JP2004218435A - ターボチャージャ - Google Patents
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Abstract
【課題】環状通路の通路壁の不要な変形を好適に抑制することのできるターボチャージャを提供する。
【解決手段】このターボチャージャは、エンジンから排出される排気ガスが流れ込む渦巻き形状のスクロール通路10と、タービンロータ11の周りに形成され、スクロール通路10内に流れ込んだ排気ガスをその流速を高めつつタービンロータ11に吹き付けるための環状通路12とを備える。環状通路12の通路壁16の外壁面15にヒータ20を取り付ける。
【選択図】 図1
【解決手段】このターボチャージャは、エンジンから排出される排気ガスが流れ込む渦巻き形状のスクロール通路10と、タービンロータ11の周りに形成され、スクロール通路10内に流れ込んだ排気ガスをその流速を高めつつタービンロータ11に吹き付けるための環状通路12とを備える。環状通路12の通路壁16の外壁面15にヒータ20を取り付ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンへの過給を行うターボチャージャに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、ターボチャージャにあっては、そのタービン側のハウジング内に渦巻き形状をなすスクロール通路が設けられている。このスクロール通路には、エンジンから排出される排気ガスが送り込まれる。また、このハウジング内には、スクロール通路内に送り込まれた排気ガスをタービンロータへ向けて吹き付けるための環状通路が、同スクロール通路に沿って設けられている。そして、排気ガスは、この環状通路によってその流速を高められつつタービンロータに吹き付けられる。
【0003】
また、こうした環状通路に、互いに同期した状態で開閉動作する複数のノズルベーンを設けるようにしたターボチャージャも提案され、実用されている(例えば特許文献1参照)。このターボチャージャでは、ノズルベーンによってタービンロータに吹き付けられる排気ガスの流速を可変とすることで、コンプレッサによるエンジン吸気の過給圧を可変とする。図2及び図3に、こうしたターボチャージャの一例を示す。
【0004】
図2及び図3に示されるように、このターボチャージャの環状通路12には、複数のノズルベーン13が配設されている。それらノズルベーン13は、タービンロータ11の回転軸L1周りに所定間隔をおいて配設されている。そして、各ノズルベーン13を一斉に開閉駆動して、隣り合ったノズルベーン13同士の間隔を可変とすることで、スクロール通路10からタービンロータ11に吹き付ける排気ガスの流速を変更し、過給圧を調整するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−147903号公報(第3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、こうしたノズルベーン13を備えたターボチャージャにあっては、例えばエンジンが冷間運転されるときに車両が加速されるなど、上記環状通路12に流れ込む排気ガスの温度が急激に上昇すると、以下のような不都合が生じる。
【0007】
すなわち先ず、高温の排気ガスの熱が環状通路12の通路壁16に伝わり、その内壁面14の温度が急激に上昇する。一方、このとき通路壁16の外壁面15の温度はさほど上昇しない。このため、通路壁16において、内壁面14側ほど温度が高くなるといった温度勾配が生じるようになる。
【0008】
そして、内壁面14側の熱膨張量と外壁面15側の熱膨張量との間に大きな差が生じると、例えば図4に示すように通路壁16が不要に変形するおそれがある。この変形は、例えば通路壁16とノズルベーン13との干渉を招くなどして、同ノズルベーン13の作動不良を引き起こす一因となりかねず好ましくない。
【0009】
なお、上記特許文献1には、こうした環状通路の通路壁の変形を抑制するために補強部材を設けることが提案されている。しかしながら、そうした補強部材を設けたところで、上記温度差が生じる以上、上記通路壁の不要な変形は避けられず、根本的な解決には至っていないのが実情である。
【0010】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、環状通路の通路壁の不要な変形を好適に抑制することのできるターボチャージャを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
先ず、請求項1に記載の発明は、エンジンから排出される排気ガスが流れ込む渦巻き形状のスクロール通路と、タービンロータの周りに形成され、且つ前記スクロール通路内に流れ込んだ排気ガスをその流速を高めつつ前記タービンロータに吹き付けるための環状通路とを備えたターボチャージャにおいて、前記環状通路の通路壁の外壁面にヒータが取り付けられてなることをその要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、排気ガスの流通により、通路壁の内壁面の温度が外壁面の温度よりも過度に高くなるおそれのあるときに、ヒータを加熱させると、その熱が通路壁の外壁面から内壁面に向けて伝わる。この熱伝達により、通路壁の温度分布の均一化を図ることができ、環状通路の通路壁の不要な変形を好適に抑制することができる。従って、前述した環状通路の流路面積を可変とすべく開閉されるノズルベーンを備えたターボチャージャにあっては、通路壁とノズルベーンとの干渉を好適に抑制することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のターボチャージャにおいて、前記ヒータは、通路壁の内壁面と外壁面との温度差に応じて発熱するものであることをその要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、通路壁の内壁面温度が外壁面温度よりも過度に高いときに、同通路壁を外壁面側から加熱することができるようになる。従って、通路壁の不要な変形を的確に抑制することができるようになる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のターボチャージャにおいて、前記ヒータは、前記環状通路を通過する排気ガスの温度の上昇の程度に応じて発熱するものであることをその要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、排気ガスの温度が急激に上昇したとき、換言すれば、通路壁の内壁面温度が外壁面温度よりも過度に高くなるといった現象が生じるおそれのあるときに、同通路壁を外壁面側から加熱することができるようになる。従って、通路壁の不要な変形を的確に抑制することができるようになる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のターボチャージャにおいて、前記ヒータの発熱量は、前記排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量に基づき調節されるものであることをその要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、ヒータからは排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量に応じた熱量の発熱が行われる。従って、排気ガスの温度上昇の程度にかかわらず、同程度の時間で温度分布を均一化させることができる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のターボチャージャにおいて、前記ヒータは、前記エンジンの温度が低いときに発熱するものであることをその要旨とする。
【0020】
通常、排気通路のターボチャージャよりも下流側に、排気ガスを浄化するための触媒が設けられたエンジンシステムにあっては、その触媒の温度が低いときや、同触媒に流れ込む排気ガスの温度が低いときに触媒の浄化性能が低いため、それらの温度を効率よく上昇させる手法が望まれている。これに対し、上記構成によれば、エンジンの温度が低く、触媒の温度が低いときに、ヒータが発熱される。この熱は通路壁において外壁面側から内壁面側へ伝わった後、排気ガスに伝わる。従って、ヒータの発熱により、排気ガスの温度を強制的に上昇させて、触媒の早期活性化を図ることができる。
【0021】
なお、流体が管路内を通過する場合、その流速が高いほど、その境界層が薄くなることが知られている。管路の外壁面を加熱してその熱を同管路内を通過する流体に伝達させる際には、上記境界層が管路の内壁面と流体との間を遮る断熱層のように作用するために、流体を効率よく加熱するためには、境界層が薄い部分の外壁面を加熱することが望ましい。これに対し、上記構成によれば、内部を通過する排気ガスの流速が速く、その境界層が薄い通路壁の外壁面が、ヒータによって加熱される。このため、排気ガスを効率よく加熱することができる。また、ノズルベーンを備えたターボチャージャに適用するとともに、ノズルベーンの回動軸の近くにヒータを設けることで、同ノズルベーンをあたかも放熱フィンのように作用させることができ、排気ガスの温度をより効率よく上昇させることができる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のターボチャージャにおいて、前記ヒータの発熱量は、前記エンジンの温度に基づき調節されるものであることをその要旨とする。
【0023】
上記構成によれば、ヒータからはエンジンの温度に応じた熱量の発熱が行われる。従って、エンジンの温度、ひいては排気ガスの温度にかかわらず、同程度の時間で排気ガスの温度を強制的に上昇させることができ、触媒の早期活性化を図ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるターボチャージャを具体化した一実施の形態について、図1を参照して説明する。
【0025】
なお、この実施の形態のターボチャージャにあって、その全体としての構造は、先の図2及び図3に例示した構造と同等の構造を想定しており、それら各部についての重複する説明は割愛する。
【0026】
さて、本実施の形態のターボチャージャでは、前記通路壁16の外壁面15にヒータが設けられている。そして、このヒータを適宜のタイミングで作動させることにより、通路壁16の不要な変形の抑制や、エンジンの排気通路にあってターボチャージャよりも下流側に設けられる触媒の早期活性化が図られている。
【0027】
ここでは先ず、ヒータの配設態様及びその周辺機器について、図1を参照して説明する。
図1に示されるように、エンジンからの排気ガスが流れる排気通路17において、タービンロータ11よりも下流側では、その排気通路17の内壁が全周にわたって凹んだ形状に形成されている。この凹状の箇所(以下、環状凹部18という)は、環状通路12の通路壁16の各部の肉厚を均一化するべく形成されている。
【0028】
この環状凹部18にあって上記通路壁16の外壁面15にあたる部分には、環状のヒータ20が取り付けられている。このヒータ20としては、例えば熱線式のヒータが用いられる。本実施の形態では、各ノズルベーン13の回動軸13aが、上記通路壁16を貫通して、上記環状凹部18にまで延伸されている。上記ヒータ20は、それら回動軸13aにそれぞれ当接している。
【0029】
一方、本実施の形態では、ヒータ20の周辺機器として、例えばマイクロコンピュータなどからなる電子制御装置21が設けられている。
この電子制御装置21は、例えばエンジンの冷却水の温度(THW)を検出するための水温センサや、アクセルペダルの操作量(ACC)を検出するためのアクセルセンサ等の各種のセンサ類の検出信号を取り込む。電子制御装置21は、それらセンサ類の検出信号に基づき各種の演算を行うことで、そのときどきにおけるエンジンの運転状態や、同エンジンが搭載される車両の運転状態等を判断する。
【0030】
上記ヒータ20には、この電子制御装置21から発せられる指令信号に応じて、バッテリから電力が供給される。この電力供給により、ヒータ20は、エンジンや車両の運転状態に応じて、適宜のタイミングで発熱する。
【0031】
また、上記電子制御装置21は、こうしたヒータ制御の他にも、エンジンや車両の運転状態に応じて、例えば燃料噴射制御等といったエンジン制御にかかる各種制御を実行する。
【0032】
次に、上記ヒータ制御の実行態様をその作用と併せて具体的に説明する。
通路壁16の内壁面14の温度が外壁面15の温度よりも過度に高くなるおそれのあるときにヒータ20に通電することで、通路壁16の温度分布の均一化を図り、同通路壁16の不要な変形を抑制することが可能である。
【0033】
そして、そうした内壁面14と外壁面15との温度差が過度に大きくなるといった現象は、以下の(条件a)や(条件b)が満たされるとき、換言すれば、環状通路12内を通過する排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量が所定値以上となるときに生じることが発明者によって確認されている。
(条件a)エンジンの冷間運転時において、アクセルペダルが踏み込まれて車両が加速されること。
【0034】
エンジンの温度が低いときには、同温度が高いときと比べて、排気ガスの温度も低いために、環状通路12の通路壁16の温度も低い。この状態で車両が加速されると、エンジンの燃焼室内における混合気の燃焼温度が急激に高くなる。これに伴い、排気ガスの温度が急激に高くなり、通路壁16の内壁面14が急激に加熱されるようになる。
(条件b)車両の減速に際して燃料噴射が強制停止された直後に、アクセルペダルが踏み込まれて車両が加速されること。
【0035】
燃料噴射が停止されているときには、エンジンの排気通路に、外気温度に近い温度の空気が流れ込む。このため、環状通路12の通路壁16は空気によって冷却される。この状態から車両が加速されると、ターボチャージャに高温の排気ガスが流れ込み、通路壁16の内壁面14が急速に加熱されるようになる。
【0036】
そこで、本実施の形態では、車両が(条件a)若しくは(条件b)に該当する運転状態になったときに、上記ヒータ20の通電を開始するとともに、その後の所定時間にわたって同通電を継続するようにしている。こうしたヒータ20の通電制御は、具体的には、上記電子制御装置21により、以下の(条件A)もしくは(条件B)が満たされたと判断されたときに実行される。
(条件A)冷却水温度THWが所定温度Ta以下であり、且つアクセルペダルの操作量ACCが所定量α以上であること。この(条件A)は(条件a)を判定するためのものである。
(条件B)燃料噴射が停止された状態において、アクセルペダルの操作量ACCが所定量β以上になること。この(条件B)は(条件b)を判定するためのものである。
【0037】
これにより、通路壁16の内壁面14の温度が外壁面15の温度よりも過度に高くなるおそれのあるときに、同外壁面15がヒータ20によって加熱され、通路壁16の温度分布の均一化が図られ、それら内壁面14及び外壁面15の温度差が小さくなり、通路壁16の不要な変形が抑制されるようになる。そして、これにより、通路壁16とノズルベーン13との干渉が好適に抑制される。なお、上記所定温度Ta、及び所定量α,βとしては、環状通路12内を通過する排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量が所定値以上となる可能性が高くなる値がそれぞれ実験等により求められ、予め電子制御装置21に記憶されている。
【0038】
一方、エンジンの温度が低いときには、触媒の温度や排気ガスの温度も低い。このとき、ヒータ20に通電すれば、触媒に流れ込む排気ガスの温度を上昇させることが可能である。
【0039】
そこで、本実施の形態では、上記電子制御装置21によって、以下の(条件C)が満たされたと判断されるときにも、上記ヒータ20の通電を開始するとともに、その後の所定時間にわたってその通電を継続するようにしている。
(条件C)冷却水温度THWが所定温度Tb以下であること。
【0040】
これにより、ヒータ20によって加熱した環状通路12の通路壁16が有する熱を排気ガスへと伝達させて、排気ガスや触媒の温度を強制的に上昇させることができ、ひいては触媒が早期に活性化されるようになる。なお、上記所定温度Tbとしては、触媒の浄化性能が低いことを的確に判定可能な値が実験等により求められ、予め電子制御装置21に記憶されている。
【0041】
ここで、流体が管路内を通過する場合、その流速が高いほど、その境界層が薄くなることが知られている。管路の外壁面を加熱してその熱を同管路内を通過する流体に伝達させる際には、上記境界層が管路の内壁面と流体との間を遮る断熱層のように作用するために、流体を効率よく加熱するためには、境界層が薄い部分の外壁面を加熱することが望ましい。
【0042】
本実施の形態では、排気ガスが通過する通路の外壁面の中でも、同排気ガスの流速が速くその境界層が薄い環状通路12の外壁面15がヒータ20によって加熱される。このため、ヒータ20により加熱した通路壁16が有する熱が排気ガスへと効率よく伝達される。
【0043】
また、ヒータ20がノズルベーン13の回動軸13aに当接しているために、同ヒータ20に通電することにより、ノズルベーン13も加熱される。このため、このノズルベーン13があたかも環状通路12内に配置される放熱フィンのように作用し、排気ガスの温度が効率よく上昇される。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)通路壁16の外壁面15にヒータ20を取り付けるようにした。このため、通路壁16の内壁面14の温度が外壁面15の温度よりも過度に高くなるおそれのあるときに、ヒータ20を加熱させると、その熱が通路壁16の外壁面15から内壁面14へと伝わる。この熱伝達により、通路壁16の温度分布の均一化を図ることができ、同通路壁16の不要な変形を好適に抑制することができる。従って、通路壁16とノズルベーン13との干渉を好適に抑制することができる。
【0045】
(2)環状通路12を通過する排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量が所定値以上となるときに、ヒータ20に通電するようにした。そのため、この通電により、通路壁16の外壁面15を加熱することができ、排気ガスの温度が急激に上昇して、環状通路12の内壁面14の温度が外壁面15の温度よりも過度に高くなるときに、その温度差を的確に抑制することができるようになる。
【0046】
(3)エンジンの温度が低く、触媒の温度が低いときに、ヒータ20を通電して、環状通路12の外壁面15を加熱するようにした。これにより、加熱した通路壁16が有する熱を排気ガスへと伝達させて、同排気ガスの温度を強制的に上昇させることができ、触媒を早期に活性化させることができる。
【0047】
(4)また、排気ガスが通過する通路の外壁面の中でも、同排気ガスの流速が速いためにその境界層が薄い通路壁16の外壁面15をヒータ20によって加熱するようにした。このため、ヒータ20によって外壁面15以外の部分を加熱する構成と比べて、加熱した通路が有する熱を排気ガスへと効率よく伝達させることができる。
【0048】
(5)また、ヒータ20をノズルベーン13の回動軸13aに接触させた状態で取付けることにより、そのノズルベーン13をヒータ20によって加熱するようにした。このため、ノズルベーン13をあたかも放熱フィンのように作用させることができ、排気ガスの温度をより効率よく上昇させることができる。
【0049】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態では、ヒータ20を、複数のノズルベーン13の回動軸13a全てについて当接させたが、一部の回動軸13aにのみ当接させてもよい。また、回動軸13aを加熱することが可能であれば、ヒータ20は必ずしも回動軸13aに当接していなくてもよい。要は、ヒータによって、少なくとも何れかのノズルベーン13を好適に加熱することが可能であればよい。
【0050】
・また、通路壁16の外壁面15を加熱することのみによって排気ガスの温度を好適に上昇させることが可能ならば、ノズルベーン13を加熱可能な態様でヒータを設ける必要もない。なお、こうした構成であれば、ノズルベーン13が設けられないターボチャージャにも本発明は適用可能である。
【0051】
・上記実施の形態では、環状凹部18にあって通路壁16の外壁面15にあたる部分に、環状のヒータ20を取り付けるようにしたが、必ずしも環状である必要はない。例えば複数のヒータを、等間隔をおいて、あるいは通路壁16の温度分布に応じたかたちで配設する等しても、環状通路12の通路壁16の不要な変形を抑制することはできる。
【0052】
・上記実施の形態では、前記(条件A)、(条件B)及び(条件C)の何れかが満たされたことをもって、ヒータ20への通電を開始するようにした。(条件A)及び(条件B)については、環状通路12の内壁面14の温度が外壁面15の温度よりも過度に高くなるおそれのあることを的確に判断することが可能であれば、任意に変更可能である。また、(条件C)については、触媒の浄化性能が低いことを的確に判断することが可能であれば、適宜変更可能である。
【0053】
・上記実施の形態では、ヒータ20への通電が開始された後の所定時間にわたり同通電を継続するようにしたが、この所定時間は固定値である必要はない。例えば、車両の加速状態やエンジンの温度等に応じて、その通電を停止させるタイミングを可変設定することにより、所定時間を可変値とすることも可能である。
【0054】
・上記実施の形態において、通路壁16の不要な変形を抑える上では、エンジンの温度が低いときに、ヒータ20により通路壁16の外壁面15を加熱することも有効である。これは、エンジンの温度が低いとき、換言すれば、外壁面15の温度がさほど上昇していないために同外壁面15の温度が内壁面14の温度よりも低いときに、外壁面15を予め加熱して、その温度差を補償することが可能になるからである。また、このときヒータの発熱量をエンジンの温度に応じて調節することで、上記温度差をより適切に補償することが可能になる。
【0055】
・上記実施の形態において、ヒータ20の通電制御に際し、その発熱量を車両の加速状態や、通路壁16の内壁面14と外壁面15との温度差、あるいはエンジンの温度等に基づいて可変設定するようにしてもよい。例えば、ヒータ20の発熱量を排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量に基づいて可変設定することが挙げられる。こうした構成によれば、ヒータ20からは排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量に応じた熱量の発熱が行われる。従って、排気ガスの温度上昇の程度にかかわらず、同程度の時間で通路壁16の温度分布を均一化させることができる。
【0056】
・その他、ヒータ20の発熱量を、エンジンの温度に基づき調節すること等も考えられる。こうした構成によれば、エンジン温度が低いときほどヒータ20の発熱量を大きくすることで、排気ガスの温度にかかわらず、同程度の時間で排気ガスの温度を強制的に上昇させることができ、触媒の早期活性化を図ることができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態には、次のような形態を含むものであることを付記しておく。
(1)前記環状通路に設けられるとともに、同環状通路の流路面積を可変とするべく開閉されるノズルベーンを更に備える請求項1〜6のいずれかに記載のターボチャージャ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるターボチャージャの一実施の形態及びその周辺構造を示すブロック図。
【図2】従来のターボチャージャを示す断面図。
【図3】同ターボチャージャのノズルベーンの配設態様を示す略図。
【図4】同ターボチャージャの環状通路の周辺構造を拡大して示す断面図。
【符号の説明】
10…スクロール通路、11…タービンロータ、12…環状通路、13…ノズルベーン、13a…回動軸、14…内壁、15…外壁、16…通路壁、17…排気通路、18…環状凹部、20…ヒータ、21…電子制御装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンへの過給を行うターボチャージャに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、ターボチャージャにあっては、そのタービン側のハウジング内に渦巻き形状をなすスクロール通路が設けられている。このスクロール通路には、エンジンから排出される排気ガスが送り込まれる。また、このハウジング内には、スクロール通路内に送り込まれた排気ガスをタービンロータへ向けて吹き付けるための環状通路が、同スクロール通路に沿って設けられている。そして、排気ガスは、この環状通路によってその流速を高められつつタービンロータに吹き付けられる。
【0003】
また、こうした環状通路に、互いに同期した状態で開閉動作する複数のノズルベーンを設けるようにしたターボチャージャも提案され、実用されている(例えば特許文献1参照)。このターボチャージャでは、ノズルベーンによってタービンロータに吹き付けられる排気ガスの流速を可変とすることで、コンプレッサによるエンジン吸気の過給圧を可変とする。図2及び図3に、こうしたターボチャージャの一例を示す。
【0004】
図2及び図3に示されるように、このターボチャージャの環状通路12には、複数のノズルベーン13が配設されている。それらノズルベーン13は、タービンロータ11の回転軸L1周りに所定間隔をおいて配設されている。そして、各ノズルベーン13を一斉に開閉駆動して、隣り合ったノズルベーン13同士の間隔を可変とすることで、スクロール通路10からタービンロータ11に吹き付ける排気ガスの流速を変更し、過給圧を調整するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−147903号公報(第3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、こうしたノズルベーン13を備えたターボチャージャにあっては、例えばエンジンが冷間運転されるときに車両が加速されるなど、上記環状通路12に流れ込む排気ガスの温度が急激に上昇すると、以下のような不都合が生じる。
【0007】
すなわち先ず、高温の排気ガスの熱が環状通路12の通路壁16に伝わり、その内壁面14の温度が急激に上昇する。一方、このとき通路壁16の外壁面15の温度はさほど上昇しない。このため、通路壁16において、内壁面14側ほど温度が高くなるといった温度勾配が生じるようになる。
【0008】
そして、内壁面14側の熱膨張量と外壁面15側の熱膨張量との間に大きな差が生じると、例えば図4に示すように通路壁16が不要に変形するおそれがある。この変形は、例えば通路壁16とノズルベーン13との干渉を招くなどして、同ノズルベーン13の作動不良を引き起こす一因となりかねず好ましくない。
【0009】
なお、上記特許文献1には、こうした環状通路の通路壁の変形を抑制するために補強部材を設けることが提案されている。しかしながら、そうした補強部材を設けたところで、上記温度差が生じる以上、上記通路壁の不要な変形は避けられず、根本的な解決には至っていないのが実情である。
【0010】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、環状通路の通路壁の不要な変形を好適に抑制することのできるターボチャージャを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
先ず、請求項1に記載の発明は、エンジンから排出される排気ガスが流れ込む渦巻き形状のスクロール通路と、タービンロータの周りに形成され、且つ前記スクロール通路内に流れ込んだ排気ガスをその流速を高めつつ前記タービンロータに吹き付けるための環状通路とを備えたターボチャージャにおいて、前記環状通路の通路壁の外壁面にヒータが取り付けられてなることをその要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、排気ガスの流通により、通路壁の内壁面の温度が外壁面の温度よりも過度に高くなるおそれのあるときに、ヒータを加熱させると、その熱が通路壁の外壁面から内壁面に向けて伝わる。この熱伝達により、通路壁の温度分布の均一化を図ることができ、環状通路の通路壁の不要な変形を好適に抑制することができる。従って、前述した環状通路の流路面積を可変とすべく開閉されるノズルベーンを備えたターボチャージャにあっては、通路壁とノズルベーンとの干渉を好適に抑制することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のターボチャージャにおいて、前記ヒータは、通路壁の内壁面と外壁面との温度差に応じて発熱するものであることをその要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、通路壁の内壁面温度が外壁面温度よりも過度に高いときに、同通路壁を外壁面側から加熱することができるようになる。従って、通路壁の不要な変形を的確に抑制することができるようになる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のターボチャージャにおいて、前記ヒータは、前記環状通路を通過する排気ガスの温度の上昇の程度に応じて発熱するものであることをその要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、排気ガスの温度が急激に上昇したとき、換言すれば、通路壁の内壁面温度が外壁面温度よりも過度に高くなるといった現象が生じるおそれのあるときに、同通路壁を外壁面側から加熱することができるようになる。従って、通路壁の不要な変形を的確に抑制することができるようになる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のターボチャージャにおいて、前記ヒータの発熱量は、前記排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量に基づき調節されるものであることをその要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、ヒータからは排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量に応じた熱量の発熱が行われる。従って、排気ガスの温度上昇の程度にかかわらず、同程度の時間で温度分布を均一化させることができる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のターボチャージャにおいて、前記ヒータは、前記エンジンの温度が低いときに発熱するものであることをその要旨とする。
【0020】
通常、排気通路のターボチャージャよりも下流側に、排気ガスを浄化するための触媒が設けられたエンジンシステムにあっては、その触媒の温度が低いときや、同触媒に流れ込む排気ガスの温度が低いときに触媒の浄化性能が低いため、それらの温度を効率よく上昇させる手法が望まれている。これに対し、上記構成によれば、エンジンの温度が低く、触媒の温度が低いときに、ヒータが発熱される。この熱は通路壁において外壁面側から内壁面側へ伝わった後、排気ガスに伝わる。従って、ヒータの発熱により、排気ガスの温度を強制的に上昇させて、触媒の早期活性化を図ることができる。
【0021】
なお、流体が管路内を通過する場合、その流速が高いほど、その境界層が薄くなることが知られている。管路の外壁面を加熱してその熱を同管路内を通過する流体に伝達させる際には、上記境界層が管路の内壁面と流体との間を遮る断熱層のように作用するために、流体を効率よく加熱するためには、境界層が薄い部分の外壁面を加熱することが望ましい。これに対し、上記構成によれば、内部を通過する排気ガスの流速が速く、その境界層が薄い通路壁の外壁面が、ヒータによって加熱される。このため、排気ガスを効率よく加熱することができる。また、ノズルベーンを備えたターボチャージャに適用するとともに、ノズルベーンの回動軸の近くにヒータを設けることで、同ノズルベーンをあたかも放熱フィンのように作用させることができ、排気ガスの温度をより効率よく上昇させることができる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のターボチャージャにおいて、前記ヒータの発熱量は、前記エンジンの温度に基づき調節されるものであることをその要旨とする。
【0023】
上記構成によれば、ヒータからはエンジンの温度に応じた熱量の発熱が行われる。従って、エンジンの温度、ひいては排気ガスの温度にかかわらず、同程度の時間で排気ガスの温度を強制的に上昇させることができ、触媒の早期活性化を図ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるターボチャージャを具体化した一実施の形態について、図1を参照して説明する。
【0025】
なお、この実施の形態のターボチャージャにあって、その全体としての構造は、先の図2及び図3に例示した構造と同等の構造を想定しており、それら各部についての重複する説明は割愛する。
【0026】
さて、本実施の形態のターボチャージャでは、前記通路壁16の外壁面15にヒータが設けられている。そして、このヒータを適宜のタイミングで作動させることにより、通路壁16の不要な変形の抑制や、エンジンの排気通路にあってターボチャージャよりも下流側に設けられる触媒の早期活性化が図られている。
【0027】
ここでは先ず、ヒータの配設態様及びその周辺機器について、図1を参照して説明する。
図1に示されるように、エンジンからの排気ガスが流れる排気通路17において、タービンロータ11よりも下流側では、その排気通路17の内壁が全周にわたって凹んだ形状に形成されている。この凹状の箇所(以下、環状凹部18という)は、環状通路12の通路壁16の各部の肉厚を均一化するべく形成されている。
【0028】
この環状凹部18にあって上記通路壁16の外壁面15にあたる部分には、環状のヒータ20が取り付けられている。このヒータ20としては、例えば熱線式のヒータが用いられる。本実施の形態では、各ノズルベーン13の回動軸13aが、上記通路壁16を貫通して、上記環状凹部18にまで延伸されている。上記ヒータ20は、それら回動軸13aにそれぞれ当接している。
【0029】
一方、本実施の形態では、ヒータ20の周辺機器として、例えばマイクロコンピュータなどからなる電子制御装置21が設けられている。
この電子制御装置21は、例えばエンジンの冷却水の温度(THW)を検出するための水温センサや、アクセルペダルの操作量(ACC)を検出するためのアクセルセンサ等の各種のセンサ類の検出信号を取り込む。電子制御装置21は、それらセンサ類の検出信号に基づき各種の演算を行うことで、そのときどきにおけるエンジンの運転状態や、同エンジンが搭載される車両の運転状態等を判断する。
【0030】
上記ヒータ20には、この電子制御装置21から発せられる指令信号に応じて、バッテリから電力が供給される。この電力供給により、ヒータ20は、エンジンや車両の運転状態に応じて、適宜のタイミングで発熱する。
【0031】
また、上記電子制御装置21は、こうしたヒータ制御の他にも、エンジンや車両の運転状態に応じて、例えば燃料噴射制御等といったエンジン制御にかかる各種制御を実行する。
【0032】
次に、上記ヒータ制御の実行態様をその作用と併せて具体的に説明する。
通路壁16の内壁面14の温度が外壁面15の温度よりも過度に高くなるおそれのあるときにヒータ20に通電することで、通路壁16の温度分布の均一化を図り、同通路壁16の不要な変形を抑制することが可能である。
【0033】
そして、そうした内壁面14と外壁面15との温度差が過度に大きくなるといった現象は、以下の(条件a)や(条件b)が満たされるとき、換言すれば、環状通路12内を通過する排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量が所定値以上となるときに生じることが発明者によって確認されている。
(条件a)エンジンの冷間運転時において、アクセルペダルが踏み込まれて車両が加速されること。
【0034】
エンジンの温度が低いときには、同温度が高いときと比べて、排気ガスの温度も低いために、環状通路12の通路壁16の温度も低い。この状態で車両が加速されると、エンジンの燃焼室内における混合気の燃焼温度が急激に高くなる。これに伴い、排気ガスの温度が急激に高くなり、通路壁16の内壁面14が急激に加熱されるようになる。
(条件b)車両の減速に際して燃料噴射が強制停止された直後に、アクセルペダルが踏み込まれて車両が加速されること。
【0035】
燃料噴射が停止されているときには、エンジンの排気通路に、外気温度に近い温度の空気が流れ込む。このため、環状通路12の通路壁16は空気によって冷却される。この状態から車両が加速されると、ターボチャージャに高温の排気ガスが流れ込み、通路壁16の内壁面14が急速に加熱されるようになる。
【0036】
そこで、本実施の形態では、車両が(条件a)若しくは(条件b)に該当する運転状態になったときに、上記ヒータ20の通電を開始するとともに、その後の所定時間にわたって同通電を継続するようにしている。こうしたヒータ20の通電制御は、具体的には、上記電子制御装置21により、以下の(条件A)もしくは(条件B)が満たされたと判断されたときに実行される。
(条件A)冷却水温度THWが所定温度Ta以下であり、且つアクセルペダルの操作量ACCが所定量α以上であること。この(条件A)は(条件a)を判定するためのものである。
(条件B)燃料噴射が停止された状態において、アクセルペダルの操作量ACCが所定量β以上になること。この(条件B)は(条件b)を判定するためのものである。
【0037】
これにより、通路壁16の内壁面14の温度が外壁面15の温度よりも過度に高くなるおそれのあるときに、同外壁面15がヒータ20によって加熱され、通路壁16の温度分布の均一化が図られ、それら内壁面14及び外壁面15の温度差が小さくなり、通路壁16の不要な変形が抑制されるようになる。そして、これにより、通路壁16とノズルベーン13との干渉が好適に抑制される。なお、上記所定温度Ta、及び所定量α,βとしては、環状通路12内を通過する排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量が所定値以上となる可能性が高くなる値がそれぞれ実験等により求められ、予め電子制御装置21に記憶されている。
【0038】
一方、エンジンの温度が低いときには、触媒の温度や排気ガスの温度も低い。このとき、ヒータ20に通電すれば、触媒に流れ込む排気ガスの温度を上昇させることが可能である。
【0039】
そこで、本実施の形態では、上記電子制御装置21によって、以下の(条件C)が満たされたと判断されるときにも、上記ヒータ20の通電を開始するとともに、その後の所定時間にわたってその通電を継続するようにしている。
(条件C)冷却水温度THWが所定温度Tb以下であること。
【0040】
これにより、ヒータ20によって加熱した環状通路12の通路壁16が有する熱を排気ガスへと伝達させて、排気ガスや触媒の温度を強制的に上昇させることができ、ひいては触媒が早期に活性化されるようになる。なお、上記所定温度Tbとしては、触媒の浄化性能が低いことを的確に判定可能な値が実験等により求められ、予め電子制御装置21に記憶されている。
【0041】
ここで、流体が管路内を通過する場合、その流速が高いほど、その境界層が薄くなることが知られている。管路の外壁面を加熱してその熱を同管路内を通過する流体に伝達させる際には、上記境界層が管路の内壁面と流体との間を遮る断熱層のように作用するために、流体を効率よく加熱するためには、境界層が薄い部分の外壁面を加熱することが望ましい。
【0042】
本実施の形態では、排気ガスが通過する通路の外壁面の中でも、同排気ガスの流速が速くその境界層が薄い環状通路12の外壁面15がヒータ20によって加熱される。このため、ヒータ20により加熱した通路壁16が有する熱が排気ガスへと効率よく伝達される。
【0043】
また、ヒータ20がノズルベーン13の回動軸13aに当接しているために、同ヒータ20に通電することにより、ノズルベーン13も加熱される。このため、このノズルベーン13があたかも環状通路12内に配置される放熱フィンのように作用し、排気ガスの温度が効率よく上昇される。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)通路壁16の外壁面15にヒータ20を取り付けるようにした。このため、通路壁16の内壁面14の温度が外壁面15の温度よりも過度に高くなるおそれのあるときに、ヒータ20を加熱させると、その熱が通路壁16の外壁面15から内壁面14へと伝わる。この熱伝達により、通路壁16の温度分布の均一化を図ることができ、同通路壁16の不要な変形を好適に抑制することができる。従って、通路壁16とノズルベーン13との干渉を好適に抑制することができる。
【0045】
(2)環状通路12を通過する排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量が所定値以上となるときに、ヒータ20に通電するようにした。そのため、この通電により、通路壁16の外壁面15を加熱することができ、排気ガスの温度が急激に上昇して、環状通路12の内壁面14の温度が外壁面15の温度よりも過度に高くなるときに、その温度差を的確に抑制することができるようになる。
【0046】
(3)エンジンの温度が低く、触媒の温度が低いときに、ヒータ20を通電して、環状通路12の外壁面15を加熱するようにした。これにより、加熱した通路壁16が有する熱を排気ガスへと伝達させて、同排気ガスの温度を強制的に上昇させることができ、触媒を早期に活性化させることができる。
【0047】
(4)また、排気ガスが通過する通路の外壁面の中でも、同排気ガスの流速が速いためにその境界層が薄い通路壁16の外壁面15をヒータ20によって加熱するようにした。このため、ヒータ20によって外壁面15以外の部分を加熱する構成と比べて、加熱した通路が有する熱を排気ガスへと効率よく伝達させることができる。
【0048】
(5)また、ヒータ20をノズルベーン13の回動軸13aに接触させた状態で取付けることにより、そのノズルベーン13をヒータ20によって加熱するようにした。このため、ノズルベーン13をあたかも放熱フィンのように作用させることができ、排気ガスの温度をより効率よく上昇させることができる。
【0049】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態では、ヒータ20を、複数のノズルベーン13の回動軸13a全てについて当接させたが、一部の回動軸13aにのみ当接させてもよい。また、回動軸13aを加熱することが可能であれば、ヒータ20は必ずしも回動軸13aに当接していなくてもよい。要は、ヒータによって、少なくとも何れかのノズルベーン13を好適に加熱することが可能であればよい。
【0050】
・また、通路壁16の外壁面15を加熱することのみによって排気ガスの温度を好適に上昇させることが可能ならば、ノズルベーン13を加熱可能な態様でヒータを設ける必要もない。なお、こうした構成であれば、ノズルベーン13が設けられないターボチャージャにも本発明は適用可能である。
【0051】
・上記実施の形態では、環状凹部18にあって通路壁16の外壁面15にあたる部分に、環状のヒータ20を取り付けるようにしたが、必ずしも環状である必要はない。例えば複数のヒータを、等間隔をおいて、あるいは通路壁16の温度分布に応じたかたちで配設する等しても、環状通路12の通路壁16の不要な変形を抑制することはできる。
【0052】
・上記実施の形態では、前記(条件A)、(条件B)及び(条件C)の何れかが満たされたことをもって、ヒータ20への通電を開始するようにした。(条件A)及び(条件B)については、環状通路12の内壁面14の温度が外壁面15の温度よりも過度に高くなるおそれのあることを的確に判断することが可能であれば、任意に変更可能である。また、(条件C)については、触媒の浄化性能が低いことを的確に判断することが可能であれば、適宜変更可能である。
【0053】
・上記実施の形態では、ヒータ20への通電が開始された後の所定時間にわたり同通電を継続するようにしたが、この所定時間は固定値である必要はない。例えば、車両の加速状態やエンジンの温度等に応じて、その通電を停止させるタイミングを可変設定することにより、所定時間を可変値とすることも可能である。
【0054】
・上記実施の形態において、通路壁16の不要な変形を抑える上では、エンジンの温度が低いときに、ヒータ20により通路壁16の外壁面15を加熱することも有効である。これは、エンジンの温度が低いとき、換言すれば、外壁面15の温度がさほど上昇していないために同外壁面15の温度が内壁面14の温度よりも低いときに、外壁面15を予め加熱して、その温度差を補償することが可能になるからである。また、このときヒータの発熱量をエンジンの温度に応じて調節することで、上記温度差をより適切に補償することが可能になる。
【0055】
・上記実施の形態において、ヒータ20の通電制御に際し、その発熱量を車両の加速状態や、通路壁16の内壁面14と外壁面15との温度差、あるいはエンジンの温度等に基づいて可変設定するようにしてもよい。例えば、ヒータ20の発熱量を排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量に基づいて可変設定することが挙げられる。こうした構成によれば、ヒータ20からは排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量に応じた熱量の発熱が行われる。従って、排気ガスの温度上昇の程度にかかわらず、同程度の時間で通路壁16の温度分布を均一化させることができる。
【0056】
・その他、ヒータ20の発熱量を、エンジンの温度に基づき調節すること等も考えられる。こうした構成によれば、エンジン温度が低いときほどヒータ20の発熱量を大きくすることで、排気ガスの温度にかかわらず、同程度の時間で排気ガスの温度を強制的に上昇させることができ、触媒の早期活性化を図ることができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態には、次のような形態を含むものであることを付記しておく。
(1)前記環状通路に設けられるとともに、同環状通路の流路面積を可変とするべく開閉されるノズルベーンを更に備える請求項1〜6のいずれかに記載のターボチャージャ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるターボチャージャの一実施の形態及びその周辺構造を示すブロック図。
【図2】従来のターボチャージャを示す断面図。
【図3】同ターボチャージャのノズルベーンの配設態様を示す略図。
【図4】同ターボチャージャの環状通路の周辺構造を拡大して示す断面図。
【符号の説明】
10…スクロール通路、11…タービンロータ、12…環状通路、13…ノズルベーン、13a…回動軸、14…内壁、15…外壁、16…通路壁、17…排気通路、18…環状凹部、20…ヒータ、21…電子制御装置。
Claims (6)
- エンジンから排出される排気ガスが流れ込む渦巻き形状のスクロール通路と、タービンロータの周りに形成され、且つ前記スクロール通路内に流れ込んだ排気ガスをその流速を高めつつ前記タービンロータに吹き付けるための環状通路とを備えたターボチャージャにおいて、
前記環状通路の通路壁の外壁面にヒータが取り付けられてなる
ことを特徴とするターボチャージャ。 - 前記ヒータは、通路壁の内壁面と外壁面との温度差に応じて発熱するものである
請求項1に記載のターボチャージャ。 - 前記ヒータは、前記環状通路を通過する排気ガスの温度の上昇の程度に応じて発熱するものである
請求項1に記載のターボチャージャ。 - 前記ヒータの発熱量は、前記排気ガスの温度の所定時間あたりの上昇量に基づき調節されるものである
請求項3に記載のターボチャージャ。 - 前記ヒータは、前記エンジンの温度が低いときに発熱するものである
請求項1〜4のいずれかに記載のターボチャージャ。 - 前記ヒータの発熱量は、前記エンジンの温度に基づき調節されるものである
請求項5に記載のターボチャージャ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003003073A JP2004218435A (ja) | 2003-01-09 | 2003-01-09 | ターボチャージャ |
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JP2003003073A JP2004218435A (ja) | 2003-01-09 | 2003-01-09 | ターボチャージャ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2333246A1 (en) * | 2009-12-01 | 2011-06-15 | Siemens Aktiengesellschaft | Blind wall for a reheat turbine |
JP2013007367A (ja) * | 2011-06-27 | 2013-01-10 | Ihi Corp | 廃熱発電装置及び発電装置 |
-
2003
- 2003-01-09 JP JP2003003073A patent/JP2004218435A/ja active Pending
Cited By (2)
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EP2333246A1 (en) * | 2009-12-01 | 2011-06-15 | Siemens Aktiengesellschaft | Blind wall for a reheat turbine |
JP2013007367A (ja) * | 2011-06-27 | 2013-01-10 | Ihi Corp | 廃熱発電装置及び発電装置 |
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