JP2004223919A - 樹脂積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定配合組成のフッ化ビニリデン系樹脂及び/又はメタクリル酸エステル系樹脂からなる少なくとも2層の耐候性フィルム(A)の裏面層側と、グリコール変性ポリエステル系樹脂層(B)とが熱融着している樹脂積層体であり、その剥離強度が0.2N/mm以上である事を特徴とした樹脂積層体。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性、耐薬品性及び二次加工性に優れ、屋内外看板やディスプレイ等に使用されるフッ化ビニリデン系樹脂フィルム、及びグリコール変成ポリエステル系樹脂とからなる積層体に関する。なお、本発明において樹脂組成物の配合組成を表す単位「部」及び「%」は、特に断らない限り樹脂成分の合計を100としたときの質量基準で表す。
【0002】
【従来の技術】
従来より、グリコール変性ポリエステル系樹脂は透明性、機械的物性及び二次加工性等に優れ、屋内看板、屋内ディスプレイ及び電子カード類等に広く使用されている。また、気体低浸透性及び無細胞毒性を有するため、シャーレ等の生化学用途に多く用いられている。しかしながら、耐候性に劣るという欠点があり、看板やディスプレイ用途等の場合、使用箇所や使用期間が限られている。
【0003】
一方で、近年意匠性に対する高い要望や、建材等への塩化ビニル置き換え要望等から、グリコール変性ポリエステル系樹脂の特徴を生かしつつ、同樹脂を屋外看板、部分的もしくは一時的に外光のあたる箇所でのディスプレイ等への使用、及び車両内装部品等、これらの箇所における長期にわたる使用に耐える耐候性能を必要とする使用用途が増えてきている。
【0004】
ポリエステル系樹脂の耐候性能を高める技術としては、低結晶性、高配向のものを用いる技術や、紫外線吸収剤等を所定量配合させる技術等がある(特許文献1および非特許文献1参照)。ところが、配向性を得るため延伸加工を行う場合ポリエステル樹脂の使用形態はシート形状に限定され汎用性に欠ける。また、樹脂中に紫外線吸収剤等を配合する方法では、その添加量が多くなると、均一分散させる事が困難であり、優れた機械的物性、二次加工性を損なう恐れがあるばかりか、長期に渡っての十分な耐候性を得る事は困難であった。
【0005】
また、樹脂積層体の耐候性を高める技術として耐候性を付加したアクリルフィルムを用いて樹脂シートに接着もしくは熱ラミネートする方法が広く行われている。しかしながら、アクリルフィルムでは、前記のような用途においては耐候性が不十分であり、更に耐薬品性も劣るため、この積層体では、グリコール変性ポリエステル系樹脂の優れた耐薬品性等の特徴を生かす事ができず用途が限られていた。
【0006】
この他に、フッ素系フィルムを接着剤やプライマー等を用い樹脂に接着する技術がある(特許文献2参照)。また、耐候性コーティングを施す技術もあり、樹脂表面にフッ素系の耐候性コート膜を生成させる方法等が広く用いられている(特許文献3、4参照)。ところが、これら他のフィルムとの接着や、コーティングをする方法ではドライラミネーターラインに代表される非常に大がかりな設備が必要であり、小ロットの対応が困難で、かつ生産性も悪くコストアップにつながっている。また、一般的にコーティングではピンホールと呼ばれる微少欠陥の発生を避ける事ができない。また、通常ケトン系、ビニル系、アクリル系、セルソルブ系等の揮発性有機化合物(VOC)を大量に用いるため、これらの排出による作業環境や周辺環境に与える影響が非常に大きい。さらに、これらプライマー、接着剤、及び耐候性能を高めるために用いる紫外線吸収剤等添加剤の選択によってはグリコール変性ポリエステル系樹脂の特性が失われることがある。
【0007】
一方で、耐候性の優れたフィルムとして、ポリフッ化ビニリデン系樹脂とメタクリル酸エステル系樹脂の溶融混合樹脂組成物からなる積層フィルムを用いて、他の熱可塑性樹脂と積層することにより、耐候性を改善することが行われている。(特許文献5参照)。しかしながら、グリコール変性ポリエステル系樹脂に、前記の積層フィルムを積層した積層物については記載されてない。また、特願2001−371064号で、フッ化ビニリデン系フィルムとグリコール変成ポリエステル樹脂との積層体が提案されているが、この発明は、グリコール変成ポリエステル樹脂フィルム層を剥がして使用する事が目的で有り、本発明のような樹脂積層体として使用できるものではない。
【0008】
【特許文献1】特開2000−212417号公報
【非特許文献1】高薄一弘著「PETフィルム」技術情報協会、1990、p.146〜1p.49
【特許文献2】特開昭58−205763号公報
【特許文献3】特開平7−238264号公報
【特許文献4】特開平4−248930号公報
【特許文献5】特開平1−262133号公報
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、グリコール変性ポリエステル系樹脂の特徴である透明性、耐薬品性、機械的物性及び二次加工性を保持し、これまでグリコール変性ポリエステルにはなかった優れた耐候性を有する事で、外部での使用や長期にわたる使用が可能であり、かつ安価で高品質であり、その製造において環境負荷が少ない樹脂積層体を提供する事を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、これらの課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のフッ素系多層フィルム層とグリコール変性ポリエステル系樹脂層とからなる樹脂積層体により課題が達成される事を見出し本発明に至った。即ち本発明は、フッ化ビニリデン系樹脂100部〜50部、メタクリル酸エステル系樹脂0部〜50部からなる表面層とフッ化ビニリデン系樹脂50部〜0部、メタクリル酸エステル系、樹脂50部〜100部からなる裏面層を有する少なくとも2層の耐候性フィルム層(A)の裏面層側と、グリコール変性ポリエステル系樹脂層(B)とが熱融着している樹脂積層体であり、その剥離強度が0.2N/mm以上である事を特徴とした樹脂積層体である。
【0011】
また 一方で本発明は、熱ラミネート、共押出し、押出しラミネート、プレス成形、熱成形、又はインモールド成形により、耐候性フィルム層(A)とグリコール変性ポリエステル系樹脂層(B)を積層することを特徴とする前記の樹脂積層体の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0013】
本発明のフッ化ビニリデン系樹脂積層フィルムは図1に示すように、フッ化ビニリデン系樹脂を主成分とする耐候性フィルム層(1)及びグリコール変性ポリエステル系樹脂からなるポリエステル樹脂層(2)で構成される。耐候性フィルム層は、通常フッ化ビニリデン系樹脂成分の多い表面層(11)とメタクリル酸エステル系樹脂成分の多い裏面層(12)の二層により構成される。耐候性フィルム層(1)とポリエステル層(2)とは熱融着により接着している。耐候性フィルム層の(11)と(12)の間に複数の組成の異なる層を設ける事もある。
【0014】
本発明で用いられるフッ化ビニリデン系樹脂とは、フッ化ビニリデンの単独重合体もしくはフッ化ビニリデンと共重合可能な単量体との共重合体をいう。共重合体としては例えばフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体などがある。
【0015】
本発明でフッ化ビニリデン系樹脂との配合に用いられるメタクリル酸エステル系樹脂とは、メタクリル酸メチルの単独重合体もしくはメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体との共重合体をいう。共重合可能な単量体としては、炭素数2〜4のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチルをはじめとする炭素数1〜8のアクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸及び、その他のエチレン性不飽和モノマー等がある。好ましくは、メタクリル酸メチルと炭素数1〜8のアクリル酸エステルの共重合体であり、更に好ましくはアクリル酸ブチルやアクリル酸メチルをコモノマーとするメタクリル酸メチル共重合体である。
【0016】
本発明の耐候性フィルム層(1)の樹脂成分の配合比は、その表面層(11)の樹脂組成が、フッ化ビニリデン系樹脂100〜50部、メタクリル酸エステル系樹脂0〜50部であり、好ましくは、フッ化ビニリデン系樹脂95〜60部、メタクリル酸エステル系樹脂5〜40部、更に好ましくはフッ化ビニリデン系90〜65部、メタクリル酸エステル系樹脂10〜35部である。フッ化ビニリデン系樹脂が50部未満であると、フッ化ビニリデン系樹脂の持つ優れた耐候性及び表面性が発現しにくくなる。又、メタクリル酸エステル系樹脂を含まなくても、裏面層(12)との接着性は得られるが、前記の好ましい範囲だとより強固な接着性が得られる。
【0017】
裏面層(12)は、フッ化ビニリデン系樹脂50〜0部、メタクリル酸エステル系樹脂50〜100部であり、好ましくはフッ化ビニリデン系樹脂45〜10部、アクリル酸ブチル等を含むメタクリル酸エステル系樹脂55〜90部、更に好ましくはフッ化ビニリデン系樹脂40〜20部、アクリル酸ブチル等を含むメタクリル酸エステル系樹脂60〜80部である。メタクリル酸エステル系樹脂が50部未満では、ポリエステル樹脂層(2)との十分な接着性が得られない。メタクリル酸エステル系樹脂として、アクリル酸ブチル等を含む樹脂を前記の範囲で用いることで、本発明の積層体としたときの耐久性がより向上する。また、フッ化ビニリデン系樹脂は含まなくても表面層(11)との接着性は得られるが、前記の好ましい範囲だとより強固な接着性が得られる。また、3層以上の多層構造の場合の中間層の樹脂組成は、層間接着性の面から、フッ化ビニリデン系樹脂とメタクリル酸エステル系樹脂の比率が、表面層(11)と裏面層(12)の間のものである事が好ましい。
【0018】
耐候性フィルム層(1)は、表面層(11)および裏面層(12)少なくとも二層構造を有する多層フィルムであるが、これは溶融共押出成形法にて製造することにより得られる。複数の押出成形機を利用して樹脂を溶融状態で密着させて多層とするT−ダイ使用の共押出成形法には、マルチマニホ−ルドダイと称し、複数の樹脂層をシ−ト状態にしたのち、接触させて接着する方法と、フィードブロックと称する合流装置を用い複数の樹脂を合流密着後、シ−ト状に拡げる方法がある。またインフレ−ション成形法と称し、丸型ダイを使用する方法でも、フィードブロックを用いることにより、多層フィルムの製膜が可能である。
【0019】
これらの耐候性フィルム層(1)には、必要に応じて、顔料、紫外線吸収剤、安定化剤、酸化防止剤、艶消し剤、充填材及び加工助剤等の各種添加剤を添加する事ができる。
【0020】
また、耐候性フィルム層(1)に使用する顔料は、特に限定されるものではなく、無機系顔料、有機顔料、真珠顔料等使用できる。特に耐候性の点から無機系顔料や複合酸化物系の無機顔料が好適に使用される。耐候性フィルム層(1)における顔料の添加量は、樹脂100部に対し1〜50部、好ましくは5〜30部である。含量が1部未満の場合、フィルム中へ均質に分散する事ができず部分的な色ムラが発生する場合がある。50部を超えて添加した場合、フッ素系樹脂への分散性が著しく低下し外観不良を引き起こすため好ましくない。
【0021】
次に紫外線吸収剤としては、耐候性フィルム層(1)に使用する樹脂と相溶性のあるものであれば良い。紫外線吸収剤の例としては、ベンゾトリアゾール系、オキザリックアシッド系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系及びその他多くの種類のものが使用できる。好ましくは、製造工程及びフィルムとして使用する際の揮散を最小限にするため、分子量が300以上の高分子量タイプの紫外線吸収剤が好適に使用される。
【0022】
耐候性フィルム層(1)における紫外線吸収剤の添加量は、樹脂100部に対し0.1〜15部、好ましくは0.5〜10部である。0.1部未満では紫外線吸収能力が乏しく、紫外線による劣化を抑制が十分でない事があり、15部を超えて添加しても効果は変わらないばかりか、分散不良の原因となる他、コストも高くなる。なお、耐候性フィルム層(1)に顔料を添加しない場合は紫外線吸収剤の添加が望ましい。これは耐候性フィルム層(1)自身の耐候性は良好であるが、顔料を添加せず使用する場合においては、紫外線がポリエステル樹脂層(2)まで到達し、耐候性フィルム層(1)は劣化しないまでも、ポリエステル樹脂層(2)が先に劣化していまい、耐候性フィルム層(1)と剥離する問題が生ずる可能性があるためである。
【0023】
本発明の耐候性フィルム層(1)に、紫外線吸収剤、顔料等の各種添加剤を混入する方法としては、樹脂と添加剤をあらかじめ混合しておき一般に使用される単軸押出機を使用して溶融混練する方法が採用できる。また分散性を向上させるため好適に用いられる方法として、高混練タイプの2軸押出機を使用する方法や高速回転型ミキサ−を用い高温下であらかじめプレミキシング後単軸押出機にて溶融混練する方法の採用により、表面状態の優れたフィルムを得ることができる。
【0024】
耐候性フィルム層(1)膜厚は20μm以上である事が好ましく、更に好ましくは30〜100μmである。20μm未満ではハンドリング性が著しく低下し、また、十分な耐候性能が得られない事がある。100μmを超えると、原料費の増大等コスト的に不利になると共に、熱成形などにおける二次加工性が低下する場合がある。
【0025】
本発明におけるポリエステル樹脂層(2)に用いるグリコール変性ポリエステル系樹脂とは、グリコール成分の一部を変性する事により非晶質化されたポリエチレンテレフタレート系の樹脂である。好ましくは、グリコール成分が主としてエチレングリコール、1、4−シクロヘキサンジメタノールであり、酸成分が主としてテレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルからなる縮重合樹脂である。
【0026】
本発明におけるポリエステル樹脂層(2)の厚みについては特に限定されるものではないが、通常75μm〜1mm程度のシート状のものが二次加工性の面から好適に使用される。また、使用目的によりポリエステル樹脂層(2)は着色していても構わない。
【0027】
耐候性フィルム層(1)とポリエステル樹脂層(2)とが既に得られている場合、耐候性フィルム層(1)の裏面層(12)とポリエステル樹脂層(2)とを160〜250℃の温度範囲で、熱ラミネートする事ができる。熱ラミネート機は、外部加熱型、熱風型、赤外線加熱型、高周波内部加熱型等の加熱形式を持つ熱ラミネート機が使用できる他、熱プレス機が使用できる。加熱温度250℃を超えた温度での加工は耐候性フィルム層(1)の熱分解が危惧される。耐候性フィルム層(1)の裏面層(12)とポリエステル層(2)は、前記のように熱融着させる事によって、両層間の剥離強度を0.2N/mm以上にすることができ、実用に耐える樹脂積層体が得られる。この剥離強度が0.2N/mm未満だと、この樹脂積層体の二次加工や使用時に剥離を生じ実用的でない。
【0028】
このように、熱ラミネートにより本発明の樹脂積層体を得る場合、耐候性フィルム層(1)の裏面側またはポリエステル樹脂層の表か裏の一方に加飾印刷をした後に熱ラミネートを行う事により、意匠性をもたせた積層体を形成する事も可能である。加飾印刷をする方法としては、例えばアクリル系のインキのような、耐候性フィルム(1)の裏面層(12)及びポリエステル樹脂層(2)と親和性のあるインキを用いて、グラビア印刷、スクリーン印刷、又はオフセット印刷等を使用する事ができる。
【0029】
本発明の積層体を得るためには、上記熱ラミネート機を用いる他、溶融共押出成形法にて製造する事も可能である。すなわち、前述のマルチマニホールドダイもしくはフィードブロックにより少なくとも2層である耐候性フィルム層(1)およびポリエステル樹脂層(2)それぞれを溶融状態で合流密着させ積層体を得る。本製造方法の利点は、溶融密着された樹脂が冷却固化された際に生ずる収縮や残留応力のバランスが比較的よく、いわゆるカール現象を低減させられる事があげられる。さらに、耐候性フィルム層(1)、ポリエステル樹脂層(2)のどちらか一方を溶融させ、いわゆる押出ラミネートする事により本発明の樹脂積層体を得る事も可能である。
【0030】
また、耐候性フィルム層(1)を得た後、ポリエステル樹脂層(2)とプレス成形、真空成形や圧空成形等の熱成形により積層する方法も可能である。また、ポリエステル樹脂層(2)を溶融させて耐候性フィルム層(1)を挿入した型に圧入するインモールド成形も可能である。以上の各種のいずれの方法によっても、適切な条件を設定することによって、耐候性フィルム層(1)とポリエステル樹脂層(2)間の剥離強度を0.2N/mm以上とすることができ、実用的な樹脂積層体が得られる。
【0031】
本発明によって得られる積層体はグリコール変性ポリエステル系樹脂の特徴である気体低浸透性、無細胞毒性をそのまま保持しているため、最外層を耐候性フィルム層(1)とし、内側にグリコール変性ポリエステル樹脂層(2)を配して使用する事で、グリコール変性ポリエステル系樹脂の応用例であるシャーレ等の生化学的用途に使用する事もできる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
(実施例1〜4)
フッ化ビニリデン系樹脂とメタクリル酸エステル系樹脂および紫外線吸収剤を、表1に示す配合割合でタンブラーを用いて表面層、裏面層それぞれの原料をブレンドし45mmφ2軸押出機によって混練した。また紫外線吸収剤は裏面層のみ配合した。表面層及び裏面層それぞれの樹脂を個別の40mmφ単軸押出機に供給して溶融可塑化して、マルチマニホールドダイを用いフッ化ビニリデン系の二層フィルムを得た。このときの膜厚比率は表1に示した。得られたフッ化ビニリデン系二層フィルムとグリコール変性ポリエステル系樹脂シートを大成ラミネータ社製ロール型汎用熱ラミネート機を用い、設定温度200℃として熱ラミネートを行った。
【0033】
(比較例1、2)
表2に示す配合割合で、単層のフッ化ビニリデン系樹脂フィルムを作成して耐候性フィルム層とした以外は、実施例1〜4と同様にしてポリエステル樹脂層との熱ラミネートを行い、積層フィルムを作成した。
【0034】
(比較例3)
代表的なフッ素系クリアコート塗料をグリコール変性ポリエステル樹脂系シート表面にスプレーコーティングし、コーティングサンプルを得た。なお、断面をキーエンス社製レーザー顕微鏡にて観察し、塗膜の厚みを計測した。
【0035】
(比較例4、5)
比較用ブランクとして評価に用いたグリコール変性ポリエステル系シート単体を使用した。
【0036】
(評価方法)
[接着性評価]
実施例1〜4及び比較例1、2の積層体においてJIS K6854に準拠した方法でT型剥離試験を実施した。なお、剥離強度は平均剥離力を示したが、破壊が生じたものについては剥離時におけるピーク最大値を記載した。記号はJIS K6866に基づき破壊様式を記述したものであり、即ち「SF」は基材破壊を示す。
【0037】
実施例1〜4および比較例2については全てポリフッ化ビニリデン系樹脂フィルムが材破し、十分な接着強度が得られている事が確認されたが、比較例1については十分な接着強度が得られず容易に剥離した。比較例1については以後の促進耐候性評価、耐薬品性評価において正確な評価が不可能であったため実施を中止した。
【0038】
[促進耐候性評価]
実施例1〜4及び比較例2〜5の試料をダイプラウインテス社製促進耐候性試験機、アイスーパーUVテスターW−1型を用い促進耐候性試験を行った。試験条件は、ブラックパネル温度63℃、照射/結露サイクル6時間/2時間で行い、初期の表面光沢度(60゜光沢度)と300時間試験後の表面光沢度を測定し、その比で表される光沢度保持率を算出し比較した。また、試験前ブランクと300時間試験後の色差ΔEを耐候性フィルム層側より測定した。測定にはスガ試験機社製カラーコンピュータを用いた。
【0039】
実施例1〜4については全て光沢度保持率が80%以上であり、表面の劣化が抑制されている事が確認されたが、比較例2、4及び5については光沢度保持率が小さく、表面の劣化が進んでいる事が確認された。比較例3では実施例1〜5程ではないが75%の光沢度保持率が得られた。しかしながら、部分的に表面の劣化が進んでいる箇所が見受けられた。
【0040】
色差測定結果では実施例1〜4については色差ΔE2.0以内となり、優れた耐候性を示し、かつ、コーティングである比較例3と同等以上である事が確認された。ブランクである比較例4及び比較例5では顕著な色相変化が見られた。比較例2はメタクリル酸エステル系樹脂含量が多い系であるが紫外線吸収剤練込み層厚みが相対的に厚いため、良い結果を呈している。
【0041】
[耐薬品性評価]
実施例1〜4及び比較例2〜5の試料表面にアセトンを滴下し、表面状態を目視により観察し、以下の基準で評価した評価結果を表1に示した。
○ : 表面に変化がない。
△ : 若干表面に冒された痕跡が見受けられる。
× : 表面が冒されている。またはクラックが生じる。
【0042】
実施例1〜4については良好な耐薬品性を示し、ブランクである比較例4及び比較例5よりも耐薬品性面で良好であった。比較例2では耐薬品性が著しく劣っていた。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】
本発明により、透明性、耐汚染性、機械的物性、耐薬品性、二次加工性等が優れるとともに、これまでグリコール変性ポリエステル系樹脂積層体では得られなかった優れた耐候性を有する積層体を得る事ができる。これにより、グリコール変性ポリエステルの特徴を生かしつつ、外部および長期使用等、耐候性能を要する分野に使用する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示す断面図であり、耐候性フィルム層が2層構成の場合を示す。
【符号の説明】
1 耐候性フィルム層
2 ポリエステル樹脂層
11 耐候性フィルムの表面層
12 耐候性フィルムの裏面層
Claims (2)
- フッ化ビニリデン系樹脂100部〜50部及びメタクリル酸エステル系樹脂0部〜50部からなる表面層とフッ化ビニリデン系樹脂50部〜0部及びメタクリル酸エステル系樹脂50部〜100部からなる裏面層を有する少なくとも2層の耐候性フィルム層(A)と、グリコール変性ポリエステル系樹脂層(B)を有する樹脂積層体であり、耐候性フィルム層(A)の裏面層側とグリコール変成ポリエステル樹脂層(B)とが熱融着しており、その剥離強度が0.2N/mm以上である事を特徴とした樹脂積層体。
- 熱ラミネート、共押出し、押出しラミネート、プレス成形、熱成形、又はインモールド成形により、耐候性フィルム層(A)とグリコール変性ポリエステル系樹脂層(B)を積層することを特徴とする請求項1に記載の樹脂積層体の製造方法。
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