JP2004225220A - 上衣 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前身頃10と、後身頃12と、長手方向の中心線が前記前身頃側に湾曲している脇身頃14と、肩口から袖口にかけて帯状に形成されたヨーク片16と、脇身頃14およびヨーク片16とそれぞれ縫合される前袖18および後袖20と、を有する上衣1であって、ヨーク片16が、前身頃10側に湾曲するように形成された上衣1により解決する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は上衣に関するものであり、特に、立体裁断により縫製され、フィット性およびシワ防止効果の優れた上衣に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人体のフィット感の向上を目的として裁断形成する方法として、立体裁断がある。立体裁断とは、洋服の裁断方法の一つであり、人間や人台に布を当て、その状態で裁断するこという。また、ドレーピングともいう。
【0003】
このような方法により裁断形成された上衣としては、例えば、実開昭48−12011号公報に記載された、帯状の脇身頃部と、その上に連なる側方に適度に湾曲して形成され適度に凸弧状とされた帯状の袖下部とでなる弓形帯状の脇片を備えたボディフィットワイシャツがある(特許文献1)。
【0004】
しかし、上記のワイシャツは主に袖下とボディ脇のフィット感を向上させることを目的としてなされたものであり、袖上部分については検討がなされていない。従って、袖上部分のフィット性や袖上部分に生じるシワについては依然として改善の余地があった。
【0005】
【特許文献1】
実開昭48−12011号公報
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、袖部分のフィット感の向上を図り、袖部分のシワを抑制することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上衣は、前身頃と、後身頃と、袖部と、を有する上衣であって、前記袖部は、長手方向の中心線が前記前身頃側に湾曲している脇身頃と、肩口から袖口にかけて帯状に形成されたヨーク片と、前袖と、後袖と、から構成され、前記脇身頃の一部を袖底とし、前記袖底に対向する位置にヨーク片が配置され、前記前袖と前記後袖が前記袖底と前記ヨーク片との間に配置されてなり、前記ヨーク片が、前記前身頃側に湾曲するように形成されることにより、前記袖部が前記前身頃側に湾曲してなることを特徴とする。
【0007】
ここで、「湾曲」とは、弓形に曲がっている状態を意味し、弧状、放物線状等の曲線も含む。
【0008】
上記のような構成にすることにより、上衣の袖部の形状を、人体の腕を自然な状態で垂下させた状態に近い形状に形成することができ、上衣を装着した際に、フィット感を向上させることができるほか、袖部分のシワを抑制することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図を参照しつつ更に詳細に説明する。図1および図2に、本実施形態の上衣の全体像を示す。なお、本実施形態においては、カットソー(ニット生地を裁断して縫製したもの)を例に説明する。
【0010】
本実施形態における上衣1は、その正面を示す図1およびその背面を示す図2に示すように、上衣1を装着した際に胴体の前面に位置する前身頃10と、背中に位置する後身頃12と、胴体の脇から袖の底部に位置する脇身頃14と、肩口イから袖口ロにかけて位置するヨーク片16と、袖の底部とヨーク片16の間に位置する前袖18および後袖20を有している。
【0011】
ヨーク片16は前身頃10と前袖18と縫合されて前身頃10側の肩口イから袖口ロにかけてフロントヨーク縫合線22が形成され、また、後身頃12側の肩口イから袖口ロにかけて形成されたバックヨーク縫合線24が形成される。
【0012】
また、脇身頃14は前身頃10および後身頃12並びに前袖18および後袖20のそれぞれと縫合され、前身頃10側の裾口ハから袖口ロにかけてフロント脇身頃縫合線26が形成され、フロント脇身頃縫合線26上の点ニから袖口ロにかけてバック脇身頃縫合線28が形成される。
【0013】
更に、前身頃−前袖縫合線30、後身頃−後袖縫合線32が形成される。この後身頃−後袖縫合線32は、背骨方向に向けて、より内側に形成することが好ましい。これにより、後袖20部分をより大きくとることができるため、肩のゆとり部分をより多く創出することができる。
【0014】
なお、図1および図2に示すように、前身頃−前袖縫合線30とフロント脇身頃縫合線26との接点a、および後身頃−後袖縫合線32とバック脇身頃縫合線28との接点bで結ばれた線(図6参照)から袖口ロにかけて袖底70が形成される。なお、この袖底70は脇身頃14の一部であり、詳しくは後述する。
【0015】
脇身頃14、ヨーク片16、前袖18および後袖20から構成される部分は、袖部となり、この袖部について説明する。図3は、袖部34の全体形状を説明するために、本実施形態の上衣1の左半身部分を斜め上から見た模式図である。
【0016】
図3に示すように、脇身頃14、ヨーク片16、前袖18および後袖(図示せず)から構成される袖部34は、生地のドレープ(生地が自重により垂れ下がる状態)又は伸縮がないと仮定すると、上衣1を装着していないときに、肩口イから袖口ロにかけて螺旋階段のように捩じれた状態で、前身頃10側に湾曲する形状となっている。
【0017】
袖部34は、人間が腕を自然な状態で垂下させたときに生じる湾曲に適合するように構成されており、この袖部34の湾曲は、袖部34を構成する各パーツの形状の相互作用による。袖部34を構成するパーツの形状を説明するため、図5に、本実施形態の上衣1の左半身部分の原型の展開図を示す。
【0018】
図に示すように、本実施形態の上衣1は、前身頃10と、後身頃12と、図において略逆くの字の月型状に湾曲している脇身頃14と、帯状に形成され、脇身頃14と比較して緩やかに湾曲しているヨーク片16と、脇身頃14およびヨーク片16とそれぞれ縫合される前袖18および後袖20とから構成される。
【0019】
このうち、袖部34は、脇身頃14、ヨーク片16、前袖18および後袖20とから構成される。
【0020】
ヨーク片16は、図5に示すように、縫合線36、38を有しており、ヨーク片16の縫合線36に沿って、前身頃10の縫合線40および前袖18の縫合線42が縫合されることにより、図1で示したフロントヨーク縫合線22が形成される。同様に、他方の縫合線38に沿って、後身頃12の縫合線44および後袖20の縫合線46が縫合されることにより、図2で示したバックヨーク縫合線24が形成される。
【0021】
ヨーク片16の湾曲の程度は、人間が腕を自然な状態で垂下させたときに生じる湾曲に合わせることが好ましい。この「人間が腕を自然な状態で垂下させたときに生じる湾曲」については以下の通りである。
【0022】
図7は、人体の腕を自然な状態で垂下させた状態を示す模式図である。図に示すように、力を入れず、リラックスした状態で腕を下ろしたとき、人体の側面の中心線X’−X’と、腕の中心線Y−Yとは一致せず、非平行である。換言すれば、人体側面の中心線X’−X’に対して、腕の中心線Y−Yは体の前面に湾曲している。特に、腕の肘部分から手先にかけての中心線は、人体の側面の中心線X’−X’に対して大きくずれている。
【0023】
本実施形態の上衣1で使用されるヨーク片16は、上衣1の非装着時におけるこのようなリラックスした状態の腕の形状に適合するように形成されている。具体的には、図8に示すように、人体の側面の中心線X’−X’と、ヨーク片16の長手方向の中心線Z−Zとは非平行となるように(または一直線上に並ばないように)、人体側面の中心線X’−X’に対して体の前面に湾曲形成されている。
【0024】
これを本実施形態の上衣1で説明すると、上衣1の非装着時における左半身の側面を示した図4の模式図に示すように、生地のドレープ又は伸縮がないと仮定した場合、ヨーク片16の長手方向の中心線Z−Zが、上衣1の側面の中心線X−Xに対して前身頃10側に湾曲するように形成されている。
【0025】
このような湾曲は、ヨーク片が前記上衣の側面の中心線に対して所定の角度を規定して傾斜させてもよい。
【0026】
次に、脇身頃14の形状について説明する。図6に、図5で示した前身頃10、後身頃12、脇身頃14を抜き出した展開図を示す。
【0027】
脇身頃14の形状は、図6に示すように、長手方向の中心線W−Wが前身頃10側に湾曲しており、図において略逆くの字の月型状となっている。また、図に示した脇身頃14の上端部52が図1〜3で示した袖口ロ側、下端部54が裾口ハ側となる。
【0028】
また、図6に示すように、脇身頃14は、湾曲形成された縫合線48、50を有しており、縫合線48は前身頃10の縫合線56上の点aまで縫合され、他方の縫合線50は後身頃12の縫合線60上の点bまで縫合される。
【0029】
この図において、点aと点bとを結ぶ線から上の部分は袖底70を構成し、この袖底70に対向する位置にヨーク片16が配置されることになる。そして、点aより上(上端部52方向)の脇身頃14の縫合線48は、図5に示す前袖18の縫合線58と縫合されることにより、図1のフロント脇身頃縫合線26が形成される。同様に、点bより上(上端部52方向)の縫合線50は、図5に示す後袖20の縫合線62と縫合されることにより、図2のバック脇身頃縫合線28が形成される。
【0030】
この脇身頃14の形状は、上述したヨーク片16の形状と相まって、袖部34の湾曲形状を形成するために重要な役割を演じる。即ち、図3に示すように、ヨーク片16を、前袖18および後袖(図示せず)を介して、脇身頃14の一部からなる袖底70が、袖の底部から支える形となり、上衣1を装着した際の腕のフィット感の向上やシワの低減に貢献する。
【0031】
なお、ヨーク片16と脇身頃14の湾曲形状が相違するのは、腕の皮膚の動きがヨーク片16側と脇身頃14側では異なるからである。即ち、ヨーク片16は、人間の肩先(肩峰点)から肘関節を通る動きに適応させる形状となっているのに対して、脇身頃14は、ヨーク片16と他の袖パーツの土台として支え、前上方向の動きに適応するように形成されているためである。
【0032】
なお、他の実施形態として、図9に示す上衣がある。この図において、(A)は上衣の正面を示し、(B)はその背面を示している。
【0033】
上述の実施形態では、脇身頃上端部52が袖口ロまで達していたが、本実施形態のように、袖部34の半ばで先細りに形成されてもよい(図9のc)。また、上述の実施形態では、脇身頃下端部54が先細りとなるように形成されていたが、本実施形態のように広めに形成されてもよい(図9のd)。
【0034】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の上衣は、前身頃側に湾曲形成したヨーク片、同様に前身頃側に湾曲形成した脇身頃並びに前袖および後袖の形状との相互作用により、上衣の非装着時において人体の腕を自然な状態で垂下させた状態に近い形状に形成したため、上衣の装着時において袖部分のフィット感を向上させることができるほか、袖部分のシワを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の上衣の全体像を示す正面図である。
【図2】本実施形態の上衣の全体像を示す背面図である。
【図3】本実施形態の上衣の左半身部分を斜め上から見た模式図である。
【図4】本実施形態の上衣の左半身の側面を示した模式図である。
【図5】本実施形態の上衣の左半身部分の展開図である。
【図6】図5における前身頃、後身頃、脇身頃の展開図である。
【図7】人体の腕を自然な状態で垂下させた状態を示す模式図である。
【図8】人体の腕の形状に合わせて形成されたヨーク片を示す模式図である。
【図9】他の脇身頃のパターンを示す図である。
【符号の説明】
1:上衣、10:前身頃、12:後身頃、14:脇身頃、16:ヨーク片、18:前袖、20:後袖、22:フロントヨーク縫合線、24:バックヨーク縫合線、26:フロント脇身頃縫合線、28:バック脇身頃縫合線、34:袖部、36、38:ヨーク片の縫合線、40、56:前身頃の縫合線、42、58:前袖の縫合線、44、60:後身頃の縫合線、46、62:後袖の縫合線、イ:肩口、ロ:袖口、ハ:裾口
Claims (2)
- 前身頃と、後身頃と、袖部と、を有する上衣であって、
前記袖部は、長手方向の中心線が前記前身頃側に湾曲している脇身頃と、肩口から袖口にかけて帯状に形成されたヨーク片と、前袖と、後袖と、から構成され、前記脇身頃の一部を袖底とし、前記袖底に対向する位置にヨーク片が配置され、前記前袖と前記後袖が前記袖底と前記ヨーク片との間に配置されてなり、
前記ヨーク片が、前記前身頃側に湾曲するように形成されることにより、前記袖部が前記前身頃側に湾曲してなる上衣。 - 前記袖部が、前記前身頃側に捩じれて湾曲している請求項1記載の上衣。
Priority Applications (1)
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JP2003016734A JP2004225220A (ja) | 2003-01-24 | 2003-01-24 | 上衣 |
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JP2004225220A true JP2004225220A (ja) | 2004-08-12 |
Family
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---|---|---|---|
JP2003016734A Pending JP2004225220A (ja) | 2003-01-24 | 2003-01-24 | 上衣 |
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JP (1) | JP2004225220A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010133061A (ja) * | 2008-12-05 | 2010-06-17 | Mizuno Corp | 野球用上衣 |
JP2015105446A (ja) * | 2013-11-29 | 2015-06-08 | 株式会社チクマ | 上衣 |
JP2017082347A (ja) * | 2015-10-26 | 2017-05-18 | 倉敷紡績株式会社 | 上衣 |
-
2003
- 2003-01-24 JP JP2003016734A patent/JP2004225220A/ja active Pending
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