JP2004224352A - 断熱紙カップ - Google Patents
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Abstract
【課題】断熱性を付与した紙製のカップ状容器を提供する。
【解決手段】円錘錐台形筒状胴部の上部開口部に全周にわたって形成されている外向きカール部を有する紙カップ本体を、該紙カップ本体と相似形で、紙カップ本体の胴部よりわずかに大きな径を有し、かつ上部及び下部の両開口部全周にわたって内向き折り込み部を有する円筒状外装材に嵌め込み、円筒状外装材の両内向き折り込み部が紙カップ本体外壁に当接することによって離間されている紙カップ本体の外壁と外装円筒体内壁の間にほぼ均一間隔の空間部が形成されていることを特徴とする2重構造断熱紙カップ。
【選択図】 図1
【解決手段】円錘錐台形筒状胴部の上部開口部に全周にわたって形成されている外向きカール部を有する紙カップ本体を、該紙カップ本体と相似形で、紙カップ本体の胴部よりわずかに大きな径を有し、かつ上部及び下部の両開口部全周にわたって内向き折り込み部を有する円筒状外装材に嵌め込み、円筒状外装材の両内向き折り込み部が紙カップ本体外壁に当接することによって離間されている紙カップ本体の外壁と外装円筒体内壁の間にほぼ均一間隔の空間部が形成されていることを特徴とする2重構造断熱紙カップ。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙製のカップ状容器に関し、特に、即席麺類などの容器のように、カップに高温のお湯を充填して食する際に、消費者が容器の表面を手で持った状態で十分耐え得る温度範囲に保つことのできる断熱性を付与した紙製のカップ状容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
即席麺類や即席味噌汁等に用いるカップ状容器は、従来、耐熱性、断熱性と保温性の面から発泡スチロール容器やPS(ポリスチレン;以下同)成型容器が広く使用されてきた。特に、発泡スチロール容器は安価でかつ断熱性に優れた特性をもち、即席麺類容器の主流となってきた。食品容器の機能として、流通包装容器機能、調理容器機能、食器機能の3つの機能が要求されるが、発泡スチロール容器やPS成型容器はこれらの機能を備えた容器である。
【0003】
しかしながら、発泡スチロール容器やPS成型容器は戸外に廃棄された場合、あるいは埋め立てた場合には、自然界で分解されないという問題があり、長期にわたり環境を汚染するという問題があった。従って、ほとんどの場合、発泡スチロール容器やPS成型容器は焼却処分されているが、この場合にも焼却炉を傷める等の問題がある。
【0004】
近年、地球環境の維持の観点から、省エネルギー、循環型社会の構築という社会的要請があり、カップ状容器として紙製のカップ状容器を使用したいという要望が強い。
従来、紙製のカップ状容器、すなわち、「紙カップ」を利用した即席麺用容器としては、紙カップの表面に断熱性を持たせるために片面段ボールシートを重ね合わせたものや、厚手の多層板紙を巻きつけているもの、外装材に凹凸エンボス処理した部材を使って断熱性を付与した2重紙カップなどが見受けられる。しかしながら、これらは使用部材点数が多く、加工工程が増えてコストアップとなっていた。また、表面の凹凸は美粧印刷適性に欠ける場合があるし、厚手の板紙の場合は、紙カップと直に接触している状態では断熱性能が劣っていた。
【0005】
最近、自動販売機やファミリーレストラン等では、PE(ポリエチレン;以下同)ラミネート紙を加熱し、原紙水分の蒸発によってPE面を発泡させた小型容器も見られるが、PE層の発泡倍率が高くなく断熱性能が充分ではないし、また、表面の印刷性も劣っており、更には、樹脂が自然分解しないのでゴミとなることが指摘されていた。
【0006】
そこで、紙カップに断熱材を巻いた容器のうち、一つの方法として、擬似的に2つのカップを重ね合わせて中間部に空気層を作る方法が提案されている(特許文献1参照)。図6に、この容器を示す。
しかしながら、この容器は、外装材の上部開口部に内カップに挿入後の空隙を発生させる段差処理が施されていないために、外装材が直接内部容器外面と接触し、且つ容器上部においては空気層が極めて狭いので、断熱性能が十分でなく、長時間手で持つと手が熱くなることがある。
【0007】
【特許文献1】
実用新案登録第2571797号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、断熱性能を充分に備え、かつカップ表面の印刷特性も充分に保持した2重構造の断熱性紙カップを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは紙カップを利用した断熱容器の構造を鋭意検討し、エンボス加工のような手法を用いないで、紙カップの上部から下部まで2重壁の間隔をほぼ等しくなるような構造とすることにより、断熱性と表面印刷特性を両立させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は下記の発明を包含する。
【0010】
(1)底板で閉鎖されている底部から上部開口部に向かって径が増大している円錐台形筒状胴部の上部開口部に、開口部端部を全周にわたって外向きに折り曲げ成形することによって形成されている外向きカール部を有する紙カップ本体を、該紙カップ本体と相似形で、紙カップ本体の胴部よりわずかに大きな径を有し、かつ上部及び下部の両開口部に両開口部端部を全周にわたって内向きに折り曲げ成形して形成されている内向き折り込み部を有する円筒状外装材に嵌め込むことによって形成されており、円筒状外装材の上部開口部及び下部開口部における両内向き折り込み部と紙カップ本体外壁との当接部によって囲まれる紙カップ本体の外壁と外装円筒体内壁の間にほぼ均一間隔の空間部が形成されていることを特徴とする2重構造断熱紙カップ。
【0011】
(2)前記紙カップ本体の上部開口部の外向きカール部の断面形状が円形、半円形、又は楕円形のいずれかであることを特徴とする(1)記載の2重構造断熱紙カップ。
【0012】
(3)前記円筒状外装材の上部開口部と下部開口部における両内向き折り込み部と紙カップ本体の外壁との当接部及び円筒状外装材の上部開口部と紙カップ本体の上部開口部の外向きカール部の下部との当接部のうちの少なくとも1つの当接部は接着されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0013】
(4)前記円筒状外装材の上部開口部及び下部開口部における内向き折り込み部の少なくとも一方は、その断面形状がコ字状となるように開口端部を内向きに2段階に折り曲げて形成されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0014】
(5)前記円筒状外装材の上部開口部及び下部開口部における内向き折り込み部の少なくとも一方は、その開口端部を内向きに断面円形状、断面半円形状、断面S字状等となるように折り曲げて形成されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0015】
(6)紙カップ本体の外向きカール部の下方位置の筒状胴部外壁には、さらに連続帯状の外向き突起部が該胴部を一周して形成されており、円筒状外装材の上部開口部端部と前記紙カップ本体の連続帯状の外向き突起部との当接部と、円筒状外装材の下部開口部の内向き折り込み部と紙カップ本体の外壁面との当接部とによって離間されている、紙カップ本体の外壁と外装円筒体内壁の間にほぼ均一間隔の空間部が形成されていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0016】
本発明は更に下記の発明を包含する。
(7)底板で閉鎖されている底部から上部開口部に向かって径が増大している円錐台形筒状胴部の上部開口部に、開口部端部を全周にわたって外向きに折り曲げ成形することによって形成されている外向きカール部を有し、該カール部の下方位置の前記筒状胴部外壁には、該胴部を一周して形成されている連続帯状の突起部を有する紙カップ本体を、該紙カップ本体と相似形で、紙カップ本体の胴部よりわずかに大きな径を有し、かつ下部の開口部に該開口部端部を全周にわたって内向きに折り曲げ成形して形成されている内向き折り込み部を有する円筒状外装材に嵌め込むことによって形成されており、円筒状外装材の上部開口部端部と紙カップ本体の前記外向きカール部の下部との当接部及び/又は円筒状外装材の内壁面と前記紙カップ本体の連続帯状の外向き突起部との当接部と、円筒状外装材の下部開口部の内向き折り込み部と紙カップ本体の外壁面との当接部とによって離間されている紙カップ本体の外壁と外装円筒体内壁の間にほぼ均一間隔の空間部が形成されていることを特徴とする2重構造断熱紙カップ。
【0017】
(8)前記紙カップ本体の上部開口部の外向きカール部の断面形状が円形、半円形、又は楕円形のいずれかであることを特徴とする(7)記載の2重構造断熱紙カップ。
【0018】
(9)前記円筒状外装材と前記紙カップ本体との前記各当接部の少なくとも一当接部は接着されていることを特徴とする(7)又は(8)に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0019】
(10)前記円筒状外装材の下部開口部における内向き折り込み部は、その断面形状がコ字状となるように開口端部を内向きに2段階に折り曲げて形成されていることを特徴とする(7)〜(9)のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0020】
(11)前記円筒状外装材の下部開口部における内向き折り込み部は、その開口端部を内向きに断面円形状、断面半円形状、断面S字状等となるように折り曲げて形成されていることを特徴とする(7)〜(9)のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明は、紙カップ本体と、紙カップ本体と相似形で、かつそれよりもわずかに大きな寸法の外装材を紙カップ本体を内側に、外装材を外側にして重ね合わせ、両者の上部及び下部開口端部を紙カップ本体(内カップ)と外装材の間に折り込んでスペーサーとすることにより、両者の間にほぼ均一な空間(空気層)を形成し、紙カップの断熱性を向上させていることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の紙カップの2重壁の空隙寸法は、特に限定はしないが、0.5mm〜3mm程度が好ましく、1mm〜2mmであることが更に好ましい。
空隙寸法は、外装材の内向きに折り込まれた上部及び下部開口端部の厚さによって調節することができる。例えば、上部及び下部開口端部の折り込み枚数を増やすことによって紙カップ本体と外装材間の空隙が増して断熱性能が向上する。
開口端部の折り込みは、あらかじめ施した罫線に沿って2段階に折り込む構造としてもよい。
また、紙カップ本体の胴部中間の比較的上方に、断面が円弧状又はドウェル形状の突起部を設けて、突起部の大きさを変える事によっても調節することができる。
【0023】
本発明において、紙カップ本体と外装材は紙を主体とした部材より作られる。ここで「紙を主体とした部材」には、通常の紙、板紙のほか、PE、PPなどの熱可塑性樹脂をラミネートした紙、板紙等も含まれる。
中でも紙カップ本体の材料としては、特に限定されるものではないが、坪量150〜300g/m2程度の板紙が好ましい。また、外装材としては、主として坪量200〜400g/m2程度の板紙が好ましい。
【0024】
このように、本発明においては外装材にエンボス加工等の構造を用いていないので、外装材に表面ラベルを貼っても印刷表示が鮮明であり、更に、中間部の空気層として必要十分な厚さを確保することができるので容器としての断熱性が充分保たれる。
【0025】
本発明の2重構造断熱紙カップは、次のような方法により製造することができる。製造装置としては、シート打ち抜き装置、カップ成型機、巻き付け外装機を使用する。
断熱紙カップの紙カップ本体は公知の紙カップ成型機によって成型され、基本的には、扇状に打ち抜かれたPEラミネート済ブランクの胴貼り部をヒートシールして円筒状の胴部を形成した後、別途、用意したラミネート済の巻取紙から底板材料を円形に打ち抜き、コの字型に絞り成型した後、胴部と一体化させる。その後、底部のシールを行い、上部開口端部のカール成型等を実施して紙カップ本体の成型を完了する。
【0026】
外装材は、主として印刷された板紙から打ち抜きを行い、扇形に形成された部材を円筒状に折り曲げ、胴貼り部を糊付けシールして、下部開口端部、あるいは上部開口端部と下部開口端部の両端部に、折り込みもしくは絞り込みの処理を施す。この後、紙カップ本体を内側に、外装材を外側にして重ね合わせ、所定部分を糊付け等の方法にて接着させ、紙カップ本体と外装材の間に空隙を持つ本発明の2重構造断熱紙カップを得ることができる。
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の実施の態様を説明する。
図1は、本発明の2重構造断熱紙カップの第1の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図1において、2重構造断熱紙カップ1は、紙カップ本体2と、紙カップ本体よりもわずかに大きな寸法を有する外装材3が、紙カップ本体2を内側に、外装材3を外側にして重ね合わされている。
【0028】
紙カップ本体2の胴部は、底板で閉鎖されている底部から上部開口部に向かって径が増大している円錐台形のテーパを有し、上部開口端部は外向きにカール状に折り込まれ、ほぼ円形の外向きカール部5を形成している。底部には、底板4が紙カップ本体2の内面(内側)に接着固定されている。
また、外装材3は、紙カップ本体の胴部と相似形のテーパを有し、上部開口端部はほぼ直角に内向きに折り込まれて、内向き折り込み部7を形成し、内向き折り込み部7の先端部が紙カップ本体2の外壁に当接し、当接部が紙カップ本体2の外壁に接着されると共に、内向き折り込み部7の大部分が紙カップ本体2の外向きカール部5の下部に当接している。
【0029】
更に、外装材3の下部開口端部には内向き折り込み部6が形成されており、内向き折り込み部6の一部が紙カップ本体2の外壁に当接し、当接部が紙カップ本体に接着されている。
その結果、紙カップ本体2と外装材3の間には、紙カップの上部から下部までほぼ同一間隔の空間部(空隙8)が形成されており、この空間部が断熱層としての作用を有している。
【0030】
図2は、本発明の2重構造断熱紙カップの第2の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図2の例においては、外装材3の上部開口端部の内向き折り込み部7は鋭角に内向きに折り込まれ、その先端部が紙カップ本体の外壁に当接し、当接部が紙カップ本体に接着されると共に、鋭角をなす折り込み部7が折り曲げ点で外装材の上部開口端部の外向きカール部5に当接している。その他の構成は 図1の例と同様である。
【0031】
図3は、本発明の2重構造断熱紙カップの第3の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図3の例においては、外装材3の上部開口端部の内向き折り込み部7が内向きに2段階に(S字型、図11のG参照)折り込まれている。
また、紙カップ本体2の上部開口端部付近には、紙カップ本体2を内側からプレス成型して、紙カップ本体2の外側方向に折り込みした、縦方向の多数のプレス線9(直線状押し型)を浮き出させている。
このプレス線9により、紙カップ本体2の上部開口端部は内側に絞り込まれ、また、外装材3の内向き折り込み部7のS字型の一辺がプレス線9に接触し、該接触部が接着されている。
その他の構成は図1の例と同様である。
【0032】
図4は、本発明の2重構造断熱紙カップの第4の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図4の例においては、図1に示す紙カップ本体2の胴部中間の比較的上方に、断面が円弧状の突起部10を紙カップ本体2の胴部を一周する形で設けている。
この周辺部への突起加工は、紙カップ本体2の成型後、偏芯する円盤をカップの内側に入れて徐々に外周に接することで加工が可能である。もしくは内部より割方で周方向に広げることでもほぼ連続した突起が得られる。
外装材3には、上部開口端部、下部開口端部の両方に内向き折り込み6、7を設けて、上部開口端部の内向き折り込み部7が紙カップ本体2の突起部10の上方に接するようにし、該上部開口端部の内向折り込み部7を紙カップ本体2と接着固定する。この例では、紙カップ本体2の外向きカール部5と、外装材3の上部開口端部の内向き折り込み部7は接していない。
その他の構造は、 図1と同様であり、紙カップの上方から下方まで、同一厚さの空間(空気層)を形成している。
【0033】
図5は、本発明の2重構造断熱紙カップの第5の実施の態様を示す部分断面図である。
図5の例においては、図4の紙カップ本体2の突起部10の位置を更に上方に設けて、紙カップ本体2の上部開口端部の外向きカール部5と突起部10の間に外装材3の上部開口端部の内向折り込み部7をはさみ、内向折り込み部7の一部を紙カップ本体2の外壁と接着固定する。
【0034】
図6は、先行技術に開示された2重構造断熱紙カップの一部を切り欠いて表示した断面図である。
図6の例においては、外装材3が上部開口端縁で内向き折り込み部を持たず、直接紙カップ本体2の外壁と接触し、容器上部においては空気層が極めて狭いので断熱性が充分ではない。
【0035】
図7は、本発明の2重構造断熱紙カップの第6の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図7の例においては、紙カップ本体2の突起部10の位置を、図5の突起部10の位置よりも更に上方に設け、紙カップ本体2の上部開口端部の外向きカール部5の下部と突起部10が接している。
外装材3の上部開口端部は内向き折り込み部を持たず、外装材内壁と紙カップ本体2の突起部10が接触するとともに、外装材3の上部開口端縁は紙カップ本体2の外向カール部5の下部に突き当たるように接触し、接着されてている。また、下部開口端部の内向き折り込み部7は2重に折り込まれた構造となっている。
【0036】
図8は、本発明の2重構造断熱紙カップの第7の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図8の例においては、図7の形態の外装材3の下部開口端縁の内向き折り込み部をW状に折り込んだ構造としたものである。これによって紙カップ本体2に対して外装材3の厚みの2倍以上の空隙を得ることができ、断熱性が一層向上する。
【0037】
図9は、本発明の2重構造断熱紙カップの第8の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図9の例においては、紙カップ本体2の突起部10の形状を変えた例を示す。この形状はいわゆるドウェル形状といわれるものである。
【0038】
図10、11は、本発明の2重構造断熱紙カップの外装材3の下部開口端縁の内向折り込み部6の形状を示す図である。
図10のAは端部を円形に折り込み、その先端を外装材外面にほぼ接触させている。
Bは端部を半円形に折り込み、その先端を外装材外面から離している。
Cは端部を180°の方向に折り込み、その先端を外装材外面に接触させている。
Dは端部を半円形に折り込み、さらにその先端を180°の方向に折り込み、180°折り込み部は外装材外面から離している。
Eは端部を2重に180°の方向に折り込み、その先端を外装材外面に接触させている。
【0039】
図11のFは、端部を半円形に折り込み、その先端を外装材外面から離している。この例は、図10のBと同じ形状であるが、半円形が大きく、例えば、更に図11のGのように加工する場合、加工しやすい。
図11のGは端縁をW状に折り込み、その先端を外装材外面から離している。Hは端縁をW状に折り込み、その先端を外装材外面に接触させている。
【0040】
【実施例】
<効果確認試験>
次に、本発明の紙カップの断熱性能を確認するための試験を実施したので、その結果について説明する。試験には、従来からある図6に示す形状の紙カップ(空気層部分の最大空隙厚さ1.5mmのカップ)と、本発明の 図1に示す紙カップ(空気層部分の空隙厚さ1.5mmの紙カップと、2.0mmの紙カップ)を試験用に作成して使用した。尚、いずれの紙カップも、紙カップ本体(内カップ)胴体部分は、内側にポリエチレン樹脂をラミネート加工した坪量260g/m2の板紙を、外装材は坪量350g/m2の板紙を使用して作成した。
【0041】
断熱性能試験は、それぞれの紙カップに、95°Cのお湯を容器上面より約10mm低い位置まで充填してアルミ箔で密封し、3分間経過後、試験者が紙カップ胴体の上下方向中央付近を手で保持し、通常の感覚で何秒間保持可能かを調べることにより行なった。
試験結果は表1に示す通りであり、この結果から本発明の2重構造断熱紙カップは、従来の2重構造断熱紙カップより断熱性能が優れていることが確認できた。
また、発泡スチロール製カップ(約1.7mm厚さ)について、別途同様の試験を実施した結果、保持可能時間として80〜100秒程度の数値が得られ、本発明品は、発泡スチロール製カップと同程度の断熱性能を実現できることも確認できた。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明の2重構造断熱紙カップは、簡単な構造で紙カップ上部から下部まで同間隔の空気層を有する構成を実現したので、断熱性能に優れていると同時に、安価に製造することができる。また、外装材にエンボス加工等を施す構造でないので、紙カップ外面が平滑で、鮮明な印刷が可能な紙カップである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断熱紙カップの断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断熱紙カップの断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断熱紙カップの断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断熱紙カップの断面図である。
【図5】本発明の第5の実施の態様を示す、断熱紙カップの部分断面図である。
【図6】先行技術に開示された断熱紙カップの一部を切り欠いて表示した断面図である。
【図7】本発明の第6の実施の態様を示す断熱紙カップの一部を切り欠いて表示した断面図である。
【図8】本発明の第7の実施の態様を示す断熱紙カップの一部を切り欠いて表示した断面図である。
【図9】本発明の第8の実施の態様を示す断熱紙カップの一部を切り欠いて表示した断面図である。
【図10】本発明の断熱紙カップの外装材の下部開口端部の内向き折り込み部の形状を示す図である。
【図11】本発明の断熱紙カップの外装材の下部開口端部の内向記折り込み部の形状を示す図である。
【符号の説明】
1 2重断熱紙カップ
2 紙カップ本体
3 外装材
4 紙カップ本体の底板
5 紙カップ本体の上部開口端部の外向きカール部
6 外装材の下部開口端部の内向き折り込み部
7 外装材の上部開口端部の内向き折り込み部
8 紙カップ本体と外装材の間の空隙
9 紙カップ本体の上部開口端部付近のプレス線(直線状押し型)
10 紙カップ本体の胴部中間に設けた突起部
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙製のカップ状容器に関し、特に、即席麺類などの容器のように、カップに高温のお湯を充填して食する際に、消費者が容器の表面を手で持った状態で十分耐え得る温度範囲に保つことのできる断熱性を付与した紙製のカップ状容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
即席麺類や即席味噌汁等に用いるカップ状容器は、従来、耐熱性、断熱性と保温性の面から発泡スチロール容器やPS(ポリスチレン;以下同)成型容器が広く使用されてきた。特に、発泡スチロール容器は安価でかつ断熱性に優れた特性をもち、即席麺類容器の主流となってきた。食品容器の機能として、流通包装容器機能、調理容器機能、食器機能の3つの機能が要求されるが、発泡スチロール容器やPS成型容器はこれらの機能を備えた容器である。
【0003】
しかしながら、発泡スチロール容器やPS成型容器は戸外に廃棄された場合、あるいは埋め立てた場合には、自然界で分解されないという問題があり、長期にわたり環境を汚染するという問題があった。従って、ほとんどの場合、発泡スチロール容器やPS成型容器は焼却処分されているが、この場合にも焼却炉を傷める等の問題がある。
【0004】
近年、地球環境の維持の観点から、省エネルギー、循環型社会の構築という社会的要請があり、カップ状容器として紙製のカップ状容器を使用したいという要望が強い。
従来、紙製のカップ状容器、すなわち、「紙カップ」を利用した即席麺用容器としては、紙カップの表面に断熱性を持たせるために片面段ボールシートを重ね合わせたものや、厚手の多層板紙を巻きつけているもの、外装材に凹凸エンボス処理した部材を使って断熱性を付与した2重紙カップなどが見受けられる。しかしながら、これらは使用部材点数が多く、加工工程が増えてコストアップとなっていた。また、表面の凹凸は美粧印刷適性に欠ける場合があるし、厚手の板紙の場合は、紙カップと直に接触している状態では断熱性能が劣っていた。
【0005】
最近、自動販売機やファミリーレストラン等では、PE(ポリエチレン;以下同)ラミネート紙を加熱し、原紙水分の蒸発によってPE面を発泡させた小型容器も見られるが、PE層の発泡倍率が高くなく断熱性能が充分ではないし、また、表面の印刷性も劣っており、更には、樹脂が自然分解しないのでゴミとなることが指摘されていた。
【0006】
そこで、紙カップに断熱材を巻いた容器のうち、一つの方法として、擬似的に2つのカップを重ね合わせて中間部に空気層を作る方法が提案されている(特許文献1参照)。図6に、この容器を示す。
しかしながら、この容器は、外装材の上部開口部に内カップに挿入後の空隙を発生させる段差処理が施されていないために、外装材が直接内部容器外面と接触し、且つ容器上部においては空気層が極めて狭いので、断熱性能が十分でなく、長時間手で持つと手が熱くなることがある。
【0007】
【特許文献1】
実用新案登録第2571797号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、断熱性能を充分に備え、かつカップ表面の印刷特性も充分に保持した2重構造の断熱性紙カップを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは紙カップを利用した断熱容器の構造を鋭意検討し、エンボス加工のような手法を用いないで、紙カップの上部から下部まで2重壁の間隔をほぼ等しくなるような構造とすることにより、断熱性と表面印刷特性を両立させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は下記の発明を包含する。
【0010】
(1)底板で閉鎖されている底部から上部開口部に向かって径が増大している円錐台形筒状胴部の上部開口部に、開口部端部を全周にわたって外向きに折り曲げ成形することによって形成されている外向きカール部を有する紙カップ本体を、該紙カップ本体と相似形で、紙カップ本体の胴部よりわずかに大きな径を有し、かつ上部及び下部の両開口部に両開口部端部を全周にわたって内向きに折り曲げ成形して形成されている内向き折り込み部を有する円筒状外装材に嵌め込むことによって形成されており、円筒状外装材の上部開口部及び下部開口部における両内向き折り込み部と紙カップ本体外壁との当接部によって囲まれる紙カップ本体の外壁と外装円筒体内壁の間にほぼ均一間隔の空間部が形成されていることを特徴とする2重構造断熱紙カップ。
【0011】
(2)前記紙カップ本体の上部開口部の外向きカール部の断面形状が円形、半円形、又は楕円形のいずれかであることを特徴とする(1)記載の2重構造断熱紙カップ。
【0012】
(3)前記円筒状外装材の上部開口部と下部開口部における両内向き折り込み部と紙カップ本体の外壁との当接部及び円筒状外装材の上部開口部と紙カップ本体の上部開口部の外向きカール部の下部との当接部のうちの少なくとも1つの当接部は接着されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0013】
(4)前記円筒状外装材の上部開口部及び下部開口部における内向き折り込み部の少なくとも一方は、その断面形状がコ字状となるように開口端部を内向きに2段階に折り曲げて形成されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0014】
(5)前記円筒状外装材の上部開口部及び下部開口部における内向き折り込み部の少なくとも一方は、その開口端部を内向きに断面円形状、断面半円形状、断面S字状等となるように折り曲げて形成されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0015】
(6)紙カップ本体の外向きカール部の下方位置の筒状胴部外壁には、さらに連続帯状の外向き突起部が該胴部を一周して形成されており、円筒状外装材の上部開口部端部と前記紙カップ本体の連続帯状の外向き突起部との当接部と、円筒状外装材の下部開口部の内向き折り込み部と紙カップ本体の外壁面との当接部とによって離間されている、紙カップ本体の外壁と外装円筒体内壁の間にほぼ均一間隔の空間部が形成されていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0016】
本発明は更に下記の発明を包含する。
(7)底板で閉鎖されている底部から上部開口部に向かって径が増大している円錐台形筒状胴部の上部開口部に、開口部端部を全周にわたって外向きに折り曲げ成形することによって形成されている外向きカール部を有し、該カール部の下方位置の前記筒状胴部外壁には、該胴部を一周して形成されている連続帯状の突起部を有する紙カップ本体を、該紙カップ本体と相似形で、紙カップ本体の胴部よりわずかに大きな径を有し、かつ下部の開口部に該開口部端部を全周にわたって内向きに折り曲げ成形して形成されている内向き折り込み部を有する円筒状外装材に嵌め込むことによって形成されており、円筒状外装材の上部開口部端部と紙カップ本体の前記外向きカール部の下部との当接部及び/又は円筒状外装材の内壁面と前記紙カップ本体の連続帯状の外向き突起部との当接部と、円筒状外装材の下部開口部の内向き折り込み部と紙カップ本体の外壁面との当接部とによって離間されている紙カップ本体の外壁と外装円筒体内壁の間にほぼ均一間隔の空間部が形成されていることを特徴とする2重構造断熱紙カップ。
【0017】
(8)前記紙カップ本体の上部開口部の外向きカール部の断面形状が円形、半円形、又は楕円形のいずれかであることを特徴とする(7)記載の2重構造断熱紙カップ。
【0018】
(9)前記円筒状外装材と前記紙カップ本体との前記各当接部の少なくとも一当接部は接着されていることを特徴とする(7)又は(8)に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0019】
(10)前記円筒状外装材の下部開口部における内向き折り込み部は、その断面形状がコ字状となるように開口端部を内向きに2段階に折り曲げて形成されていることを特徴とする(7)〜(9)のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0020】
(11)前記円筒状外装材の下部開口部における内向き折り込み部は、その開口端部を内向きに断面円形状、断面半円形状、断面S字状等となるように折り曲げて形成されていることを特徴とする(7)〜(9)のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明は、紙カップ本体と、紙カップ本体と相似形で、かつそれよりもわずかに大きな寸法の外装材を紙カップ本体を内側に、外装材を外側にして重ね合わせ、両者の上部及び下部開口端部を紙カップ本体(内カップ)と外装材の間に折り込んでスペーサーとすることにより、両者の間にほぼ均一な空間(空気層)を形成し、紙カップの断熱性を向上させていることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の紙カップの2重壁の空隙寸法は、特に限定はしないが、0.5mm〜3mm程度が好ましく、1mm〜2mmであることが更に好ましい。
空隙寸法は、外装材の内向きに折り込まれた上部及び下部開口端部の厚さによって調節することができる。例えば、上部及び下部開口端部の折り込み枚数を増やすことによって紙カップ本体と外装材間の空隙が増して断熱性能が向上する。
開口端部の折り込みは、あらかじめ施した罫線に沿って2段階に折り込む構造としてもよい。
また、紙カップ本体の胴部中間の比較的上方に、断面が円弧状又はドウェル形状の突起部を設けて、突起部の大きさを変える事によっても調節することができる。
【0023】
本発明において、紙カップ本体と外装材は紙を主体とした部材より作られる。ここで「紙を主体とした部材」には、通常の紙、板紙のほか、PE、PPなどの熱可塑性樹脂をラミネートした紙、板紙等も含まれる。
中でも紙カップ本体の材料としては、特に限定されるものではないが、坪量150〜300g/m2程度の板紙が好ましい。また、外装材としては、主として坪量200〜400g/m2程度の板紙が好ましい。
【0024】
このように、本発明においては外装材にエンボス加工等の構造を用いていないので、外装材に表面ラベルを貼っても印刷表示が鮮明であり、更に、中間部の空気層として必要十分な厚さを確保することができるので容器としての断熱性が充分保たれる。
【0025】
本発明の2重構造断熱紙カップは、次のような方法により製造することができる。製造装置としては、シート打ち抜き装置、カップ成型機、巻き付け外装機を使用する。
断熱紙カップの紙カップ本体は公知の紙カップ成型機によって成型され、基本的には、扇状に打ち抜かれたPEラミネート済ブランクの胴貼り部をヒートシールして円筒状の胴部を形成した後、別途、用意したラミネート済の巻取紙から底板材料を円形に打ち抜き、コの字型に絞り成型した後、胴部と一体化させる。その後、底部のシールを行い、上部開口端部のカール成型等を実施して紙カップ本体の成型を完了する。
【0026】
外装材は、主として印刷された板紙から打ち抜きを行い、扇形に形成された部材を円筒状に折り曲げ、胴貼り部を糊付けシールして、下部開口端部、あるいは上部開口端部と下部開口端部の両端部に、折り込みもしくは絞り込みの処理を施す。この後、紙カップ本体を内側に、外装材を外側にして重ね合わせ、所定部分を糊付け等の方法にて接着させ、紙カップ本体と外装材の間に空隙を持つ本発明の2重構造断熱紙カップを得ることができる。
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の実施の態様を説明する。
図1は、本発明の2重構造断熱紙カップの第1の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図1において、2重構造断熱紙カップ1は、紙カップ本体2と、紙カップ本体よりもわずかに大きな寸法を有する外装材3が、紙カップ本体2を内側に、外装材3を外側にして重ね合わされている。
【0028】
紙カップ本体2の胴部は、底板で閉鎖されている底部から上部開口部に向かって径が増大している円錐台形のテーパを有し、上部開口端部は外向きにカール状に折り込まれ、ほぼ円形の外向きカール部5を形成している。底部には、底板4が紙カップ本体2の内面(内側)に接着固定されている。
また、外装材3は、紙カップ本体の胴部と相似形のテーパを有し、上部開口端部はほぼ直角に内向きに折り込まれて、内向き折り込み部7を形成し、内向き折り込み部7の先端部が紙カップ本体2の外壁に当接し、当接部が紙カップ本体2の外壁に接着されると共に、内向き折り込み部7の大部分が紙カップ本体2の外向きカール部5の下部に当接している。
【0029】
更に、外装材3の下部開口端部には内向き折り込み部6が形成されており、内向き折り込み部6の一部が紙カップ本体2の外壁に当接し、当接部が紙カップ本体に接着されている。
その結果、紙カップ本体2と外装材3の間には、紙カップの上部から下部までほぼ同一間隔の空間部(空隙8)が形成されており、この空間部が断熱層としての作用を有している。
【0030】
図2は、本発明の2重構造断熱紙カップの第2の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図2の例においては、外装材3の上部開口端部の内向き折り込み部7は鋭角に内向きに折り込まれ、その先端部が紙カップ本体の外壁に当接し、当接部が紙カップ本体に接着されると共に、鋭角をなす折り込み部7が折り曲げ点で外装材の上部開口端部の外向きカール部5に当接している。その他の構成は 図1の例と同様である。
【0031】
図3は、本発明の2重構造断熱紙カップの第3の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図3の例においては、外装材3の上部開口端部の内向き折り込み部7が内向きに2段階に(S字型、図11のG参照)折り込まれている。
また、紙カップ本体2の上部開口端部付近には、紙カップ本体2を内側からプレス成型して、紙カップ本体2の外側方向に折り込みした、縦方向の多数のプレス線9(直線状押し型)を浮き出させている。
このプレス線9により、紙カップ本体2の上部開口端部は内側に絞り込まれ、また、外装材3の内向き折り込み部7のS字型の一辺がプレス線9に接触し、該接触部が接着されている。
その他の構成は図1の例と同様である。
【0032】
図4は、本発明の2重構造断熱紙カップの第4の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図4の例においては、図1に示す紙カップ本体2の胴部中間の比較的上方に、断面が円弧状の突起部10を紙カップ本体2の胴部を一周する形で設けている。
この周辺部への突起加工は、紙カップ本体2の成型後、偏芯する円盤をカップの内側に入れて徐々に外周に接することで加工が可能である。もしくは内部より割方で周方向に広げることでもほぼ連続した突起が得られる。
外装材3には、上部開口端部、下部開口端部の両方に内向き折り込み6、7を設けて、上部開口端部の内向き折り込み部7が紙カップ本体2の突起部10の上方に接するようにし、該上部開口端部の内向折り込み部7を紙カップ本体2と接着固定する。この例では、紙カップ本体2の外向きカール部5と、外装材3の上部開口端部の内向き折り込み部7は接していない。
その他の構造は、 図1と同様であり、紙カップの上方から下方まで、同一厚さの空間(空気層)を形成している。
【0033】
図5は、本発明の2重構造断熱紙カップの第5の実施の態様を示す部分断面図である。
図5の例においては、図4の紙カップ本体2の突起部10の位置を更に上方に設けて、紙カップ本体2の上部開口端部の外向きカール部5と突起部10の間に外装材3の上部開口端部の内向折り込み部7をはさみ、内向折り込み部7の一部を紙カップ本体2の外壁と接着固定する。
【0034】
図6は、先行技術に開示された2重構造断熱紙カップの一部を切り欠いて表示した断面図である。
図6の例においては、外装材3が上部開口端縁で内向き折り込み部を持たず、直接紙カップ本体2の外壁と接触し、容器上部においては空気層が極めて狭いので断熱性が充分ではない。
【0035】
図7は、本発明の2重構造断熱紙カップの第6の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図7の例においては、紙カップ本体2の突起部10の位置を、図5の突起部10の位置よりも更に上方に設け、紙カップ本体2の上部開口端部の外向きカール部5の下部と突起部10が接している。
外装材3の上部開口端部は内向き折り込み部を持たず、外装材内壁と紙カップ本体2の突起部10が接触するとともに、外装材3の上部開口端縁は紙カップ本体2の外向カール部5の下部に突き当たるように接触し、接着されてている。また、下部開口端部の内向き折り込み部7は2重に折り込まれた構造となっている。
【0036】
図8は、本発明の2重構造断熱紙カップの第7の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図8の例においては、図7の形態の外装材3の下部開口端縁の内向き折り込み部をW状に折り込んだ構造としたものである。これによって紙カップ本体2に対して外装材3の厚みの2倍以上の空隙を得ることができ、断熱性が一層向上する。
【0037】
図9は、本発明の2重構造断熱紙カップの第8の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断面図である。
図9の例においては、紙カップ本体2の突起部10の形状を変えた例を示す。この形状はいわゆるドウェル形状といわれるものである。
【0038】
図10、11は、本発明の2重構造断熱紙カップの外装材3の下部開口端縁の内向折り込み部6の形状を示す図である。
図10のAは端部を円形に折り込み、その先端を外装材外面にほぼ接触させている。
Bは端部を半円形に折り込み、その先端を外装材外面から離している。
Cは端部を180°の方向に折り込み、その先端を外装材外面に接触させている。
Dは端部を半円形に折り込み、さらにその先端を180°の方向に折り込み、180°折り込み部は外装材外面から離している。
Eは端部を2重に180°の方向に折り込み、その先端を外装材外面に接触させている。
【0039】
図11のFは、端部を半円形に折り込み、その先端を外装材外面から離している。この例は、図10のBと同じ形状であるが、半円形が大きく、例えば、更に図11のGのように加工する場合、加工しやすい。
図11のGは端縁をW状に折り込み、その先端を外装材外面から離している。Hは端縁をW状に折り込み、その先端を外装材外面に接触させている。
【0040】
【実施例】
<効果確認試験>
次に、本発明の紙カップの断熱性能を確認するための試験を実施したので、その結果について説明する。試験には、従来からある図6に示す形状の紙カップ(空気層部分の最大空隙厚さ1.5mmのカップ)と、本発明の 図1に示す紙カップ(空気層部分の空隙厚さ1.5mmの紙カップと、2.0mmの紙カップ)を試験用に作成して使用した。尚、いずれの紙カップも、紙カップ本体(内カップ)胴体部分は、内側にポリエチレン樹脂をラミネート加工した坪量260g/m2の板紙を、外装材は坪量350g/m2の板紙を使用して作成した。
【0041】
断熱性能試験は、それぞれの紙カップに、95°Cのお湯を容器上面より約10mm低い位置まで充填してアルミ箔で密封し、3分間経過後、試験者が紙カップ胴体の上下方向中央付近を手で保持し、通常の感覚で何秒間保持可能かを調べることにより行なった。
試験結果は表1に示す通りであり、この結果から本発明の2重構造断熱紙カップは、従来の2重構造断熱紙カップより断熱性能が優れていることが確認できた。
また、発泡スチロール製カップ(約1.7mm厚さ)について、別途同様の試験を実施した結果、保持可能時間として80〜100秒程度の数値が得られ、本発明品は、発泡スチロール製カップと同程度の断熱性能を実現できることも確認できた。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明の2重構造断熱紙カップは、簡単な構造で紙カップ上部から下部まで同間隔の空気層を有する構成を実現したので、断熱性能に優れていると同時に、安価に製造することができる。また、外装材にエンボス加工等を施す構造でないので、紙カップ外面が平滑で、鮮明な印刷が可能な紙カップである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断熱紙カップの断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断熱紙カップの断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断熱紙カップの断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の態様を示す、一部を切り欠いて表示した断熱紙カップの断面図である。
【図5】本発明の第5の実施の態様を示す、断熱紙カップの部分断面図である。
【図6】先行技術に開示された断熱紙カップの一部を切り欠いて表示した断面図である。
【図7】本発明の第6の実施の態様を示す断熱紙カップの一部を切り欠いて表示した断面図である。
【図8】本発明の第7の実施の態様を示す断熱紙カップの一部を切り欠いて表示した断面図である。
【図9】本発明の第8の実施の態様を示す断熱紙カップの一部を切り欠いて表示した断面図である。
【図10】本発明の断熱紙カップの外装材の下部開口端部の内向き折り込み部の形状を示す図である。
【図11】本発明の断熱紙カップの外装材の下部開口端部の内向記折り込み部の形状を示す図である。
【符号の説明】
1 2重断熱紙カップ
2 紙カップ本体
3 外装材
4 紙カップ本体の底板
5 紙カップ本体の上部開口端部の外向きカール部
6 外装材の下部開口端部の内向き折り込み部
7 外装材の上部開口端部の内向き折り込み部
8 紙カップ本体と外装材の間の空隙
9 紙カップ本体の上部開口端部付近のプレス線(直線状押し型)
10 紙カップ本体の胴部中間に設けた突起部
Claims (11)
- 底板で閉鎖されている底部から上部開口部に向かって径が増大している円錐台形筒状胴部の上部開口部に、開口部端部を全周にわたって外向きに折り曲げ成形することによって形成されている外向きカール部を有する紙カップ本体を、該紙カップ本体と相似形で、紙カップ本体の胴部よりわずかに大きな径を有し、かつ上部及び下部の両開口部に両開口部端部を全周にわたって内向きに折り曲げ成形して形成されている内向き折り込み部を有する円筒状外装材に嵌め込むことによって形成されており、円筒状外装材の上部開口部及び下部開口部における両内向き折り込み部が紙カップ本体外壁に当接することによって離間されている紙カップ本体の外壁と外装円筒体内壁の間にほぼ均一間隔の空間部が形成されていることを特徴とする2重構造断熱紙カップ。
- 前記紙カップ本体の上部開口部の外向きカール部の断面形状が円形、半円形、又は楕円形のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の2重構造断熱紙カップ。
- 前記円筒状外装材の上部開口部と下部開口部における両内向き折り込み部と紙カップ本体の外壁との当接部及び円筒状外装材の上部開口部と紙カップ本体の上部開口部の外向きカール部の下部との当接部のうちの少なくとも1つの当接部は接着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の2重構造断熱紙カップ。
- 前記円筒状外装材の上部開口部及び下部開口部における内向き折り込み部の少なくとも一方は、その断面形状がコ字状となるように開口端部を内向きに2段階に折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
- 前記円筒状外装材の上部開口部及び下部開口部における内向き折り込み部の少なくとも一方は、その開口端部を内向きに断面円形状、断面半円形状、断面S字状等となるように折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
- 紙カップ本体の外向きカール部の下方位置の筒状胴部外壁には、さらに連続帯状の外向き突起部が該胴部を一周して形成されており、円筒状外装材の上部開口部端部と前記紙カップ本体の連続帯状の外向き突起部との当接部と、円筒状外装材の下部開口部の内向き折り込み部と紙カップ本体の外壁面との当接部とによって離間されている、紙カップ本体の外壁と外装円筒体内壁の間にほぼ均一間隔の空間部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
- 底板で閉鎖されている底部から上部開口部に向かって径が増大している円錐台形筒状胴部の上部開口部に、開口部端部を全周にわたって外向きに折り曲げ成形することによって形成されている外向きカール部を有し、該カール部の下方位置の前記筒状胴部外壁には、該胴部を一周して形成されている連続帯状の突起部を有する紙カップ本体を、該紙カップ本体と相似形で、紙カップ本体の胴部よりわずかに大きな径を有し、かつ下部の開口部に該開口部端部を全周にわたって内向きに折り曲げ成形して形成されている内向き折り込み部を有する円筒状外装材に嵌め込むことによって形成されており、円筒状外装材の上部開口部端部と紙カップ本体の前記外向きカール部の下部との当接部及び/又は円筒状外装材の内壁面と前記紙カップ本体の連続帯状の外向き突起部との当接部と、円筒状外装材の下部開口部の内向き折り込み部と紙カップ本体の外壁面との当接部とによって離間されている紙カップ本体の外壁と外装円筒体内壁の間にほぼ均一間隔の空間部が形成されていることを特徴とする2重構造断熱紙カップ。
- 前記紙カップ本体の上部開口部の外向きカール部の断面形状が円形、半円形、又は楕円形のいずれかであることを特徴とする請求項7記載の2重構造断熱紙カップ。
- 前記円筒状外装材と前記紙カップ本体との前記各当接部の少なくとも一当接部は接着されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の2重構造断熱紙カップ。
- 前記円筒状外装材の下部開口部における内向き折り込み部は、その断面形状がコ字状となるように開口端部を内向きに2段階に折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
- 前記円筒状外装材の下部開口部における内向き折り込み部は、その開口端部を内向きに断面円形状、断面半円形状、断面S字状等となるように折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の2重構造断熱紙カップ。
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