JP2004224899A - 抗酸化剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(1)で示されるジンゲロール類縁体および/または下記一般式(2)で示されるジンゲジオール類縁体に優れた過酸化脂質生成抑制効果ならびにフリーラジカル消去効果を有しており、抗酸化剤として使用できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
(1)式(1)中のR1は、炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R3はメチル基またはエチル基を、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を示す。
(2)式(2)中のR1は、炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R3はメチル基またはエチル基を、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を示す。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、医薬品、医薬部外品および化粧品等に利用できる新規な抗酸化剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、活性酸素による酸化障害が、様々な疾病を引き起こすことが明らかになってきている。元来活性酸素は生体の免疫機構の中で生成し、外部から侵入した病原菌などを攻撃する働きをもっている。しかし活性酸素が過剰に生成し残存してしまうと、生体内の構成成分、すなわち脂質、タンパク質、DNAなどと反応し悪影響を及ぼす。なかでも生体膜等の構成成分である不飽和脂肪酸は酸化され易く、フリーラジカル中間体を経て過酸化脂質を生成する。この過酸化脂質は、動脈硬化、高血圧症、肝機能障害などを誘起することが知られており、老化現象にも密接に関係しているとも言われている。最近では腋臭の原因としても不飽和脂肪酸の酸化分解物が上げられている(例えば、非特許文献1参照)。また不飽和脂肪酸は食品、医薬品、化粧品等にも含まれているため、過酸化脂質が生成すると保存中の品質低下や摂取した際の人体への影響が問題となる。
このような問題を解決するために従来から抗酸化剤の開発が活発に進められている。それらのうち合成抗酸化剤としてはブチルヒドロキシトルエン(BHT)およびブチルヒドロキシアニソール(BHA)、天然抗酸化剤としてはトコフェロール類、アスコルビン酸およびその誘導体、ユビキノンおよびその誘導体、フラボン誘導体、没食子酸誘導体、ポリフェノール類があげられる(例えば、非特許文献2および非特許文献3参照。)。これらのうちBHT、BHAは優れた抗酸化能を持つが、発癌性を疑われており安全性の面で問題がある。また、天然抗酸化剤は抗酸化能や利便性において十分でなく、必ずしも万能であるとは言えない。
【0003】
【非特許文献1】飯田悟、外7名、「体臭発生機構の解析と対処」、第51回SCCJ研究討論会講演要旨集、2002年、p.64−67
【非特許文献2】福沢健治、「フリーラジカル防御の薬理学と薬物開発の展望」、日本臨床、1988年10月、46巻、10号、p.2269−2276
【非特許文献3】Sies, H.、外2名、「Antioxidant Functions of Vitamins」、Annals New York Academy of Sciences、1992年、669巻、p.7−20
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、以上のような状況をふまえ、食品、医薬品、医薬部外品および化粧品等に利用できる新規で優れた抗酸化剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、ジンゲロール類縁体および/またはジンゲジオール類縁体に優れた過酸化脂質生成抑制効果ならびにフリーラジカル消去効果を有しており、抗酸化剤として使用できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち本発明は、下記一般式(1)で示されるジンゲロール類縁体および/または下記一般式(2)で示されるジンゲジオール類縁体である。
【0007】
【化3】
【0008】
式(1)中のR1は、炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R3はメチル基またはエチル基を、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を示す。
【0009】
【化4】
【0010】
式(2)中のR1は、炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基を示し、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R3はメチル基またはエチル基を、Aは炭素数1〜4のアルキレン基を示す。
【0011】
【発明の実施の形態】
はじめに前記一般式(1)で示されるジンゲロール類縁体について説明する。
一般式(1)において、R1は炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ぺプチル基、オクチル基、2−エチルへキシル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基などが例示できる。当該アルキル基としては、直鎖アルキル基が好ましく、さらに天然界に存在するジンゲロールの構造を考慮すると、R1の炭素数は偶数であることが好適である。具体的には、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基が例示できる。
一般式(1)において、R2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくはメチル基またはエチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
一般式(1)において、R3はメチル基またはエチル基であり、好ましくはメチル基である。
一般式(1)において、Aは炭素数1〜4のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基またはブチレン基であり、さらに好ましくはエチレン基である。
【0012】
一般式(1)で示されるジンゲロール類縁体は、例えば、化学合成または天然由来の一般式(3)で示されるショウガオール類にメタノールまたはエタノールを付加させることにより、容易に調製することができる。
【0013】
【化5】
【0014】
式(3)中のR1は炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基を示し、R2およびR4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェノール性水酸基の保護基を示す。ただし、R2およびR4が同時に炭素数1〜4のアルキル基であることはない。
【0015】
一般式(3)のR2およびR4がフェノール性水酸基の保護基であるときは、下記に説明する一般式(3)へのメタノールまたはエタノールの付加反応の触媒として使用するアルカリ触媒存在下で除去可能な保護基が好ましい。そのような保護基としては、シリル型保護基、アシル型保護基などが例示される。具体的には、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、イソブチロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トルオイル基等が例示される。原料コスト、保護基の導入および脱保護反応の簡便性等を考慮すると、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、イソブチロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トルオイル基が好ましい。
【0016】
一般式(3)へのメタノールまたはエタノールの付加反応は、触媒の存在下に実施するのが好ましく、とりわけ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルコキシド(例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなど)、水素化ナトリウムなどのアルカリ触媒を好適に使用することができる。使用する触媒量は、一般式(3)におけるR2およびR4の構造および触媒の種類により異なるが、0.05から10化学当量、好ましくは、0.1から5化学当量である。触媒の使用量が少なすぎる場合は反応の進行が遅く、使用量が多すぎる場合は反応後の処理に多量の中和剤が必要となる。
【0017】
本付加反応は溶媒を用いても良く、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、N,N−ジメチルプロピレンウレア、イソプロピルアルコール、水およびこれらの混合溶媒等を好適に使用することができる。
【0018】
本反応温度は、−20℃から100℃、好ましくは0℃から80℃である。反応温度が低すぎる場合は反応の進行が遅く、また、反応温度が高すぎる場合は副反応が進行する。
本反応時間は条件により異なるが、通常、数10分から数時間である。
式(3)から式(1)への本反応終了後は、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィーなどの公知の方法により、一般式(1)で示されるジンゲロール類縁体を得ることができる。
【0019】
式(3)は、下記式(4)および下記式(5)から強塩基性物質存在下で反応させることにより調製することができる。
【0020】
X−CH2CH=CH−R1 (4)
式(4)中のR1は、炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基を示し、Xはベンゼンスルホニル基またはトルエンスルホニル基を示す。
【0021】
【化6】
【0022】
式(5)のR2およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェノール性水酸基の保護基を示し、Aは、炭素数1〜4のアルキレン基を示す。ただし、R2およびR4が同時に炭素数1〜4のアルキル基であることはない。
【0023】
一般式(4)で示される化合物は、K.Inomata,et al.,Chem.Lett.,931(1985)等の文献で調製法が報告されている化合物であり、これらの報告に従って合成することができる。
式(4)のR1は、炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基である。このアルキル基としては、原料入手の容易性および一般式(4)で示される化合物の合成収率から炭素数1〜18の分岐を有してもよいアルキル基であり、好ましくは、直鎖の炭素数1から18のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ぺプチル基、オクチル基、2−エチルへキシル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基などが例示できる。さらに、天然界に存在するショウガオール類の構造を考慮すると、R1の炭素数は偶数であることが好適である。具体的には、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが例示できる。
【0024】
一般式(5)で示される化合物は、G.Solladie,et al.,J.Org.Chem.,58,2181(1993)等の文献で調製法が報告されている化合物であり、これらの報告に従って合成することができる。
【0025】
式(5)のR2およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェノール性水酸基の保護基を示す。そしてこれらは同じでも異なっていても良い。
式(5)のR2およびR4の炭素数1〜4のアルキル基としては、炭素数1〜3が好ましく、更に好ましくはメチル基である。
式(5)のR2およびR4のフェノール性水酸基の保護基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、イソブチロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トルオイル基、ベンジル基、アリル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等が例示される。
フェノール性水酸基への保護基の導入および脱保護反応の簡便性および原料コスト等を考慮すると、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、イソブチロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トルオイル基が好ましく、中でも、イソブチロイル基、ベンゾイル基が好適である。
式(5)のAは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基またはブチレン基であり、更に好ましくはエチレン基である。
【0026】
前記一般式(3)で示される化合物は、例えば一般式(4)で示される化合物を強塩基性物質で処理し、引き続いて一般式(5)で示される化合物を作用させることにより調製することができる。
【0027】
当該強塩基性物質としては、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム等のアルキルリチウム化合物、n−ブチルマグネシウムクロリド、s−ブチルマグネシウムクロリド、t−ブチルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムブロミド、s−ブチルマグネシウムブロミド、t−ブチルマグネシウムブロミド等のグリニャール化合物、金属リチウム、金属ナトリウムなどのアルカリ金属類を例示することができ、n−ブチルリチウム、n−ブチルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムブロミドを好適に使用することができる。
【0028】
当該強塩基性物質の使用量は、基本的には一般式(4)で示される化合物に対し、0.7から1.3化学当量が好ましく、さらに好ましくは、0.9から1.1化学当量である。
【0029】
一般式(4)で示される化合物と当該強塩基性物質との反応は、非プロトン性の溶媒中で行うことが好ましく、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、N,N−ジメチルプロピレンウレアおよびこれらの混合溶媒等を好適に使用することができる。
【0030】
式(4)の化合物と当該強塩基性物質との反応温度は、−100℃から25℃が好ましく、より好ましくは−80℃から0℃である。反応温度が低すぎる場合は温度維持にコストがかかり、また、反応温度が高すぎる場合は副反応が進行する。
反応時間は条件により異なるが、通常、数分から数10分である。
【0031】
上述のごとく一般式(4)で示される化合物と強塩基性物質とを反応させたものに、引き続いて、一般式(5)で示される化合物でAとしてエチレン基を用いると、一般式(3)で示される化合物を調製することができる。Aをエチレン基以外のものを用いれば、それに該当する炭素鎖に相当するものが得られる。
【0032】
一般式(5)で示される化合物を前記反応物に加える際の反応系の温度は、−100℃から25℃が好ましく、−80℃から0℃が好適である。反応温度が低すぎる場合は温度維持にコストがかかり、また、反応温度が高すぎる場合は副反応が進行する。
本反応時間は条件により異なるが、通常、数分から数10分である。
本反応終了後は、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィーなどの公知の方法により、一般式(3)で示される化合物を単離精製することができる。
【0033】
つぎに、前記一般式(2)で示されるジンゲジオール類縁体について説明する。
一般式(2)で示される化合物は、例えば、前記一般式(1)で示されるジンゲロール類縁体のカルボニル基を還元することにより合成することができる。
【0034】
一般式(1)のカルボニル基を水酸基に還元する還元剤としては、特に限定されるものではないが、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化金属類を好適に使用することができる。水素化金属類を用いる場合の好適な使用量は、水素化金属類の種類および一般式(1)におけるR2の構造により異なる。例えば、一般式(1)におけるR2がメチル基を示し、還元剤として水素化リチウムアルミニウムを用いる場合は、一般式(1)で示されるジンゲロール類縁体1モルに対して、水素化リチウムアルミニウム0.5モルから3モルを使用するのが好適である。
【0035】
本反応は溶媒を用いても良く、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジグライムおよびこれらの混合溶媒等を好適に使用することができる。
【0036】
還元剤として水素化金属類を使用する場合の本反応低温は、−30℃から100℃が好ましく、−10℃から80℃が好適である。反応温度が低すぎる場合は反応の進行が遅く、また、反応温度が高すぎる場合は副反応が進行する。
本反応時間は条件により異なるが、通常、数10分から数時間である。
【0037】
本反応終了後は、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィーなどの公知の方法により、一般式(2)で示されるジンゲジオール類縁体を得ることができる。
【0038】
一般式(1)で示されるジンゲロール類縁体および一般式(2)で示されるジンゲジオール類縁体は、食品、医薬品、医薬部外品、化粧品などの処方に配合して使用することができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、Tsはp−トルエンスルホニル基を示す。
【0040】
<合成例1>
はじめに、本発明の一般式(1)で示されるジンゲロール類縁体および一般式(2)で示されるジンゲジオール類縁体を得るための原料として、フェノール性水酸基をベンゾイル基で保護した[6]−ショウガオール(化合物4、下記式(9))を調製した。
すなわち、化合物1(下記式(6))および化合物2(下記式(7))を用いて化合物3(下記式(8))を調製した後、引き続いて、化合物4(下記式(9))を合成した。
具体的な合成法を以下に示した。
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】
50mlのテトラヒドロフランに3.46g(13.7mmol)の化合物1(上記式(6))を溶かし、ドライアイス/アセトンで−78℃に冷却した。この溶液に、1.5Mのn−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液9.1ml(13.7mmol)を滴下した。そして同温度で20分間攪拌後、50mlのテトラヒドロフランに3.49g(13.0mmol)の化合物2(上記式(7))を溶かした溶液を滴下した。滴下後、同温度で10分間攪拌後、徐々に昇温した。反応溶液の温度が−10℃になったところで、メタノール 2mlを加えて反応を停止させた。この反応混合物に飽和食塩水 30mlを加えて攪拌後、有機層を分取した。水層を酢酸エチルエステル 30mlで抽出し、合せた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、淡黄色の高粘度液状の化合物 5.79g(収率79%)を得た。
本品の重クロロホルム中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、0.72−0.89(3H,m)、0.98−1.24(4H,m)、1.52−2.04(4H,m)、2.45(3H,s)、2.82−2.94(2H,m)、3.16−3.64(1H,m)、3.79(3H,s)、4.04−4.65(2H,m)、5.03−5.85(2H,m)、6.70−6.84(2H,m)、6.96−7.05(1H,m)、7.32(2H,d)、7.45−7.75(5H,m)、8.20(2H,d)であった。
また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm−1)は、3520,2950,2930,2870,1740,1600,1510,1450,1280,1260,1200,1140,1120,1080,1060,1020,710であった。
さらに、元素分析の結果は、炭素69.22%、水素6.55%であった。
以上の分析により、得られた化合物が化合物3(上記式(8))であることを確認した。
【0046】
1,2−ジクロロエタン39g、イソプロピルアルコール13gおよびグリセリン13gの混合溶媒に1.31g(2.51mmol)の化合物3(上記式(8))を溶かし、これにトリエチルアミン 1.05ml(7.53mmol)、トリフェニルホスフィン 39.5mg(0.151mmol)、およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0) 87.0mg(0.0753mmol)を加えてバス温100℃で18時間攪拌した。つぎに、溶媒などを留去した後、蒸留水 50ml、飽和食塩水20mlおよび酢酸エチルエステル 50mlを加えて分配し、有機層を分取した。この抽出後の水層を酢酸エチルエステル 20mlで再抽出した。合せた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、酢酸エチルエステルとn−ヘキサン混合溶媒による再結晶を行い、無色結晶性の化合物603mg(収率63%)を得た。
本品の重クロロホルム中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、0.91(3H,t)、1.25−1.60(6H,m)、2.21(2H,q)、2.85−3.00(4H,m)、3.82(3H,s)、6.16(1H,d)、6.79−6.94(3H,m)、7.05(1H,d)、7.45−7.68(3H,m)、8.20(2H,d)であった。
また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm−1)は、2950,2930,2870,1730,1660,1600,1510,1470,1450,1420,1270,1200,1150,1060,710であった。
さらに、CHN元素分析の結果は、炭素75.56%、水素7.70%であった。
以上の分析により、得られた化合物が化合物4(上記式(9))であることを確認した。
【0047】
<合成例2>
上述の合成例1で得た化合物4(式(9))に水酸化ナトリウムの存在下でメタノールを付加させるとともに、ベンゾイル基の除去を行い、本発明のジンゲロール類縁体のひとつである化合物5(下記式(10))を合成した。
【0048】
【化11】
【0049】
すなわち、化合物4(式(9))330mg(0.867mmol)をイソプロピルアルコール 2mlに溶解した後、メタノール 8mlおよび1N水酸化ナトリウム水溶液0.9mlを加え、室温で2時間攪拌した後、0.5N塩酸2mlを加えて反応を停止させた。反応液中のメタノールを留去した後、飽和食塩水25mlを加え、酢酸エチル25mlで2回抽出した。これらの酢酸エチルエステルを合わせ無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。この濃縮物をシリカゲル薄層クロマトグラフィーにより精製し、無色液状の化合物 191mg(71%)を得た。
本品の重クロロホルム中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、0.89(3H,t)、1.20−1.83(8H,m)、2.34−2.89(6H,m)、3.28(3H,s)、3.57−3.70(1H,m)、3.86(3H,s)、5.49(1H,s)、6.63−6.73(2H,m)、6.81(1H,d)であった。
また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm−1)は、3400,2930,2860,1710,1600,1510,1460,1450,1430,1370,1270,1230,1090,1030であった。
さらに、元素分析の結果は、炭素69.80%、水素8.98%であった。
以上の分析により、得られた化合物が化合物5(上記式(10))であることを確認した。
【0050】
<合成例3>
合成例2で得られた化合物5(式(10))を還元することにより、化合物6(下記式(11))を合成した。
【0051】
【化12】
【0052】
すなわち、合成例2で得られた化合物5(式(10))154mg(0.50mmol)のテトラヒドロフラン5ml溶液を水素化リチウムアルミニウム 19.0mg(0.50mmol)のテトラヒドロフラン1ml溶液中に滴下し、室温で16時間攪拌した。つぎに、蒸留水5ml、0.5N塩酸2mlを滴下し、酢酸エチルエステル10mlで3回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、シリカゲル薄層クロマトグラフィーにより精製し、無色液状の化合物146mg(94%)を得た。
本品の重クロロホルム中で測定した1H−NMRスペクトルのケミカルシフト値は、0.89(3H,t)、1.20−1.87(12H,m)、2.52−2.81(2H,m)、3.30−3.55(4H,m)、3.72−4.00(4H,m)、5.55(1H,s)、6.65−6.75(2H,m)、6.81(1H,d)であった。また、赤外線吸収スペクトル(KBrペレット法)で吸収があった波数(cm−1)は、3390,2930,2860,1600,1510,1460,1450,1430,1370,1270,1230,1080,1030であった。
さらに、元素分析の結果は、炭素69.74%、水素9.47%であった。
以上の分析により、得られた化合物が化合物6(上記式(11))であることを確認した。
【0053】
[実施例1](過酸化脂質生成抑制試験)
合成例2で得られた化合物5、合成例3で得られた化合物6、およびdl−α―トコフェロール(東京化成工業製)を用いて、リノール酸における過酸化脂質生成抑制試験を行った。
具体的な試験手順は以下のとおりである。
【0054】
(1)50mlのスクリューバイアルに取ったリノール酸(0.2g、東京化成工業製)、化合物5(0.01g)、および界面活性剤ニッサンOT−221(0.4g、日本油脂(株)製)にエタノール(2.0g)を添加して溶解させた後、蒸留水(17.39g)を加え攪拌し、密栓をして40℃の恒温槽に放置した。これを2個調製した。
化合物6、dl−α―トコフェロールおよび検体無添加(ブランク)についても同様に行った。
(2)試験開始から1週間後、2週間後、3週間後、および4週間後のリノール酸残量をHPLCにより定量した。
HPLCの分析条件は、検出波長:210nm、移動相:pH2.5に調整したリン酸水素二ナトリウム−リン酸緩衝液とメタノールとの混合溶液(10:90)、流速:1ml/min、カラム:ODS−80Ts(4.6φmm×150mm)、カラム温度40℃の条件にて実施した。
(3)HPLCでの定量はそれぞれの試料について2回ずつ行い、計4回の測定値の平均値からリノール酸残存率を算出した。この結果を表1に示した。
【0055】
【表1】
【0056】
試験の結果、本発明の化合物5および化合物6は、既存の過酸化脂質生成抑制剤であるdl−α−トコフェロール以上の効果を有することがわかった。
【0057】
[実施例2](DPPHラジカル消去試験)
ラジカル消去活性については、安定ラジカルであるDPPH(1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl)を用いて、化合物5、化合物6、およびdl−α―トコフェロール(東京化成工業製)によるラジカル消去活性を求めた。測定方法については以下の通りとした。
【0058】
100mMトリス−塩酸緩衝液(pH=7.4)800μlと化合物5のエタノール溶液200μl(最終濃度10μg/mL)に200μMのDPPHエタノール溶液1mlを添加し良く攪拌した。これを室温、暗所にて20分間静置した後、517nmの吸光度を測定した(試料溶液の吸光度)。
化合物6およびdl−α―トコフェロールについても同様に行った。
対照として100mMトリス−塩酸緩衝液(pH=7.4)800μl、エタノール200μlおよび200μMのDPPHエタノール溶液1mlを用いて上記と同様に操作し、吸光度を測定した(対照溶液の吸光度)。
それぞれ化合物について3回同様の測定を行い、その平均値を以下の式に代入し、DPPHラジカル消去率を算出した。結果を表2に示した。
【0059】
【表2】
【0060】
試験の結果、化合物5および化合物6は、dl−α−トコフェロール以上のラジカル捕捉効果を有することがわかった。
【0061】
【発明の効果】
本発明の抗酸化剤は優れた過酸化脂質生成抑制効果ならびにフリーラジカル消去効果を有しており、食品、医薬品および化粧品等への利用に有用である。
Claims (2)
- 上記式(1)および/または式(2)で示される抗酸化剤を含有する食品、医薬品、医薬部外品または化粧品。
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