JP2004220439A - プリントプログラムおよびプリントサーバ - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の画像形成装置で並行して画像を形成するときに画像欠損が生じることを防止できるプリントプログラムおよびプリントサーバを提供する。
【解決手段】プリントサーバは、複数のプリンタで並行して画像を形成する場合、プリント時に画像欠損が生じると判定したときには(S205:YES)、複数のプリンタのうち、所定台数のプリンタに対するプリント制御の開始時をずらす調整を行う(S206)。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリントプログラムおよびプリントサーバに関し、特に、プリントの効率を上げるために複数の画像形成装置を用いてプリントを行うためのプリントプログラムおよびプリントサーバに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタなどの画像形成装置を用いて大量の用紙を印刷出力する場合、プリンタを複数台用いて並行してプリントアウトすることで作業時間の短縮を図ることができる(たとえば、特許文献1参照)。このように複数のプリンタで並行してプリントを行うことを分散プリント(Cluster Printing)と呼ぶ。
【0003】
分散プリントにおいては、複数のプリンタを管理するプリントサーバが用いられる。ここで、プリントサーバに4台のプリンタを接続して、分散プリントシステムを構築した場合を想定する。たとえば、この分散プリントシステムが100ページの画像データを4部プリント(合計400ページをプリント)するジョブを受け付けたとき、4台のプリンタで並行して100ページずつプリントされる。また、たとえば、この分散プリントシステムが1000ページのプリントを行うジョブを受け付けたとき、1〜250ページ、251〜500ページ、501〜750ページ、および751〜1000ページにデータが分割され、4台のプリンタで並行して250ページずつプリントされる。これにより、プリント完了までの時間は、1台のプリンタで処理を行うときの約1/4になる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−7090号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、分散プリントシステムで用いられるプリンタに、プリントデータを記憶するための十分なメモリが搭載されていない場合、プリントサーバは、プリンタのプリント速度(1分間に処理できる画像データのページ数、単位はPPM(page per minute))に合わせてプリントデータを転送する必要がある。
【0006】
しかしながら、上述の分散プリントシステムでは、トータルとしてのプリント速度は接続されたプリンタの台数に比例して高くなるため、プリントサーバからのデータの出力速度も転送先のプリンタの台数に応じて高い速度が必要となる。ここで、複数のプリンタからなるプリンタ群を構成することによりトータルとしてのプリント速度が高くなることは、このプリンタ群をプリント制御するために必要となる当該プリンタ群へのデータの入力速度が高くなることを意味している。結果として、プリントサーバからのデータの出力速度が、プリント制御のために必要なプリンタ群へのデータの入力速度よりも低くなるおそれがある。
【0007】
また、転送される画像データのデータサイズが大きい場合、プリント制御するために必要となる当該プリンタ群へのデータの入力速度が高くなる。したがって、結果的に、プリントサーバからのデータの出力速度が、プリント制御のために必要なプリンタ群へのデータの入力速度よりも低くなるおそれがある。
【0008】
つまり、転送される画像データのデータサイズが大きく、データ転送先のプリンタの台数が多いほど、プリントサーバからのデータの出力速度が、プリント制御のために必要なプリンタ群へのデータの入力速度よりも低くなる可能性が高くなる。この結果、1ページのプリント中に、1ページ分の画像データ転送が完了できず、プリント画像に欠損(ビデオアンダーラン)が生じるおそれがあるという問題があった。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、複数の画像形成装置で並行して画像を形成するときに画像欠損が生じることを防止できるプリントプログラムおよびプリントサーバを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0011】
(1)複数の画像形成装置にデータを並行して転送することが可能なプリントプログラムであって、プリントサーバからのデータの出力速度、複数の画像形成装置にそれぞれ転送されるページのデータサイズ、および転送先の各画像形成装置のプリント速度に基づいて、前記複数の画像形成装置ヘデータを転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かを判定する判定手順と、前記判定手順において画像欠損が生じると判定された場合、前記複数の画像形成装置のうち、所定台数の画像形成装置に対するプリント制御の開始時をずらす調整を行う調整手順とをコンピュータに実行させるためのプリントプログラム。
【0012】
(2)複数の画像形成装置にそれぞれ転送されるページのデータサイズ、および転送先の各画像形成装置のプリント速度に基づいて、前記複数の画像形成装置をプリント制御するために必要となる当該複数の画像形成装置へのデータの入力速度を演算する演算手順をさらにコンピュータに実行させ、前記判定手順において、演算されたデータの入力速度とプリントサーバからのデータの出力速度とを比較し、前記複数の画像形成装置ヘデータを転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かを判定することを特徴とする上記(1)に記載のプリントプログラム。
【0013】
(3)前記調整手順において、転送先の複数の画像形成装置のうち、nを自然数としてn台の画像形成装置に対して前記プリント制御の開始時をずらす調整を行っても、前記判定手順において、画像欠損が生じると判定される場合、(n+1)台の画像形成装置に対して前記プリント制御の開始時をずらす調整を行うことを特徴とする上記(1)または(2)に記載のプリントプログラム。
【0014】
(4)前記調整手順において、Uを転送先の各画像形成装置における1ページの出力に要する時間の最大公約数、Tを自然数として、前記所定台数の画像形成装置に対して前記プリント制御の開始時を時間(T×U)だけずらす調整を行っても、前記判定手順において、画像欠損が生じると判定される場合、前記所定台数の画像形成装置に対して前記プリント制御の開始時を時間((T+1)×U)だけずらす調整を行うことを特徴とする上記(1)または(2)に記載のプリントプログラム。
【0015】
(5)複数の画像形成装置にデータを並行して転送することが可能なプリントサーバであって、プリントサーバからのデータの出力速度、複数の画像形成装置にそれぞれ転送されるページのデータサイズ、および転送先の各画像形成装置のプリント速度に基づいて、前記複数の画像形成装置ヘデータを転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により画像欠損が生じると判定された場合、前記複数の画像形成装置のうち、所定台数の画像形成装置に対するプリント制御の開始時をずらす調整を行う調整手段とを有することを特徴とするプリントサーバ。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るプリントシステムの全体構成図である。
【0018】
図1に示すように、プリントシステムは、クライアント10と、プリントサーバ21と、複数のプリンタ51〜54とを備え、これらはネットワーク60を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク60は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によりコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLAN、あるいはLAN同士を専用線で接続したWAN等からなる。
【0019】
クライアント10にインストールされたプリンタドライバにより、各種アプリケーションソフトウェアで作成されたドキュメントデータ、定型業務システムからの帳票データ、あるいは画像処理ソフトウェアなどにより作成された画像データなどの各種データに基づいて、プリントジョブが作成される。クライアント10で作成されたプリントジョブは、プリントサーバ21に送られる。プリントサーバ21は、クライアント10から送られてきたプリントジョブをプリンタ51〜54が画像形成するための画像データ(ビットマップデータ)に変換する。
【0020】
本実施形態において、プリントサーバ21とプリンタ51〜54とは、ネットワーク60を介して接続されているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、たとえばIEEE1394シリアルバス等の専用インタフェース用バスを介して接続されていてもよい。
【0021】
また、ネットワーク60に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。本実施形態において、たとえばプリンタを4台接続しているが、4台に限らず何台接続してもよい。
【0022】
次に、上記各機器の構成について説明するが、各機器で同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるため初回のみその説明を行い、2回目以降はその説明を省略する。
【0023】
図2は、クライアント10の概略構成を示すブロック図である。クライアント10は、たとえば、一般的なパーソナルコンピュータである。
【0024】
図2に示すように、クライアント10は、装置全体の制御および各種演算処理を行うCPU101、各種プログラムやデータを格納するためのROM102、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するためのRAM103、図示しないフレキシブルディスクを読み取るためのフレキシブルディスクドライブ(FDD)104、図示しないCD−ROMを読み取るためのコンパクトディスクドライブ(CDD)105、CPUによるプログラムの実行時にRAMに読み込まれる各種プログラムやデータを記憶するためのハードディスク106、各種情報の表示のための液晶ディスプレイなどの表示部107、各種指示の入力のためのキーボードやマウスなどからなる入力部108、およびネットワーク60に接続するためのLANカードなどのネットワークインタフェース109を含み、これらは信号をやり取りするためのバス110を介して相互に接続されている。
【0025】
ハードディスク106は、プリンタドライバや、データ送受信用のアプリケーションを格納することができる。ここで、ハードディスク106にインストールされるプリンタドライバは、プリンタを制御するためのソフトウェアであり、アプリケーションから受け取った文字や画像のデータをプリンタが解釈することのできるPDL(Page Description Language:ページ記述言語)に変換し、プリントジョブを作成することができる。また、プリンタドライバには、複数ページを縮小して1枚の用紙に印刷する割り付け機能や、プリンタの状態を監視して用紙切れやトナー切れを警告する機能などが備わっている。
【0026】
図3は、プリントサーバ21の概略構成を示すブロック図である。プリントサーバ21は、プリンタ用のサーバコンピュータである。
【0027】
プリントサーバ21は、CPU201、ROM202、RAM203、FDD204、CDD205、ハードディスク206、表示部207、入力部208、ネットワークインタフェース209、および、通信部210を含み、これらは信号をやり取りするためのバス211を介して相互に接続されている。
【0028】
ハードディスク206は、データ送受信用のアプリケーションを記憶することができる。また、ハードディスク206には、外部のたとえばクライアント10から受信したプリントジョブにおけるPDLなどで記述されたプリント制御データを解釈し、内部処理可能な形式のデータである中間レコードに変換するプログラムと、作成した中間レコードに基づき画像データを生成するプログラムとが記憶されており、これらプログラムを実行することによりプリントジョブから画像データを生成することができる。
【0029】
通信部210は、たとえばIEEE1394シリアルバス用のインタフェースとその制御部分とから構成される。この通信部210は、IEEE1394シリアルバスを介して、各種データを送受信するためのものである。
【0030】
図4は、プリンタ51の概略構成を示すブロック図である。プリンタ51は、プリントサーバ21からの指示に基づき、プリントサーバで生成された画像データを用紙上にプリントするものである。プリンタ52〜54は、プリンタ51と同様の構成であるため詳細な説明を省略する。
【0031】
プリンタ51は、CPU501、ROM502、RAM503、操作パネル部504、印刷部505、ネットワークインタフェース506、および、通信部507を含み、これらは信号をやり取りするためのバス508を介して相互に接続されている。
【0032】
操作パネル部504は、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。印刷部505は、画像データをレーザビーム方式により用紙などの記録材上にプリントする。図5に示すように、印刷部505は、ポリゴンミラーの回転制御を行うスキャナ制御部511と、感光体ドラムへの帯電、現像バイアスおよび転写ローラへの転写バイアスの電圧印加などの高電圧制御を行う高圧制御部512と、レーザビームの変調制御を行うレーザ制御部513と、用紙などの記録材の搬送制御を行う搬送制御部514等とを有している。
【0033】
なお、クライアント10、プリントサーバ21、プリンタ51〜54は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0034】
次に、図6〜図13を参照して、プリントサーバ21で行われる処理について説明する。なお、図6〜図8のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、プリントサーバ21のハードディスク206などの記憶装置にプログラムとして記憶されており、CPU201により実行される。
【0035】
本実施形態では、複数ページからなるデータを複数部数並行して複数のプリンタに転送するプリントジョブが受信された場合について、以下に説明する。
【0036】
まず、クライアント10により作成されたプリントジョブを受信し、受信したプリントジョブを一旦ハードディスク206に蓄積する(S101)。なお、ステップS101は、プリントスプーラと称されるプリントジョブ要求管理モジュールによって実行される。次いで、プリント実行可能となったプリントジョブをラスタライズする(S102)。具体的には、プリントジョブを、プリンタ51〜54でプリント可能なビットマップ形式の画像データ(プリントデータ)に変換する。
【0037】
続いて、ラスタライズされて得られたプリントデータの各ページのデータサイズ、ページ数、および部数が記録された、図9に示すようなジョブヘッダテーブルを作成する(S103)。図9に示すジョブヘッダテーブルには、たとえば、50ページの画像データを10部印刷出力するプリントジョブに関する情報が記録されている。
【0038】
ラスタライズされて得られたプリントデータの各ページは、一旦ハードディスク206に蓄積される(S104)。
【0039】
ステップS105では、ジョブヘッダテーブルの内容に基づき、処理しようとするプリントジョブに関してプリンタのプリントスケジュールを決定するための処理が行われる。ここで、プリントジョブの割り振り先が決定される。また、並行してプリント制御される複数のプリンタのうち、何台のプリンタが時期的にずれてプリント制御されるかが決定される。本明細書において、プリント制御とは、データを用紙などの記録材に画像欠損なくプリントすべくプリンタを制御することをいう。プリント制御には、データの転送に関する制御が含まれる。ステップS105の処理の具体的な内容については後述する。
【0040】
続いて、ステップS105で決定されたプリントスケジュールに基づいて、プリントデータをプリントサーバ21からのデータの転送先として設定された各プリンタに対して送信する(S106)。そして、各プリンタは、受信したプリントデータの印刷を並行して行う。
【0041】
次に、図7を参照して、ステップS105におけるプリントスケジュールの決定処理について説明する。
【0042】
まず、プリントサーバ21は、プリントサーバ自身からのデータの出力速度(データ転送速度)を算出する(S201)。データの出力速度は、プリントサーバがハードディスク206から画像データを読み出すときの読出速度、ネットワークインタフェース209および通信部210の通信速度、などに基づいて算出される。ここでは、データ転送速度の単位として、たとえばMB/秒(Mega Byte per Sec)が使用される。
【0043】
続いて、プリント制御可能なプリンタのステータス情報が取得され、解析される(S202)。具体的には、プリント制御可能なプリンタのステータス情報から各プリンタのプリント性能(プリント速度を含む)を取得し、これにより、各プリンタにおける1ページの出力に要する時間の最大公約数を算出する。
【0044】
たとえば、4台のプリンタ51〜54がプリント制御可能であり、プリンタ51、52が1分間に10枚のプリントが可能(10PPM)で、プリンタ53、54が1分間に20枚のプリントが可能(20PPM)である場合、プリンタ51、52における1ページの出力に要する時間は6秒(=60/10)、プリンタ53、54における1ページの出力に要する時間は3秒(=60/20)となる。したがって、各プリンタにおける1ページの出力に要する時間の最大公約数は、3秒と算出される。
【0045】
続いて、プリントジョブの割り振り先の決定、およびプリント時間の予測が行われる(S203)。プリントジョブの割り振り先の決定、およびプリント時間の予測は、各プリンタのプリント速度と、ジョブヘッダテーブル(図9参照)における部数およびページ数の情報に基づいて行われる。たとえば、図9に示されるような50ページの画像データを10部印刷するプリントジョブを、プリント速度が10PPMのプリンタ51、52と20PPMのプリンタ53、54とに割り振る場合、プリンタ51、52にはそれぞれ2部、プリンタ53、54にはそれぞれ3部の画像データが割り振られる。この場合、プリンタ51、52では10分(=50×2/10)、プリンタ51、52では7.5分(=50×3/20)で印刷が終了する。したがって、プリンタ群全体としてのプリント時間は、10分である。
【0046】
続いて、複数のプリンタからなるプリンタ群をプリント制御するために必要となる当該プリンタ群へのデータの入力速度(データ転送速度)が算出される(S204)。図10は、後述するプリント制御開始時の調整を行わない場合に、必要となるプリンタへのデータの入力速度を示す図である。
【0047】
具体的には、まず、各プリンタをプリント制御するために必要となる各プリンタへのデータの入力速度が算出される。必要となる各プリンタへのデータの入力速度は、ステップS202で算出された各プリンタにおける1ページの出力に要する時間の最大公約数ごとに算出される。ここで、必要となる各プリンタへのデータの入力速度は、図9における各ページのデータサイズ(MB)を、当該プリンタにおける1ページの出力に要する時間(S202参照)で除算することにより求められる。
【0048】
たとえば、図9に示されるプリントジョブを、プリント速度が10PPMのプリンタ51、52と20PPMのプリンタ53、54とで並行してプリントする場合、上記した最大公約数である3秒ごとの、必要となる各プリンタへのデータの入力速度は、図10に示すとおりである。図10に示すように、プリンタ51、52には、たとえば、経過時間が0(×3秒)および1(×3秒)のとき図9に示すページ番号が1の画像データが転送される。一方、プリンタ53、54には、たとえば、経過時間が0(×3秒)のとき図9に示すページ番号が1の画像データが転送され、経過時間が1(×3秒)のとき図9に示すページ番号が2の画像データが転送される。
【0049】
そして、このようにして算出された必要となる各プリンタへのデータの入力速度を合計することにより、複数のプリンタからなるプリンタ群をプリント制御するために必要となる当該プリンタ群へのデータの入力速度が算出される。
【0050】
ステップS205では、ステップS204で算出された必要となるプリンタ群へのデータの入力速度と、ステップS201で算出されたプリントサーバからのデータの出力速度とが比較される。比較を行った結果、複数のプリンタヘデータを並行して転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かが判定される。ここで、プリントサーバからのデータの出力速度が、必要となるプリンタ群へのデータの入力速度よりも低い場合に、画像欠損が発生すると判定される。ただし、本発明は、かかる判定方法に限定されるものではなく、たとえば、プリントサーバからのデータの出力速度に対する、必要となるプリンタ群へのデータの入力速度の割合が所定の閾値以上の場合に、画像欠損が発生するおそれがあると判定されてもよい。
【0051】
ここで、ステップS201でプリントサーバからのデータの出力速度がたとえば40(MB/秒)と算出された場合を想定する。この場合、たとえば図10に示すように、プリンタ群をプリント制御するために必要となる当該プリンタ群へのデータの入力速度が、経過時間が0(×3秒)のときに60(MB/秒)となり、プリントサーバからのデータの出力速度を超えるため、プリント時に画像欠損を生じる。
【0052】
このように、所定の時間ごとに、必要となるプリンタ群へのデータの入力速度とプリントサーバからのデータの出力速度とを比較した結果、プリント時に画像欠損が発生すると判定された場合(S205:YES)、画像欠損が実際上起こらないように、並行してプリント制御される複数のプリンタのうち、所定台数のプリンタに対するプリント制御の開始時をずらす(遅らせる)調整が行われる(S206)。ステップS206の処理の具体的な内容については後述する。
【0053】
一方、プリント時に画像欠損が発生しないと判定された場合(S205:NO)、図6のフローチャートに戻る。
【0054】
次に、図8を参照して、ステップS206におけるプリント制御の開始時の調整処理について説明する。
【0055】
まず、Uを転送先の各プリンタにおける1ページの出力に要する時間の最大公約数、Tを自然数として、所定台数のプリンタに対してプリント制御の開始時を時間(T×U)だけ遅らせる調整を行う場合のプリント制御開始時スケジュールが1つ作成される(S301)。すなわち、かかる調整の実行無しでプリンタ群をプリント制御することが可能な場合にプリントに要する時間をVとした場合、(T×U+V)の時間で印刷が終了するためのプリント制御開始時スケジュールが作成される。ここで、Tは、プリント制御の開始時を遅らせるための時間関数として機能する。
【0056】
本実施形態では、最初にT=1として、プリント時間が(T×U+V)=1×3秒+10分=10分3秒となるプリント制御開始時スケジュールが作成される。このようなプリント制御開始時スケジュールは、図11に示すように、14通り存在する。ここでは、たとえばプリンタ51に対するプリント制御の開始時を3秒だけ遅らせる調整を行うパターン1のプリント制御開始時スケジュールが作成される。
【0057】
続いて、ステップS301で作成されたプリント制御開始時スケジュールに基づいて、複数のプリンタからなるプリンタ群をプリント制御するために必要となる当該プリンタ群へのデータの入力速度が算出される(S302)。具体的な算出方法は、ステップS204における処理と同様であるため説明を省略する。図12は、パターン1のプリント制御開始時スケジュールによる調整が実行される場合に、必要となるプリンタへのデータの入力速度を示す図である。
【0058】
ステップS303では、ステップS302で算出された必要となるプリンタ群へのデータの入力速度と、ステップS201で算出されたプリントサーバからのデータの出力速度とが比較される。比較を行った結果、複数のプリンタヘデータを並行して転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かが判定される。
【0059】
たとえばパターン1のプリント制御開始時スケジュールによる調整が実行される場合であっても、図12に示すように、プリンタ群をプリント制御するために必要となる当該プリンタ群へのデータの入力速度が、経過時間が0(×3秒)のときに50(MB/秒)となり、プリントサーバからのデータの出力速度を超えるため、プリント時に画像欠損を生じる。
【0060】
プリント時に画像欠損が発生すると判定された場合(S303:YES)、(T×U+V)の時間で印刷が終了するための他のパターンのプリント制御開始時スケジュールの作成が可能か否かが判断される。ここでは、図11に示す14通りのパターンのうち、未検討のパターンのプリント制御開始時スケジュールが存在するか否かが判断される。一方、プリント時に画像欠損が発生しないと判定された場合(S303:NO)、図7のフローチャートに戻る。
【0061】
他のパターンのプリント制御開始時スケジュールの作成が可能であると判断された場合(S304:YES)、ステップS301に戻る。このとき、ステップS301では、たとえばプリンタ51および52に対するプリント制御の開始時を3秒だけ遅らせる調整を行うパターン2のプリント制御開始時スケジュールが作成される。続いて、ステップS302では、パターン2のプリント制御開始時スケジュールに基づいて、複数のプリンタからなるプリンタ群をプリント制御するために必要となる当該プリンタ群へのデータの入力速度が算出される。図13は、パターン2のプリント制御開始時スケジュールによる調整が実行される場合に、必要となるプリンタへのデータの入力速度を示す図である。たとえばパターン2のプリント制御開始時スケジュールによる調整が実行される場合、図13に示すように、プリンタ群をプリント制御するために必要となる当該プリンタ群へのデータの入力速度は、プリントサーバからのデータの出力速度を超えない。この場合、プリント時に画像欠損が発生しないと判定され(S303:NO)、図7のフローチャートに戻る。
【0062】
一方、他のパターンのプリント制御開始時スケジュールの作成が可能でないと判断された場合(S304:NO)、プリント制御の開始時を遅らせるための時間関数Tが、1だけインクリメント(T=T+1)される(S305)。
【0063】
続いて、プリント制御の開始時を遅らせる時間(T×U)が、プリント制御の開始時を遅らせる調整の実行無しでプリンタ群をプリント制御することが可能な場合にプリントに要する時間V以上であるか否かが判断される(S306)。
【0064】
T×U<Vである場合(S306:NO)、ステップS301に戻る。このとき、ステップS301では、たとえばプリンタ51および52に対するプリント制御の開始時を6(=2×3)秒だけ遅らせる調整を行うプリント制御開始時スケジュールが作成される。
【0065】
一方、T×U≧Vである場合(S306:YES)、プリント制御するプリンタの台数を減少させるプリンタ台数減処理が行われる(S307)。T×U≧Vである場合には、プリント制御開始時の調整の実行を含んでプリント群をプリント制御する場合にプリントに要する時間が、調整の実行無しでプリント群をプリント制御することが可能な場合にプリントに要する時間の2倍以上となり、複数のプリンタを使用してプリント時間の短縮を図るという目的が達成され難い。このため、本実施形態では、T×U≧Vとなるようなプリントスケジュールは作成されない。ただし、ステップS306では、プリント制御開始時の調整の実行を含んでプリント群をプリント制御する場合にプリントに要する時間が、調整の実行無しでプリント群をプリント制御することが可能な場合にプリントに要する時間の所定倍(たとえば1.5倍など)以上となるか否かが判断されてもよい。
【0066】
ステップS307では、プリントサーバ21からのデータの転送先であるプリンタの台数が減少させられるが、本実施形態では、先にプリント制御可能なプリンタとして選択されたプリンタのうち、まず最もプリント速度の遅い1台が使用されないものとされる。この処理によりジョブの割り振りのやり直しが必要となるため、図7のステップS203に戻る。この場合、結果として、プリントサーバ21がプリンタ群をプリント制御するために必要となる当該プリンタ群へのデータの入力速度が下がり、画像欠損の発生の防止が図られる。
【0067】
このように本実施形態によれば、複数のプリンタで並行して画像を形成する場合、プリント時に画像欠損が生じると判定されたときには、複数のプリンタのうち、所定台数のプリンタに対するプリント制御の開始時をずらす調整を行う。これにより、複数のプリンタからなるプリンタ群をプリント制御するために必要となる当該プリンタ群へのデータの入力速度が、プリントサーバからのデータの出力速度を上回ることを防止することが可能となる。したがって、複数のプリンタで並行して画像を形成する場合のプリントシステム全体のパフォーマンスを確保しつつ、プリント時の画像欠損を防止することが可能となる。
【0068】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0069】
たとえば、プリンタの代わりに、ファクシミリ装置、コピー機、およびそれらを複合した機能を有する多機能周辺機器(MFP:Multi−Function Peripheral)などの画像形成装置が用いられてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、複数ページからなるデータを複数部数並行して複数のプリンタに転送する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数ページからなる1部のデータを分割して複数のプリンタに並行して転送する場合にも適用可能である。
【0071】
本発明において、プリントサーバにおける各種処理を行う手段は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えばフレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶装置に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【0072】
なお、上述した本発明の実施形態には、特許請求の範囲の請求項1〜5に記載した発明以外にも、以下の付記1〜3に示すような発明が含まれる。
【0073】
[付記1] 前記調整手順において、前記調整の実行を含んで前記複数の画像形成装置をプリント制御する場合にプリントに要する時間が、前記調整の実行無しで前記複数の画像形成装置をプリント制御することが可能な場合にプリントに要する時間の所定倍以上となるとき、プリント制御する画像形成装置の台数を減少させる台数減少手順をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項4に記載のプリントプログラム。
【0074】
[付記2] 請求項1〜4、付記1のいずれか1つに記載のプリントプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0075】
[付記3] 複数の画像形成装置にデータを並行して転送することが可能なプリント方法であって、
プリントサーバからのデータの出力速度、複数の画像形成装置にそれぞれ転送されるページのデータサイズ、および転送先の各画像形成装置のプリント速度に基づいて、前記複数の画像形成装置ヘデータを転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて画像欠損が生じると判定された場合、前記複数の画像形成装置のうち、所定台数の画像形成装置に対するプリント制御の開始時をずらす調整を行う調整ステップと
を有することを特徴とするプリント方法。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の画像形成装置で並行して画像を形成する場合のプリントシステム全体のパフォーマンスを確保しつつ、プリント時の画像欠損を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリントシステムの全体構成図である。
【図2】クライアントの概略構成を示すブロック図である。
【図3】プリントサーバの概略構成を示すブロック図である。
【図4】プリンタの概略構成を示すブロック図である。
【図5】印刷部の概略構成を示す図である。
【図6】プリントサーバで行われる処理について説明するためのフローチャートである。
【図7】プリントスケジュールの決定処理について説明するためのフローチャートである。
【図8】プリント制御の開始時の調整処理について説明するためのフローチャートである。
【図9】ジョブヘッダテーブルの一例を示す図である。
【図10】プリント制御開始時の調整を行わない場合に、必要となるプリンタへのデータの入力速度を示す図である。
【図11】プリント制御開始時スケジュールのリストを示す図である。
【図12】パターン1のプリント制御開始時スケジュールによる調整が実行される場合に、必要となるプリンタへのデータの入力速度を示す図である。
【図13】パターン2のプリント制御開始時スケジュールによる調整が実行される場合に、必要となるプリンタへのデータの入力速度を示す図である。
【符号の説明】
10…クライアント、
21…プリントサーバ、
201…CPU、
202…ROM、
203…RAM、
204…FDD、
205…CDD、
206…ハードディスク、
207…表示部、
208…入力部、
209…ネットワークインタフェース、
210…通信部、
211…バス、
51〜54…プリンタ、
60…ネットワーク。

Claims (5)

  1. 複数の画像形成装置にデータを並行して転送することが可能なプリントプログラムであって、
    プリントサーバからのデータの出力速度、複数の画像形成装置にそれぞれ転送されるページのデータサイズ、および転送先の各画像形成装置のプリント速度に基づいて、前記複数の画像形成装置ヘデータを転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かを判定する判定手順と、
    前記判定手順において画像欠損が生じると判定された場合、前記複数の画像形成装置のうち、所定台数の画像形成装置に対するプリント制御の開始時をずらす調整を行う調整手順と
    をコンピュータに実行させるためのプリントプログラム。
  2. 複数の画像形成装置にそれぞれ転送されるページのデータサイズ、および転送先の各画像形成装置のプリント速度に基づいて、前記複数の画像形成装置をプリント制御するために必要となる当該複数の画像形成装置へのデータの入力速度を演算する演算手順をさらにコンピュータに実行させ、
    前記判定手順において、演算されたデータの入力速度とプリントサーバからのデータの出力速度とを比較し、前記複数の画像形成装置ヘデータを転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のプリントプログラム。
  3. 前記調整手順において、転送先の複数の画像形成装置のうち、nを自然数としてn台の画像形成装置に対して前記プリント制御の開始時をずらす調整を行っても、前記判定手順において、画像欠損が生じると判定される場合、(n+1)台の画像形成装置に対して前記プリント制御の開始時をずらす調整を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のプリントプログラム。
  4. 前記調整手順において、Uを転送先の各画像形成装置における1ページの出力に要する時間の最大公約数、Tを自然数として、前記所定台数の画像形成装置に対して前記プリント制御の開始時を時間(T×U)だけずらす調整を行っても、前記判定手順において、画像欠損が生じると判定される場合、前記所定台数の画像形成装置に対して前記プリント制御の開始時を時間((T+1)×U)だけずらす調整を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のプリントプログラム。
  5. 複数の画像形成装置にデータを並行して転送することが可能なプリントサーバであって、
    プリントサーバからのデータの出力速度、複数の画像形成装置にそれぞれ転送されるページのデータサイズ、および転送先の各画像形成装置のプリント速度に基づいて、前記複数の画像形成装置ヘデータを転送したときにプリント画像に欠損が生じるか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により画像欠損が生じると判定された場合、前記複数の画像形成装置のうち、所定台数の画像形成装置に対するプリント制御の開始時をずらす調整を行う調整手段と
    を有することを特徴とするプリントサーバ。
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