JP2004218171A - ポリエステルフィラメント糸の製造方法 - Google Patents

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剛 益田
Mitsue Yoshimura
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Abstract

【課題】嵩高で柔らかい風合いを呈し、均整性な外観を有する織編物が得られるポリエステルフィラメント糸を安定して製造する方法を提供する。
【解決手段】コアー部形成用吐出孔を通して溶融吐出されたポリエステルに、該吐出孔の周囲に間隔をおいて放射状に配置された複数のフィン部形成用スリット状吐出孔を通して溶融吐出された上記と同一のポリエステルを溶融状態で接合し、冷却固化してポリエステルフィラメントを得た後、該フィラメントをアルカリ減量処理して、フィン部の少くとも一部をコアー部から分離する。但し該ポリエステルは、特定のチタン化合物とリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特殊ポリエステルフィラメント糸の製造方法に関する。さらに詳しくは、アルカリ減量処理によりコアー部とフィン部が分離されて、フィラメント内に大きな空隙が形成されるポリエステルフィラメント糸を安定して製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィラメント糸、特にポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸は、衣料素材として広く用いられているが、緻密な繊維構造を有しているために、風合が硬いうえ、ふくらみが乏しいという欠点を有している。
【0003】
このような欠点を改良するため、特許文献1および2には、ボデー部から分離されたウイング部を持ち、該ウイング部の一部が破断して形成された自由突出繊維端によって特徴付けられる嵩高フィラメントおよび該フィラメントが製造可能な開裂性フィラメントが開示されている。
【0004】
しかしながら、上記開裂性フィラメントは、単一の吐出孔からポリマーを吐出して形成されたものであるため、ボデー部とウイング部が完全に一体化しており、両者の境界での分離が極めて困難である。そのため、ウイング部の分離および破断手段として、高圧の圧空流を用いた流体ノズル処理など、多大のエネルギー移動が起こるような物理的手段を採用せざるを得なかった。しかも、上記のような物理的手段によって分離されたウイング部は、その半数以上が破断またはフィブリル化されて自由突出繊維端を形成するため、その外観は、あたかも毛羽によって特徴付けられる紡績糸様であり、織編物とした場合に均整性に欠けるという欠点を有していた。
【0005】
かかる課題に対し特許文献3には、コアー部と、該コアー部の長さ方向に添ってコアー部から放射状に突き出した複数のフィン部とを有する繊維断面とし、その際、コアー部とフィン部の大きさがある特定の関係にあるような高度に異形化された繊維断面形状とすることによって、これをアルカリ減量処理して、嵩高で柔らかい風合いを呈し、均整性な外観を有する織編物が得られることが提案されている。
【0006】
しかしながら、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートの溶融紡糸においては、紡糸時間の経過と共に、紡糸口金吐出孔周辺に異物(以下、単に口金異物と称する場合もある)が発現し、付着・堆積し、溶融ポリマーの正常な流れを阻害し、吐出糸条の屈曲、ピクツキ、旋回等(以下、単に異常吐出現象と称する場合もある)が進行し、ついには吐出ポリマー糸条が紡糸口金面に付着して断糸するという現象が起こることが知られている。
【0007】
特に、前述のような高度に異型化された繊維断面を得ようとした場合、その口金吐出孔形状も複雑なものとなり、該口金異物が溶融ポリマー吐出状態に及ぼす影響が大きく、短時間の間に、異常吐出現象が発生することが多くなる。このような異常吐出現象が起こると、紡糸運転に支障をきたすといった問題がある。また、例え、紡糸ができたとしても、冷却・固化の過程で繊維構造斑が発生し、得られたポリエステル未延伸糸は品質斑(延伸時の毛羽、断糸発生など)を内在したものとなる。
【0008】
このような口金異物の付着・堆積原因は、ポリエステル中に存在するアンチモンに起因することが知られているが、そのアンチモンは、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートの触媒として、優れた重縮合触媒性能を有する、また色調の良好なポリエステルが得られるなどの理由から、実際に最も広く使用されている。したがって、通常のポリエステルの溶融紡糸においては、紡糸口金吐出孔周辺に付着・堆積した口金異物を拭き取る為に、紡糸引き取り操作を一定間隔で中断せねばならず、この頻度が高くなるほど生産性を大きく低下させてしまうという問題がある。
【0009】
【特許文献1】
特公平1−12487号公報
【特許文献2】
特公平1−16922号公報
【特許文献3】
特許第3076372号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、嵩高で柔らかい風合いを呈し、均整性な外観を有する織編物が得られるポリエステルフィラメント糸を安定して製造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究したところ、ポリエステルの重縮合触媒を適正化することにより、上記のように高度に異形化されたポリエステルフィラメントを安定して製造できることを見出した。
【0012】
かくして、本発明によれば、コアー部形成用吐出孔を通して溶融吐出されたポリエステルに、該吐出孔の周囲に間隔をおいて放射状に配置された複数のフィン部形成用スリット状吐出孔を通して溶融吐出された上記と同一のポリエステルを溶融状態で接合し、冷却固化して、コアー部と、該コアー部の長さ方向に沿ってコアー部から放射状に突出した複数のフィン部とからなり、且つ下記(1)〜(3)式の要件を同時に満足するポリエステルフィラメントを得た後、該フィラメントをアルカリ減量処理して、フィン部の少くとも一部をコアー部から分離するに際し、該ポリエステルに、下記式(I)で表されるチタン化合物と下記式(II)で表されるリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルを用いることを特徴とするポリエステルフィラメント糸の製造方法が提供される。
(1)1/20≦S/S≦1/3
(2)0.6≦L/D≦3.0
(3)W/D≦1/4
(Sはコアー部の断面積、Dはコアー部の断面が真円のときはその直径また真円でないときはその外接円直径を表わし、またS、LおよびWはそれぞれフィン部の断面積、最大長さおよび最大幅を表わす。)
【0013】
【化4】
Figure 2004218171
【0014】
(R、R、R、Rは、それぞれ同一もしくは異なって、アルキル基またはフェニル基であり、kは1〜4の整数である。なお、kが2〜4の場合には、複数のRおよびRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0015】
【化5】
Figure 2004218171
【0016】
(Rは、炭素原子数1〜20個のアルキル基または炭素原子数6〜20個のアリール基であり、nは1または2である。)
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、コアー部形成用吐出孔を通して溶融吐出されたポリエステルに、該吐出孔の周囲に間隔をおいて放射状に配置された複数のフィン部形成用スリット状吐出孔を通して溶融吐出された上記と同一のポリエステルを溶融状態で接合し、冷却固化して、コアー部と、該コアー部の長さ方向に沿ってコアー部から放射状に突出した複数のフィン部とからなるポリエステルフィラメントを得た後、該フィラメントをアルカリ減量処理して、フィン部の少くとも一部をコアー部から分離するポリエステルフィラメント糸の製造方法である。
【0018】
図1には上記ポリエステルフィラメントの断面の一例を示すが、本発明においては該図に示すように、コアー部の断面積および直径(コアー部が真円でないときは外接円直径)をそれぞれSおよびD、また各フィン部の断面積、最大長さおよび最大幅をそれぞれS、LおよびWとするとき、下記(1)〜(3)の要件を同時に満足することが必要である。
(1)1/20≦S/S≦1/3
(2)0.6≦L/D≦3.0
(3)W/D≦1/4
ここで、1/20>S/Sまたは1/3<S/Sの場合、すなわち、その断面積がコアー部の断面積の1/20より小さいか、または1/3より大きいフィン部が存在する場合は、フィラメントの嵩高性が低下する。
【0019】
また、0.6>L/Dの場合、すなわちその最大長さがコアー部の直径の0.6倍未満のフィン部が存在する場合、フィラメントの嵩高性が低下し、一方、3.0<L/Dの場合、すなわち、その最大長さがコアー部の直径の3.0倍を超えるフィン部が存在する場合は、フィン部の折れ曲がりが発生し、粗硬な風合しか得られない。
【0020】
さらに、W/D>1/4の場合、すなわちその最大幅がコアー部の直径の1/4より大きいフィン部が存在する場合は、アルカリ減量処理によるフィン部の分解が困難になる。
【0021】
上記フィン部の最大幅は、小さい程アルカリ減量処理によるフィンの分離が起こり易いが、あまり小さくなり過ぎると、フィン部の折れ曲がりが発生するので、W/Dの最小値は1/8程度に止めることが好ましい。
【0022】
フィラメント糸のコアー部とフィン部のディメンジョンについて具体的に説明すると、フィン部のデニールは好ましくは0.8dtex以下、より好ましくは0.6dtex以下である。フィン部のデニールが過大であると、分割フィン部による極細タッチは得られず、フィン部面積が大きくなれば、分割によるドレープ性も劣る。コア部の繊度は1dtex以上4dtex以下が好ましい。コアの繊度が4dtexを越えると、フィン部とコア部が分割されても十分なソフト感は得られず、織編物の風合が硬くなる傾向にある。また、繊度が1dtex未満では、シャープな形状のマルチローバル断面を有していても、お互いの充填作用が高まり、効果的に大きな空隙を得難くなる傾向にある。
【0023】
本発明においては、本発明に用いるポリエステルが、上記式(I)で表されるチタン化合物と上記式(II)で表されるリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルであることが肝要である。これにより、上記のように高度に異形化され、嵩高で柔らかい風合いを呈し、均整性な外観を有する織編物が得られる本発明のポリエステルフィラメント糸を安定して製造することができる。
【0024】
上記チタン化合物(I)としては、具体的には、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシドに例示されるチタンテトラアルコキシド、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネートなどのアルキルチタネートを挙げることができるが、なかでも本発明において使用されるリン化合物との反応性の良好なチタンテトラアルコキシドを用いることが好ましく、特にチタンテトラブトキシドを用いることが好ましい。
【0025】
一方、上記リン化合物(II)としては、具体的には、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノ−n−プロピルホスフェート、モノ−n−ブチルホスフェート、モノヘキシルホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノノニルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノドデシルホスフェート、モノラウリルホスフェート、モノオレイルホスフェート、モノテトラコシルホスフェート、モノフェニルホスフェート、モノベンジルホスフェート、モノ(4−メチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−エチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−プロピルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ドデシルフェニル)ホスフェート、モノトリルホスフェート、モノキシリルホスフェート、モノビフェニルホスフェート、モノナフチルホスフェートおよびモノアントリルホスフェートなどのモノアルキルホスフェートまたはモノアリールホスフェート、並びに、ジエチルホスフェート、ジプロピルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジヘキシルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジオレイルホスフェート、ジテトラコシルホスフェート、ジフェニルホスフェートなどのジアルキルホスフェートまたはジアリールホスフェートを例示することができる。なかでも、上記式(II)においてnが1であるモノアルキルホスフェートまたはモノアリールホスフェートが好ましい。
【0026】
これらのリン化合物は、混合物として用いてもよく、例えばモノアルキルホスフェートとジアルキルホスフェートの混合物、モノフェニルホスフェートとジノフェニルホスフェートの混合物を、好ましい組み合わせとして挙げることができる。特に混合物中、モノアルキルホスフェートが全混合物量を基準として50%以上、特に90%以上を占めるような組成とするのが好ましい。
【0027】
上記式(I)のチタン化合物と上記式(II)のリン化合物との反応生成物の調整方法は特に限定されず、例えば、グリコール中で加熱することにより製造することができる。すなわち、該チタン化合物と該リン化合物とを含有するグリコール溶液を加熱すると、グリコール溶液が白濁して析出物が発生する。この析出物をポリエステル製造用の触媒として用いればよい。
【0028】
ここで用いることのできるグリコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等を例示することができるが、得られた触媒を用いて製造するポリエステルを構成するグリコール成分と同じものを使用することが好ましい。例えば、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合にはエチレングリコール、ポリトリメチレンテレフタレートである場合には1,3−プロパンジオール、ポリテトラメチレンテレフタレートである場合にはテトラメチレングリコールをそれぞれ用いることが好ましい。
【0029】
なお、前記触媒は式(I)のチタン化合物、式(II)のリン化合物及びグリコールの3者を同時に混合し、加熱する方法によっても製造することができる。しかし、加熱により式(I)のチタン化合物と式(II)のリン化合物とが反応してグリコールに不溶の析出物が反応生成物として析出するので、この析出までの反応は均一な反応であることが好ましい。したがって、効率よく反応析出物を得るためには、式(I)のチタン化合物と式(II)のリン化合物とのそれぞれについて予めグリコール溶液を調整し、その後、これらの溶液を混合し加熱する方法により製造することが好ましい。
【0030】
また、加熱時の温度は、反応温度が余りに低すぎると、反応が不十分となったり反応に過大な時間を要したりするので、均一な反応により効率よく反応析出物を得るには、50℃〜200℃の温度で反応させることが好ましく、反応時間は1分間〜4時間が好ましい。なかでも、グリコールとしてエチレングリコールを用いる場合には50℃〜150℃、ヘキサメチレングリコールを用いる場合には100℃〜200℃の範囲がより好ましい温度であり、また、反応時間は30分間〜2時間がより好ましい範囲である。
【0031】
グリコール中で加熱する式(I)のチタン化合物と式(II)のリン化合物との配合割合は、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率として1.0〜3.0の範囲にあることが好ましく、さらに1.5〜2.5であることが好ましい。該範囲内にある場合には、リン化合物とチタン化合物とがほぼ完全に反応して未完全な反応物が存在しなくなるので、該反応生成物をそのまま使用しても得られるポリエステルの色相改善効果は良好であり、また、過剰な未反応のリン化合物もほとんど存在しないので、ポリエステル重合反応性を阻害することがなく生産性も高いものとなる。
【0032】
上記の触媒においては、前記式(I)(但し、k=1)のチタン化合物と、式(II)のリン化合物成分との反応生成物は、下記(IV)により表される化合物を含有するものが好ましい。
【0033】
【化6】
Figure 2004218171
【0034】
(ただし、式(IV)中のRおよびR基は、それぞれ独立に、前記チタン化合物のR、R、R、Rおよび前記リン化合物のRのいずれか1つ以上に由来する2〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または、6〜12個の炭素原子を有するアリール基である。)
式(IV)で表されるチタン化合物とリン化合物との反応生成物は、高い触媒活性を有しているので、これを用いて得られるポリエステルは、良好な色調(低いb値)を有し、実用上十分に低いアセトアルデヒド、残留金属および環状三量体の含有量を有し、かつ実用上十分なポリマー性能を有する。なお、該式(IV)で表される反応生成物は50質量%以上含まれていることが好ましく、70質量%以上含まれることがより好ましい。
【0035】
本発明においては、チタン化合物を予め下記一般式(III)で表される多価カルボン酸および/またはその酸無水物と反応モル比(2:1)〜(2:5)の範囲で反応させた後、リン化合物と反応させた反応生成物を用いることがより好ましい。
【0036】
【化7】
Figure 2004218171
【0037】
(ただし、mは2〜4の整数である。)
かかる多価カルボン酸およびその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物を好ましく、特にチタン化合物との反応性がよく、また得られる反応生成物とポリエステルとの親和性が高いことから、トリメリット酸無水物が好ましい。
【0038】
該チタン化合物と多価カルボン酸またはその無水物との反応は、前記多価カルボン酸またはその無水物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物を滴下し、0℃〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧で充分である。なお、このときの溶媒としては、多価カルボン酸またはその無水物の一部または全部を溶解し得るものから適宜選択すればよい。なかでも、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン、キシレンなどが好ましく使用される。
【0039】
この反応におけるチタン化合物と式(III)の化合物またはその無水物とのモル比は適宜に選択することができるが、チタン化合物の割合が多すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり軟化点が低下したりする傾向があり、逆にチタン化合物の量が少なすぎると重縮合反応が進みにくくなる傾向があるため、チタン化合物と多価カルボン酸化合物またはその無水物との反応モル比は、(2:1)〜(2:5)とすることが好ましい。
【0040】
この反応によって得られる反応生成物は、そのまま前述のリン化合物との反応に供してもよく、あるいはこれをアセトン、メチルアルコールおよび/または酢酸エチルなどで再結晶して精製した後にリン化合物と反応させてもよい。
【0041】
本発明において、上記反応生成物の存在下にポリエステルを重縮合するにあたっては、上記のようにして得た析出物を含むグリコール液は、析出物とグリコールとを分離することなくそのままポリエステル製造用触媒として用いてもよく、遠心沈降処理または濾過などの手段により析出物を分離した後、該析出物を再結晶剤、例えばアセトン、メチルアルコールおよび/または水などにより再結晶して精製した後、この精製物を該触媒として用いてもよい。なお、該触媒は、固体NMRおよびXMAの金属定量分析で、その構造を確認することできる。
【0042】
本発明において、ポリエステルポリマーを得るに当たっては、上記析出物は重縮合反応時に反応系内に存在していればよい。このため該析出物の添加は、原料スラリー調製工程、エステル化工程、液相重縮合工程等のいずれの工程で行ってもよい。また、触媒全量を一括添加しても、複数回に分けて添加してもよい。
【0043】
また、重縮合反応では、必要に応じてトリメチルホスフェートなどのリン安定剤をポリエステル製造における任意の段階で加えてもよく、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、整色剤、消泡剤その他の添加剤などを配合してもよい。
【0044】
さらに、得られるポリエステルの色相の改善補助をするために、ポリエステルの製造段階において、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機青色顔料等、無機系以外の整色剤を添加することもできる。
【0045】
次に、前記の触媒を用いて、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、脂肪族グリコール(アルキレングリコール)又はそのエステル形成性誘導体とから芳香族ジカルボン酸のアルキレングリコールエステル及び/又はその低重合体を製造し、前記の触媒を用い、これを重縮合させてポリエステルを製造する方法について説明する。
【0046】
ポリエステルの出発原料となる芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を用いることができる。
【0047】
もう一方の出発原料となる脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンメチレングリコール、ドデカメチレングリコールを用いることができる。
【0048】
また、ジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸とともに、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸など又はそのエステル形成性誘導体を原料として使用することができ、ジオール成分としても脂肪族ジオールとともに、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコール、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類などの芳香族ジオールなどを原料として使用することができる。
【0049】
さらに、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物を原料として使用することができる。
【0050】
上記の芳香族ジカルボン酸のアルキレングリコールエステル及び/又はその低重合体は、いかなる方法によって製造されたものであってもよいが、通常、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とアルキレングリコール又はそのエステル形成性誘導体とを加熱反応させることによって製造される。
【0051】
例えば、ポリエチレンテレフタレートの原料であるテレフタル酸のエチレングリコールエステル及び/又はその低重合体について説明すると、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか、又はテレフタル酸にエチレンオキサイドを付加反応させる方法が一般に採用される。
【0052】
なお、出発原料としてテレフタル酸及びテレフタル酸ジメチルを用いる場合には、ポリアルキレンテレフタレートを解重合することによって得られた回収テレフタル酸ジメチル又はこれを加水分解して得られる回収テレフタル酸を、ポリエステルを構成する全酸成分の質量を基準として70質量%以上使用したものであってもよい。この場合、前記アルキレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、特に回収されたPETボトル、回収された繊維製品、回収されたポリエステルフィルム製品、さらには、これら製品の製造工程において発生するポリマー屑などをポリエステル製造用原料源として用いることは、資源の有効活用の観点から好ましいことである。
【0053】
ここで、回収ポリアルキレンテレフタレートを解重合してテレフタル酸ジメチルを得る方法には特に制限はなく、従来公知の方法をいずれも採用することができる。例えば、回収ポリアルキレンテレフタレートを用いて解重合した後、解重合生成物を、低級アルコール、例えばメタノールによるエステル交換反応に供し、この反応混合物を精製してテレフタル酸の低級アルキルエステルを回収し、これをアルキレングリコールによるエステル交換反応に供し、得られたテレフタル酸/アルキレングリコールエステルを重縮合すればポリエステルを得ることができる。また、上記、回収された、テレフタル酸ジメチルからテレフタル酸を回収する方法にも特に制限はなく、従来方法をいずれを用いてもよい。例えばエステル交換反応により得られた反応混合物からテレフタル酸ジメチルを再結晶法及び/又は蒸留法により回収した後、高温高圧化で水とともに加熱して加水分解してテレフタル酸を回収することができる。この方法によって得られるテレフタル酸に含まれる不純物において、4−カルボキシベンズアルデヒド、パラトルイル酸、安息香酸及びヒドロキシテレフタル酸ジメチルの含有量が、合計で1ppm以下であることが好ましい。また、テレフタル酸モノメチルの含有量が、1〜5000ppmの範囲にあることが好ましい。上述の方法により回収されたテレフタル酸と、アルキレングリコールとを直接エステル化反応させ、得られたエステルを重縮合することによりポリエステルを製造することができる。
【0054】
次に、本発明における重縮合触媒の存在下に、上記で得られた芳香族ジカルボン酸のアルキレングリコールエステル及び/又はその低重合体を、減圧下で、かつポリエステルポリマーの融点以上分解点未満の温度(通常240℃〜280℃)に加熱することにより重縮合させる。この重縮合反応では、未反応の脂肪族グリコール及び重縮合で発生する脂肪族グリコールを反応系外に留去させながら行われることが望ましい。
【0055】
重縮合反応は、1槽で行ってもよく、複数の槽に分けて行ってもよい。例えば、重縮合反応が2段階で行われる場合には、第1槽目の重縮合反応は、反応温度が245〜290℃、好ましくは260〜280℃、圧力が100〜1kPa、好ましくは50〜2kPaの条件下で行われ、最終第2槽での重縮合反応は、反応温度が265〜300℃、好ましくは270〜290℃、反応圧力は通常10〜1000Paで、好ましくは30〜500Paの条件下で行われる。
【0056】
このようにして、本発明の触媒を用いてポリエステルを製造することができるが、この重縮合工程で得られるポリエステルは、通常、溶融状態で押し出しながら、冷却後、粒状(ペレット状)のものとなす。
【0057】
ポリエステルの粘度については特に制限はなく、通常溶融紡糸に供される固有粘度0.5〜1.1のものが任意に使用できる。
【0058】
本発明においては、上記ポリエステルを吐出孔を通して溶融吐出するに先立って、下記式で表わされる相溶性パラメーターχが0.1〜2.0である化合物をポリエステル中に、ポリエステル全重量に対して0.5〜5.0重量%含有せしめることが好ましい。これにより、フィン部とコアー部との分離が助長され、さらに大きな嵩高性および風合向上効果が得られる。
χ=(Va/RT)(δa−δb)
上記式において、Vaはポリエステルのモル容積(cm/mol)、Rは気体定数(J/mol・K)、Tは絶対温度(K)、δaおよびδbはそれぞれポリエステルおよび上記化合物の溶解度パラメーター(J1/2/cm3/2)を表わす。
【0059】
ここで、χが0.1未満の場合は、ポリエステルと上記化合物が相溶化し、アルカリ減量によるフィン部の分離が起こり難くなる。一方、χが2.0を超える場合は、ポリエステルと上記化合物が完全に相分離し、ポリマーが増粘するので、紡糸調子が悪化する。
【0060】
また、ポリエステルへの上記化合物の配合量が0.5重量%未満の場合は、嵩高性向上効果が充分に発現せず、一方、含有量が5.0重量%を超える場合は、上記化合物が凝集を起こし、やはり嵩高性向上効果が充分に発現しない。
【0061】
上記化合物の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロテトラエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニルプロピオネート、ポリヘプタフルオロブチルアクリレート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリトリエチレングリコール、ポリメチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリベンジルメタクリレート、ポリエトキシエチルメタクリレート、ポリホルムアルデヒド、ポリエチレンサルファイド、ポリスチレンサルファイドなどのポリマーおよびシリコーン、またはこれらの変性物などが挙げられる。上記化合物は2種以上併用してもよい。
【0062】
上記化合物の平均分子量は、あまり小さ過ぎると、ルーダーや紡糸パック中に滞留した時、熱分解を起こし、一方、あまり大き過ぎると、ポリエステルとの溶融混和性が低下するので、3000〜25000であることが好ましい。
【0063】
さらに、上記化合物をポリエステルへ添加混合するに際しては、従来公知の方法、例えば、ポリエステルと上記化合物を溶融混練した後ぺレット化する方法、溶融紡糸工程で溶融ポリエステル中に上記化合物をインジェクションブレンドする方法、スタティックミキサーによりブレンドする方法などが任意に採用できる。
【0064】
本発明においては、コアー部形成用吐出孔を通して溶融吐出されたポリエステルに、該吐出孔の周囲に間隔をおいて放射状に配置された複数のフィン部形成用スリット状吐出孔を通して溶融吐出された上記と同一のポリエステルを溶融状態で接合し、これを冷却固化する。
【0065】
具体的には、前述したポリエステルを、例えば図2Aに示すような、コアー部形成用円形吐出孔5および該円形吐出孔5の周囲に間隔をおいて放射状に配置された複数(図2Aでは4個)のフィン部形成用スリット状吐出孔6を有する口金を介して溶融吐出させ、吐出孔5からの吐出物と吐出孔6からの吐出物を溶融状態で接合した後冷却固化する。
【0066】
紡出されたフィラメントには、必要に応じて延伸や熱処理などを施してもよい。
【0067】
ここで、フィン部の数が1個あるいは7個以上の場合は、アルカリ減量処理により形成されるフィラメント内の空隙が小さくなり、充分な嵩高性を付与することが困難になる。1個のコア部形成用吐出孔の周囲に配設されるフィン部形成用スリット状吐出孔の好ましい個数は3〜6個、さらに好ましくは4個である。
【0068】
また、各フィン部の断面積、最大長さおよび最大幅は必ずしも同じである必要はなく、それぞれ異なっていてもよい。さらに、各フィン部はコアー部を中心として等方的に放射状に突き出していることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0069】
本発明においては、コアー部形成用円形吐出孔5およびフィン部形成用スリット状吐出孔6のディメンジョンには特に制限はないが、コアー部の断面積および直径、各フィン部の断面積、最大長さおよび最大幅を前述した3つの式(1)、(2)、(3)で規定される範囲とするためには、コアー部形成用円形吐出孔5の直径をD′(吐出孔5の断面形状が真円形でない場合、D′は吐出孔5の外接円の直径とする。)、フィン部形成用スリット状吐出孔6の最大長さおよび最大幅をそれぞれL′およびW′、吐出面における吐出孔5と6との最短間隔をL′ABとする時、D′、L′、W′およびL′ABが下記要件(a)〜(c)を同時に満足することが好ましい。
(a)1≦L′/D′≦4
(b)1/7≦W′/D′≦1/2
(c)0.01mm≦L′AB≦0.2mm
D′、L′、W′およびL′ABが上記範囲から外れる場合には、紡糸調子が悪化したり、口金の摩耗が早くなる場合がある。
【0070】
また、フィン部形成用スリット状吐出孔は必ずしも一様な矩形である必要はなく、図2Bに示すように、その一部に円弧状のふくらみ部分を有していたり、その幅が連続的に変化していても構わない。
【0071】
一方、ポリエステルを上記2種の吐出孔5、6(または6′)に代えて単一の吐出孔から吐出させることによって、上記のコア部とフィン部を有するフィラメントを得た場合は、コアー部とフィン部とが一体化しており、且つコアー部とフィン部の配向がほぼ等しくなり、後述の、アルカリ減量処理によるフィン部の分離が困難となる傾向にある。
【0072】
以上に説明した紡糸に際しては、コアー部形成用吐出孔から吐出されるポリマーよりもフィン部形成用スリット状吐出孔から吐出されるポリマーに、より大きなドラフトが掛かるのでフィン部の配向がコアー部の配向よりも高くなる。従って、上記フィラメントにおいては、特にコアー部とフィン部の接合面における分子の絡み合いが少なく、接合面の界面結合力が低いので、アルカリ減量処理を行うことにより、フィン部がコアー部から優勢的に分離し、しかもコアー部とフィン部の配向差に起因する収縮差が発現して、所望の嵩高性とソフトな風合をもつフィラメントを得ることができる。
【0073】
本発明においては、得られたフィラメントをアルカリ減量処理して、フィン部の少なくとも一部をコアー部から分離するが、この分離方法は、フィン部やコアー部の切断による自由突出繊維端(毛羽)の形成を可及的に抑えるために有効である。従来技術にみられるように、高圧の圧空流を利用した流体ノズル処理など、多大のエネルギー移動が起こるような物理的手段を採用して、フィラメントを分割すると、自由突出繊維端が多量に形成されるうえ、フィン部がフィブリル状に開裂されるので、織編物とした時に紡績糸様の外観を呈し、織編物の均整性が損なわれる。
【0074】
上記アルカリ減量処理は、フィラメント、ヤーンまたは織編物のいずれの状態で実施してもよい。しかしながら、織編物の状態で実施することが望ましい。アルカリ処理条件としては、通常のポリエステル繊維のアルカリ処理条件がそのまま採用できる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの水溶液を用い、濃度は10〜100g/l、温度は40〜180℃、処理時間は2分〜2時間の範囲で適宜設定すればよい。
【0075】
アルカリ減量処理によるフィン部の分離率Sは30%以上であり、且つマルチフィラメント糸表層部に位置するフィラメントのフィン部の分離率Sがマルチフィラメント糸中心部に位置するフィラメントのフィン部の分離率Sよりも大きいことが好ましい。ここで、フィン部の分離率Sは下記式により定義される値である。
S(%)=(分離しているフィン部の数/フィン部の全数)×100
なお、マルチフィラメント糸の表層部に位置するフィラメントとは上記マルチローバルフィラメント全数のうち、マルチフィラメント糸の断面においてマルチフィラメント糸の仮想外接円からの距離が近いものから30%の範囲のものをいう。また、マルチフィラメント糸の中心部に位置するフィラメントとは、上記と同様に、仮想外接円の中心からの距離が近いものから30%の範囲のものをいう。
【0076】
このようなアルカリ減量より、図3に示すようにフィン部がコアー部から分離しているフィラメントが得られる。図3は、本発明により得られるポリエステルフィラメント糸の一例を側面から見た部分拡大図であり、4はフィラメント糸、1はコアー部、2、3はコアー部から放射状に突出したフィン部の大部分がコアー部から分離されている状態を表わす。
【0077】
図3に例示する本発明のポリエステルフィラメント糸4において、コアー部1の長さ方向に沿ってコアー部1に接合されて、コアー部1から放射状に突出していたフィン部2、3は、アルカリ減量処理によりコアー部1から分離され、独立フィラメントのようになっている。
【0078】
上記フィン部は、図3のフィン部2のように、フィラメントの長さ全体に亘って連続してコアー部1から分離されて、該フィン部が独立したフィラメントのように挙動できることが好ましい。しかしながら、必ずしも全てのフィン部がフィラメントの全長に亘って分離している必要はなく、フィン部3のように、コアー部と結合した部分が存在していても構わない。
【0079】
フィン部がコアー部1から分離されると、例えば、織編物においては、隣り合うコアー間に充分な空隙が付与されるので織編物の嵩高性が良好となる(図1に例示するフィラメントは1個のコアー部に対し4個のフィン部を有するが、図3では1個のコアー部1に対し2個のフィン部2、3のみが例示されている)。
【0080】
上記ポリエステルフィラメントは、該フィラメント同士、または他のフィラメントと混繊・交絡してマルチフィラメントとした後、織編物となし、しかる後アルカリ減量処理することが好ましい。フィラメントを混繊・交絡してマルチフィラメント糸とするには、引揃え、合撚、空気交絡など従来公知の方法が任意に採用できる。
【0081】
【実施例】
以下、本発明を実施例についてさらに具体的に説明する。なお、実施例において各物性は下記の方法により測定した。
(1)フィラメントの断面形状
アルカリ減量前のフィラメントの断面を3000倍で撮影した写真観察より、コアー部の断面積(S)および直径(D)、フィン部の断面積(S)、最大長さおよび最大幅(W)を求めた。
(2)紡糸調子
連続8時間の溶融紡糸を行い、全く断糸のない場合をA、単糸切れ(毛羽)が発生した場合をB、断糸が発生した場合をCとした。
(3)フィン部の分離率S
アルカリ減量処理後のフィラメントを1000倍で撮影した写真観察より、分離しているフィン部の数を求め、下記式によりマルチフィラメント表層部および中心部のフィン部の分離率S(%)を算出した。
S(%)=(分離しているフィン部の数/フィン部の全数)×100
(4)織編物の風合
織編物の嵩高性、ソフト感およびドレープ性を綜合的にA(極めて良好)〜E(不良)の5段階で官能判定した。
(5)相溶性パラメーターχ
各種溶媒への溶解度から、ポリエステルおよび該ポリエステルとミクロに相分離する化合物の溶解度パラメーターδa、δbを求め、次式により算出した。
χ=(V/RT)(δa−δb)
上記式において、Vはポリエステルのモル容積(cm/mol)、Rは気体定数(J/mol・K)、Tは絶対温度(K)、δaおよびδbはそれぞれポリエステルおよび化合物の溶解度パラメーター(J1/2/cm3/2)を表わす。
(6)口金異物高さ
各実施例に示す方法、条件で溶融紡糸を行った後、紡糸口金表面に離型剤を吹き付けて、吐出ポリマーが付着しないようにして、紡糸口金を取り外し、顕微鏡にて吐出孔周辺に付着・堆積した口金異物の高さを測定した。全ての吐出孔について口金異物の高さを測定し、それらの平均値で表した。
【0082】
[実施例1〜9]
エチレングリコール919gと酢酸10gを混合撹拌した中に、チタンテトラブトキシド71gを添加し、チタン化合物のエチレングリコール溶液(透明)を得た。次にエチレングリコール656gを100℃に過熱攪拌中にモノラウリルホスフェートを34.5g添加し、加熱混合撹拌して溶解し、透明な溶液を得た。
【0083】
引き続き、両溶液を100℃に撹拌混合し全量を添加後から100℃の温度で1時間撹拌保持し、白濁状態溶液を得た。この時の両溶液の配合量比は、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率が2.0に調整されたものとなっていた。得られた白色析出物を濾別し、水洗乾燥し重合触媒とした。
【0084】
225部のオリゴマーが滞留する反応器内に、撹拌下、窒素雰囲気で255℃、常圧下に維持された条件下に、179部の高純度テレフタル酸と95部のエチレングリコールとを混合して調製されたスラリーを一定速度供給し、反応で発生する水とエチレングリコールを系外に留去ながら、エステル化反応を4時間し反応を完結させた。この時のエステル化率は、98%以上で、生成されたオリゴマーの重合度は、約5〜7であった。
【0085】
このエステル化反応で得られたオリゴマー225部を重縮合反応槽に移し、重縮合触媒として、上記で作成した触媒を3.34部投入し、かつポリエステルとミクロに相分離する化合物を添加混合しさらに1mmHgまで減圧し、以下常法に従い重合を行い、ペレット状に裁断し、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレート粒(以下ポリエチレンテレフタレートチップと称する)を得た。表1に添加混合した化合物、化合物χの値、添加量を示す。
【0086】
このポリエチレンテレフタレートチップを、図2Bに示す形状を有する吐出孔を24組備えた紡糸口金から275℃で溶融吐出し、吐出されたコアー部とフィン部を接合させながら、横吹紡糸筒内で冷却して1000m/分の速度で巻き取った。
【0087】
次いで、巻取ったフィラメント糸を、温度90℃のホットローラーと温度150℃のスリットヒーターを備えた延伸機を用いて、倍率2.55倍で延伸熱処理し、60dtex/24fのフィラメント糸を得た。
【0088】
得られたフィラメント糸を20ゲージの筒編地となし、該筒編地を濃度40g/lの水酸化ナトリウム水溶液中で20分間煮沸処理し、アルカリ減量処理を行った。
【0089】
表1に各実施例の紡糸調子、口金異物高さ、織物風合い等を示す。
【0090】
[比較例1、2]
重合触媒を三酸化アンチモンとすること以外は、それぞれ実施例3および6と同様にしてポリエチレンテレフタレートチップを作成し、フィラメント糸を作成し、それぞれ比較例1および2とした。表1に各実施例の紡糸調子、口金異物高さ、織物風合い等を示す。
【0091】
[比較例3]
実施例3にて口金の仕様を変更して、表1に示すS/S、L/D、W/Dに変更してフィラメント糸を作成した。表1に紡糸調子、口金異物高さ、織物風合い等を示す。
【0092】
【表1】
Figure 2004218171
【0093】
[実施例10,11]
実施例10においては、実施例3で得たフィラメント糸Aと、ポリエチレンテレフタレートチップを、扁平吐出孔(L/D=5)を18組備えた口金から、溶融吐出し1500m/分で巻き取った後、予熱温度90℃、倍率2.7倍にて延伸し、40dtex/18fとしたフィラメント糸Bとを圧空圧1.5kg/cm、オーバーフィード率1.5%でインターレースノズルにより、交絡を施して、混繊フィラメント糸を作製した。
【0094】
上記混繊フィラメント糸を用いて、S300T/Mの撚糸を施したものを、経糸・緯糸に用いて羽二重織物を織成した。リラックス処理後、熱セットし、さらに20%アルカリ減量処理を施した。フィラメント糸A、フィラメント糸Bの収縮率と混繊比率および得られた織物におけるフィン部の分離率と織物の風合を表2に示す。
【0095】
実施例11においては、艶消剤として0.05重量%の酸化チタンを含む、固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレートチップを、図2Bに示す形状を有する吐出孔を24組備えた紡糸口金から275℃で溶融吐出し、吐出されたコアー部とフィン部を接合させながら、横吹紡糸筒内で冷却して2500m/分で巻き取り、予熱温度90℃、倍率1.8で延伸した後、非接触ヒーター150℃、オーバーフィード率2%にて弛緩熱処理を行って、60dtex/24fのフィラメント糸Aを得た。
【0096】
また、ポリエチレンテレフタレートチップを、丸形吐出孔を18個もつ口金から、溶融吐出し1500m/分で巻き取った後、予熱温度90℃、延伸倍率3.0倍にて延伸し40dtex/18fのマルチフィラメントBを得た。
【0097】
上記フィラメント糸Aおよびフィラメント糸Bを用い、実施例10と同様の方法で混繊、製織し、アルカリ減量処理を施した。
【0098】
実施例10,11において得られたフィラメント糸Aおよびフィラメント糸Bの収縮率と混繊比率および得られた織物におけるフィン部の分離率と織物の風合を表2に示す。
【0099】
【表2】
Figure 2004218171
【0100】
【発明の効果】
本発明によれば、嵩高で柔らかい風合いを呈し、均整性な外観を有する織編物が得られるポリエステルフィラメント糸を安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明より得られたアルカリ減量処理前のフィラメントの一例を示す断面図である。
【図2】本発明で使用する紡糸口金の吐出孔の一例を示す平面図である。
【図3】本発明により得られたフィラメントの一例を示す側面図である。

Claims (9)

  1. コアー部形成用吐出孔を通して溶融吐出されたポリエステルに、該吐出孔の周囲に間隔をおいて放射状に配置された複数のフィン部形成用スリット状吐出孔を通して溶融吐出された上記と同一のポリエステルを溶融状態で接合し、冷却固化して、コアー部と、該コアー部の長さ方向に沿ってコアー部から放射状に突出した複数のフィン部とからなり、且つ下記(1)〜(3)式の要件を同時に満足するポリエステルフィラメントを得た後、該フィラメントをアルカリ減量処理して、フィン部の少くとも一部をコアー部から分離するに際し、該ポリエステルに、下記式(I)で表されるチタン化合物と下記式(II)で表されるリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルを用いることを特徴とするポリエステルフィラメント糸の製造方法。
    (1)1/20≦S/S≦1/3
    (2)0.6≦L/D≦3.0
    (3)W/D≦1/4
    (Sはコアー部の断面積、Dはコアー部の断面が真円のときはその直径また真円でないときはその外接円直径を表わし、またS、LおよびWはそれぞれフィン部の断面積、最大長さおよび最大幅を表わす。)
    Figure 2004218171
    (R、R、R、Rは、それぞれ同一もしくは異なって、アルキル基またはフェニル基であり、kは1〜4の整数である。なお、kが2〜4の場合には、複数のRおよびRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2004218171
    (Rは、炭素原子数1〜20個のアルキル基または炭素原子数6〜20個のアリール基であり、nは1または2である。)
  2. チタン化合物とリン化合物との配合割合が、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率として1.0〜3.0の範囲にある、請求項1記載のポリエステルフィラメント糸の製造方法。
  3. ポリエステルが、チタン化合物を予め下記一般式(III)で表される多価カルボン酸および/またはその酸無水物と反応モル比(2:1)〜(2:5)の範囲で反応させた後にリン化合物と反応させた反応生成物を触媒として重縮合して得られるポリエステルである、請求項1または2に記載のポリエステルフィラメント糸の製造方法。
    Figure 2004218171
    (mは2〜4の整数である。)
  4. リン化合物がモノアルキルホスフェートである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィラメント糸の製造方法。
  5. ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートである、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィラメント糸の製造方法。
  6. ポリエステルを吐出孔を通して溶融吐出するに先立って、下記式で表わされる相溶性パラメーターχが0.1〜2.0である化合物をポリエステル中に、ポリエステル全重量に対して0.5〜5.0重量%含有せしめる請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィラメント糸の製造方法。
    χ=(V/RT)(δa−δb)
    (Vはポリエステルのモル容積(cm/mol)、Rは気体定数(J/mol・K)、Tは絶対温度(K)、δaおよびδbはそれぞれポリエステルおよび化合物の溶解度パラメーター(J1/2/cm3/2)を表わす。)
  7. コアー部形成用吐出孔1個とフィン部形成用スリット状吐出孔3〜6個とからなる吐出孔単位を少くとも一つ有する口金を用いて溶融紡糸する請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィラメント糸の製造方法。
  8. 下記式(a)、(b)および(c)で表わされる要件を満足する口金を用いて溶融紡糸する請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステルフィラメント糸の製造方法。
    (a)1≦L′/D′≦4
    (b)1/7≦W′/D′≦1/2
    (c)0.01mm≦L′AB≦0.2mm
    (上式において、D′はコアー部形成用吐出孔の断面が真円のときはその直径、また断面が真円でないときはその外接円の直径を表わし、L′、およびW′はそれぞれフィン部形成用のスリット状吐出孔の最大長さおよび最大幅を表わし、L′ABはコアー部形成用の吐出孔とフィン部形成用吐出孔との最短距離を表わす。)
  9. フィラメントを濃度10〜100g/lのアルカリ水溶液と40〜180℃において接触せしめて、フィラメント重量の10〜40重量%を低減せしめる請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルフィラメント糸の製造方法。
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