JP2004219388A - X線装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】X線装置は、X線が通過するX線光学系3と、X線光学系3の周囲を密閉するための密閉箱2と、密閉箱2の内部に、空気より小さい比重のヘリウムガスを供給するための導入管15と、密閉箱の内部ガスを外部に排出するための排気管16と、密閉箱2の内部に設けられ、空気の比重より小さい比重を持つフロート10と、フロート10の上下変位に応じて、ヘリウムガスの供給量を調整するための流量制御弁14などで構成される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線光学系の雰囲気を軽元素ガスで置換したX線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
大気中でX線測定を行うと、空気中に含まれる元素によって僅かなX線吸収が生ずるため、微量元素分析等の高精度測定を妨げる要因になることがある。その対策として、X線光学系の雰囲気をX線吸収が少ない元素に置換した測定方法が考えられている。
【0003】
X線光学系が設置された測定室をヘリウムHeで置換する方法として、1)測定室を真空引きした後にヘリウムを注入する方法(たとえば、特許文献1参照)、2)測定室にヘリウムを徐々に注入して内部の空気を押し出す方法(たとえば、特許文献2参照)、等がある。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−173448号公報
【特許文献2】
特開平10−54810号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記1)の方法では、測定室内の空気を排気するため完全なヘリウム置換が実現する。しかし、測定室が真空を維持するには非常に高い気密性が要求され、特に液体試料を扱うことが困難になる。
【0006】
また、上記2)の方法では、空気とヘリウムとの置換が完了するまで長時間を要し、その間ヘリウムも空気と一緒に排出されるため大量のヘリウムガスを浪費してしまう。
【0007】
さらに、両者の方法では、ヘリウム置換後も測定室の隙間からヘリウムが徐々に流出するのを補償するために、常に少量のヘリウムを供給する必要がある。ヘリウムは一般に高価であるため、ヘリウム消費量が多いと測定コストの増加をもたらすことになる。
【0008】
本発明の目的は、軽元素ガスの利用効率を向上できるX線装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、X線が通過するX線光学系と、
X線光学系の周囲を密閉するための密閉部材と、
密閉部材の内部に、空気より小さい比重の軽元素ガスを供給するための軽元素ガス供給手段と、
密閉部材の内部ガスを外部に排出するための排気手段と、
密閉部材の内部に設けられ、空気の比重より小さい比重を持つフロート部材と、
フロート部材の変位に応じて、軽元素ガスの供給量を調整するためのガス供給量調整手段とを備えることを特徴とするX線装置である。
【0010】
本発明に従えば、軽元素ガスを密閉部材の内部に供給すると、密閉部材内の上部に軽元素ガスが滞留し、下部に空気が滞留するため、フロート部材は軽元素ガスと空気との境界付近に位置するようになる。軽元素ガスが次第に外部にリークして減少すると、フロート部材は徐々に上昇する。すると、フロート部材の変位に応じて動作するガス供給量調整手段が軽元素ガスの供給量を増加させて、減少した分のガスを補給する。逆に、軽元素ガスの滞留量が増加すると、フロート部材は徐々に下降するため、軽元素ガスの供給量を減少させる。こうしてフロート部材が軽元素ガスの滞留量を検出するセンサとして機能し、ガス供給量調整手段と連動させることによって、軽元素ガスの自動流量制御を実現でき、軽元素ガスの消費を節約できる。
【0011】
また本発明は、密閉部材に、X線が通過可能なX線窓部材が取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、X線窓部材を密閉部材に設けることによって、外部に設置されたX線装置(たとえばX線源)から密閉部材の内部にX線を導入したり、あるいは密閉部材の内部から外部のX線装置(たとえばX線検出器)へ導出したり、X線光学系の全体配置の自由度を高くできる。X線窓部材として、X線吸収の小さい材料、たとえばベリリウムBe板や高分子膜などが好ましい。
【0013】
また本発明は、軽元素ガスがヘリウムガスであることを特徴とする。
本発明に従えば、X線光学系の雰囲気ガスとしてヘリウムガスを使用することによって、雰囲気ガスに起因するX線の吸収、散乱等を低減できるため、高感度、高精度の測定が可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施形態を示す構成図である。X線装置1は、X線管、回折素子、スリット、X線フィルタ、X線検出器等のX線光学素子を組み合わせたX線光学系3と、X線光学系3の周囲を密閉するための密閉箱2などで構成される。
【0015】
密閉箱2には、箱内部にヘリウムガスを導入するための導入管15と、密閉箱2の内部に残留する空気を外部に排出するための排気管16が設置される。導入管15には、ヘリウムガスを貯留したガスボンベや流量安定化用のレギュレータ等が接続され、途中にガス流量を制御するための流量制御弁14が接続されている。排気管16の排気口16aは、ヘリウムガスより比重の大きい空気が先に排出されるように、密閉箱2の底部付近に設置される。
【0016】
さらに密閉箱2の内部には、空気の比重より小さい比重を持つフロート10が設けられる。フロート10は、プラスチックや軽金属等から成る中空容器の内部を真空にしたり、水素ガスやヘリウムガスで充填したもので構成される。あるいはフロート10の中空容器と導入管15との間を可撓性の管で接続し、中空容器に排気穴を形成して、フロート10の内部が常にヘリウムガスで充満するような構成でも可能である。
【0017】
こうした構成によって、フロート10は、ヘリウムガスが滞留する上部空間Aと空気が滞留する下部空間Bとの間の境界面C付近に位置するようになる。そのため、フロート10の高さがヘリウムガスの滞留量を反映する。
【0018】
フロート10は、支点12の回りに角変位自在に支持されたリンク部材11に取り付けられ、リンク部材11と連結したリンク部材13は流量制御弁14の操作部に連結している。こうしたリンク部材11、13によって、ヘリウムガスの滞留量が減少してフロート10が上昇すると、流量制御弁14の開度が小さくなり、逆にヘリウムガスの滞留量が増加してフロート10が下降すると、流量制御弁14の開度が大きくなるように動作する。そのため、ヘリウムガスのリーク量と供給量とが均衡した状態で、フロート10が所望の高さとなるように調整することによって、ヘリウムガスの自動流量制御を実現できる。
【0019】
密閉箱2の開口に、X線が通過可能なX線窓部材4を取り付けることによって、ヘリウムガスの漏出を防止しつつ、外部のX線装置20との間でX線の導入または導出が可能になる。こうした構成は、X線装置20が大規模である場合やヘリウムとは別の雰囲気ガスに保ちたい場合、密閉箱2の容積を可及的に小さくしたい場合に好適となる。
【0020】
なお、上記の説明では、フロート10と流量制御弁14とがリンク部材11、13によって機械的に連動する例を示したが、フロート10の変位を光学的変化、電気的変化、磁気的変化などとして検出するセンサを用いて、流量制御弁14を電気的に動作する構成でも構わない。あるいは、フロート10に作用する浮力の変化を検出して、流量制御弁14を調整しても構わない。
【0021】
また、ヘリウムガスは上部に滞留するため、密閉箱2の底部の全部または一部が開放していても構わない。
【0022】
図2は、本発明の第2実施形態を示す構成図である。蛍光X線分析装置は、X線を発生するX線管30と、X線管30から発生したX線の中から単一の特性X線を分離するための分光結晶31と、分光結晶31で所定方向に回折したX線を取出すためのスリット32と、X線を外部信号によって遮断するためのシャッタ33と、試料SPの位置や姿勢を調整するための移動ステージ34と、移動ステージ34の上を通過するX線の通過位置を制限するスリット35と、スリット35を通過したX線の強度を検出するX線検出器36と、試料SPから発生する蛍光X線を検出するX線検出器37と、X線検出器37を冷却するための液体窒素等を貯留する冷却容器38などで構成される。
【0023】
このうち試料SP、移動ステージ34、X線検出器37が密閉箱2の内部に設置されてX線装置1を構成し、残りは密閉箱2の外部に設置される。密閉箱2には、図1に示したように、密閉箱内部にヘリウムガスを導入するための導入管15と、密閉箱2の内部に残留する空気を外部に排出するための排気管16と、ヘリウムガスの流量を制御するための流量制御弁14と、流量制御弁14を操作するためのフロート10などが設置される。
【0024】
一方のX線窓部材4を経由して密閉箱2の内部に導入されたX線は、試料SPの表面に対して全反射角度で入射する。試料SPに対するX線入射角度は、移動ステージ34が試料SPの姿勢を調整することによって、微調整される。試料SPで反射したX線は、他方のX線窓部材4を経由して外部に取り出され、スリット35を介してX線検出器36に到達する。試料SPはX線励起によって蛍光X線を発生し、X線検出器37によって検出される。
【0025】
こうしたX線装置において、X線の通過する距離が長くなる部分を密閉箱2で密閉して、ヘリウムガスで置換することによって、高精度、高感度の測定を実現できる。
【0026】
図3は、本発明の第3実施形態を示す構成図である。本装置の構成は、図2の構成と同様であるが、X線管30からX線検出器36までのX線光学系を同一の密閉箱2に収納して、X線窓部材4を省略している。こうしたX線装置において、導入管15から密閉箱2の内部にヘリウムガスを導入することによって、X線光学系が位置する上部空間Aがヘリウムガスで置換され、高精度、高感度の測定を実現できる。
【0027】
図4は、本発明の第4実施形態を示す構成図である。本装置の構成は、図2の構成と同様であるが、X線管30から試料SPまでのX線光学系を同一の密閉箱2に収納して、スリット35やX線検出器36を密閉箱2の外側に設置している。こうしたX線装置において、導入管15から密閉箱2の内部にヘリウムガスを導入することによって、X線光学系が位置する上部空間Aがヘリウムガスで置換され、高精度、高感度の測定を実現できる。
【0028】
図5は、本発明の第5実施形態を示す構成図である。本装置の構成は、図2の構成と同様であるが、試料SPからX線検出器36までのX線光学系を同一の密閉箱2に収納して、X線管30、分光結晶31、スリット32、シャッタ33を密閉箱2の外側に設置している。こうしたX線装置において、導入管15から密閉箱2の内部にヘリウムガスを導入することによって、X線光学系が位置する上部空間Aがヘリウムガスで置換され、高精度、高感度の測定を実現できる。
【0029】
なお以上の説明では、適用可能なX線装置として蛍光X線分析装置の例を示したが、その他のX線回折装置、および拡張X線吸収微細構造解析(Extended
X−ray Absorption Fine Structure;略称EXAFS)装置等にも適用できる。
【0030】
【発明の効果】
以上詳説したように本発明によれば、フロート部材とガス供給量調整手段の動作とを連動させることによって、軽元素ガスの自動流量制御を実現でき、軽元素ガスの消費を節約できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態を示す構成図である。
【図4】本発明の第4実施形態を示す構成図である。
【図5】本発明の第5実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
1 X線装置
2 密閉箱
3 X線光学系
4 X線窓部材
10 フロート
11 リンク部材
12 支点
14 流量制御弁
15 導入管
16 排気管
20 X線装置
Claims (3)
- X線が通過するX線光学系と、
X線光学系の周囲を密閉するための密閉部材と、
密閉部材の内部に、空気より小さい比重の軽元素ガスを供給するための軽元素ガス供給手段と、
密閉部材の内部ガスを外部に排出するための排気手段と、
密閉部材の内部に設けられ、空気の比重より小さい比重を持つフロート部材と、
フロート部材の変位に応じて、軽元素ガスの供給量を調整するためのガス供給量調整手段とを備えることを特徴とするX線装置。 - 密閉部材に、X線が通過可能なX線窓部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のX線装置。
- 軽元素ガスがヘリウムガスであることを特徴とする請求項1記載のX線装置。
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JP2016003952A (ja) * | 2014-06-17 | 2016-01-12 | アンリツインフィビス株式会社 | X線検査装置 |
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- 2003-01-17 JP JP2003010197A patent/JP4177677B2/ja not_active Expired - Fee Related
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