JP2004224930A - 難燃性接着混和物 - Google Patents
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Abstract
【課題】フラットケーブル等の接着剤層に用いられる接着剤混和物において、ノンハロゲン性で良好な難燃性を示し、かつ高い接着性を発揮するようにする。
【解決手段】フラットケーブル等の接着フィルム3をなす接着剤層2として、ガラス転移温度−70〜90℃、分子量5000〜50000のポリエステル樹脂を少なくとも含むポリエステル樹脂100重量部と、ポリリン酸メラミンなどのリン含有量5〜50wt%のリン系難燃剤60〜150重量部と、平均粒径10μm以下のペンタエリスリトール20〜50重量部と、平均粒径10μm以下のヒドロキシスズ酸亜鉛0〜20重量部を含むノンハロゲンの難燃性接着混和物を使用する。
【選択図】図1
【解決手段】フラットケーブル等の接着フィルム3をなす接着剤層2として、ガラス転移温度−70〜90℃、分子量5000〜50000のポリエステル樹脂を少なくとも含むポリエステル樹脂100重量部と、ポリリン酸メラミンなどのリン含有量5〜50wt%のリン系難燃剤60〜150重量部と、平均粒径10μm以下のペンタエリスリトール20〜50重量部と、平均粒径10μm以下のヒドロキシスズ酸亜鉛0〜20重量部を含むノンハロゲンの難燃性接着混和物を使用する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、フラットケーブルやフレキシブルプリント基板などに用いられるノンハロゲン系の難燃性接着混和物に関する。
【0002】
【従来の技術】
基材フィルム上に接着剤層が形成された2枚の接着フィルムで、複数の平角状の導体を被覆した構造のフラットケーブルが知られている。このようなフラットケーブルは、コンピュータ機器やオーディオ機器、ビディオ機器等の内部の高密度配線等に広く利用されている。
【0003】
ところで、このようなフラットケーブルにあっては、基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂からなるフィルムが多く使用されている現状から、その接着剤層を構成する接着混和物にはポリエステル樹脂を主成分とするものが主に使用されている。
【0004】
また、フラットケーブルについては、防災の観点からその構成材料に良好な難燃性が求められており、その接着剤層にも難燃性が要求されている。このため、接着剤層をなす接着混和物として、デカブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン系難燃剤を配合したものなどが検討されている。
【0005】
しかしながら、この種のハロゲン系難燃剤を添加した難燃性接着混和物では、この難燃性接着混和物を用いたフラットケーブルなどの廃棄焼却処分の際に、有害なハロゲン含有ガスが発生するため、その使用を避けざるを得ないと言う欠点がある。
【0006】
このため、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物などのノンハロゲン系難燃剤を多量に配合することが行われている。
しかし、金属水酸化物を多量配合した難燃性接着混和物では、その接着強度が大幅に低下するという大きな問題がある。
【0007】
このようなフラットケーブルの接着剤層を構成する難燃性接着混和物に関しては、例えば以下の特許文献1ないし3が知られている。これらは、ポリエステル樹脂を主成分とし、これに各種難燃剤を配合したものである。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−329238号公報
【特許文献2】
特開2001−222920号公報
【特許文献3】
特開2000−080342号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、フラットケーブル等に用いられる接着混和物において、基材フィルムなどに対して接着力が高く、ノンハロゲンで、十分な難燃性を有する難燃性接着混和物を得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、ポリエステル樹脂100重量部と、リン系難燃剤60〜150重量部と、ペンタエリスリトール20〜50重量部と、ヒドロキシスズ酸亜鉛0〜20重量部を含む難燃性接着混和物である。
【0011】
請求項2にかかる発明は、ポリエステル樹脂がガラス転移温度−70〜90℃、分子量5000〜50000であるポリエステル樹脂を含むものである請求項1記載の難燃性接着混和物である。
請求項3にかかる発明は、リン系難燃剤のリン含有量が5〜50wt%である請求項1または2記載の難燃性接着混和物である。
【0012】
請求項4にかかる発明は、リン系難燃剤がポリリン酸メラミンである請求項1ないし3のいずれかに記載の難燃性接着混和物である。
請求項5にかかる発明は、ペンタエリスリトールの平均粒径が10μm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の難燃性接着混和物である。
請求項6にかかる発明は、ヒドロキシスズ酸亜鉛の平均粒径が10μm以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の難燃性接着混和物である。
【0013】
請求項7にかかる発明は、基材フィルムの表面に接着剤層を形成した接着フィルムで導体を挟み、この接着フィルムを接着してなるフラットケーブルにおいて、上記接着剤層を、請求項1ないし6のいずれかに記載の難燃性接着混和物で構成したフラットケーブルである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態に基づいて、詳しく説明する。
図1は、本発明のフラットケーブルの一例を示すもので、図中符号1は、基材フィルムを示す。
この基材フィルム1は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの飽和ポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどのプラスチックからなる厚み10〜200μmのフィルムである。これらのプラスチックフィルムの中でもポリエチレンテレフタレートフィルムが、電気的特性、機械的特性、コストなどの点でこのましい。
【0015】
この基材フィルム1の一方の表面には、厚み15〜100μmの接着剤層2が形成されて接着フィルム3となっている。
この接着フィルム3は、その2枚が互いに接着剤層2、2が相対するように重ね合わせられ、その間に複数の平角状の導体4、4が挟まれた状態で貼り合わせられて、この例のフラットケーブルが構成されている。
【0016】
そして、接着フィルム3の接着剤層2は、ポリエステル樹脂100重量部と、リン系難燃剤60〜150重量部と、ペンタエリスリトール20〜50重量部と、ヒドロキシスズ酸亜鉛0〜20重量部を必須成分として含む難燃性接着混和物で構成されている。
【0017】
上記ポリエステル樹脂としては、そのガラス転移温度が−70〜90℃であり、かつ分子量が5000〜50000であるポリエステル樹脂が少なくとも1種用いられ、これ以外のポリエステル樹脂を適宜含むものも使用できる。本発明での分子量は、重量平均分子量で表記するものとする。
【0018】
このポリエステル樹脂の具体的なものとしては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの酸成分と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ジシクロヘキサンジメチロール、ジエチレングリコールなどのジアルコールなどのアルコール成分を原料として周知の縮重合方法によって得られた各種の飽和ポリエステル、飽和共重合ポリエステルが用いられる。
【0019】
そして、このポリエステル樹脂のガラス転移温度は、上記酸成分とアルコール成分とをそれぞれ1種以上適切に組み合わせることにより、これを−70〜90℃の範囲に調整することができる。
また、その分子量は、酸成分とアルコール成分との縮重合反応時の種々の重合条件、例えば、重合温度、重合時間、重合圧力、重合触媒などを適宜調整することにより、これを5000〜50000の範囲に設定することができる。
【0020】
このポリエステル樹脂において、ガラス転移温度が−70℃未満ではブロッキング性が悪化し、90℃を越えると接着性が低下する。また、分子量が5000未満では混和物が脆くなり、50000を越えると混和物が硬くなり、可撓性がなくなる。
【0021】
本発明の難燃性接着混和物で用いられる難燃剤としては、リン系難燃剤が用いられる。
このリン系難燃剤は、ノンハロゲンの難燃剤であり、リンの含有量が5〜50wt%の範囲のものが用いられ、具体的にはポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムなどの1種または2種以上の混合物が用いられ、なかでも難燃効果が高いポリリン酸メラミンが好ましい。
【0022】
リン系難燃剤のリン含有量が5wt%未満では難燃効果が不足する。このようなリンの含有量の点から、ここでのリン系難燃剤には、リン含有量が50wt%を越える赤リンや、酸化チタンコーティング赤リンなどのリン含有率の高いものは含まれない。
【0023】
このリン系難燃剤の配合量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して60〜150重量部とされ、混和物に要求される難燃性、接着性、機械的特性などに応じてこの範囲内で決められる。また、配合量が60重量部未満では混和物の難燃性が不足し、150重量部を越えると混和物の接着性の低下が顕著となって不都合となる。
【0024】
また、ノンハロゲン系の他の難燃剤として、ペンタエリスリトールが用いられる。このペンタエリスリトールは、ノンハロゲンで高い難燃性を有する難燃剤として機能するもので、分子量136.15、融点260℃(純品)の白色粉末であり、少量のジペンタエリスリトールを含んでいてもよい。
【0025】
このペンタエリスリトールは、従来合成樹脂や界面活性剤などの製造原料等として使用されている有機化合物である。ここで使用されるペンタエリスリトールの粒子の平均粒径は、10μm以下とされ、平均粒径が10μmを越えると、混和物を基材に薄く、例えば厚さ20〜40μm程度に塗布すると、表面性が悪くなる。
【0026】
このペンタエリスリトールの配合量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して20〜50重量部とされ、20重量部未満では難燃性が不足し、50重量部を超えると接着力が低下する。
【0027】
本発明において使用されるヒドロキシスズ酸亜鉛は、接着力向上剤として機能するもので、平均粒径が10μm以下の粒子が用いられる。
このヒドロキシスズ酸亜鉛の配合量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して0〜20重量部とされ、20重量部を超えると逆に接着力が低下する。このヒドロキシスズ酸亜鉛は必ずしも配合する必要はない。
【0028】
また、ヒドロキシスズ酸亜鉛は、同時に混和物に対して、難燃性を付与するため、これを配合することで上記リン系難燃剤およびペンタエリスリトールの配合量を低減でき、これら難燃剤の配合による混和物の接着力、機械的特性の低下を抑えることができる。
【0029】
また、本発明の難燃性接着混和物には、シリカ等を添加することができ、シリカをポリエステル樹脂100重量部に対して5重量部程度添加することで、ブロッキング性が向上し、接着フィルム3としたときに、その接着剤層2をなす接着混和物が基材に残る糊残り現象を防止することができる。
【0030】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに種々の添加剤、例えば有機溶剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、着色剤、各種カップリング剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤を適宜添加しても良い。
上記有機溶剤には、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエンなどの芳香族類などが用いられる。
【0031】
本発明の難燃性接着混和物は、ポリエステル樹脂100重量部と、リン系難燃剤60〜150重量部と、ペンタエリスリトール20〜50重量部と、ヒドロキシスズ酸亜鉛0〜20重量部と、必要に応じて他の添加成分とを均一に混合することにより製造することができる。また、この混和物の接着強度は、剥離強度で0.5kgf/cm以上であることが好ましい。
【0032】
また、本発明の接着混和物の形態としては、溶液、ペースト、ペレット等の形態とすることができ、フラットケーブルの接着剤層を形成するには、溶液タイプとして、基材フィルムに塗布して使用する他、ペレットを押出機から基材フィルム上に押出し、製膜して使用することができる。
【0033】
また、本発明のフラットケーブルは、上述のようにして形成された接着フィルムを使用し、これに導体を挟んで、加圧ロール、加圧プレスなどにより加圧し、この時同時に温度80〜200℃に加熱することで製造される。一般的には、加熱加圧ロールを使用し、連続的に接着してゆく方法が作業性等の点で広く使用される。
【0034】
また、基材フィルム1と接着剤層2との接着性、耐熱接着性を高め、熱接着加工速度を高めるためなどに、基材フィルム1上に予めプライマーを塗布してプライマー層を形成しておき、このプライマー層上に上記難燃接着混和物からなる接着剤層2を形成することができる。
【0035】
このようなプライマーとして、例えばイソシアネート基、ブロックイソシアネート基および/またはカルボジイミド基を有する多官能性化合物と、ガラス転移点が20〜120℃のポリエステル系樹脂と、ポリウレタン系樹脂を含む樹脂組成物をエステル系、ケトン系などの各種有機溶媒に溶解したプライマーが挙げられる。
【0036】
この樹脂組成物において、ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との配合割合は、ポリエステル系樹脂/ポリウレタン系樹脂(重量比)=0.7/0.3〜0.3/0.7の範囲とされる。また、多官能性化合物の添加量は、樹脂成分の反応基に対して1〜20倍当量程度が好ましい。また、プライマーの固形分としては2〜60重量%程度とされる。
【0037】
プライマーの塗布は、基材フィルム1上にロールコート、バーコート、ダイコートなどの周知の塗布手段により塗布し、乾燥することにより行われる。プライマー層の厚さは、0.05〜10μm程度とされる。0.05μm未満ではプライマーの効果が得られず、10μmを越えても過剰であり、難燃性が低下する恐れもある。プライマーの塗布に先立ち基材フィルム1に放電処理、火炎処理などを施して親和性を高めることもできる。
【0038】
また、上記多官能性化合物としては、トリレンジイソシアネート、4.4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートとそれらのビューレット体、トリメチロールプロパン等のアダクト体、イソシアネート3量体等のイソシアネート類、さらにはイソシアネートをアルコール、フェノール類、ラクタム、活性メチレン化合物でブロックしたブロックイソシアネートを使用することができる。
【0039】
さらに、上記イソシアネート類から合成したポリトルエンカルボジイミド、ポリ−4,4−ジフェニルメタンカルボジイミド、ポリイソホロンカルボジイミド、ポリヘキサンカルボジイミドなどのカルボジイミド系架橋剤及びその誘導体を使用することができる。
この多官能性化合物では、分子内に2〜6個のイソシアネート基、ブロックイソシアネート基および/またはカルボジイミド基を有するものが好ましい。
【0040】
また、上記多官能性化合物は、溶剤に溶解または分散して使用することが好ましい。このための溶剤には、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、n−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、トルエン、キシレン、シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0041】
上記ポリエステル系樹脂としては、例えばテレフタル酸等の芳香族飽和ジカルボン酸と飽和二価アルコールとの重縮合により生成する熱可塑性のポリエステル系樹脂を使用することができる。上記芳香族飽和ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルエーテル−4,4−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸やこれらの誘導体を1種または2種以上用いることができる。
【0042】
上記飽和二価アルコールとしては、エチレングリコール、ピロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ナフタレンジオールなどの芳香族ジオールを用いることができる。
また、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などのジカルボン酸を添加して、共重縮合して変性してガラス転移点を20〜120℃のポリエステル系樹脂としてもよい。
【0043】
上記ポリウレタン系樹脂としては、多官能イソシアネートとヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリウレタン系樹脂が用いられる。具体的には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、あるいはヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート等の多官能イソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオールなどのヒドロキシル基含有化合物との反応により得られる一液または二液硬化型のポリウレタン系樹脂が使用される。
【0044】
このような難燃性接着混和物にあっては、ポリエステル樹脂100重量部と、リン系難燃剤60〜150重量部と、ペンタエリスリトール20〜50重量部とヒドロキシスズ酸亜鉛0〜20重量部を配合したものであるので、良好な接着性と十分な難燃性が得られ、これを焼却処分した際に有害なハロゲン含有化合物を生成することがない。特に、リン系難燃剤およびペンタエリスリトールを併用したので、これらの配合量を少量としても高い難燃性が得られ、難燃剤の配合による接着性の低下が抑えられる。
【0045】
さらに、ヒドロキシスズ酸亜鉛を0〜20重量部配合しているので、接着力の増大がなされ、リン系難燃剤およびペンタエリスリトールの配合による接着力の低下を補うものとなる。このヒドロキシスズ酸亜鉛は同時に難燃効果を付与するので、難燃性が高められ、結果的にリン系難燃剤およびペンタエリスリトールの配合量を減量でき、これによっても接着力の低下が抑えられる。
【0046】
また、本発明のフラットケーブルにあっては、良好な接着力を発揮し、高い難燃性を有するものとなり、焼却処分をしても有害なハロゲン含有ガスが発生することもない。
このため、このフラットケーブルは、高い接着性と良好な難燃性を要求されるコンピュータ機器等の配線等に使用できる。
【0047】
以下、具体例を示す。
表1および表2に示した配合組成(重量部)の接着混和物を、メチルエチルケトン1容量部とトルエン4容量部からなる混合溶媒に溶解し、樹脂分30wt%の溶液型接着剤を製造した。
この溶剤型接着剤を厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターにて塗布し、乾燥し厚み35μmの接着層を形成して、接着フィルムを作成した。
【0048】
このようにして得られた接着フィルムについて、接着力、難燃性を測定した。
接着力は、2枚の接着フィルムを貼り合わせ速度0.5m/分、温度160℃、圧力1.0MPaで貼り合わせ、この貼り合わせ物のT字剥離力を、JIS K 6854−3の規定により測定した。
【0049】
難燃性は、上記接着フィルム2枚の間に、幅0.8mm、厚さ35μmのスズメッキ軟銅箔の導体を15本並べて、重ね合わせたフラットケーブルについて、UL規格の垂直燃焼試験を実施し、合格したものを○とし、不合格を×とした。
【0050】
表1および表2において、
「ポリエステル樹脂A」は、ガラス転移点5℃、分子量25000のポリエステル樹脂を、
「ポリエステル樹脂B」は、ガラス転移点−10℃、分子量25000のポリエステル樹脂を示す。
【0051】
「リン系難燃剤」は、リン含有量15wt%のポリリン酸メラミンを、
「ペンタエリスリトール」は、平均粒径10μmのものを、
「ヒドロキシスズ酸亜鉛」は、平均粒径5μmのものを、
「シリカ」は平均粒径1.8μmのものを示す。
結果を表1および表2に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
これらの表の結果から、リン系難燃剤の配合量が150重量部を越えると接着強度が低下し、60重量部未満では難燃性が低下する。ペンタエリスリトールの配合量が、50重量部を超えると接着強度が低下し、20重量部未満では難燃性が低くなる。さらに、ヒドロキシスズ酸亜鉛の配合量が20重量部を超えると接着性が低下することがわかる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の難燃性接着混和物にあっては、良好な接着力を発揮し、高い難燃性を有するものとなり、焼却処分をしても有害なハロゲン含有ガスが発生することもない。
【0056】
また、本発明のフラットケーブルにあっては、このため良好な接着力を発揮し、高い難燃性を有するものとなる。また、ノンハロゲンであるので焼却処分をしても有害なハロゲン含有ガスが発生することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるフラットケーブルの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
2…接着剤層。
【発明の属する技術分野】
この発明は、フラットケーブルやフレキシブルプリント基板などに用いられるノンハロゲン系の難燃性接着混和物に関する。
【0002】
【従来の技術】
基材フィルム上に接着剤層が形成された2枚の接着フィルムで、複数の平角状の導体を被覆した構造のフラットケーブルが知られている。このようなフラットケーブルは、コンピュータ機器やオーディオ機器、ビディオ機器等の内部の高密度配線等に広く利用されている。
【0003】
ところで、このようなフラットケーブルにあっては、基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂からなるフィルムが多く使用されている現状から、その接着剤層を構成する接着混和物にはポリエステル樹脂を主成分とするものが主に使用されている。
【0004】
また、フラットケーブルについては、防災の観点からその構成材料に良好な難燃性が求められており、その接着剤層にも難燃性が要求されている。このため、接着剤層をなす接着混和物として、デカブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン系難燃剤を配合したものなどが検討されている。
【0005】
しかしながら、この種のハロゲン系難燃剤を添加した難燃性接着混和物では、この難燃性接着混和物を用いたフラットケーブルなどの廃棄焼却処分の際に、有害なハロゲン含有ガスが発生するため、その使用を避けざるを得ないと言う欠点がある。
【0006】
このため、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物などのノンハロゲン系難燃剤を多量に配合することが行われている。
しかし、金属水酸化物を多量配合した難燃性接着混和物では、その接着強度が大幅に低下するという大きな問題がある。
【0007】
このようなフラットケーブルの接着剤層を構成する難燃性接着混和物に関しては、例えば以下の特許文献1ないし3が知られている。これらは、ポリエステル樹脂を主成分とし、これに各種難燃剤を配合したものである。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−329238号公報
【特許文献2】
特開2001−222920号公報
【特許文献3】
特開2000−080342号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、フラットケーブル等に用いられる接着混和物において、基材フィルムなどに対して接着力が高く、ノンハロゲンで、十分な難燃性を有する難燃性接着混和物を得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、ポリエステル樹脂100重量部と、リン系難燃剤60〜150重量部と、ペンタエリスリトール20〜50重量部と、ヒドロキシスズ酸亜鉛0〜20重量部を含む難燃性接着混和物である。
【0011】
請求項2にかかる発明は、ポリエステル樹脂がガラス転移温度−70〜90℃、分子量5000〜50000であるポリエステル樹脂を含むものである請求項1記載の難燃性接着混和物である。
請求項3にかかる発明は、リン系難燃剤のリン含有量が5〜50wt%である請求項1または2記載の難燃性接着混和物である。
【0012】
請求項4にかかる発明は、リン系難燃剤がポリリン酸メラミンである請求項1ないし3のいずれかに記載の難燃性接着混和物である。
請求項5にかかる発明は、ペンタエリスリトールの平均粒径が10μm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の難燃性接着混和物である。
請求項6にかかる発明は、ヒドロキシスズ酸亜鉛の平均粒径が10μm以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の難燃性接着混和物である。
【0013】
請求項7にかかる発明は、基材フィルムの表面に接着剤層を形成した接着フィルムで導体を挟み、この接着フィルムを接着してなるフラットケーブルにおいて、上記接着剤層を、請求項1ないし6のいずれかに記載の難燃性接着混和物で構成したフラットケーブルである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態に基づいて、詳しく説明する。
図1は、本発明のフラットケーブルの一例を示すもので、図中符号1は、基材フィルムを示す。
この基材フィルム1は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの飽和ポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどのプラスチックからなる厚み10〜200μmのフィルムである。これらのプラスチックフィルムの中でもポリエチレンテレフタレートフィルムが、電気的特性、機械的特性、コストなどの点でこのましい。
【0015】
この基材フィルム1の一方の表面には、厚み15〜100μmの接着剤層2が形成されて接着フィルム3となっている。
この接着フィルム3は、その2枚が互いに接着剤層2、2が相対するように重ね合わせられ、その間に複数の平角状の導体4、4が挟まれた状態で貼り合わせられて、この例のフラットケーブルが構成されている。
【0016】
そして、接着フィルム3の接着剤層2は、ポリエステル樹脂100重量部と、リン系難燃剤60〜150重量部と、ペンタエリスリトール20〜50重量部と、ヒドロキシスズ酸亜鉛0〜20重量部を必須成分として含む難燃性接着混和物で構成されている。
【0017】
上記ポリエステル樹脂としては、そのガラス転移温度が−70〜90℃であり、かつ分子量が5000〜50000であるポリエステル樹脂が少なくとも1種用いられ、これ以外のポリエステル樹脂を適宜含むものも使用できる。本発明での分子量は、重量平均分子量で表記するものとする。
【0018】
このポリエステル樹脂の具体的なものとしては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの酸成分と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ジシクロヘキサンジメチロール、ジエチレングリコールなどのジアルコールなどのアルコール成分を原料として周知の縮重合方法によって得られた各種の飽和ポリエステル、飽和共重合ポリエステルが用いられる。
【0019】
そして、このポリエステル樹脂のガラス転移温度は、上記酸成分とアルコール成分とをそれぞれ1種以上適切に組み合わせることにより、これを−70〜90℃の範囲に調整することができる。
また、その分子量は、酸成分とアルコール成分との縮重合反応時の種々の重合条件、例えば、重合温度、重合時間、重合圧力、重合触媒などを適宜調整することにより、これを5000〜50000の範囲に設定することができる。
【0020】
このポリエステル樹脂において、ガラス転移温度が−70℃未満ではブロッキング性が悪化し、90℃を越えると接着性が低下する。また、分子量が5000未満では混和物が脆くなり、50000を越えると混和物が硬くなり、可撓性がなくなる。
【0021】
本発明の難燃性接着混和物で用いられる難燃剤としては、リン系難燃剤が用いられる。
このリン系難燃剤は、ノンハロゲンの難燃剤であり、リンの含有量が5〜50wt%の範囲のものが用いられ、具体的にはポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムなどの1種または2種以上の混合物が用いられ、なかでも難燃効果が高いポリリン酸メラミンが好ましい。
【0022】
リン系難燃剤のリン含有量が5wt%未満では難燃効果が不足する。このようなリンの含有量の点から、ここでのリン系難燃剤には、リン含有量が50wt%を越える赤リンや、酸化チタンコーティング赤リンなどのリン含有率の高いものは含まれない。
【0023】
このリン系難燃剤の配合量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して60〜150重量部とされ、混和物に要求される難燃性、接着性、機械的特性などに応じてこの範囲内で決められる。また、配合量が60重量部未満では混和物の難燃性が不足し、150重量部を越えると混和物の接着性の低下が顕著となって不都合となる。
【0024】
また、ノンハロゲン系の他の難燃剤として、ペンタエリスリトールが用いられる。このペンタエリスリトールは、ノンハロゲンで高い難燃性を有する難燃剤として機能するもので、分子量136.15、融点260℃(純品)の白色粉末であり、少量のジペンタエリスリトールを含んでいてもよい。
【0025】
このペンタエリスリトールは、従来合成樹脂や界面活性剤などの製造原料等として使用されている有機化合物である。ここで使用されるペンタエリスリトールの粒子の平均粒径は、10μm以下とされ、平均粒径が10μmを越えると、混和物を基材に薄く、例えば厚さ20〜40μm程度に塗布すると、表面性が悪くなる。
【0026】
このペンタエリスリトールの配合量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して20〜50重量部とされ、20重量部未満では難燃性が不足し、50重量部を超えると接着力が低下する。
【0027】
本発明において使用されるヒドロキシスズ酸亜鉛は、接着力向上剤として機能するもので、平均粒径が10μm以下の粒子が用いられる。
このヒドロキシスズ酸亜鉛の配合量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して0〜20重量部とされ、20重量部を超えると逆に接着力が低下する。このヒドロキシスズ酸亜鉛は必ずしも配合する必要はない。
【0028】
また、ヒドロキシスズ酸亜鉛は、同時に混和物に対して、難燃性を付与するため、これを配合することで上記リン系難燃剤およびペンタエリスリトールの配合量を低減でき、これら難燃剤の配合による混和物の接着力、機械的特性の低下を抑えることができる。
【0029】
また、本発明の難燃性接着混和物には、シリカ等を添加することができ、シリカをポリエステル樹脂100重量部に対して5重量部程度添加することで、ブロッキング性が向上し、接着フィルム3としたときに、その接着剤層2をなす接着混和物が基材に残る糊残り現象を防止することができる。
【0030】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに種々の添加剤、例えば有機溶剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、着色剤、各種カップリング剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤を適宜添加しても良い。
上記有機溶剤には、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエンなどの芳香族類などが用いられる。
【0031】
本発明の難燃性接着混和物は、ポリエステル樹脂100重量部と、リン系難燃剤60〜150重量部と、ペンタエリスリトール20〜50重量部と、ヒドロキシスズ酸亜鉛0〜20重量部と、必要に応じて他の添加成分とを均一に混合することにより製造することができる。また、この混和物の接着強度は、剥離強度で0.5kgf/cm以上であることが好ましい。
【0032】
また、本発明の接着混和物の形態としては、溶液、ペースト、ペレット等の形態とすることができ、フラットケーブルの接着剤層を形成するには、溶液タイプとして、基材フィルムに塗布して使用する他、ペレットを押出機から基材フィルム上に押出し、製膜して使用することができる。
【0033】
また、本発明のフラットケーブルは、上述のようにして形成された接着フィルムを使用し、これに導体を挟んで、加圧ロール、加圧プレスなどにより加圧し、この時同時に温度80〜200℃に加熱することで製造される。一般的には、加熱加圧ロールを使用し、連続的に接着してゆく方法が作業性等の点で広く使用される。
【0034】
また、基材フィルム1と接着剤層2との接着性、耐熱接着性を高め、熱接着加工速度を高めるためなどに、基材フィルム1上に予めプライマーを塗布してプライマー層を形成しておき、このプライマー層上に上記難燃接着混和物からなる接着剤層2を形成することができる。
【0035】
このようなプライマーとして、例えばイソシアネート基、ブロックイソシアネート基および/またはカルボジイミド基を有する多官能性化合物と、ガラス転移点が20〜120℃のポリエステル系樹脂と、ポリウレタン系樹脂を含む樹脂組成物をエステル系、ケトン系などの各種有機溶媒に溶解したプライマーが挙げられる。
【0036】
この樹脂組成物において、ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との配合割合は、ポリエステル系樹脂/ポリウレタン系樹脂(重量比)=0.7/0.3〜0.3/0.7の範囲とされる。また、多官能性化合物の添加量は、樹脂成分の反応基に対して1〜20倍当量程度が好ましい。また、プライマーの固形分としては2〜60重量%程度とされる。
【0037】
プライマーの塗布は、基材フィルム1上にロールコート、バーコート、ダイコートなどの周知の塗布手段により塗布し、乾燥することにより行われる。プライマー層の厚さは、0.05〜10μm程度とされる。0.05μm未満ではプライマーの効果が得られず、10μmを越えても過剰であり、難燃性が低下する恐れもある。プライマーの塗布に先立ち基材フィルム1に放電処理、火炎処理などを施して親和性を高めることもできる。
【0038】
また、上記多官能性化合物としては、トリレンジイソシアネート、4.4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートとそれらのビューレット体、トリメチロールプロパン等のアダクト体、イソシアネート3量体等のイソシアネート類、さらにはイソシアネートをアルコール、フェノール類、ラクタム、活性メチレン化合物でブロックしたブロックイソシアネートを使用することができる。
【0039】
さらに、上記イソシアネート類から合成したポリトルエンカルボジイミド、ポリ−4,4−ジフェニルメタンカルボジイミド、ポリイソホロンカルボジイミド、ポリヘキサンカルボジイミドなどのカルボジイミド系架橋剤及びその誘導体を使用することができる。
この多官能性化合物では、分子内に2〜6個のイソシアネート基、ブロックイソシアネート基および/またはカルボジイミド基を有するものが好ましい。
【0040】
また、上記多官能性化合物は、溶剤に溶解または分散して使用することが好ましい。このための溶剤には、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、n−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、トルエン、キシレン、シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0041】
上記ポリエステル系樹脂としては、例えばテレフタル酸等の芳香族飽和ジカルボン酸と飽和二価アルコールとの重縮合により生成する熱可塑性のポリエステル系樹脂を使用することができる。上記芳香族飽和ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルエーテル−4,4−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸やこれらの誘導体を1種または2種以上用いることができる。
【0042】
上記飽和二価アルコールとしては、エチレングリコール、ピロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ナフタレンジオールなどの芳香族ジオールを用いることができる。
また、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などのジカルボン酸を添加して、共重縮合して変性してガラス転移点を20〜120℃のポリエステル系樹脂としてもよい。
【0043】
上記ポリウレタン系樹脂としては、多官能イソシアネートとヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリウレタン系樹脂が用いられる。具体的には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、あるいはヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート等の多官能イソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオールなどのヒドロキシル基含有化合物との反応により得られる一液または二液硬化型のポリウレタン系樹脂が使用される。
【0044】
このような難燃性接着混和物にあっては、ポリエステル樹脂100重量部と、リン系難燃剤60〜150重量部と、ペンタエリスリトール20〜50重量部とヒドロキシスズ酸亜鉛0〜20重量部を配合したものであるので、良好な接着性と十分な難燃性が得られ、これを焼却処分した際に有害なハロゲン含有化合物を生成することがない。特に、リン系難燃剤およびペンタエリスリトールを併用したので、これらの配合量を少量としても高い難燃性が得られ、難燃剤の配合による接着性の低下が抑えられる。
【0045】
さらに、ヒドロキシスズ酸亜鉛を0〜20重量部配合しているので、接着力の増大がなされ、リン系難燃剤およびペンタエリスリトールの配合による接着力の低下を補うものとなる。このヒドロキシスズ酸亜鉛は同時に難燃効果を付与するので、難燃性が高められ、結果的にリン系難燃剤およびペンタエリスリトールの配合量を減量でき、これによっても接着力の低下が抑えられる。
【0046】
また、本発明のフラットケーブルにあっては、良好な接着力を発揮し、高い難燃性を有するものとなり、焼却処分をしても有害なハロゲン含有ガスが発生することもない。
このため、このフラットケーブルは、高い接着性と良好な難燃性を要求されるコンピュータ機器等の配線等に使用できる。
【0047】
以下、具体例を示す。
表1および表2に示した配合組成(重量部)の接着混和物を、メチルエチルケトン1容量部とトルエン4容量部からなる混合溶媒に溶解し、樹脂分30wt%の溶液型接着剤を製造した。
この溶剤型接着剤を厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターにて塗布し、乾燥し厚み35μmの接着層を形成して、接着フィルムを作成した。
【0048】
このようにして得られた接着フィルムについて、接着力、難燃性を測定した。
接着力は、2枚の接着フィルムを貼り合わせ速度0.5m/分、温度160℃、圧力1.0MPaで貼り合わせ、この貼り合わせ物のT字剥離力を、JIS K 6854−3の規定により測定した。
【0049】
難燃性は、上記接着フィルム2枚の間に、幅0.8mm、厚さ35μmのスズメッキ軟銅箔の導体を15本並べて、重ね合わせたフラットケーブルについて、UL規格の垂直燃焼試験を実施し、合格したものを○とし、不合格を×とした。
【0050】
表1および表2において、
「ポリエステル樹脂A」は、ガラス転移点5℃、分子量25000のポリエステル樹脂を、
「ポリエステル樹脂B」は、ガラス転移点−10℃、分子量25000のポリエステル樹脂を示す。
【0051】
「リン系難燃剤」は、リン含有量15wt%のポリリン酸メラミンを、
「ペンタエリスリトール」は、平均粒径10μmのものを、
「ヒドロキシスズ酸亜鉛」は、平均粒径5μmのものを、
「シリカ」は平均粒径1.8μmのものを示す。
結果を表1および表2に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
これらの表の結果から、リン系難燃剤の配合量が150重量部を越えると接着強度が低下し、60重量部未満では難燃性が低下する。ペンタエリスリトールの配合量が、50重量部を超えると接着強度が低下し、20重量部未満では難燃性が低くなる。さらに、ヒドロキシスズ酸亜鉛の配合量が20重量部を超えると接着性が低下することがわかる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の難燃性接着混和物にあっては、良好な接着力を発揮し、高い難燃性を有するものとなり、焼却処分をしても有害なハロゲン含有ガスが発生することもない。
【0056】
また、本発明のフラットケーブルにあっては、このため良好な接着力を発揮し、高い難燃性を有するものとなる。また、ノンハロゲンであるので焼却処分をしても有害なハロゲン含有ガスが発生することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるフラットケーブルの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
2…接着剤層。
Claims (7)
- ポリエステル樹脂100重量部と、リン系難燃剤60〜150重量部と、ペンタエリスリトール20〜50重量部と、ヒドロキシスズ酸亜鉛0〜20重量部を含む難燃性接着混和物。
- ポリエステル樹脂が、ガラス転移温度−70〜90℃、分子量5000〜50000であるポリエステル樹脂を含むものである請求項1記載の難燃性接着混和物。
- リン系難燃剤のリン含有量が5〜50wt%である請求項1または2記載の難燃性接着混和物。
- リン系難燃剤がポリリン酸メラミンである請求項1ないし3のいずれかに記載の難燃性接着混和物。
- ペンタエリスリトールの平均粒径が10μm以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の難燃性接着混和物。
- ヒドロキシスズ酸亜鉛の平均粒径が10μm以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の難燃性接着混和物。
- 基材フィルムの表面に接着剤層を形成した接着フィルムで導体を挟み、この接着フィルムを接着してなるフラットケーブルにおいて、上記接着剤層を、請求項1ないし6のいずれかに記載の難燃性接着混和物で構成したことを特徴とするフラットケーブル。
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