に配置されて、フィードポンプ12の吐出圧が所定圧に上昇すると開弁して、フィードポンプ12の吐出圧が所定圧を超えないようにするものである。
【0025】
第1、第2SCV15a、15bは、フィードポンプ12から第1、第2プランジャポンプ17a、17bへ燃料を導く第1、第2燃料通路25a、25bに配置されて、第1、第2プランジャポンプ17a、17bの第1、第2加圧室26a、26b(第1、第2プランジャ室)に吸入される燃料の吸入量を調整して、第1、第2プランジャポンプ17a、17bの圧送する燃料の吐出量を調整し、コモンレール圧を変更・調整するものである。
【0026】
この第1、第2SCV15a、15bは、フィードポンプ12から第1、第2プランジャポンプ17a、17bへ燃料を導く流路の開度を変更する第1、第2バルブ27a、27bと、ECU5から与えられる駆動電流によって第1、第2バルブ27a、27bの弁開度を調整するための第1、第2リニヤソレノイド28a、28bとを有するものであり、この実施例では第1、第2リニヤソレノイド28a、28bが通電されると弁開度が全開状態(第1、第2加圧室26a、26bへ燃料が吸引される状態)となるノーマリクローズタイプのものを採用している。第1、第2SCV15a、15bの具体的なON−OFF動作を、図4に示す。
【0027】
第1、第2プランジャポンプ17a、17bは、第1、第2SCV15a、15bから供給された燃料を高圧に圧縮して吐出する対向ストローク型の高圧ポンプであり、第1プランジャポンプ17aと第2プランジャポンプ17bとが交互に燃料の圧送を行うものである。
この第1、第2プランジャポンプ17a、17bは、カムシャフト19によって回転駆動される略円筒形状を呈した筒状カム31と、この筒状カム31の内周面に形成された拡径と縮径を連続的に繰り返すカム面に押し付けられて往復駆動される第1、第2プランジャ32a、32bとを備える。
【0028】
筒状カム31の内周面に形成されたカム面は、筒状カム31が1回転することで第1、第2プランジャ32a、32bを2往復させるものであり、クランク軸23の1回転に対してカムシャフト19が1/2回転するように設けられているため、クランク軸23が1回転すると第1、第2プランジャ32a、32bが1往復するようになっている。
また、第1、第2プランジャ32a、32bの対向中心である第1、第2加圧室26a、26bは、第1、第2SCV15a、15bから燃料の供給圧を受けるようになっており、第1、第2加圧室26a、26bへの燃料の供給圧によって第1、第2プランジャ32a、32bがカム面に押し付けられて、筒状カム31の回転に伴って往復駆動する。
【0029】
第1、第2吸入弁16a、16bは、第1、第2加圧室26a、26bで加圧された高圧燃料が第1、第2SCV15a、15bに逆流するのを防ぐ逆止弁であり、第1、第2吐出弁18a、18bは、サプライポンプ4から吐出された高圧燃料がサプライポンプ4内に逆流するのを防ぐ逆止弁である。
【0030】
サプライポンプ4の作動を図4のタイムチャートを参照して説明する。
カムシャフト19の回転を受けて筒状カム31が回転すると、筒状カム31の内周面に形成されたカム面の拡径(カムリフト下降)と縮径(カムリフト上昇)の繰り返しによって第1、第2プランジャ32a、32bが交互に往復動する。第1、第2プランジャ32a、32bのカムリフトの具体的な変化を図4に示す。
なお、図1、図4では、第1プランジャ32aのカムリフトの変化を「第1プランジャ側カムリフト」として示し、第2プランジャ32bのカムリフトの変化を「第2プランジャ側カムリフト」として示している。
【0031】
第1プランジャポンプ17aの吸入動作時(カムリフト下降時)に、ECU5によって第1SCV15aに適切な時間のパルス信号が与えられると、そのパルス信号が与えられた時間(開弁時間)に応じた燃料が第1加圧室26aに供給され、その供給圧によって2つの第1プランジャ32aが互いに径方向に離間する。
続いて、第1プランジャポンプ17aの圧送動作時(カムリフト上昇時)は、第1加圧室26aの圧力が上昇して第1吸入弁16aが閉弁する。そして、第1加圧室26aで加圧された圧力が所定圧力に達すると第1吐出弁18aが開弁して第1加圧室26aで加圧された高圧燃料がコモンレール2へ向けて供給される。その後、第1プランジャポンプ17aは、再び第1プランジャ32aの吸入動作を開始する。
【0032】
一方、第2プランジャポンプ17bは、第1プランジャポンプ17aに対して、作動位相が180度ずれたタイミングで吸入動作と圧送動作を行う。つまり、第1プランジャポンプ17aが吸入動作から圧送動作に切り替わる際に、第2プランジャポンプ17bが吸入動作を開始し、第1プランジャポンプ17aが圧送動作から吸入動作に切り替わる際に、第2プランジャポンプ17bが圧送動作を開始する。
【0033】
この第2プランジャポンプ17bの吸入動作時(カムリフト下降時)に、ECU5によって第2SCV15bに適切な時間のパルス信号が与えられると、そのパルス信号が与えられた時間(開弁時間)に応じた燃料が第2加圧室26bに供給され、その供給圧によって2つの第2プランジャ32bが互いに径方向に離間する。
続いて、第2プランジャポンプ17bの圧送動作時(カムリフト上昇時)は、第2加圧室26bの圧力が上昇して第2吸入弁16bが閉弁する。そして、第2加圧室26bで加圧された圧力が所定圧力に達すると第2吐出弁18bが開弁して第2加圧室26bで加圧された高圧燃料がコモンレール2へ向けて供給される。その後、第2プランジャポンプ17bは、再び第2プランジャ32bの吸入動作を開始する。
【0034】
ECU5は、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよびセンサ類から読み込まれたデータを保存する記憶装置(ROM、スタンバイRAMまたはEEPROM、RAM等のメモリ)、入力回路、出力回路、電源回路、インジェクタ駆動回路、SCV駆動回路およびポンプ駆動回路等の機能を含んで構成された周知構造のものである。そして、ECU5に読み込まれたセンサ類のデータ(車両の運転状態等)に基づいて各種の演算処理を行うようになっている。
【0035】
このECU5には、車両の運転状態等を検出するセンサ類として、アクセル開度を検出するアクセルセンサ41、エンジン回転数パルス(図4中のNEパルサ位相)を検出する回転数センサ42、エンジン1の冷却水温度を検出する水温センサ43、エンジン1に吸入される吸気温度を検出する吸気温度センサ44、コモンレール圧を検出するコモンレール圧センサ45、インジェクタ3からのリーク燃料温度を検出する燃料温度センサ46およびその他のセンサ類47が接続されている。
【0036】
ECU5は、CPUで求めた各インジェクタ指令値に応じて各インジェクタ3の電磁弁にON−OFF制御のための駆動パルス(図4中のTWV駆動パルスTQ)を与えるインジェクタ駆動回路(図示しない)を制御するとともに、CPUで求めたSCV指令値に応じて第1、第2SCV15a、15bに開弁制御のための駆動パルス(図1、図4中の第1、第2SCV駆動パルス)を与えるSCV駆動回路(図示しない)を制御するものである。
【0037】
また、ECU5は、CPUで求めた指令値に応じて、EGR用アクチュエータ(図示せず)、吸気スロットル(図示せず)、可変ノズルターボ(図示せず)等のアクチュエータ類に駆動電流を与えるものであるエンジン制御用アクチュエータ駆動回路(図示しない)や、警告ランプ等の表示手段(図示しない)を制御するものである。
【0038】
[第1実施例の特徴]
この実施例のECU5には、エンジン1の運転中において所定の運転状態(以下、異常検出モードと称す)となった場合に、サプライポンプ4の圧送異常を判定する異常検出手段の機能が設けられている。
ここで、異常検出モードとは、図1に示されるように、インジェクタ3が燃料噴射せずに、コモンレール2の目標圧力が下がる期間であり、各インジェクタ3等の静的な燃料リークによってコモンレール圧が降下する期間内である。このように設けることにより、コモンレール圧が降下する変位を基に圧送異常の判定を実施できる。
【0039】
異常検出手段は、エンジン1の運転中において異常検出モードが成立したか否かを判定する診断条件判定手段の他に、SCV作動制限手段と、無圧送時圧力推定手段と、比較判定手段とを備える。
【0040】
SCV作動制限手段は、異常検出モードになると、第1、第2SCV15a、15bの制御によって第1、第2プランジャポンプ17a、17bのそれぞれの作動を圧送停止と圧送とが交互に行われるようにするものであり、且つ圧送時であっても圧送量を少量に抑えるものである。
具体的には、図5に示すようにエンジン1の運転中に異常検出モードが成立した時点(図中、診断開始条件成立)で、異常検出モード中のコモンレール圧の変化を下記演算式(圧力変化の算出式)により推定し、予想される圧力降下量と同様、またはそれ以上となるポンプ圧送量(図中、ΔP)、即ち第1、第2SCV15a、15bの駆動信号(吸入角TFE)を算出するものである。
【0041】
異常検出モード中のコモンレール圧の変化は次式により求められる。
ΔP=E(ΔV/V)
E:燃料温度と実圧を考慮した燃料の弾性係数
V:高圧配管容積
ΔV:(ポンプ幾何学的吐出量−インジェクタ静リーク量)≧所定値
【0042】
上記インジェクタ静リーク量QILS(360°CA)は、次式により求められる。
QILS=(−3.1+0.119*tNPCL)*(2000/NE)*ETHF*(気筒数/2)
tNPCL :漏れ量計算に使用する圧力
ETHF :燃料温度補正係数
なお、6気筒エンジンの場合、720°CA(CA:クランクアングル)におけるインジェクタ3の1本当たりのリーク量は、120°CAにおける6本のインジェクタ3のリーク量と同じである。
圧送量の演算から圧力上昇までには、吸入から圧縮工程までの時間(角度変化)があるため、実際にはその時間を考慮してΔVを補正する必要がある。
そして、ΔVを元に吸入角TFEを算出する。
【0043】
無圧送時圧力推定手段は、サプライポンプ4が燃料の圧送を実行しない期間内にコモンレール圧の変位を読み取って、サプライポンプ4が燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミング(第1、第2プランジャポンプ17a、17bが燃料を圧送しきった直後のタイミングに相当する)に無圧送であった場合のコモンレール圧を推定する手段である。
【0044】
具体的には、回転数センサ42の発生するNEパルサ位相が第1パルス(図4参照)を発生する毎に、ECU5がコモンレール圧センサ45からコモンレール圧(実圧)を読み取る。
そして、異常検出手段は、第1、第2プランジャポンプ17a、17bが燃料を圧送しないタイミングで読み取られたコモンレール圧から、第1プランジャポンプ17aまたは第2プランジャポンプ17bが燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミングに無圧送であった場合のコモンレール圧を推定する。
【0045】
この無圧送時圧力推定手段の具体的な作動を図1を参照して説明する。
異常検出モードになると、第1、第2プランジャポンプ17a、17bが燃料を圧送しないタイミング▲1▼〜▲3▼で読み取られた各コモンレール圧(実圧)から、次に燃料の圧送を行う例えば第1プランジャポンプ17aが、燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミング▲4▼に無圧送であった場合におけるコモンレール圧(以下、第1無圧送推定圧αと称す)を推定する。この無圧送推定圧を図1中の白丸として示す。
【0046】
続いて、第1、第2プランジャポンプ17a、17bが燃料を圧送しないタイミング▲5▼で読み取られたコモンレール圧の変位から、次に燃料の圧送を行う例えば第2プランジャポンプ17bが、燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミング▲6▼に無圧送であった場合におけるコモンレール圧(以下、第2無圧送推定圧βと称す)を推定する。この無圧送推定圧も図1中の白丸として示す。
上記の演算の実行により、第1、第2無圧送推定圧α、βが求められる。
【0047】
比較判定手段は、上記で求められた第1、第2無圧送推定圧α、βと、サプライポンプ4が燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミングで実際に燃料を圧送した場合におけるコモンレール圧(実圧α’、β’)とを比較する。そして、第1無圧送推定圧αあるいは第2無圧送推定圧βより、実際にコモンレール圧センサ45によって読み取られたコモンレール圧(実圧α’、β’)の方が予め設定された所定値以上高い場合にはサプライポンプ4が正常と判定する。しかるに、所定値に満たない場合には、サプライポンプ4に圧送異常が発生していると判定する。
【0048】
この比較判定手段の具体的な動作を図1を参照して説明する。
ポンプ押切タイミング▲4▼の時の第1無圧送推定圧α(上述した無圧送時圧力推定手段で算出された値)と、ポンプ押切タイミング▲4▼で読み取られたコモンレール圧(実圧α’)とを比較し、第1無圧送推定圧αより実圧α’の方が所定値以上高い場合は、第1燃料圧送系が正常と判定する。しかるに、所定値に満たない場合は、第1燃料圧送系に圧送異常が発生していると判定する。
次に、ポンプ押切タイミング▲6▼の時の第2無圧送推定圧β(上述した無圧送時圧力推定手段で算出された値)と、ポンプ押切タイミング▲6▼で読み取られたコモンレール圧(実圧β’)とを比較し、第2無圧送推定圧βより実圧β’の方が所定値以上高い場合は、第2燃料圧送系が正常と判定する。しかるに、所定値に満たない場合は、第2燃料圧送系に圧送異常が発生していると判定する。
【0049】
次に、上述した異常検出手段の制御を図6のフローチャートを参照して説明する。
エンジン1の運転中にこの制御ルーチンに侵入すると(スタート)、異常検出モードが成立するか否かを判断する(ステップS1 :上述した診断条件判定手段の作動)。
具体的にこのステップS1 では、(1)エンジン1が減速中であり、(2)コモンレール2の目標圧力が所定圧より高く、(3)コモンレール圧センサ45によって検出されるコモンレール圧が所定圧より高く、(4)エンジン回転数が所定回転数より高く、(5)燃料温度が所定温度範囲内であり、(6)インジェクタ3が燃料を噴射しない無噴射時であり、上記(1)〜(6)が全て成立する状態が所定時間以上継続するか否かを判断することにより、診断開始の条件が成立したか否かの判断を行う。
【0050】
このステップS1 の判断結果がNO(否成立)の場合は、通常の運転ロジックで燃料噴射制御を実施し(ステップS6 )、その後本制御ルーチンを終了する(エンド)。
【0051】
ステップS1 の判断結果がYES (成立)の場合は、予想されるコモンレール圧の降下量と同等か、それ以上の燃料を圧送するように開弁時間を算出し、第1プランジャポンプ17aのカムリフトが下降する際に、その開弁時間に応じたパルス信号を第1SCV15aに与える(ステップS2 :上述したSCV作動制限手段の作動)。
【0052】
次に、第1プランジャポンプ17aが燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミング(図1中、▲4▼参照)に無圧送であった場合の第1無圧送推定圧αと、第1プランジャポンプ17aが燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミング(図1中、▲4▼参照)で実際に燃料を圧送した場合のコモンレール圧センサ45が読み取ったコモンレール圧(実圧α’)とを比較し、第1無圧送推定圧αより実圧α’の方が所定値以上高い場合は、第1燃料圧送系が正常と判定する。しかるに、所定値に満たない場合は、第1燃料圧送系に圧送異常が発生していると判定する(ステップS3 :上述した比較判定手段の作動)。
【0053】
次に、予想されるコモンレール圧の降下量と同等か、それ以上の燃料を圧送するように開弁時間を算出し、第2プランジャポンプ17bのカムリフトが下降する際に、その開弁時間に応じたパルス信号を第2SCV15bに与える(ステップS4 :上述したSCV作動制限手段の作動)。
【0054】
次に、第2プランジャポンプ17bが燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミング(図1中、▲6▼参照)に無圧送であった場合の第2無圧送推定圧βと、第2プランジャポンプ17bが燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミング(図1中、▲6▼参照)で実際に燃料を圧送した場合のコモンレール圧センサ45が読み取ったコモンレール圧(実圧β’)とを比較し、第2無圧送推定圧βより実圧β’の方が所定値以上高い場合は、第2燃料圧送系が正常と判定する。しかるに、所定値に満たない場合は、第2燃料圧送系に圧送異常が発生していると判定する(ステップS5 :上述した比較判定手段の作動)。その後は、ステップS6 の通常の運転ロジックへ進んで通常の燃料噴射制御を実施する。
【0055】
本実施例の蓄圧式燃料噴射システムでは、第1、第2SCV15a、15bに異物が作用することで第1SCV15aまたは第2SCV15bに固着異常が発生して圧送異常が発生した場合、第1、第2プランジャポンプ17a、17bに異物が作用して固着異常が発生した場合、第1燃料圧送系あるいは第2燃料圧送系の燃料通路に異物が作用して圧送異常が発生した場合等に、ECU5の異常検出手段が第1燃料圧送系あるいは第2燃料圧送系の圧送異常を検出する。この時、ECU5は警告ランプ(表示手段の一例に相当する:図示しない)を点灯させ、乗員にサプライポンプ4の燃料圧送系に異常が発生した旨の表示を行うとともに、インジェクタ3の最大噴射量を抑制するフル噴射量ガード制御(所謂、フルQガード)を行う。
このように、サプライポンプ4に搭載された第1、第2燃料圧送系の一方または両方に圧送異常がある時に、その旨を乗員が知ることができるため、コモンレール圧の低下を燃料漏れと誤判断する不具合がない。
【0056】
また、本実施例の蓄圧式燃料噴射システムでは、ECU5の異常検出手段が、第1燃料圧送系あるいは第2燃料圧送系の圧送異常を検出した際、ECU5の記憶装置に、異常が発生した内容を記憶するように設けられている。
このため、単発的、偶発的に異常現象が発生するような場合で、整備工場で整備される際に異常現象が再現されない場合であっても、記憶装置に記憶されたデータから異常内容を容易に把握できる。
【0057】
さらに、本実施例の蓄圧式燃料噴射システムでは、エンジン1の運転中において異常判定に適した運転状態になると異常判定を行うようになっている。これによって、圧送異常の兆候を積極的に早期に検出できるため、蓄圧式燃料噴射システムの信頼性を高めることができる。
【0058】
[第2実施例]
第2実施例を図7を参照して説明する。なお、以下の各実施例において、上記第1実施例と同一符号は同一機能物を示すものである。
この第2実施例は、上述した第1実施例における無圧送時圧力推定手段を廃止し、比較判定手段の演算プログラムを変更したものである。
【0059】
この第2実施例の比較判定手段は、コモンレール圧の変位を読み取り、サプライポンプ4が燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミング(図7中、▲4▼、▲6▼参照)のコモンレール圧が、その直前におけるサプライポンプ4が燃料の圧送を実行しないタイミング(図7中、▲3▼、▲5▼参照)のコモンレール圧より上昇した場合に正常と判定するものであり、逆に、サプライポンプ4が燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミングのコモンレール圧が、その直前におけるサプライポンプ4が燃料の圧送を実行しないタイミングのコモンレール圧より上昇しない場合に圧送異常と判定するものである。
【0060】
この比較判定手段の具体的な動作を図7を参照して説明する。
第1プランジャポンプ17aが燃料を圧送したポンプ押切タイミング▲4▼で読み取られたコモンレール圧(実圧)が、その直前の第1、第2プランジャポンプ17a、17bが燃料を圧送しないタイミング▲3▼で読み取られたコモンレール圧より上昇した場合は、第1プランジャポンプ17a、第1SCV15aを含む第1燃料圧送系が正常であると判定する。逆に、ポンプ押切タイミング▲4▼で読み取られたコモンレール圧(実圧)が、タイミング▲3▼で読み取られたコモンレール圧より降下した場合は、第1プランジャポンプ17a、第1SCV15aを含む第1燃料圧送系に異常がある、即ち第1燃料圧送系に圧送異常があると判定する。
【0061】
また、第2プランジャポンプ17bが燃料を圧送したポンプ押切タイミング▲6▼で読み取られたコモンレール圧(実圧)が、その直前の第1、第2プランジャポンプ17a、17bが燃料を圧送しないタイミング▲5▼で読み取られたコモンレール圧より上昇した場合は、第2プランジャポンプ17b、第2SCV15bを含む第2燃料圧送系が正常であると判定する。逆に、ポンプ押切タイミング▲6▼で読み取られたコモンレール圧(実圧)が、タイミング▲5▼で読み取られたコモンレール圧より降下した場合は、第2プランジャポンプ17b、第2SCV15bを含む第2燃料圧送系に異常がある、即ち第2燃料圧送系に圧送異常があると判定する。
【0062】
このように設けられても、第1実施例と同様の効果が得られる。また、第1実施例における無圧送時圧力推定手段を廃止できるため、ECU5の演算負荷を低減できる効果がある。
【0063】
[第3実施例]
第3実施例を図8を参照して説明する。
この第3実施例は、第1実施例における無圧送時圧力推定手段を廃止して代わりに基準圧低下時間算出手段を用いるとともに、比較判定手段の演算プログラムを変更したものである。
【0064】
基準圧低下時間算出手段は、異常検出モードが開始された時点(図中、目標圧の低下時)で、その時のエンジン回転数等に基づいて、無圧送時間T1 、片肺圧送時間T2 、両側圧送時間T3 を算出するものである。
無圧送時間T1 は、第1、第2燃料圧送系の両方が燃料を圧送しない状態を想定した場合において、コモンレール圧が基準圧まで低下する時間である。
片肺圧送時間T2 は、第1、第2燃料圧送系の片方が燃料を圧送しない状態を想定した場合において、コモンレール圧が基準圧まで低下する時間である。
両側圧送時間T3 は、第1、第2燃料圧送系の両方が燃料を圧送する状態を想定した場合において、コモンレール圧が基準圧まで低下する時間である。
【0065】
比較判定手段は、コモンレール圧センサ45で読み込んだコモンレール圧(実圧)が、異常検出モードが開始されてから無圧送時間T1 で基準圧に低下した場合は、第1、第2燃料圧送系の両方の燃料圧送系が燃料を圧送していない圧送異常であると判断する。
また、異常検出モードが開始されてから片肺圧送時間T2 で基準圧に低下した場合は、第1、第2燃料圧送系のどちらか一方の燃料圧送系が燃料を圧送していない圧送異常であると判断する。
さらに、異常検出モードが開始されてから両側圧送時間T3 で基準圧に低下した場合は、第1、第2燃料圧送系の両方が正常であると判断する。なお、片肺圧送時間T2 が経過してもコモンレール圧センサ45で検出されるコモンレール圧が基準圧に満たない場合は正常と判断しても良い。
なお、実際には、クランク角に同期してコモンレール圧を読み込むため、異常検出モードの開始から読み込まれたコモンレール圧(実圧)が基準圧以下になった時までの経過時間で判断されるものである。
【0066】
この実施例のように設けられても、第1実施例と同様の効果を得ることができる。また、コモンレール圧の降下の開始時から基準圧に低下するまでの時間の長さで異常発生している燃料圧送系の数を特定できるため、ECU5の演算負荷を低減できる効果がある。
【0067】
[変形例]
上記の実施例では、複数の燃料圧送系を搭載するサプライポンプ4の一例として、複数の燃料圧送系に応じたSCV(第1、第2SCV15a、15b)を搭載する例を示した。これに対し、複数の燃料圧送系を搭載するが、図9に示すように、1つのSCV15を搭載するものでも良い。
ここで図9に示すサプライポンプ4を簡単に説明する。なお、実施例のサプライポンプ4と同一機能物は同一符号を附して説明を省略する。
【0068】
図9のサプライポンプ4に搭載される第1、第2プランジャポンプ17a、17bは、カムシャフト19のエキセンカム51の周囲に装着されたカムリング52にスプリング53によって押し付けられるものであり、カムシャフト19が回転するとカムリング52の偏心動作に伴って第1、第2プランジャ32a、32bが往復動し、第1、第2加圧室26a、26bが燃料の吸入と圧送を交互に行うものである。また、このサプライポンプ4は、共通化したSCV15および吐出弁18を用いたものであり、フィードポンプ12としてベーンポンプを採用したものである。
【0069】
上記の実施例では2つの燃料圧送系を有するサプライポンプ4を搭載する蓄圧式燃料噴射システムに本発明を適用する例を示したが、燃料圧送系が3つ以上のサプライポンプ4を搭載する蓄圧式燃料噴射システムに本発明を適用したり、燃料圧送系が1つのサプライポンプ4を搭載する蓄圧式燃料噴射システムに本発明を適用しても良い。
【0070】
上記の実施例では、高圧燃料の蓄圧室として、独立したコモンレール2を搭載する例を示した。これに対し、蓄圧室を高圧燃料ポンプに搭載する蓄圧式燃料噴射システム、例えば分配型の燃料噴射ポンプを搭載する蓄圧式燃料噴射システムに本発明を適用しても良い。
【0071】
上記の実施例では、蓄圧室の燃料圧を調整する手段としてSCVを用いた例を示したが、例えば分配型燃料噴射ポンプの場合のように、タイマ装置など他の調量調圧手段によって蓄圧室に蓄えられる燃料圧を調整するタイプの燃料噴射ポンプを搭載する蓄圧式燃料噴射システムに本発明を適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】作動説明のためのタイムチャートである(第1実施例)。
【図2】蓄圧式燃料噴射システムの概略図である(第1実施例)。
【図3】サプライポンプの断面図である(第1実施例)。
【図4】作動説明のためのタイムチャートである(第1実施例)。
【図5】異常検出モード中における圧送量算出の説明図である(第1実施例)。
【図6】圧送異常を検出するフローチャートである(第1実施例)。
【図7】作動説明のためのタイムチャートである(第2実施例)。
【図8】作動説明のためのタイムチャートである(第3実施例)。
【図9】蓄圧式燃料噴射システムの概略図である(変形例)。
【符号の説明】
2 コモンレール(蓄圧室)
3 インジェクタ
4 サプライポンプ(高圧燃料圧送ポンプ)
5 ECU(異常検出手段が搭載されたエンジンコントロールユニット)
6 燃料配管(高圧燃料流路)
45 コモンレール圧センサ(燃料圧検出手段)

Claims (6)

  1. (a)高圧燃料を蓄える蓄圧室と、
    (b)この蓄圧室に蓄圧された高圧燃料を噴射するインジェクタと、
    (c)前記蓄圧室に高圧燃料を圧送する高圧燃料圧送ポンプと、
    (d)前記蓄圧室に蓄えられる燃料圧、あるいは前記高圧燃料圧送ポンプから前記蓄圧室に至る高圧燃料流路における燃料圧を検出する燃料圧検出手段と、
    (e)前記インジェクタが燃料噴射せずに、前記蓄圧室の目標圧が低下して、燃料圧が降下する期間内に燃料圧送を実行して、前記燃料圧検出手段によって検出される燃料圧に、燃料圧送を実行した時の特徴が現れるか否かで前記高圧燃料圧送ポンプに圧送異常があるか否かを判定する異常検出手段と、
    を備える蓄圧式燃料噴射システム。
  2. 請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射システムにおいて、
    前記異常検出手段は、前記高圧燃料圧送ポンプが燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミングで実際に燃料を圧送した場合における燃料圧と無圧送であった場合の同じ位相における推定燃料圧とを比較し、
    推定される無圧送時の燃料圧より、実際に燃料を圧送した場合の燃料圧が所定値以上高い場合に正常と判定し、前記所定値に満たない場合に圧送異常と判定することを特徴とする蓄圧式燃料噴射システム。
  3. 請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射システムにおいて、
    前記異常検出手段は、燃料圧の変位を読み取り、前記高圧燃料圧送ポンプが燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミングの燃料圧が、その直前における前記高圧燃料圧送ポンプが燃料の圧送を実行しないタイミングの燃料圧より上昇した場合に正常と判定し、
    前記高圧燃料圧送ポンプが燃料の圧送を実行したポンプ押切タイミングの燃料圧が、その直前における前記高圧燃料圧送ポンプが燃料の圧送を実行しないタイミングの燃料圧より上昇しない場合に圧送異常と判定することを特徴とする蓄圧式燃料噴射システム。
  4. 請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射システムにおいて、
    前記異常検出手段は、燃料圧の降下の開始時から所定時間内に基準圧まで低下しない場合に正常と判定し、燃料圧の降下の開始時から所定時間内に基準圧に低下した場合に圧送異常と判定することを特徴とする蓄圧式燃料噴射システム。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の蓄圧式燃料噴射システムにおいて、
    前記異常検出手段は、前記インジェクタの噴射時期および噴射量を制御するとともに、前記高圧燃料圧送ポンプの吐出量を制御することによって燃料圧を制御するエンジンコントロールユニットに搭載されるものであり、
    このエンジンコントロールユニットは、前記異常検出手段が圧送異常を判定した際に、乗員に前記高圧燃料圧送ポンプの燃料圧送系に異常が発生した旨の表示を行う表示手段を作動させるとともに、異常が発生した内容を記憶装置に記憶させることを特徴とする蓄圧式燃料噴射システム。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の蓄圧式燃料噴射システムにおいて、
    前記異常検出手段は、
    前記インジェクタの噴射時期および噴射量を制御するとともに、前記高圧燃料圧送ポンプの吐出量を制御することによって燃料圧を制御するエンジンコントロールユニットに搭載されるものであり、
    このエンジンコントロールユニットは、前記異常検出手段が圧送異常を判定した際に、前記インジェクタの最大噴射量を抑制するフル噴射量ガード制御を行うことを特徴とする蓄圧式燃料噴射システム。
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