JP2004223913A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】ファイア信号を正確なタイミングで出力して印字精度をより一層向上させ、ROMのデータテーブルも不要とする。
【解決手段】カウンタ2から出力されるバイナリ信号cがアドレス信号としてパラレルに入力され、当該アドレス信号に基づきキャリアの移動速度に応じた遅延パラメータdを論理演算して、これを遅延回路5にセットするロジック回路3を設ける。ロジック回路3は、キャリアの移動速度が速くなるほどファイア信号fの遅延幅が小さく、キャリアの移動速度が遅くなるほどファイア信号fの遅延幅が大きくなるように遅延パラメータdを演算する。遅延回路5は、ロジック回路3によりセットされた遅延パラメータdに基づいて、ファイアタイミング回路4からのファイア信号fを所定タイミングだけ遅延させてプリントヘッドドライバ6へ出力する。
【選択図】 図1
【解決手段】カウンタ2から出力されるバイナリ信号cがアドレス信号としてパラレルに入力され、当該アドレス信号に基づきキャリアの移動速度に応じた遅延パラメータdを論理演算して、これを遅延回路5にセットするロジック回路3を設ける。ロジック回路3は、キャリアの移動速度が速くなるほどファイア信号fの遅延幅が小さく、キャリアの移動速度が遅くなるほどファイア信号fの遅延幅が大きくなるように遅延パラメータdを演算する。遅延回路5は、ロジック回路3によりセットされた遅延パラメータdに基づいて、ファイアタイミング回路4からのファイア信号fを所定タイミングだけ遅延させてプリントヘッドドライバ6へ出力する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタにおける印字精度を向上させるための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は、インクジェットプリンタの一例を示す概略構成図で、(a)は正面図、(b)は上面図である。図3において、11はインクカートリッジ、12はインクカートリッジ11を搭載したキャリアで、キャリア12の背面にはエンコーダ1が取り付けられている。13はインクカートリッジ11の下面から突出した印字ヘッド部、14は印字ヘッド部13に対してワイピングやキャッピングなどのメンテナンス動作を行うメンテナンス機構部である。15はキャリア12の搬送を案内するガイドロッド、16はガイドロッド15を支持した左右1対の支持板、17はキャリア12を搬送するベルト、18はベルト17が架設された左右1対のプーリである。片方のプーリ18はモータ7に連結されており、モータ7が駆動すると、プーリー18が回転してベルト17が駆動され、ベルト17に連結されたキャリア12がガイドロッド15に沿ってフォワード方向Fやリバース方向Rへ移動する。キャリア12がフォワード方向Fへ移動して印刷領域に入ると、インクカートリッジ11の印字ヘッド部13からインクが噴射され、用紙20への印刷が行われる。19は用紙20を搬送するためのローラ、21はインクカートリッジ11により用紙20に印字を行う場合の基準面となるプラテン、22は帯状のエンコーダスリットである。
【0003】
エンコーダスリット22は、透明部と不透明部とが交互に多数形成された帯状の薄板からなり、透明部のピッチおよび不透明部のピッチは、いずれも1/150インチに設定されている。一方、エンコーダ1は光学式のエンコーダからなり、エンコーダスリット22を挟んで対向する発光素子および受光素子(図示省略)を備えている。そして、エンコーダ1がキャリア12とともに移動すると、発光素子から投射された光は、エンコーダスリット22の透明部で透過し、不透明部で遮光されるため、エンコーダ1からはパルス信号が出力される。このパルス信号の周期は、キャリア12の移動速度に応じて変化するので、エンコーダ1の出力信号に基づいてキャリア12の移動速度を検出することができる。
【0004】
図4は、キャリア12の移動速度の変化を示す図である。図4の横軸は時間、縦軸はキャリア12の移動速度である。モータ7が動作すると、キャリア12は徐々に加速され(加速区間)、所定の速度Vmaxに達するとその後は一定の速度を維持する(等速区間)。そして、一定時間が経つと今後は等速から減速に移り(減速区間)、徐々に速度が低下して停止に至る。この動作を繰り返すことにより、用紙20への印字が行われる。このようなキャリアの速度制御については、たとえば後記の特許文献1に記載されている。
【0005】
ところで、図4において、インクカートリッジ11がインクを噴射して印字を行う領域を等速区間に限れば、キャリア12の移動速度が一定であるため安定した印字を行うことができるが、これによると印字範囲が狭くなるという欠点がある。そこで、印字範囲を広げるために、加速区間や減速区間においてもインクを噴射して印字を行うことが行われている。この場合、キャリア12の移動速度が一定でないことから、噴射したインクの用紙20上への着地点が問題となる。すなわち、キャリア12の速度が0であれば、図5の(a)に示したように、インクカートリッジ11からの噴射インクJは、用紙20上に真下に着地するが、キャリア12が所定の速度で移動している場合は、図5の(b)や(c)に示したように、噴射インクJは真下に着地せず、慣性によって、噴射時のインクカートリッジ11の位置よりずれて用紙20上に着地する。図5(b)は、インクカートリッジ11が例えば20ips(inch per second)の速度で移動している場合であって、噴射インクJは、噴射時のインクカートリッジ11の真下位置よりy1だけずれた位置へ着地する。また、図5(c)は、インクカートリッジ11が例えば最大速度40ipsで移動している場合であって、噴射インクJは、噴射時のインクカートリッジ11の真下位置よりy2だけずれた位置へ着地する。
【0006】
図5(b)(c)より明らかなように、インクカートリッジ11の移動速度が速いほど、噴射インクJが用紙20上に着地する位置のずれが大きくなり、印字精度は低下する。そこで、これを改善するために、インク噴射のためのファイア信号のタイミングを、キャリア12の移動速度に応じて遅延させる処理が行われる。これを図5の例で説明すると、キャリア12の最大速度40ipsにおける噴射インクの着地点、すなわち図5(c)のP点を基準位置とし、キャリア12がどのような速度で移動していても、噴射されるインクが噴射時のインクカートリッジの真下位置よりy2だけずれた位置に着地するように制御する。この制御においては、キャリア12の速度が40ipsの場合は、ファイア信号を遅延させずにファイア信号が来た時点でインクを噴射させ、キャリア12の速度が40ipsより遅くなるに従って、ファイア信号が来た時点から実際にインクを噴射させるまでの時間を長くすればよい。こうすることで、キャリア12の速度にかかわりなく、噴射インクはインクカートリッジ11に対して常に一定位置に着地することとなるから、用紙20上に形成されるインクドット間でずれが発生せず、印字精度を向上させることができる。
【0007】
図6は、上述したようなファイア信号の遅延制御を行う従来のインクジェットプリンタの回路構成を示したブロック図である。図6において、1はキャリア12の移動速度を検出するためのエンコーダ、7はキャリア12を移動させるモータ、11はキャリア12に搭載されたインクカートリッジであって、これらは図3で示したものと同じものである。52はエンコーダ1の出力信号と1MHzのクロック信号とに基づいてキャリア12の移動速度を算出するカウンタ、53はカウンタ52で算出された速度に基づいて遅延パラメータを決定するCPUである。54は印字指令に基づき所定のタイミングでインク噴射のためのファイア信号を出力するファイアタイミング回路、55はファイアタイミング回路54から出力されるファイア信号を遅延させる遅延回路である。56は遅延回路55からのファイア信号に基づき、インクカートリッジ11へ駆動信号を与えて、インクカートリッジ11の印字ヘッド部13からインク11aを噴射させるプリントヘッドドライバである。57はキャリア12の移動速度とこれに対応する遅延パラメータとをテーブルにして記憶したROMである。
【0008】
以上の構成において、モータ7が動作してキャリア12が移動すると、エンコーダ1から図7(a)に示すようなパルス信号が出力される。エンコーダ1のパルス出力はカウンタ52に入力される。また、カウンタ52には、図7(b)に示すような1MHzのクロック信号が入力される。このクロック信号は、図示しないクロック発生回路により生成される。エンコーダ1から出力されるパルス信号の周期Tは、前述のようにキャリア12の速度により変化し、キャリア12の速度が速くなると周期Tは短くなり、キャリア12の速度が遅くなると周期Tは長くなる。そこでカウンタ52は、周期Tの間に含まれるクロック信号の数をカウントし、このカウント値からキャリア12の速度を算出する。CPU53は、この算出された速度を読み込んで、当該速度に対応する遅延パラメータの値をROM57を参照して抽出し、この遅延パラメータを遅延回路55にセットする。
【0009】
一方、ファイアタイミング回路54は、印字指令に基づいて所定のタイミングでインク噴射のためのファイア信号を出力する。このファイア信号は遅延回路55に与えられ、ここにセットされている遅延パラメータにより決まる所定のタイミングだけ遅れて遅延回路55から出力される。図8はこの様子を示したものであり、(a)はファイアタイミング回路54から出力されるファイア信号、(b)は遅延回路55から時間tだけ遅れて出力されるファイア信号を示している。ここで、ROM57に記憶されている遅延パラメータは、キャリア速度に関係なく常にキャリアの最大速度(40ips)におけるインクの着地点(図5(c)のP点)に相当する位置にインク11aが着地するよう、キャリア12の移動速度が速くなるほどファイア信号の遅延幅が小さく、キャリア12の移動速度が遅くなるほどファイア信号の遅延幅が大きくなるように設定されている。したがって、図8(b)の時間tは、キャリア12の移動速度により変化する。
【0010】
遅延回路55から出力されたファイア信号は、プリントヘッドドライバ56へ入力される。プリントヘッドドライバ56は、このファイア信号を受けてインクカートリッジ11へ駆動信号を与え、インクカートリッジ11からインク11aを噴射させる。このインク11aは、噴射のタイミングが上記のようにコントロールされる結果、キャリア12の移動速度にかかわりなく、常にインクカートリッジ11から一定距離の地点に着地する。これによって、キャリア12の加速中または減速中にインク11aを噴射して印字を行なっても、用紙20上に形成されるインクドット間にはずれが発生せず、印字精度を向上させることができる。
【0011】
【特許文献1】
特開平9−30046号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のものにおいては、キャリア速度に対応する遅延パラメータを記憶したROM57を用い、CPU53がカウンタ52の出力(キャリア速度)を一定時間間隔で読み込んで、ROM57からキャリア速度に対応する遅延パラメータを読み出して遅延回路55にセットするようになっている。しかしながら、CPU53はキャリア速度の監視だけを行っているのではなく、他にもプリンタの動作に関する各種制御を行わねばならないから、CPU53の負荷からみても、カウンタ52の出力をせいぜい2ms程度の間隔で取り込むのが限度であり、これより短い間隔で取り込むのは無理である。しかるに、2ms程度の間隔ではキャリア速度の変動に対する追随性が悪く、カウンタ52からのキャリア速度に基づいて遅延パラメータをセットしても、2msが経過するまでの間にキャリア速度が変動すると、変動後の速度とセットされた遅延パラメータとが対応しないため、ファイア信号の正確なタイミングを確保できなくなって、印字精度に限界がある。さらに、従来のものでは、遅延パラメータのデータテーブルがROM57を大きく占有するため、ROM容量が増大するという問題もある。なお、前記特許文献1には、エンコーダ信号に対する補正回路を設けることによりキャリアの速度変動の影響を受けずに高解像度記録が行なえるようした技術が開示されているが、ファイア信号を遅延させるタイミングをキャリア速度に応じて正確に設定するための技術は開示されておらず、本文献は上述した課題を解決しうるものではない。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するものであって、その目的とするところは、ファイア信号を正確なタイミングで出力して印字精度をより一層向上させることが可能で、ROMのデータテーブルも必要としないインクジェットプリンタを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明では、インクカートリッジを搭載したキャリアの移動速度を検出する速度検出手段と、インクカートリッジを駆動してインクを噴射させるプリントヘッドドライバと、インク噴射のためのファイア信号を速度検出手段で検出されたキャリアの移動速度に応じて遅延させてプリントヘッドドライバに与える遅延回路とを備えたインクジェットプリンタにおいて、速度検出手段からの出力信号に基づきキャリアの移動速度に応じた遅延パラメータを論理演算するロジック回路を設ける。このロジック回路は、キャリアの移動速度が速くなるほどファイア信号の遅延幅が小さく、キャリアの移動速度が遅くなるほどファイア信号の遅延幅が大きくなるように遅延パラメータを演算する。そして、遅延回路はこの遅延パラメータに基づいてファイア信号を所定タイミングだけ遅延させて出力する。
【0015】
このようなロジック回路を用いることで、速度検出手段からの出力信号がロジック回路に入力されると、キャリア速度に応じた遅延パラメータを即座に演算して出力することが可能となり、遅延パラメータをほぼリアルタイムに設定することができる。このため、キャリア速度の変動に対する追随性が良くなり、ファイア信号は常にキャリア速度に対応した遅延パラメータに基づいてタイミングが正確に制御されることになるので、印字精度が向上するとともに、遅延パラメータのデータテーブルをROMに設ける必要もなくなる。
【0016】
また、ファイア信号を遅延回路で遅延させてプリントヘッドドライバに与えるか、遅延回路を介さずに直接プリントヘッドドライバに与えるかを選択できるようにすれば、高速印字の場合にファイア信号の遅延を行なうことで印字精度を維持する一方、通常の印字の場合はファイア信号の遅延を省略して制御を簡略化することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、インクジェットプリンタの概略構成は図3に示したものと同じであり、また、図4、図5、図7、図8も本発明と共通するので、以下ではこれらを本発明の実施形態として引用する。
【0018】
図1は、本発明に係るインクジェットプリンタのブロック図である。ここでは、本発明に関係するブロックのみを図示している。図において、1はキャリア12の移動速度を検出するためのエンコーダ、7はキャリア12を移動させるモータ、11はキャリア12に搭載されたインクカートリッジであって、これらは図3で示したものと同じものである。2はエンコーダ1の出力信号aと1MHzのクロック信号bとに基づいてキャリア12の移動速度を算出するカウンタ、3はカウンタ2で算出された速度を表すバイナリ出力cに基づいて遅延パラメータdを演算するハードウエアロジック回路(以下、単にロジック回路という)である。4は印字指令eに基づき所定のタイミングでインク噴射のためのファイア信号fを出力するファイアタイミング回路、5はファイアタイミング回路4から出力されるファイア信号fを遅延させる遅延回路である。6は遅延回路5からのファイア信号gに基づき、インクカートリッジ11へ駆動信号hを与えて、インクカートリッジ11の印字ヘッド部13からインク11aを噴射させるプリントヘッドドライバである。以上の回路において、エンコーダ1およびカウンタ2は本発明の速度検出手段を構成する。
【0019】
図1の回路では、図6の従来の回路におけるCPU53とROM57に代えて、ハードウエアとして構成されるロジック回路3が用いられている。このロジック回路3は、多数の論理ゲートが組み合わされて構成される論理演算回路であって、カウンタ2から出力される「0」「1」のバイナリ信号cがアドレス信号としてパラレルに入力される多数の端子を有している。そして、上記バイナリ信号cの値(キャリア12の移動速度)に応じた遅延パラメータdを論理演算して出力する。この遅延パラメータdは、キャリア速度に関係なく常にキャリアの最大速度(40ips)におけるインクの着地点(図5(c)のP点)に相当する位置にインク11aが着地するよう、キャリア12の移動速度が速くなるほどファイア信号fの遅延幅が小さく、キャリア12の移動速度が遅くなるほどファイア信号fの遅延幅が大きくなるように、ロジック回路3で論理演算されて算出される。
【0020】
以上の構成において、モータ7が動作して、キャリア12が移動すると、エンコーダ1から図7(a)に示すようなパルス信号が出力される。エンコーダ1のパルス出力はカウンタ2に入力される。また、カウンタ2には、図7(b)に示すような1MHzのクロック信号が入力される。このクロック信号は、図示しないクロック発生回路により生成される。エンコーダ1から出力されるパルス信号の周期Tは、前述のようにキャリア12の速度により変化し、キャリア12の速度が速くなると周期Tは短くなり、キャリア12の速度が遅くなると周期Tは長くなる。そこでカウンタ2は、周期Tの間に含まれるクロック信号の数をカウントし、このカウント値からキャリア12の速度を算出する。
【0021】
カウンタ2で算出された速度値は、前述のようにバイナリ信号cとして出力され、ロジック回路3へ与えられる。ロジック回路3はこのバイナリ信号cをアドレス信号として、キャリア12の移動速度に応じた遅延パラメータdを論理演算して出力する。この場合、ロジック回路3は論理ゲートから構成されているため、バイナリ信号cの入力とほとんど同時に遅延パラメータdを出力することができる。この遅延パラメータdは、遅延回路5にセットされる。
【0022】
一方、ファイアタイミング回路4は、印字指令eに基づいて所定のタイミングで、図8(a)のようなインク噴射のためのファイア信号fを出力する。このファイア信号fは遅延回路5に与えられ、図8(b)のように、遅延パラメータdにより決まる所定のタイミングだけ遅れて遅延回路5から出力される。この遅延幅tは、キャリア12の移動速度に応じて変化し、図4の加速区間でキャリア12の速度が増加している場合はtが短くなり、図4の減速区間でキャリア12の速度が減少している場合はtが長くなる。
【0023】
遅延回路5から出力されたファイア信号gは、プリントヘッドドライバ6へ入力される。プリントヘッドドライバ6は、このファイア信号gを受けてインクカートリッジ11へ駆動信号hを与え、インクカートリッジ11からインク11aを噴射させる。このインク11aは、噴射のタイミングが上記のようにコントロールされる結果、キャリア12の移動速度にかかわりなく、常にインクカートリッジ11から一定距離の地点に着地する。これによって、キャリア12の加速中または減速中にインク11aを噴射して印字を行なっても、用紙20上に形成されるインクドット間にはずれが発生せず、印字精度を向上させることができる。
【0024】
上述した実施形態においては、ハードウェアのロジック回路3を用いているため、カウンタ2からの出力信号cがロジック回路3に入力されると、キャリア速度に応じた遅延パラメータdを即座に演算して出力することが可能となり、遅延パラメータdをほぼリアルタイムに遅延回路5に設定することができる。このため、キャリア速度の変動に対する追随性が良くなり、ファイア信号fは常にキャリア速度に対応した遅延パラメータdに基づいてタイミングが正確に制御されることになるので、印字精度が従来よりも更に向上するとともに、遅延パラメータdのデータテーブルをROMに設ける必要もなくなる。
【0025】
図2は、本発明の他の実施形態を示すブロック図である。図2において、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。この実施形態では、ファイア信号fを遅延回路5で遅延させてプリントヘッドドライバ6に与えるか(実線で表示)、遅延回路5を介さずに直接プリントヘッドドライバ6に与えるか(破線で表示)を選択可能としている。この選択は、ホスト装置(図示省略)のプリンタドライバでの設定により行われる。例えば、キャリア12を最大速度で移動させて印刷を行う簡易印刷モードが設定された場合には、インクの着地点のずれが大きくなるので、ファイア信号の遅延を行なうことで印字精度を確保することができ、また、キャリア12を中速で移動させて印刷を行う通常印刷モードが設定された場合は、インクの着地点のずれはそれほど問題にならないので、ファイア信号の遅延を省略して制御を簡略化することができる。
【0026】
上記実施形態においては、エンコーダ1の1周期区間のクロック信号をカウントすることでキャリア12の速度を検出するようにしたが、モータ7の出力電圧等に基づいてキャリア12の速度を検出するようにしてもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、ファイア信号を遅延させるための遅延パラメータをほぼリアルタイムに設定することができるため、ファイア信号のタイミングが正確に制御されて印字精度がより一層向上するとともに、遅延パラメータのデータテーブルをROMに設ける必要もなくなって、ROM容量の削減をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタのブロック図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示すブロック図である。
【図3】インクジェットプリンタの一例を示す概略構成図である。
【図4】キャリアの移動速度の変化を示す図である。
【図5】インクの着地点を説明する図である。
【図6】従来のインクジェットプリンタのブロック図である。
【図7】エンコーダの出力信号とクロック信号の波形図である。
【図8】ファイア信号の波形図である。
【符号の説明】
1 エンコーダ
2 カウンタ
3 ロジック回路
4 ファイアタイミング回路
5 遅延回路
6 プリントヘッドドライバ
7 モータ
11 インクカートリッジ
11a インク
12 キャリア
a エンコーダの出力信号
b クロック信号
c バイナリ信号
d 遅延パラメータ
f ファイア信号
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタにおける印字精度を向上させるための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は、インクジェットプリンタの一例を示す概略構成図で、(a)は正面図、(b)は上面図である。図3において、11はインクカートリッジ、12はインクカートリッジ11を搭載したキャリアで、キャリア12の背面にはエンコーダ1が取り付けられている。13はインクカートリッジ11の下面から突出した印字ヘッド部、14は印字ヘッド部13に対してワイピングやキャッピングなどのメンテナンス動作を行うメンテナンス機構部である。15はキャリア12の搬送を案内するガイドロッド、16はガイドロッド15を支持した左右1対の支持板、17はキャリア12を搬送するベルト、18はベルト17が架設された左右1対のプーリである。片方のプーリ18はモータ7に連結されており、モータ7が駆動すると、プーリー18が回転してベルト17が駆動され、ベルト17に連結されたキャリア12がガイドロッド15に沿ってフォワード方向Fやリバース方向Rへ移動する。キャリア12がフォワード方向Fへ移動して印刷領域に入ると、インクカートリッジ11の印字ヘッド部13からインクが噴射され、用紙20への印刷が行われる。19は用紙20を搬送するためのローラ、21はインクカートリッジ11により用紙20に印字を行う場合の基準面となるプラテン、22は帯状のエンコーダスリットである。
【0003】
エンコーダスリット22は、透明部と不透明部とが交互に多数形成された帯状の薄板からなり、透明部のピッチおよび不透明部のピッチは、いずれも1/150インチに設定されている。一方、エンコーダ1は光学式のエンコーダからなり、エンコーダスリット22を挟んで対向する発光素子および受光素子(図示省略)を備えている。そして、エンコーダ1がキャリア12とともに移動すると、発光素子から投射された光は、エンコーダスリット22の透明部で透過し、不透明部で遮光されるため、エンコーダ1からはパルス信号が出力される。このパルス信号の周期は、キャリア12の移動速度に応じて変化するので、エンコーダ1の出力信号に基づいてキャリア12の移動速度を検出することができる。
【0004】
図4は、キャリア12の移動速度の変化を示す図である。図4の横軸は時間、縦軸はキャリア12の移動速度である。モータ7が動作すると、キャリア12は徐々に加速され(加速区間)、所定の速度Vmaxに達するとその後は一定の速度を維持する(等速区間)。そして、一定時間が経つと今後は等速から減速に移り(減速区間)、徐々に速度が低下して停止に至る。この動作を繰り返すことにより、用紙20への印字が行われる。このようなキャリアの速度制御については、たとえば後記の特許文献1に記載されている。
【0005】
ところで、図4において、インクカートリッジ11がインクを噴射して印字を行う領域を等速区間に限れば、キャリア12の移動速度が一定であるため安定した印字を行うことができるが、これによると印字範囲が狭くなるという欠点がある。そこで、印字範囲を広げるために、加速区間や減速区間においてもインクを噴射して印字を行うことが行われている。この場合、キャリア12の移動速度が一定でないことから、噴射したインクの用紙20上への着地点が問題となる。すなわち、キャリア12の速度が0であれば、図5の(a)に示したように、インクカートリッジ11からの噴射インクJは、用紙20上に真下に着地するが、キャリア12が所定の速度で移動している場合は、図5の(b)や(c)に示したように、噴射インクJは真下に着地せず、慣性によって、噴射時のインクカートリッジ11の位置よりずれて用紙20上に着地する。図5(b)は、インクカートリッジ11が例えば20ips(inch per second)の速度で移動している場合であって、噴射インクJは、噴射時のインクカートリッジ11の真下位置よりy1だけずれた位置へ着地する。また、図5(c)は、インクカートリッジ11が例えば最大速度40ipsで移動している場合であって、噴射インクJは、噴射時のインクカートリッジ11の真下位置よりy2だけずれた位置へ着地する。
【0006】
図5(b)(c)より明らかなように、インクカートリッジ11の移動速度が速いほど、噴射インクJが用紙20上に着地する位置のずれが大きくなり、印字精度は低下する。そこで、これを改善するために、インク噴射のためのファイア信号のタイミングを、キャリア12の移動速度に応じて遅延させる処理が行われる。これを図5の例で説明すると、キャリア12の最大速度40ipsにおける噴射インクの着地点、すなわち図5(c)のP点を基準位置とし、キャリア12がどのような速度で移動していても、噴射されるインクが噴射時のインクカートリッジの真下位置よりy2だけずれた位置に着地するように制御する。この制御においては、キャリア12の速度が40ipsの場合は、ファイア信号を遅延させずにファイア信号が来た時点でインクを噴射させ、キャリア12の速度が40ipsより遅くなるに従って、ファイア信号が来た時点から実際にインクを噴射させるまでの時間を長くすればよい。こうすることで、キャリア12の速度にかかわりなく、噴射インクはインクカートリッジ11に対して常に一定位置に着地することとなるから、用紙20上に形成されるインクドット間でずれが発生せず、印字精度を向上させることができる。
【0007】
図6は、上述したようなファイア信号の遅延制御を行う従来のインクジェットプリンタの回路構成を示したブロック図である。図6において、1はキャリア12の移動速度を検出するためのエンコーダ、7はキャリア12を移動させるモータ、11はキャリア12に搭載されたインクカートリッジであって、これらは図3で示したものと同じものである。52はエンコーダ1の出力信号と1MHzのクロック信号とに基づいてキャリア12の移動速度を算出するカウンタ、53はカウンタ52で算出された速度に基づいて遅延パラメータを決定するCPUである。54は印字指令に基づき所定のタイミングでインク噴射のためのファイア信号を出力するファイアタイミング回路、55はファイアタイミング回路54から出力されるファイア信号を遅延させる遅延回路である。56は遅延回路55からのファイア信号に基づき、インクカートリッジ11へ駆動信号を与えて、インクカートリッジ11の印字ヘッド部13からインク11aを噴射させるプリントヘッドドライバである。57はキャリア12の移動速度とこれに対応する遅延パラメータとをテーブルにして記憶したROMである。
【0008】
以上の構成において、モータ7が動作してキャリア12が移動すると、エンコーダ1から図7(a)に示すようなパルス信号が出力される。エンコーダ1のパルス出力はカウンタ52に入力される。また、カウンタ52には、図7(b)に示すような1MHzのクロック信号が入力される。このクロック信号は、図示しないクロック発生回路により生成される。エンコーダ1から出力されるパルス信号の周期Tは、前述のようにキャリア12の速度により変化し、キャリア12の速度が速くなると周期Tは短くなり、キャリア12の速度が遅くなると周期Tは長くなる。そこでカウンタ52は、周期Tの間に含まれるクロック信号の数をカウントし、このカウント値からキャリア12の速度を算出する。CPU53は、この算出された速度を読み込んで、当該速度に対応する遅延パラメータの値をROM57を参照して抽出し、この遅延パラメータを遅延回路55にセットする。
【0009】
一方、ファイアタイミング回路54は、印字指令に基づいて所定のタイミングでインク噴射のためのファイア信号を出力する。このファイア信号は遅延回路55に与えられ、ここにセットされている遅延パラメータにより決まる所定のタイミングだけ遅れて遅延回路55から出力される。図8はこの様子を示したものであり、(a)はファイアタイミング回路54から出力されるファイア信号、(b)は遅延回路55から時間tだけ遅れて出力されるファイア信号を示している。ここで、ROM57に記憶されている遅延パラメータは、キャリア速度に関係なく常にキャリアの最大速度(40ips)におけるインクの着地点(図5(c)のP点)に相当する位置にインク11aが着地するよう、キャリア12の移動速度が速くなるほどファイア信号の遅延幅が小さく、キャリア12の移動速度が遅くなるほどファイア信号の遅延幅が大きくなるように設定されている。したがって、図8(b)の時間tは、キャリア12の移動速度により変化する。
【0010】
遅延回路55から出力されたファイア信号は、プリントヘッドドライバ56へ入力される。プリントヘッドドライバ56は、このファイア信号を受けてインクカートリッジ11へ駆動信号を与え、インクカートリッジ11からインク11aを噴射させる。このインク11aは、噴射のタイミングが上記のようにコントロールされる結果、キャリア12の移動速度にかかわりなく、常にインクカートリッジ11から一定距離の地点に着地する。これによって、キャリア12の加速中または減速中にインク11aを噴射して印字を行なっても、用紙20上に形成されるインクドット間にはずれが発生せず、印字精度を向上させることができる。
【0011】
【特許文献1】
特開平9−30046号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のものにおいては、キャリア速度に対応する遅延パラメータを記憶したROM57を用い、CPU53がカウンタ52の出力(キャリア速度)を一定時間間隔で読み込んで、ROM57からキャリア速度に対応する遅延パラメータを読み出して遅延回路55にセットするようになっている。しかしながら、CPU53はキャリア速度の監視だけを行っているのではなく、他にもプリンタの動作に関する各種制御を行わねばならないから、CPU53の負荷からみても、カウンタ52の出力をせいぜい2ms程度の間隔で取り込むのが限度であり、これより短い間隔で取り込むのは無理である。しかるに、2ms程度の間隔ではキャリア速度の変動に対する追随性が悪く、カウンタ52からのキャリア速度に基づいて遅延パラメータをセットしても、2msが経過するまでの間にキャリア速度が変動すると、変動後の速度とセットされた遅延パラメータとが対応しないため、ファイア信号の正確なタイミングを確保できなくなって、印字精度に限界がある。さらに、従来のものでは、遅延パラメータのデータテーブルがROM57を大きく占有するため、ROM容量が増大するという問題もある。なお、前記特許文献1には、エンコーダ信号に対する補正回路を設けることによりキャリアの速度変動の影響を受けずに高解像度記録が行なえるようした技術が開示されているが、ファイア信号を遅延させるタイミングをキャリア速度に応じて正確に設定するための技術は開示されておらず、本文献は上述した課題を解決しうるものではない。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するものであって、その目的とするところは、ファイア信号を正確なタイミングで出力して印字精度をより一層向上させることが可能で、ROMのデータテーブルも必要としないインクジェットプリンタを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明では、インクカートリッジを搭載したキャリアの移動速度を検出する速度検出手段と、インクカートリッジを駆動してインクを噴射させるプリントヘッドドライバと、インク噴射のためのファイア信号を速度検出手段で検出されたキャリアの移動速度に応じて遅延させてプリントヘッドドライバに与える遅延回路とを備えたインクジェットプリンタにおいて、速度検出手段からの出力信号に基づきキャリアの移動速度に応じた遅延パラメータを論理演算するロジック回路を設ける。このロジック回路は、キャリアの移動速度が速くなるほどファイア信号の遅延幅が小さく、キャリアの移動速度が遅くなるほどファイア信号の遅延幅が大きくなるように遅延パラメータを演算する。そして、遅延回路はこの遅延パラメータに基づいてファイア信号を所定タイミングだけ遅延させて出力する。
【0015】
このようなロジック回路を用いることで、速度検出手段からの出力信号がロジック回路に入力されると、キャリア速度に応じた遅延パラメータを即座に演算して出力することが可能となり、遅延パラメータをほぼリアルタイムに設定することができる。このため、キャリア速度の変動に対する追随性が良くなり、ファイア信号は常にキャリア速度に対応した遅延パラメータに基づいてタイミングが正確に制御されることになるので、印字精度が向上するとともに、遅延パラメータのデータテーブルをROMに設ける必要もなくなる。
【0016】
また、ファイア信号を遅延回路で遅延させてプリントヘッドドライバに与えるか、遅延回路を介さずに直接プリントヘッドドライバに与えるかを選択できるようにすれば、高速印字の場合にファイア信号の遅延を行なうことで印字精度を維持する一方、通常の印字の場合はファイア信号の遅延を省略して制御を簡略化することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、インクジェットプリンタの概略構成は図3に示したものと同じであり、また、図4、図5、図7、図8も本発明と共通するので、以下ではこれらを本発明の実施形態として引用する。
【0018】
図1は、本発明に係るインクジェットプリンタのブロック図である。ここでは、本発明に関係するブロックのみを図示している。図において、1はキャリア12の移動速度を検出するためのエンコーダ、7はキャリア12を移動させるモータ、11はキャリア12に搭載されたインクカートリッジであって、これらは図3で示したものと同じものである。2はエンコーダ1の出力信号aと1MHzのクロック信号bとに基づいてキャリア12の移動速度を算出するカウンタ、3はカウンタ2で算出された速度を表すバイナリ出力cに基づいて遅延パラメータdを演算するハードウエアロジック回路(以下、単にロジック回路という)である。4は印字指令eに基づき所定のタイミングでインク噴射のためのファイア信号fを出力するファイアタイミング回路、5はファイアタイミング回路4から出力されるファイア信号fを遅延させる遅延回路である。6は遅延回路5からのファイア信号gに基づき、インクカートリッジ11へ駆動信号hを与えて、インクカートリッジ11の印字ヘッド部13からインク11aを噴射させるプリントヘッドドライバである。以上の回路において、エンコーダ1およびカウンタ2は本発明の速度検出手段を構成する。
【0019】
図1の回路では、図6の従来の回路におけるCPU53とROM57に代えて、ハードウエアとして構成されるロジック回路3が用いられている。このロジック回路3は、多数の論理ゲートが組み合わされて構成される論理演算回路であって、カウンタ2から出力される「0」「1」のバイナリ信号cがアドレス信号としてパラレルに入力される多数の端子を有している。そして、上記バイナリ信号cの値(キャリア12の移動速度)に応じた遅延パラメータdを論理演算して出力する。この遅延パラメータdは、キャリア速度に関係なく常にキャリアの最大速度(40ips)におけるインクの着地点(図5(c)のP点)に相当する位置にインク11aが着地するよう、キャリア12の移動速度が速くなるほどファイア信号fの遅延幅が小さく、キャリア12の移動速度が遅くなるほどファイア信号fの遅延幅が大きくなるように、ロジック回路3で論理演算されて算出される。
【0020】
以上の構成において、モータ7が動作して、キャリア12が移動すると、エンコーダ1から図7(a)に示すようなパルス信号が出力される。エンコーダ1のパルス出力はカウンタ2に入力される。また、カウンタ2には、図7(b)に示すような1MHzのクロック信号が入力される。このクロック信号は、図示しないクロック発生回路により生成される。エンコーダ1から出力されるパルス信号の周期Tは、前述のようにキャリア12の速度により変化し、キャリア12の速度が速くなると周期Tは短くなり、キャリア12の速度が遅くなると周期Tは長くなる。そこでカウンタ2は、周期Tの間に含まれるクロック信号の数をカウントし、このカウント値からキャリア12の速度を算出する。
【0021】
カウンタ2で算出された速度値は、前述のようにバイナリ信号cとして出力され、ロジック回路3へ与えられる。ロジック回路3はこのバイナリ信号cをアドレス信号として、キャリア12の移動速度に応じた遅延パラメータdを論理演算して出力する。この場合、ロジック回路3は論理ゲートから構成されているため、バイナリ信号cの入力とほとんど同時に遅延パラメータdを出力することができる。この遅延パラメータdは、遅延回路5にセットされる。
【0022】
一方、ファイアタイミング回路4は、印字指令eに基づいて所定のタイミングで、図8(a)のようなインク噴射のためのファイア信号fを出力する。このファイア信号fは遅延回路5に与えられ、図8(b)のように、遅延パラメータdにより決まる所定のタイミングだけ遅れて遅延回路5から出力される。この遅延幅tは、キャリア12の移動速度に応じて変化し、図4の加速区間でキャリア12の速度が増加している場合はtが短くなり、図4の減速区間でキャリア12の速度が減少している場合はtが長くなる。
【0023】
遅延回路5から出力されたファイア信号gは、プリントヘッドドライバ6へ入力される。プリントヘッドドライバ6は、このファイア信号gを受けてインクカートリッジ11へ駆動信号hを与え、インクカートリッジ11からインク11aを噴射させる。このインク11aは、噴射のタイミングが上記のようにコントロールされる結果、キャリア12の移動速度にかかわりなく、常にインクカートリッジ11から一定距離の地点に着地する。これによって、キャリア12の加速中または減速中にインク11aを噴射して印字を行なっても、用紙20上に形成されるインクドット間にはずれが発生せず、印字精度を向上させることができる。
【0024】
上述した実施形態においては、ハードウェアのロジック回路3を用いているため、カウンタ2からの出力信号cがロジック回路3に入力されると、キャリア速度に応じた遅延パラメータdを即座に演算して出力することが可能となり、遅延パラメータdをほぼリアルタイムに遅延回路5に設定することができる。このため、キャリア速度の変動に対する追随性が良くなり、ファイア信号fは常にキャリア速度に対応した遅延パラメータdに基づいてタイミングが正確に制御されることになるので、印字精度が従来よりも更に向上するとともに、遅延パラメータdのデータテーブルをROMに設ける必要もなくなる。
【0025】
図2は、本発明の他の実施形態を示すブロック図である。図2において、図1と同一部分には同一符号を付して説明は省略する。この実施形態では、ファイア信号fを遅延回路5で遅延させてプリントヘッドドライバ6に与えるか(実線で表示)、遅延回路5を介さずに直接プリントヘッドドライバ6に与えるか(破線で表示)を選択可能としている。この選択は、ホスト装置(図示省略)のプリンタドライバでの設定により行われる。例えば、キャリア12を最大速度で移動させて印刷を行う簡易印刷モードが設定された場合には、インクの着地点のずれが大きくなるので、ファイア信号の遅延を行なうことで印字精度を確保することができ、また、キャリア12を中速で移動させて印刷を行う通常印刷モードが設定された場合は、インクの着地点のずれはそれほど問題にならないので、ファイア信号の遅延を省略して制御を簡略化することができる。
【0026】
上記実施形態においては、エンコーダ1の1周期区間のクロック信号をカウントすることでキャリア12の速度を検出するようにしたが、モータ7の出力電圧等に基づいてキャリア12の速度を検出するようにしてもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、ファイア信号を遅延させるための遅延パラメータをほぼリアルタイムに設定することができるため、ファイア信号のタイミングが正確に制御されて印字精度がより一層向上するとともに、遅延パラメータのデータテーブルをROMに設ける必要もなくなって、ROM容量の削減をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタのブロック図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示すブロック図である。
【図3】インクジェットプリンタの一例を示す概略構成図である。
【図4】キャリアの移動速度の変化を示す図である。
【図5】インクの着地点を説明する図である。
【図6】従来のインクジェットプリンタのブロック図である。
【図7】エンコーダの出力信号とクロック信号の波形図である。
【図8】ファイア信号の波形図である。
【符号の説明】
1 エンコーダ
2 カウンタ
3 ロジック回路
4 ファイアタイミング回路
5 遅延回路
6 プリントヘッドドライバ
7 モータ
11 インクカートリッジ
11a インク
12 キャリア
a エンコーダの出力信号
b クロック信号
c バイナリ信号
d 遅延パラメータ
f ファイア信号
Claims (3)
- インクカートリッジを搭載したキャリアの移動速度を検出するためのエンコーダと、所定周波数のクロック信号と前記エンコーダの出力信号とに基づいてキャリアの移動速度を算出するカウンタと、前記インクカートリッジを駆動してインクを噴射させるプリントヘッドドライバと、このプリントヘッドドライバに対して所定のタイミングでインク噴射のためのファイア信号を与えるファイアタイミング回路と、キャリアの加速中または減速中にファイアタイミング回路から出力されるファイア信号を、前記カウンタで算出されたキャリアの移動速度に応じて遅延させてプリントヘッドドライバへ出力する遅延回路とを備えたインクジェットプリンタにおいて、
前記カウンタから出力されるバイナリ信号がアドレス信号としてパラレルに入力され、当該アドレス信号に基づきキャリアの移動速度に応じた遅延パラメータを論理演算して、演算された遅延パラメータを前記遅延回路にセットするロジック回路を設け、
前記ロジック回路は、キャリアの移動速度が速くなるほどファイア信号の遅延幅が小さく、キャリアの移動速度が遅くなるほどファイア信号の遅延幅が大きくなるように前記遅延パラメータを演算し、
前記遅延回路は、ロジック回路によりセットされた遅延パラメータに基づいて、ファイアタイミング回路からのファイア信号を、キャリア速度に関係なく常にキャリアの最大速度におけるインクの着地点に相当する位置にインクが着地するようなタイミングだけ遅延させて出力することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - インクカートリッジを搭載したキャリアの移動速度を検出する速度検出手段と、前記インクカートリッジを駆動してインクを噴射させるプリントヘッドドライバと、インク噴射のためのファイア信号を前記速度検出手段で検出されたキャリアの移動速度に応じて遅延させてプリントヘッドドライバに与える遅延回路とを備えたインクジェットプリンタにおいて、
前記速度検出手段からの出力信号に基づきキャリアの移動速度に応じた遅延パラメータを論理演算するロジック回路を設け、
前記ロジック回路は、キャリアの移動速度が速くなるほどファイア信号の遅延幅が小さく、キャリアの移動速度が遅くなるほどファイア信号の遅延幅が大きくなるように前記遅延パラメータを演算し、
前記遅延回路は、前記遅延パラメータに基づいて前記ファイア信号を所定タイミングだけ遅延させて出力することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記ファイア信号を遅延回路で遅延させてプリントヘッドドライバに与えるか、遅延回路を介さずに直接プリントヘッドドライバに与えるかを選択可能としたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003015131A JP2004223913A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | インクジェットプリンタ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003015131A JP2004223913A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | インクジェットプリンタ |
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JP2004223913A true JP2004223913A (ja) | 2004-08-12 |
Family
ID=32902969
Family Applications (1)
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JP2003015131A Pending JP2004223913A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | インクジェットプリンタ |
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006289880A (ja) * | 2005-04-14 | 2006-10-26 | Funai Electric Co Ltd | インクジェットプリンタ |
JP2008221672A (ja) * | 2007-03-14 | 2008-09-25 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置及び画像形成方法、プログラム |
JP2019162782A (ja) * | 2018-03-19 | 2019-09-26 | 株式会社リコー | 液体吐出装置、液体吐出方法、およびプログラム |
-
2003
- 2003-01-23 JP JP2003015131A patent/JP2004223913A/ja active Pending
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