JP2004224719A - 3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステル及びその製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、新規な3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステル及びその製法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の課題は、一般式(1)
【化1】
(式中、Rは、反応に関与しない炭化水素基を示す。)
で示される3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステル。によって解決される。
本発明の課題は、又、酸の存在下、一般式(2)
【化2】
(式中、Rは、前記と同義である。)
で示される2,4−ジオキソヘプタン酸エステルとアルキルナイトライトとを溶媒中で反応させることを特徴とする、3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルの製法によっても解決される。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の課題は、一般式(1)
【化1】
(式中、Rは、反応に関与しない炭化水素基を示す。)
で示される3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステル。によって解決される。
本発明の課題は、又、酸の存在下、一般式(2)
【化2】
(式中、Rは、前記と同義である。)
で示される2,4−ジオキソヘプタン酸エステルとアルキルナイトライトとを溶媒中で反応させることを特徴とする、3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルの製法によっても解決される。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗狭心症薬(cGMP PDE阻害剤)の合成中間体として有用な、新規な3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステル及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、本発明の3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルは、新規な化合物であり、その存在及び製法は全く知られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、即ち、新規な3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステル及びその製法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、一般式(1)
【0005】
【化3】
【0006】
(式中、Rは、反応に関与しない炭化水素基を示す。)
で示される3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルによって解決される。
【0007】
本発明の課題は、又、酸の存在下、一般式(2)
【0008】
【化4】
【0009】
(式中、Rは、前記と同義である。)
で示される2,4−ジオキソヘプタン酸エステルとアルキルナイトライトとを溶媒中で反応させることを特徴とする、3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルの製法によっても解決される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の新規な3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルは、前記の一般式(1)で示される。その一般式(1)において、Rは、反応に関与しない炭化水素基であるが、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基を示す。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0011】
なお、前記3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルは、一般式(3)
【0012】
【化5】
【0013】
(式中、Rは、前記と同義である。)
で示される工程によって4−アミノ−1−メチル−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミドに導くことが出来(後の参考例2〜4に記載)、導かれた4−アミノ−1−メチル−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミドは、抗狭心症薬(cGMP PDE阻害剤)として有用な、一般式(4)
【0014】
【化6】
【0015】
で示されるピラゾロピリミジノン化合物の合成原料として利用出来る(例えば、特許文献1参照。)。
【0016】
【特許文献1】
特開平6−41133号公報
【0017】
本発明の反応において使用する2,4−ジオキソヘプタン酸エステルは、前記の一般式(2)で示される。その一般式(2)において、Rは、前記と同義である。
【0018】
本発明の反応において使用するアルキルナイトライトとしては、例えば、メチルナイトライト、エチルナイトライト、n−プロピルナイトライト、イソプロピルナイトライト、n−ブチルナイトライト、イソブチルナイトライト、t−ブチルナイトライト等が挙げられるが、好ましくはn−ブチルナイトライトが使用される。なお、これらのアルキルナイトライトは、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0019】
前記アルキルナイトライトの使用量は、2,4−ジオキソヘプタン酸エステル1モルに対して、好ましくは0.5〜50モル、更に好ましくは1〜10モルである。
【0020】
本発明の反応において使用する酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類;ギ酸、酢酸等の有機酸類が挙げられるが、好ましくは無機酸類、更に好ましくは塩酸が使用される。なお、これらの酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0021】
前記酸の使用量は、2,4−ジオキソヘプタン酸エステル1モルに対して、好ましくは0.001〜10モル、更に好ましくは0.01〜2モルである。
【0022】
本発明の反応において使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N,N’−ジメチル−2−イミダゾリドン等の尿素類が挙げられるが、好ましくは水、アルコール類、カルボン酸エステル類が使用される。なお、これらの溶媒は単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0023】
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、2,4−ジオキソヘプタン酸エステル1gに対して、好ましくは1〜500ml、更に好ましくは2〜100mlである。
【0024】
本発明の反応は、例えば、2,4−ジオキソヘプタン酸エステル、アルキルナイトライト、酸及び溶媒を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは−20〜200℃、更に好ましくは0〜100℃であり、反応圧力は特に制限されない。
【0025】
本発明の反応によって得られる3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルは、反応終了後、濾過、抽出、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離・精製される。
【0026】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0027】
参考例1(2,4−ジオキソヘプタン酸メチルの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積100mlのフラスコに、ナトリウムメトキシド粉末5.94g(110mmol)及びトルエン27.6gを加え、攪拌しながら氷浴下で5℃まで冷却した。次いで、2−ペンタノン8.61g(100mmol)、シュウ酸ジメチル11.81g(100mmol)及びトルエン9.2gトルエンの混合液を、液温が10℃を超えないようにゆるやかに滴下した。滴下終了後、70℃まで加熱し、還流下(68〜72℃)、攪拌しながら1時間反応させた。反応終了後、10℃以下まで冷却し、5mol/l塩酸22ml(110mmol)を加えて中和した後に、分液して有機層を取り出した。この有機層を減圧下で濃縮し、暗褐色液体として、純度95%の2,4−ジオキソヘプタン酸メチル15.9gを得た(単離収率:88%)。
2,4−ジオキソヘプタン酸メチルの物性値は以下の通りであった。
【0028】
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.97(3H,t)、1.70(2H,m)、2.47(2H,t)、3.90(3H,s)、6.37(1H,s)、14.5(1H,brs)
【0029】
実施例1(3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸メチルの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積100mlのフラスコに、参考例1と同様な方法で合成した純度95%の2,4−ジオキソヘプタン酸メチル9.06g(50mmol)及び酢酸エチル40mlを加えた。次いで、攪拌しながら室温にてn−ブチルナイトライト5.67g(55mmol)を滴下、その後、濃塩酸0.63ml(7.6mmol)をゆるやかに滴下して、攪拌しながら室温で30分間反応させた。反応終了後、酢酸エチル80ml及び水40mlを加えた後、分液して有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下で濃縮して、淡褐色液体として、純度90%の3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸メチル11.1gを得た(単離収率:99%)。
3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸メチルは、以下の物性値で示される新規な化合物である。
【0030】
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.97(3H,t)、1.71(2H,m)、2.07(1H,s)、2.81(2H,t)、3.91(3H,s)
【0031】
実施例2(3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸メチルの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積100mlのフラスコに、参考例1と同様な方法で合成した純度95%の2,4−ジオキソヘプタン酸メチル9.06g(50mmol)、メタノール40ml及び濃塩酸0.63mlを加えた。次いで、攪拌しながらn−ブチルナイトライト5.67g(55mmol)を滴下し、室温で3時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧下で濃縮し、次いで、1,2−ジクロロエタン80ml及び水40mlを加えた後、分液して有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下で濃縮して、淡褐色液体として、純度90%の3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸メチル10.9gを得た(単離収率:98%)。
【0032】
参考例2(1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸メチルの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積100mlのフラスコに、35質量%メチルヒドラジン水溶液1.38g(10.5mmol)を加え、攪拌しながら氷浴下で0℃まで冷却した。次いで、実施例1と同様な方法で合成した純度90%の3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸メチル2.23g(10.0mmol)を、液温が5℃を超えないようにゆるやかに滴下した。滴下終了後、攪拌しながら氷冷下(0〜5℃)で30分間、室温で30分間反応させた。反応終了後、反応液をトルエン10mlで2回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=5/1(容量比))で精製し、青色液体として、1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸メチル1.08gを得た(単離収率:51%)。
1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸メチルの物性値は以下の通りであった。
【0033】
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.94(3H,t)、1.50(2H,m)、2.50(2H,t)、4.12(3H,s)、4.15(3H,s)
【0034】
参考例3(1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミドの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積50mlのフラスコに、参考例2と同様な方法で合成した1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸メチル10.56g(50mmol)及びメタノールを加え、氷浴下で5℃まで冷却した。次いで、14質量%アンモニア/メタノール溶液7.3g(60mmol)を、液温が5℃を超えないようにゆるやかに滴下した。滴下終了後、攪拌しながら氷冷下(0〜5℃)で2時間、室温で一晩反応させた。反応終了後、反応液を濾過し、濾過物を少量の冷却したメタノールで洗浄した後に減圧下で乾燥させ、青色固体として1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミド9.52gを得た(単離収率:97%)。
1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミドの物性値は以下の通りであった。
【0035】
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.94(3H,t)、1.48(2H,m)、2.52(2H,t)、4.33(3H,s)、6.10(1H,s)、8.70(1H,s)
【0036】
参考例4(4−アミノ−1−メチル−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミドの合成)
攪拌装置、温度計及び水素を充填した風船を備えた内容積100mlのフラスコに、参考例3と同様な方法で合成した1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミド1.96g(10mmol)、5質量%Pd/C0.25g(50%含水品;パラジウム金属換算として0.059mmol)及びメタノール60mlを加え、水素雰囲気下、攪拌しながら室温で一晩反応させた。反応終了後、反応液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、淡褐色固体として4−アミノ−1−メチル−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミド1.64gを得た(単離収率:90%)。
4−アミノ−1−メチル−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミドの物性値は以下の通りであった。
【0037】
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.89(3H,t)、1.54(2H,m)、2.43(2H,t)、3.85(3H,s)、4.08(2H,s)、7.42(2H,s)
【0038】
【発明の効果】
本発明により、抗狭心症薬(cGMP PDE阻害剤)として有用なピラゾロピリミジノン化合物の合成原料として利用出来る、新規な3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステル及びその製法を提供することが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗狭心症薬(cGMP PDE阻害剤)の合成中間体として有用な、新規な3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステル及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、本発明の3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルは、新規な化合物であり、その存在及び製法は全く知られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、即ち、新規な3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステル及びその製法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、一般式(1)
【0005】
【化3】
【0006】
(式中、Rは、反応に関与しない炭化水素基を示す。)
で示される3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルによって解決される。
【0007】
本発明の課題は、又、酸の存在下、一般式(2)
【0008】
【化4】
【0009】
(式中、Rは、前記と同義である。)
で示される2,4−ジオキソヘプタン酸エステルとアルキルナイトライトとを溶媒中で反応させることを特徴とする、3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルの製法によっても解決される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の新規な3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルは、前記の一般式(1)で示される。その一般式(1)において、Rは、反応に関与しない炭化水素基であるが、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基を示す。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0011】
なお、前記3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルは、一般式(3)
【0012】
【化5】
【0013】
(式中、Rは、前記と同義である。)
で示される工程によって4−アミノ−1−メチル−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミドに導くことが出来(後の参考例2〜4に記載)、導かれた4−アミノ−1−メチル−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミドは、抗狭心症薬(cGMP PDE阻害剤)として有用な、一般式(4)
【0014】
【化6】
【0015】
で示されるピラゾロピリミジノン化合物の合成原料として利用出来る(例えば、特許文献1参照。)。
【0016】
【特許文献1】
特開平6−41133号公報
【0017】
本発明の反応において使用する2,4−ジオキソヘプタン酸エステルは、前記の一般式(2)で示される。その一般式(2)において、Rは、前記と同義である。
【0018】
本発明の反応において使用するアルキルナイトライトとしては、例えば、メチルナイトライト、エチルナイトライト、n−プロピルナイトライト、イソプロピルナイトライト、n−ブチルナイトライト、イソブチルナイトライト、t−ブチルナイトライト等が挙げられるが、好ましくはn−ブチルナイトライトが使用される。なお、これらのアルキルナイトライトは、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0019】
前記アルキルナイトライトの使用量は、2,4−ジオキソヘプタン酸エステル1モルに対して、好ましくは0.5〜50モル、更に好ましくは1〜10モルである。
【0020】
本発明の反応において使用する酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類;ギ酸、酢酸等の有機酸類が挙げられるが、好ましくは無機酸類、更に好ましくは塩酸が使用される。なお、これらの酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0021】
前記酸の使用量は、2,4−ジオキソヘプタン酸エステル1モルに対して、好ましくは0.001〜10モル、更に好ましくは0.01〜2モルである。
【0022】
本発明の反応において使用する溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N,N’−ジメチル−2−イミダゾリドン等の尿素類が挙げられるが、好ましくは水、アルコール類、カルボン酸エステル類が使用される。なお、これらの溶媒は単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0023】
前記溶媒の使用量は、反応液の均一性や攪拌性により適宜調節するが、2,4−ジオキソヘプタン酸エステル1gに対して、好ましくは1〜500ml、更に好ましくは2〜100mlである。
【0024】
本発明の反応は、例えば、2,4−ジオキソヘプタン酸エステル、アルキルナイトライト、酸及び溶媒を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは−20〜200℃、更に好ましくは0〜100℃であり、反応圧力は特に制限されない。
【0025】
本発明の反応によって得られる3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステルは、反応終了後、濾過、抽出、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離・精製される。
【0026】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0027】
参考例1(2,4−ジオキソヘプタン酸メチルの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積100mlのフラスコに、ナトリウムメトキシド粉末5.94g(110mmol)及びトルエン27.6gを加え、攪拌しながら氷浴下で5℃まで冷却した。次いで、2−ペンタノン8.61g(100mmol)、シュウ酸ジメチル11.81g(100mmol)及びトルエン9.2gトルエンの混合液を、液温が10℃を超えないようにゆるやかに滴下した。滴下終了後、70℃まで加熱し、還流下(68〜72℃)、攪拌しながら1時間反応させた。反応終了後、10℃以下まで冷却し、5mol/l塩酸22ml(110mmol)を加えて中和した後に、分液して有機層を取り出した。この有機層を減圧下で濃縮し、暗褐色液体として、純度95%の2,4−ジオキソヘプタン酸メチル15.9gを得た(単離収率:88%)。
2,4−ジオキソヘプタン酸メチルの物性値は以下の通りであった。
【0028】
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.97(3H,t)、1.70(2H,m)、2.47(2H,t)、3.90(3H,s)、6.37(1H,s)、14.5(1H,brs)
【0029】
実施例1(3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸メチルの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積100mlのフラスコに、参考例1と同様な方法で合成した純度95%の2,4−ジオキソヘプタン酸メチル9.06g(50mmol)及び酢酸エチル40mlを加えた。次いで、攪拌しながら室温にてn−ブチルナイトライト5.67g(55mmol)を滴下、その後、濃塩酸0.63ml(7.6mmol)をゆるやかに滴下して、攪拌しながら室温で30分間反応させた。反応終了後、酢酸エチル80ml及び水40mlを加えた後、分液して有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下で濃縮して、淡褐色液体として、純度90%の3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸メチル11.1gを得た(単離収率:99%)。
3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸メチルは、以下の物性値で示される新規な化合物である。
【0030】
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.97(3H,t)、1.71(2H,m)、2.07(1H,s)、2.81(2H,t)、3.91(3H,s)
【0031】
実施例2(3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸メチルの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積100mlのフラスコに、参考例1と同様な方法で合成した純度95%の2,4−ジオキソヘプタン酸メチル9.06g(50mmol)、メタノール40ml及び濃塩酸0.63mlを加えた。次いで、攪拌しながらn−ブチルナイトライト5.67g(55mmol)を滴下し、室温で3時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧下で濃縮し、次いで、1,2−ジクロロエタン80ml及び水40mlを加えた後、分液して有機層を取り出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下で濃縮して、淡褐色液体として、純度90%の3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸メチル10.9gを得た(単離収率:98%)。
【0032】
参考例2(1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸メチルの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積100mlのフラスコに、35質量%メチルヒドラジン水溶液1.38g(10.5mmol)を加え、攪拌しながら氷浴下で0℃まで冷却した。次いで、実施例1と同様な方法で合成した純度90%の3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸メチル2.23g(10.0mmol)を、液温が5℃を超えないようにゆるやかに滴下した。滴下終了後、攪拌しながら氷冷下(0〜5℃)で30分間、室温で30分間反応させた。反応終了後、反応液をトルエン10mlで2回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下で濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=5/1(容量比))で精製し、青色液体として、1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸メチル1.08gを得た(単離収率:51%)。
1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸メチルの物性値は以下の通りであった。
【0033】
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.94(3H,t)、1.50(2H,m)、2.50(2H,t)、4.12(3H,s)、4.15(3H,s)
【0034】
参考例3(1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミドの合成)
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積50mlのフラスコに、参考例2と同様な方法で合成した1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸メチル10.56g(50mmol)及びメタノールを加え、氷浴下で5℃まで冷却した。次いで、14質量%アンモニア/メタノール溶液7.3g(60mmol)を、液温が5℃を超えないようにゆるやかに滴下した。滴下終了後、攪拌しながら氷冷下(0〜5℃)で2時間、室温で一晩反応させた。反応終了後、反応液を濾過し、濾過物を少量の冷却したメタノールで洗浄した後に減圧下で乾燥させ、青色固体として1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミド9.52gを得た(単離収率:97%)。
1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミドの物性値は以下の通りであった。
【0035】
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.94(3H,t)、1.48(2H,m)、2.52(2H,t)、4.33(3H,s)、6.10(1H,s)、8.70(1H,s)
【0036】
参考例4(4−アミノ−1−メチル−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミドの合成)
攪拌装置、温度計及び水素を充填した風船を備えた内容積100mlのフラスコに、参考例3と同様な方法で合成した1−メチル−4−ニトロソ−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミド1.96g(10mmol)、5質量%Pd/C0.25g(50%含水品;パラジウム金属換算として0.059mmol)及びメタノール60mlを加え、水素雰囲気下、攪拌しながら室温で一晩反応させた。反応終了後、反応液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、淡褐色固体として4−アミノ−1−メチル−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミド1.64gを得た(単離収率:90%)。
4−アミノ−1−メチル−3−n−プロピルピラゾール−5−カルボン酸アミドの物性値は以下の通りであった。
【0037】
1H−NMR(CDCl3,δ(ppm));0.89(3H,t)、1.54(2H,m)、2.43(2H,t)、3.85(3H,s)、4.08(2H,s)、7.42(2H,s)
【0038】
【発明の効果】
本発明により、抗狭心症薬(cGMP PDE阻害剤)として有用なピラゾロピリミジノン化合物の合成原料として利用出来る、新規な3−ヒドロキシイミノ−2,4−ジオキソヘプタン酸エステル及びその製法を提供することが出来る。
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