JP2004218169A - 湿式紡糸方法及びそのための装置 - Google Patents

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尚光 村山
Hiroshi Fujita
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Abstract

【課題】有機系高分子から成る合成繊維を湿式紡糸で製造する場合において、凝固浴槽に満たされた凝固液中の溶剤濃度を均一化することによって、紡糸口金に穿設された吐出孔群から紡出された単繊維群間での凝固斑を解消して、単糸切れを抑制する。
【解決手段】凝固液を満たした凝固浴槽(1)中に紡糸口金(2)を浸漬し、前記紡糸口金(2)に穿設された吐出孔群より有機系高分子を溶剤に溶した紡糸溶液を前記凝固液(1)中へ下方から上方へ紡出し、紡出された前記紡糸溶液の含有溶剤を抽出して単繊維群(F)を形成するに際して、前記含有溶剤を抽出して前記単繊維群(F)を形成させる領域において前記単繊維群(F)を横切る方向への速度成分を有する凝固液流を形成させることを特徴とする湿式紡糸方法とそのための装置である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーヨン、アクリル、全芳香族ポリアミドなどの有機系高分子から成る合成繊維を湿式紡糸するための方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、レーヨン、アクリル、全芳香族ポリアミドなどの有機系高分子からなる合成繊維は、紡糸口金に設けられた吐出孔群より、紡糸溶液を凝固浴槽内の凝固液中に吐出させて凝固させ、繊維化させる湿式紡糸法によって製造される。
【0003】
また、このような湿式紡糸を行う装置においては、凝固液を充填した前記凝固浴槽とその内部に設置された多数の吐出孔群が穿設された紡糸口金から基本的に構成されている。例えば、数百〜数十万個の吐出孔群を穿設した紡糸口金から一度に多くの繊維状の紡糸溶液を凝固液中に紡出して凝固させることによって、単繊維群を形成することが一般に行なわれている。その際、このような湿式紡糸法において、最も重要なことは、多数の吐出孔群を有する紡糸口金から紡出される紡糸溶液の全てが斑なく均一に単繊維化されることであって、このためには、各単繊維に含まれる溶剤が良好に凝固液中へ抽出されるように、適正に調整された凝固液中へ紡糸溶液が紡出され、ここで凝固されて単繊維群を形成するように配慮されなければならない。
【0004】
そこで、以下に、このような観点から従来の湿式紡糸法を検討してみると、単繊維群を形成させるために紡出された紡糸溶液の周辺部と中心部との間で凝固液の流速に大きな差が生じていることが判明した。すなわち、従来技術では、紡糸口金の近辺において、凝固浴槽の内壁周辺の上下方向に沿った部分(即ち、紡出された単繊維群の外周部)では凝固液の流れは比較的整流された早い流れが形成されるのに対して、紡出された単繊維群の中心部では滞留した低速の流れになり易いことが分った。
【0005】
したがって、このような現象が生じていると、紡糸口金の吐出孔群から紡出された紡糸溶液が凝固して単繊維群を形成する際に、紡糸溶液中から凝固液中に流れ出る溶剤もこの口金中心部近辺に滞留し易くなり、口金中心部は、凝固浴槽内壁近辺における凝固液中の溶剤濃度と異なる高い溶剤濃度になる。したがって、凝固浴槽壁面側と中心側とでは、凝固液が含有する溶剤濃度に勾配が生じることとなる。この結果、紡出された単繊維群間においても、その周辺部と中心部とで凝固時間差が生じ、凝固が不十分の単繊維が生成されて、このような単繊維が単繊維切れ(以下、「単糸切れ」と称する)を起こすという重大な問題を惹起する。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−229227号公報
【0007】
【特許文献2】
特開昭62−33814号公報
【0008】
【特許文献3】
特公昭47−43771号公報
【0009】
【特許文献4】
特公昭44−2050号公報
【0010】
【特許文献5】
特公昭47―10863号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術が有する前述の諸問題を解決するためになされたものである。したがって、本発明は、有機系高分子から成る合成繊維を湿式紡糸で製造する場合において、凝固浴槽に満たされた凝固液中の溶剤濃度を均一化することによって、紡糸口金に穿設された吐出孔群から紡出された単繊維群間での凝固斑を解消して、単糸切れを抑制することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述の目的を達成するために、本発明者等が鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。すなわち、紡出された紡糸溶液から抽出された溶剤によって、凝固浴槽中の凝固液全体の溶剤濃度分布に差が生じることがないように、溶剤濃度分布を常に均一化させるための方法とそのための装置を着想するに至ったものである。
【0013】
つまり、紡糸口金の近辺において、紡糸口金の外周部近辺に紡出されて凝固される単繊維群に支障をきたさず、しかも、凝固液が紡糸口金の中心部で滞留することなく比較的滑らかな流れになるように凝固液の流れを制御すると、各吐出孔から紡出された各紡糸溶液の凝固が良好となり、単糸切れが抑制され、均一な単繊維群が形成されることを見出して、本発明に到達したものである。
【0014】
ここに、前記課題を解決するための請求項1に係る本発明の湿式紡糸方法として、「紡糸口金を凝固液中に浸漬し、前記紡糸口金に穿設された吐出孔群より有機系高分子を溶剤に溶した紡糸溶液を前記凝固液中へ下方から上方へ紡出し、紡出された前記紡糸溶液の含有溶剤を抽出して単繊維群を形成するに際して、前記含有溶剤を抽出して前記単繊維群を形成させる領域において前記単繊維群を横切る方向への速度成分を有する凝固液流を形成させることを特徴とする湿式紡糸方法」が提供される。
【0015】
その際、請求項2記載の本発明のように、「前記紡糸口金の下方から前記凝固液を供給して上方から排出し、新鮮な凝固液流を常に供給することを特徴とする請求項1記載の湿式紡糸方法」とすることが好ましい。
【0016】
また、請求項3記載の本発明のように、「前記凝固浴槽の内壁に沿って流れる凝固液流を遮断し、遮断された前記凝固液流を前記紡糸溶液の紡出方向へ導くことを特徴とする請求項1記載の湿式紡糸方法。」とすることが好ましい。
【0017】
また、請求項4記載の本発明のように、「前記紡糸口金の下方から前記紡糸口金の側面を囲繞するように凝固液を供給することを特徴とする請求項1記載の湿式紡糸方法」とすることが好ましい。
【0018】
そして、請求項5記載の本発明のように、「全芳香族ポリアミド繊維を湿式紡糸することを特徴とする請求項1記載の湿式紡糸方法」とすることが好ましい。
【0019】
次に、請求項6に係る本発明の湿式紡糸装置として、「溶剤によって有機系高分子を溶した紡糸溶液を単繊維群として紡出するための吐出孔群が穿設された紡糸口金と、
紡出された前記単繊維群から前記溶剤を抽出すると共に、前記紡糸口金を浸漬するための凝固液を充填した凝固浴槽と、
前記単繊維群を横切る方向の速度成分を有する凝固液流を形成させる液流制御手段とを少なくとも具備する湿式紡糸装置」が提供される。
【0020】
その際、請求項7記載の本発明のように、「前記液流制御手段が前記紡糸口金の紡糸溶液の吐出面から上方に5〜100mmの位置に前記凝固浴槽内壁に当接して設置され且つ紡出された前記単繊維群が通過する中空部が形成されていることを特徴とする請求項6記載の湿式紡糸装置」とすることが好ましい。
【0021】
また、請求項8記載の本発明のように、「前記凝固浴槽と前記紡糸口金との間に凝固液を流すための側方流路が形成されていることを特徴とする請求項6記載の湿式紡糸装置」とすることが好ましい。
【0022】
そして、請求項9記載の本発明のように、「前記紡糸口金より下方に凝固液の供給管を設けると共に、凝固浴槽の上方に凝固液の液面制御手段を設けたことを特徴とする特許請求項6記載の湿式紡糸装置」とすることが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の湿式紡糸方法とそのための装置に係る実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態例を模式的に示した一部に断面を含む説明図(側面図)であり、図2は前記図1のX−X方向矢視図である。また、これらの図1と2において、参照符号1は凝固浴槽、2は紡糸口金、3は紡糸口金に穿設された吐出孔群、4は液流制御手段、5は紡糸溶液の供給管、6は凝固液の供給管、7は液面制御手段、8は凝固液の排出管、そして、9は側方流路をそれぞれ示している。さらに、参照符号Fは紡出された単繊維群、また、参照符号Hは紡糸口金3の紡糸溶液吐出面から液流制御手段4までの距離をそれぞれ示している。
【0024】
ここで、本発明を理解し易くするために、従来の湿式紡糸技術と本発明との相違点について簡単に述べる。先ず、従来技術においては、凝固浴槽1内に設置された紡糸口金2の外周部と凝固浴槽1の内壁との間より凝固液が供給され、供給された凝固液は、単繊維群の紡出方向へと紡出された単繊維群に並流させられていた。なお、従来技術がこのような方式を採用したのは、紡出された単繊維群Fを横切る方向へ凝固液を流すと、紡出された単繊維群に横揺れが生じて紡糸調子を乱すと言う観点から行われてきた結果である。しかしながら、本発明の大きな特徴は、このような従来技術と異なって、紡出された単繊維群を横切るように凝固液を供給することにある。
【0025】
しかしながら、これを具現化するためには、図1と2に例示したような構成を採用した上で、紡糸口金2近辺における凝固液の流れ方向を制御して、凝固液を単繊維群F(紡糸溶液)を横切るように流す必要があり、紡出された単繊維群Fを横切る方向に凝固液流を誘導制御するための手段として、前述の液流制御手段4を設ける。
【0026】
そこで、以下、図1と2に例示した液流制御手段4を含む本発明の構成について、その実施形態例を詳細に説明する。
【0027】
先ず、本発明の湿式紡糸装置においては、上部が開口する円筒状の凝固浴槽1を形成し、この凝固浴槽1の中心部の凝固液中に紡糸口金2を浸漬した状態で配置する。このとき、凝固液はショートパスすることがないように、凝固液の供給管6によって凝固浴槽1の下方部から供給され、紡糸口金2の側面を囲繞するように凝固液が流れて、液流制御手段4によって紡出された単繊維群Fを横切って流れ、最終的に、液面制御手段7に到達して排出管8から流出する。なお、この排出管8から流出した凝固液については、紡出された単繊維群Fから凝固液中に抽出されることによって、含有することとなった溶剤を除去した後、再び前記供給管6を介して循環させるようにしても良い。
【0028】
以上に述べたような凝固液の流れを形成させる一方で、他方では、紡糸溶液が図示省略した計量供給手段によって連続的に計量されて供給管5より紡糸口金2へ供給され、紡糸口金2に多数穿設された吐出孔群3から上方に向って凝固液中に吐出され、吐出された紡糸溶液中の溶剤が凝固液中へ抽出されて単繊維群Fが形成させられる。次いで、このようにして形成させた単繊維群Fを凝固液から引き出して集束させた後、延伸や熱処理などの必要な処理を行って糸条として巻き取る。
【0029】
その際、もし、図1と2に例示した本発明の装置が一大特徴とする液流制御手段4が設けられていないと仮定すれば、凝固浴槽1の下部から供給される凝固液の殆どは、凝固浴槽の内壁面に沿って流れると言う事態が生じる。もし、仮に、このような事態が生じたとすると、単繊維化するために紡糸溶液から溶剤を抽出する必要がある凝固浴槽1の中心部、特に、図2の一点鎖線で囲った内部領域Aに新鮮な凝固液が供給されなくなり、凝固液の滞留が生じる。
【0030】
他方、図2の一点鎖線の外部領域Bにおいては、凝固浴槽1の内壁に沿った凝固液の影響と、紡出された単繊維群Fの上方への走行に伴う凝固液の随伴流も生じるため、比較的新鮮な凝固液が供給される。したがって、液流制御手段4が設けられなければ、図2に示した一点鎖線の内部領域Aと外部領域Bとの間で、凝固液中に含まれる溶剤の濃度に差が生じて、前記内部領域Aでは紡糸溶液中の溶剤が充分に抽出されないという事態を惹起する。そして、このような事態が惹起されると、充分に凝固されずに引き出される単繊維が形成されることとなり、このような単繊維が単糸切れを引き起こす。
【0031】
そこで、本発明においては、前記の好ましくない事態を回避するために、図1と2の実施形態に例示した液流制御手段4が設けられている。言うまでもなく、この液流制御手段4は、凝固浴槽1の内壁に沿って流れる凝固液流を遮断し、単繊維群Fを横切る方向へと遮断した凝固液の流れ方向を向けるように制御する役割を果たす。つまり、前記液流制御手段4を設置することによって、紡糸溶液中に含有される溶剤を抽出して単繊維群Fを形成させる領域AとBとにおいて前記単繊維群Fを横切る方向への速度成分を有する凝固液流を形成させる(図1に示した有向線の矢印方向がこのような凝固液の流れの状態を模式的に示している)のである。
【0032】
そして、以上のようにすることによって、図2に示した一点鎖線の内部領域Aにも新鮮な凝固液が常に供給される状況を現出させ、これによって、この内部領域Aに紡出された単繊維群Fの凝固不足を解消するのである。このように、液流制御手段4は重要な役割を果たすものであるから、その設置条件についても当然のことながら重要である。そこで、以下に、この重要な設置条件について、前記の図1と2に示した実施態様例に基きながら詳細に説明する。
【0033】
ここで、液流制御手段4は、新鮮な凝固液が口金2の中心部分に供給することによって、この部分に滞留する凝固液を良好に更新するために、紡糸口金2から紡出された単繊維群Fに対して、口金2の外周方向から口金中心へと向かう凝固液の流れが形成されるように制御する必要がある。したがって、このような条件を満たすためには、先ず、凝固浴槽1の内壁に沿ってショートパスする凝固液の流れを遮断する必要があって、このために、液流制御手段4を板状部材で形成すると共に、この板状部材を凝固浴槽1の内壁に当接させて設けるる必要がある。なお、前記板状部材には、紡出された前記単繊維群Fが接触することなく通過する中空部が形成されている。
【0034】
次に、前記液流制御手段4の設置位置(図1の符号Hを参照)については、紡糸口金2の上方の近傍に設ける必要がある。具体的には、口金2の紡糸溶液の吐出面から上方への距離H(図1参照)に関して、このHが5〜100mmの位置、更に好ましくは、15〜50mmの位置に設けることが好ましい。
【0035】
このとき、前記距離Hが5mm未満であれば、口金2の紡糸溶液吐出面と液流制御手段4との間に間隔が狭い狭隘流路となってしまい、この狭隘流路を通過しなければならない凝固液の流速が上昇し、速くなった凝固液流と吐出された紡糸溶液流とが接触する際に、紡糸溶液の流れが乱されてしまう。そうすると、凝固過程にある単繊維群Fの良好な形成が阻害されるばかりでなく、本発明の初期の目的である単糸切れを逆に誘発する事態を惹起する。
【0036】
また、逆に、前記距離Hが100mmを超えると、単繊維群Fを横切る方向成分が小さくなって、紡出された単繊維群Fの中心部へ供給されるべき新鮮な凝固液が充分に供給されなくなる。そうすると、紡糸口金2から吐出された紡糸溶液からの溶剤抽出が不十分となり、凝固が充分に行われなくなって繊維化が不十分な単繊維群が形成される結果となる。したがって、このような場合もまた、本発明の初期の目的を達成することができない。
【0037】
次に、本発明では、図1及び2に例示したように、前記凝固浴槽1の内壁と前記紡糸口金2の側面との間に凝固液を流すための側方流路9が形成されており、この側面流路9から口金2を囲繞して、これを包むように口金2の全周から凝固液が口金2の上方近傍へ供給される。このため、口金2から吐出された紡糸溶液から溶剤を抽出して繊維化するための凝固液がほぼ均等に斑なく口金2の吐出面近傍へ供給されることとなる。したがって、本発明においては、前述したように図2に示した一点鎖線の内部領域Aと外部領域Bとの間での凝固液の含有溶剤濃度差を少なくすることに注力することができる。また、実際に、このような具体的な方法と手段については、既に詳細に説明した通りである。
【0038】
最後に、本発明で好適に使用できる液面制御手段7について述べておく。本発明においては、常に新鮮な凝固液が凝固浴槽1へ供給され、これによって凝固浴槽1は、常に凝固液によって充填される。このとき、紡糸溶液から抽出された溶剤を含む凝固液については、抽出された溶剤を液中から取り除き、かつ凝固浴槽1の液面レベルを常に一定にするために回収する必要がある。したがって、このような目的を達成するための手段として、液面制御手段7が設けられる。
【0039】
図1には、このような液面制御手段7が例示されており、供給管6から供給された凝固液は、凝固浴槽1の上端において、凝固浴槽1の上端縁の全周から回収トレイに溢れ出して排出管8より流出する。そして、このように、凝固浴槽1の上端縁の全周から凝固液を流出させるようにすれば、凝固浴槽1の液面を乱すこともなく、また凝固液の偏流を起こさせることもない。
【0040】
【実施例】
以下、実施例によって、本発明を更に詳しく具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明の理解を助けるためのものであって、これらの記載によって、本発明の主旨に合致する実施例までも限定するものではない。なお、実施例中、還元粘度(I.V.)は、重合体溶液から芳香族ポリアミドポリマーを単離して乾燥した後、濃硫酸中、ポリマー濃度100mg/100ml硫酸で30℃において測定した値である。
【0041】
特公昭47―10863号公報に記載の方法に準じた界面重合法によって製造したI.V.が1.9のポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末21.5重量部を、―10℃に冷却したN−メチルー2―ピロリドン78.5重量部に懸濁させ、スラリー状にした後、60℃まで昇温して溶解させ、透明な全芳香族ポリアミドからなる紡糸溶液を得た。次に、前記紡糸溶液を原液として、15000個の孔径0.07mmを有する吐出孔群が穿設された紡糸口金2を凝固浴槽内に設置して湿式紡糸を行った。本発明により設けられた凝固液の液流制御手段4を設置する高さ方向の位置としては、紡糸口金2の吐出孔群上面から50mmとし、液流制御手段4の幅(長さ)としては33mmとした。
【0042】
以上に述べた各々の実施方法にて、水/NMP比率を40重量%/60重量%に調整し、その温度が50℃に維持された凝固浴中に紡糸口金2を浸漬させて、前述の紡糸溶液を0.0325cc/分・孔で15000個の吐出孔群から一斉に吐出させ、糸速7m/分と糸速10m/分で、湿式紡糸を行った。そして、紡糸時間10分の間に発生する凝固浴中での単糸切れの回数を評価した。また、実施例と比較するため、紡糸条件は前期実施例と同じであるが、凝固液の液流制御手段4が設けられていない紡糸口金を比較例とした。
【0043】
以上に述べた実施例と比較例において、単糸切れの本数を評価した結果を表1に示す。この表1より明らかなように、本発明の液流制御手段4を使用することによって、従来の湿式紡糸方法では、多数の吐出孔数を穿設した場合、及び/又は糸速をあげた場合、単糸切れが発生したりするのを抑制することが困難であったが、このような問題が解消されていることがわかる。
【0044】
【表1】
Figure 2004218169
【0045】
【発明の効果】
以上に述べた本発明によれば、凝固液中に含有される溶剤濃度が凝固浴槽の周辺部と中央部との間の濃度勾配の発生を防止するための凝固液の液流制御手段が設置されているので、凝固浴槽内の凝固液の流れを良好に制御できる。つまり、紡糸溶液を紡出するための多数の吐出孔群が穿設された紡糸口金を使用しても、凝固液の部分的な滞留やそれに伴う凝固液中の溶剤濃度が局所的に大きくならないように、凝固浴槽内における凝固液の流れを制御することができる。しかも、紡糸口金に穿設された吐出孔群から紡出された全ての単繊維群に対して、溶剤濃度の差のない新鮮な凝固液が常に均一に供給されることとなる。したがって、紡出された全ての単繊維群中から斑なく溶剤が抜けて、全単繊維群が充分に凝固されることとなり、その結果として、単糸切れが発生し難くなるというきわめて顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例を模式的に示した一部に断面を含む説明図(側面図)である。
【図2】図1のX−X方向矢視図である。
【符号の説明】
1 : 凝固浴槽
2 : 紡糸口金
3 : 吐出孔群
4 : 液流制御手段
5 : 紡糸溶液の供給管
6 : 凝固液の供給管
7 : 液面制御手段
8 : 凝固液の排出管
9 : 側方流路
F : 紡出された単繊維群
H : 紡糸口金の紡糸溶液吐出面から液流制御手段までの距離

Claims (9)

  1. 凝固液を満たした凝固浴槽中に紡糸口金を浸漬し、前記紡糸口金に穿設された吐出孔群より有機系高分子を溶剤に溶した紡糸溶液を前記凝固液中へ下方から上方へ紡出し、紡出された前記紡糸溶液の含有溶剤を抽出して単繊維群を形成するに際して、前記含有溶剤を抽出して前記単繊維群を形成させる領域において前記単繊維群を横切る方向への速度成分を有する凝固液流を形成させることを特徴とする湿式紡糸方法。
  2. 前記凝固浴槽の内壁に沿って流れる凝固液流を遮断し、遮断された前記凝固液流を前記紡糸溶液の紡出方向へ導くことを特徴とする請求項1記載の湿式紡糸方法。
  3. 前記紡糸口金の下方から前記凝固液を供給して上方から排出し、新鮮な凝固液流を常に凝固浴槽中へ供給することを特徴とする請求項1記載の湿式紡糸方法。
  4. 前記紡糸口金の下方から前記紡糸口金の側面を囲繞するように凝固液を供給することを特徴とする請求項1記載の湿式紡糸方法。
  5. 全芳香族ポリアミド繊維を湿式紡糸することを特徴とする請求項1記載の湿式紡糸方法。
  6. 溶剤によって有機系高分子を溶した紡糸溶液を単繊維群として紡出するための吐出孔群が穿設された紡糸口金と、
    紡出された前記単繊維群から前記溶剤を抽出すると共に、前記紡糸口金を浸漬するための凝固液を充填した凝固浴槽と、
    前記単繊維群を横切る方向の速度成分を有する凝固液流を形成させる液流制御手段とを少なくとも具備する湿式紡糸装置。
  7. 前記液流制御手段が前記紡糸口金の紡糸溶液の吐出面から上方に5〜100mmの位置に前記凝固浴槽内壁に当接して設置され且つ紡出された前記単繊維群が通過する中空部が形成されていることを特徴とする請求項6記載の湿式紡糸装置。
  8. 前記凝固浴槽と前記紡糸口金との間に凝固液を流すための側方流路が形成されていることを特徴とする請求項6記載の湿式紡糸装置。
  9. 前記紡糸口金より下方に凝固液の供給管を設けると共に、凝固浴槽の上方に凝固液の液面制御手段を設けたことを特徴とする特許請求項6記載の湿式紡糸装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017076374A1 (en) 2015-11-06 2017-05-11 Vysoké Učení Technické V Brně Polymer-made fibre preparation method
CN117512789A (zh) * 2024-01-03 2024-02-06 常州纺兴精密机械有限公司 一种生产复合导电纤维的纺丝设备及方法

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