JP2004218656A - 減速機及びリクライニング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1支持板22及び第2支持板24により2個の遊星歯車32A、32BをZ方向へ偏位させる。Z方向に偏位させられた遊星歯車32Aには反時計方向のモーメントが生じ、遊星歯車32Bには時計方向のモーメントが生じる。これにより、遊星歯車32A、32Bはそれぞれ第1内歯12、第2内歯14と強固に噛合し、遊星歯車32A、32Bと第1内歯12、第2内歯14との間の隙間を無くす。隙間を無くすことで、停止状態で両者間でのバックラッシュ、がたつきを生ぜしめない。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊星ギヤを用いる減速機、及び、当該減速機を用いて無段階にシートバックの傾斜角度を調整し得る車両シート用のリクライニング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等の車両の運転席、助手席(前部座席)にはシートバックの傾斜角度を調整、固定するためのリクライニング装置が取り付けられている。このリクライニング装置は、例えば乗員が着座してシートバックに背中を押し当てた状態でシートバックの傾斜角度を任意の位置に調節したり、或いは、2ドア車における後部座席への乗降に際し、前部座席に乗員がいない状態でシートバックを最前位置まで前倒する等の操作が行われるようになっている。
【0003】
このリクライニング装置には、ラッチ機構を用いて段階的にシートバックの傾斜角度を調整する有段調整式と、無段階調整式とがある。無段階調整式では、一般的に遊星歯車減速機またはこの変形機構(例えば、偏心軸と歯数の異なるギアを用いたタウメル機構)を採用し、シートバックの傾斜角度を無段式に調整できるようにしてる。遊星歯車減速機は、特に電動モータで駆動するパワー式リクライニング装置に多く用いられている。
【0004】
遊星歯車減速機は、歯数の異なる歯車を同時に噛合させるため加工精度によらず本来的にガタがあり、また、加工精度及び熱処理ひずみによってもガタが生じ易い。さらには、ガタつきを抑えるように精密に加工すると、実際の組み付けができなくなることがある。このため、遊星歯車減速機を用いるリクライニング装置にはガタつきがついて回り、ガタつきを抑えるため、例えば、特許文献1〜6が提案されている。
【0005】
特許文献1には、太陽歯車の歯面を傾斜させ、付勢手段(円錐/軸方向のバネ)により遊星歯車をアッパー/ロアギアに押圧することが開示されている。特許文献2には、クリスフォーム(12)に若干のクリアランスを設けてスプリングリングプレート(20)を配設し、スプリングリングプレート(20)でプラネタリーギア(8)を押圧することが開示されている。特許文献3には、プラネタリーギアをリングギアへ弾撥的に付勢することが開示されている。特許文献4には、遊星歯車を放射状に付勢する折り曲げ/切り離し部を有する線状バネ材で保持する構成が開示されている。一方、特許文献5、特許文献6には、遊星歯車機構の変形機構(偏心軸と歯数の異なるギアを用いたタウルメ機構)において、偏心軸部にくさびセグメントを備え、遊び、ガタを防止する構成が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−277128号公報
【特許文献2】
特公平8−4539号公報
【特許文献3】
実公平8−3312号公報
【特許文献4】
実用新案登録第2508237号
【特許文献5】
特公昭63−47443号公報
【特許文献6】
特開2001−211950号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1〜4では、遊星歯車を2つの大きな内歯側にバネ等によって付勢しているが、2つの大きな内歯は、歯数が異なり、同一の歯形ではないため、遊星歯車をこれらに押し付けても、理論上2つの大きな内歯と遊星歯車との間のガタつきを無くすことはできない。これに加えて、加工精度によってもガタが生じることは避け得なかった。特許文献5、6は、偏心軸部を採用しているため、操作時に揺動回転するという基本的な問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、停止状態でのバックラッシュを無くした減速機及びリクライニング装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段、および発明の作用・効果】
上記課題を解決するため請求項1の発明は、固定部材側に固定される第1内歯と、
可動部材側に固定される第2内歯と、
前記第1内歯及び第2内歯と噛合する3個以上の遊星歯車と、
前記遊星歯車と噛合する太陽歯車と、
前記太陽歯車を駆動する軸とからなる遊星歯車機構の減速機であって、
前記遊星歯車の内の半数以上を外周側へ偏位させる偏位手段を備えることを技術的特徴とする。
【0010】
請求項1の減速機では、偏位手段により遊星歯車の内の半数以上を外周側へ偏位させるため、複数の遊星歯車と第1内歯、第2内歯とが強固に噛合し、停止状態でのバックラッシュ、がたつきを無くすことができる。
【0011】
請求項2の発明は、固定部材側に固定される第1内歯と、
可動部材側に固定される第2内歯と、
前記第1内歯及び第2内歯と噛合する3個の遊星歯車と、
前記遊星歯車と噛合する太陽歯車と、
前記太陽歯車を駆動する軸とからなる遊星歯車機構の減速機であって、
前記遊星歯車内の2個をそれぞれ自転自在に支持すると共に、自転以外の動きを連動させ、残り1個の遊星歯車の中心と軸の中心とを結ぶ線分上で、該1個の遊星歯車と反対方向へ該2個の遊星歯車を偏位させる保持部材を備えること技術的特徴とする。
【0012】
請求項2の減速機では、保持部材により3個の遊星歯車の内の2個を連動させ残り1個の遊星歯車と反対方向へ偏位させる。該2個の遊星歯車は、それぞれの遊星歯車の中心と軸の中心とを結ぶ線分から外れた方向に偏位させられ、それぞれ自転方向へのモーメントが加わり、互いに近づく公転方向へ移動しようとする。しかし、太陽歯車と噛合しており、且つ、保持部材により公転方向への移動が規制させられるため、2個の遊星歯車は第1内歯、第2内歯と強固に噛合する。これにより、停止状態でのバックラッシュ、がたつきを無くすことができる。
【0013】
請求項3では、保持部材は、軸に枢支され太陽歯車と共に2個の遊星歯車を第1内歯及び第2内歯に対して偏位させる。即ち、保持部材は、該2個の遊星歯車と共に太陽歯車を残り1個の遊星歯車と反対方向へ偏位させる。太陽歯車が残り1個の遊星歯車と反対方向へ偏位するため(即ち、相互に回転モーメントを発生させない方向へ偏位するため)、該太陽歯車と該1個の遊星歯車との間で抵抗が生じず、円滑に2個の遊星歯車を偏位させることができる。また、該太陽歯車が共に該2個の遊星歯車と偏位するため、太陽歯車と2個の遊星歯車との間でがたつきが生じない。
【0014】
請求項4では、第1内歯又は第2内歯の中央位置に形成された通孔の内周と偏心カムの外周との間を摺動する1対の楔部材がスプリングにより離れる方向へ付勢されることで、保持部材は、遊星歯車内の2個を残り1個の遊星歯車と反対方向へ偏位させる。これにより、該2個の遊星歯車と第1内歯、第2内歯とが強固に噛合し、停止状態でのバックラッシュ、がたつきを無くすことができる。
【0015】
請求項5では、保持部材は遊星歯車と第1内歯との間に配置される第1支持板と、遊星歯車と第2内歯との間に配置される第2支持板とからなり、第1支持板は第1内歯側へ突出する偏心カムを、第2支持板は第2内歯側へ突出する偏心カムを備える。第1の内歯及び第2の内歯の中央位置に形成された通孔の内周と偏心カムの外周との間を摺動するそれぞれ1対の楔部材が、それぞれスプリングにより離れる方向へ付勢されることで、第1支持板及び第2支持板は、遊星歯車内の2個を残り1個の遊星歯車と反対方向へそれぞれ偏位させる。このため、第1内歯と2個の遊星歯車との間にがたつき(クリアランス)がある場合には、主として第1支持板が両者のがたを取り、第2内歯と2個の遊星歯車との間にがたつき(クリアランス)がある場合には、主として第2支持板が両者のがたを取るため、第1内歯、第2内歯のいずれの側にがたつき(クリアランス)があっても、停止状態でのバックラッシュ、がたつきを無くすことができる。
【0016】
請求項6では、固定部材側に固定される第1内歯と、可動部材側に固定される第2内歯と、前記第1内歯及び第2内歯と噛合する2個の遊星歯車と、前記遊星歯車と噛合する太陽歯車と、前記太陽歯車を駆動する軸とからなる遊星歯車機構の減速機であって、前記2個の遊星歯車の一方を外周側へ偏位させる偏位手段を備える。一方の遊星歯車は第1内歯、第2内歯と強固に噛合するため、停止状態でのバックラッシュ、がたつきを無くすことができる。
【0017】
請求項7では、請求項1〜請求項6のいずれか1に記載の減速機を用いため、リクライニング装置の停止状態での減速機内のバックラッシュ、シートバックのがたつきを無くすことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明のリクライニング装置50を取り付けたシートを示すもので、シート80は、シートバック60とシートクッション70とから成る。リクライニング装置50は、後述する遊星歯車式の減速機10と、減速機の一方の内歯側に固定されたブラケット62と、他方の内歯側に固定されたブラケット72とからなる。ブラケット62はシートクッション70に固定され、ブラケット72はシートクッション70側に固定されている。リクライニング装置50は、図示しないスイッチが操作されるとブラケット62とブラケット72との相対回転角度、即ち、シートバック60のシートクッション70に対する角度を調整するよう構成されている。
【0019】
図2(A)は図1中に示す減速機10の斜視図であり、図2(B)は側面図であり、図3は減速機の構成部品の組図であり、図4は図2(B)に示す減速機の縦断面図である。
図3及び図4に示すように減速機10は、図1に示すシートクッション70側にブラケット72を介して接続される第1内歯12と、シートバック60側にブラケット62を介して接続される第2内歯14とを備える。第1内歯12の歯数は例えば33に、第2内歯14の歯数は例えば36に形成されている。ここで、3個の遊星歯車を用いる場合、第1内歯12と第2内歯14との歯数の差は3の倍数になる。第1内歯12及び第2内歯14の外側にはカバー36が取り付けられ、側面にはホルダー38(図4参照)が取り付けられる。第1内歯12及び第2内歯14の内側には、太陽歯車30と太陽歯車の回りに3個の遊星歯車32A、32B、32Cが配設される。該遊星歯車32A、32B、32Cと第1内歯12との間には、遊星歯車32A、32Bを保持する第1支持板22が、該遊星歯車32A、32B、32Cと第2内歯14との間には、遊星歯車32A、32Bを保持する第2支持板24が配設される。第1支持板22には、第1内歯12側へ突出する偏心カム22a(図4参照)が、中央に通孔22bが形成されている。同様に、第2支持板24には、第2内歯14側へ突出する偏心カム24aが、中央に通孔24bが形成されている。第1内歯12の中央には、第1支持板22の偏心カム22aを収容する通孔12aが、第2内歯14の中央には、第2支持板24の偏心カム24aを収容する通孔14aが形成されている。第1支持板22の偏心カム22aと第1内歯12の通孔12aとの間には、1対の楔部材28が配置される。同様に、第2支持板24の偏心カム24aと第2内歯14の通孔14aとの間には、1対の楔部材28が配置される。楔部材28はスプリング26により付勢される。
【0020】
第1支持板22と第2支持板24との構成について、図7及び図8を参照して更に詳細に説明する
図7(A)は第2支持板24の斜視図であり、図7(B)は楔部材28の斜視図である。図8(A)は第1支持板22の側面図であり、図8(B)は正面図である。図8(C)は第2支持板24の正面図であり、図8(D)は楔部材28の正面図である。図8(E)は第2内歯14の通孔14a内に収容される偏心カム24aと楔部材28とを示す正面図である。
【0021】
図8(A)及び図8(B)に示すように、第1支持板22には、遊星歯車32A、32Bを自転自在に保持する軸22cが形成されている。一方、図8(C)に示すように、第2支持板24側には、第1支持板22の軸22cの先端を嵌入させるための軸受け孔24cが穿設されている。図8(D)及び図8(E)に示すように、第2支持板24の偏心カム24aは、第2内歯14の通孔14a内周と接する摺接部24asと、カム部24acとからなる。カム部24acの内径は、通孔14a(即ち、摺接部24as)の内径よりも小径に形成され、カム部24acの軸中心24Xは、通孔14aの軸中心14Xよりも摺接部24as側に偏位している。なお、第1支持板22の偏心カム22aも同様に構成されている。楔部材28は、図3中に示すスプリング26の先端部26aを係止する係止部28aと、カム部24acの外周に沿って摺動するための内カム面28bと、通孔14aの内周に沿って摺動するための外カム面28cとが形成されている。楔部材28は、係止部28a側の高さH1は、他端側の高さH2よりも高く、即ち、楔形状に形成されている。
【0022】
図5(A)は図4に示す減速機のY矢視図であり、図5(B)はホルダー38を外した状態の図である。図5(B)に示すように、楔部材28はスプリング26により偏心カム24aを偏位させる。即ち、図8(E)中で、スプリング26によって右側の楔部材28は反時計方向に付勢され、左側の楔部材28は時計方向に付勢され、偏心カム24a(第2支持板24)を、通孔14aの軸中心14Xからカム部24acの軸中心24X側へ押し上げる図中矢印Zで示す力を発生する。なお、図5(A)に示すように、偏心カム24aの側方にはホルダー38がEリング40により固定されている。
【0023】
引き続き、第1実施形態に係る減速機の動作について図6を参照して説明する。図6は、図4に示す減速機のX−X縦断面図である。
シャフト20に固定された太陽歯車30の周囲には、120度間隔で3個の遊星歯車32A、32B、32Cが取り付けられ、遊星歯車32A、32B、32Cは、第1内歯12と同時に、図4中に示す第2内歯14と噛合している。なお、遊星歯車32A、32Bは、第1支持板22の1対の軸22cにより支持され、遊星歯車32Cは、軸により支持されていない状態で、太陽歯車30と第1内歯12及び第2内歯14との間に保持される。ここで、リクライニング装置の図示しないスイッチが操作されモータ、又は、手動調整機構によりシャフト20が回転させられると、太陽歯車30が回転し、これに伴い各遊星歯車32A、32B、32Cが自転すると共に、太陽歯車30の回りを公転する。なお、遊星歯車32A、32Bを支持する第1支持板22、第2支持板24は、遊星歯車32A、32Bと共に太陽歯車30の回りを公転する。遊星歯車32A、32B、32Cの自転、公転により、遊星歯車32A、32B、32Cに同時に噛合する第1内歯12と第2内歯14との間に回転差が生じ、図1を参照して上述した第2内歯14側と連動するシートバック60が、第1内歯12側に固定されたシートクッション70に対して角度調整される。
【0024】
ここで、第1実施形態のガタ取り機構の動作について更に図6を参照して説明する。第1支持板22の1対の軸22cにより自転可能に支持された遊星歯車32A、32Bは、図8(E)を参照して上述した偏心カム22a、24aにより残り1個の遊星歯車32Cと反対方向(図中Zで示す)へ偏位させられる。該2個の遊星歯車32A、32Bは、それぞれの中心とシャフト20の中心とを結ぶ線分から外れたZ方向に偏位させられるため、それぞれ自転方向へのモーメントが生じる。即ち、遊星歯車32Aには反時計方向のモーメントが生じ、遊星歯車32Bには時計方向のモーメントが生じ、互いに近づく公転方向へ移動しようとする。しかしながら、遊星歯車32A、32Bは、それぞれ太陽歯車30と噛合しており、且つ、第1支持板22、第2支持板24により公転方向への移動が規制させられるため、遊星歯車32A、32Bは第1内歯12、第2内歯14と強固に噛合する。これにより、停止状態での遊星歯車32A、32Bと第1内歯12、第2内歯14との間で隙間が無くなり、両者間でのバックラッシュ、がたつきを無くすことができる。
【0025】
即ち、Z方向への変位により、第1内歯12、第2内歯14のいずれか一方に対して、第1支持板22、第2支持板24及び遊星歯車32A、32Bは、噛み合い方向へ押圧され、同時に、他方の内歯に対して、第1支持板22、第2支持板24及び遊星歯車32A、32Bは引き付けられる。これにより、第1内歯12と第2内歯14とが相対的に反対方向へ押圧され、遊星歯車32A、32Bと第1内歯12、第2内歯14との間で隙間が無くなる。これに伴い、歯数差があり、同一の歯形ではない上に、加工精度にバラツキの出る第1内歯12、第2内歯14を用いても、遊星歯車32A、32Bによって押圧される。この2個の遊星歯車32A、32Bは、太陽歯車30のシャフト20を支点とする第1支持板22の軸22cで支持されるため、確実にガタ、遊びを無くすことができる。
【0026】
ここで、第1支持板22、第2支持板24は、シャフト20に枢支され、太陽歯車30と共に2個の遊星歯車32A、32Bを第1内歯12及び第2内歯14に対して偏位させる。即ち、第1支持板22、第2支持板24は、該2個の遊星歯車32A、32Bと共に太陽歯車30を残り1個の遊星歯車32Cと反対方向へ偏位させる。太陽歯車30が遊星歯車32Cと反対方向Zへ偏位するため(即ち、相互に回転モーメントを発生させない方向へ偏位するため)、該太陽歯車30と該1個の遊星歯車32Cとの間で抵抗が生じず、円滑に2個の遊星歯車32A、32Cを偏位させることができる。また、該太陽歯車30が共に該2個の遊星歯車32A、32Bと偏位するため、太陽歯車30と遊星歯車32A、32Bとの間でがたつきが生じない。
【0027】
更に、本実施形態の減速機10は、遊星歯車32A、32Bと第1内歯12との間に配置される第1支持板22と、遊星歯車32A、32Bと第2内歯14との間に配置される第2支持板24とを備える。そして、第1支持板22及び第2支持板24は、遊星歯車32A、32Bを遊星歯車32Cと反対方向Zへそれぞれ偏位させる。このため、第1内歯12と遊星歯車32A、32Bとの間にがたつき(クリアランス)がある場合には、主として第1支持板22が両者のがたを取り、第2内歯14と遊星歯車32A、32Bとの間にがたつき(クリアランス)がある場合には、主として第2支持板24が両者のがたを取る。これにより、第1内歯12、第2内歯14のいずれの側にがたつき(クリアランス)があっても、停止状態でのバックラッシュ、がたつきを無くすことができる。
【0028】
なお、第1実施形態では、スプリング26の付勢力を調整することで、減速機10の停止時には、偏心カム22a、24aにより、遊星歯車32A、32BはZ方向へ偏位し、回転時には、第1内歯12、第2内歯14側からの抵抗力により、遊星歯車32A、32Bは偏位位置から円滑に回転し得る位置まで押し戻される。これにより、揺動回転が生じないよう設定されている。また、第1実施形態では、シャフト20は、第1内歯12、第2内歯14、太陽歯車30、第1支持板22、第2支持板24に対しても偏位する。また、第1支持板22の軸22cは、遊星歯車32A、32Bに対して偏位する。このため、これらとの間に僅かな遊び(ガタ)が積極的に設けられている。即ち、本発明は、操作軸が変位しないという従来の考え方に対して、操作に支障のない範囲で変位を許容する点で、根本的に異なり、加工精度を高めることなく所望の目的を達することが可能である。
【0029】
本実施形態では、停止状態でのがたを無くす減速機を用いため、リクライニング装置の停止状態での減速機内でのバックラッシュ、シートバックのがたつきを無くすことができる。
【0030】
[第2実施形態]
図9(A)は、本発明の第2実施形態に係る減速機の構成を示す断面図である。上述した第1実施形態では、3個の遊星歯車を用いたが、第2実施形態では、4個の遊星歯車32D、32E、32F、32Gを用いる。この第2実施形態では、2個の遊星歯車32D、32Eが、第1支持板22及び第2支持板(図示せず)により保持され、第1実施形態と同様な偏心カム機構により図中で示すZ2方向(残りの遊星歯車32F、32Gの中心を結ぶ線分に対して垂直方向)に付勢される。この第2実施形態では、支持板22により遊星歯車の内の半数以上を外周側へ偏位させるため、2個の遊星歯車32D、32Eと第1内歯12、第2内歯(図示せず)とが強固に噛合し、停止状態でのバックラッシュ、がたつきを無くすことができる。
【0031】
[第3実施形態]
図9(B)は、本発明の第3実施形態に係る減速機の構成を示す断面図である。第3実施形態では、第2実施形態と同様に4個の遊星歯車32D、32E、32F、32Gを用いる。この第3実施形態では、3個の遊星歯車32D、32F、32Gが、第1支持板22及び第2支持板(図示せず)により保持され、第1実施形態と同様な偏心カム機構により図中で示すZ3方向(残りの遊星歯車32Fの中心と太陽歯車30中心を結ぶ線上)に付勢される。この第3実施形態では、支持板22により遊星歯車の内の半数以上を外周側へ偏位させるため、3個の遊星歯車32D、32E、32Gと第1内歯12、第2内歯(図示せず)とが強固に噛合し、停止状態でのバックラッシュ、がたつきを無くすことができる。
【0032】
上述した実施形態では、遊星歯車が3個以上の場合を例示したが、遊星歯車が2個の場合も、片側を偏位させることで、停止状態でのバックラッシュ、がたつきを無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る減速機を用いるリクライニング装置の説明図である。
【図2】図2(A)は、第1実施形態に係る減速機の斜視図であり、図2(B)は側面図である。
【図3】第1実施形態に係る減速機の構成部品の組図である。
【図4】図2(B)に示す減速機の縦断面図である。
【図5】図5(A)は図4に示す減速機のY矢視図であり、図5(B)はホルダーを外した状態の図である。
【図6】図4に示す減速機のX−X横断面図である。
【図7】図7(A)は第2支持板の斜視図であり、図7(B)は楔部材の斜視図である。
【図8】図8(A)は第1支持板の側面図であり、図8(B)は正面図であり、図8(C)は第2支持板の正面図であり、図8(D)は楔部材の正面図であり、図8(E)は第2内歯の通孔内に摺接する偏心カム及び楔部材を示す正面図である。
【図9】図9(A)は第2実施形態の減速機の断面図であり、図9(B)は第3実施形態の減速機の断面図である。
【符号の説明】
10 減速機
12 第1内歯
12a 通孔
14 第2内歯
14a 通孔
20 シャフト(軸)
22 第1支持板(保持部材)
22a 偏心カム
22b 通孔
22c 軸
24 第2支持板(保持部材)
24a 偏心カム
24b 通孔
24c 軸受け孔
26 スプリング
28 楔部材
30 太陽歯車
32A、32B、32C 遊星歯車
36 カバー
38 ホルダー
40 Eリング
50 リクライニング装置
60 シートバック
62 ブラケット
70 シートクッション
72 ブラケット
80 シート
Claims (7)
- 固定部材側に固定される第1内歯と、
可動部材側に固定される第2内歯と、
前記第1内歯及び第2内歯と噛合する3個以上の遊星歯車と、
前記遊星歯車と噛合する太陽歯車と、
前記太陽歯車を駆動する軸とからなる遊星歯車機構の減速機であって、
前記遊星歯車の内の半数以上を外周側へ偏位させる偏位手段を備えることを特徴とする減速機。 - 固定部材側に固定される第1内歯と、
可動部材側に固定される第2内歯と、
前記第1内歯及び第2内歯と噛合する3個の遊星歯車と、
前記遊星歯車と噛合する太陽歯車と、
前記太陽歯車を駆動する軸とからなる遊星歯車機構の減速機であって、
前記遊星歯車内の2個をそれぞれ自転自在に支持すると共に、自転以外の動きを連動させ、残り1個の遊星歯車の中心と軸の中心とを結ぶ線分上で、該1個の遊星歯車と反対方向へ該2個の遊星歯車を偏位させる保持部材を備えることを特徴とする減速機。 - 前記保持部材は、前記軸に枢支され前記太陽歯車と共に前記2個の遊星歯車を第1内歯及び第2内歯に対して偏位させることを特徴とする請求項2の減速機。
- 前記保持部材は偏心カムを備え、
前記第1内歯又は第2内歯の中央位置に形成された通孔の内周と前記偏心カムの外周との間を摺動する1対の楔部材と、該楔部材が離れる方向へ付勢するスプリングとにより、前記保持部材は、前記遊星歯車内の2個を残り1個の遊星歯車と反対方向へ偏位させることを特徴とする請求項2又は請求項3の減速機。 - 前記保持部材は前記遊星歯車と前記第1内歯との間に配置される第1支持板と、前記遊星歯車と前記第2内歯との間に配置される第2支持板とからなり、
前記第1支持板は前記第1内歯側へ突出する偏心カムを、前記第2支持板は前記第2内歯側へ突出する偏心カムを備え、
前記第1の内歯及び第2の内歯の中央位置に形成された通孔の内周と前記偏心カムの外周との間を摺動するそれぞれ1対の楔部材と、該楔部材が離れる方向へ付勢するそれぞれのスプリングとにより、前記第1支持板及び第2支持板は、前記遊星歯車内の2個を残り1個の遊星歯車と反対方向へそれぞれ偏位させることを特徴とする請求項2又は請求項3の減速機。 - 固定部材側に固定される第1内歯と、
可動部材側に固定される第2内歯と、
前記第1内歯及び第2内歯と噛合する2個の遊星歯車と、
前記遊星歯車と噛合する太陽歯車と、
前記太陽歯車を駆動する軸とからなる遊星歯車機構の減速機であって、
前記2個の遊星歯車の一方を外周側へ偏位させる偏位手段を備えることを特徴とする減速機。 - 前記第1内歯をシートクッション側に固定し、
前記第1内歯をシートバック側に固定した請求項1〜請求項6のいずれか1に記載の減速機を用いるリクライニング装置。
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