JP2004224117A - タイヤ/ホイール組立体及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】専用のリム組み装置を不要にしてリム組み作業を容易にすると共に、ブレーキ装置等が設置されるリム内径側のスペースを広くし、更にランフラット走行時におけるトレッド部の補強層の損傷を防止することが可能なタイヤ/ホイール組立体及びそれに使用する空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りタイヤ1をトレッド部4とトレッド部4の両側に配設した左右のサイドウォール部5とのみから構成する。トレッド部4は補強層6,8,9の内周側に補強層6,8,9を保護するための保護ゴム層12を有している。サイドウォール部5の内周端部5aをリム3とクランプリングXとの間に挟持固定することで、空気入りタイヤ1をリム3にリム組みしてある。
【選択図】図1
【解決手段】空気入りタイヤ1をトレッド部4とトレッド部4の両側に配設した左右のサイドウォール部5とのみから構成する。トレッド部4は補強層6,8,9の内周側に補強層6,8,9を保護するための保護ゴム層12を有している。サイドウォール部5の内周端部5aをリム3とクランプリングXとの間に挟持固定することで、空気入りタイヤ1をリム3にリム組みしてある。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ/ホイール組立体及び空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、リム組み作業を容易にすると共にブレーキ装置等が設置されるスペースを広くし、更にランフラット走行時のトレッド部補強層の損傷を防止するようにしたタイヤ/ホイール組立体及びそれに使用する空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来技術】
一般に、空気入りタイヤは、図5に示すように、スチールワイヤを巻回したビードコア31を埋設したビード部32をリム33のビードシート34とフランジ35に圧接した状態でホイールのリム33に固定することにより、リム33に強固に組み付けかつ空気漏れを防ぐようにしている。
【0003】
そのため、フランジ35の外径が剛性の高いビードコア31を埋設したビード部32より大きくならざるを得ず、その結果、外径の大きいフランジ35を乗り越えてビード部32をリム33に装着するには、専用のリム組み装置が必要であり、リム組み作業性が極めて悪い。
【0004】
また、リム組み時に、ビード部32をリム底に向かって斜めに落とし込みながら順次フランジ35を乗り越えさせるため、落とし込まれたビード部を受け入れるためのホイール径方向内側に陥没するドロップ部36が設けられるが、そのドロップ部36によりリムの内径側に形成されるスペースが狭くなるため、車両装着時にその空間に配置されるブレーキ装置等が寸法の制限を受ける。
【0005】
従来、上記スペースを広くするようにしたランフラット用のタイヤ/ホイール組立体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このタイヤ/ホイール組立体は、ビード部をリム内側に嵌め込むように構成したものである。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−62417号公報(第2−10頁、第1−13図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、剛性の高いビードコアを埋設したビード部をリムに嵌め込むには上記と同様に専用のリム組み装置が必要であり、リム組み作業性の問題は解消されていない。
【0008】
また、パンク等により内圧がゼロになった所謂ランフラット走行時にトレッド部がリムに接触するため、トレッド部に配置したカーカス層等の補強層が損傷し、ランフラット走行後に空気入りタイヤを再使用できない場合が起こりうる。
【0009】
本発明の目的は、専用のリム組み装置を不要にしてリム組み作業を容易に行うことができ、かつブレーキ装置等が設置されるリム内径側のスペースを広くし、更にランフラット走行時におけるトレッド部の補強層の損傷を防止することが可能なタイヤ/ホイール組立体及びそれに使用する空気入りタイヤを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤをトレッド部と該トレッド部の両側に配設した左右のサイドウォール部とのみから構成し、前記トレッド部を補強層の内周側に該補強層を保護する保護ゴム層を有する構成にし、前記サイドウォール部の内周端部をホイールのリムとクランプリングとの間に挟持固定したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の空気入りタイヤは、トレッド部と該トレッド部の両側に配設した左右のサイドウォール部とのみから構成し、前記トレッド部を補強層の内周側に該補強層を保護する保護ゴム層を有する構成にしたことを特徴とする。
【0012】
上述した本発明によれば、剛性の高いビードコアを埋設したビード部を備えていない、トレッド部と左右のサイドウォール部とからなる空気入りタイヤを使用し、そのサイドウォール部の内周端部をリムとクランプリングとの間に挟持固定すればよいため、専用のリム組み装置を用いることなく空気入りタイヤをリムに容易に組み付けることができる。
【0013】
また、リム組み時にビード部を落とし込むようなドロップ部が不要であるため、ブレーキ装置等が設置されるリム内径側のスペースを広くすることが可能になる。
【0014】
更に、トレッド部を補強層の内周側に保護ゴム層を有する構成にしたので、ランフラット走行時にトレッド部がリムに接触した際に保護ゴム層が緩衝層として働くので、トレッド部の補強層が損傷するのを防ぐことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明のタイヤ/ホイール組立体を示し、1は空気入りタイヤ、2はリム3に空気入りタイヤ1を組み付けたホイール、Xは空気入りタイヤ1をリム3に固定するためのクランプリングである。
【0017】
空気入りタイヤ1は、トレッド部4と、そのタイヤ幅方向の両側に配設した左右のサイドウォール部5とのみから構成され、従来具備しているビードコアを埋設したビード部を備えていない。
【0018】
タイヤ内にタイヤ幅方向に延在する補強コードをタイヤ周方向に沿って所定の間隔で配置した2層のカーカス層6が設けられている。両カーカス層6は左右のサイドウォール部5の内周端近傍まで延在し、そのカーカス層6間に内部の空気の透過を防止するライナー層7が配置してある。
【0019】
トレッド部4のカーカス層外周側及び内周側には、タイヤ周方向に対して傾斜した補強コードをタイヤ周方向に沿って所定の間隔で配置したベルト層8,9がそれぞれ設けられている。両ベルト層8,9は、補強コードの傾斜方向を逆向きにして交差するようにした各1層のベルト層から構成してもよいが、好ましくは、引き揃えた補強コードをゴム層に埋設したストリップ材をタイヤ周方向にジグザグ状に巻き付け、ベルトエッジに補強コードの切断端がない構造のベルト層を用いるのが、タイヤ内側となるベルト層のエッジによるカーカス層6の損傷を回避する上で好ましい。
【0020】
トレッド部4の外周面に位置するトレッド面10には、溝11を有するトレッドパターンが設けられている。トレッド部4の内側のベルト層9の内周側には、タイヤ周方向に延在する保護ゴム層12が設けられている。この保護ゴム層12は、ランフラット走行時にトレッド部4がリム3に接触した際にクッション層として作用し、トレッド部4内に配置した補強層(カーカス層7、ベルト層8,9)を保護し、その損傷を防止するものである。
【0021】
タイヤ空洞部Sに面する保護ゴム層12の表面12aには、溝13を有するトレッドパターンが形成されている。リム3から外した空気入りタイヤ1は、図2に示すように、トレッド部4の両側から左右のサイドウォール部5がタイヤ径方向内側にハ字状に延在し、タイヤの内面と外面とを裏返すことにより、図3に示す同様の断面形状を有するタイヤにすることができ、トレッド部4の両面(トレッド面10と保護ゴム層12の表面12a)を使用可能にしている。
【0022】
ホイール2は、不図示のディスクの外周側に設けられたリム3を有している。リム3は、ディスクに固設した環状のリム本体15と、このリム本体15の両側に配置した環状の左右のクランプ部16を備えている。肉厚を略一定にしたリム本体15は、その断面形状を複数の凹凸部17を有する凹凸状にしている。両クランプ部16間に周方向に凹凸が延在する断面凹凸状のリム本体15を配置することにより、リム半径方向の強度を高くしている。
【0023】
各凸部の突端はホイール軸から略等距離にあり、実質的に同一径になっている。凹凸部17は、凹凸差mを3〜10mmにした波型形状にするのがよい。リム本体15の両端には、径方向内側に突出した環状突起18が設けられており、この環状突起18にクランプリングXを当接させてサイドウォール部5の内周端部5aを挟持するようにしている。
【0024】
クランプ部16の内周面はサイドウォール部5の内周端部5aを挟持する挟持面19になっており、この挟持面19はホイール軸方向においてリム3の幅方向内側になる程外径側に位置する傾斜面に形成されている。このような傾斜面にすることにより、ランフラット走行時にリム3のクランプ部16が破損した際に、クランプリングXが外側に飛び出すのを防ぐようにしている。クランプ部16は、凸部の突端よりも径方向内側に位置している。
【0025】
クランプリングXは、リム幅方向に延在する板状の環状体から構成されている。この環状体の外周面が、サイドウォール部5の内周端部5aを挟持する挟持面X1が形成され、上記挟持面19と同じ角度で傾斜している。クランプリングXは、図4に示すように、リングを横断する台形状の切欠き部X2を有し、この切欠き部X2に連結部材X3を配置するようになっている。連結部材X3は、切欠き部X2より大きい台形状に形成され、一側面に鍔部X4を取り付けたボルトX5が螺合するネジ孔X6が設けられている。
【0026】
連結部材X3を矢印方向から切欠き部X2に挿入し、ボルトX5をネジ孔X6に螺合させて締め込むことで、連結部材X3が切欠き部X2を押し広げながら前進し、それによりクランプリングXが拡径して挟持面X1,19間でサイドウォール部5の内周端部5aを挟持できるようにしている。
【0027】
上述したタイヤ/ホイール組立体において、空気入りタイヤ1をホイール2のリム3に組み付けるには、先ず、ホイール軸方向を上下方向にしたホイール2の一方(上側となる)のリム3のクランプ部16の内径側に、ボルトX5の先端部をネジ孔X6に螺合させた状態にして切欠き部X2に連結部材X3を配置したクランプリングXを環状突起18上に載置した後、クランプリングXとクランプ部16の挟持面X1,19の間に一方のサイドウォール部5の内周端部5aを挿入する。ボルトX5を締め込んで連結部材X3を切欠き部X2内に前進させ、それにより拡径するクランプリングの挟持面X1とクランプ部16の挟持面19でサイドウォール部5の内周端部5aを挟持し、固定する。次いで、ホイール2の他方側を上側にした後、上記と同様にして、他方のサイドウォール部5の内周端部5aを他方のクランプ部16とクランプリングXの挟持面X1,19間で挟持固定する。
【0028】
このように本発明では、トレッド部4と左右のサイドウォール部5とのみからなる空気入りタイヤ1を使用し、そのサイドウォール部5の内周端部5aをリム3とクランプリングXとの間に挟持固定するようにしたので、専用のリム組み装置を不要にし、リム組み作業を容易にすることができる。また、リム組み時にビード部を落とし込むようなドロップ部を設ける必要がないため、ブレーキ装置等が設置されるリム内径側のスペースを広くすることができる。
【0029】
更に、トレッド部4を補強層の内周側に保護ゴム層12を有する構成にしたので、ランフラット走行時にトレッド部4がリム3に接触した時に保護ゴム層12が緩衝層として作用するため、トレッド部4内に配置したカーカス層7やベルト層8,9などの補強層の損傷を容易に招くことがない。
【0030】
また、空気入りタイヤ1を裏返して使用することができるため、タイヤ寿命を大幅に延ばすことができ、更に、トレッド面10と保護ゴム層12の表面12aのトレッドパターンやトレッド面10を構成するゴム部Gと保護ゴム層12のゴム材料を変えることで、例えば、一方を操縦安定性指向のタイヤとして、他方をスタッドレスタイヤとして使用することが可能になり、ユーザーの嗜好や季節によってタイヤ性能を変更することが可能になる。
【0031】
本発明において、上述した保護ゴム層12の厚さとしては、5mm以上にするのが上述した保護効果を効果的に発揮する上でよい。上限値としては、タイヤ質量増加防止の点から15mm以下にするのがよい。
【0032】
挟持面19,X1の傾斜角度は、ホイール軸方向に対して5〜30°の範囲にするのが好ましい。傾斜角度が5°未満ではリム3のクランプ部16が破損した際にクランプリングXが外側に飛び出す危険があり、逆に30°超ではサイドウォール部5の内周端部5aを挟持する際の締付け力の低下を招く。
【0033】
クランプリングXは、上述した構成に限定されず、クランプリングXを径方向外側に拡大できる構成であれば、いずれの構成であってもよい。
【0034】
リム本体15は、上記のように複数の凹凸部17を有する凹凸形状にするのがリム半径方向の強度を高め、ランフラット走行時に路面段差等を走行してもリム3が容易に変形することがないので好ましいが、当然のことながら直線状であってもよい。
【0035】
【発明の効果】
上述したように本発明は、空気入りタイヤをトレッド部と該トレッド部の両側に配設した左右のサイドウォール部とのみから構成し、トレッド部を補強層の内周側に該補強層を保護する保護ゴム層を有する構成にし、サイドウォール部の内周端部をホイールのリムとクランプリングとの間に挟持固定したので、リム組み装置を不要にしてリム組み作業を容易に行うことができ、またブレーキ装置等が設置されるリム内径側のスペースを広くすることが可能になり、更にランフラット走行時のトレッド部補強層の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ/ホイール組立体の一例を示す断面図である。
【図2】図1の空気入りタイヤをホイールから外した状態で示す断面図である。
【図3】図2の空気入りタイヤを裏返しにした状態で示す断面図である。
【図4】図1のクランプリングの一例を示す要部斜視図である。
【図5】従来のタイヤ/ホイール組立体を示す断面図である。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ 2 ホイール
3 リム 4 トレッド部
5 サイドウォール部 5a 内周端部
6 カーカス層(補強層) 8,9 ベルト層(補強層)
10 トレッド面 11 溝
12 保護ゴム層 12a 表面
13 溝 15 リム本体
16 クランプ部 19 挟持面
S タイヤ空洞部 X クランプリング
X1 挟持面
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ/ホイール組立体及び空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、リム組み作業を容易にすると共にブレーキ装置等が設置されるスペースを広くし、更にランフラット走行時のトレッド部補強層の損傷を防止するようにしたタイヤ/ホイール組立体及びそれに使用する空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来技術】
一般に、空気入りタイヤは、図5に示すように、スチールワイヤを巻回したビードコア31を埋設したビード部32をリム33のビードシート34とフランジ35に圧接した状態でホイールのリム33に固定することにより、リム33に強固に組み付けかつ空気漏れを防ぐようにしている。
【0003】
そのため、フランジ35の外径が剛性の高いビードコア31を埋設したビード部32より大きくならざるを得ず、その結果、外径の大きいフランジ35を乗り越えてビード部32をリム33に装着するには、専用のリム組み装置が必要であり、リム組み作業性が極めて悪い。
【0004】
また、リム組み時に、ビード部32をリム底に向かって斜めに落とし込みながら順次フランジ35を乗り越えさせるため、落とし込まれたビード部を受け入れるためのホイール径方向内側に陥没するドロップ部36が設けられるが、そのドロップ部36によりリムの内径側に形成されるスペースが狭くなるため、車両装着時にその空間に配置されるブレーキ装置等が寸法の制限を受ける。
【0005】
従来、上記スペースを広くするようにしたランフラット用のタイヤ/ホイール組立体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このタイヤ/ホイール組立体は、ビード部をリム内側に嵌め込むように構成したものである。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−62417号公報(第2−10頁、第1−13図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、剛性の高いビードコアを埋設したビード部をリムに嵌め込むには上記と同様に専用のリム組み装置が必要であり、リム組み作業性の問題は解消されていない。
【0008】
また、パンク等により内圧がゼロになった所謂ランフラット走行時にトレッド部がリムに接触するため、トレッド部に配置したカーカス層等の補強層が損傷し、ランフラット走行後に空気入りタイヤを再使用できない場合が起こりうる。
【0009】
本発明の目的は、専用のリム組み装置を不要にしてリム組み作業を容易に行うことができ、かつブレーキ装置等が設置されるリム内径側のスペースを広くし、更にランフラット走行時におけるトレッド部の補強層の損傷を防止することが可能なタイヤ/ホイール組立体及びそれに使用する空気入りタイヤを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のタイヤ/ホイール組立体は、空気入りタイヤをトレッド部と該トレッド部の両側に配設した左右のサイドウォール部とのみから構成し、前記トレッド部を補強層の内周側に該補強層を保護する保護ゴム層を有する構成にし、前記サイドウォール部の内周端部をホイールのリムとクランプリングとの間に挟持固定したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の空気入りタイヤは、トレッド部と該トレッド部の両側に配設した左右のサイドウォール部とのみから構成し、前記トレッド部を補強層の内周側に該補強層を保護する保護ゴム層を有する構成にしたことを特徴とする。
【0012】
上述した本発明によれば、剛性の高いビードコアを埋設したビード部を備えていない、トレッド部と左右のサイドウォール部とからなる空気入りタイヤを使用し、そのサイドウォール部の内周端部をリムとクランプリングとの間に挟持固定すればよいため、専用のリム組み装置を用いることなく空気入りタイヤをリムに容易に組み付けることができる。
【0013】
また、リム組み時にビード部を落とし込むようなドロップ部が不要であるため、ブレーキ装置等が設置されるリム内径側のスペースを広くすることが可能になる。
【0014】
更に、トレッド部を補強層の内周側に保護ゴム層を有する構成にしたので、ランフラット走行時にトレッド部がリムに接触した際に保護ゴム層が緩衝層として働くので、トレッド部の補強層が損傷するのを防ぐことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明のタイヤ/ホイール組立体を示し、1は空気入りタイヤ、2はリム3に空気入りタイヤ1を組み付けたホイール、Xは空気入りタイヤ1をリム3に固定するためのクランプリングである。
【0017】
空気入りタイヤ1は、トレッド部4と、そのタイヤ幅方向の両側に配設した左右のサイドウォール部5とのみから構成され、従来具備しているビードコアを埋設したビード部を備えていない。
【0018】
タイヤ内にタイヤ幅方向に延在する補強コードをタイヤ周方向に沿って所定の間隔で配置した2層のカーカス層6が設けられている。両カーカス層6は左右のサイドウォール部5の内周端近傍まで延在し、そのカーカス層6間に内部の空気の透過を防止するライナー層7が配置してある。
【0019】
トレッド部4のカーカス層外周側及び内周側には、タイヤ周方向に対して傾斜した補強コードをタイヤ周方向に沿って所定の間隔で配置したベルト層8,9がそれぞれ設けられている。両ベルト層8,9は、補強コードの傾斜方向を逆向きにして交差するようにした各1層のベルト層から構成してもよいが、好ましくは、引き揃えた補強コードをゴム層に埋設したストリップ材をタイヤ周方向にジグザグ状に巻き付け、ベルトエッジに補強コードの切断端がない構造のベルト層を用いるのが、タイヤ内側となるベルト層のエッジによるカーカス層6の損傷を回避する上で好ましい。
【0020】
トレッド部4の外周面に位置するトレッド面10には、溝11を有するトレッドパターンが設けられている。トレッド部4の内側のベルト層9の内周側には、タイヤ周方向に延在する保護ゴム層12が設けられている。この保護ゴム層12は、ランフラット走行時にトレッド部4がリム3に接触した際にクッション層として作用し、トレッド部4内に配置した補強層(カーカス層7、ベルト層8,9)を保護し、その損傷を防止するものである。
【0021】
タイヤ空洞部Sに面する保護ゴム層12の表面12aには、溝13を有するトレッドパターンが形成されている。リム3から外した空気入りタイヤ1は、図2に示すように、トレッド部4の両側から左右のサイドウォール部5がタイヤ径方向内側にハ字状に延在し、タイヤの内面と外面とを裏返すことにより、図3に示す同様の断面形状を有するタイヤにすることができ、トレッド部4の両面(トレッド面10と保護ゴム層12の表面12a)を使用可能にしている。
【0022】
ホイール2は、不図示のディスクの外周側に設けられたリム3を有している。リム3は、ディスクに固設した環状のリム本体15と、このリム本体15の両側に配置した環状の左右のクランプ部16を備えている。肉厚を略一定にしたリム本体15は、その断面形状を複数の凹凸部17を有する凹凸状にしている。両クランプ部16間に周方向に凹凸が延在する断面凹凸状のリム本体15を配置することにより、リム半径方向の強度を高くしている。
【0023】
各凸部の突端はホイール軸から略等距離にあり、実質的に同一径になっている。凹凸部17は、凹凸差mを3〜10mmにした波型形状にするのがよい。リム本体15の両端には、径方向内側に突出した環状突起18が設けられており、この環状突起18にクランプリングXを当接させてサイドウォール部5の内周端部5aを挟持するようにしている。
【0024】
クランプ部16の内周面はサイドウォール部5の内周端部5aを挟持する挟持面19になっており、この挟持面19はホイール軸方向においてリム3の幅方向内側になる程外径側に位置する傾斜面に形成されている。このような傾斜面にすることにより、ランフラット走行時にリム3のクランプ部16が破損した際に、クランプリングXが外側に飛び出すのを防ぐようにしている。クランプ部16は、凸部の突端よりも径方向内側に位置している。
【0025】
クランプリングXは、リム幅方向に延在する板状の環状体から構成されている。この環状体の外周面が、サイドウォール部5の内周端部5aを挟持する挟持面X1が形成され、上記挟持面19と同じ角度で傾斜している。クランプリングXは、図4に示すように、リングを横断する台形状の切欠き部X2を有し、この切欠き部X2に連結部材X3を配置するようになっている。連結部材X3は、切欠き部X2より大きい台形状に形成され、一側面に鍔部X4を取り付けたボルトX5が螺合するネジ孔X6が設けられている。
【0026】
連結部材X3を矢印方向から切欠き部X2に挿入し、ボルトX5をネジ孔X6に螺合させて締め込むことで、連結部材X3が切欠き部X2を押し広げながら前進し、それによりクランプリングXが拡径して挟持面X1,19間でサイドウォール部5の内周端部5aを挟持できるようにしている。
【0027】
上述したタイヤ/ホイール組立体において、空気入りタイヤ1をホイール2のリム3に組み付けるには、先ず、ホイール軸方向を上下方向にしたホイール2の一方(上側となる)のリム3のクランプ部16の内径側に、ボルトX5の先端部をネジ孔X6に螺合させた状態にして切欠き部X2に連結部材X3を配置したクランプリングXを環状突起18上に載置した後、クランプリングXとクランプ部16の挟持面X1,19の間に一方のサイドウォール部5の内周端部5aを挿入する。ボルトX5を締め込んで連結部材X3を切欠き部X2内に前進させ、それにより拡径するクランプリングの挟持面X1とクランプ部16の挟持面19でサイドウォール部5の内周端部5aを挟持し、固定する。次いで、ホイール2の他方側を上側にした後、上記と同様にして、他方のサイドウォール部5の内周端部5aを他方のクランプ部16とクランプリングXの挟持面X1,19間で挟持固定する。
【0028】
このように本発明では、トレッド部4と左右のサイドウォール部5とのみからなる空気入りタイヤ1を使用し、そのサイドウォール部5の内周端部5aをリム3とクランプリングXとの間に挟持固定するようにしたので、専用のリム組み装置を不要にし、リム組み作業を容易にすることができる。また、リム組み時にビード部を落とし込むようなドロップ部を設ける必要がないため、ブレーキ装置等が設置されるリム内径側のスペースを広くすることができる。
【0029】
更に、トレッド部4を補強層の内周側に保護ゴム層12を有する構成にしたので、ランフラット走行時にトレッド部4がリム3に接触した時に保護ゴム層12が緩衝層として作用するため、トレッド部4内に配置したカーカス層7やベルト層8,9などの補強層の損傷を容易に招くことがない。
【0030】
また、空気入りタイヤ1を裏返して使用することができるため、タイヤ寿命を大幅に延ばすことができ、更に、トレッド面10と保護ゴム層12の表面12aのトレッドパターンやトレッド面10を構成するゴム部Gと保護ゴム層12のゴム材料を変えることで、例えば、一方を操縦安定性指向のタイヤとして、他方をスタッドレスタイヤとして使用することが可能になり、ユーザーの嗜好や季節によってタイヤ性能を変更することが可能になる。
【0031】
本発明において、上述した保護ゴム層12の厚さとしては、5mm以上にするのが上述した保護効果を効果的に発揮する上でよい。上限値としては、タイヤ質量増加防止の点から15mm以下にするのがよい。
【0032】
挟持面19,X1の傾斜角度は、ホイール軸方向に対して5〜30°の範囲にするのが好ましい。傾斜角度が5°未満ではリム3のクランプ部16が破損した際にクランプリングXが外側に飛び出す危険があり、逆に30°超ではサイドウォール部5の内周端部5aを挟持する際の締付け力の低下を招く。
【0033】
クランプリングXは、上述した構成に限定されず、クランプリングXを径方向外側に拡大できる構成であれば、いずれの構成であってもよい。
【0034】
リム本体15は、上記のように複数の凹凸部17を有する凹凸形状にするのがリム半径方向の強度を高め、ランフラット走行時に路面段差等を走行してもリム3が容易に変形することがないので好ましいが、当然のことながら直線状であってもよい。
【0035】
【発明の効果】
上述したように本発明は、空気入りタイヤをトレッド部と該トレッド部の両側に配設した左右のサイドウォール部とのみから構成し、トレッド部を補強層の内周側に該補強層を保護する保護ゴム層を有する構成にし、サイドウォール部の内周端部をホイールのリムとクランプリングとの間に挟持固定したので、リム組み装置を不要にしてリム組み作業を容易に行うことができ、またブレーキ装置等が設置されるリム内径側のスペースを広くすることが可能になり、更にランフラット走行時のトレッド部補強層の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ/ホイール組立体の一例を示す断面図である。
【図2】図1の空気入りタイヤをホイールから外した状態で示す断面図である。
【図3】図2の空気入りタイヤを裏返しにした状態で示す断面図である。
【図4】図1のクランプリングの一例を示す要部斜視図である。
【図5】従来のタイヤ/ホイール組立体を示す断面図である。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ 2 ホイール
3 リム 4 トレッド部
5 サイドウォール部 5a 内周端部
6 カーカス層(補強層) 8,9 ベルト層(補強層)
10 トレッド面 11 溝
12 保護ゴム層 12a 表面
13 溝 15 リム本体
16 クランプ部 19 挟持面
S タイヤ空洞部 X クランプリング
X1 挟持面
Claims (5)
- 空気入りタイヤをトレッド部と該トレッド部の両側に配設した左右のサイドウォール部とのみから構成し、前記トレッド部を補強層の内周側に該補強層を保護する保護ゴム層を有する構成にし、前記サイドウォール部の内周端部をホイールのリムとクランプリングとの間に挟持固定したタイヤ/ホイール組立体。
- 前記リムは、環状のリム本体と、該リム本体の両側に配置した、前記サイドウォール部の内周端部を挟持固定する環状のクランプ部を有し、該クランプ部の内周面を前記サイドウォール部の内周端部を挟持する挟持面にした請求項1に記載のタイヤ/ホイール組立体。
- 前記保護ゴム層の厚さを5mm以上にした請求項1または2に記載のタイヤ/ホイール組立体。
- 前記空気入りタイヤをタイヤ内面と外面とを裏返し可能に構成し、前記空気入りタイヤの空洞部に面する前記保護ゴム層の表面にトレッドパターンを形成した請求項1,2または3に記載のタイヤ/ホイール組立体。
- トレッド部と該トレッド部の両側に配設した左右のサイドウォール部とのみから構成し、前記トレッド部を補強層の内周側に該補強層を保護する保護ゴム層を有する構成にした空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003012296A JP2004224117A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | タイヤ/ホイール組立体及び空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003012296A JP2004224117A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | タイヤ/ホイール組立体及び空気入りタイヤ |
Publications (1)
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JP2004224117A true JP2004224117A (ja) | 2004-08-12 |
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ID=32900953
Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004224117A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020139623A1 (en) * | 2018-12-28 | 2020-07-02 | Bridgestone Americas Tire Operations, Llc | Non-pneumatic tire having reinforced outer ring |
-
2003
- 2003-01-21 JP JP2003012296A patent/JP2004224117A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2020139623A1 (en) * | 2018-12-28 | 2020-07-02 | Bridgestone Americas Tire Operations, Llc | Non-pneumatic tire having reinforced outer ring |
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