JP2004219529A - 液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

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Takeshi Yamamoto
武志 山本
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Abstract

【課題】信頼性の低下を招くことなく、安価でしかも表示品位の優れた液晶表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】一対の基板100及び200間に液晶層300を挟持して構成された液晶表示装置において、画像を表示する表示領域102の画素PX毎に配置されたカラーフィルタ層24R、24G、24Bと、表示領域102の外周に沿って配置された遮光層SPと、一対の基板間に所定のギャップを形成する柱状スペーサ31と、遮光層SP及び柱状スペーサ31の表面を被覆するオーバコート層35と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、液晶表示装置及びその製造方法に係り、特に、顔料や染料を含有する樹脂によって形成された柱状スペーサを有する液晶表示装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクティブマトリクス型液晶表示装置は、マトリクス状に配置された画素を備え、電極を有する一対の基板間に液晶層を挟持して構成されている。すなわち、一方の基板は、互いに直交するように配列された走査線及び信号線と、走査線と信号線との交差部近傍に配置された薄膜トランジスタ(TFT)と、画素毎にTFTに接続された画素電極と、を備えてアクティブマトリクス基板を構成する。また、他方の基板は、複数の画素に共通の対向電極を有し、さらに、画素毎に配置された赤(R)、緑(G)、青(B)の着色層からなるカラーフィルタ層を備えている。これらの一対の基板間には、プラスティックビーズなどのスペーサが配置され、基板間のギャップを保持している。
【0003】
このような液晶表示装置においては、カラーフィルタ層をアクティブマトリクス基板上に形成することによって高い開口率を得る方式や、フォトリソグラフィプロセスによって柱状スペーサを一方の基板の一主面上に形成して均一なギャップを保つ方式などが提案されている。
【0004】
また、これらの方式でさらなるコスト低減を図るために、柱状スペーサを、複数のカラーフィルタ層を積層して形成したり、表示領域周辺に配置される遮光層と同一材料で形成することによって工程数を削減する方式も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−131759号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、カラーフィルタ層や遮光層は、当然のことながら顔料または染料を含有した感光性樹脂によって形成されている。このような感光性樹脂を用いて柱状スペーサを形成した場合、ブラシを用いた洗浄工程や液晶配向のためのラビング工程などにおいて柱状スペーサの表面が削られやすい。
【0007】
すなわち、柱状スペーサの表面から削られた感光性樹脂が完全に除去できずに基板表面に残ってしまった場合、感光性樹脂に含まれる顔料や染料が液晶層に悪影響を与え、表示不良を発生するおそれがある。このような表示不良は、表示品位の低下を招くとともに、表示装置としての信頼性の低下を招くことになる。
【0008】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、信頼性の低下を招くことなく、安価でしかも表示品位の優れた液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の第1の様態による液晶表示装置は、
一対の基板間に液晶層を挟持して構成された液晶表示装置において、
画像を表示する表示領域の画素毎に配置されたカラーフィルタ層と、
前記表示領域の外周に沿って配置された遮光層と、
前記一対の基板間に所定のギャップを形成する柱状スペーサと、
前記遮光層及び前記柱状スペーサの表面を被覆するオーバコート層と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明の第2の様態による液晶表示装置の製造方法は、
一対の基板間に液晶層を挟持して構成された液晶表示装置の製造方法において、
画像を表示する表示領域の画素毎にカラーフィルタ層を形成する工程と、
前記表示領域の外周に沿って遮光層を形成する工程と、
前記一対の基板間に所定のギャップを形成する柱状スペーサを形成する工程と、
前記遮光層及び前記柱状スペーサの表面を被覆するオーバコート層を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態に係る液晶表示装置及びその製造方法について図面を参照して説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、この実施の形態に係る液晶表示装置、例えばアクティブマトリクス型液晶表示装置は、液晶表示パネル10を備えている。この液晶表示パネル10は、アレイ基板100と、このアレイ基板100に対向配置された対向基板200と、アレイ基板100と対向基板200との間に配置された液晶層300とを備えている。これらアレイ基板100と対向基板200とは、液晶層300を挟持するための所定のギャップを形成しつつシール部材106によって貼り合わせられている。液晶層300は、アレイ基板100と対向基板200との間に封入された液晶組成物によって構成されている。
【0013】
このような液晶表示パネル10において、画像を表示する表示領域102は、マトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている。表示領域102の周縁は、額縁状に形成された遮光層SPによって遮光されている。
【0014】
表示領域102において、アレイ基板100は、図2に示すように、m×n個の画素電極151、m本の走査線Y1〜Ym、n本の信号線X1〜Xn、m×n個のスイッチング素子121を有している。一方、表示領域102において、対向基板200は、対向電極204を備えている。
【0015】
画素電極151は、表示領域102においてマトリクス状に配置されている。走査線Yは、これら画素電極151の行方向に沿って配列されている。信号線Xは、これら画素電極151の列方向に沿って配列されている。スイッチング素子121は、ポリシリコン半導体層を有するnチャネル型の薄膜トランジスタすなわち画素TFTであり、画素電極151に対応して走査線Y及び信号線Xの交差部近傍に配置されている。対向電極204は、すべての画素PXに対して共通に配置されており、液晶層300を介してm×n個の画素電極151すべてに対向する。
【0016】
表示領域102周辺の周辺領域104において、アレイ基板100は、走査線Y1〜Ymを駆動する駆動TFTを含む走査線駆動回路18、信号線X1〜Xnを駆動する駆動TFTを含む信号線駆動回路19などを有している。これら走査線駆動回路18及び信号線駆動回路19に含まれる駆動TFTは、ポリシリコン半導体層を有するnチャネル型薄膜トランジスタ及びpチャネル型薄膜トランジスタによって構成されている。
【0017】
図1及び図2に示した液晶表示パネル10は、例えばアレイ基板100側から対向基板200側に向けて選択的に光を透過する透過型である。このため、液晶表示装置は、図3に示すように、透過型の液晶表示パネル10と、この液晶表示パネル10を背面(アレイ基板100の外面側)から照明するバックライトユニット400と、を備えている。
【0018】
図3に示した液晶表示装置の表示領域102において、アレイ基板100は、ガラス基板などの透明な絶縁性基板11上に、マトリクス状に配置された複数の画素PXにそれぞれ対応して形成された画素TFT121、画素PX毎に画素TFT121を覆うように形成されたカラーフィルタ層24(R、G、B)、カラーフィルタ層24上に画素PX毎に配置された画素電極151、カラーフィルタ層24上に形成された柱状スペーサ31、複数の画素電極151全体を覆うように形成された配向膜13Aなどを備えている。また、アレイ基板100は、周辺領域104において、表示領域102の外周を取り囲むように配置された遮光層SPを備えている。
【0019】
カラーフィルタ層24(R、G、B)は、緑色(G)、青色(B)、及び赤色(R)の顔料または染料を含有した感光性樹脂によって形成されている。各カラーフィルタ層24(R、G、B)は、それぞれ対応する色の画素PX毎に配置され、緑色、青色、及び赤色の各色成分の光をそれぞれ透過させる。
【0020】
画素電極151は、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)等の透過性導電部材によって形成されている。各画素電極151は、これらカラーフィルタ層24(R、G、B)を貫通するスルーホール26を介して対応する画素TFT121にそれぞれ接続されている。
【0021】
各画素TFT121は、図4に、より詳細な構造を示すように、ポリシリコン膜によって形成された半導体層112を有している。この半導体層112は、絶縁性基板11上に配置されたアンダーコーティング層60上に配置され、チャネル領域112Cの両側にそれぞれ不純物をドープすることによって形成されたドレイン領域112D及びソース領域112Sを有している。
【0022】
また、この画素TFT121は、ゲート電極63、ドレイン電極88、及び、ソース電極89を備えている。
【0023】
ゲート電極63は、走査線Yと一体に形成され、ゲート絶縁膜62を介して半導体層112に対向して配置されている。ドレイン電極88は、信号線Xと一体に形成され、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜76を貫通するコンタクトホール77を介して半導体層112のドレイン領域112Dに電気的に接続されることによって形成されている。
【0024】
ソース電極89は、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜76を貫通するコンタクトホール78を介して半導体層112のソース領域112Sに電気的に接続されることによって形成されている。また、ソース電極89は、層間絶縁膜76、ドレイン電極88、及び、ソース電極89を覆うカラーフィルタ層24(R、G、B)に形成されたスルーホール26を介して画素電極151に電気的に接続されている。
【0025】
これにより、画素TFT121は、走査線Y及び信号線Xに接続され、走査線Yからの駆動電圧により導通し、信号線Xからの信号電圧を画素電極151に印加する。
【0026】
画素電極151は、液晶容量CLと電気的に並列な補助容量CSを形成する補助容量素子に電気的に接続されている。すなわち、補助容量電極61は、不純物ドープされたポリシリコン膜によって形成されている。この補助容量電極61は、半導体層121と同層のアンダーコーティング層60上に配置されている。また、補助容量電極61は、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜76を貫通するコンタクトホール79を介してコンタクト電極80に電気的に接続されている。このコンタクト電極80は、カラーフィルタ層24を貫通するコンタクトホール81を介して画素電極151に電気的に接続されている。これにより、画素TFT121のソース電極89、画素電極30、及び補助容量電極61は、同電位となる。一方、補助容量線52は、その少なくとも一部がゲート絶縁膜62を介して補助容量電極61に対向配置され、所定電位に設定されている。
【0027】
これら信号線X、走査線Y、及び補助容量線52等の配線部は、アルミニウムや、モリブデン−タングステンなどの遮光性を有する低抵抗材料によって形成されている。この実施の形態では、互いに略平行に配置された走査線Y及び補助容量線52は、モリブデン−タングステンによって形成されている。また、層間絶縁膜76を介して走査線Yに対して略直交するように配置された信号線Xは、主にアルミニウムによって形成されている。また、信号線Xと一体のドレイン電極88、ソース電極89、及び、コンタクト電極80も、信号線と同様にアルミニウムによって形成されている。
【0028】
一方、図3に示すように、遮光層SPは、光の透過を遮るために有色樹脂、例えば黒色の顔料または染料を含有した感光性樹脂によって形成されている。柱状スペーサ31は、図3に示した例では、複数のカラーフィルタ層24(R、G、B)を積層することによって形成されている。また、柱状スペーサ31は、図5に示したように、遮光層SPと同一材料によって形成されてもよい。すなわち、柱状スペーサ31は、顔料または染料を含有する感光性樹脂によって形成されている。これらの柱状スペーサ31は、遮光性を有する配線部上に位置するように配置されている。配向膜13Aは、液晶層300に含まれる液晶分子をアレイ基板100に対して所定方向に配向する。
【0029】
対向基板200は、ガラス基板などの透明な絶縁性基板21上に形成された対向電極204、この対向電極204を覆う配向膜13Bなどを有している。対向電極204は、ITO等の光透過性導電部材によって形成されている。配向膜13Bは、液晶層300に含まれる液晶分子を対向基板200に対して所定方向に配向する。
【0030】
液晶表示パネル10におけるアレイ基板100の外面には、偏光板PL1が設けられているとともに、対向基板200の外面には、偏光板PL2が設けられている。
【0031】
このような液晶表示装置において、バックライトユニット400から出射された光は、液晶表示パネル10をアレイ基板100の外面側から照明する。液晶表示パネル10におけるアレイ基板100側の偏光板PL1を通過して液晶表示パネル10の内部に入射した光は、液晶組成物300を介して変調され、対向基板200側の偏光板PL2によって選択的に透過される。これにより、液晶表示パネル10の表示領域102に画像が表示される。
【0032】
ところで、上述した液晶表示パネル10においては、高い開口率を得るために、カラーフィルタ層24(R、G、B)及び遮光層SPは、アレイ基板100側に形成されている。また、アレイ基板100と対向基板200との間に均一なギャップを形成するために、柱状スペーサ31は、アレイ基板100の主面上に形成されている。さらに、製造工程数を削減してコストの低減を図るために、柱状スペーサ31は、カラーフィルタ層または遮光層SPと同一材料によって形成されている。
【0033】
このようなアレイ基板100において、各画素PXのカラーフィルタ層24(R、G、B)の表面の大部分は、画素電極151によって覆われている。これに対して、柱状スペーサ31を形成する着色樹脂の表面は露出している。また、遮光層SPの表面は、ほぼ全体が露出している。つまり、画素電極151を除くアレイ基板100の主表面は、顔料または染料を含有する感光性樹脂を露出していることになる。
【0034】
このため、この状態で図6及び図7に示すように、ブラシを用いた洗浄工程を行うと、アレイ基板100の主表面が擦られた際に、その表面から顔料や染料を含有する感光性樹脂が削られる。このようにして削られた感光性樹脂に含まれる顔料や染料は、後に注入される液晶層に悪影響を与え、表示不良を発生する原因となり、製造歩留まり低下の要因になる。また、その後、配向膜13Aを形成した後に行うラビング工程においても、配向膜13Aは非常に薄いため同様の不良が起こり得る。
【0035】
そこで、図8に示すように、アレイ基板100の主表面全体にオーバーコート層35を形成した液晶表示パネルにおいては、感光性樹脂の削れを防止することができ、削られた感光性樹脂に含まれる顔料や染料による表示不良の発生を防止することができる。しかしながら、このような構造の液晶表示パネルでは、画素電極151と画素TFT121との導通を取るために、カラーフィルタ層24(R、G、B)とオーバーコート層35の2層についてスルーホール26を形成する必要があるため、製造歩留まりの低下を招く。
【0036】
これらの構成に対して、この実施の形態では、図3及び図5に示したように、柱状スペーサ31及び遮光層SPの表面のみがオーバーコート層35によって被覆されている。このオーバコート層35は、顔料や染料を含有しない透明な感光性樹脂によって形成されている。つまり、アレイ基板100の主表面において、柱状スペーサ31及び遮光層SPを構成する顔料や染料を含有する着色樹脂は露出しない。
【0037】
このため、図9及び図10に示すように、洗浄工程やラビング工程において、アレイ基板100の主表面から顔料や染料を含有する着色樹脂が削られることが無い。また、たとえオーバコート層35を構成する透明感光性樹脂が削られたとしても、顔料や染料を含有していないため、後に注入される液晶層に悪影響を与えることがない。したがって、前述した表示不良の発生を防止することができる。
【0038】
また、オーバーコート層35は、柱状スペーサ31及び遮光層SPの表面のみを被覆するように形成されている。このため、画素電極151と画素TFT121との導通を取るためのスルーホール26は、カラーフィルタ層24(R、G、B)のみに形成すればよく、高い製造歩留まりを実現できる。
【0039】
次に、図3に示した構造の液晶表示パネル10の製造方法について説明する。
【0040】
アレイ基板100の製造工程では、まず、ガラス基板11上にアンダーコーティング層60を形成した後、画素TFT121などのポリシリコン半導体層112及び補助容量電極61を形成する。続いて、ゲート絶縁膜62を形成した後、走査線Y、補助容量線52、及び、走査線Yと一体のゲート電極63などの各種配線を形成する。
【0041】
続いて、ゲート電極63をマスクとして、ポリシリコン半導体層112に不純物を注入し、ドレイン領域112D及びソース領域112Sを形成した後、基板全体をアニールすることにより不純物を活性化する。続いて、層間絶縁膜76を形成した後、ゲート絶縁膜62及び層間絶縁膜76を貫通して各コンタクトホール77、78、79を形成する。続いて、信号線Xを形成するとともに、信号線Xと一体に画素TFT121のドレイン電極88、ソース電極89、及びコンタクト電極80を形成する。
【0042】
続いて、各色の画素毎に対応する色のカラーフィルタ層24(R、G、B)を形成する。すなわち、スピンナーなどにより、赤色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストCR−2000(富士フィルムオーリン(株)製)を基板全面に塗布する。そして、このレジスト膜を、赤色画素に対応した部分に光が照射されるようなフォトマスクを介して365nmの波長で100mJ/cmの露光量で露光する。そして、このレジスト膜をKOHの1%水溶液で20秒間現像し、さらに水洗した後、焼成する。これにより、3.0μmの膜厚を有する赤色カラーフィルタ層24Rを形成する。
【0043】
続いて、同様の工程を繰り返すことにより、緑色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストCG−2000(富士フィルムオーリン(株)製)からなる3.0μmの膜厚を有する緑色カラーフィルタ層24G、青色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストCB−2000(富士フィルムオーリン(株)製)からなる3.0μmの膜厚を有する青色カラーフィルタ層24Bを形成する。
【0044】
これらのカラーフィルタ層24(R、G、B)の形成工程では、赤色カラーフィルタ層24R、緑色カラーフィルタ層24G、及び青色カラーフィルタ層24Bを順に積層して柱状スペーサ31を同時に形成する。この柱状スペーサ31において、赤色カラーフィルタ層24R上に形成された緑色カラーフィルタ層24Gは、その底部において20μm×20μmのサイズを有している。また、緑色カラーフィルタ層24G上に形成された青色カラーフィルタ層24Bは、その底部において15μm×15μmのサイズを有している。また、これらのカラーフィルタ層24(R、G、B)の形成工程では、直径20μmのスルーホール26及びコンタクトホール81も同時に形成する。
【0045】
続いて、例えばスパッタ法により、500オングストロームの膜厚を有するITO膜を成膜した後に、所望の画素パターンにパターニングすることにより、画素電極151を形成する。
【0046】
続いて、スピンナーなどにより、例えば黒色顔料を20wt%添加した感光性アクリル樹脂レジストNN600(JSR(株)製)を基板全面に所定の膜厚で塗布する。そして、この樹脂レジストを90℃で10分間乾燥した後に、所定のパターン形状のフォトマスクを用いて365nmの波長で、100mJ/cmの露光量で露光する。そして、この樹脂レジストをpH11.5のアルカリ水溶液にて現像し、200℃で60分間焼成する。これにより、表示領域102の周辺に遮光層SPを形成する。
【0047】
続いて、スピンナーなどにより、感光性アクリル透明樹脂レジストNN600(JSR(株)製)を基板全面に所定の膜厚で塗布する。そして、この樹脂レジストを90℃で10分間乾燥した後に、所定のパターン形状のフォトマスクを用いて365nmの波長で、40mJ/cmの露光量で露光する。そして、この樹脂レジストをpH11.5のアルカリ水溶液にて現像し、200℃で60分間焼成する。これにより、柱状スペーサ31及び遮光層SPを被覆するオーバコート層35を形成する。そして、この状態で洗浄を行う。これにより、アレイ基板100が製造される。
【0048】
一方、対向基板200の製造工程では、まず、ガラス基板21上に例えばスパッタ法により、500オングストロームの膜厚を有するITO膜を成膜し、対向電極204を形成する。これにより、対向基板200が製造される。
【0049】
液晶表示パネル10の製造工程では、上述した製造工程により製造されたアレイ基板100及び対向基板200の表面に、垂直配向膜材料AL−3046(JSR(株)製)を800オングストロームの膜厚で塗布し、焼成し、配向膜13A及び13Bを形成する。
【0050】
続いて、シール部材106を液晶注入口32を残して対向基板200の外縁(配向膜13Bの周辺)に沿って印刷塗布し、さらに、アレイ基板100から対向電極200に電圧を印加するための電極転移材をシール部材106の周辺の電極転移電極上に形成する。続いて、アレイ基板100の配向膜13Aと対向基板200の配向膜13Bとが互いに対向するようにアレイ基板100と対向基板200とを配置し、加熱してシール部材106を硬化させて両基板を貼り合わせる。続いて、ZLI−1565(MERCK社製)などの液晶組成物を液晶注入口32から注入し、さらに液晶注入口32を紫外線硬化型樹脂などの封止部材33によって封止することによって液晶層300を形成する。
【0051】
以上のような製造方法によって液晶表示パネル10が製造される。本実施形態においては垂直配向方式のため、必ずしもラビング工程が必要ではないが、表示モードによっては配向膜13Aを形成した後にラビング工程を行っても良い。その場合にもオーバコート層35により、不良を大幅に低減することができる。液晶表示装置における表示モードとしては、例えばTN(ツイステッド ネマティック)モード、ST(スーパー ツイステッド ネマティック)モード、GH(ゲスト−ホスト)モード、ECB(電界制御複屈折)モード、強誘電性液晶などが適用可能である。
【0052】
このようにして製造したカラー液晶表示装置は、非常に優れた表示品位を有するとともに、200パネルについて顔料または染料に起因する表示不良の発生の有無を調査したところ、皆無であった。
【0053】
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更が可能である。例えば、図5に示したように、柱状スペーサ31を遮光層SPと同一工程にて同一材料によって形成した液晶表示パネル10においては、オーバコート層35は、柱状スペーサ31及び遮光層SPのそれぞれの表面を被覆するように設けられている。
【0054】
このような構造を有するカラー液晶表示装置においても、非常に優れた表示品位を有するとともに、200パネルについて顔料または染料に起因する表示不良の発生の有無を調査したところ、皆無であった。
【0055】
また、上述した実施の形態では、柱状スペーサ31及び遮光層SPは、ともにアレイ基板100側に設けたが、ともに対向基板200側に設けても良く、また、一方をアレイ基板100側に設けて他方を対向基板200側に設けるような構造としても良い。また、このとき、柱状スペーサ31は、複数のカラーフィルタ層24(R、G、B)を積層することによって形成してもよいし、遮光層SPと同一の有色樹脂によって形成しても良い。
【0056】
いずれの構造の場合でも、着色樹脂が露出している部分、すなわち、柱状スペーサ31及び遮光層SPの表面は、顔料や染料など液晶層300に悪影響を与える物質を含有しない材料によって形成されたオーバコート層35によって被覆される。これにより、削れた感光性樹脂に含有される顔料や染料などに起因した表示不良の発生を防止することができ、信頼性の向上を図ることができる。
【0057】
(比較例1)
図3を用いて説明した実施の形態に係る液晶表示装置において、オーバコート層を設けない以外は全く同様に液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置の表示品位を評価したところ、200パネル中に3パネルにおいて表示不良を発生した。これらの表示不良の発生原因を分析したところ、柱状スペーサが削れたことによる顔料に起因した表示不良であることが判明した。
【0058】
(比較例2)
図3を用いて説明した実施の形態に係る液晶表示装置において、アレイ基板100の主表面全体にオーバコート層35を設けた以外は全く同様に液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置の表示品位を評価したところ、200パネル中に12パネルにおいて輝点不良が発生した。この表示不良の発生原因を分析したところ、画素TFT121と画素電極151との導通を取るためのスルーホール26において、オーバコート層が十分に除去されておらず、画素TFT121と画素電極151との接続不良が原因であることが判明した。
【0059】
以上説明したように、この発明の液晶表示装置及びこの液晶表示装置の製造方法によれば、柱状スペーサは、複数のカラーフィルタ層を積層することによって形成されるか、または、遮光層と同一の材料によって形成される。すなわち、柱状スペーサは、複数のカラーフィルタ層の形成工程にて同時に形成るか、遮光層の形成工程にて同時に形成される。このため、柱状スペーサを形成するための別個の製造工程が不要であり、製造工程数を削減してコストを低減することができる。
【0060】
柱状スペーサを複数のカラーフィルタ層の積層構造によって構成した場合、柱状スペーサとカラーフィルタ層とが同一基板上に設けられる。柱状スペーサ及びカラーフィルタ層をアレイ基板側に設けた場合、各画素に設けられたカラーフィルタ層は、その表面の大部分が画素電極によって被覆される。これに対して、柱状スペーサの表面は露出される。このため、柱状スペーサの表面は、オーバコート層によって被覆される。
【0061】
また、柱状スペーサを遮光層と同一材料によって形成した場合、柱状スペーサと遮光層とが同一基板上に設けられる。柱状スペーサ及び遮光層は、その表面が露出されることになる。このため、柱状スペーサ及び遮光層の表面は、オーバコート層によって被覆される。
【0062】
これら柱状スペーサ及び遮光層を被覆するオーバコート層は、顔料や染料を含有しない透明な感光性樹脂によって形成されている。このため、アレイ基板の主表面においては、顔料や染料を含有する着色樹脂が露出しない。したがって、洗浄工程やラビング工程において、アレイ基板の主表面から顔料や染料などを含有する着色樹脂が削られることが無い。これにより、液晶層に悪影響を与える物質に起因した表示不良の発生を防止することができ、良好な表示品位を実現することができる。
また、オーバーコート層は、柱状スペーサ及び遮光層の表面のみを被覆するように形成されている。このため、画素電極と画素TFTとの導通を取るためのスルーホールは、カラーフィルタ層のみに形成すればよく、高い製造歩留まりを実現できる。
したがって、信頼性の高い液晶表示装置を提供することができる。
【0063】
なお、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形・変更が可能である。また、各実施の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合組み合わせによる効果が得られる。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、信頼性の低下を招くことなく、安価でしかも表示品位の優れた液晶表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の液晶表示装置に適用される液晶表示パネルの構造を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶表示パネルの構成を概略的に示す回路ブロック図である。
【図3】図3は、この発明の一実施の形態に係る液晶表示装置の構造を概略的に示す断面図である。
【図4】図4は、図3に示した液晶表示装置を構成するアレイ基板の構造を概略的に示す断面図である。
【図5】図5は、この発明の他の実施の形態に係る液晶表示装置の構造を概略的に示す断面図である。
【図6】図6は、複数のカラーフィルタ層を積層することで形成した柱状スペーサを有するアレイ基板において、オーバコート層を設けなかった場合の着色樹脂の削れを説明するための図である。
【図7】図7は、遮光層と同一材料で形成した柱状スペーサを有するアレイ基板において、オーバコート層を設けなかった場合の着色樹脂の削れを説明するための図である。
【図8】図8は、複数のカラーフィルタ層を積層することで形成した柱状スペーサを有するアレイ基板において、基板全面にオーバコート層を設けた場合の製造歩留まりの低下を説明するための図である。
【図9】図9は、複数のカラーフィルタ層を積層することで形成した柱状スペーサを有するアレイ基板において、柱状スペーサ及び遮光層にオーバコート層を設けた構造を説明するための図である。
【図10】図10は、遮光層と同一材料で形成した柱状スペーサを有するアレイ基板において、柱状スペーサ及び遮光層にオーバコート層を設けた構造を説明するための図である。
【符号の説明】
10…液晶表示パネル
24(R、G、B)…カラーフィルタ層
31…柱状スペーサ
35…オーバコート層
100…アレイ基板
102…表示領域
200…対向基板
300…液晶層
PX…画素
SP…遮光層

Claims (10)

  1. 一対の基板間に液晶層を挟持して構成された液晶表示装置において、
    画像を表示する表示領域の画素毎に配置されたカラーフィルタ層と、
    前記表示領域の外周に沿って配置された遮光層と、
    前記一対の基板間に所定のギャップを形成する柱状スペーサと、
    前記遮光層及び前記柱状スペーサの表面を被覆するオーバコート層と、
    を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記柱状スペーサは、前記カラーフィルタ層と同一材料によって形成され、複数の前記カラーフィルタ層を積層することによって構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記柱状スペーサは、前記遮光層と同一材料によって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 前記オーバコート層は、透明な感光性樹脂によって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  5. 前記画素毎に配置された前記カラーフィルタ層の表面を被覆する画素電極を備えたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  6. 前記一対の基板のうちの一方の基板は、行方向に配列された走査線と、列方向に配列された信号線と、前記走査線と前記信号線との交差部近傍に配置されたスイッチング素子と、前記スイッチング素子に接続されマトリクス状に配置された画素電極と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  7. 前記一対の基板のうちの他方の基板は、すべての画素に共通の対向電極を備えたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  8. 一対の基板間に液晶層を挟持して構成された液晶表示装置の製造方法において、
    画像を表示する表示領域の画素毎にカラーフィルタ層を形成する工程と、
    前記表示領域の外周に沿って遮光層を形成する工程と、
    前記一対の基板間に所定のギャップを形成する柱状スペーサを形成する工程と、
    前記遮光層及び前記柱状スペーサの表面を被覆するオーバコート層を形成する工程と、
    を備えたことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  9. 前記柱状スペーサは、前記カラーフィルタ層と同時に形成されることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置の製造方法。
  10. 前記柱状スペーサは、前記遮光層と同時に形成されることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置の製造方法。
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