JP2004224849A - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Download PDF

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Yoshibumi Inoue
義文 井上
Hidekazu Asano
英一 浅野
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Abstract

【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)メタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックス、及び(E)無機質充填剤を含有することを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【効果】本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、金型離型回復性に優れ、製品汚れ、腐食性の少ないものである。
【選択図】 な し

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、半導体素子の高集積化が年々進み、また半導体装置の表面実装化が促進されるなかで、半導体封止用エポキシ樹脂組成物への要求は益々厳しいものとなってきている。この要求に対応する様々な樹脂や添加剤が用いられた半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、連続成形時に金型汚れが発生し、金型取られ、未充填等の成形不具合が起こりやすくなり、そのため定期的に金型表面のクリーニングを行うことが通常となってきている。
【0003】
従来、半導体封止用金型のクリーニング材は、アミノ系樹脂のような成形収縮率の大きい樹脂と、結晶破砕シリカ、ガラス繊維等の硬度の高い充填剤等からなるもので、このクリーニング材を用いて金型表面の汚れを削り落とすというものが主体であり、クリーニング材を使用した後は、金型表面が綺麗になる反面、金型表面の離型剤も取り去られるため、クリーニングした直後に成形された半導体装置は、極端に離型性が悪くなるという問題があった。そのため、クリーニング材の使用後は、金型表面の離型性を回復させる必要があり、金型表面にエポキシ樹脂組成物中の離型剤を移行させることが行われている。このエポキシ樹脂組成物は、金型表面に離型剤を移行させることにより速やかに離型性を回復させるものであり、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤、カルナバワックス、及びシリカ等の成分からなるものが用いられているが、生産性向上等のため、より金型離型回復性に優れた樹脂組成物が求められている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−161189号公報
【特許文献2】
特開2002−161193号公報
【特許文献3】
特開平3−296522号公報
【特許文献4】
特開平6−16904号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、金型離型回復性に優れ、腐食性の少ない半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこのエポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)メタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックス、及び(E)無機質充填剤を含有し、更に好ましくは、メタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックス(D)が、ポリエチレンワックスであり、全エポキシ樹脂組成物中に0.01〜3.0重量%含まれるエポキシ樹脂組成物が、金型離型回復性に優れ、腐食性が少なく、半導体封止用として好適であることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は、下記に示すエポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供する。
〔I〕 (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)メタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックス、及び(E)無機質充填剤を含有することを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
〔II〕 上記メタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックスが、ポリエチレンワックスであり、全エポキシ樹脂組成物中に0.01〜3.0重量%含む〔I〕に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
〔III〕 上記メタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックスの140℃における溶融粘度が、10mPa・s以上500mPa・s以下であり、ドロップポイントが、50℃以上130℃以下であることを特徴とする〔I〕又は〔II〕に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
〔IV〕 〔I〕〜〔III〕のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明で用いられるエポキシ樹脂(A)としては、特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0009】
本発明で用いられるフェノール樹脂(B)としては、特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェニレン及び/又はジフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂等が挙げられ、これらは1種単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0010】
エポキシ樹脂(A)とフェノール樹脂(B)との配合割合は、特に限定するものではないが、エポキシ樹脂中のエポキシ基/フェノール樹脂中のフェノール性水酸基のモル比が0.8〜1.3であることが好ましく、更には0.9〜1.2であることが好ましい。この範囲から大きく外れると、樹脂組成物が十分に硬化せず、離型性低下等の作業性の悪化が起こるおそれがある。
【0011】
本発明で用いられる硬化促進剤(C)としては、前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂との架橋反応の触媒となり得るものであり、例えば、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のアミン系化合物、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート塩等の有機リン系化合物、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの硬化促進剤は、1種単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0012】
硬化促進剤の配合量は有効量であるが、(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂との総量100重量部に対し、0.01〜10重量部、特に0.05〜2重量部とすることが好ましい。配合量が少なすぎると成形時間が長くなるおそれがあり、多すぎるとポットライフ、シェルフライフが短くなるおそれがある。
【0013】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、メタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックス(D)を用いる。これは離型性回復直後に成形した半導体装置への油浮き、汚れ及び腐食防止と低粘度化が図れ、離型性回復効果を発揮するものである。
【0014】
一般的に、チーグラー・ナッター触媒で合成したポリオレフィンワックスは、樹脂成分との相溶性に乏しく、成形時に金型表面に過度に染み出し、離型性回復直後に成形した半導体装置に汚れが付着する。また、触媒活性がメタロセン触媒と比較すると弱く、大量に必要で、ワックス中に不純物が多く残存し、金属に対しての腐食性が高まるという欠点を有する。これに対し、前記メタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックスを用いると、樹脂成分との適度な相溶性により、半導体装置への油浮き防止や汚れ防止を図ることができ、また金属フレームに対する腐食性も低減できる。
【0015】
メタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックスとして、具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられるが、中でも耐熱性が良好なポリエチレンワックスを用いることが好ましい。
【0016】
また、本発明においては、上記ポリオレフィンワックスの140℃における溶融粘度が10〜500mPa・s、特に10〜300mPa・sであることが好ましい。溶融粘度が小さすぎると成形後の封止材の表面に汚れが発生するおそれがあり、大きすぎると封止材の粘度が増加し、成形しずらいおそれがある。
【0017】
更に、ポリオレフィンワックスのドロップポイントが50〜130℃、特に50〜100℃であることが好ましい。ドロップポイントが低すぎると離型効果が低下するおそれがあり、高すぎるとエポキシ樹脂、フェノール樹脂、充填剤との混合不良が発生するおそれがある。
【0018】
本発明で用いられるメタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックスの添加量は、特に限定するものではないが、全樹脂組成物中に0.01〜3重量%が好ましく、更には0.05〜1.5重量%が好ましい。3重量%を超えると金型に過度に染み出し、離型回復直後の半導体装置に油浮きが生じるおそれがある。また0.01重量%未満であると金型表面に離型剤が十分に移行せず、期待されるような離型性回復効果が得られないおそれがある。
【0019】
本発明で用いられる無機質充填剤(E)としては、通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができ、例えば溶融球状シリカ、結晶破砕シリカ等が挙げられる。これら無機質充填剤の平均粒径や形状は、特に制限されるものではない。
【0020】
無機質充填剤の配合量は、(A)エポキシ樹脂と(B)フェノール樹脂との総量100重量部に対し、600〜1500重量部、特に800〜1200重量部とすることが好ましい。配合量が少なすぎると硬化物の硬度が低下するおそれがあり、多すぎると粘度、スパイラルフローがアップし、成形しずらくなるおそれがある。
【0021】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、(A)〜(E)成分の他に、必要に応じて更にカルナバワックス、ステアリン酸、モンタン酸ワックスといった離型剤や、カップリング剤、酸化防止剤、カーボンブラック等の着色剤等の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で用いてもよい。
【0022】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各成分をミキサー等を用いて混合後、加熱ニーダ、熱ロール、押し出し機等を用いて加熱混練し、続いて冷却粉砕することで得られる。
【0023】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、半導体装置の封止用として好適に使用することができる。この場合の成形方法としては、特に制限されるものではなく、従来より公知の方法を採用することができる。また、成形条件としては、温度170〜180℃で、60〜150秒、後硬化は175〜185℃で、4〜6時間行うことが望ましい。
【0024】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0025】
[実施例1]
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点65℃、エポキシ当量200)21.4重量部、フェノールノボラック樹脂(軟化点91℃、水酸基当量105)10.4重量部、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下、DBUという)0.2重量部、球状溶融シリカ66.9重量部、メタロセン触媒で合成したポリエチレンワックッス(P−63、クラリアント製)0.5重量部、カルナバワックス0.3重量部、カーボンブラック0.3重量部をミキサーを用いて混合した後、表面温度が95℃と25℃の2軸ロールを用いて20回混練して得られたシートを冷却して粉砕し、エポキシ樹脂組成物とした。得られたエポキシ樹脂組成物の特性を以下の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
【0026】
〔評価方法〕
スパイラルフロー:
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力70kgf/cm、硬化時間2分で測定した。
【0027】
離型回復性:
金型表面をクリーニングするためのメラミン樹脂系クリーニング材を用いて、トランスファー成形機に取り付けた離型時荷重評価用金型で成形品を成形し、前記金型表面の離型剤成分を取り除いた。この金型にて、金型温度175℃、注入圧力70kgf/cm、硬化時間2分の成形条件でエポキシ樹脂組成物を5回トランスファー成形した後、更にエポキシ樹脂組成物をトランスファー成形し、この製品抜き出し時の離型荷重(N)を測定した。
製品抜き出し時の離型荷重は、上型・中型・下型とからなる離型時荷重評価用金型の中型に付着した14mmφで1.5mm厚の円形の成形品に、中型の上部の穴からプッシュプルゲージを当て、成形品を突き出した際にかかる荷重を測定することにより求めた。実施例1の値を基準(1.0)として示した。
【0028】
製品汚れ:
前記離型回復性評価において、離型剤成分を取り除いた直後に成形したエポキシ樹脂組成物の成形品表面の油浮きと汚れ具合を確認した。表面を拭いた時に拭き取れるものは油浮き、取れないものは汚れと判定し、製品表面に汚れが発生したものは×、汚れはないが油浮きがあるものを△、いずれもないものは○として評価した。
【0029】
腐食テスト:
MIL−A 46146Aの試験方法に従い、銅に関してテストを行い、目視にて下記基準により評価した。
○:金属表面に変化がない
×:金属表面の光沢、変色等の変化が観察された
【0030】
[実施例2〜4、比較例1〜4]
表1,2の配合に従い、実施例1と同様にして組成物を得、実施例1と同様の評価を行った。なお、離型回復性は、実施例1の値を基準(1.0)として換算した値とした。結果を表1,2に併記する。
【0031】
【表1】
Figure 2004224849
*:メタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックス
P−63:クラリアント製ポリエチレンワックス
溶融粘度:60mPa・s、ドロップポイント:122℃
P−70:クラリアント製ポリエチレンワックス
溶融粘度:200mPa・s、ドロップポイント:85℃
P−68:クラリアント製ポリプロピレンワックッス
溶融粘度:200mPa・s、ドロップポイント:100℃
【0032】
【表2】
Figure 2004224849
【0033】
【発明の効果】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、金型離型回復性に優れ、製品汚れ、腐食性の少ないものである。

Claims (4)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)メタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックス、及び(E)無機質充填剤を含有することを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  2. 上記メタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックスが、ポリエチレンワックスであり、全エポキシ樹脂組成物中に0.01〜3.0重量%含むことを特徴とする請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 上記メタロセン触媒で合成したポリオレフィンワックスの140℃における溶融粘度が、10mPa・s以上500mPa・s以下であり、ドロップポイントが、50℃以上130℃以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010018668A (ja) * 2008-07-09 2010-01-28 Hitachi Chem Co Ltd エポキシ樹脂組成物及びこれを用いた電子部品装置

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