JP2004218123A - 複合繊維の製造方法、その方法により製造された複合繊維、及び、該複合繊維からなる不織布 - Google Patents

複合繊維の製造方法、その方法により製造された複合繊維、及び、該複合繊維からなる不織布 Download PDF

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Abstract

【課題】容易に細繊度繊維に分割でき、しかも色相にも優れた複合繊維を、紡糸時間と共に断面複合形状を変化させることなく高い分割性を維持したまま、安定して製造する方法を提供する。
【解決手段】細繊度繊維に分割することができる、2成分からなる複合繊維を溶融紡糸により製造するに際し、2成分のうち少なくとも1成分として、特定のチタン化合物とリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルポリマーを用いる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも1成分がポリエステルポリマーである複合繊維の製造方法、その方法により製造された複合繊維、及び、該複合繊維を用いてなる不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、品位に優れた緻密できめ細かなタッチやドレープ性に優れた布帛が上市され、そのような布帛を得るために細繊度繊維が多用されている。細繊度繊維を得るための手段としては、最初から細い繊度の繊維を製造する方法および、2成分の異なる重合体から複合繊維として得られた繊維を分割、抽出などの工程を経て細化するなどの方法が取られている。しかし、工程の合理化や工程調子などの面から、主として、後者の方法により細繊度繊維に細化可能な複合繊維を製造し、布帛とした後、繊維を細化する方法が用いられている。また、この際、ポリエステルは機械的特性、熱安定性などに優れているため、ポリエステルポリマーを少なくとも1成分とした複合繊維が多く提案されている(例えば、特許文献1など)。
【0003】
しかしながら、上記のような複合繊維の製糸は、これを構成する2成分をそれぞれ単独で製糸するのに場合に比べてかなり工程性が劣るという欠点がある。即ち、紡糸工程において溶融重合体吐出孔周辺に黒色および白色の異物が付着し、これが時間とともに成長してベンディングやニーリングなどを誘起し、単糸切れなどを引き起こすという問題である。こうした問題は、複合繊維を構成する2成分が共に繊維表面に露出している場合に特に顕著に現れる。
【0004】
これらの異物はポリエステルの重合触媒として一般的に用いられているアンチモン化合物に由来した昇華異物が原因の一つであることが判明している。これに対して、吐出孔出口に異物を付き難くするため、例えば、シリコーンのような離型剤を吐出孔に塗布したり、紡糸口金に表面処理を施したり、紡糸口金の材質や吐出孔形状を変更するといった方法が試みたが、根本的な対策とはならず十分な効果は得られていない。
【0005】
さらに上記問題をポリマーの面から解決する方法が検討されている。例えば、特許文献2にはゲルマニウム化合物を重合触媒として用いることにより、異物発生の少ないポリエステルを使用して得られる複合繊維が開示されている。しかし、この方法で提案されているポリエステルは触媒化合物が高価であり、紡糸工程での触媒化合物のろ過詰まりを生じやすい他、ジエチレングリコールなどの重合副反応物が多く、コスト、品質的に優れた複合繊維を得にくいといった欠点がある。
【0006】
一方、特許文献3には、アンチモンを実質的に含まないポリエチレンテレフタレートを用いた2成分からなる複合繊維が開示されている。この方法ではアンチモンに由来する異物の低減効果はあるものの、紡糸工程における溶融時のポリエステル重合体の耐熱性が劣り、分解物の発生や黄変などの面で未だ不十分なものである。
【0007】
また、触媒によっては、断面複合形状が紡糸時間と共に変化して、細繊度への分割性が悪くなるといった問題がある。
【0008】
【特許文献1】
特公昭53−47414号公報
【特許文献2】
特開平1−139816号公報
【特許文献3】
特公平3−60933号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、容易に細繊度繊維に分割でき、しかも色相にも優れた複合繊維を、紡糸時間と共に断面複合形状を変化させることなく高い分割性を維持したまま、安定して製造する方法を提供することにある。さらに、別の目的は、上記方法により製造された、分割性に優れた複合繊維、及び、該複合繊維からなる不織布を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため検討したところ、ポリエステルの重縮合触媒を適正化することによって、容易に細繊度繊維に分割可能で、良好な色相を有する複合繊維を安定して製造できることを見出した。さらに、この製造方法では紡糸時間と共に断面複合形状を変化せず、高い分割性を維持できることがわかった。
【0011】
すなわち、本発明の目的は、細繊度繊維に分割することができる、2成分からなる複合繊維を溶融紡糸により製造するに際し、2成分のうち少なくとも1成分として、下記式(I)で表されるチタン化合物と下記式(II)で表されるリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルポリマーを用いることを特徴とする複合繊維の製造方法によって達成することができる。
【0012】
【化4】
Figure 2004218123
【0013】
(R、R、R、Rは、それぞれ同一もしくは異なって、アルキル基またはフェニル基であり、kは1〜4の整数である。なお、kが2〜4の場合には、複数のRおよびRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0014】
【化5】
Figure 2004218123
【0015】
(Rは、炭素原子数1〜20個のアルキル基または炭素原子数6〜20個のアリール基であり、nは1または2である。)
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、細繊度繊維に分割することができる、2成分からなる複合繊維を溶融紡糸により製造する方法である。
【0017】
本発明において、「細繊度繊維に分割することができる、2成分からなる複合繊維」とは、アルカリ減量処理、溶剤処理等によって該2成分のうち少なくとも一部を溶解抽出するか、バフ、カード、ニードール・パンチ、ウォーター・ジェット、ローラー加圧、超音波処理、揉み処理等で機械的応力をかけることによって、主にそれぞれの成分からなる2以上の細繊度繊維に分割することができる複合繊維をいう。
【0018】
本発明においては、上記複合繊維を構成する2成分のうち少なくとも1成分として、下記式(I)で表されるチタン化合物と下記式(II)で表されるリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルポリマーを用いることが肝要である。これによって、容易に細繊度繊維に分割できる複合繊維を安定して製造することができる。さらに、紡糸時間と共に断面複合形状が変化せず、高い分割性を維持することができる。
【0019】
上記チタン化合物(I)としては、具体的には、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシドに例示されるチタンテトラアルコキシド、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネートなどのアルキルチタネートを挙げることができるが、なかでも本発明において使用されるリン化合物との反応性の良好なチタンテトラアルコキシドを用いることが好ましく、特にチタンテトラブトキシドを用いることが好ましい。
【0020】
一方、上記リン化合物(II)としては、具体的には、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノ−n−プロピルホスフェート、モノ−n−ブチルホスフェート、モノヘキシルホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノノニルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノドデシルホスフェート、モノラウリルホスフェート、モノオレイルホスフェート、モノテトラコシルホスフェート、モノフェニルホスフェート、モノベンジルホスフェート、モノ(4−メチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−エチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−プロピルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ドデシルフェニル)ホスフェート、モノトリルホスフェート、モノキシリルホスフェート、モノビフェニルホスフェート、モノナフチルホスフェートおよびモノアントリルホスフェートなどのモノアルキルホスフェートまたはモノアリールホスフェート、並びに、ジエチルホスフェート、ジプロピルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジヘキシルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジオレイルホスフェート、ジテトラコシルホスフェート、ジフェニルホスフェートなどのジアルキルホスフェートまたはジアリールホスフェートを例示することができる。なかでも、上記式(II)においてnが1であるモノアルキルホスフェートまたはモノアリールホスフェートが好ましい。
【0021】
これらのリン化合物は、混合物として用いてもよく、例えばモノアルキルホスフェートとジアルキルホスフェートの混合物、モノフェニルホスフェートとジノフェニルホスフェートの混合物を、好ましい組み合わせとして挙げることができる。特に混合物中、モノアルキルホスフェートが全混合物量を基準として50%以上、特に90%以上を占めるような組成とするのが好ましい。
【0022】
上記式(I)のチタン化合物と上記式(II)のリン化合物との反応生成物の調整方法は特に限定されず、例えば、グリコール中で加熱することにより製造することができる。すなわち、該チタン化合物と該リン化合物とを含有するグリコール溶液を加熱すると、グリコール溶液が白濁して析出物が発生する。この析出物をポリエステル製造用の触媒として用いればよい。
【0023】
ここで用いることのできるグリコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等を例示することができるが、得られた触媒を用いて製造するポリエステルを構成するグリコール成分と同じものを使用することが好ましい。例えば、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合にはエチレングリコール、ポリトリメチレンテレフタレートである場合には1,3−プロパンジオール、ポリテトラメチレンテレフタレートである場合にはテトラメチレングリコールをそれぞれ用いることが好ましい。
【0024】
なお、前記触媒は式(I)のチタン化合物、式(II)のリン化合物及びグリコールの3者を同時に混合し、加熱する方法によっても製造することができる。しかし、加熱により式(I)のチタン化合物と式(II)のリン化合物とが反応してグリコールに不溶の析出物が反応生成物として析出するので、この析出までの反応は均一な反応であることが好ましい。したがって、効率よく反応析出物を得るためには、式(I)のチタン化合物と式(II)のリン化合物とのそれぞれについて予めグリコール溶液を調整し、その後、これらの溶液を混合し加熱する方法により製造することが好ましい。
【0025】
また、加熱時の温度は、反応温度が余りに低すぎると、反応が不十分となったり反応に過大な時間を要したりするので、均一な反応により効率よく反応析出物を得るには、50℃〜200℃の温度で反応させることが好ましく、反応時間は1分間〜4時間が好ましい。なかでも、グリコールとしてエチレングリコールを用いる場合には50℃〜150℃、ヘキサメチレングリコールを用いる場合には100℃〜200℃の範囲がより好ましい温度であり、また、反応時間は30分間〜2時間がより好ましい範囲である。
【0026】
グリコール中で加熱する式(I)のチタン化合物と式(II)のリン化合物との配合割合は、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率として1.0〜3.0の範囲にあることが好ましく、さらに1.5〜2.5であることが好ましい。
該範囲内にある場合には、リン化合物とチタン化合物とがほぼ完全に反応して未完全な反応物が存在しなくなるので、該反応生成物をそのまま使用しても得られるポリエステルの色相改善効果は良好であり、また、過剰な未反応のリン化合物もほとんど存在しないので、ポリエステル重合反応性を阻害することがなく生産性も高いものとなる。
【0027】
上記の触媒においては、前記式(I)(但し、k=1)のチタン化合物と、式(II)のリン化合物成分との反応生成物は、下記(IV)により表される化合物を含有するものが好ましい。
【0028】
【化6】
Figure 2004218123
【0029】
(ただし、式(IV)中のRおよびR基は、それぞれ独立に、前記チタン化合物のR、R、R、Rおよび前記リン化合物のRのいずれか1つ以上に由来する2〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または、6〜12個の炭素原子を有するアリール基である。)
式(IV)で表されるチタン化合物とリン化合物との反応生成物は、高い触媒活性を有しているので、これを用いて得られるポリエステルは、良好な色調(低いb値)を有し、実用上十分に低いアセトアルデヒド、残留金属および環状三量体の含有量を有し、かつ実用上十分なポリマー性能を有する。なお、該式(IV)で表される反応生成物は50質量%以上含まれていることが好ましく、70質量%以上含まれることがより好ましい。
【0030】
本発明においては、チタン化合物を予め下記一般式(III)で表される多価カルボン酸および/またはその酸無水物と反応モル比(2:1)〜(2:5)の範囲で反応させた後、リン化合物と反応させた反応生成物を用いることがより好ましい。
【0031】
【化7】
Figure 2004218123
【0032】
(ただし、mは2〜4の整数である。)
かかる多価カルボン酸およびその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物を好ましく、特にチタン化合物との反応性がよく、また得られる反応生成物とポリエステルとの親和性が高いことから、トリメリット酸無水物が好ましい。
【0033】
該チタン化合物と多価カルボン酸またはその無水物との反応は、前記多価カルボン酸またはその無水物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物を滴下し、0℃〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧で充分である。なお、このときの溶媒としては、多価カルボン酸またはその無水物の一部または全部を溶解し得るものから適宜選択すればよい。なかでも、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン、キシレンなどが好ましく使用される。
【0034】
この反応におけるチタン化合物と式(III)の化合物またはその無水物とのモル比は適宜に選択することができるが、チタン化合物の割合が多すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり軟化点が低下したりする傾向があり、逆にチタン化合物の量が少なすぎると重縮合反応が進みにくくなる傾向があるため、チタン化合物と多価カルボン酸化合物またはその無水物との反応モル比は、(2:1)〜(2:5)とすることが好ましい。
【0035】
この反応によって得られる反応生成物は、そのまま前述のリン化合物との反応に供してもよく、あるいはこれをアセトン、メチルアルコールおよび/または酢酸エチルなどで再結晶して精製した後にリン化合物と反応させてもよい。
【0036】
本発明において、上記反応生成物の存在下にポリエステルを重縮合するにあたっては、上記のようにして得た析出物を含むグリコール液は、析出物とグリコールとを分離することなくそのままポリエステル製造用触媒として用いてもよく、遠心沈降処理または濾過などの手段により析出物を分離した後、該析出物を再結晶剤、例えばアセトン、メチルアルコールおよび/または水などにより再結晶して精製した後、この精製物を該触媒として用いてもよい。なお、該触媒は、固体NMRおよびXMAの金属定量分析で、その構造を確認することできる。
【0037】
本発明において、ポリエステルポリマーを得るに当たっては、上記析出物は重縮合反応時に反応系内に存在していればよい。このため該析出物の添加は、原料スラリー調製工程、エステル化工程、液相重縮合工程等のいずれの工程で行ってもよい。また、触媒全量を一括添加しても、複数回に分けて添加してもよい。
【0038】
また、重縮合反応では、必要に応じてトリメチルホスフェートなどのリン安定剤をポリエステル製造における任意の段階で加えてもよく、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、整色剤、消泡剤その他の添加剤などを配合してもよい。
【0039】
さらに、得られるポリエステルの色相の改善補助をするために、ポリエステルの製造段階において、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機青色顔料等、無機系以外の整色剤を添加することもできる。
【0040】
次に、前記の触媒を用いて、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、脂肪族グリコール(アルキレングリコール)又はそのエステル形成性誘導体とから芳香族ジカルボン酸のアルキレングリコールエステル及び/又はその低重合体を製造し、前記の触媒を用い、これを重縮合させてポリエステルを製造する方法について説明する。
【0041】
ポリエステルの出発原料となる芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を用いることができる。
【0042】
もう一方の出発原料となる脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンメチレングリコール、ドデカメチレングリコールを用いることができる。
【0043】
また、ジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸とともに、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸など又はそのエステル形成性誘導体を原料として使用することができ、ジオール成分としても脂肪族ジオールとともに、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコール、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類などの芳香族ジオールなどを原料として使用することができる。
【0044】
さらに、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物を原料として使用することができる。
【0045】
上記の芳香族ジカルボン酸のアルキレングリコールエステル及び/又はその低重合体は、いかなる方法によって製造されたものであってもよいが、通常、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とアルキレングリコール又はそのエステル形成性誘導体とを加熱反応させることによって製造される。
【0046】
例えば、ポリエチレンテレフタレートの原料であるテレフタル酸のエチレングリコールエステル及び/又はその低重合体について説明すると、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか、又はテレフタル酸にエチレンオキサイドを付加反応させる方法が一般に採用される。
【0047】
なお、出発原料としてテレフタル酸及びテレフタル酸ジメチルを用いる場合には、ポリアルキレンテレフタレートを解重合することによって得られた回収テレフタル酸ジメチル又はこれを加水分解して得られる回収テレフタル酸を、ポリエステルを構成する全酸成分の質量を基準として70質量%以上使用したものであってもよい。この場合、前記アルキレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、特に回収されたPETボトル、回収された繊維製品、回収されたポリエステルフィルム製品、さらには、これら製品の製造工程において発生するポリマー屑などをポリエステル製造用原料源として用いることは、資源の有効活用の観点から好ましいことである。
【0048】
ここで、回収ポリアルキレンテレフタレートを解重合してテレフタル酸ジメチルを得る方法には特に制限はなく、従来公知の方法をいずれも採用することができる。例えば、回収ポリアルキレンテレフタレートを用いて解重合した後、解重合生成物を、低級アルコール、例えばメタノールによるエステル交換反応に供し、この反応混合物を精製してテレフタル酸の低級アルキルエステルを回収し、これをアルキレングリコールによるエステル交換反応に供し、得られたテレフタル酸/アルキレングリコールエステルを重縮合すればポリエステルを得ることができる。また、上記、回収された、テレフタル酸ジメチルからテレフタル酸を回収する方法にも特に制限はなく、従来方法をいずれを用いてもよい。例えばエステル交換反応により得られた反応混合物からテレフタル酸ジメチルを再結晶法及び/又は蒸留法により回収した後、高温高圧化で水とともに加熱して加水分解してテレフタル酸を回収することができる。この方法によって得られるテレフタル酸に含まれる不純物において、4−カルボキシベンズアルデヒド、パラトルイル酸、安息香酸及びヒドロキシテレフタル酸ジメチルの含有量が、合計で1ppm以下であることが好ましい。また、テレフタル酸モノメチルの含有量が、1〜5000ppmの範囲にあることが好ましい。上述の方法により回収されたテレフタル酸と、アルキレングリコールとを直接エステル化反応させ、得られたエステルを重縮合することによりポリエステルを製造することができる。
【0049】
次に、本発明における重縮合触媒の存在下に、上記で得られた芳香族ジカルボン酸のアルキレングリコールエステル及び/又はその低重合体を、減圧下で、かつポリエステルポリマーの融点以上分解点未満の温度(通常240℃〜280℃)に加熱することにより重縮合させる。この重縮合反応では、未反応の脂肪族グリコール及び重縮合で発生する脂肪族グリコールを反応系外に留去させながら行われることが望ましい。
【0050】
重縮合反応は、1槽で行ってもよく、複数の槽に分けて行ってもよい。例えば、重縮合反応が2段階で行われる場合には、第1槽目の重縮合反応は、反応温度が245〜290℃、好ましくは260〜280℃、圧力が100〜1kPa、好ましくは50〜2kPaの条件下で行われ、最終第2槽での重縮合反応は、反応温度が265〜300℃、好ましくは270〜290℃、反応圧力は通常10〜1000Paで、好ましくは30〜500Paの条件下で行われる。
【0051】
このようにして、本発明の触媒を用いてポリエステルを製造することができるが、この重縮合工程で得られるポリエステルは、通常、溶融状態で押し出しながら、冷却後、粒状(チップ状)のものとなす。
【0052】
得られたポリエステルの固有粘度は0.40〜0.80、好ましくは0.50〜0.70であることが望ましい。
【0053】
上記重縮合工程で得られるポリエステルは、所望によりさらに固相重縮合することができる。
【0054】
該固相重縮合工程に供給される粒状ポリエステルは、予め、固相重縮合を行う場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重縮合工程に供給してもよい。
【0055】
このような予備結晶化工程は、粒状ポリエステルを乾燥状態で通常、120〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度に1分間から4時間加熱することによって行うことができるが、このような予備結晶化は、粒状ポリエステルを水蒸気雰囲気、水蒸気含有不活性ガス雰囲気下、あるいは水蒸気含有空気雰囲気下で、120〜200℃の温度で1分間以上加熱することによって行うこともできる。
【0056】
予備結晶化されたポリエステルは、結晶化度が20〜50%であることが望ましい。なお、この予備結晶化処理によっては、いわゆるポリエステルの固相重縮合反応は進行しないので、予備結晶化されたポリエステルの固有粘度と予備結晶化される前のポリエステルの固有粘度との差は、通常0.06以下である。
【0057】
該固相重縮合工程は、少なくとも1段階からなり、温度が190〜230℃、好ましくは195〜225℃であり、圧力が1kPa〜200kPa、好ましくは10kPa〜大気圧の条件下で、窒素、アルゴン、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行われる。使用する不活性ガスとしては窒素ガスが望ましい。
【0058】
このような固相重縮合工程を経て得られた粒状ポリエステルには、必要に応じて水、水蒸気、水蒸気含有不活性ガス、水蒸気含有空気などと接触させる、水処理を行って、チップ中に含まれる触媒を失活させてもよい。
【0059】
このようにして得られた粒状ポリエステルの固有粘度は、0.70以上であることが望ましい。上記のようなエステル化工程と重縮合工程とを含むポリエステルの製造工程はバッチ式、半連続式、連続式のいずれでも行うことができる。
【0060】
なお、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体は、使用する芳香族ジカルボン酸成分を基準として80モル%以上、好ましくは90モル%以上を占めるような量で用いられ、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体は脂肪族グリコールを基準として80モル%以上、好ましくは90モル%以上を占める量で用いられることが好ましい。
【0061】
一方、本発明の複合繊維を構成する2成分のうち、上記ポリエステルポリマー以外の成分としては、ポリオレフィンポリマー、ポリエステルポリマー、ポリアミド等があげられるが、特に複合繊維とした後、分割しやすいポリアミドが好ましい。ポリアミドポリマーとしては、ナイロン−4、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、ナイロン−610、ナイロン−46等を好ましく用いることができる。
【0062】
本発明においては、上記2成分を溶融紡糸して複合繊維とする。
【0063】
この際、通常は、上記2成分を各々所定の水分率とし、2基の溶融押出機を装備した通常の複合紡糸設備で溶融し、従来公知の複合紡糸口金を用いて2種のポリマー流を複合し、冷却、固化後、油剤を付与して紡糸引き取りし、さらに必要に応じて延伸を施す方法を採用することができる。延伸を施す場合は、紡糸引き取り後、一旦未延伸糸として巻き取った後、別途延伸を行っても良いし、紡糸引き取り後、一旦巻取ることなく、連続して延伸を行ってもよい。
【0064】
複合繊維の断面形状としては、第1図〜第8図に示すような断面のものが例示されるが、2成分が共に繊維表面に露出しているものが後の分割性の点では好ましい。また、複合繊維の繊維横断面形状は、円形、楕円形、矩形、多葉断面形状、中空断面形状など公知の横断面形状をいずれも採用することができる。
【0065】
本発明で得られる複合繊維の2成分の重量割合は、複合繊維の使用形態にもよるが、複合繊維を分割して両成分とも残して細繊度繊維化することを考えると、20:80〜80:20であることが好ましく、30:70〜70:30であることが特に好ましい。
【0066】
また、上述したように複合繊維の表面には両成分を露出させた場合は、2成分の繊維表面への露出割合としては、上記ポリエステルポリマー成分、その他の成分が各々繊維断面の円周に占める弧の長さをB、Aとした場合、その比A/Bが、0.4〜2.5の範囲が好ましく、より好ましくは、0.6〜1.5の範囲である。
【0067】
複合繊維の形状としては、用途によって、長繊維、短繊維のいずれを選択しても良く、捲縮や他の形態が付与されていても良い。
【0068】
本発明によって得られた複合繊維は、これを用いて細繊度繊維からなる織編物とすることができる。この際、製織、製編は公知の方法で実施することができる。得られた織編物は、バフ加工、アルカリ減量、溶剤処理等によって、構成複合繊維を細繊度化することができる。
【0069】
また、本発明によって得られた複合繊維は、これを用いて細繊度繊維からなる不織布とすることができる。この際、紡糸口金より紡出された複合紡出糸条を高速牽引し、補集ネット上に噴射・補集するスパンボンド法、又は、紡糸・延伸して一旦巻き取った複合繊維の延伸糸を高速の牽引流体により開繊しながら多孔補集面上にウエブとして捕集する方法等により、ウエブとなすことができる。なかでも、前者のスパンボンド法が、生産性の点から特に好ましい。ここで、高速牽引の速度としては、2000〜8000m/分の範囲、特に3000〜6000m/分の範囲が適当であり、紡糸口金から吐出された複合繊維をエジェクターやエアサッカーなどにより上記範囲の速度にて高速牽引すればよい。高速牽引により細繊度に分割された複合繊維は、開繊されながら補集ネット上に補集される。
その際、コロナ放電による帯電や接触帯電等の従来公知の方法により繊維を帯電させることが、より均一性に優れたウエブを得るためには好ましい。
【0070】
上記複合繊維をネット上に補集する際、他の短繊維を混綿したり、他の長繊維を積層、混合したりすることも可能である。混綿又は積層、混合される他の繊維素材としては、特に限定はされないが、例えば、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ウール等の天然繊維、ナイロン−6、ナイロン−66等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維等から任意に1あるいは2種以上選択して使用することができる。もちろん、これらの繊維の形状等も特に限定されず、2種以上の熱可塑性樹脂を組み合わせた芯鞘型複合繊維や剥離分割型複合繊維、その他断面形状を異形断面とした繊維等、任意のものを用いることができる。
【0071】
このようにして得られたウエブは、必要に応じて複数枚を積層して、又は単独で、必要に応じて予備的に熱接着し、一旦巻き取った後に、又は連続して、熱接着や他の樹脂による接着、高圧柱状水流、又はニードルパンチ処理等の交絡処理を施して、長繊維不織布とする。
【0072】
上記接着や交絡処理が施された長繊維不織布は、分割処理して、複合繊維を細繊度化することが望ましい。その分割方法は、分割細繊度化が確実に遂行できる方法であれば任意であり、複数の方法を組合わせても構わない。例えば機械的な分割処理方法としては、ローラー間で加圧する方法、超音波処理を行なう方法、衝撃を与える方法、揉み処理をする方法を例示することができるが、これらの中で、シート状物打撃式揉み機による方法が最も効果的であり好ましい。なお、ここでいうシート状物打撃式揉み機とは、シートの厚み方向に剪断力を効率よく加えることができるものであり、複合繊維の分割細繊度化を効率よく行なうことができる。
【0073】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。なお、実施例中の各値は以下の方法に従って求めた。
(1)ポリマー吐出状態
複合紡糸中に、紡糸口金より吐出されているポリマーの吐出状態を観察し、次の基準で吐出状態を格付けした。複合紡糸開始1日後、3日後および、5日後に観察を行った。
レベル1:吐出糸条がほぼ一定の流下線を描いて、安定に走行している。
レベル2:吐出糸条に小さな屈曲、屈曲の繰り返し、旋回等が見られる。
レベル3:吐出糸条が大きく屈曲、屈曲の繰り返しあるいは旋回している。一部ポリマーが紡糸口金面に接触し、断糸が頻発している。
(2)重合体露出成分比(A/B)
複合繊維をサンプリングし、その横断面を光学顕微鏡にて撮影し、ポリアミド系重合体、ポリエステル系重合体が各々円周に占める弧の長さの合計をそれぞれポリアミド系重合体が占める円弧長(A)、ポリエステル系重合体が占める円弧長(B)とし、その比A/Bを50本について算出し、平均値を重合体露出成分比(A/B)とした。
(3)分割率
複合繊維を長さで100本サンプリングし、厚さ5mmの硬度A80度のゴム板上で、25cm/分の速度で繊維を移動しながら、鉄製で直径10mmの球状先端を取り付けた市販のバイブレーターによってストローク長20mmにて分割処理を行った後、複合繊維の断面を電子顕微鏡により200倍で撮影し、未分割(完全に分割していないものも含む)の繊維の数を分割前の繊維数で除して求めた。該分割率が大きいほどよく分割していることを示す。
(4)強度・伸度
JIS−L1013に準拠して測定した。
(5)不織布のポリマー欠点
12hr後、1日後、3日後に得られた各不織布を500mの長さで巻き返し、ポリマードリップなどの混入状態を調べ、1箇所を1欠点として数えた。
【0074】
[実施例1]
エチレングリコール435gと酢酸5gを入れて混合攪拌した中に、チタンテトラブトキシド34gを徐々に添加して得られた透明な溶液を、エチレングリコール537gにモノブチルホスフェート28.3gを添加し得られた透明な溶液に70℃で混合加熱して反応させた。これをさらに1時間攪拌保持して反応を完結させ、白色析出物が存在する触媒溶液を得た。反応の際、チタン原子に対するリン原子のモル濃度比は2.0に調整されたものとしている。
【0075】
予め225部のオリゴマーが滞留する反応器内に、179部のテレフタル酸と95部のエチレングリコールとを混合して調整されたスラリーを一定速度供給し、副反応物を系外に除去しながらエステル化反応を行い、98%以上の重合度5〜7のオリゴマーを得た。このオリゴマーを別の重縮合反応層に移し、オリゴマー225部に、上記触媒溶液0.593部を投入し、反応温度を255℃から280℃に、反応圧力を常圧から0.06MPaに段階的に上昇させ、副反応物を系外に除去しながら重縮合反応を行い、ペレット化して極限粘度0.64(35℃、o−クロロフェノール中)のポリエステル重合体を得た。得られたポリエステル重合体をアルミ板上で加熱溶融し、圧縮プレス機にてフィルム化した後、蛍光X線装置(理学電気工業3270E型)で定量分析したところ、チタン12ppm、リン15ppmであった。
【0076】
このポリエステル重合体と、ポリアミド重合体としてナイロン−6(Ny−6;m−クレゾール中の極限粘度1.2)のものをそれぞれ用い、各別々にエクストルーダーにて溶融させ、該ポリアミド重合体と該ポリエステル重合体とを、図1(a)に示すような16分割タイプの放射状多層張合わせ型断面となる複合紡糸口金内で重量比55/45で合流させ、孔径0.35mmの丸断面口金より24本の糸条として吐出し、冷却・固化させて油剤処理後132dtexの複合繊維として速度2500m/分で引き取った後、引き続き50℃の予熱温度で1.6倍に延伸した後110℃で熱セットし、83dtex/24filamentsの複合繊維を得た。表1から明らかな様に、紡糸口金の吐出孔付近の汚れは3日目から認められたものの、5日目になっても屈曲は僅かしかみられず、安定に紡糸可能であった。得られた繊維の分割性も良好であり、黄変も認められず良好な色相を示していた。
【0077】
[比較例1]
実施例1において、ポリエステル重合体の触媒を3酸化アンチモン(Sb)の1.3%濃度エチレングリコール溶液とし、さらに安定剤としてトリメチルホスフェートの25%エチレングリコール溶液を0.121部投入する以外は同様にして、重縮合反応を行い、極限粘度0.64のポリエステルを得た。このポリエステル重合体を用いて実施例1と同様に複合繊維を得た。得られた複合繊維の物性を表1に示す。
【0078】
[実施例2]
エチレングリコール656gにモノラウリルホスフェートを34.5g添加し、100℃のリン化合物溶液を作成して、ここに実施例1と同じ割合で作成したチタン化合物溶液を1000gを加え、100℃で反応させた。後は実施例1と同様にして、極限粘度0.64のポリエステル重合体作成し、このポリエステル重合体を用いた以外は実施例1と同様にして複合繊維を得た。得られた複合繊維の物性を表1に示すが、分割性は良好であった。また、黄変も認められず良好な色相を示していた。
【0079】
[比較例2]
実施例1において、ポリエステル重合体の重縮合触媒としてリン化合物溶液を使用せずに、チタン化合物溶液のみを使用し、添加量を0.258部とする以外は実施例1と同様にして極限粘度0.64のポリエステル重合体を得た。このポリエステル重合体を用いた以外は実施例1と同様にして複合繊維を得た。この複合繊維は、色相が黄色味を帯びていた。得られた複合繊維の物性を表1に示す。
【0080】
【表1】
Figure 2004218123
【0081】
[実施例3]
実施例1のポリエステル重合体と、ポリアミド重合体とをそれぞれ用い、各別々にエクストルーダーにて溶融させ、該ポリアミド重合体と該ポリエステル重合体とを、図1(a)に示すような16分割タイプの放射状多層張合わせ型断面となる複合紡糸口金内で体積比50/50で合流させ、単孔当たりの吐出量を1g/分にして0.35φの吐出孔を4000ホール有する口金より吐出し、エアサッカーの空気圧力343KPa(3.5kg/cm)にて高速牽引した後、フィラメントを開繊し、複合繊維(両成分の重量比率50/50、単糸繊度は4.1dtex)からなるウエブとして、補集ネットコンベアーで補集した。その後連続で得られたウエブを上下120℃のエンボスカレンダーにて熱接着を行い、目付100g/m、幅1mの不織布を5日間連続で得た。得られた不織布の物性を表2に示すが、この表から明らかなように、紡糸口金の吐出孔付近の汚れは1日目から認められたものの、3日目になっても屈曲は僅かしかみられず、単糸切れの発生はなく、安定に不織布に成形可能であった。得られた不織布をシート状物打撃式揉み機にて複合繊維の分割細繊度化処理を行ったところ、分割後の不織布の分割率は12hr後、3日後とも殆ど変化なく、90%以上で良好であった。また、不織布は、黄変も認められず、色相が良好であった。
【0082】
[比較例3]
実施例3において、ポリエステル重合体の触媒を3酸化アンチモン(Sb)の1.3%濃度エチレングリコール溶液とし、さらに安定剤としてトリメチルホスフェートの25%エチレングリコール溶液を0.121部投入する以外は同様にして、重縮合反応を行い、極限粘度0.64のポリエステルを得た。このポリエステル重合体を用いて実施例3と同様に不織布を得た。得られた不織布の物性を表2に示す。
【0083】
[実施例4]
エチレングリコール656gにモノラウリルホスフェートを34.5g添加し、100℃のリン化合物溶液を作成して、ここに実施例3と同じ割合で作成したチタン化合物溶液を1000gを加え、100℃で反応させた。後は実施例3と同様にして、極限粘度0.64のポリエステル重合体作成し、このポリエステル重合体を用いた以外は実施例3と同様にして不織布を得た。この不織布は、黄変も認められず、色相が良好であった。得られた不織布の物性を表2に示す。
【0084】
[比較例4]
実施例3において、ポリエステル重合体の重縮合触媒としてリン化合物溶液を使用せずに、チタン化合物溶液のみを使用し、添加量を0.258部とする以外は実施例3と同様にして極限粘度0.64のポリエステル重合体を得た。このポリエステル重合体を用いた以外は実施例3と同様にして不織布を得た。3日後には繊維の断面形状が幾分変化し、分割性に差が見られた。また、不織布の色相も部分的に黄色味を帯びていた。得られた不織布の物性を表2に示す。
【0085】
【表2】
Figure 2004218123
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、容易に分割できる複合繊維を、断糸などを発生させず安定して製造することできる。しかも、本発明によれば、紡糸時間と共に断面複合形状が変化せず、高い分割性を維持することできる。また、得られた複合繊維は色相の点でも優れている。このため、本発明により製造された複合繊維は、織編物、不織布等として、幅広く様々な用途に応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合繊維の断面形状を例示した図。

Claims (8)

  1. 細繊度繊維に分割することができる、2成分からなる複合繊維を溶融紡糸により製造するに際し、2成分のうち少なくとも1成分として、下記式(I)で表されるチタン化合物と下記式(II)で表されるリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルポリマーを用いることを特徴とする複合繊維の製造方法。
    Figure 2004218123
    (R、R、R、Rは、それぞれ同一もしくは異なって、アルキル基またはフェニル基であり、kは1〜4の整数である。なお、kが2〜4の場合には、複数のRおよびRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2004218123
    (Rは、炭素原子数1〜20個のアルキル基または炭素原子数6〜20個のアリール基であり、nは1または2である。)
  2. チタン化合物とリン化合物との配合割合が、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率として1.0〜3.0の範囲にある、請求項1記載の複合繊維の製造方法。
  3. ポリエステルが、チタン化合物を予め下記一般式(III)で表される多価カルボン酸および/またはその酸無水物と反応モル比(2:1)〜(2:5)の範囲で反応させた後にリン化合物と反応させた反応生成物を触媒として重縮合して得られるポリエステルである、請求項1または請求項2に記載の複合繊維の製造方法。
    Figure 2004218123
    (但し、mは2〜4の整数である。)
  4. リン化合物がモノアルキルホスフェートである、請求項1〜3のいずれかに記載の複合繊維の製造方法。
  5. 2成分のうちポリエステルポリマー以外の成分が、ポリアミドポリマーである、請求項1〜4のいずれかに記載の複合繊維の製造方法。
  6. 細繊度繊維の繊度が、0.05〜1.0dtexの範囲である、請求項1〜5のいずれかに記載の複合繊維の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の方法により製造した複合繊維。
  8. 請求項7記載の複合繊維を用いてなり、該複合繊維が細繊度繊維に分割されている不織布。
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