JP2009299631A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンの排気管内で凝縮水が発生することを効果的に抑制にする。
【解決手段】エンジン11の排気管内で凝縮水が発生する可能性があると判定されたときに、凝縮水抑制制御実行条件が成立しているか否かを判定し、凝縮水抑制制御実行条件が成立していると判定されたときに、凝縮水抑制制御を実行する。この凝縮水抑制制御では、エンジン11の少なくとも一部の気筒の燃料噴射を停止する燃料カット制御を実行することで、燃料カット制御を実行する休止気筒から水蒸気をあまり含まない高温の空気のみを排気管に排出して、排気管に流れる水蒸気量を少なくしながら排気管の温度を上昇させる。これにより、排気管内で凝縮水が発生することを効果的に抑制すると共に、凝縮水の蒸発も促進する。この凝縮水抑制制御の際に、各気筒の排気バルブを通常よりも早いタイミングで開弁したり、吸入空気量を通常よりも多くするようにしても良い。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の排気通路内で凝縮水が発生することを抑制する凝縮水抑制制御を実行する機能を備えた内燃機関の制御装置に関する発明である。
近年の電子制御化された内燃機関では、排気管に排出ガスの空燃比やリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ(空燃比センサ、酸素センサ等)を配置し、この排出ガスセンサの出力に基づいて排出ガスの空燃比を目標空燃比に一致させるように燃料噴射量等をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御を実行するようにしている。一般に、排出ガスセンサは、センサ素子の温度が活性温度まで昇温しないと検出精度が悪いため、排出ガスセンサに内蔵したヒータでセンサ素子を加熱して排出ガスセンサの活性化を促進するようにしている。
ところで、内燃機関の排出ガスには、燃料と空気の燃焼反応によって生成された水蒸気が含まれており、内燃機関の始動直後で排気管の温度が低いときには、水蒸気を含んだ排出ガスが排気管内で冷やされるため、排気管内で排出ガス中の水蒸気が凝縮して凝縮水が生じることがある。このため、始動直後に排気管内で生じた凝縮水が排出ガスセンサのセンサ素子に付着する可能性があり、始動直後からセンサ素子をヒータで加熱すると、ヒータで加熱された高温のセンサ素子が凝縮水の付着による局所冷却(熱歪み)によって割れてしまう“素子割れ”が発生することがある。
この対策として、特許文献1(特開2007−113920号公報)に記載されているように、空燃比センサの素子抵抗に基づいて排気管の温度を判定して排気管内で凝縮水が発生する状態であるか否かを判定し、排気管内で凝縮水が発生する状態であると判定されたときに、内燃機関の点火時期を遅角して排出ガスの温度を上昇させることで、排気管の温度を上昇させて排気管内で凝縮水が発生することを抑制するようにしたものがある。
特開2007−113920号公報(第2頁、図4等)
しかし、上記特許文献1の技術のように、内燃機関の点火時期を遅角して排出ガスの温度を上昇させる制御を実行しても、各気筒での混合気の燃焼反応によって生じる水蒸気量はほぼ同じであり、各気筒から水蒸気を多く含んだ排出ガスが排気管に流れるという事情は変わらないため、排気管内で凝縮水が発生することを効果的に抑制することができないという問題がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、内燃機関の排気通内で凝縮水が発生することを効果的に抑制することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関の運転条件及び/又は環境条件に基づいて排気通路内で凝縮水が発生する可能性があるか否かを判定する凝縮水発生可能性判定手段と、凝縮水発生可能性判定手段により凝縮水が発生する可能性があると判定されたときに所定の凝縮水抑制制御実行条件が成立しているか否かを判定する実行条件判定手段と、実行条件判定手段により凝縮水抑制制御実行条件が成立していると判定されたときに凝縮水の発生を抑制する凝縮水抑制制御を実行する凝縮水抑制制御手段とを備え、凝縮水抑制制御の際に内燃機関の少なくとも一部の気筒の燃料噴射を停止する燃料カット制御を実行するようにしたものである。
燃料カット制御を実行する休止気筒では、圧縮行程で筒内の空気が圧縮されて高温になるが、燃焼反応が発生しないため、燃焼反応による水蒸気の生成がなく、水蒸気をあまり含まない高温の空気のみを排気通路に排出することができる。従って、凝縮水抑制制御の際に内燃機関の少なくとも一部の気筒の燃料噴射を停止する燃料カット制御を実行すれば、休止気筒から水蒸気をあまり含まない高温の空気のみを排気通路に排出して、排気通路に流れる水蒸気量を少なくしながら排気通路の温度を上昇させることができ、排気通路内で凝縮水が発生することを効果的に抑制することができると共に、凝縮水の蒸発も促進することができる。
更に、請求項2のように、凝縮水抑制制御の際に内燃機関の排気バルブを通常よりも早いタイミング(例えば、圧縮行程又は膨張行程のうちの上死点に近いタイミング)で開弁する排気バルブ早開き制御を実行するようにしても良い。燃料カット制御を実行する休止気筒では、圧縮行程で筒内の空気が圧縮されて高温になるが、その後、膨張行程で筒内の空気が膨張するのに従って筒内の空気の温度が低下する。従って、排気バルブを通常よりも早いタイミング(例えば、圧縮行程又は膨張行程のうちの上死点に近いタイミング)で開弁すれば、休止気筒では、膨張による温度低下がほとんど無い(又は少ない)段階で筒内の空気を排出することができ、より高温の空気を排出することが可能となる。一方、燃料噴射を実行する燃焼気筒では、燃焼中又は燃焼直後の高温の燃焼ガスをほとんど温度低下させずに排出することができる。この排気バルブ早開き制御による排出ガス(休止気筒から排出される高温の空気や燃焼気筒から排出される高温の燃焼ガス)により排気通路の温度を効果的に上昇させることができる。
尚、上記請求項2に記載された技術思想(凝縮水抑制制御の際に排気バルブ早開き制御を実行する技術思想)は、上記請求項1の構成(凝縮水抑制制御の際に燃料カット制御を実行する構成)に限定されず、凝縮水抑制制御の際に燃料カット制御を実行しないシステムに対しても適用して実施できる(請求項7参照)。
ところで、凝縮水抑制制御の際に内燃機関の少なくとも一部の気筒の燃料噴射を停止する燃料カット制御を実行すると、内燃機関の出力トルクが減少して内燃機関の回転速度が低下してしまう可能性がある。
この対策として、請求項3のように、燃料カット制御中に回転維持制御手段により内燃機関の回転速度を所定回転速度に維持するようにしても良い。このようにすれば、燃料カット制御により内燃機関の出力トルクが減少しても、回転維持制御により内燃機関の回転速度を所定回転速度(例えば、アクセル開度に応じたエンジン回転速度)に維持することができる。しかも、全気筒の燃料カットを実行しても、回転維持制御により内燃機関の回転速度を所定回転速度に維持することが可能となるため、全気筒の燃料カットを実行して全気筒から水蒸気をあまり含まない高温の空気のみを排気通路に排出することが可能となり、排気通路内で凝縮水が発生することを効果的に抑制することができる。
例えば、請求項4のように、車両の動力源として内燃機関と車両駆動用モータとを備えたハイブリッド車の場合には、燃料カット制御中に車両駆動用モータの動力で内燃機関の回転速度を所定回転速度に維持するようにしても良い。或は、請求項5のように、内燃機関をクランキングするためのスタータを備えシステムの場合には、燃料カット制御中にスタータの動力で内燃機関の回転速度を所定回転速度に維持するようにしても良い。いずれの場合も、内燃機関の回転速度を所定回転速度に維持するための動力源(モータ等)を新たに搭載する必要がなく、近年の重要な技術的課題である低コスト化の要求を満たすことができる。
また、請求項6のように、実行条件判定手段は、凝縮水発生可能性判定手段により凝縮水が発生する可能性があると判定されたときに所定の減速時燃料カット実行条件が成立しているか否かを判定し、凝縮水抑制制御手段は、実行条件判定手段により減速時燃料カット実行条件が成立していると判定されたときに内燃機関の全気筒の燃料噴射を停止するようにしても良い。このようにすれば、減速時燃料カット要求に対応しながら、全気筒から水蒸気をあまり含まない高温の空気のみを排気通路に排出して、排気通路内で凝縮水が発生することを効果的に抑制することができる。
また、請求項8のように、凝縮水抑制制御の際に内燃機関の吸入空気量を通常よりも多くする吸入空気量増加制御を実行するようにしても良い。凝縮水抑制制御の際に燃料カット制御や排気バルブ早開き制御を実行すると、内燃機関の出力トルクが減少するため、吸入空気量増加制御を実行して燃焼気筒の出力トルクを増加させれば、燃料カット制御や排気バルブ早開き制御による出力トルクの減少分を、吸入空気量増加制御による出力トルクの増加分で補うことができ、ドライバビリティを向上することができる。しかも、燃焼気筒では、吸入空気量の増加によって燃焼による発熱量が増加して燃焼ガスの温度上昇量が増加し且つ高温の燃焼ガスの排出量も増加するため、燃焼ガスから排気通路等へ伝達される熱量が増加して、排気通路の温度上昇効果を高めることができる。また、休止気筒では、吸入空気量の増加によって筒内の空気の圧縮率が増加して空気の温度上昇量が増加し且つ高温の空気の排出量も増加するため、高温の空気から排気通路等へ伝達される熱量が増加して、排気通路の温度上昇効果を高めることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図3に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
更に、スロットルバルブ16の下流側には、サージタンク18が設けられ、このサージタンク18に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が設けられ、各気筒の吸気マニホールド20の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁21が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ22が取り付けられ、各点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
また、エンジン11には、吸気バルブ31のバルブタイミング(開閉タイミング)を変化させる吸気側可変バルブタイミング装置32と、排気バルブ33のバルブタイミングを変化させる排気側可変バルブタイミング装置34とが設けられている。
一方、エンジン11の排気管23(排気通路)には、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ24(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられ、この排出ガスセンサ24には、センサ素子を加熱するヒータ(図示せず)が内蔵されている(又は外付けされている)。この排出ガスセンサ24の下流側に、排出ガスを浄化する三元触媒等の触媒25が設けられている。
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ26や、ノッキング振動を検出するノックセンサ27が取り付けられている。また、クランク軸28の外周側には、クランク軸28が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ29が取り付けられ、このクランク角センサ29の出力信号に基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。
これら各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)30に入力される。このECU30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁21の燃料噴射量や点火プラグ22の点火時期を制御する。
その際、ECU30は、排出ガスセンサ24の出力に基づいて排出ガスの空燃比を目標空燃比に一致させるように燃料噴射量等をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御を実行することで、排出ガスの空燃比が触媒25の浄化ウインドの範囲内になるように制御して、触媒25の排出ガス浄化効率を高めるようにしている。
また、排出ガスセンサ24は、センサ素子の温度が活性温度(例えば750℃)まで昇温しないと検出精度が悪いため、ECU30は、センサ素子の温度が活性温度になるように排出ガスセンサ24のヒータの通電を制御してセンサ素子の加熱を制御する。
ところで、エンジン11の排出ガスには、燃料と空気の燃焼反応によって生成された水蒸気が含まれており、エンジン11の始動直後で排気管23の温度が低いときには、水蒸気を含んだ排出ガスが排気管23内で冷やされるため、排気管23内で排出ガス中の水蒸気が凝縮して凝縮水が生じることがある。このため、始動直後に排気管23内で生じた凝縮水が排出ガスセンサ24のセンサ素子に付着する可能性があり、始動直後からセンサ素子をヒータで加熱すると、ヒータで加熱された高温のセンサ素子が凝縮水の付着による局所冷却(熱歪み)によって割れてしまう“素子割れ”が発生することがある。
この対策として、ECU30は、後述する図3の凝縮水抑制制御ルーチンを実行することで、排気管23内で凝縮水が発生することを抑制する凝縮水抑制制御を次のようにして実行する。
図2に示すように、まず、凝縮水発生可能性判定部35(凝縮水発生可能性判定手段)で、排気管23内で凝縮水が発生する可能性があるか否かを、例えば、冷却水温が所定温度よりも低いか否かによって判定する。ここで、排気管23内で凝縮水が発生する可能性があるか否かを判定する方法は、適宜変更しても良く、例えば、冷却水温、吸気温、排出ガス温度、排気管23の温度、エンジン始動後の経過時間、エンジン回転数積算値、燃料噴射量積算値、吸入空気量積算値、車速等の運転条件や、外気温、大気圧等の環境条件のうちの1つ又は2つ以上のパラメータを用いて排気管23内で凝縮水が発生する可能性があるか否かを判定するようにしても良い。
この凝縮水発生可能性判定部35で、排気管23内で凝縮水が発生する可能性があると判定された場合には、実行条件判定部36(実行条件判定手段)で、所定の凝縮水抑制制御実行条件が成立しているか否かを判定すると共に、所定の減速時燃料カット実行条件が成立しているか否かを判定する。
この場合、凝縮水抑制制御実行条件が成立しているか否かは、例えば、アクセル開度が所定開度よりも小さく且つ排気管23の温度が所定温度よりも低いか否かによって判定する。アクセル開度が比較的大きくて要求トルクが大きい運転領域では、後述する凝縮水抑制制御(燃料カット制御や排気バルブ早開き制御)がドライバビリティに及ぼす影響が大きいため、アクセル開度が所定開度よりも小さいことを凝縮水抑制制御実行条件の1つとしている。また、排気管23の温度が比較的高いときには、凝縮水がほとんど発生しないため、排気管23の温度が所定温度よりも低いことを凝縮水抑制制御実行条件の1つとしている。
尚、排気管23の温度は、温度センサで検出するようにしても良いし、冷却水温、吸気温、排出ガス温度、エンジン始動後の経過時間、エンジン回転数積算値、燃料噴射量積算値、吸入空気量積算値、車速等の運転条件や、外気温、大気圧等の環境条件のうちの1つ又は2つ以上のパラメータを用いて排気管23の温度を推定するようにしても良い。
一方、減速時燃料カット実行条件が成立しているか否かは、例えば、アクセル開度が全閉(アクセルオフ)で且つエンジン回転速度が所定の燃料カット復帰回転速度よりも高いか否かによって判定する。
この実行条件判定部36で、凝縮水抑制制御実行条件が成立していると判定され且つ減速時燃料カット実行条件が成立していないと判定された場合には、凝縮水抑制制御部37(凝縮水抑制制御手段)で、通常の凝縮水抑制制御を実行する。この通常の凝縮水抑制制御では、燃料カット制御部38で、エンジン11の一部の気筒(例えば6気筒のうちの2気筒又は3気筒)の燃料噴射を停止する部分燃料カット制御を実行する。
燃料カット制御を実行する休止気筒では、圧縮行程で筒内の空気が圧縮されて高温になるが、燃焼反応が発生しないため、燃焼反応による水蒸気の生成がなく、水蒸気をあまり含まない高温の空気を排気管23に排出することができる。従って、凝縮水抑制制御の際にエンジン11の一部の気筒の燃料噴射を停止する部分燃料カット制御を実行することで、休止気筒から水蒸気をあまり含まない高温の空気を排気管23に排出して、排気管23に流れる水蒸気量を少なくしながら排気管23の温度を上昇させる。これにより、排気管23内で凝縮水が発生することを効果的に抑制すると共に、凝縮水の蒸発も促進する。
更に、排気バルブ早開き制御部39で、各気筒の排気バルブバルブタイミング(排気バルブ33のバルブタイミング)を進角補正するように排気側可変バルブタイミング装置34を制御して、各気筒の排気バルブ33を通常よりも早いタイミング(例えば、圧縮行程又は膨張行程のうちの上死点に近いタイミング)で開弁するように制御する排気バルブ早開き制御を実行する。
燃料カット制御を実行する休止気筒では、圧縮行程で筒内の空気が圧縮されて高温になるが、その後、膨張行程で筒内の空気が膨張するのに従って筒内の空気の温度が低下するため、排気バルブ33を通常よりも早いタイミング(例えば、圧縮行程又は膨張行程のうちの上死点に近いタイミング)で開弁する排気バルブ早開き制御を実行することで、休止気筒では、膨張による温度低下がほとんど無い(又は少ない)段階で筒内の空気を排出して、より高温の空気を排出する。一方、燃料噴射を実行する燃焼気筒では、燃焼中又は燃焼直後の燃焼ガスを排出して、より高温の燃焼ガスを排出する。この排気バルブ早開き制御による排出ガス(休止気筒から排出される高温の空気や燃焼気筒から排出される高温の燃焼ガス)により排気管23の温度を効果的に上昇させる。
また、吸入空気量増加制御部40で、スロットル開度を増量補正するようにスロットルバルブ16のモータ15を制御して、吸入空気量を通常よりも多くする吸入空気量増加制御を実行する。
凝縮水抑制制御の際に燃料カット制御や排気バルブ早開き制御を実行すると、エンジン11の出力トルクが減少するため、吸入空気量増加制御を実行して燃焼気筒の出力トルクを増加させることで、燃料カット制御や排気バルブ早開き制御による出力トルクの減少分を、吸入空気量増加制御による出力トルクの増加分で補う。しかも、燃焼気筒では、吸入空気量の増加によって燃焼による発熱量が増加して燃焼ガスの温度上昇量が増加し且つ高温の燃焼ガスの排出量も増加するため、燃焼ガスから排気管23等へ伝達される熱量が増加して、排気管23の温度上昇効果を高めることができる。また、休止気筒では、吸入空気量の増加によって筒内の空気の圧縮率が増加して空気の温度上昇量が増加し且つ高温の空気の排出量も増加するため、高温の空気から排気管23等へ伝達される熱量が増加して、排気管23の温度上昇効果を高めることができる。
一方、実行条件判定部36で、凝縮水抑制制御実行条件が成立していると判定され且つ減速時燃料カット実行条件が成立していると判定された場合には、減速時燃料カット実行条件成立時の凝縮水抑制制御を実行する。この減速時燃料カット実行条件成立時の凝縮水抑制制御では、燃料カット制御部38で、エンジン11の全気筒の燃料噴射を停止する全気筒燃料カット制御を実行することで、減速時燃料カット要求に対応しながら、全気筒から水蒸気をあまり含まない高温の空気を排気管23に排出して、排気管23内で凝縮水が発生することを効果的に抑制する。
以下、ECU30が実行する図3の凝縮水抑制制御ルーチンの処理内容を説明する。
図3に示す凝縮水抑制制御ルーチンは、ECU30の電源オン中に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、排気管23内で凝縮水が発生する可能性があるか否かを、例えば、冷却水温が所定温度よりも低いか否かによって判定する。
このステップ101で、排気管23内で凝縮水が発生する可能性があると判定された場合には、ステップ102に進み、凝縮水抑制制御実行条件が成立しているか否かを、例えば、アクセル開度が所定開度よりも小さく且つ排気管23の温度が所定温度よりも低いか否かによって判定する。
このステップ102で、凝縮水抑制制御実行条件が成立していると判定された場合には、ステップ103に進み、減速時燃料カット実行条件が成立しているか否かを、例えば、アクセル開度が全閉(アクセルオフ)で且つエンジン回転速度が所定の燃料カット復帰回転速度よりも高いか否かによって判定する。
上記ステップ102で凝縮水抑制制御実行条件が成立していると判定され、且つ、上記ステップ103で減速時燃料カット実行条件が不成立であると判定された場合には、ステップ104に進み、通常の凝縮水抑制制御を実行する。この通常の凝縮水抑制制御では、エンジン11の一部の気筒の燃料噴射を停止する部分燃料カット制御を実行する。これにより、休止気筒から水蒸気をあまり含まない高温の空気のみを排気管23に排出して、排気管23に流れる水蒸気量を少なくしながら排気管23の温度を上昇させる。
更に、各気筒の排気バルブバルブタイミングを進角補正するように排気側可変バルブタイミング装置34を制御して、各気筒の排気バルブ33を通常よりも早いタイミング(例えば、圧縮行程又は膨張行程のうちの上死点に近いタイミング)で開弁するように制御する排気バルブ早開き制御を実行する。これにより、休止気筒からより高温の空気を排出すると共に、燃焼気筒からより高温の燃焼ガスを排出して、排気管23の温度を効果的に上昇させる。
また、スロットル開度を増量補正するようにスロットルバルブ16のモータ15を制御して、吸入空気量を通常よりも多くする吸入空気量増加制御を実行する。これにより、燃料カット制御や排気バルブ早開き制御による出力トルクの減少分を、吸入空気量増加制御による出力トルクの増加分で補う。更に、燃焼気筒では、吸入空気量の増加によって燃焼による発熱量が増加して燃焼ガスの温度昇量が増加し且つ高温の燃焼ガスの排出量も増加するため、燃焼ガスから排気管23等へ伝達される熱量が増加して、排気管23の温度上昇効果を高めることができる。また、休止気筒では、吸入空気量の増加によって筒内の空気の圧縮率が増加して空気の温度上昇量が増加し且つ高温の空気の排出量も増加するため、高温の空気から排気管23等へ伝達される熱量が増加して、排気管23の温度上昇効果を高めることができる。
一方、上記ステップ102で凝縮水抑制制御実行条件が成立していると判定され、且つ、上記ステップ103で減速時燃料カット実行条件が成立していると判定された場合には、ステップ105に進み、減速時燃料カット実行条件成立時の凝縮水抑制制御を実行する。この減速時燃料カット実行条件成立時の凝縮水抑制制御では、エンジン11の全気筒の燃料噴射を停止する全気筒燃料カット制御を実行する。これにより、減速時燃料カット要求に対応しながら、全気筒から水蒸気をあまり含まない高温の空気を排気管23に排出して、排気管23内で凝縮水が発生することを効果的に抑制する。更に、排気バルブ早開き制御及び吸入空気量増加制御を実行する。
以上説明した本実施例1では、排気管23内で凝縮水が発生する可能性があると判定されたときに、凝縮水抑制制御実行条件が成立しているか否かを判定し、凝縮水抑制制御実行条件が成立していると判定されたときに、通常の凝縮水抑制制御を実行する。この通常の凝縮水抑制制御では、エンジン11の一部の気筒の燃料噴射を停止する部分燃料カット制御を実行するようにしたので、休止気筒から水蒸気をあまり含まない高温の空気を排気管23に排出して、排気管23に流れる水蒸気量を少なくしながら排気管23の温度を上昇させることができる。これにより、排気管23内で凝縮水が発生することを効果的に抑制することができると共に、凝縮水の蒸発も促進することができる。
更に、本実施例1では、凝縮水抑制制御の際に各気筒の排気バルブ33を通常よりも早いタイミングで開弁するように制御する排気バルブ早開き制御を実行するようにしたので、排気バルブ早開き制御による排出ガス(休止気筒から排出される高温の空気や燃焼気筒から排出される高温の燃焼ガス)により排気管23の温度を効果的に上昇させることができる。
また、本実施例1では、凝縮水抑制制御の際に吸入空気量を通常よりも多くする吸入空気量増加制御を実行するようにしたので、燃料カット制御や排気バルブ早開き制御による出力トルクの減少分を、吸入空気量増加制御による出力トルクの増加分で補うことができて、ドライバビリティを向上できる。しかも、吸入空気量の増加によって排出ガス(休止気筒から排出される高温の空気や燃焼気筒から排出される高温の燃焼ガス)から排気管23等へ伝達される熱量が増加して、排気管23の温度上昇効果を高めることができる。
また、本実施例1では、凝縮水抑制制御実行条件が成立していると判定され且つ減速時燃料カット実行条件が成立していると判定されたときに、減速時燃料カット実行条件成立時の凝縮水抑制制御を実行する。この減速時燃料カット実行条件成立時の凝縮水抑制制御では、エンジン11の全気筒の燃料噴射を停止する全気筒燃料カット制御を実行するようにしたので、減速時燃料カット要求に対応しながら、全気筒から水蒸気をあまり含まない高温の空気を排気管23に排出することができ、排気管23内で凝縮水が発生することを更に効果的に抑制することができる。
次に、図4及び図5を用いて本発明をハイブリッド車に適用した実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分については説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
図4に示すように、ハイブリッド車の動力源として、エンジン11と車両駆動用モータ41(例えば交流モータ)が搭載され、この車両駆動用モータ41でエンジン11を回転駆動できるように構成されている。
ECU30は、後述する図5の凝縮水抑制制御ルーチンを実行することで、実行条件判定部36で、凝縮水抑制制御実行条件が成立していると判定された場合に、凝縮水抑制制御部37で、凝縮水抑制制御を実行する。この凝縮水抑制制御では、エンジン11の全気筒の燃料噴射を停止する全気筒燃料カット制御を実行すると共に、排気バルブ早開き制御及び吸入空気量増加制御を実行する。
更に、エンジン回転維持制御部42(回転維持制御手段)で、全気筒燃料カット制御中に、車両駆動用モータ41の動力でエンジン11を回転駆動することで、エンジン回転速度を所定回転速度(例えば、アクセル開度に応じたエンジン回転速度)に維持する回転維持制御を実行する。
図5に示す凝縮水抑制制御ルーチンでは、ステップ201で、排気管23内で凝縮水が発生する可能性があるか否かを判定し、排気管23内で凝縮水が発生する可能性があると判定されれば、ステップ202に進み、凝縮水抑制制御実行条件が成立しているか否かを判定する。
このステップ202で、凝縮水抑制制御実行条件が成立していると判定された場合には、ステップ203に進み、凝縮水抑制制御を実行する。この凝縮水抑制制御では、エンジン11の全気筒の燃料噴射を停止する全気筒燃料カット制御を実行する。これにより、全気筒から水蒸気をあまり含まない高温の空気のみを排気管23に排出して、排気管23内で凝縮水が発生することを効果的に抑制する。更に、排気バルブ早開き制御及び吸入空気量増加制御を実行する。
この後、ステップ204に進み、全気筒燃料カット制御中に、車両駆動用モータ41の動力でエンジン11を回転駆動することで、エンジン回転速度を所定回転速度(例えば、アクセル開度に応じたエンジン回転速度)に維持する回転維持制御を実行する。
以上説明した本実施例2では、全気筒燃料カット制御中に、エンジン回転速度を所定回転速度に維持する回転維持制御を実行するようにしたので、全気筒燃料カット制御によりエンジン11の出力トルクが0になっても、回転維持制御によりエンジン回転速度を所定回転速度に維持することができる。
また、本実施例2では、全気筒燃料カット制御中に車両駆動用モータ41の動力でエンジン11を回転駆動することで回転維持制御を実行するようにしたので、回転維持制御を実行するための動力源(モータ等)を新たに搭載する必要がなく、近年の重要な技術的課題である低コスト化の要求を満たすことができる。
尚、車両の動力源としてエンジン11のみを搭載した車両の場合には、エンジン11をクランキングするためのスタータの動力でエンジン11を回転駆動することで回転維持制御を実行するようにしても良い。
また、上記実施例2では、凝縮水抑制制御の際に全気筒燃料カット制御を実行し、この全気筒燃料カット制御中に回転維持制御を実行するようにしたが、凝縮水抑制制御の際に一部の気筒の燃料噴射を停止する部分燃料カット制御を実行し、この部分燃料カット制御中に回転維持制御を実行するようにしても良い。
また、上記各実施例1,2では、凝縮水抑制制御の際に、燃料カット制御と排気バルブ早開き制御と吸入空気量増加制御を3つとも実行するようにしたが、凝縮水抑制制御の際に実行する制御を適宜変更しても良く、例えば、排気バルブ早開き制御を省略して、燃料カット制御と吸入空気量増加制御の2つを実行するようにしたり、燃料カット制御のみを実行するようにしても良い。或は、燃料カット制御を省略して、排気バルブ早開き制御と吸入空気量増加制御の2つを実行するようにしたり、排気バルブ早開き制御のみを実行するようにしても良い。また、凝縮水抑制制御の際に点火時期を遅角して排出ガスの温度を上昇させる制御を組み合わせて実行するようにしても良い。
その他、本発明は、図1に示すような吸気ポート噴射式エンジンに限定されず、筒内噴射式エンジンや、吸気ポート噴射用の燃料噴射弁と筒内噴射用の燃料噴射弁の両方を備えたデュアル噴射式のエンジンにも適用して実施できる。
本発明の実施例1におけるエンジン制御システム全体の概略構成図である。 実施例1の凝縮水抑制制御の機能を概略的に示すブロック図である。 実施例1の凝縮水抑制制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。 実施例2の凝縮水抑制制御の機能を概略的に示すブロック図である。 実施例2の凝縮水抑制制御ルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、16…スロットルバルブ、21…燃料噴射弁、22…点火プラグ、23…排気管(排気通路)、24…排出ガスセンサ、30…ECU、33…排気バルブ、34…排気側可変バルブタイミング装置、35…凝縮水発生可能性判定部(凝縮水発生可能性判定手段)、36…実行条件判定部(実行条件判定手段)、37…凝縮水抑制制御部(凝縮水抑制制御手段)、38…燃料カット制御部、39…排気バルブ早開き制御部、40…吸入空気量増加制御部、41…車両駆動用モータ、42…エンジン回転維持制御部(回転維持制御手段)

Claims (8)

  1. 内燃機関の運転条件及び/又は環境条件に基づいて排気通路内で凝縮水が発生する可能性があるか否かを判定する凝縮水発生可能性判定手段と、
    前記凝縮水発生可能性判定手段により前記凝縮水が発生する可能性があると判定されたときに所定の凝縮水抑制制御実行条件が成立しているか否かを判定する実行条件判定手段と、
    前記実行条件判定手段により前記凝縮水抑制制御実行条件が成立していると判定されたときに前記凝縮水の発生を抑制する凝縮水抑制制御を実行する凝縮水抑制制御手段とを備え、
    前記凝縮水抑制制御手段は、前記凝縮水抑制制御の際に内燃機関の少なくとも一部の気筒の燃料噴射を停止する燃料カット制御を実行する手段を有することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記凝縮水抑制制御手段は、前記凝縮水抑制制御の際に内燃機関の排気バルブを通常よりも早いタイミングで開弁する排気バルブ早開き制御を実行する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記燃料カット制御中に内燃機関の回転速度を所定回転速度に維持する回転維持制御手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 車両の動力源として内燃機関と車両駆動用モータとを併用し、
    前記回転維持制御手段は、前記燃料カット制御中に前記車両駆動用モータの動力で内燃機関の回転速度を所定回転速度に維持することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 内燃機関をクランキングするためのスタータを備え、
    前記回転維持制御手段は、前記燃料カット制御中に前記スタータの動力で内燃機関の回転速度を所定回転速度に維持することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記実行条件判定手段は、前記凝縮水発生可能性判定手段により前記凝縮水が発生する可能性があると判定されたときに所定の減速時燃料カット実行条件が成立しているか否かを判定し、
    前記凝縮水抑制制御手段は、前記実行条件判定手段により前記減速時燃料カット実行条件が成立していると判定されたときに内燃機関の全気筒の燃料噴射を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 内燃機関の運転条件及び/又は環境条件に基づいて排気通路内で凝縮水が発生する可能性があるか否かを判定する凝縮水発生可能性判定手段と、
    前記凝縮水発生可能性判定手段により前記凝縮水が発生する可能性があると判定されたときに所定の凝縮水抑制制御実行条件が成立しているか否かを判定する実行条件判定手段と、
    前記実行条件判定手段により前記凝縮水抑制制御実行条件が成立していると判定されたときに前記凝縮水の発生を抑制する凝縮水抑制制御を実行する凝縮水抑制制御手段とを備え、
    前記凝縮水抑制制御手段は、前記凝縮水抑制制御の際に内燃機関の排気バルブを通常よりも早いタイミングで開弁する排気バルブ早開き制御を実行する手段を有することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  8. 前記凝縮水抑制制御手段は、前記凝縮水抑制制御の際に内燃機関の吸入空気量を通常よりも増加させる吸入空気量増加制御を実行する手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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