JP2004218479A - 車載燃料ポンプの駆動機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】スピル弁を設けることなく燃料吐出量を調量することのできる車載燃料ポンプの駆動機構を提供する。
【解決手段】高圧ポンプ1は、内燃機関の吸気カムシャフト24に設けられた回転カム40によって駆動されるプランジャ21と、プランジャ21が摺動するシリンダ26とを備える。この高圧ポンプ1は、シリンダ26への燃料の流入のみを許容する第1の逆止弁38と、シリンダ26からの燃料の吐出のみを許容する第2の逆止弁39とを備え、プランジャ21はそのリフト量を可変とする仲介駆動機構120を介して駆動される。
【選択図】 図1
【解決手段】高圧ポンプ1は、内燃機関の吸気カムシャフト24に設けられた回転カム40によって駆動されるプランジャ21と、プランジャ21が摺動するシリンダ26とを備える。この高圧ポンプ1は、シリンダ26への燃料の流入のみを許容する第1の逆止弁38と、シリンダ26からの燃料の吐出のみを許容する第2の逆止弁39とを備え、プランジャ21はそのリフト量を可変とする仲介駆動機構120を介して駆動される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車載燃料ポンプの駆動機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の圧縮行程後半に、燃焼室内へ燃料を直接噴射する筒内噴射式の内燃機関がよく知られている。この筒内噴射式の内燃機関では、筒内圧が高まる圧縮行程中での燃料噴射を可能にするために、高圧ポンプを用いて燃料の噴射圧を高くしている。このような筒内噴射式の内燃機関が備える一般的な燃料供給装置を図21に例示する。
【0003】
この図21に示すように、内燃機関の気筒毎に設けられた燃料噴射弁11には、共通の高圧燃料配管であるデリバリパイプ12が接続されており、同デリバリパイプ12内の燃料が各燃料噴射弁11に分配供給される。この燃料噴射弁11は、内燃機関の気筒内に直接燃料を噴射できるように配設されている。
【0004】
燃料タンク17内の燃料をデリバリパイプ12に供給するために、燃料供給装置は低圧ポンプ15及び高圧ポンプ16を備えている。低圧ポンプ15は、燃料(ガソリン)を貯留する燃料タンク17内に配置されており、その吐出口は低圧燃料通路18を介して高圧ポンプ16に接続されている。上記低圧燃料通路18の途中には、同低圧燃料通路18内の圧力を一定(例えば0.4MPa)にするためのプレッシャレギュレータ19が設けられている。
【0005】
他方、高圧ポンプ16は上記内燃機関のシリンダヘッドカバーに取り付けられており、その内部にプランジャ21、加圧室22及びスピル弁23等を備えている。プランジャ21は、内燃機関の吸気カムシャフト24に設けられた回転カム25の回転に伴い、シリンダ26内を往復動する。また、プランジャ21の下方には、回転カム25のカム面に当接するリフタ36が設けられている。このリフタ36は、リフタスプリング37によって下方に付勢され、回転カム25のカム面に接触している。
【0006】
上記加圧室22は、シリンダ26及びプランジャ21によって区画されており、前述した低圧燃料通路18がこの加圧室22に接続されている。
また、加圧室22は、高圧燃料通路27を介して上記デリバリパイプ12にも接続されている。この高圧燃料通路27の途中には、高圧ポンプ16から吐出された燃料の逆流を防止するための逆止弁28が設けられている。
【0007】
スピル弁23は、加圧室22と低圧燃料通路18との接続箇所である燃料吸入口22aを開閉して燃料の圧力(燃圧)を調整する燃圧制御弁として用いられている。このスピル弁23は、電磁ソレノイド29や弁体35等を備え、同電磁ソレノイド29に対する通電制御により弁体35は開閉される。すなわち電磁ソレノイド29への通電が停止された状態では、スプリング31によって弁体35が開弁されて燃料吸入口22aが開放され、低圧燃料通路18と加圧室22とが連通した状態になる。この状態にあって、加圧室22の容積を拡大させる方向(図21の下方)へプランジャ21が移動(下降)すると低圧ポンプ15から送り出された燃料が低圧燃料通路18を介して加圧室22内に吸入される。
【0008】
一方、プランジャ21は下死点まで下降すると、加圧室22の容積を収縮させる方向(図21の上方)に移動方向を変える。すなわちプランジャ21は上昇を始め、加圧室に吸入された燃料が低圧燃料通路18へ戻される。そして、プランジャ21の上昇途中で電磁ソレノイド29への通電が行われると、スプリング31の付勢力に抗して弁体35が閉弁されて、燃料吸入口22aが閉鎖され、低圧燃料通路18と加圧室22との連通が遮断される。そして、プランジャ21のさらなる上昇により加圧室22内の燃圧は上昇し、これにより逆止弁28が開弁され、加圧室22内の高圧燃料が高圧燃料通路27を通じてデリバリパイプ12へ圧送される。
【0009】
このように、プランジャ21の上昇行程においてスピル弁23が閉弁されることにより、高圧ポンプ16から高圧燃料が吐出される。
この高圧ポンプ16の燃料吐出量は、プランジャ21の上昇行程中におけるスピル弁23の閉弁時期を調整することで調量される。すなわち、閉弁時期を早めて閉弁期間を長くすると、燃料の圧送期間も長くなり、燃料吐出量が増加する。これとは逆に、閉弁時期を遅らせて閉弁期間を短くすると燃料吐出量は減少する。そして、このように高圧ポンプ16の燃料吐出量を調量することにより、デリバリパイプ12内の燃圧が調整される。
【0010】
このようなスピル弁23の閉弁時期制御は、内燃機関に備えられた制御装置(ECU)33によって実行される。この制御装置33は、マイクロコンピュータを中心として構成されており、中央処理装置(CPU)が、読出し専用メモリ(ROM)に記憶されている制御プログラムや初期データに従って演算処理を行い、その演算結果に基づいて各種制御を実行する。例えば、制御装置33は、機関回転速度、吸入空気量、冷却水温等の機関運転状態を検出する各種センサの検出信号に基づいて機関運転状態に応じた燃圧を算出する。そして、この算出した燃圧と、上記デリバリパイプ12に設けられた圧力センサ50により検出される燃圧とが等しくなるように、スピル弁23の閉弁時期、換言すれば電磁ソレノイド29への通電時期を制御する。
【0011】
ちなみに、デリバリパイプ12内は、リリーフバルブ32を介して前記燃料タンク17に連通している。そして、デリバリパイプ12内の燃圧が過度に高くなると、リリーフバルブ32が開弁してデリバリパイプ12内の高圧燃料が燃料タンク17に流出するようになる。
【0012】
ところで、高圧ポンプ16では、上述したようにスピル弁23の閉弁時期を制御することで燃料吐出量を調量するようにしている。従って、燃料吐出量を精密に制御するためには、スピル弁23の閉弁速度はできる限り速いほうが望ましい。ところが、このような閉弁速度の高速化は、燃料吸入口22aを閉鎖する際の弁体35の衝突速度の増大を招くこととなり、その結果、弁体35が燃料吸入口22aを閉鎖する際に、大きな打音が発生するおそれがある。
【0013】
また、スピル弁23が閉弁状態になると、上記加圧室22内の圧力が急激に上昇するようになる。このような急激な圧力上昇は高圧ポンプ16に振動を発生させる起振力となる。この起振力により高圧ポンプ16が取り付けられたシリンダヘッドカバーで共鳴現象が発生し、大きな振動音が発生してしまうようにもなる。
【0014】
他方、上記高圧ポンプ16では、プランジャ21の下降行程において、低圧燃料通路18から加圧室22に燃料が吸入されるものの、プランジャ21の上昇行程においてスピル弁23が閉弁状態にされるまでの間は、加圧室22から低圧燃料通路18に燃料が戻される。このように、プランジャの上下動に合わせて燃料の流れ方向が逆転する期間があるため、低圧燃料通路18内では脈動が発生する。この脈動は、異音の発生や燃料制御精度の低下につながるため、例えば先の図21に示すように、低圧燃料通路18の途中には、脈動を抑制するためのパルセーションダンパ34が設けられることが多い。このパルセーションダンパ34は、大型化するほど上述した脈動を抑制する効果が高まるが、実際には取付空間の制約もあり、必ずしも最適な大きさのものを選定することができない場合もある。
【0015】
このように、スピル弁を用いて燃料吐出量を調量するタイプの燃料ポンプでは、上述したような不具合が生じやすいものとなっている。
なお、特許文献1には、カムシャフトに設けられたポンプ用カムのカム面の動きを、中間ローラを介して燃料ポンプのプランジャに伝えるものが記載されている。この特許文献1の車載燃料ポンプの駆動機構では、リンク機構を用いることで、中間ローラとポンプ用カムとの相対位置、並びに中間ローラとプランジャとの相対位置を変更し、もってクランク角に対する燃料ポンプの噴射時期を変更するようにしている。
【0016】
【特許文献1】
特開昭57−65806号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載される駆動機構では、上記相対位置を変更することで、例えばプランジャの下死点が低くなるが、同時に、プランジャの上死点も低くなる。そのため、プランジャのストローク自体を変化させることはできず、燃料吐出量を幅広く調量するためには、結局、上記スピル弁のような調量機構を別途設ける必要がある。
【0018】
この発明はこうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、スピル弁を設けることなく燃料吐出量を調量することのできる車載燃料ポンプの駆動機構を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関のカムシャフトに設けられたカムに連動して駆動されてシリンダ内を往復動するプランジャを備える車載燃料ポンプの駆動機構であって、前記車載燃料ポンプは、前記シリンダへの燃料の流入のみを許容する第1の逆止弁と、同シリンダからの燃料の吐出のみを許容する第2の逆止弁とを備え、前記プランジャはそのリフト量を可変とする可変リフト機構を介して駆動されることをその要旨とする。
【0020】
同構成によれば、プランジャの往復動によってシリンダから燃料が吐出されるときには、第2の逆止弁を介して燃料が吐出される。このとき、第1の逆止弁はシリンダへの燃料の流入のみを許容する弁であるため、シリンダ内の燃料の流入側への逆流が抑えられる。このように、燃料吐出時において、高圧ポンプ内における燃料の流れ方向は一方向のみとなるため、上述したような燃料の逆流に起因する脈動の発生も好適に抑制することができるようになる。
【0021】
また、可変リフト機構によってプランジャのリフト量が可変とされる。すなわち、プランジャのストローク量が変化するようになるため、上記シリンダから吐出される燃料の量を変化させることができ、スピル弁を設けることなく燃料吐出量を調量することができるようになる。
【0022】
請求項2に記載の発明は、内燃機関のカムシャフトに設けられたカムに連動して駆動されるプランジャと、同プランジャが往復動するシリンダとを備える車載燃料ポンプの駆動機構であって、前記内燃機関は、その吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方の動弁特性を可変とする可変動弁機構と、同可変動弁機構を駆動する駆動機構とを備える一方、前記車載燃料ポンプは、前記シリンダへの燃料の流入のみを許容する第1の逆止弁と、同シリンダからの燃料の吐出のみを許容する第2の逆止弁とを備え、前記プランジャはそのリフト量を可変とする可変リフト機構を介して駆動され、同可変リフト機構は前記駆動機構によって駆動されることをその要旨とする。
【0023】
同構成によれば、プランジャの往復動によってシリンダから燃料が吐出されるときには、第2の逆止弁を介して燃料が吐出される。このとき、第1の逆止弁はシリンダへの燃料の流入のみを許容する弁であるため、シリンダ内の燃料の流入側への逆流が抑えられる。このように、燃料吐出時において、高圧ポンプ内における燃料の流れ方向は一方向のみとなるため、上述したような燃料の逆流に起因する脈動の発生も好適に抑制することができるようになる。
【0024】
また、可変リフト機構によってプランジャのリフト量が可変とされる。すなわち、プランジャのストローク量が変化するようになるため、上記シリンダから吐出される燃料の量を変化させることができ、スピル弁を設けることなく燃料吐出量を調量することができるようになる。
【0025】
そして、上記可変動弁機構及び可変リフト機構の双方を同一の駆動機構で駆動するようにしている。従って、内燃機関に可変動弁機構と可変リフト機構とを設ける場合であっても、個々に駆動機構を設ける必要はなく、もって部品点数の増加を抑えることができるようになる。なお、好適には、例えば吸気バルブのリフト量を増大させるように可変動弁機構が駆動される場合に、可変リフト機構がプランジャのリフト量を増大させるように駆動されるようにすると、機関負荷に対応したバルブ特性及びプランジャのリフト量を1つの駆動機構で確保することができるようになる。
【0026】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車載燃料ポンプの駆動機構において、前記可変リフト機構及び可変動弁機構は、1つの可変機構として構成されてなることをその要旨とする。
【0027】
前記可変リフト機構は、プランジャのリフト量を可変とする機構であるため、同機構を用いることで前記バルブのリフト量も変更することができる。そこで、請求項3に記載の構成では、可変リフト機構と可変動弁機構とを1つの可変機構としている。従って、内燃機関に可変動弁機構と可変リフト機構とを設ける場合であっても、両機構を個々に設ける必要はなく、もって部品点数の増加を抑えることができるようになる。
【0028】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の車載燃料ポンプの駆動機構において、前記可変リフト機構は、前記カムシャフトとは異なるシャフトにて揺動可能に支持され、入力部と出力部とを有することで前記カムにより入力部が駆動されると出力部にて前記プランジャを駆動する仲介駆動機構と、前記仲介駆動機構の入力部と出力部との相対位相差を可変とする仲介位相差可変手段とを備えることをその要旨とする。
【0029】
同構成では、仲介駆動機構の入力部がカムにより駆動されると、同仲介駆動機構の出力部にてプランジャが駆動される。このため、カムが入力部を駆動すれば、カムのカムプロフィールに応じてプランジャのリフト量を変化させることができる。
【0030】
そして仲介位相差可変手段により、仲介駆動機構の入力部と出力部との相対位相差が可変とされる。そのため、カムの駆動状態に応じたプランジャのリフト開始時期を早めたり遅くしたりすることができる。従って、カムの駆動に連動するプランジャのリフト量やリフト期間を確実に調整することができるようになる。
【0031】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の車載燃料ポンプの駆動機構において、前記可変リフト機構は、機関負荷の増大に伴って前記プランジャのリフト量が増大するように制御されることをその要旨とする。
【0032】
同構成によれば、機関負荷の増大に伴って車載燃料ポンプの燃料吐出量が増加するようになるため、機関負荷に対応した燃料吐出量を確保することができるようになる。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、この発明にかかる車載燃料ポンプの駆動機構を具体化した第1の実施形態について図1〜図11に基づき、詳細に説明する。
【0034】
図1は、本実施の形態にかかる駆動機構によって駆動される高圧ポンプ1、並びにこの高圧ポンプ1を用いた筒内噴射式内燃機関の燃料供給装置の構成を示す概略図であり、先の図21と同一の構成要素には同一の符号を付している。また、本実施の形態における燃料供給装置と、先の図21に示した燃料供給装置とは、高圧ポンプ1の構造とその駆動機構、及び高圧ポンプ1の燃料吐出量を制御するための制御対象が異なる点以外は基本的に同様の構成である。そこで以下では、これら相違点を中心に説明する。
【0035】
まず、高圧ポンプ1は、内燃機関のシリンダヘッドカバーに取り付けられており、その内部にはプランジャ21、シリンダ26、加圧室22、第1の逆止弁38、及び第2の逆止弁39等が設けられている。
【0036】
プランジャ21は、内燃機関の吸気カムシャフト24に設けられた回転カム40の回転に伴い、シリンダ26内を往復動する。また、プランジャ21の下方に設けられたリフタ36の下面には、ロッド36aが取り付けられている。このロッド36aは、リフタスプリング37によって、常に下方へ付勢されている。
【0037】
加圧室22は、シリンダ26及びプランジャ21によって区画されており、第1の逆止弁38を介して前述した低圧燃料通路18に接続されている。また、加圧室22は、第2の逆止弁39を介して前述した高圧燃料通路27に接続されている。
【0038】
第1の逆止弁38は、シリンダ26への燃料の流入のみを許容する弁となっている。また、第2の逆止弁39は、シリンダ26からの燃料の吐出のみを許容する弁となっている。従って、加圧室22の容積が増加する方向にプランジャ21が移動(下降)するときには、第1の逆止弁38のみが開弁されて加圧室22内に燃料が流入される。一方、加圧室22の容積が減少する方向にプランジャ21が移動(上昇)するときには、第2の逆止弁39のみが開弁されて加圧室22内の燃料が高圧燃料通路27に圧送される。このとき、第1の逆止弁38はシリンダ26への燃料の流入のみを許容する弁であるため、シリンダ26内の燃料の低圧燃料通路18側への逆流が抑えられる。このように本実施の形態における高圧ポンプ1では、その内部を流れる燃料の流れ方向が一方向のみとなるため、プランジャ21の上昇時に燃料が低圧燃料通路18へ逆流して脈動が発生する不具合を抑制することができる。
【0039】
次に高圧ポンプ1の駆動機構について、図1〜図9を併せ参照して説明する。まず、高圧ポンプ1の駆動機構は、先の図1に示すように、プランジャ用ロッカアーム74、及び仲介駆動機構120等からなる可変リフト機構で構成されている。
【0040】
図2は、内燃機関のシリンダヘッド8に備えられた仲介駆動機構120の取付態様を示す模式図である。この図2に示すように、本実施の形態における内燃機関は4つの気筒#1〜#4を備えており、シリンダヘッド8内には、機関出力軸であるクランクシャフトに駆動連結された吸気カムシャフト24と排気カムシャフト73とがそれぞれ回転可能に軸支されている。吸気カムシャフト24には、各吸気バルブ70に対応して吸気カム24aが設けられており、この吸気カム24aの回転によって吸気バルブ70は駆動され、燃焼室に開口する吸気ポートが開閉される。また、排気カムシャフト73には、各排気バルブ71に対応して排気カム73aが設けられており、この排気カム73aの回転によって排気バルブ71は駆動され、燃焼室に開口する排気ポートが開閉される。
【0041】
上記仲介駆動機構120は、吸気カムシャフト24とは異なるシャフトである支持パイプ130に揺動可能に取り付けられている。また、仲介駆動機構120は、高圧ポンプ1のプランジャ21と同数設けられている。なお本実施の形態では、1つのプランジャ21で全気筒分の燃料を圧送する、いわゆるシングルプランジャ方式の高圧ポンプが採用されている。このため、仲介駆動機構120の数は1つである。
【0042】
図3は、仲介駆動機構120の斜視図を示している。また、図4は、仲介駆動機構120の部分破断斜視図を示している。これら図3、図4に示すように、仲介駆動機構120は、入力部122、及び揺動カム126を備えており、入力部122のハウジング122a、及び揺動カム126のハウジング126aはそれぞれ外径が同じ円柱状をなしている。
【0043】
ハウジング122aの内部には、軸方向へ延びる空間が形成されており、この空間の内周面には、軸方向に右ねじりのヘリカルスプライン122bが形成されている。また、この内部の空間の端部は、径の小さい中心孔を有するリング状の軸受部122hにて覆われている。一方、ハウジング122aの外周面には、2つのアーム122c、122dが互いに平行に突出して形成されている。これらアーム122c、122dの先端には、シャフト122eによってローラ122fが回転可能に支持されている。
【0044】
ハウジング126aの内部には、軸方向へ延びる空間が形成されており、この内部空間の内周面には、軸方向に左ねじりのヘリカルスプライン126bが形成されている。また、この内部空間の端部は、径の小さい中心孔を有するリング状の軸受部126cにて覆われている。一方、ハウジング126aの外周面には、略三角形状のノーズ126dが突出して形成されている。このノーズ126dには、凹状に湾曲するカム面126eが形成されている。
【0045】
入力部122および揺動カム126の各内部空間には、略円柱状のスライダギヤ128が配置されている。スライダギヤ128は、軸方向に右ねじりの入力用ヘリカルスプライン128aと、小径部128dと、軸方向に左ねじりの出力用ヘリカルスプライン128eとで構成されている。
【0046】
スライダギヤ128の内部には、軸方向に延びる貫通孔が形成されている。そして、前記小径部128dには、長孔128gが形成されている。
スライダギヤ128の貫通孔には、支持パイプ130が周方向に摺動可能に配置されている。なお、支持パイプ130において、スライダギヤ128の長孔128gに対向する位置には、軸方向に延びる長孔130aが設けられている。
【0047】
さらに、支持パイプ130内には、コントロールシャフト132が軸方向に摺動可能に挿通されている。コントロールシャフト132の、仲介駆動機構120に対応する位置には係止ピン132aが設けられている。この係止ピン132aは長孔130aを貫通し、長孔128g内に入り込んでいる。
【0048】
係止ピン132aは、支持パイプ130がシリンダヘッド8に固定されていても、長孔130aにより軸方向に移動することができる。このため、コントロールシャフト132を軸方向へ移動させることにより、その動きを係止ピン132a及び長孔128gを介してスライダギヤ128に伝達して、同スライダギヤ128を軸方向に移動させることができる。更に、スライダギヤ128自体は、長孔128gにて係止ピン132aの動きが規制されることから、軸方向の位置は決定されるが、軸周りについては揺動可能になっている。
【0049】
スライダギヤ128においては、入力用ヘリカルスプライン128aがヘリカルスプライン122bに噛み合わされ、出力用ヘリカルスプライン128eがヘリカルスプライン126bに噛み合わされている。
【0050】
図2に示すように、シリンダヘッド8には一対の立壁部136、138が形成されており、これらの間に仲介駆動機構120が配置されている。
各立壁部136、138には、軸受部122h、126cの中心孔に対応した位置に孔が形成されており、この孔に支持パイプ130が挿入された状態で固定されている。従って、支持パイプ130は、立壁部136、138を介してシリンダヘッド8に固定されていることとなり、軸方向に移動したり回転したりすることはない。また仲介駆動機構120は、軸周りには揺動可能であるが軸方向への移動は立壁部136、138により阻止されている。
【0051】
仲介駆動機構120に設けられているローラ122fは、先の図1に示したごとく回転カム40に接触している。このため、仲介駆動機構120の入力部122は回転カム40のカムプロフィールに応じて支持パイプ130の軸周りに揺動する。なお、アーム122c、122dとシリンダヘッド8との間には、ローラ122fを回転カム40方向へ付勢する圧縮状スプリング122gが設けられている。このため、ローラ122fは常に回転カム40のカム面に接触している。
【0052】
一方、上記仲介駆動機構120とともに可変リフト機構を構成するプランジャ用ロッカアーム74は、その基端部74cでアジャスタ74bにて揺動可能に支持されている。プランジャ用ロッカアーム74の先端部74dには、プランジャ21のリフタ36に設けられたロッド36aが当接されている。プランジャ用ロッカアーム74の中央部には、ローラ74aが支持されており、このローラ74aに揺動カム126のベース円部126f(ノーズ126dを除いた部分)が接触している。
【0053】
他方、図2に示すように、上記コントロールシャフト132の一端側には、アクチュエータ210のピストン210bが連結されている。このアクチュエータ210により、コントロールシャフト132の軸方向の変位が調整される。
【0054】
次に、仲介駆動機構120の駆動機構について説明する。この駆動機構は、図2に示すように、コントロールシャフト132の一端に連結されたアクチュエータ210を備えている。図5は、アクチュエータ210の軸方向における断面の構成と、オイルコントロールバルブ98とを示したものである。
【0055】
アクチュエータ210は、筒状をなすシリンダチューブ210aと、シリンダチューブ210a内に設けられたピストン210bと、シリンダチューブ210aの両端開口部を塞ぐように設けられた一対のエンドカバー210c、210d等から構成されている。また、エンドカバー210cとピストン210bとの間には、圧縮状態のコイルスプリング210eが配置されている。そしてシリンダチューブ210aは、エンドカバー210dにてシリンダヘッド8の立壁部139に固定されている。
【0056】
ピストン210bには、エンドカバー210d及び立壁部139を貫通したコントロールシャフト132の一端が連結されている。
シリンダチューブ210a内は、ピストン210bにより第1圧力室210fと第2圧力室210gとに区画されている。 第1圧力室210fには、一方のエンドカバー210d等に形成された通路を介して第1給排通路210hが接続され、第2圧力室210gには、他方のエンドカバー210c等に形成された通路を介して第2給排通路210iが接続されている。
【0057】
第1給排通路210h、または第2給排通路210iを介して、第1圧力室210fと第2圧力室210gとに対し選択的に作動油が供給されると、ピストン210bはコントロールシャフト132の軸方向に移動する。このピストン210bの移動に伴い、コントロールシャフト132も軸方向へ移動することになる。
【0058】
第1給排通路210h、及び第2給排通路210iは、オイルコントロールバルブ98に接続されている。このオイルコントロールバルブ98には供給通路98aおよび排出通路98bが接続されている。そして、供給通路98aは、内燃機関のクランクシャフトの回転に伴って駆動されるオイルポンプPを介してオイルパン150に接続されており、排出通路98bはオイルパン150に直接接続されている。
【0059】
オイルコントロールバルブ98はケーシング98cを備え、ケーシング98cには、第1給排ポート98d、第2給排ポート98e、第1排出ポート98f、第2排出ポート98g、及び供給ポート98hが設けられている。第1給排ポート98dには第1給排通路210hが接続され、第2給排ポート98eには第2給排通路210iが接続されている。更に、供給ポート98hには供給通路98aが接続され、第1排出ポート98fおよび第2排出ポート98gには排出通路98bが接続されている。また、ケーシング98c内には、4つの弁部98iを有し、コイルスプリング98jと電磁ソレノイド98kとによりそれぞれ逆の方向に付勢されるスプール98mが設けられている。
【0060】
このような構成のオイルコントロールバルブ98において、電磁ソレノイド98kの消磁状態では、スプール98mがコイルスプリング98jの弾性力によりケーシング98cの電磁ソレノイド98k側に配置される。そして、第1給排ポート98dと第1排出ポート98fとが連通し、第2給排ポート98eと供給ポート98hとが連通する。この状態では、オイルパン150内の作動油が供給通路98a、オイルコントロールバルブ98および第2給排通路210iを介して、第2圧力室210gへ供給される。また、第1圧力室210fの作動油は第1給排通路210h、オイルコントロールバルブ98および排出通路98bを介してオイルパン150内へ戻される。その結果、ピストン210bがコントロールシャフト132と一体で矢印Aに示す方向へ移動する。
【0061】
一方、電磁ソレノイド98kが励磁されたときには、スプール98mがコイルスプリング98jの付勢力に抗してケーシング98cのコイルスプリング98j側に配置されて、第2給排ポート98eが第2排出ポート98gと連通し、第1給排ポート98dが供給ポート98hと連通する。この状態では、オイルパン150内の作動油が供給通路98a、オイルコントロールバルブ98および第1給排通路210hを介して第1圧力室210fへ供給される。また、第2圧力室210g内の作動油が第2給排通路210i、オイルコントロールバルブ98および排出通路98bを介してオイルパン150内に戻される。その結果、ピストン210bがコントロールシャフト132と一体で矢印Bに示す方向へ移動する。
【0062】
さらに、電磁ソレノイド98kへの給電を制御し、スプール98mをケーシング98cの中間に位置させると、図5に示すように第1給排ポート98dおよび第2給排ポート98eが閉塞され、それら第1及び第2給排ポート98d、98eを通じての作動油の移動が禁止される。この状態では、第1圧力室210fおよび第2圧力室210gに対して作動油の給排が行われず、第1圧力室210fおよび第2圧力室210g内に作動油が充填保持される。これにより、ピストン210b及びコントロールシャフト132の軸方向における位置が保持される。
【0063】
また、電磁ソレノイド98kへの給電をデューティ制御することで、第1給排ポート98dの開度、あるいは第2給排ポート98eの開度を調整し、供給ポート98hから第1圧力室210f、または第2圧力室210gへの作動油の供給速度を制御することができる。
【0064】
このような構成により、アクチュエータ210のピストン210bの移動量が調節されると、コントロールシャフト132とスライダギヤ128とを介して、入力部122のローラ122fと揺動カム126のノーズ126dとの相対位相差が調整される。
【0065】
次に、仲介駆動機構120の作動によるプランジャ21のリフト量変化を、図6〜図8を併せ参照して説明する。
図6は、アクチュエータ210のピストン210bを、図4等に示す矢印B方向へ最も移動させた状態の仲介駆動機構120の状態を示している。この状態では、入力部122は図4に示す矢印R方向に最も回動され、揺動カム126は矢印L方向に最も回動される。そのため、入力部122のローラ122fと揺動カム126のノーズ126dとの相対位相差αが最も小さくされる。
【0066】
なお、図6〜図8では、仲介駆動機構120の揺動中心(支持パイプ130の径方向における中心)とローラ122fの軸芯とを結ぶ直線と、仲介駆動機構120の揺動中心と揺動カム126のベース円部がカム面126eに接する点とを結ぶ直線とがなす角を相対位相差α、β、γとしている。
【0067】
さて、図6[A]では、回転カム40のベース円部40b(ノーズ40aを除いた部分)が、ローラ122fに接触している。このときには、ローラ74aが揺動カム126のノーズ126dには接触しておらず、ノーズ126dに隣接したベース円部126fに接触している。このため、プランジャ21は下死点に位置する。
【0068】
吸気カムシャフト24が回転して回転カム40のノーズ40aがローラ122fを押し下げると、仲介駆動機構120内では入力部122の揺動がスライダギヤ128を介して揺動カム126に伝達されて、揺動カム126はノーズ126dを押し上げるように揺動する。これによりノーズ126dのカム面126eが直ちにローラ74aに接触して、図6[B]に示すごとく、カム面126eの全範囲を使用してローラ74aを押し上げる。このことにより、プランジャ用ロッカアーム74は基端部74c側を中心に揺動し、先端部74dが大きくプランジャ21を押し上げる。こうしてプランジャ21が最大リフト量にてシリンダ26内を移動するため、高圧ポンプ1から吐出される燃料量も最大となる。
【0069】
図7は、アクチュエータ210のピストン210bを図6の状態から矢印A歩行へ少し移動させた場合の仲介駆動機構120の状態を示している。この状態では、入力部122は矢印L方向に少し回動され、揺動カム126は矢印R方向に少し回動される。そのため、ローラ122fとノーズ126dとの相対位相差βは、上記図6[A]に示した相対位相差αよりも大きくなる。
【0070】
さて、図7[A]では、回転カム40のベース円部40bが、入力部122のローラ122fに接触している。このとき、ローラ74aはノーズ126dには接触しておらず、図6[A]に示した状態と比較して、少しノーズ126dから離れたベース円部126fに接触している。これは、スライダギヤ128の矢印A方向への移動に伴い、ローラ122fとノーズ126dとの相対位相差が大きくなったためである。そして、ローラ74aが揺動カム126のベース円部126fに接触している間は、プランジャ21は下死点に位置する。
【0071】
吸気カムシャフト24が回転して回転カム40のノーズ40aがローラ122fを押し下げると、前記と同様にして揺動カム126はノーズ126dを押し上げるように揺動する。
【0072】
上述したごとく、図7[A]の状態では、ローラ74aはベース円部126fにおいて、ノーズ126dから離れた箇所に接触している。このため、揺動カム126が揺動しても、しばらくはローラ74aはカム面126eに接触することなくベース円部126fに接触した状態を継続する。そしてその後、カム面126eがローラ74aとの接触により、図7[B]に示すごとくローラ74aが押し上げられる。このことにより、プランジャ用ロッカアーム74は基端部74cを中心に揺動する。しかし、ローラ74aが当初、ノーズ126dから離れている分、カム面126eの使用範囲は少なくなってプランジャ用ロッカアーム74の揺動角度は小さくなり、その先端部74dによるプランジャ21の押し上げ量、すなわちリフト量は少なくなる。こうしてプランジャ21は最大量よりも小さいリフト量にてシリンダ26内を移動するため、図6に示す状態と比較して、高圧ポンプ1から吐出される燃料量は少なくなる。
【0073】
図8は、アクチュエータ210のピストン210bを最も矢印A方向へ移動させたときの仲介駆動機構120の状態を示している。この状態では、入力部122は矢印L方向に最も回動され、揺動カム126は矢印R方向に最も回動される。そのため、ローラ122fとノーズ126dとの相対位相差γが最も大きくなる。
【0074】
さて、図8[A]では、回転カム40のベース円部40bが、ローラ122fに接触している。このとき、ローラ74aはノーズ126dには接触しておらず、ベース円部126fにおいてノーズ126dから大きく離れた箇所に接触している。これは仲介駆動機構120内でスライダギヤ128が矢印A方向に最大に移動したことにより、ローラ122fとノーズ126dとの相対位相差が最大になったためである。そして、ローラ74aが揺動カム126のベース円部126fに接触している間は、プランジャ21は下死点に位置する。
【0075】
吸気カムシャフト24の回転に伴い、ノーズ40aがローラ122fを押し下げると、前記と同様にして揺動カム126はノーズ126dを押し上げるように揺動する。
【0076】
上述したごとく、図8[A]の状態では、ローラ74aはベース円部126fにおいて、ノーズ126dから大きく離れた箇所に接触している。このため、揺動の全期間、ローラ74aはカム面126eに接触することなくベース円部126fに接触した状態を継続する。すなわち、図8[B]に示すごとく、回転カム40のノーズ40aがローラ122fを最大に押し下げても、カム面126eがローラ74aを押し上げるために使用されることはない。これにより、プランジャ用ロッカアーム74は基端部74cを支点として揺動することがなくなり、その先端部74dによるプランジャ21の押し上げ量、すなわちリフト量は0となる。こうしてプランジャ21は下死点に維持され、高圧ポンプ1からは燃料が吐出されない。
【0077】
このように、ピストン210bの位置調整により、プランジャ21のリフト量は、図9に示すごとく最大リフト量と最小リフト量「0」との間で、無段階に連続的に変更可能となり、もって高圧ポンプ1の燃料吐出量も連続的に調量可能となる。そして、第1の実施形態では、前述したアクチュエータ210、コントロールシャフト132、スライダギヤ128、入力部122のヘリカルスプライン122bおよび揺動カム126のヘリカルスプライン126bにより、仲介位相差可変手段が構成されている。
【0078】
次に、ピストン210bの位置調整にかかる制御について説明する。
まず、ピストン位置は図1に示す制御装置33によって制御される。この制御装置33は、中央処理制御装置(CPU)を備えるマイクロコンピュータを中心として構成されている。例えば制御装置33には、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)が設けられている。また制御装置33には、演算結果や予め記憶されたデータ等を機関停止後も保存するためのバックアップRAM、入力インターフェース、出力インターフェース等も設けられている。
【0079】
上記入力インターフェースには、各種センサによって検出された機関運転状態を表す出力信号が入力される。例えば、アクセルペダルに取り付けられたアクセル開度センサ76からは、アクセルペダルの踏み込み量(以下、「アクセル開度ACCP」という)に比例した出力電圧が出力され、この出力はA/D(アナログ/デジタル)変換器を介して入力インターフェースに入力される。また、クランク角センサ82からは、クランクシャフトが所定角度回転する毎に出力パルスが出力され、この出力パルスは波形整形回路(2値化回路)を介して入力インターフェースに入力される。制御装置33では、このクランク角センサ82の出力パルスに基づき、機関回転速度NEが算出される。また、吸気通路内に設けられた吸入空気量センサ84からは、吸入空気量GAに対応した出力電圧が出力され、この出力はA/D(アナログ/デジタル)変換器を介して入力インターフェースに入力される。また、デリバリパイプ12に設けられた圧力センサ50からは、同デリバリパイプ12内の燃圧FPに応じた出力電圧が出力され、この出力はA/D(アナログ/デジタル)変換器を介して入力インターフェースに入力される。さらに、前述したコントロールシャフト132の軸方向変位を検出するシャフト位置センサ90からは、軸方向変位に応じた出力電圧が出力され、この出力はA/D(アナログ/デジタル)変換器を介して入力インターフェースに入力される。
【0080】
一方、出力インターフェースは、各々対応する駆動回路等を介して燃料噴射弁11やオイルコントロールバルブ98等に接続されている。そして、制御装置33は上記各センサ50、76、82、84、90等からの信号に基づき、ROM内に格納された制御プログラム及び制御データに従って、上記燃料噴射弁11やオイルコントロールバルブ98等を制御する。
【0081】
次に、ピストン210bの位置制御にかかる処理手順について、図10を併せ参照して詳細に説明する。なお、この処理は制御装置33にて所定時間毎に繰り返し実行される。
【0082】
この処理が開始されると、まず、アクセル開度ACCP、吸入空気量GA、機関回転速度NE、及び燃圧FPが読み込まれる(ステップS110)。そして、これら機関負荷を表すパラメータに基づいて目標燃圧FPTが算出される(S120)。
【0083】
次に、目標燃圧FPTと燃圧FPとの差ΔFPが算出され(S130)、この差ΔFPを補うだけの燃料がデリバリパイプ12内に供給されるように、コントロールシャフト132の軸方向の目標位置Ltが求められる(ステップS140)。ここで、この目標位置Ltは、コントロールシャフト132が、先の図3等に示した矢印B方向へ移動するほど大きくなる値とされている。また、目標位置Ltは、機関負荷が増大するほど、換言すれば燃料噴射弁11から噴射される燃料量が増大して差ΔFPが大きくなるほど、その値が大きくなるように設定される。従って、機関負荷が増大するほど(差ΔFPが大きくなるほど)コントロールシャフト132は矢印B方向へ移動され、上述したようにプランジャ21のリフト量は増大するようになる。すなわち、機関負荷が増大するほど高圧ポンプ1の燃料吐出量が増大するように目標位置Ltは設定される。
【0084】
次に、シャフト位置センサ90の信号から得られるコントロールシャフト132の実位置Lsが読み込まれる(ステップS150)。そして、目標位置Ltと実位置Lsとの偏差ΔLが次式(1)に示すごとく算出される(ステップS160)。
【0085】
ΔL←Lt−Ls … (1)
次に、このように算出された偏差ΔLに基づいて、PID制御計算を行い、実位置Lsが目標位置Ltに近づくように、オイルコントロールバルブ98の電磁ソレノイド98kに対する信号のデューティLdutyが算出される(ステップS170)。そして、オイルコントロールバルブ98の電磁ソレノイド98kを駆動する駆動回路にデューティLdutyに対応する信号が出力され、このデューティLdutyに対応した位置にスプール98mを移動させる(ステップS180)。その後、本処理を一旦終了し、次の制御周期において再度ステップS110〜S180の処理を繰り返す。こうして実位置Lsが目標位置Ltになるように、アクチュエータ210への作動油の供給がなされる。
【0086】
図11は、機関負荷に対応したプランジャ21のリフト量の変化を示しており、同図11に実線で示す特性線L1は、仲介駆動機構120が上記図6に示した状態にあるときのリフト量の変化を示している。また、同図11に一点鎖線で示す特性線L2は、仲介駆動機構120が上記図7に示した状態にあるときのリフト量の変化を示している。
【0087】
さて、プランジャ21は、回転カム40の回転に連動してシリンダ26内を上下動するが、このときのリフト量は上記ピストン210bの位置制御に基づき機関負荷に応じたものにされる。従って、機関負荷が高い場合には、図11に特性線L1で示すように、プランジャ21は最大リフト量で駆動され、高圧ポンプ1の燃料吐出量が最大とされる。一方、機関負荷が低くなると、同図11に特性線L2で示すようにプランジャ21のリフト量は減少され、高圧ポンプ1の燃料吐出量は減少される。
【0088】
このように、本実施の形態によれば、プランジャ21のリフト量を可変とすることで、高圧ポンプ1の燃料吐出量が調量される。
以上説明したように、本実施の形態にかかる車載燃料ポンプの駆動機構によれば、次のような効果が得られるようになる。
【0089】
(1)本実施の形態では、可変リフト機構を構成する仲介駆動機構120を用いて、プランジャ21のリフト量(ストローク量)を変化させるようにしている。従って、シリンダ26から吐出される燃料の量を変化させることができ、スピル弁を設けることなく高圧ポンプ1から吐出される燃料の量を調量することができるようになる。
【0090】
(2)高圧ポンプ1に、シリンダ26への燃料の流入のみを許容する第1の逆止弁38と、シリンダ26からの燃料の吐出のみを許容する第2の逆止弁39とを設けている。そのため、高圧ポンプ1内での燃料の流れ方向は一方向のみとなり、燃料の逆流に起因する脈動の発生を抑制することができるようになる。
【0091】
(3)仲介駆動機構120に、回転カム40の回転によって駆動される入力部122と、プランジャ用ロッカアーム74を介してプランジャ21を駆動する揺動カム126とを設けている。そのため、回転カム40のカムプロフィールに応じてプランジャ21のリフト量を変化させることができる。
【0092】
さらに、仲介駆動機構120に設けられたヘリカルスプライン機構により、仲介駆動機構の入力部122と揺動カム126との相対位相差を可変にしている。そのため、回転カム40の駆動状態に応じたプランジャ21のリフト開始時期を早めたり遅くしたりすることができる。従って、回転カム40の回転に連動するプランジャ21のリフト量やリフト期間を、確実に調整することができるようになる。
【0093】
(4)機関負荷の増大に伴って、プランジャ21のリフト量が大きくなるように、可変リフト機構を制御している。そのため、機関負荷の増大に伴って高圧ポンプ1の燃料吐出量が増加するようになり、機関負荷に対応した燃料吐出量を確保することができるようになる。
【0094】
(第2の実施形態)
次に、この発明にかかる車載燃料ポンプの駆動機構を具体化した第2の実施形態について詳細に説明する。
【0095】
前記第1の実施形態では、高圧ポンプ1が備えるプランジャ21のリフト量を可変とするための可変リフト機構を設けるようにした。
これに対し、本実施の形態では、可変リフト機構を駆動するコントロールシャフト132が軸方向に移動されると、吸気バルブ70のバルブ特性を変更する可変動弁機構も駆動されるようにしている点が異なっている。
【0096】
以下、こうした第2の実施形態について図12〜図16を併せ参照し、第1の実施形態との違いを中心に説明する。
図12は、内燃機関のシリンダヘッド8に備えられた仲介駆動機構120、及び可変動弁機構を構成するバルブ用仲介駆動機構140の取付態様を示す模式図である。なお、先の図2に示した部材と同一の部材には、同一の符号を付している。
【0097】
この図12に示すように、本実施の形態では、前記支持パイプ130に、可変リフト機構を構成する仲介駆動機構120だけではなく、可変動弁機構を構成し、かつ各気筒#1〜#4毎に設けられたバルブ用仲介駆動機構140も揺動可能に軸支されている。また、吸気カムシャフト24に設けられたバルブ用カムである吸気カム24aが、各吸気バルブ70毎ではなく、各気筒#1〜#4毎に設けられている。そして、可変リフト機構は、第3気筒#3、及び第4気筒#4に対応してそれぞれ設けられるバルブ用仲介駆動機構140の間に設けられている。
【0098】
図13は、図12におけるA−A断面を模式的に示している。この図13に示すように、内燃機関は、4つの気筒#1〜#4を有するシリンダブロック4、各気筒#1〜#4内で往復動するピストン6およびシリンダブロック4上に取り付けられたシリンダヘッド8等を備えている。各気筒#1〜#4には、シリンダブロック4、ピストン6およびシリンダヘッド8にて区画された燃焼室10が形成されている。
【0099】
そしてシリンダヘッド8には、吸気バルブ70、排気バルブ71が各気筒#1〜#4毎に設けられている。この内、吸気バルブ70は吸気ポート5を開閉し、排気バルブ71は排気ポート7を開閉するように、各気筒#1〜#4毎に設けられている。
【0100】
各気筒の吸気ポート5は、その入口が大気開放されている吸気通路に接続されている。また、本実施の形態では、この吸気通路内にはスロットルバルブは配置されておらず、アクセルペダルの操作やアイドルスピードコントロール時の機関回転速度NEに応じた吸入空気量制御は、吸気バルブ70のリフト量を調整することによりなされる。このリフト量の調整は、吸気カムシャフト24に設けられた吸気カム24aと吸気バルブ用ロッカアーム13との間に存在するバルブ用仲介駆動機構140により行われる。
【0101】
なお、気筒毎の排気バルブ71は、排気カムシャフト73に設けられた排気カム73aの回転が排気バルブ用ロッカアーム14を介して伝達されることにより、一定のリフト量で開閉される。そして、各気筒の排気ポート7は排気通路に連結されている。
【0102】
次に、可変動弁機構を構成するバルブ用仲介駆動機構140について、その斜視図を示す図14、及び部分破断斜視図を示す図15を併せ参照して説明する。ここで、バルブ用仲介駆動機構140と、前記第1の実施形態において説明した仲介駆動機構120とは、基本的に構成及び動作態様がほぼ同じになっている。
【0103】
すなわち、図14、図15に示すように、バルブ用仲介駆動機構140は、支持パイプ130に揺動可能に軸支されている。支持パイプ130としては、前記第1の実施形態で説明した仲介駆動機構120を揺動可能に軸支するものが用いられている。
【0104】
また、バルブ用仲介駆動機構140は、入力部142、とその軸方向についての両側に設けられた第1揺動カム144、及び第2揺動カム146を備えている。これら入力部142のハウジング142a、第1揺動カム144のハウジング144a、及び第2揺動カム146のハウジング146aはそれぞれ外径が同じ円柱状をなしている。
【0105】
ハウジング142aの内部には軸方向に延びる空間が形成されており、この空間の内周面には、軸方向に右ねじりのヘリカルスプライン142bが形成されている。また、ハウジング142aの外周面には、一対のアーム142c、142dが平行に突出して形成されている。これらアーム142c、142dの先端部には、ハウジング142aの軸線に対し平行に配置されたシャフト142eによってローラ142fが回転可能に支持されている。
【0106】
両ハウジング144a、ハウジング146aの内部には、それぞれ軸方向に延びる空間が形成されており、この内部空間の内周面には、軸方向に左ねじりのヘリカルスプライン144b、146bが形成されている。また、この内部空間の端部は、径の小さい中心孔を有するリング状の軸受部144c、146cによって覆われている。一方、各ハウジング144a、146aの外周面には、略三角形状のノーズ144d、146dが突出して形成されている。このノーズ144d、146dには、凹状に湾曲するカム面144e、146eが形成されている。
【0107】
入力部142、第1揺動カム144、及び第2揺動カム146の各内部空間には、スライダギヤ148が配置されている。スライダギヤ148は略円柱状をなし、外周面中央には、軸方向に右ねじりの入力用ヘリカルスプライン148aが形成されている。この入力用ヘリカルスプライン148aの左側端部には小径部148bを挟んで、軸方向に左ねじりの第1出力用ヘリカルスプライン148cが形成されている。また、入力用ヘリカルスプライン148aの右側端部には小径部148dを挟んで、軸方向に左ねじりの第2出力用ヘリカルスプライン148eが形成されている。
【0108】
スライダギヤ148の内部には、軸方向に延びる貫通孔が形成されている。そして、一方(図15の右方)の小径部148dには長孔148gが形成されている。
【0109】
スライダギヤ148の貫通孔内には、支持パイプ130が周方向に摺動可能に配置されている。支持パイプ130において、スライダギヤ148の長孔148gに対向する位置には、軸方向に延びる長孔130bが設けられている。
【0110】
さらに、支持パイプ130内には、コントロールシャフト132が軸方向に摺動可能に挿通されている。コントロールシャフト132のバルブ用仲介駆動機構140に対応する位置には係止ピン132bが形成されている。この係止ピン132bは、長孔130bを貫通し、長孔148g内に入り込んでいる。
【0111】
係止ピン132bは、支持パイプ130がシリンダヘッド8に対して固定されていても、長孔130bにより軸方向に移動することができる。このため、コントロールシャフト132を軸方向へ移動させることにより、その動きを係止ピン132b及び長孔148gを介してスライダギヤ148に伝達して、同スライダギヤ148を軸方向に移動させることができる。更に、スライダギヤ148自体は、長孔148gにて係止ピン132bの動きが規制されることから、軸方向の位置は決定されるが、軸周りについては揺動可能になっている。
【0112】
スライダギヤ148においては、入力用ヘリカルスプライン148aがヘリカルスプライン142bに噛み合わされ、第1出力用ヘリカルスプライン148cがヘリカルスプライン144bに噛み合わされ、第2出力用ヘリカルスプライン148eがヘリカルスプライン146bに噛み合わされている。
【0113】
図12に示すように、シリンダヘッド8には、一対の立壁部156、158が形成されており、これらの間にバルブ用仲介駆動機構140が配置されている。各立壁部156、158には、軸受部144c、146cの中心孔に対応した位置に孔が形成されており、この孔に支持パイプ130が挿入された状態で固定されている。従って、支持パイプ130は、立壁部156、158を介してシリンダヘッド8に固定されていることとなり、軸方向に移動したり回転したりすることはない。また、バルブ用仲介駆動機構140は、軸周りには揺動可能であるが軸方向への移動は立壁部156、158により阻止されている。
【0114】
また、前述したように、支持パイプ130内には、コントロールシャフト132が軸方向に摺動可能に挿入されており、このコントロールシャフト132の一端には、前記第1の実施形態で説明したアクチュエータ210のピストン210bが連結されている。
【0115】
図13に示したごとく、バルブ用仲介駆動機構140のローラ142fは、吸気カム24aに接触している。このため、バルブ用仲介駆動機構140の入力部142は吸気カム24aのカム面のプロフィールに応じて支持パイプ130の軸周りに揺動する。なお、アーム142c、142dとシリンダヘッド8との間には、ローラ142fを吸気カム24a方向へ付勢する圧縮状スプリング142gが設けられている。このため、ローラ142fは常に回転カム40のカム面に接触している。
【0116】
一方、上記バルブ用仲介駆動機構140とともにバルブ用可変リフト機構を構成する吸気バルブ用ロッカアーム13は、その基端部13cでアジャスタ13bにて揺動可能に支持されている。吸気バルブ用ロッカアーム13の先端部13dには、吸気バルブ70のステムエンド70cが当接されている。吸気バルブ用ロッカアーム13の中央部分にはローラ13aが支持されており、このローラ13aに第1揺動カム144のベース円部(ノーズ144dを除いた部分)や第2揺動カム146のベース円部(ノーズ146dを除いた部分)が接触している。
【0117】
このように、本実施の形態における可変動弁機構は、前記第1の実施形態における可変リフト機構と同様な構成を有している。従ってその動作も同様なものとなり、アクチュエータ210のピストン210bの移動量が調節されると、コントロールシャフト132とスライダギヤ148とを介して、入力部142のローラ142fと第1揺動カム144のノーズ144dとの相対位相差が調整される。また、入力部142のローラ142fと第2揺動カム146の146dとの相対位相差も調整される。すなわち、ピストン210bの移動により、吸気バルブ70のリフト量を連続的に変化させることができる。より具体的には、コントロールシャフト132が図15の矢印B方向に移動されるほど、入力部142は矢印R方向に回動されるとともに第1揺動カム144は矢印L方向に回動されて、入力部142のローラ142fとノーズ144dとの相対位相差が大きくなる。そのため、ノーズ144dに設けられた湾曲状のカム面144eにおいて、吸気バルブ用ロッカアーム13のローラ13aを押し下げるために使用される範囲が広くなり、吸気バルブ70のリフト量及びリフト期間(開弁期間)が増大される。同様に、コントロールシャフト132が方向Bに移動されるほど、第2揺動カム146は方向Lに回動されて、入力部142のローラ142fとノーズ146dとの相対位相差も大きくなり、吸気バルブ70のリフト量及びリフト期間(開弁期間)が増大される。このようにアクチュエータ210のピストン210bの位置調整により、図16に示す最小と最大とのリフト量パターン間で、吸気バルブ70のリフト量が無段階に連続的に変更可能となる。
【0118】
このように、本実施の形態における内燃機関では、前記可変リフト機構を駆動するコントロールシャフト132が軸方向に移動すると、吸気バルブ70のバルブ特性を変更する可変動弁機構も駆動されるようにしている。すなわち、仲介駆動機構120とバルブ用仲介駆動機構140とは、いずれもアクチュエータ210によって駆動されるコントロールシャフト132を介して駆動される。
【0119】
なお、吸気カム24aのカムプロフィールは、以下のように設定されている。すなわち、前述した処理手順(図10)によって機関負荷に対応した位置にコントロールシャフト132が位置決めされたときにおいて、この機関負荷に対応したバルブリフト量及びリフト期間となるように、吸気カム24aのカムプロフィールは設定されている。ちなみに、第1揺動カム144、第2揺動カム146、及び入力部142にそれぞれ形成されるヘリカルスプラインの歯筋の角度を、吸気バルブ70のリフト量及びリフト期間が機関負荷に対応したものとなるように設定するようにしてもよい。
【0120】
以上説明したように、本実施の形態にかかる車載燃料ポンプの駆動機構によれば、前記第1の実施形態で得られる効果の他に、次のような効果が得られるようになる。
【0121】
(1)可変動弁機構を構成するバルブ用仲介駆動機構140と可変リフト機構を構成する仲介駆動機構120とを、アクチュエータ210とコントロールシャフト132等で構成される同一の駆動機構で駆動するようにしている。従って、内燃機関に可変動弁機構と可変リフト機構とを設ける場合であっても、個々に駆動機構を設ける必要はなく、もって部品点数の増加を抑えることができるようになる。
【0122】
(2)また、可変動弁機構と可変リフト機構とをそれぞれ別々に設けるようにしている。そのため、吸気バルブ70を駆動するための吸気カム24aと、プランジャ駆動用の回転カム40とを、それぞれ別個に吸気カムシャフト24に設けることができる。従って、吸気カム24aのカムプロフィール、及びプランジャ駆動用の回転カム40のカムプロフィールをそれぞれ最適なものに設定することができるようにもなる。
【0123】
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記各実施の形態において、高圧ポンプ1の昇圧・圧送行程中に機関負荷が低下し燃料噴射が不要となった場合には、次のように可変リフト機構を制御してもよい。すなわち、図17に二点鎖線で示すように、プランジャ21のリフト量が「0」になるように、換言すれば仲介駆動機構120が上記図8に示した状態になるようにコントロールシャフト132を駆動するようにしてもよい。この場合には、不要な燃料(図17に斜線で示す部分の燃料)がデリバリパイプ12に圧送されなくなるため、同デリバリパイプ12内の過剰な圧力上昇を抑制でき、もってリリーフバルブ32の作動音の発生を抑制することができるようになる。
【0124】
・上記第2の実施形態では、プランジャ21のリフト量を可変とする可変リフト機構とは別に、吸気バルブ70のバルブ特性を可変とする可変動弁機構も備えるようにした。この他に、可変動弁機構と可変リフト機構とを1つの可変機構としてもよい。例えば、上記バルブ用仲介駆動機構140を、図18に示す仲介駆動機構140’のように構成することもできる。すなわち、バルブ用仲介駆動機構140の第2揺動カム146に、吸気バルブ70を駆動するためのノーズ146dだけではなく、プランジャ21を駆動するための前記ノーズ126dも設けるようにしてもよい。この場合には、前述したように、コントロールシャフト132が矢印B方向に移動するにつれて、入力部142は図18において矢印R方向に回動され、第2揺動カム146は矢印L方向に回動される。そのため、第2揺動カム146に形成されたノーズ146dとローラ142fとの相対位相差は大きくされる。また、第2揺動カム146に形成されたノーズ126dと入力部142のローラ142fとの相対位相差は小さくされる。従って、コントロールシャフト132が矢印B方向に移動するにつれて、吸気バルブ70のリフト量とリフト期間、及びプランジャ21のリフト量とリフト期間とはそれぞれ増大される。
【0125】
図19は、内燃機関のシリンダヘッド8に備えられた仲介駆動機構140’の取付態様を示す模式図である。なお、先の図12に示した部材と同一の部材には、同一の符号を付している。さて、上述したように仲介駆動機構140’は可変リフト機構及び可変動弁機構して機能する。そのため、同図19に示すように、上記第2の実施形態と比較して、可変リフト機構を構成する仲介駆動機構120を省略することができる。このため、内燃機関に可変動弁機構と可変リフト機構とを設ける場合であっても、両機構を個々に設ける必要はなく、もって部品点数の増加を抑えることができるようになる。
【0126】
また、この場合には、仲介駆動機構140’の入力部142が駆動されることで、ノーズ126d及びノーズ146dがともに揺動される。すなわち、1つのカムでノーズ126d及びノーズ146dを揺動させることができる。従って、プランジャ駆動用の回転カムと、吸気バルブを駆動するためのバルブ用カムとを、それぞれ別個にカムシャフトに設けなくてもよく、この点でも部品点数の増加を抑えることができるようになる。
【0127】
ちなみに、バルブ用仲介駆動機構140の第1揺動カム144に、プランジャ21を駆動するための前記ノーズ126dを設けるようにしてもよい。
・上記各実施の形態では、コントロールシャフト132の位置を変更するアクチュエータとして、いわゆる油圧アクチュエータを用いるようにしたが、何らこのようなアクチュエータに限定されるものではなく、例えば電動アクチュエータ等を用いるようにしてもよい。また、コントロールシャフト132とアクセル操作部とを連結する操作力伝達機構によって、コントロールシャフト132の位置調整を行うようにしてもよい。例えば、図20にその一例を示すように、第1の実施形態における可変リフト機構において、コントロールシャフト132とアクセルペダル46とをワイヤ48で接続するようにする。この場合には、ワイヤ48によって、アクセルペダル46の動きが直接コントロールシャフト132に伝達される。すなわち、仲介位相差可変手段は、運転者を原動力として駆動される。従って、内燃機関の出力を利用することなく、仲介位相差可変手段を駆動させることができるようになる。なお、操作力伝達機構としてはワイヤのみならず、油圧等を利用したものでもよい。また、アクセルペダルの踏み込み力を軽減するために、操作力伝達機構の途中に倍力装置等を設けるようにしてもよい。
【0128】
・上記第2の実施形態やその変形例における可変リフト機構や可変動弁機構は、上述した出力部と入力部との相対位相差を変更することによって、プランジャ21や吸気バルブ70のリフト量等を変更する機構であったが、何らこのような可変機構に限定されるものではない。例えばカムシャフトの軸方向にカムプロフィールが異なる3次元カムを用いることでリフト量を可変とする可変機構等を採用することもできる。
【0129】
・上記第2の実施形態やその変形例では、吸気バルブ70の駆動機構に可変動弁機構を設けるようにしたが、排気バルブ71の駆動機構に上述したような可変動弁機構を設けるようにしてもよい。また、吸気バルブ70の駆動機構と排気バルブ71の駆動機構それぞれに可変動弁機構を設けるようにしてもよい。なお、上述したような可変動弁機構を排気バルブ71の駆動機構のみに設ける場合には、吸気通路内にスロットル弁を設けることで吸入空気量を調量することはできる。
【0130】
・上記各実施の形態では、プランジャ21や吸気バルブ70の駆動方式としてロッカアーム方式を採用したが、上述した揺動カムのノーズでプランジャ21や吸気バルブ70を直接駆動する直動式を採用することもできる。
【0131】
・上記各実施の形態では、本発明にかかる車載燃料ポンプの駆動機構をガソリン機関用の高圧燃料ポンプに適用する場合について例示したが、プランジャをシリンダ内で往復動させることによって高圧燃料を吐出する車載燃料ポンプであれば、本発明にかかる駆動機構を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる車載燃料ポンプの駆動機構の第1の実施形態について、その概略構成を示す模式図。
【図2】同実施の形態において、内燃機関のシリンダヘッドに備えられた車載燃料ポンプの駆動機構について、その取付態様を示す模式図。
【図3】同実施の形態における仲介駆動機構の斜視図。
【図4】上記仲介駆動機構の部分破断斜視図。
【図5】同実施の形態におけるアクチュエータの構成を例示する断面図。
【図6】上記仲介駆動機構の動作説明図。
【図7】上記仲介駆動機構の動作説明図。
【図8】上記仲介駆動機構の動作説明図。
【図9】上記仲介駆動機構によるプランジャのリフト量変化を示すグラフ。
【図10】同実施の形態におけるアクチュエータのピストン移動量について、その制御処理にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図11】機関負荷に対応したプランジャのリフト量変化を例示するグラフ。
【図12】第2の実施の形態において、内燃機関のシリンダヘッドに備えられた車載燃料ポンプの駆動機構について、その取付態様を示す模式図。
【図13】図12におけるA−A断面の構造を示す断面図。
【図14】同実施の形態における仲介駆動機構及びバルブ用仲介駆動機構の斜視図。
【図15】上記各仲介駆動機構の部分破断斜視図。
【図16】上記バルブ用仲介駆動機構による吸気バルブのリフト量変化を示すグラフ。
【図17】上記実施の形態の変形例について、機関負荷に対応したプランジャのリフト量変化を例示するグラフ。
【図18】第2の実施形態の変形例における仲介駆動機構の斜視図。
【図19】同変形例において、内燃機関のシリンダヘッドに備えられた車載燃料ポンプの駆動機構について、その取付態様を示す模式図。
【図20】上記各実施形態の変形例について、その概略構造を示す模式図。
【図21】従来の車載燃料ポンプの駆動機構について、その概略構成を示す模式図。
【符号の説明】
1…高圧ポンプ、4…シリンダブロック、5…吸気ポート、6…ピストン、7…排気ポート、8…シリンダヘッド、10…燃焼室、11…燃料噴射弁、12…デリバリパイプ、13…吸気バルブ用ロッカアーム、13a…ローラ、13b…アジャスタ、13c…基端部、13d…先端部、14…排気バルブ用ロッカアーム、15…低圧ポンプ、16…高圧ポンプ、17…燃料タンク、18…低圧燃料通路、19…プレッシャレギュレータ、21…プランジャ、22…加圧室、23…スピル弁、24…吸気カムシャフト、24a…吸気カム、25…回転カム、26…シリンダ、27…高圧燃料通路、28…逆止弁、29…電磁ソレノイド、31…スプリング、32…リリーフバルブ、33…制御装置、34…パルセーションダンパ、35…弁体、36…リフタ、36a…ロッド、37…リフタスプリング、38…第1の逆止弁、39…第2の逆止弁、40…回転カム、40a…ノーズ、40b…ベース円部、46…アクセルペダル、48…ワイヤ、50…圧力センサ、70…吸気バルブ、70c…ステムエンド、71…排気バルブ、73…排気カムシャフト、73a…排気カム、74…プランジャ用ロッカアーム、74a…ローラ、74b…アジャスタ、74c…基端部、74d…先端部、76…アクセル開度センサ、82…クランク角センサ、84…吸入空気量センサ、90…シャフト位置センサ、98…オイルコントロールバルブ、98a…供給通路、98b…排出通路、98c…ケーシング、98d…第1給排ポート、98e…第2給排ポート、98f…第1排出ポート、98g…第2排出ポート、98h…供給ポート、98i…弁部、98j…コイルスプリング、98k…電磁ソレノイド、98m…スプール、120…仲介駆動機構、122…入力部、122a…ハウジング、122b…ヘリカルスプライン、122c、122d…アーム、122e…シャフト、122f…ローラ、122g…圧縮状スプリング、122h…軸受部、126…揺動カム、126a…ハウジング、126b…ヘリカルスプライン、126c…軸受部、126d…ノーズ、126e…カム面、126f…ベース円部、128…スライダギヤ、128a…入力用ヘリカルスプライン、128d…小径部、128e…出力用ヘリカルスプライン、128g…長孔、130…支持パイプ、130a、b…長孔、132…コントロールシャフト、132a、132b…係止ピン、136、138、139…立壁部、140…バルブ用仲介駆動機構、142…入力部、142a…ハウジング、142b…ヘリカルスプライン、142c、142d…アーム、142e…シャフト、142f…ローラ、142g…圧縮状スプリング、144…第1揺動カム、144a…ハウジング、144b…ヘリカルスプライン、144c…軸受部、144d…ノーズ、144e…カム面、146…第2揺動カム、146a…ハウジング、146b…ヘリカルスプライン、146c…軸受部、146d…ノーズ、146e…カム面、148…スライダギヤ、148a…入力用ヘリカルスプライン、148b…小径部、148c…第1出力用ヘリカルスプライン、148d…小径部、148e…第2出力用ヘリカルスプライン、148g…長孔、150…オイルパン、156、158…立壁部、210…アクチュエータ、210a…シリンダチューブ、210b…ピストン、210c、210d…エンドカバー、210e…コイルスプリング、210f…第1圧力室、210g…第2圧力室、210h…第1給排通路、210i…第2給排通路。
【発明の属する技術分野】
この発明は、車載燃料ポンプの駆動機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の圧縮行程後半に、燃焼室内へ燃料を直接噴射する筒内噴射式の内燃機関がよく知られている。この筒内噴射式の内燃機関では、筒内圧が高まる圧縮行程中での燃料噴射を可能にするために、高圧ポンプを用いて燃料の噴射圧を高くしている。このような筒内噴射式の内燃機関が備える一般的な燃料供給装置を図21に例示する。
【0003】
この図21に示すように、内燃機関の気筒毎に設けられた燃料噴射弁11には、共通の高圧燃料配管であるデリバリパイプ12が接続されており、同デリバリパイプ12内の燃料が各燃料噴射弁11に分配供給される。この燃料噴射弁11は、内燃機関の気筒内に直接燃料を噴射できるように配設されている。
【0004】
燃料タンク17内の燃料をデリバリパイプ12に供給するために、燃料供給装置は低圧ポンプ15及び高圧ポンプ16を備えている。低圧ポンプ15は、燃料(ガソリン)を貯留する燃料タンク17内に配置されており、その吐出口は低圧燃料通路18を介して高圧ポンプ16に接続されている。上記低圧燃料通路18の途中には、同低圧燃料通路18内の圧力を一定(例えば0.4MPa)にするためのプレッシャレギュレータ19が設けられている。
【0005】
他方、高圧ポンプ16は上記内燃機関のシリンダヘッドカバーに取り付けられており、その内部にプランジャ21、加圧室22及びスピル弁23等を備えている。プランジャ21は、内燃機関の吸気カムシャフト24に設けられた回転カム25の回転に伴い、シリンダ26内を往復動する。また、プランジャ21の下方には、回転カム25のカム面に当接するリフタ36が設けられている。このリフタ36は、リフタスプリング37によって下方に付勢され、回転カム25のカム面に接触している。
【0006】
上記加圧室22は、シリンダ26及びプランジャ21によって区画されており、前述した低圧燃料通路18がこの加圧室22に接続されている。
また、加圧室22は、高圧燃料通路27を介して上記デリバリパイプ12にも接続されている。この高圧燃料通路27の途中には、高圧ポンプ16から吐出された燃料の逆流を防止するための逆止弁28が設けられている。
【0007】
スピル弁23は、加圧室22と低圧燃料通路18との接続箇所である燃料吸入口22aを開閉して燃料の圧力(燃圧)を調整する燃圧制御弁として用いられている。このスピル弁23は、電磁ソレノイド29や弁体35等を備え、同電磁ソレノイド29に対する通電制御により弁体35は開閉される。すなわち電磁ソレノイド29への通電が停止された状態では、スプリング31によって弁体35が開弁されて燃料吸入口22aが開放され、低圧燃料通路18と加圧室22とが連通した状態になる。この状態にあって、加圧室22の容積を拡大させる方向(図21の下方)へプランジャ21が移動(下降)すると低圧ポンプ15から送り出された燃料が低圧燃料通路18を介して加圧室22内に吸入される。
【0008】
一方、プランジャ21は下死点まで下降すると、加圧室22の容積を収縮させる方向(図21の上方)に移動方向を変える。すなわちプランジャ21は上昇を始め、加圧室に吸入された燃料が低圧燃料通路18へ戻される。そして、プランジャ21の上昇途中で電磁ソレノイド29への通電が行われると、スプリング31の付勢力に抗して弁体35が閉弁されて、燃料吸入口22aが閉鎖され、低圧燃料通路18と加圧室22との連通が遮断される。そして、プランジャ21のさらなる上昇により加圧室22内の燃圧は上昇し、これにより逆止弁28が開弁され、加圧室22内の高圧燃料が高圧燃料通路27を通じてデリバリパイプ12へ圧送される。
【0009】
このように、プランジャ21の上昇行程においてスピル弁23が閉弁されることにより、高圧ポンプ16から高圧燃料が吐出される。
この高圧ポンプ16の燃料吐出量は、プランジャ21の上昇行程中におけるスピル弁23の閉弁時期を調整することで調量される。すなわち、閉弁時期を早めて閉弁期間を長くすると、燃料の圧送期間も長くなり、燃料吐出量が増加する。これとは逆に、閉弁時期を遅らせて閉弁期間を短くすると燃料吐出量は減少する。そして、このように高圧ポンプ16の燃料吐出量を調量することにより、デリバリパイプ12内の燃圧が調整される。
【0010】
このようなスピル弁23の閉弁時期制御は、内燃機関に備えられた制御装置(ECU)33によって実行される。この制御装置33は、マイクロコンピュータを中心として構成されており、中央処理装置(CPU)が、読出し専用メモリ(ROM)に記憶されている制御プログラムや初期データに従って演算処理を行い、その演算結果に基づいて各種制御を実行する。例えば、制御装置33は、機関回転速度、吸入空気量、冷却水温等の機関運転状態を検出する各種センサの検出信号に基づいて機関運転状態に応じた燃圧を算出する。そして、この算出した燃圧と、上記デリバリパイプ12に設けられた圧力センサ50により検出される燃圧とが等しくなるように、スピル弁23の閉弁時期、換言すれば電磁ソレノイド29への通電時期を制御する。
【0011】
ちなみに、デリバリパイプ12内は、リリーフバルブ32を介して前記燃料タンク17に連通している。そして、デリバリパイプ12内の燃圧が過度に高くなると、リリーフバルブ32が開弁してデリバリパイプ12内の高圧燃料が燃料タンク17に流出するようになる。
【0012】
ところで、高圧ポンプ16では、上述したようにスピル弁23の閉弁時期を制御することで燃料吐出量を調量するようにしている。従って、燃料吐出量を精密に制御するためには、スピル弁23の閉弁速度はできる限り速いほうが望ましい。ところが、このような閉弁速度の高速化は、燃料吸入口22aを閉鎖する際の弁体35の衝突速度の増大を招くこととなり、その結果、弁体35が燃料吸入口22aを閉鎖する際に、大きな打音が発生するおそれがある。
【0013】
また、スピル弁23が閉弁状態になると、上記加圧室22内の圧力が急激に上昇するようになる。このような急激な圧力上昇は高圧ポンプ16に振動を発生させる起振力となる。この起振力により高圧ポンプ16が取り付けられたシリンダヘッドカバーで共鳴現象が発生し、大きな振動音が発生してしまうようにもなる。
【0014】
他方、上記高圧ポンプ16では、プランジャ21の下降行程において、低圧燃料通路18から加圧室22に燃料が吸入されるものの、プランジャ21の上昇行程においてスピル弁23が閉弁状態にされるまでの間は、加圧室22から低圧燃料通路18に燃料が戻される。このように、プランジャの上下動に合わせて燃料の流れ方向が逆転する期間があるため、低圧燃料通路18内では脈動が発生する。この脈動は、異音の発生や燃料制御精度の低下につながるため、例えば先の図21に示すように、低圧燃料通路18の途中には、脈動を抑制するためのパルセーションダンパ34が設けられることが多い。このパルセーションダンパ34は、大型化するほど上述した脈動を抑制する効果が高まるが、実際には取付空間の制約もあり、必ずしも最適な大きさのものを選定することができない場合もある。
【0015】
このように、スピル弁を用いて燃料吐出量を調量するタイプの燃料ポンプでは、上述したような不具合が生じやすいものとなっている。
なお、特許文献1には、カムシャフトに設けられたポンプ用カムのカム面の動きを、中間ローラを介して燃料ポンプのプランジャに伝えるものが記載されている。この特許文献1の車載燃料ポンプの駆動機構では、リンク機構を用いることで、中間ローラとポンプ用カムとの相対位置、並びに中間ローラとプランジャとの相対位置を変更し、もってクランク角に対する燃料ポンプの噴射時期を変更するようにしている。
【0016】
【特許文献1】
特開昭57−65806号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に記載される駆動機構では、上記相対位置を変更することで、例えばプランジャの下死点が低くなるが、同時に、プランジャの上死点も低くなる。そのため、プランジャのストローク自体を変化させることはできず、燃料吐出量を幅広く調量するためには、結局、上記スピル弁のような調量機構を別途設ける必要がある。
【0018】
この発明はこうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、スピル弁を設けることなく燃料吐出量を調量することのできる車載燃料ポンプの駆動機構を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関のカムシャフトに設けられたカムに連動して駆動されてシリンダ内を往復動するプランジャを備える車載燃料ポンプの駆動機構であって、前記車載燃料ポンプは、前記シリンダへの燃料の流入のみを許容する第1の逆止弁と、同シリンダからの燃料の吐出のみを許容する第2の逆止弁とを備え、前記プランジャはそのリフト量を可変とする可変リフト機構を介して駆動されることをその要旨とする。
【0020】
同構成によれば、プランジャの往復動によってシリンダから燃料が吐出されるときには、第2の逆止弁を介して燃料が吐出される。このとき、第1の逆止弁はシリンダへの燃料の流入のみを許容する弁であるため、シリンダ内の燃料の流入側への逆流が抑えられる。このように、燃料吐出時において、高圧ポンプ内における燃料の流れ方向は一方向のみとなるため、上述したような燃料の逆流に起因する脈動の発生も好適に抑制することができるようになる。
【0021】
また、可変リフト機構によってプランジャのリフト量が可変とされる。すなわち、プランジャのストローク量が変化するようになるため、上記シリンダから吐出される燃料の量を変化させることができ、スピル弁を設けることなく燃料吐出量を調量することができるようになる。
【0022】
請求項2に記載の発明は、内燃機関のカムシャフトに設けられたカムに連動して駆動されるプランジャと、同プランジャが往復動するシリンダとを備える車載燃料ポンプの駆動機構であって、前記内燃機関は、その吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方の動弁特性を可変とする可変動弁機構と、同可変動弁機構を駆動する駆動機構とを備える一方、前記車載燃料ポンプは、前記シリンダへの燃料の流入のみを許容する第1の逆止弁と、同シリンダからの燃料の吐出のみを許容する第2の逆止弁とを備え、前記プランジャはそのリフト量を可変とする可変リフト機構を介して駆動され、同可変リフト機構は前記駆動機構によって駆動されることをその要旨とする。
【0023】
同構成によれば、プランジャの往復動によってシリンダから燃料が吐出されるときには、第2の逆止弁を介して燃料が吐出される。このとき、第1の逆止弁はシリンダへの燃料の流入のみを許容する弁であるため、シリンダ内の燃料の流入側への逆流が抑えられる。このように、燃料吐出時において、高圧ポンプ内における燃料の流れ方向は一方向のみとなるため、上述したような燃料の逆流に起因する脈動の発生も好適に抑制することができるようになる。
【0024】
また、可変リフト機構によってプランジャのリフト量が可変とされる。すなわち、プランジャのストローク量が変化するようになるため、上記シリンダから吐出される燃料の量を変化させることができ、スピル弁を設けることなく燃料吐出量を調量することができるようになる。
【0025】
そして、上記可変動弁機構及び可変リフト機構の双方を同一の駆動機構で駆動するようにしている。従って、内燃機関に可変動弁機構と可変リフト機構とを設ける場合であっても、個々に駆動機構を設ける必要はなく、もって部品点数の増加を抑えることができるようになる。なお、好適には、例えば吸気バルブのリフト量を増大させるように可変動弁機構が駆動される場合に、可変リフト機構がプランジャのリフト量を増大させるように駆動されるようにすると、機関負荷に対応したバルブ特性及びプランジャのリフト量を1つの駆動機構で確保することができるようになる。
【0026】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車載燃料ポンプの駆動機構において、前記可変リフト機構及び可変動弁機構は、1つの可変機構として構成されてなることをその要旨とする。
【0027】
前記可変リフト機構は、プランジャのリフト量を可変とする機構であるため、同機構を用いることで前記バルブのリフト量も変更することができる。そこで、請求項3に記載の構成では、可変リフト機構と可変動弁機構とを1つの可変機構としている。従って、内燃機関に可変動弁機構と可変リフト機構とを設ける場合であっても、両機構を個々に設ける必要はなく、もって部品点数の増加を抑えることができるようになる。
【0028】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の車載燃料ポンプの駆動機構において、前記可変リフト機構は、前記カムシャフトとは異なるシャフトにて揺動可能に支持され、入力部と出力部とを有することで前記カムにより入力部が駆動されると出力部にて前記プランジャを駆動する仲介駆動機構と、前記仲介駆動機構の入力部と出力部との相対位相差を可変とする仲介位相差可変手段とを備えることをその要旨とする。
【0029】
同構成では、仲介駆動機構の入力部がカムにより駆動されると、同仲介駆動機構の出力部にてプランジャが駆動される。このため、カムが入力部を駆動すれば、カムのカムプロフィールに応じてプランジャのリフト量を変化させることができる。
【0030】
そして仲介位相差可変手段により、仲介駆動機構の入力部と出力部との相対位相差が可変とされる。そのため、カムの駆動状態に応じたプランジャのリフト開始時期を早めたり遅くしたりすることができる。従って、カムの駆動に連動するプランジャのリフト量やリフト期間を確実に調整することができるようになる。
【0031】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の車載燃料ポンプの駆動機構において、前記可変リフト機構は、機関負荷の増大に伴って前記プランジャのリフト量が増大するように制御されることをその要旨とする。
【0032】
同構成によれば、機関負荷の増大に伴って車載燃料ポンプの燃料吐出量が増加するようになるため、機関負荷に対応した燃料吐出量を確保することができるようになる。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、この発明にかかる車載燃料ポンプの駆動機構を具体化した第1の実施形態について図1〜図11に基づき、詳細に説明する。
【0034】
図1は、本実施の形態にかかる駆動機構によって駆動される高圧ポンプ1、並びにこの高圧ポンプ1を用いた筒内噴射式内燃機関の燃料供給装置の構成を示す概略図であり、先の図21と同一の構成要素には同一の符号を付している。また、本実施の形態における燃料供給装置と、先の図21に示した燃料供給装置とは、高圧ポンプ1の構造とその駆動機構、及び高圧ポンプ1の燃料吐出量を制御するための制御対象が異なる点以外は基本的に同様の構成である。そこで以下では、これら相違点を中心に説明する。
【0035】
まず、高圧ポンプ1は、内燃機関のシリンダヘッドカバーに取り付けられており、その内部にはプランジャ21、シリンダ26、加圧室22、第1の逆止弁38、及び第2の逆止弁39等が設けられている。
【0036】
プランジャ21は、内燃機関の吸気カムシャフト24に設けられた回転カム40の回転に伴い、シリンダ26内を往復動する。また、プランジャ21の下方に設けられたリフタ36の下面には、ロッド36aが取り付けられている。このロッド36aは、リフタスプリング37によって、常に下方へ付勢されている。
【0037】
加圧室22は、シリンダ26及びプランジャ21によって区画されており、第1の逆止弁38を介して前述した低圧燃料通路18に接続されている。また、加圧室22は、第2の逆止弁39を介して前述した高圧燃料通路27に接続されている。
【0038】
第1の逆止弁38は、シリンダ26への燃料の流入のみを許容する弁となっている。また、第2の逆止弁39は、シリンダ26からの燃料の吐出のみを許容する弁となっている。従って、加圧室22の容積が増加する方向にプランジャ21が移動(下降)するときには、第1の逆止弁38のみが開弁されて加圧室22内に燃料が流入される。一方、加圧室22の容積が減少する方向にプランジャ21が移動(上昇)するときには、第2の逆止弁39のみが開弁されて加圧室22内の燃料が高圧燃料通路27に圧送される。このとき、第1の逆止弁38はシリンダ26への燃料の流入のみを許容する弁であるため、シリンダ26内の燃料の低圧燃料通路18側への逆流が抑えられる。このように本実施の形態における高圧ポンプ1では、その内部を流れる燃料の流れ方向が一方向のみとなるため、プランジャ21の上昇時に燃料が低圧燃料通路18へ逆流して脈動が発生する不具合を抑制することができる。
【0039】
次に高圧ポンプ1の駆動機構について、図1〜図9を併せ参照して説明する。まず、高圧ポンプ1の駆動機構は、先の図1に示すように、プランジャ用ロッカアーム74、及び仲介駆動機構120等からなる可変リフト機構で構成されている。
【0040】
図2は、内燃機関のシリンダヘッド8に備えられた仲介駆動機構120の取付態様を示す模式図である。この図2に示すように、本実施の形態における内燃機関は4つの気筒#1〜#4を備えており、シリンダヘッド8内には、機関出力軸であるクランクシャフトに駆動連結された吸気カムシャフト24と排気カムシャフト73とがそれぞれ回転可能に軸支されている。吸気カムシャフト24には、各吸気バルブ70に対応して吸気カム24aが設けられており、この吸気カム24aの回転によって吸気バルブ70は駆動され、燃焼室に開口する吸気ポートが開閉される。また、排気カムシャフト73には、各排気バルブ71に対応して排気カム73aが設けられており、この排気カム73aの回転によって排気バルブ71は駆動され、燃焼室に開口する排気ポートが開閉される。
【0041】
上記仲介駆動機構120は、吸気カムシャフト24とは異なるシャフトである支持パイプ130に揺動可能に取り付けられている。また、仲介駆動機構120は、高圧ポンプ1のプランジャ21と同数設けられている。なお本実施の形態では、1つのプランジャ21で全気筒分の燃料を圧送する、いわゆるシングルプランジャ方式の高圧ポンプが採用されている。このため、仲介駆動機構120の数は1つである。
【0042】
図3は、仲介駆動機構120の斜視図を示している。また、図4は、仲介駆動機構120の部分破断斜視図を示している。これら図3、図4に示すように、仲介駆動機構120は、入力部122、及び揺動カム126を備えており、入力部122のハウジング122a、及び揺動カム126のハウジング126aはそれぞれ外径が同じ円柱状をなしている。
【0043】
ハウジング122aの内部には、軸方向へ延びる空間が形成されており、この空間の内周面には、軸方向に右ねじりのヘリカルスプライン122bが形成されている。また、この内部の空間の端部は、径の小さい中心孔を有するリング状の軸受部122hにて覆われている。一方、ハウジング122aの外周面には、2つのアーム122c、122dが互いに平行に突出して形成されている。これらアーム122c、122dの先端には、シャフト122eによってローラ122fが回転可能に支持されている。
【0044】
ハウジング126aの内部には、軸方向へ延びる空間が形成されており、この内部空間の内周面には、軸方向に左ねじりのヘリカルスプライン126bが形成されている。また、この内部空間の端部は、径の小さい中心孔を有するリング状の軸受部126cにて覆われている。一方、ハウジング126aの外周面には、略三角形状のノーズ126dが突出して形成されている。このノーズ126dには、凹状に湾曲するカム面126eが形成されている。
【0045】
入力部122および揺動カム126の各内部空間には、略円柱状のスライダギヤ128が配置されている。スライダギヤ128は、軸方向に右ねじりの入力用ヘリカルスプライン128aと、小径部128dと、軸方向に左ねじりの出力用ヘリカルスプライン128eとで構成されている。
【0046】
スライダギヤ128の内部には、軸方向に延びる貫通孔が形成されている。そして、前記小径部128dには、長孔128gが形成されている。
スライダギヤ128の貫通孔には、支持パイプ130が周方向に摺動可能に配置されている。なお、支持パイプ130において、スライダギヤ128の長孔128gに対向する位置には、軸方向に延びる長孔130aが設けられている。
【0047】
さらに、支持パイプ130内には、コントロールシャフト132が軸方向に摺動可能に挿通されている。コントロールシャフト132の、仲介駆動機構120に対応する位置には係止ピン132aが設けられている。この係止ピン132aは長孔130aを貫通し、長孔128g内に入り込んでいる。
【0048】
係止ピン132aは、支持パイプ130がシリンダヘッド8に固定されていても、長孔130aにより軸方向に移動することができる。このため、コントロールシャフト132を軸方向へ移動させることにより、その動きを係止ピン132a及び長孔128gを介してスライダギヤ128に伝達して、同スライダギヤ128を軸方向に移動させることができる。更に、スライダギヤ128自体は、長孔128gにて係止ピン132aの動きが規制されることから、軸方向の位置は決定されるが、軸周りについては揺動可能になっている。
【0049】
スライダギヤ128においては、入力用ヘリカルスプライン128aがヘリカルスプライン122bに噛み合わされ、出力用ヘリカルスプライン128eがヘリカルスプライン126bに噛み合わされている。
【0050】
図2に示すように、シリンダヘッド8には一対の立壁部136、138が形成されており、これらの間に仲介駆動機構120が配置されている。
各立壁部136、138には、軸受部122h、126cの中心孔に対応した位置に孔が形成されており、この孔に支持パイプ130が挿入された状態で固定されている。従って、支持パイプ130は、立壁部136、138を介してシリンダヘッド8に固定されていることとなり、軸方向に移動したり回転したりすることはない。また仲介駆動機構120は、軸周りには揺動可能であるが軸方向への移動は立壁部136、138により阻止されている。
【0051】
仲介駆動機構120に設けられているローラ122fは、先の図1に示したごとく回転カム40に接触している。このため、仲介駆動機構120の入力部122は回転カム40のカムプロフィールに応じて支持パイプ130の軸周りに揺動する。なお、アーム122c、122dとシリンダヘッド8との間には、ローラ122fを回転カム40方向へ付勢する圧縮状スプリング122gが設けられている。このため、ローラ122fは常に回転カム40のカム面に接触している。
【0052】
一方、上記仲介駆動機構120とともに可変リフト機構を構成するプランジャ用ロッカアーム74は、その基端部74cでアジャスタ74bにて揺動可能に支持されている。プランジャ用ロッカアーム74の先端部74dには、プランジャ21のリフタ36に設けられたロッド36aが当接されている。プランジャ用ロッカアーム74の中央部には、ローラ74aが支持されており、このローラ74aに揺動カム126のベース円部126f(ノーズ126dを除いた部分)が接触している。
【0053】
他方、図2に示すように、上記コントロールシャフト132の一端側には、アクチュエータ210のピストン210bが連結されている。このアクチュエータ210により、コントロールシャフト132の軸方向の変位が調整される。
【0054】
次に、仲介駆動機構120の駆動機構について説明する。この駆動機構は、図2に示すように、コントロールシャフト132の一端に連結されたアクチュエータ210を備えている。図5は、アクチュエータ210の軸方向における断面の構成と、オイルコントロールバルブ98とを示したものである。
【0055】
アクチュエータ210は、筒状をなすシリンダチューブ210aと、シリンダチューブ210a内に設けられたピストン210bと、シリンダチューブ210aの両端開口部を塞ぐように設けられた一対のエンドカバー210c、210d等から構成されている。また、エンドカバー210cとピストン210bとの間には、圧縮状態のコイルスプリング210eが配置されている。そしてシリンダチューブ210aは、エンドカバー210dにてシリンダヘッド8の立壁部139に固定されている。
【0056】
ピストン210bには、エンドカバー210d及び立壁部139を貫通したコントロールシャフト132の一端が連結されている。
シリンダチューブ210a内は、ピストン210bにより第1圧力室210fと第2圧力室210gとに区画されている。 第1圧力室210fには、一方のエンドカバー210d等に形成された通路を介して第1給排通路210hが接続され、第2圧力室210gには、他方のエンドカバー210c等に形成された通路を介して第2給排通路210iが接続されている。
【0057】
第1給排通路210h、または第2給排通路210iを介して、第1圧力室210fと第2圧力室210gとに対し選択的に作動油が供給されると、ピストン210bはコントロールシャフト132の軸方向に移動する。このピストン210bの移動に伴い、コントロールシャフト132も軸方向へ移動することになる。
【0058】
第1給排通路210h、及び第2給排通路210iは、オイルコントロールバルブ98に接続されている。このオイルコントロールバルブ98には供給通路98aおよび排出通路98bが接続されている。そして、供給通路98aは、内燃機関のクランクシャフトの回転に伴って駆動されるオイルポンプPを介してオイルパン150に接続されており、排出通路98bはオイルパン150に直接接続されている。
【0059】
オイルコントロールバルブ98はケーシング98cを備え、ケーシング98cには、第1給排ポート98d、第2給排ポート98e、第1排出ポート98f、第2排出ポート98g、及び供給ポート98hが設けられている。第1給排ポート98dには第1給排通路210hが接続され、第2給排ポート98eには第2給排通路210iが接続されている。更に、供給ポート98hには供給通路98aが接続され、第1排出ポート98fおよび第2排出ポート98gには排出通路98bが接続されている。また、ケーシング98c内には、4つの弁部98iを有し、コイルスプリング98jと電磁ソレノイド98kとによりそれぞれ逆の方向に付勢されるスプール98mが設けられている。
【0060】
このような構成のオイルコントロールバルブ98において、電磁ソレノイド98kの消磁状態では、スプール98mがコイルスプリング98jの弾性力によりケーシング98cの電磁ソレノイド98k側に配置される。そして、第1給排ポート98dと第1排出ポート98fとが連通し、第2給排ポート98eと供給ポート98hとが連通する。この状態では、オイルパン150内の作動油が供給通路98a、オイルコントロールバルブ98および第2給排通路210iを介して、第2圧力室210gへ供給される。また、第1圧力室210fの作動油は第1給排通路210h、オイルコントロールバルブ98および排出通路98bを介してオイルパン150内へ戻される。その結果、ピストン210bがコントロールシャフト132と一体で矢印Aに示す方向へ移動する。
【0061】
一方、電磁ソレノイド98kが励磁されたときには、スプール98mがコイルスプリング98jの付勢力に抗してケーシング98cのコイルスプリング98j側に配置されて、第2給排ポート98eが第2排出ポート98gと連通し、第1給排ポート98dが供給ポート98hと連通する。この状態では、オイルパン150内の作動油が供給通路98a、オイルコントロールバルブ98および第1給排通路210hを介して第1圧力室210fへ供給される。また、第2圧力室210g内の作動油が第2給排通路210i、オイルコントロールバルブ98および排出通路98bを介してオイルパン150内に戻される。その結果、ピストン210bがコントロールシャフト132と一体で矢印Bに示す方向へ移動する。
【0062】
さらに、電磁ソレノイド98kへの給電を制御し、スプール98mをケーシング98cの中間に位置させると、図5に示すように第1給排ポート98dおよび第2給排ポート98eが閉塞され、それら第1及び第2給排ポート98d、98eを通じての作動油の移動が禁止される。この状態では、第1圧力室210fおよび第2圧力室210gに対して作動油の給排が行われず、第1圧力室210fおよび第2圧力室210g内に作動油が充填保持される。これにより、ピストン210b及びコントロールシャフト132の軸方向における位置が保持される。
【0063】
また、電磁ソレノイド98kへの給電をデューティ制御することで、第1給排ポート98dの開度、あるいは第2給排ポート98eの開度を調整し、供給ポート98hから第1圧力室210f、または第2圧力室210gへの作動油の供給速度を制御することができる。
【0064】
このような構成により、アクチュエータ210のピストン210bの移動量が調節されると、コントロールシャフト132とスライダギヤ128とを介して、入力部122のローラ122fと揺動カム126のノーズ126dとの相対位相差が調整される。
【0065】
次に、仲介駆動機構120の作動によるプランジャ21のリフト量変化を、図6〜図8を併せ参照して説明する。
図6は、アクチュエータ210のピストン210bを、図4等に示す矢印B方向へ最も移動させた状態の仲介駆動機構120の状態を示している。この状態では、入力部122は図4に示す矢印R方向に最も回動され、揺動カム126は矢印L方向に最も回動される。そのため、入力部122のローラ122fと揺動カム126のノーズ126dとの相対位相差αが最も小さくされる。
【0066】
なお、図6〜図8では、仲介駆動機構120の揺動中心(支持パイプ130の径方向における中心)とローラ122fの軸芯とを結ぶ直線と、仲介駆動機構120の揺動中心と揺動カム126のベース円部がカム面126eに接する点とを結ぶ直線とがなす角を相対位相差α、β、γとしている。
【0067】
さて、図6[A]では、回転カム40のベース円部40b(ノーズ40aを除いた部分)が、ローラ122fに接触している。このときには、ローラ74aが揺動カム126のノーズ126dには接触しておらず、ノーズ126dに隣接したベース円部126fに接触している。このため、プランジャ21は下死点に位置する。
【0068】
吸気カムシャフト24が回転して回転カム40のノーズ40aがローラ122fを押し下げると、仲介駆動機構120内では入力部122の揺動がスライダギヤ128を介して揺動カム126に伝達されて、揺動カム126はノーズ126dを押し上げるように揺動する。これによりノーズ126dのカム面126eが直ちにローラ74aに接触して、図6[B]に示すごとく、カム面126eの全範囲を使用してローラ74aを押し上げる。このことにより、プランジャ用ロッカアーム74は基端部74c側を中心に揺動し、先端部74dが大きくプランジャ21を押し上げる。こうしてプランジャ21が最大リフト量にてシリンダ26内を移動するため、高圧ポンプ1から吐出される燃料量も最大となる。
【0069】
図7は、アクチュエータ210のピストン210bを図6の状態から矢印A歩行へ少し移動させた場合の仲介駆動機構120の状態を示している。この状態では、入力部122は矢印L方向に少し回動され、揺動カム126は矢印R方向に少し回動される。そのため、ローラ122fとノーズ126dとの相対位相差βは、上記図6[A]に示した相対位相差αよりも大きくなる。
【0070】
さて、図7[A]では、回転カム40のベース円部40bが、入力部122のローラ122fに接触している。このとき、ローラ74aはノーズ126dには接触しておらず、図6[A]に示した状態と比較して、少しノーズ126dから離れたベース円部126fに接触している。これは、スライダギヤ128の矢印A方向への移動に伴い、ローラ122fとノーズ126dとの相対位相差が大きくなったためである。そして、ローラ74aが揺動カム126のベース円部126fに接触している間は、プランジャ21は下死点に位置する。
【0071】
吸気カムシャフト24が回転して回転カム40のノーズ40aがローラ122fを押し下げると、前記と同様にして揺動カム126はノーズ126dを押し上げるように揺動する。
【0072】
上述したごとく、図7[A]の状態では、ローラ74aはベース円部126fにおいて、ノーズ126dから離れた箇所に接触している。このため、揺動カム126が揺動しても、しばらくはローラ74aはカム面126eに接触することなくベース円部126fに接触した状態を継続する。そしてその後、カム面126eがローラ74aとの接触により、図7[B]に示すごとくローラ74aが押し上げられる。このことにより、プランジャ用ロッカアーム74は基端部74cを中心に揺動する。しかし、ローラ74aが当初、ノーズ126dから離れている分、カム面126eの使用範囲は少なくなってプランジャ用ロッカアーム74の揺動角度は小さくなり、その先端部74dによるプランジャ21の押し上げ量、すなわちリフト量は少なくなる。こうしてプランジャ21は最大量よりも小さいリフト量にてシリンダ26内を移動するため、図6に示す状態と比較して、高圧ポンプ1から吐出される燃料量は少なくなる。
【0073】
図8は、アクチュエータ210のピストン210bを最も矢印A方向へ移動させたときの仲介駆動機構120の状態を示している。この状態では、入力部122は矢印L方向に最も回動され、揺動カム126は矢印R方向に最も回動される。そのため、ローラ122fとノーズ126dとの相対位相差γが最も大きくなる。
【0074】
さて、図8[A]では、回転カム40のベース円部40bが、ローラ122fに接触している。このとき、ローラ74aはノーズ126dには接触しておらず、ベース円部126fにおいてノーズ126dから大きく離れた箇所に接触している。これは仲介駆動機構120内でスライダギヤ128が矢印A方向に最大に移動したことにより、ローラ122fとノーズ126dとの相対位相差が最大になったためである。そして、ローラ74aが揺動カム126のベース円部126fに接触している間は、プランジャ21は下死点に位置する。
【0075】
吸気カムシャフト24の回転に伴い、ノーズ40aがローラ122fを押し下げると、前記と同様にして揺動カム126はノーズ126dを押し上げるように揺動する。
【0076】
上述したごとく、図8[A]の状態では、ローラ74aはベース円部126fにおいて、ノーズ126dから大きく離れた箇所に接触している。このため、揺動の全期間、ローラ74aはカム面126eに接触することなくベース円部126fに接触した状態を継続する。すなわち、図8[B]に示すごとく、回転カム40のノーズ40aがローラ122fを最大に押し下げても、カム面126eがローラ74aを押し上げるために使用されることはない。これにより、プランジャ用ロッカアーム74は基端部74cを支点として揺動することがなくなり、その先端部74dによるプランジャ21の押し上げ量、すなわちリフト量は0となる。こうしてプランジャ21は下死点に維持され、高圧ポンプ1からは燃料が吐出されない。
【0077】
このように、ピストン210bの位置調整により、プランジャ21のリフト量は、図9に示すごとく最大リフト量と最小リフト量「0」との間で、無段階に連続的に変更可能となり、もって高圧ポンプ1の燃料吐出量も連続的に調量可能となる。そして、第1の実施形態では、前述したアクチュエータ210、コントロールシャフト132、スライダギヤ128、入力部122のヘリカルスプライン122bおよび揺動カム126のヘリカルスプライン126bにより、仲介位相差可変手段が構成されている。
【0078】
次に、ピストン210bの位置調整にかかる制御について説明する。
まず、ピストン位置は図1に示す制御装置33によって制御される。この制御装置33は、中央処理制御装置(CPU)を備えるマイクロコンピュータを中心として構成されている。例えば制御装置33には、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)が設けられている。また制御装置33には、演算結果や予め記憶されたデータ等を機関停止後も保存するためのバックアップRAM、入力インターフェース、出力インターフェース等も設けられている。
【0079】
上記入力インターフェースには、各種センサによって検出された機関運転状態を表す出力信号が入力される。例えば、アクセルペダルに取り付けられたアクセル開度センサ76からは、アクセルペダルの踏み込み量(以下、「アクセル開度ACCP」という)に比例した出力電圧が出力され、この出力はA/D(アナログ/デジタル)変換器を介して入力インターフェースに入力される。また、クランク角センサ82からは、クランクシャフトが所定角度回転する毎に出力パルスが出力され、この出力パルスは波形整形回路(2値化回路)を介して入力インターフェースに入力される。制御装置33では、このクランク角センサ82の出力パルスに基づき、機関回転速度NEが算出される。また、吸気通路内に設けられた吸入空気量センサ84からは、吸入空気量GAに対応した出力電圧が出力され、この出力はA/D(アナログ/デジタル)変換器を介して入力インターフェースに入力される。また、デリバリパイプ12に設けられた圧力センサ50からは、同デリバリパイプ12内の燃圧FPに応じた出力電圧が出力され、この出力はA/D(アナログ/デジタル)変換器を介して入力インターフェースに入力される。さらに、前述したコントロールシャフト132の軸方向変位を検出するシャフト位置センサ90からは、軸方向変位に応じた出力電圧が出力され、この出力はA/D(アナログ/デジタル)変換器を介して入力インターフェースに入力される。
【0080】
一方、出力インターフェースは、各々対応する駆動回路等を介して燃料噴射弁11やオイルコントロールバルブ98等に接続されている。そして、制御装置33は上記各センサ50、76、82、84、90等からの信号に基づき、ROM内に格納された制御プログラム及び制御データに従って、上記燃料噴射弁11やオイルコントロールバルブ98等を制御する。
【0081】
次に、ピストン210bの位置制御にかかる処理手順について、図10を併せ参照して詳細に説明する。なお、この処理は制御装置33にて所定時間毎に繰り返し実行される。
【0082】
この処理が開始されると、まず、アクセル開度ACCP、吸入空気量GA、機関回転速度NE、及び燃圧FPが読み込まれる(ステップS110)。そして、これら機関負荷を表すパラメータに基づいて目標燃圧FPTが算出される(S120)。
【0083】
次に、目標燃圧FPTと燃圧FPとの差ΔFPが算出され(S130)、この差ΔFPを補うだけの燃料がデリバリパイプ12内に供給されるように、コントロールシャフト132の軸方向の目標位置Ltが求められる(ステップS140)。ここで、この目標位置Ltは、コントロールシャフト132が、先の図3等に示した矢印B方向へ移動するほど大きくなる値とされている。また、目標位置Ltは、機関負荷が増大するほど、換言すれば燃料噴射弁11から噴射される燃料量が増大して差ΔFPが大きくなるほど、その値が大きくなるように設定される。従って、機関負荷が増大するほど(差ΔFPが大きくなるほど)コントロールシャフト132は矢印B方向へ移動され、上述したようにプランジャ21のリフト量は増大するようになる。すなわち、機関負荷が増大するほど高圧ポンプ1の燃料吐出量が増大するように目標位置Ltは設定される。
【0084】
次に、シャフト位置センサ90の信号から得られるコントロールシャフト132の実位置Lsが読み込まれる(ステップS150)。そして、目標位置Ltと実位置Lsとの偏差ΔLが次式(1)に示すごとく算出される(ステップS160)。
【0085】
ΔL←Lt−Ls … (1)
次に、このように算出された偏差ΔLに基づいて、PID制御計算を行い、実位置Lsが目標位置Ltに近づくように、オイルコントロールバルブ98の電磁ソレノイド98kに対する信号のデューティLdutyが算出される(ステップS170)。そして、オイルコントロールバルブ98の電磁ソレノイド98kを駆動する駆動回路にデューティLdutyに対応する信号が出力され、このデューティLdutyに対応した位置にスプール98mを移動させる(ステップS180)。その後、本処理を一旦終了し、次の制御周期において再度ステップS110〜S180の処理を繰り返す。こうして実位置Lsが目標位置Ltになるように、アクチュエータ210への作動油の供給がなされる。
【0086】
図11は、機関負荷に対応したプランジャ21のリフト量の変化を示しており、同図11に実線で示す特性線L1は、仲介駆動機構120が上記図6に示した状態にあるときのリフト量の変化を示している。また、同図11に一点鎖線で示す特性線L2は、仲介駆動機構120が上記図7に示した状態にあるときのリフト量の変化を示している。
【0087】
さて、プランジャ21は、回転カム40の回転に連動してシリンダ26内を上下動するが、このときのリフト量は上記ピストン210bの位置制御に基づき機関負荷に応じたものにされる。従って、機関負荷が高い場合には、図11に特性線L1で示すように、プランジャ21は最大リフト量で駆動され、高圧ポンプ1の燃料吐出量が最大とされる。一方、機関負荷が低くなると、同図11に特性線L2で示すようにプランジャ21のリフト量は減少され、高圧ポンプ1の燃料吐出量は減少される。
【0088】
このように、本実施の形態によれば、プランジャ21のリフト量を可変とすることで、高圧ポンプ1の燃料吐出量が調量される。
以上説明したように、本実施の形態にかかる車載燃料ポンプの駆動機構によれば、次のような効果が得られるようになる。
【0089】
(1)本実施の形態では、可変リフト機構を構成する仲介駆動機構120を用いて、プランジャ21のリフト量(ストローク量)を変化させるようにしている。従って、シリンダ26から吐出される燃料の量を変化させることができ、スピル弁を設けることなく高圧ポンプ1から吐出される燃料の量を調量することができるようになる。
【0090】
(2)高圧ポンプ1に、シリンダ26への燃料の流入のみを許容する第1の逆止弁38と、シリンダ26からの燃料の吐出のみを許容する第2の逆止弁39とを設けている。そのため、高圧ポンプ1内での燃料の流れ方向は一方向のみとなり、燃料の逆流に起因する脈動の発生を抑制することができるようになる。
【0091】
(3)仲介駆動機構120に、回転カム40の回転によって駆動される入力部122と、プランジャ用ロッカアーム74を介してプランジャ21を駆動する揺動カム126とを設けている。そのため、回転カム40のカムプロフィールに応じてプランジャ21のリフト量を変化させることができる。
【0092】
さらに、仲介駆動機構120に設けられたヘリカルスプライン機構により、仲介駆動機構の入力部122と揺動カム126との相対位相差を可変にしている。そのため、回転カム40の駆動状態に応じたプランジャ21のリフト開始時期を早めたり遅くしたりすることができる。従って、回転カム40の回転に連動するプランジャ21のリフト量やリフト期間を、確実に調整することができるようになる。
【0093】
(4)機関負荷の増大に伴って、プランジャ21のリフト量が大きくなるように、可変リフト機構を制御している。そのため、機関負荷の増大に伴って高圧ポンプ1の燃料吐出量が増加するようになり、機関負荷に対応した燃料吐出量を確保することができるようになる。
【0094】
(第2の実施形態)
次に、この発明にかかる車載燃料ポンプの駆動機構を具体化した第2の実施形態について詳細に説明する。
【0095】
前記第1の実施形態では、高圧ポンプ1が備えるプランジャ21のリフト量を可変とするための可変リフト機構を設けるようにした。
これに対し、本実施の形態では、可変リフト機構を駆動するコントロールシャフト132が軸方向に移動されると、吸気バルブ70のバルブ特性を変更する可変動弁機構も駆動されるようにしている点が異なっている。
【0096】
以下、こうした第2の実施形態について図12〜図16を併せ参照し、第1の実施形態との違いを中心に説明する。
図12は、内燃機関のシリンダヘッド8に備えられた仲介駆動機構120、及び可変動弁機構を構成するバルブ用仲介駆動機構140の取付態様を示す模式図である。なお、先の図2に示した部材と同一の部材には、同一の符号を付している。
【0097】
この図12に示すように、本実施の形態では、前記支持パイプ130に、可変リフト機構を構成する仲介駆動機構120だけではなく、可変動弁機構を構成し、かつ各気筒#1〜#4毎に設けられたバルブ用仲介駆動機構140も揺動可能に軸支されている。また、吸気カムシャフト24に設けられたバルブ用カムである吸気カム24aが、各吸気バルブ70毎ではなく、各気筒#1〜#4毎に設けられている。そして、可変リフト機構は、第3気筒#3、及び第4気筒#4に対応してそれぞれ設けられるバルブ用仲介駆動機構140の間に設けられている。
【0098】
図13は、図12におけるA−A断面を模式的に示している。この図13に示すように、内燃機関は、4つの気筒#1〜#4を有するシリンダブロック4、各気筒#1〜#4内で往復動するピストン6およびシリンダブロック4上に取り付けられたシリンダヘッド8等を備えている。各気筒#1〜#4には、シリンダブロック4、ピストン6およびシリンダヘッド8にて区画された燃焼室10が形成されている。
【0099】
そしてシリンダヘッド8には、吸気バルブ70、排気バルブ71が各気筒#1〜#4毎に設けられている。この内、吸気バルブ70は吸気ポート5を開閉し、排気バルブ71は排気ポート7を開閉するように、各気筒#1〜#4毎に設けられている。
【0100】
各気筒の吸気ポート5は、その入口が大気開放されている吸気通路に接続されている。また、本実施の形態では、この吸気通路内にはスロットルバルブは配置されておらず、アクセルペダルの操作やアイドルスピードコントロール時の機関回転速度NEに応じた吸入空気量制御は、吸気バルブ70のリフト量を調整することによりなされる。このリフト量の調整は、吸気カムシャフト24に設けられた吸気カム24aと吸気バルブ用ロッカアーム13との間に存在するバルブ用仲介駆動機構140により行われる。
【0101】
なお、気筒毎の排気バルブ71は、排気カムシャフト73に設けられた排気カム73aの回転が排気バルブ用ロッカアーム14を介して伝達されることにより、一定のリフト量で開閉される。そして、各気筒の排気ポート7は排気通路に連結されている。
【0102】
次に、可変動弁機構を構成するバルブ用仲介駆動機構140について、その斜視図を示す図14、及び部分破断斜視図を示す図15を併せ参照して説明する。ここで、バルブ用仲介駆動機構140と、前記第1の実施形態において説明した仲介駆動機構120とは、基本的に構成及び動作態様がほぼ同じになっている。
【0103】
すなわち、図14、図15に示すように、バルブ用仲介駆動機構140は、支持パイプ130に揺動可能に軸支されている。支持パイプ130としては、前記第1の実施形態で説明した仲介駆動機構120を揺動可能に軸支するものが用いられている。
【0104】
また、バルブ用仲介駆動機構140は、入力部142、とその軸方向についての両側に設けられた第1揺動カム144、及び第2揺動カム146を備えている。これら入力部142のハウジング142a、第1揺動カム144のハウジング144a、及び第2揺動カム146のハウジング146aはそれぞれ外径が同じ円柱状をなしている。
【0105】
ハウジング142aの内部には軸方向に延びる空間が形成されており、この空間の内周面には、軸方向に右ねじりのヘリカルスプライン142bが形成されている。また、ハウジング142aの外周面には、一対のアーム142c、142dが平行に突出して形成されている。これらアーム142c、142dの先端部には、ハウジング142aの軸線に対し平行に配置されたシャフト142eによってローラ142fが回転可能に支持されている。
【0106】
両ハウジング144a、ハウジング146aの内部には、それぞれ軸方向に延びる空間が形成されており、この内部空間の内周面には、軸方向に左ねじりのヘリカルスプライン144b、146bが形成されている。また、この内部空間の端部は、径の小さい中心孔を有するリング状の軸受部144c、146cによって覆われている。一方、各ハウジング144a、146aの外周面には、略三角形状のノーズ144d、146dが突出して形成されている。このノーズ144d、146dには、凹状に湾曲するカム面144e、146eが形成されている。
【0107】
入力部142、第1揺動カム144、及び第2揺動カム146の各内部空間には、スライダギヤ148が配置されている。スライダギヤ148は略円柱状をなし、外周面中央には、軸方向に右ねじりの入力用ヘリカルスプライン148aが形成されている。この入力用ヘリカルスプライン148aの左側端部には小径部148bを挟んで、軸方向に左ねじりの第1出力用ヘリカルスプライン148cが形成されている。また、入力用ヘリカルスプライン148aの右側端部には小径部148dを挟んで、軸方向に左ねじりの第2出力用ヘリカルスプライン148eが形成されている。
【0108】
スライダギヤ148の内部には、軸方向に延びる貫通孔が形成されている。そして、一方(図15の右方)の小径部148dには長孔148gが形成されている。
【0109】
スライダギヤ148の貫通孔内には、支持パイプ130が周方向に摺動可能に配置されている。支持パイプ130において、スライダギヤ148の長孔148gに対向する位置には、軸方向に延びる長孔130bが設けられている。
【0110】
さらに、支持パイプ130内には、コントロールシャフト132が軸方向に摺動可能に挿通されている。コントロールシャフト132のバルブ用仲介駆動機構140に対応する位置には係止ピン132bが形成されている。この係止ピン132bは、長孔130bを貫通し、長孔148g内に入り込んでいる。
【0111】
係止ピン132bは、支持パイプ130がシリンダヘッド8に対して固定されていても、長孔130bにより軸方向に移動することができる。このため、コントロールシャフト132を軸方向へ移動させることにより、その動きを係止ピン132b及び長孔148gを介してスライダギヤ148に伝達して、同スライダギヤ148を軸方向に移動させることができる。更に、スライダギヤ148自体は、長孔148gにて係止ピン132bの動きが規制されることから、軸方向の位置は決定されるが、軸周りについては揺動可能になっている。
【0112】
スライダギヤ148においては、入力用ヘリカルスプライン148aがヘリカルスプライン142bに噛み合わされ、第1出力用ヘリカルスプライン148cがヘリカルスプライン144bに噛み合わされ、第2出力用ヘリカルスプライン148eがヘリカルスプライン146bに噛み合わされている。
【0113】
図12に示すように、シリンダヘッド8には、一対の立壁部156、158が形成されており、これらの間にバルブ用仲介駆動機構140が配置されている。各立壁部156、158には、軸受部144c、146cの中心孔に対応した位置に孔が形成されており、この孔に支持パイプ130が挿入された状態で固定されている。従って、支持パイプ130は、立壁部156、158を介してシリンダヘッド8に固定されていることとなり、軸方向に移動したり回転したりすることはない。また、バルブ用仲介駆動機構140は、軸周りには揺動可能であるが軸方向への移動は立壁部156、158により阻止されている。
【0114】
また、前述したように、支持パイプ130内には、コントロールシャフト132が軸方向に摺動可能に挿入されており、このコントロールシャフト132の一端には、前記第1の実施形態で説明したアクチュエータ210のピストン210bが連結されている。
【0115】
図13に示したごとく、バルブ用仲介駆動機構140のローラ142fは、吸気カム24aに接触している。このため、バルブ用仲介駆動機構140の入力部142は吸気カム24aのカム面のプロフィールに応じて支持パイプ130の軸周りに揺動する。なお、アーム142c、142dとシリンダヘッド8との間には、ローラ142fを吸気カム24a方向へ付勢する圧縮状スプリング142gが設けられている。このため、ローラ142fは常に回転カム40のカム面に接触している。
【0116】
一方、上記バルブ用仲介駆動機構140とともにバルブ用可変リフト機構を構成する吸気バルブ用ロッカアーム13は、その基端部13cでアジャスタ13bにて揺動可能に支持されている。吸気バルブ用ロッカアーム13の先端部13dには、吸気バルブ70のステムエンド70cが当接されている。吸気バルブ用ロッカアーム13の中央部分にはローラ13aが支持されており、このローラ13aに第1揺動カム144のベース円部(ノーズ144dを除いた部分)や第2揺動カム146のベース円部(ノーズ146dを除いた部分)が接触している。
【0117】
このように、本実施の形態における可変動弁機構は、前記第1の実施形態における可変リフト機構と同様な構成を有している。従ってその動作も同様なものとなり、アクチュエータ210のピストン210bの移動量が調節されると、コントロールシャフト132とスライダギヤ148とを介して、入力部142のローラ142fと第1揺動カム144のノーズ144dとの相対位相差が調整される。また、入力部142のローラ142fと第2揺動カム146の146dとの相対位相差も調整される。すなわち、ピストン210bの移動により、吸気バルブ70のリフト量を連続的に変化させることができる。より具体的には、コントロールシャフト132が図15の矢印B方向に移動されるほど、入力部142は矢印R方向に回動されるとともに第1揺動カム144は矢印L方向に回動されて、入力部142のローラ142fとノーズ144dとの相対位相差が大きくなる。そのため、ノーズ144dに設けられた湾曲状のカム面144eにおいて、吸気バルブ用ロッカアーム13のローラ13aを押し下げるために使用される範囲が広くなり、吸気バルブ70のリフト量及びリフト期間(開弁期間)が増大される。同様に、コントロールシャフト132が方向Bに移動されるほど、第2揺動カム146は方向Lに回動されて、入力部142のローラ142fとノーズ146dとの相対位相差も大きくなり、吸気バルブ70のリフト量及びリフト期間(開弁期間)が増大される。このようにアクチュエータ210のピストン210bの位置調整により、図16に示す最小と最大とのリフト量パターン間で、吸気バルブ70のリフト量が無段階に連続的に変更可能となる。
【0118】
このように、本実施の形態における内燃機関では、前記可変リフト機構を駆動するコントロールシャフト132が軸方向に移動すると、吸気バルブ70のバルブ特性を変更する可変動弁機構も駆動されるようにしている。すなわち、仲介駆動機構120とバルブ用仲介駆動機構140とは、いずれもアクチュエータ210によって駆動されるコントロールシャフト132を介して駆動される。
【0119】
なお、吸気カム24aのカムプロフィールは、以下のように設定されている。すなわち、前述した処理手順(図10)によって機関負荷に対応した位置にコントロールシャフト132が位置決めされたときにおいて、この機関負荷に対応したバルブリフト量及びリフト期間となるように、吸気カム24aのカムプロフィールは設定されている。ちなみに、第1揺動カム144、第2揺動カム146、及び入力部142にそれぞれ形成されるヘリカルスプラインの歯筋の角度を、吸気バルブ70のリフト量及びリフト期間が機関負荷に対応したものとなるように設定するようにしてもよい。
【0120】
以上説明したように、本実施の形態にかかる車載燃料ポンプの駆動機構によれば、前記第1の実施形態で得られる効果の他に、次のような効果が得られるようになる。
【0121】
(1)可変動弁機構を構成するバルブ用仲介駆動機構140と可変リフト機構を構成する仲介駆動機構120とを、アクチュエータ210とコントロールシャフト132等で構成される同一の駆動機構で駆動するようにしている。従って、内燃機関に可変動弁機構と可変リフト機構とを設ける場合であっても、個々に駆動機構を設ける必要はなく、もって部品点数の増加を抑えることができるようになる。
【0122】
(2)また、可変動弁機構と可変リフト機構とをそれぞれ別々に設けるようにしている。そのため、吸気バルブ70を駆動するための吸気カム24aと、プランジャ駆動用の回転カム40とを、それぞれ別個に吸気カムシャフト24に設けることができる。従って、吸気カム24aのカムプロフィール、及びプランジャ駆動用の回転カム40のカムプロフィールをそれぞれ最適なものに設定することができるようにもなる。
【0123】
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記各実施の形態において、高圧ポンプ1の昇圧・圧送行程中に機関負荷が低下し燃料噴射が不要となった場合には、次のように可変リフト機構を制御してもよい。すなわち、図17に二点鎖線で示すように、プランジャ21のリフト量が「0」になるように、換言すれば仲介駆動機構120が上記図8に示した状態になるようにコントロールシャフト132を駆動するようにしてもよい。この場合には、不要な燃料(図17に斜線で示す部分の燃料)がデリバリパイプ12に圧送されなくなるため、同デリバリパイプ12内の過剰な圧力上昇を抑制でき、もってリリーフバルブ32の作動音の発生を抑制することができるようになる。
【0124】
・上記第2の実施形態では、プランジャ21のリフト量を可変とする可変リフト機構とは別に、吸気バルブ70のバルブ特性を可変とする可変動弁機構も備えるようにした。この他に、可変動弁機構と可変リフト機構とを1つの可変機構としてもよい。例えば、上記バルブ用仲介駆動機構140を、図18に示す仲介駆動機構140’のように構成することもできる。すなわち、バルブ用仲介駆動機構140の第2揺動カム146に、吸気バルブ70を駆動するためのノーズ146dだけではなく、プランジャ21を駆動するための前記ノーズ126dも設けるようにしてもよい。この場合には、前述したように、コントロールシャフト132が矢印B方向に移動するにつれて、入力部142は図18において矢印R方向に回動され、第2揺動カム146は矢印L方向に回動される。そのため、第2揺動カム146に形成されたノーズ146dとローラ142fとの相対位相差は大きくされる。また、第2揺動カム146に形成されたノーズ126dと入力部142のローラ142fとの相対位相差は小さくされる。従って、コントロールシャフト132が矢印B方向に移動するにつれて、吸気バルブ70のリフト量とリフト期間、及びプランジャ21のリフト量とリフト期間とはそれぞれ増大される。
【0125】
図19は、内燃機関のシリンダヘッド8に備えられた仲介駆動機構140’の取付態様を示す模式図である。なお、先の図12に示した部材と同一の部材には、同一の符号を付している。さて、上述したように仲介駆動機構140’は可変リフト機構及び可変動弁機構して機能する。そのため、同図19に示すように、上記第2の実施形態と比較して、可変リフト機構を構成する仲介駆動機構120を省略することができる。このため、内燃機関に可変動弁機構と可変リフト機構とを設ける場合であっても、両機構を個々に設ける必要はなく、もって部品点数の増加を抑えることができるようになる。
【0126】
また、この場合には、仲介駆動機構140’の入力部142が駆動されることで、ノーズ126d及びノーズ146dがともに揺動される。すなわち、1つのカムでノーズ126d及びノーズ146dを揺動させることができる。従って、プランジャ駆動用の回転カムと、吸気バルブを駆動するためのバルブ用カムとを、それぞれ別個にカムシャフトに設けなくてもよく、この点でも部品点数の増加を抑えることができるようになる。
【0127】
ちなみに、バルブ用仲介駆動機構140の第1揺動カム144に、プランジャ21を駆動するための前記ノーズ126dを設けるようにしてもよい。
・上記各実施の形態では、コントロールシャフト132の位置を変更するアクチュエータとして、いわゆる油圧アクチュエータを用いるようにしたが、何らこのようなアクチュエータに限定されるものではなく、例えば電動アクチュエータ等を用いるようにしてもよい。また、コントロールシャフト132とアクセル操作部とを連結する操作力伝達機構によって、コントロールシャフト132の位置調整を行うようにしてもよい。例えば、図20にその一例を示すように、第1の実施形態における可変リフト機構において、コントロールシャフト132とアクセルペダル46とをワイヤ48で接続するようにする。この場合には、ワイヤ48によって、アクセルペダル46の動きが直接コントロールシャフト132に伝達される。すなわち、仲介位相差可変手段は、運転者を原動力として駆動される。従って、内燃機関の出力を利用することなく、仲介位相差可変手段を駆動させることができるようになる。なお、操作力伝達機構としてはワイヤのみならず、油圧等を利用したものでもよい。また、アクセルペダルの踏み込み力を軽減するために、操作力伝達機構の途中に倍力装置等を設けるようにしてもよい。
【0128】
・上記第2の実施形態やその変形例における可変リフト機構や可変動弁機構は、上述した出力部と入力部との相対位相差を変更することによって、プランジャ21や吸気バルブ70のリフト量等を変更する機構であったが、何らこのような可変機構に限定されるものではない。例えばカムシャフトの軸方向にカムプロフィールが異なる3次元カムを用いることでリフト量を可変とする可変機構等を採用することもできる。
【0129】
・上記第2の実施形態やその変形例では、吸気バルブ70の駆動機構に可変動弁機構を設けるようにしたが、排気バルブ71の駆動機構に上述したような可変動弁機構を設けるようにしてもよい。また、吸気バルブ70の駆動機構と排気バルブ71の駆動機構それぞれに可変動弁機構を設けるようにしてもよい。なお、上述したような可変動弁機構を排気バルブ71の駆動機構のみに設ける場合には、吸気通路内にスロットル弁を設けることで吸入空気量を調量することはできる。
【0130】
・上記各実施の形態では、プランジャ21や吸気バルブ70の駆動方式としてロッカアーム方式を採用したが、上述した揺動カムのノーズでプランジャ21や吸気バルブ70を直接駆動する直動式を採用することもできる。
【0131】
・上記各実施の形態では、本発明にかかる車載燃料ポンプの駆動機構をガソリン機関用の高圧燃料ポンプに適用する場合について例示したが、プランジャをシリンダ内で往復動させることによって高圧燃料を吐出する車載燃料ポンプであれば、本発明にかかる駆動機構を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる車載燃料ポンプの駆動機構の第1の実施形態について、その概略構成を示す模式図。
【図2】同実施の形態において、内燃機関のシリンダヘッドに備えられた車載燃料ポンプの駆動機構について、その取付態様を示す模式図。
【図3】同実施の形態における仲介駆動機構の斜視図。
【図4】上記仲介駆動機構の部分破断斜視図。
【図5】同実施の形態におけるアクチュエータの構成を例示する断面図。
【図6】上記仲介駆動機構の動作説明図。
【図7】上記仲介駆動機構の動作説明図。
【図8】上記仲介駆動機構の動作説明図。
【図9】上記仲介駆動機構によるプランジャのリフト量変化を示すグラフ。
【図10】同実施の形態におけるアクチュエータのピストン移動量について、その制御処理にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図11】機関負荷に対応したプランジャのリフト量変化を例示するグラフ。
【図12】第2の実施の形態において、内燃機関のシリンダヘッドに備えられた車載燃料ポンプの駆動機構について、その取付態様を示す模式図。
【図13】図12におけるA−A断面の構造を示す断面図。
【図14】同実施の形態における仲介駆動機構及びバルブ用仲介駆動機構の斜視図。
【図15】上記各仲介駆動機構の部分破断斜視図。
【図16】上記バルブ用仲介駆動機構による吸気バルブのリフト量変化を示すグラフ。
【図17】上記実施の形態の変形例について、機関負荷に対応したプランジャのリフト量変化を例示するグラフ。
【図18】第2の実施形態の変形例における仲介駆動機構の斜視図。
【図19】同変形例において、内燃機関のシリンダヘッドに備えられた車載燃料ポンプの駆動機構について、その取付態様を示す模式図。
【図20】上記各実施形態の変形例について、その概略構造を示す模式図。
【図21】従来の車載燃料ポンプの駆動機構について、その概略構成を示す模式図。
【符号の説明】
1…高圧ポンプ、4…シリンダブロック、5…吸気ポート、6…ピストン、7…排気ポート、8…シリンダヘッド、10…燃焼室、11…燃料噴射弁、12…デリバリパイプ、13…吸気バルブ用ロッカアーム、13a…ローラ、13b…アジャスタ、13c…基端部、13d…先端部、14…排気バルブ用ロッカアーム、15…低圧ポンプ、16…高圧ポンプ、17…燃料タンク、18…低圧燃料通路、19…プレッシャレギュレータ、21…プランジャ、22…加圧室、23…スピル弁、24…吸気カムシャフト、24a…吸気カム、25…回転カム、26…シリンダ、27…高圧燃料通路、28…逆止弁、29…電磁ソレノイド、31…スプリング、32…リリーフバルブ、33…制御装置、34…パルセーションダンパ、35…弁体、36…リフタ、36a…ロッド、37…リフタスプリング、38…第1の逆止弁、39…第2の逆止弁、40…回転カム、40a…ノーズ、40b…ベース円部、46…アクセルペダル、48…ワイヤ、50…圧力センサ、70…吸気バルブ、70c…ステムエンド、71…排気バルブ、73…排気カムシャフト、73a…排気カム、74…プランジャ用ロッカアーム、74a…ローラ、74b…アジャスタ、74c…基端部、74d…先端部、76…アクセル開度センサ、82…クランク角センサ、84…吸入空気量センサ、90…シャフト位置センサ、98…オイルコントロールバルブ、98a…供給通路、98b…排出通路、98c…ケーシング、98d…第1給排ポート、98e…第2給排ポート、98f…第1排出ポート、98g…第2排出ポート、98h…供給ポート、98i…弁部、98j…コイルスプリング、98k…電磁ソレノイド、98m…スプール、120…仲介駆動機構、122…入力部、122a…ハウジング、122b…ヘリカルスプライン、122c、122d…アーム、122e…シャフト、122f…ローラ、122g…圧縮状スプリング、122h…軸受部、126…揺動カム、126a…ハウジング、126b…ヘリカルスプライン、126c…軸受部、126d…ノーズ、126e…カム面、126f…ベース円部、128…スライダギヤ、128a…入力用ヘリカルスプライン、128d…小径部、128e…出力用ヘリカルスプライン、128g…長孔、130…支持パイプ、130a、b…長孔、132…コントロールシャフト、132a、132b…係止ピン、136、138、139…立壁部、140…バルブ用仲介駆動機構、142…入力部、142a…ハウジング、142b…ヘリカルスプライン、142c、142d…アーム、142e…シャフト、142f…ローラ、142g…圧縮状スプリング、144…第1揺動カム、144a…ハウジング、144b…ヘリカルスプライン、144c…軸受部、144d…ノーズ、144e…カム面、146…第2揺動カム、146a…ハウジング、146b…ヘリカルスプライン、146c…軸受部、146d…ノーズ、146e…カム面、148…スライダギヤ、148a…入力用ヘリカルスプライン、148b…小径部、148c…第1出力用ヘリカルスプライン、148d…小径部、148e…第2出力用ヘリカルスプライン、148g…長孔、150…オイルパン、156、158…立壁部、210…アクチュエータ、210a…シリンダチューブ、210b…ピストン、210c、210d…エンドカバー、210e…コイルスプリング、210f…第1圧力室、210g…第2圧力室、210h…第1給排通路、210i…第2給排通路。
Claims (5)
- 内燃機関のカムシャフトに設けられたカムに連動して駆動されてシリンダ内を往復動するプランジャを備える車載燃料ポンプの駆動機構であって、
前記車載燃料ポンプは、前記シリンダへの燃料の流入のみを許容する第1の逆止弁と、同シリンダからの燃料の吐出のみを許容する第2の逆止弁とを備え、前記プランジャはそのリフト量を可変とする可変リフト機構を介して駆動される
ことを特徴とする車載燃料ポンプの駆動機構。 - 内燃機関のカムシャフトに設けられたカムに連動して駆動されるプランジャと、同プランジャが往復動するシリンダとを備える車載燃料ポンプの駆動機構であって、
前記内燃機関は、その吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方の動弁特性を可変とする可変動弁機構と、同可変動弁機構を駆動する駆動機構とを備える一方、前記車載燃料ポンプは、前記シリンダへの燃料の流入のみを許容する第1の逆止弁と、同シリンダからの燃料の吐出のみを許容する第2の逆止弁とを備え、前記プランジャはそのリフト量を可変とする可変リフト機構を介して駆動され、同可変リフト機構は前記駆動機構によって駆動される
ことを特徴とする車載燃料ポンプの駆動機構。 - 前記可変リフト機構及び可変動弁機構は、1つの可変機構として構成されてなる
請求項2に記載の車載燃料ポンプの駆動機構。 - 前記可変リフト機構は、前記カムシャフトとは異なるシャフトにて揺動可能に支持され、入力部と出力部とを有することで前記カムにより入力部が駆動されると出力部にて前記プランジャを駆動する仲介駆動機構と、前記仲介駆動機構の入力部と出力部との相対位相差を可変とする仲介位相差可変手段とを備える
請求項1〜3のいずれかに記載の車載燃料ポンプの駆動機構。 - 前記可変リフト機構は、機関負荷の増大に伴って前記プランジャのリフト量が増大するように制御される
請求項1〜4のいずれかに記載の車載燃料ポンプの駆動機構。
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