JP2004217326A - 輸送食材品質監視方法、輸送食材品質監視システム及び輸送食材品質監視装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】輸送すべき食材と一緒に輸送されるべきデータロガーに対する、食材販売者が指定した動作指定データを、食材出荷者20により通信機器23を用いて輸送食材品質監視サーバ装置10から通信ネットワーク50を介してダウンロードさせてデータロガー22に無線で設定させる。データロガー22を食材と一緒に各輸送用容器21に収容して輸送者に引き渡して輸送車40で輸送させ、輸送用容器21が輸送車40から積み下された後、各輸送用容器21を受領者に納品する前に、当該輸送用容器21内のデータロガー22に記録された履歴データを輸送者により携帯型通信機器31を用いて無線で読み出させて上記サーバ装置10に転送させ、当該輸送用容器内の食材の品質の合否を当該サーバ装置に輸送用容器別に判定させ、判定結果を携帯型通信機器31に通知させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラックその他の輸送車による食材の輸送中の温度、湿度等の食材の雰囲気により生じる食材の品質の劣化を監視可能にする輸送食材品質監視方法及び輸送食材品質監視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、肥料あるいは農薬の被害、食中毒の発生など食材の安全を脅かす事例が多く発生して、食材の安全性への関心が高まっている。このため、野菜、果物等の生鮮食品については、使用された農薬の種類、使用量の履歴を記録し、加工食品の場合には、原材料、添加物等の加工過程の履歴を記録することが試みられている。例えば、特許文献1参照。食品に関する事故が発生したときには、この履歴を追跡して事故の原因を究明する手掛かりを得ることができる。
【0003】
しかし、このような従来技術では、需用者が食材を購入した後あるいはその後事故が発生した後に食品生成履歴を追跡可能にするが、需用者が食材を購入するときには、その食材が安全なものであるか否かは判定することはできず、需用者は、食材の購入時に安心して食材を購入できる分けではない。
【0004】
更に、上記従来技術では、事故の発生を防止できない。すなわち、事故が発生した場合には、事故の原因を究明するのに参考となる情報を得ることが可能であるが、事故が発生しそうな食材の流通を防止できない。
【0005】
他方では食材の品質の劣化を直接防止するための工夫もいろいろ提案されている。食材の品質の劣化は輸送中に起きる場合も多いので、食材の輸送中の品質の劣化の防止もいろいろ提案されている。例えば、食材を保冷車で輸送中に保冷車の温度異常等を検出することも提案されている。例えば特許文献2では、トラックに搭載した冷蔵庫内の温度の異常を検出したとき、異常が発生した車の位置を位置検出装置(GPS)で検出して、その位置と温度を公衆無線通信網を介してサーバ装置に送信し、サーバ装置内に温度異常の履歴情報として保存して異常の原因の究明に利用することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では、輸送された食材が販売店に引き渡される時点で、食材の品質が許容される品質であるか否かを監視することは配慮されていなかった。
【0007】
通常、商店等の食材受領者は、食材販売会社(食材販売者)に食材を注文し、食材販売者は、食材を生産あるいは加工して出荷する食材出荷者に食材を注文し、輸送業者に食材出荷者の所から注文元の食材受領者への食材の輸送を注文し、輸送業者が食材出荷者から食材を受け取り販売店に輸送する場合が多い。商店、食材販売者、食材出荷者、輸送業者が同じ企業の異なる部門である場合もあるが、以下では、これらの業者が異なる企業に属するか否かを問わないで説明する。
【0008】
このように食材が注文され輸送される場合、食材出荷者の事業所に輸送車が配車された時刻が輸送業者の都合で事前に指定された時刻より大きく遅れることも生じうる。その場合には、輸送すべき食材を収容した輸送用容器が屋内あるいは屋外に放置されたりする場合があり、輸送用容器内の温度あるいは湿度が、輸送車に積み込むまでの間、許容される範囲を超えることが生じる。特に夏季にはそうである。更に、輸送車が食材出荷者のところに時刻通りに到着しても、輸送用容器の数が多い場合、それらを輸送車に積み込むまでにかなりの時間が掛かることがある。したがって、積み込みが完了するまでの間、輸送用容器が屋外の雰囲気に曝される。同様に、輸送車が食材販売店のところに到着しても、輸送用容器の数が多いときには、積み下しに時間が掛かり、この間に、輸送車から下された輸送用容器は、かなりの時間、屋外に放置されることになり、積み込みの時と同じ問題が生じることがある。
【0009】
あるいは、食材が輸送車に積み込まれた後も、輸送車が、輸送物収容する場所として、空調機器で温度と湿度が制御される保冷室を持っていない場合には、輸送中に同じような問題が生じるおそれがある。更には、輸送車が保冷室を有する場合でも、空調機器の動作不良により、同様の問題が生じうる。更に、輸送が長距離を要する場合、輸送業者の都合により、食材を単一の輸送車で継続して輸送しないで、第1の輸送車からある中継地点まで輸送し、その中継地点で他の第2の輸送車に移し替えることが行われることもある。このとき食材を輸送して来た第1の輸送車が中継地点に到着したときに、移し替え先の第2の輸送車がまだ中継地点に到着していない場合、輸送用容器が第2の輸送車が到着するまで屋内あるいは屋外に放置されることも生じる。
【0010】
このように食材の出荷者から輸送依頼された食材の温度あるいは湿度等が積み込み時又は積み下し時あるいは輸送中に異常になると、商店等の食材受領者に引き渡された食材の品質が非常に劣化したものとなる。例えば、野菜や果物のような生鮮食品の場合には、温度が高くなりすぎたり、湿度が低すぎたり、あるいは温度が低すぎても、食材の鮮度が落ち、味も落ちることがある。あるいは生の加工食品、鮮魚又は食肉などの生鮮食品の場合、温度が高くなりすぎると、鮮度が落ち、味が落ち、極端には食用に供することができなくなる。
【0011】
特に夏季には、生鮮食品が高温・高湿に長時間曝されると、病原菌が指数関数的に増大する。輸送された食品内に病原菌が増大した状態で食材受領者に食材が納品された場合、その後食材を保管する温度と湿度を低くしても一度発生した病原菌は減少しない。したがって、納品時に病原菌が既に食材内に多く発生していると、食材がその後販売店で保管中にあるいは一般消費者に販売された後に、病原菌がより急速に増大し、品質の劣化が進み、極端な場合には、食中毒が発生する危険がでてくる。
【0012】
商店等の食材受領者は、このような危険のある食材を販売することを避けることを望むが、従来技術では、輸送された食品の品質劣化を食材の受領時に目視でしかチェックすることができず、通常は、目で見て大きな問題がなければ、問題は発生しないだろうと推定して納品された食材を受領している。しかし、食材が多量の輸送用容器に収容されている場合、一部の輸送用容器内の食材の品質が他の輸送用容器内の食材の品質より不良であることを見過ごして販売してしまうことが起こりうる。
【0013】
商店等の食材受領者の立場では、食材を購入する顧客の安全を考えると、納品される食材の品質が輸送後も所定の品質基準に合格していることが望ましい。
【0014】
したがって、本発明の目的は、食材の生産者等の食材出荷者から輸送された食材を食材受領者に納品する前に、当該食材の品質が合格か否かを判定可能にする輸送食材品質監視方法、輸送食材品質監視システム及び輸送食材品質監視装置を提供することである。
【0015】
【特許文献1】
特開2001−256292号公報
【0016】
【特許文献2】
特開2002−039659号公報
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明に係る輸送食材品質監視方法は、輸送すべき食材を収容する複数の輸送用容器内の温度又は湿度等の食材の品質に影響を及ぼす少なくとも一つの雰囲気パラメータを時系列に計測して雰囲気パラメータの履歴データを保持する可搬携帯型の複数のデータロガーを使用して、当該食材が輸送された後、食材受領者に納品される前の当該食材の品質を監視するための輸送食材品質監視方法であり、以下のステップを含むものである。
それぞれ動作状態に設定されたデータロガーと輸送すべき食材とを収容した複数の輸送用容器を食材出荷者から輸送者に引き渡させるステップと、
前記引き渡された複数の輸送用容器が輸送車に積み込まれて食材受領者の所に輸送され、当該輸送用容器が当該輸送車から積み下された後、当該輸送用容器内の食材を前記食材受領者に納品する前に、各輸送用容器内の前記データロガーに記録された履歴データを前記輸送者により携帯型通信機器を用いて無線で読み出させて通信ネットワーク介して所定の輸送食材品質監視サーバ装置に転送させるステップと、
前記送信された履歴データとあらかじめ当該食材に対応して前記輸送食材品質監視サーバ装置に記憶された品質合格条件とに基づいて、当該輸送用容器内の食材の品質の合否を当該輸送食材品質監視サーバ装置に輸送用容器別に判定させるステップと、
当該輸送食材品質監視サーバ装置に前記判定結果を前記通信ネットワークを介して前記携帯型通信機器に通知させるステップ。
【0018】
これにより、輸送された食材が食材受領者に納品される前にその品質が検査されるので、品質が劣化している場合、輸送者はその食材の納品を中止する等の処置をすることが可能となる。したがって、納品される食材は、品質基準に合格したもののみとすることが可能となり、食材受領者は安心して納品された食材を販売あるいは使用することができるようになる。
【0019】
しかも、上記品質判定が、輸送された食材が輸送者に引き渡された後納品までの温度、湿度等の雰囲気パラメータの時系列的な変化を示す履歴データに基づいて行われるので、輸送車への輸送用容器の積み込み時の外気の温度あるいは湿度、あるいは、輸送車からの輸送用容器の積み下し時の外気の温度あるいは湿度の影響を含めて、輸送中の全期間にわたる、食材の品質に影響する雰囲気パラメータの履歴データに基づいて行われ、輸送される食材の品質の輸送中の劣化をより詳細に監視することができる。
【0020】
更に、上記品質の判定を、使用する複数の輸送用容器のそれぞれ毎に行うことが出来るので、輸送用容器の一部に品質不良の食材が含まれている場合、そのような食材を見つけることができる。
【0021】
本発明に係る輸送食材品質監視方法のより望ましい態様は、輸送すべき食材を収容する複数の輸送用容器内の温度又は湿度等の食材の品質に影響を及ぼす少なくとも一つの雰囲気パラメータを時系列に計測して雰囲気パラメータの履歴データを保持する可搬携帯型の複数のデータロガーを使用して、当該食材が輸送された後、食材受領者に納品される前の前記食材の品質を監視するための輸送食材品質監視方法であって、以下のステップを有するものである。
食材販売者から指示された食材の輸送時に一緒に輸送されるべき複数のデータロガーに対する、当該食材販売者が指定した複数の動作指定データを、前記食材を出荷する食材出荷者に、通信機器を用いて、当該食材販売者が指定した輸送食材品質監視サーバ装置から通信ネットワークを介してダウンロードさせ、それぞれの動作指定データを前記複数のデータロガーに無線で設定させるステップと、前記複数の輸送用容器が、前記複数のデータロガーが動作状態に設定されて収容された状態で前記食材出荷者から輸送者に引き渡され、輸送車により輸送され、各輸送用容器が食材受領者のところで輸送車から積み下された後、当該輸送用容器内の食材を前記食材受領者に納品する前に、各輸送用容器内のデータロガーに記録された履歴データを前記輸送者に携帯型通信機器を用いて無線で読み出させて通信ネットワーク介して前記輸送食材品質監視サーバ装置に転送させるステップと、
各輸送用容器内のデータロガーから読み出されて送信された履歴データと当該食材に対応してあらかじめ前記輸送食材品質監視サーバ装置に記憶された、前記食材販売者が指定した品質合格条件とに基づいて、当該輸送用容器内の食材の品質の合否を当該輸送食材品質監視サーバ装置に輸送用容器別に判定させるステップと、
当該輸送食材品質監視サーバ装置に前記判定結果を前記通信ネットワークを介して前記携帯型通信機器に通知させるステップ。
【0022】
これにより、輸送された食材を輸送者が食材受領者に納品される前にその品質を判定するので、品質が劣化している場合、その食材の納品を防止する等の処置を輸送者に採らせることが可能となる。したがって、納品される食材は、品質基準に合格したもののみとすることが可能となり、食材受領者は安心して納品された食材を使用することができるようになる。
【0023】
しかも、上記品質判定が、輸送された食材が輸送者に引き渡された後納品までの温度、湿度等の雰囲気パラメータの時系列的な変化を示す履歴データに基づいて行われるので、輸送車への輸送用容器の積み込み時の外気の温度あるいは湿度、あるいは、輸送車からの輸送用容器の積み下し時の外気の温度あるいは湿度の影響を含めて、輸送中の全期間にわたる、食材の品質に影響する雰囲気パラメータの履歴データに基づいて行われ、輸送される食材の品質の輸送中の劣化をより詳細に監視することができる。
【0024】
更に、上記品質の判定を、使用する複数の輸送用容器のそれぞれ毎に行うことが出来、かつ、計測に使用するデータロガーの動作指定データとして、食材販売者が指定したデータを使用することができる。品質合格条件も食材販売者が指定した条件を使用することができる。したがって、食材販売者が希望する態様でデータロガーに計測を実行させ、食材販売者が希望するように輸送後の食材の品質合格基準を決めることができる。
【0025】
本発明に係る輸送食材品質監視システムは、輸送すべき食材を収容する複数の輸送用容器内の温度又は湿度等の食材の品質に影響を及ぼす少なくとも一つの雰囲気パラメータを時系列に計測して雰囲気パラメータの履歴データを保持する可搬携帯型の複数のデータロガーを使用して、当該食材が輸送された後、食材受領者に納品される前の前記食材の品質を監視するための輸送食材品質監視システムであり、以下の要素を備えるものである。
輸送すべき食材を収容する複数の輸送用容器内にそれぞれ収容されて輸送される前記複数のデータロガーと、通信ネットワークを介してアクセス可能な輸送食材品質監視サーバ装置と、前記通信ネットワークを介して前記輸送食材品質監視サーバ装置から前記複数のデータロガーに設定すべき複数の動作指定データを読み出し、当該複数のデータロガーに無線で設定可能な、食材出荷者により使用される通信機器と、前記複数の輸送用容器が、前記複数のデータロガーが動作状態に設定されて収容された状態で前記食材出荷者から輸送者に引き渡され、輸送車により輸送され、各輸送用容器が食材受領者のところで輸送車から積み下された後、各輸送用容器内のデータロガーに記録された履歴データを無線で読み出して前記輸送食材品質監視サーバ装置に前記通信ネットワークを用いて送信するための前記輸送者により使用される携帯型通信機器。
更に、前記輸送食材品質監視サーバ装置は、前記食材の輸送前に食材出荷者により前記複数のデータロガーに設定させるためのあらかじめ定められた前記複数の動作指定データを記憶する手段と、前記食材に対応してあらかじめ定められた品質合格条件を記憶する手段と、前記携帯型通信機器から送信された各輸送用容器内のデータロガーから読み出されて送信された履歴データと前記食材に対応してあらかじめ定められた前記品質合格条件とに基づいて、各輸送用容器内の食材の輸送後の品質の合否を輸送用容器別に判定する品質判定手段と、前記判定結果を前記通信ネットワークを介して前記携帯型通信機器に通知する手段と、を備えるものである。
【0026】
この輸送食材品質監視システムにより、輸送された食材を輸送者が食材受領者に納品される前にその品質を判定するので、品質が劣化している場合、その食材の納品を防止する等の処置を輸送者に採らせることが可能となる。したがって、納品される食材は、品質基準に合格したもののみとすることが可能となり、食材受領者は安心して納品された食材を使用することができるようになる。
【0027】
しかも、上記品質判定が、輸送された食材が輸送者に引き渡された後納品までの温度、湿度等の雰囲気パラメータの時系列的な変化を示す履歴データに基づいて行われるので、輸送車への輸送用容器の積み込み時の外気の温度あるいは湿度、あるいは、輸送車からの輸送用容器の積み下し時の外気の温度あるいは湿度の影響を含めて、輸送中の全期間にわたる、食材の品質に影響する雰囲気パラメータの履歴データに基づいて行われ、輸送される食材の品質の輸送中の劣化をより詳細に監視することができる。
【0028】
更に、上記品質の判定を、複数の輸送用容器のそれぞれ毎に行うことが出来、更に、品質の合否を食材毎に定められた品質合格条件に基づいて判定することが可能になる。
【0029】
本発明に係る輸送食材品質監視装置は、輸送すべき食材を収容する複数の輸送用容器内のそれぞれ内に収容され、当該輸送用容器内の温度又は湿度等の当該食材の品質に影響を及ぼす少なくとも一つの雰囲気パラメータを時系列に計測して雰囲気パラメータの履歴データを保持することができ、動作指定データを無線で設定可能な可搬携帯型の複数のデータロガーに輸送中に計測して保存された履歴データを使用して、各輸送用容器内の前記食材の輸送後の品質を監視するための輸送食材品質監視装置であって、以下の要素を有する。
食材出荷者により使用される通信機器により通信ネットワークを介して読み出し可能であり、前記複数の輸送用容器に収容された前記複数のデータロガーに当該通信機器により無線で設定可能な複数の動作指定データを記憶する動作指定データ記憶手段と、前記食材に対応してあらかじめ定められた品質合格条件を記憶する品質合格条件記憶手段と、前記複数の輸送用容器が、前記複数のデータロガーが動作状態に設定されて収容された状態で前記食材出荷者から輸送者に引き渡され、輸送車により輸送され、各輸送用容器が食材受領者のところで輸送車から積み下された後に、当該輸送者により携帯型通信機器を用いて各輸送用容器内のデータロガーから無線で読み出されて送信される履歴データを通信ネットワークを介して受信して記憶する履歴データ記憶手段と、各輸送用容器内のデータロガーから読み出されて送信された履歴データと前記食材に対応してあらかじめ定められた前記品質合格条件とに基づいて、当該輸送用容器内の食材の輸送後の品質の合否を輸送用容器別に判定する品質判定手段と、前記判定結果を前記通信ネットワークを介して前記携帯型通信機器に通知する手段。
【0030】
この輸送食材品質監視装置によれば、食材出荷者から出荷された食材が輸送された後、輸送者が食材受領者に納品される前にその品質を判定してその判定結果を輸送者に通知することが可能になる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る輸送食材品質監視方法、輸送食材品質監視システム及び輸送食材品質監視装置の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る輸送食材品質監視システムの一つの実施の形態の概略ブロック図である。1は、輸送食材品質監視システムの一つの実施の形態を示し、本システムにより本発明に係る輸送食材品質監視方法の一つの実施の形態が実施される。図において、10は、食材販売者が指定した運送食材品質監視サーバ装置であり、当該食材販売者が運営するかあるいは他のものが運営してもよい。運送食材品質監視サーバ装置10は、後に説明するように、本発明に係る輸送食材品質監視装置の一つの実施の形態を示す。20は食材出荷者の事業所を、30は商店等の食材受領者の事業所を、40は輸送業者が所有する輸送車を、50は通信ネットワークをそれぞれ例示する。
【0033】
ここで、食材出荷者は、食材を生産又は加工して販売用食材を出荷することを業とするいわゆる食材製造者でもよく、あるいはその食材製造者が製造した食材の出荷を委託された出荷業者あるいは団体(例えば、農業組合あるいは漁業組合)でもよい。食材受領者の例は、食材を販売することを業とする販売店である。販売店は、スーパーマーケットのような大型の店舗でもよくあるいは個人店舗でもよい。更に、食材受領者は、個人の消費者でもよい。
【0034】
食品販売者は、食品受領者から食材の注文を受け、当該食材を食材出荷者に注文し、当該食材を食材出荷者から食品受領者へ配送することを輸送業者に注文することを業とする者である。ただし、食材出荷者、食材販売者、輸送者、食材受領者は、本輸送食材品質監視システムに関連する異なる業務を実施する業者を示しており、これらの者が同じ企業に属していてもよい。なお、以下においては、食材販売者は、食材販売の業者あるいは企業を指すために使用するだけでなく、当該業者の従業員を指すときもある。食材出荷者、食材受領者についても同様である。
【0035】
本実施の形態では、食材の注文はあらかじめ適当な方法により既に実行されているものとする。例えば食材販売者は、複数の食材に対する注文を商店等の複数の食材受領者から受注し、受注した複数の食材の各々について、当該食材を生産あるいは加工する食材出荷者に注文するとともに、当該食材を当該食品の注文者に輸送するように輸送業者に依頼する。食材販売者は、食材出荷者に対して出荷すべき食材、その量、当該食材を輸送者に引き渡すべき日時と場所を食材出荷者と協議して決定し、輸送業者には、輸送すべき食材とその量、荷受けすべき日時、食材を荷受けすべき食材出荷者事業所20の位置、輸送先の受領者の事業所30の位置等、食材を食材出荷者から受け取り食材受領者に引き渡すのに必要な情報を事前に輸送業者に電子メール、FAX装置あるいは手紙等で通知する。輸送業者は、上記荷受け日時に応じて、輸送車40を食材出荷者の事業所20に派遣する。
【0036】
なお、輸送車40は、複数の輸送用容器を収容する場所として空調機器を用いて温度と湿度が制御される保冷室を有することが望ましいが、そうでなくてもよい。食材販売者が輸送車40として保冷室を有する輸送車の使用を輸送業者に要求する場合、後に説明するように、輸送する食材に対して食材販売者が指定した、温度の上下限及び湿度の上下限を輸送業者にあらかじめ通知し、輸送車の運転手が、空調機器を制御して保冷室内の温度と湿度をそれぞれに対して通知された上記上下限内になるべく収まるようにすることが望ましい。
【0037】
図において、20は、注文された複数の食材の一つを供給する食材出荷者の事業所を例示し、30は、当該一つの食材を注文した当該食材の受領者の事業所を例示し、40は、当該一つの食材の輸送のために輸送業者が派遣した輸送車を例示する。
【0038】
21は、食材を分納する複数の輸送用容器、例えば、段ボール製の箱であり、22は、食材販売者から事前に配布されたデータロガーである。データロガー22は、輸送すべき食材を収容する輸送用容器内の温度又は湿度等の食材の品質に影響を及ぼす少なくとも一つの雰囲気パラメータを所定の時間間隔で繰り返し計測し、計測された雰囲気パラメータの時系列データを当該雰囲気パラメータの履歴データとして内部に保持する機能を有するものである。本実施の形態で使用されるデータロガー22は、電池を内蔵していて、外部から電力を供給することなく計測動作を実行でき、かつ、小型軽量である可搬携帯型のデータロガーである。24は、同様に配布されたデータロガー用のインタフェース装置を表す。23は、食材出荷者が使用する通信機器、例えば携帯電話機である。インタフェース装置24は、通信機器23とデータロガー22との間のデータ送受信を無線で実行するための装置である。インタフェース装置24とデータロガー22は、本実施の形態ではこの無線によるデータの送受信を電磁誘導コイル間の電磁結合を利用した無線で実行するように構成されているが、これらの装置22、24は、データの送受信を電波を利用した無線で実行するように構成されてもよい。しかし、電磁結合を利用した無線を利用するほうが、データロガー22とインタフェース装置24の構造が簡単になり小型、軽量化できる等の利点がある。
【0039】
食材出荷者事業所20では、輸送すべき食材を複数の輸送用容器21内に収容する。食材出荷者は、各データロガー22に動作指定データを設定したうえで、上記複数の輸送用容器21にデータロガー22を一つずつ収容して出荷することが、食材販売者より求められている。後に説明するように、本実施の形態で使用される動作指定データは、データロガー識別情報と動作条件データ等を含んでいる。本実施の形態では、動作指定データは、食材販売者から指示されたものが使用される。
【0040】
食材出荷者事業所20では、通信機器23、例えば携帯電話機にデータロガー用のインタフェース装置24を信号線で接続し、動作指定データを設定すべきデータロガー22を当該インタフェース装置24に近接させた状態で、当該携帯電話機を操作することにより、運送食材品質監視サーバ装置10から通信ネットワーク50を介して動作指定データを通信機器23にダウンロードし、通信機器23は、ダウンロードされた動作指定データを上記信号線とインタフェース装置24を介してデータロガー22に転送する。食材出荷者は、複数のデータロガー22のそれぞれに対して以上と同じ動作を繰り返してそれぞれのデータロガー22に動作指定データを設定する。その後各データロガーを一つの輸送用容器21に収容して、それらの輸送用容器21を梱包し、輸送業者に引き渡せるように所定の位置に保管する。動作指定データが設定されたデータロガーは、後に説明するように、少なくとも輸送者への引き渡しの前の時点(例えばここで説明した保管開始時点)で動作状態に設定される。
【0041】
以下では、通信機器23を単に携帯電話機23と呼ぶことがある。携帯電話機23には、運送食材品質監視サーバ装置10とデータロガー22との間のデー転送をインタフェース装置24を介して実行させるためのプログラムが組み込まれている。なお、通信機器23として、携帯電話機に代えてインターネットにアクセスできるパソコンあるいは携帯型個人情報端末(PDA)あるいは本システム専用の携帯型の通信機能を有する端末を使用することもできる。しかし、通信機器23として携帯電話機を使用すると、携帯電話機は小型軽量でかつ任意の作業場所で使用できるだけでなく、昨今では食材出荷者事業所20で作業者が業務上の通信に携帯電話機を使用することが多いので、その携帯電話機を本実施の形態の通信機器23として併用できる利点がある。
【0042】
本実施の形態で使用されるデータロガー22は、インタフェース装置24との間で無線(例えば電磁結合)でデータの送受信ができるように構成されていて、運送食材品質監視サーバ装置10からダウンロードされた動作指定データは、インタフェース装置24からデータロガー22に無線(例えば電磁結合)で転送されそこに設定される。
【0043】
輸送車40が、食材出荷者事業所20に到着すると、輸送車40を運転する輸送者に上記複数の各輸送用容器21が引き渡され、輸送者は、それらの輸送用容器21を輸送車40に積み込み、輸送を開始する。上記複数のデータロガーは、上記引き渡し前に動作状態になるように設定される。この設定は、例えば、上記動作指定データ内に含まれた動作開始時刻に基づいて行われる。こうして上記複数のデータロガー22は、輸送車40に積み込まれる前の時点(例えば、上記保管開始時点)から動作を開始し、輸送用容器内の温度又は湿度等の食材の品質に影響を及ぼす少なくとも一つの雰囲気パラメータの計測を開始し、輸送中も計測を続けることになる。こうして、各輸送用容器別に、その輸送用容器21内の雰囲気パラメータの履歴データが当該輸送用容器21内のデータロガー22に記録されることになる。
【0044】
輸送者は、輸送用容器21を食材受領者事業所30まで輸送してそこで輸送車40から積み下す。輸送者は、複数の輸送用容器21の積み下しが完了した後、食材受領者にそれらの輸送用容器21を引き渡す前に、複数の輸送用容器21内のデータロガー22を取り出し、それぞれに記録された履歴データと動作指定データを携帯型通信機器31、例えば携帯電話機を用いて無線で読み出させて、通信ネットワーク50を介して輸送食材品質監視サーバ装置10に転送する。この転送動作をデータロガー別に行う。32は、携帯型通信機器31とデータロガー22との間のデータ転送を行うためのインタフェース装置であり、食材出荷者事業所20で使用されるインタフェース装置24と同じ構造のものである。インタフェース装置32は、食材販売者から輸送業者事前に配布される。
【0045】
以下では、携帯型通信機器31を簡単化のために単に携帯電話機31と呼ぶことがある。携帯電話機31には、運送食材品質監視サーバ装置10とデータロガー22との間でのデー転送をインタフェース装置32を介して実行させるためのプログラムが組み込まれている。なお、携帯電話機31として、携帯電話機に代えてインターネットにアクセスできる携帯型パソコンあるいは携帯型個人情報端末(PDA)あるいは本システム専用の携帯型の通信機能を有する小型端末を使用することもできる。しかし、携帯型通信機器31として携帯電話機を使用すると、携帯電話機は小型軽量でかつ任意の作業場所で使用できるだけでなく、輸送者は、昨今は輸送業務上の通信に携帯電話機を使用するので、その携帯電話機を本実施の形態での携帯型通信機器31として併用できる利点がある。
【0046】
データロガー22から履歴データを読み出すときには、データロガー用のインタフェース装置32を信号線で携帯型通信機器31に接続し、履歴データを読み出すべきデータロガー22に当該インタフェース装置32を近接させた状態で、携帯型通信機器31を操作することにより、当該データロガー22から履歴データと動作指定データとを無線(例えば電磁結合)でインタフェース装置32に読み出し、読み出された履歴データがインタフェース装置32から更に上記信号線を介して携帯型通信機器31に転送され、その後通信ネットワーク50を介して運送食材品質監視サーバ装置10に転送される。
【0047】
運送食材品質監視サーバ装置10は、後に説明するように、各輸送用容器内のデータロガーから読み出された履歴データと上記食材に対応してあらかじめ当該サーバ装置内に記憶された品質合格条件とに基づいて、当該輸送用容器内の食材の品質が所定の品質以上であるか否か、すなわち品質の合否を輸送用容器別に判定する。輸送食材品質監視サーバ装置10は、上記判定結果を通信ネットワーク50を介して輸送者が使用している携帯型通信機器31に通知する。輸送者は、通知された合否結果に応じて、品質判定がなされた輸送用容器を処理する。
【0048】
例えば、輸送者は、いずれかの輸送用容器21内の食材の輸送後の品質が上記所定の品質以上である(すなわち合格である)と判定されたときには、当該輸送用容器内の食材を納品し、いずれかの輸送用容器21内の食材の品質が上記所定の品質に達していない(すなわち品質が不合格である)と判定されたときには、当該輸送用容器内の食材は納品しないで食材出荷者事業所20に持ち帰り、返品する。こうして、食材受領者に納品される品質が所定の品質以上であることが納品前に判定されているので、食材受領者は、納品された食材の品質に問題がないと安心して販売あるいは使用することができる。なお、各データロガー22は上記品質の判定が行われた後は、輸送者が持ち帰り、食材販売者又は食材出荷者に戻す。
【0049】
通信ネットワーク50は、食材出荷者事業所20で通信機器23として使用される携帯電話機及び輸送者が使用する携帯型通信機器31で通信可能なように、移動通信網51を含み、移動通信網51には、複数の無線基地局53、54等が含まれていて、携帯電話機による通信時には最寄りの無線基地局が使用される。通信ネットワーク50には更にインターネット52が含まれ、インターネット52は移動通信網51に接続され、輸送食材品質監視サーバ装置10は、インターネット52に接続されている。こうして、携帯電話機23、31等が通信ネットワーク50を介して輸送食材品質監視サーバ装置10にアクセスすることが可能になる。
【0050】
図2は、輸送食材品質監視サーバ装置10の一例の概略ブロック図を示す。本サーバ装置10は、ワークステーションあるいはパソコンにより実現される。本サーバ装置10は、処理装置11、データベース記憶装置12、キーボードあるいはマウス等のポインティングデバイスを含む入力装置13、CRT表示装置あるいは液晶表示装置等の表示装置14とを含む。なお、図では、処理装置11を通信ネットワーク50に接続するための回線接続装置及び通信ネットワーク50を介して他の装置と処理装置11上で動作するプログラムとの間の通信を制御するための通信制御プログラムは、簡単化のために示していない。
【0051】
処理装置11には、品質基準データ設定部121、動作指定データ設定部122、動作指定データ送信部123、履歴データ収集部124、品質判定部125、データ表示部126等が設けられている。これらのブロックは、プログラムにより実現することができる。
【0052】
データベース記憶装置12には、データロガーに設定するための複数の動作指定データ15を記憶する領域と、輸送された食材の品質を判定するのに使用する品質基準データ16を記憶する領域とが設けられている。食材の輸送後に計測された履歴データ17を記憶する領域もデータベース記憶装置12に設けられている。更に、計測された温度と湿度の計測値のうち、監視限界値を超過したデータを集めて生成される限界超過データ18を記憶する領域と、温度の履歴データと湿度の履歴データとを統合して生成され保存される統合履歴データ19を記憶する領域もデータベース記憶装置12に設けられている。
【0053】
なお、データベース記憶装置12には、食材受領者(注文者)から受注した注文の内容を示すデータ、食材出荷者に注文した内容を示すデータ、輸送業者に注文した内容を示すデータ等も記憶されていてもよいが、これらのデータは、本発明に直接には関係しないので、簡単化のために説明を省略する。
【0054】
図3は、動作指定データ15の例を示す。動作指定データ15は、注文された食材出荷者に対応して記憶されている。図には、1つの食材の供給を行う食材出荷者に関して記憶されている部分を示す。動作指定データ15として、食材出荷者を識別するための識別情報である食材出荷者識別情報151と、注文した食材の輸送時に使用する複数のデータロガーを識別するための互いに異なるデータロガー識別情報152、153、154、…が記憶される。記憶されるデータロガー識別情報の数は、注文した食材の輸送に使用される輸送用容器の数と等しい。更に、各データロガー識別情報152に対応して、動作条件データ155、156、157、…が記憶される。各データロガーが収容される輸送用容器に収容される食材が、輸送用容器によらないで同一である場合には、動作条件データ155、156、157、…は同じである。しかし、同じ食材出荷者に複数の食材を発注し、それぞれの食材毎に別の輸送用容器が使用される場合には、動作条件データは、輸送用容器に収容される食材毎に異なる。
【0055】
動作条件データ155は、例えば、データロガーが計測を開始すべき計測開始日時及び計測を繰り返す時間間隔(サンプリング間隔)を示す計測間隔を含む。後に説明するように、本実施の形態で使用するデータロガーは、計測を開始する時刻を外部データにより指定可能であり、計測間隔も同様である。したがって、食材販売者は、食材出荷者に対して指定した、注文した食材を輸送業者に引き渡す時刻より少し前の時刻を計測開始時刻として指定すると、食材出荷者は、この動作指定データをデータロガーに設定すれば、計測開始時刻を別に決定しなくても、上記引き渡し前にデータロガーが計測を開始する。計測開始日時は、例えば、年月日と分単位の時刻との組(例えば○年○月○日○時○分)でもって指定される。
【0056】
計測間隔は、データロガーが収容される輸送用容器に収納された食材に応じて、あるいは季節、輸送に要する時間等に応じて、食材販売者が輸送された後の食材の品質の判断に適するようにあらかじめ指定する。例えば、夏季のように、日中に温度が非常に高温になるような時期には、計測間隔を短くすることも考えられる。また、食材の温度が温度上限値を越えたときに品質が劣化しやすい食材の場合には、計測間隔を短くすることも考えられる。計測間隔は、例えば「1分」というように分単位で指定される。また、輸送に要する時間が非常に長いときには、輸送中の全ての計測データがデータロガー22内に記憶可能なように、計測間隔を長くすることが望ましい場合もある。
【0057】
図4は、品質基準データ16の例を示す。品質基準データ16は、食材名情報161と、輸送後の品質を評価するのに使用する輸送中に監視すべき雰囲気パラメータの監視限界値162と食材の品質の合否の判定条件を指定する品質合格条件163とを含む。食材名情報161は、食材を識別するための食材別にあらかじめ定められた情報であり、食材名自体でもよく、食材別に決定された食材別コード情報でもよい。監視限界値162は、例えば、温度上限値TH、温度下限値TL、湿度上限値RHHと湿度下限値RHLである。これらの限界値は、輸送後の食材の品質が所定の品質以上であるか否かを判断するのに使用されるものである。したがってこの判断にこれら4つの限界値が全て同時に使用されない食材の場合には、これら4つの限界値を全て指定する必要はない。例えば、温度上限値と湿度上限値のように温度と湿度の上限値のみが指定されてもよい。
【0058】
図5は、ある食材に関して温度上限値THと温度下限値TLが指定されている状態での、輸送中の食材の温度Tと時間tと関係を模式的に示す図である。この図から分かるように、食材の雰囲気の温度は、温度下限値TL以下にはなっていないが、2つの時間帯で温度上限値THを超えていることが分かる。この食材についての品質合格条件として、例えば、上限値を超えている領域(図では領域S1とS2)の面積の合計があらかじめ定めた基準値A以下であることを品質合格条件とすることもできる。このような品質合格条件の場合、品質合格条件163には、このことを示す品質合格条件データが記憶される。
【0059】
品質合格条件の他の例として、温度が温度上限値TH以上になり、同時に湿度が湿度上限値RHH以上の時間になっている時間帯の面積が、所定値以下であることを使用することもできる。あるいは温度が温度下限値TL以下となった時間帯の面積の合計、温度上限値TH以下となった時間帯の面積の合計、湿度下限値RHL以下となった時間帯の面積の合計、湿度上限値RHH以下となった時間帯の面積の合計のいずれもがそれぞれの限界値毎に定めた基準値以下であることを使用することもできる。更に他の合格基準の例として、上記4つの合計面積の総合計が基準値以下であることを使用することもできる。なお、監視限界値の値及び品質合格条件は、食材管理者が、食材別に実験その他により決めることができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、品質合格条件は品質基準データ16内に記憶されているが、品質の合否の判定は、処理装置11内の品質判定部125により実行される。したがって、この品質判定部125内に品質合格条件が組み込まれていてもよく、この場合には、品質合格条件が品質基準データ16内の品質合格条件データエリア163には記憶されていないが、品質合格条件がサーバ装置10に記憶されていることには変わりはない。したがって、品質判定部125がプログラムにより実現される場合、当該プログラム内に品質合格条件が組み込まれていてもよく、あるいは当該プログラムが使用するデータとして当該プログラムと一緒に処理装置11あるいはデータベース記憶装置12に記憶されていても、品質合格条件がサーバ装置10に記憶されていることに変わりはない。
【0061】
図6は、本実施の形態で使用されるデータロガー用のインタフェース装置24の例の概略ブロック図である。図1に関して説明したように、データロガー22と携帯電話機23あるいは携帯型通信機器31との間のデータ転送時には、インタフェース装置24又は32が使用される。これらのインタフェース装置はいずれも図6に例示する構造を有する。
【0062】
図において、241は、携帯電話機23の図示しない外部信号入出力端子に接続されるための信号線であり、242は、携帯電話機23との間で信号を交換するためのインタフェース制御回路であり、243は、携帯電話機23からの指示信号にしたがってインタフェース装置24の動作を制御するコントローラであり、マイコンにより構成される。244は、コントローラ243の動作クロックを規定する周波数の信号を供給する水晶発信器である。245は、インタフェース装置24とデータロガー22との間でデータを送受信するときに、データロガー22内の送受信回路の動作に必要な電力を生成するのに使用するためのパワー信号を生成するパワードライバであり、246は、生成されたパワー信号をデータロガー22に無線(例えば電磁結合)で送信するためのパワー信号用並列共振回路であり、電磁結合用のコイルを含んでいる。この電磁結合用のコイルはパワー信号を無線で通信するのに使用されるので、以下ではパワー信号用アンテナと呼ぶことがある。
【0063】
247は、データロガー22との間で無線(例えば電磁結合)でデータ信号を送受信するためのデータ信号用並列共振回路であり、電磁結合用のコイルを含んでいる。この電磁結合用のコイルはデータ信号を無線で通信するのに使用されるので、以下ではこの電磁結合用のコイルをデータ信号用アンテナと呼ぶことがある。248は、コントローラ243から供給された、データロガー22に送信すべきデータ信号を変調、増幅してデータ信号用並列共振回路247に出力し、更にデータロガー22から送信されデータ信号用並列共振回路247で受信されたデータ信号を増幅、復号してコントローラ243に供給するための双方向のデータ信号ドライバである。
【0064】
コントローラ243は、携帯電話機23からのデータ書き込みコマンドあるいはデータ読み出しコマンドを受け取ったときに、パワードライバ245にパワー信号を出力させ、パワー信号用並列共振回路246を介してデータロガー22に無線(例えば電磁結合)で供給させる。更に、携帯電話機23が輸送食材品質監視サーバ装置10から受信した動作指定データを信号線241とインタフェース回路242から受信したときに、当該データをデータ信号用並列共振回路247からデータロガー22に無線(例えば電磁結合)により送信するようにデータ信号ドライバ248を駆動する。更に、データロガー22から履歴データをデータ信号用並列共振回路247が受信したときには、当該データを増幅し復号してコントローラ243に供給するようにデータ信号ドライバ248を駆動し、受信された履歴データをインタフェース装置24と信号線241を介して携帯電話機23に送信させる。携帯電話機23が、当該履歴データを受信し、通信ネットワーク50を介して輸送食材品質監視サーバ装置10に送信する。
【0065】
図7は、本実施の形態で使用可能なデータロガーの一例の概略ブロック図である。221は、本データロガーの動作を制御するコントローラであり、マイコンにより構成される。コントローラ221には図示しないROM(リードオンリーメモリ)とRAM(ランダムアクセスメモリ)が設けられ、ROM内には、コントローラ221が実行すべき処理を指定するプログラム及び必要なデータが記憶され、RAMには、後に例示するように、既に説明した動作指定データ15(図3)を記憶するための領域及び計測された履歴データ17(図2)を記憶するための領域が設けられている。更に、コントローラ221内には、半導体素子を使用して雰囲気の温度を検出するための温度検出回路(図示せず)が設けられ、コントローラ221は、この回路の出力からコントローラ221の雰囲気の温度を示すデジタルな温度データを生成する。このような温度検出回路自体は公知であるので、その詳細の説明は省略する。
【0066】
222は、コントローラ221に待機時及び温度と湿度の計測時に必要となる電圧を供給するための電池である。223は、コントローラが温度あるいは湿度を計測するタイミングを検出して、そのタイミング毎に電池222からコントローラ221の電池端子VBATに計測に必要な電圧を供給するように、電池222からコントローラ221へ供給する電圧を制御するための温度/湿度計測タイミング検出回路である。温度/湿度計測タイミング検出回路223は、コントローラ221内に設定された動作指定データ15(図3)に含まれた計測開始日時と計測間隔を読み出して、温度と湿度を計測するタイミングを決定するように構成されている。
【0067】
224は、データロガー22用のインタフェース装置24(図7)からパワー信号を受信するためのパワー信号用並列共振回路であり、パワー信号用アンテナを含んでいる。225は、パワー信号用並列共振回路224で受信されたパワー信号を整流するパワー信号整流回路であり、226は、データの送受信時に必要となる電池222の供給電圧より高い定電圧を整流されたパワー信号から生成して、コントローラ221の電源端子Vccに供給するための定電圧回路である。
【0068】
227は、インタフェース装置24との間で無線(例えば電磁結合)でデータを送受信するためのデータ信号用並列共振回路であり、データ信号用アンテナを含んでいる。228は、データ信号用並列共振回路227で受信されたデータ信号を整流する高周波整流回路であり、229は、高周波整流回路228で整流された信号からデータ信号を復調してコントローラ221のデータ受信端子RXに供給するための受信信号復調回路である。
【0069】
230は、コントローラ221内に記憶された計測された履歴データをインタフェース装置24を介して携帯電話機23等の外部の装置に読み出すときに、当該データをコントローラ221の送信データ端子TXから受信し変調するための送信信号変調回路であり、231は、送信データの変調に使用するキャリア信号を送信信号変調回路230に供給するキャリア信号発信回路であり、232は、送信信号変調回路230から供給される変調されたデータ信号を増幅してデータ信号用並列共振回路227に供給するための高周波信号増幅回路であり、データ信号用並列共振回路227は、供給された変調された送信データ信号を無線(例えば電磁結合)でインタフェース装置24に送信する。
【0070】
233は、雰囲気の湿度に応じてレベルが変化するアナログ湿度信号を出力する湿度センサであり、例えば湿度により抵抗値が変化する抵抗体を有するもの、より具体的に例えば高分子感湿膜を併用するものを使用することができる。234は、湿度センサ233の出力を補正してコントローラ221のA/D変換付きアナログ入力端子ADCに供給するリニアライズ回路である。235は、湿度センサ233とリニアライズ回路234の駆動電圧を電池222から供給される電圧から生成してそれぞれの回路に供給する湿度センサ駆動電圧発生回路である。コントローラ221内では、アナログ入力端子ADCに入力されたアナログ湿度信号をA/D変換してデジタルな湿度データを生成するA/D変換回路(図示せず)が設けられており、コントローラ221は、湿度の計測結果としてこの湿度データを記憶するようになっている。
【0071】
図7に示したデータロガー22を構成する全ての回路は、樹脂製のカードに収納されているカード型データロガーであることが望ましい。このようなデータロガーは、体積が小さいために輸送用容器21内の間隙に容易に収納することができる。例えば、データロガー22は、サイズが、銀行のATM装置用のキャッシュカードあるいはクレジットカード等のサイズとほぼ同じサイズを有し厚さが数mmである。
【0072】
図8は、データロガー22のコントローラ221に内蔵されたRAMに記憶されるデータの例を示す図である。RAM60には、外部データ書き込み可能領域61と外部データ書き込み禁止領域62とが設けられている。外部データ書き込み可能領域61には、インタフェース装置24を介してデータロガー22に外部から供給されるデータを書き込むことができる。例えば、食材販売者が指定した動作指定データ15(図3)及び品質基準データ16内の監視限界値162(図4)は、外部データ書き込み可能領域61に記憶される。より具体的には、外部データ書き込み可能領域61には書き込まれるデータの例として、図8に示されるように、エリア611、612、613には、動作指定データ15に含まれたデータロガー識別情報、計測開始日時、計測間隔がそれぞれ記憶される。更に、エリア614、615、616、617には、温度上限値TH、温度下限値TL、湿度上限値RHH、湿度下限値RHLが書き込まれる。
【0073】
外部データ書き込み禁止領域62には、計測された温度と湿度の履歴データが記憶される。利用者は、データロガー22のコントローラ221のRX端子に外部より供給したデータを外部データ書き込み禁止領域62に書き込むことができない。したがって、外部データ書き込み禁止領域62に記憶された履歴データを、外部から別のデータで書き換えることができない。その結果、データロガー22に記録された履歴データが不正な目的で書き換えられることを防止でき、記憶された履歴データの信頼性を維持することができる。
【0074】
外部データ書き込み禁止領域62には、温度履歴データ記憶領域621と、湿度履歴データ記憶領域622と、ヒストグラムデータ記憶領域623とが含まれている。計測が実行される毎に、計測日時tと計測された温度Tとがコントローラ221の制御の下で温度履歴データ記憶領域621に記憶される。コントローラ221は、計測された温度が監視限界値を越えたか否かを判断し、その温度が監視限界値を越えたときには所定値、例えば「1」を有する限界超過フラグを、その計測日時と計測された温度との組に対応して温度履歴データ記憶領域621に記憶する。こうして、データロガー22により計測された温度の履歴データが温度履歴データ記憶領域621に記憶される。
【0075】
監視限界値と限界超過フラグを設定する条件との関係は、食材販売者が所望する関係に決めることができる。例えば、限界超過フラグは、計測された温度が温度上限値より大きくなったときに記憶されてもよい。あるいは、計測された温度が温度下限値より小さくなったときに記憶されてもよい。あるいは、限界超過フラグは、計測された温度が温度上限値より大きくなったときと温度下限値より小さくなったときのいずれか一方の場合に設定されてもよい。あるいは、限界超過フラグは、計測された温度が温度上限値より大きくなったときと温度下限値より小さくなったときのいずれの場合に設定されてもよい。あるいは、限界超過フラグとして、計測された温度が温度上限値より大きくなったときに設定される温度上限値超過フラグと、計測された温度が温度下限値より小さくなったときに設定される温度下限値超過フラグという2つの限界超過フラグを記憶するようにしてもよい。
【0076】
しかし、一般には、輸送される食材の温度が温度上限値より大きくなることと、温度下限値より小さくなることの両方が同じ輸送中に発生する場合は少ない。したがって、以下の説明では、簡単化のために、限界超過フラグは、計測された温度が温度上限値より大きくなったときにも設定され、温度が温度下限値より小さくなったときにも設定されると仮定する。
【0077】
同様に、湿度履歴データ記憶領域622には、計測が実行される毎に、計測日時tと計測された湿度RHが記憶され、更に計測された湿度があらかじめ定めた限界値を超えたときには限界超過フラグが、その計測日時と計測された湿度との組に対応して記憶される。こうして、データロガー22により計測された湿度の履歴データが湿度履歴データ記憶領域622に記憶される。限界超過フラグは、温度に対する限界超過フラグと同様に、計測された湿度が限界値を超過したことを示すフラグであり、所定の値、例えば値1を有する。湿度に対する限界超過フラグが設定される条件として、温度に対する限界超過フラグが設定される条件について説明したのと同様のいろいろな条件のうち、あらかじめ食材販売者により決定された1つの条件を使用することができる。しかし、以下の説明では、簡単化のために、温度に対する限界超過フラグと同じく、湿度に対する限界超過フラグは、計測された湿度が湿度上限値より大きくなったときにも湿度下限値より小さくなったときにも設定されると仮定する。
【0078】
ヒストグラムデータ記憶領域623には、計測された温度のヒストグラムを示すデータと計測された湿度のヒストグラムを示すデータとがコントローラ221により記憶される。温度ヒストグラムデータ又は湿度ヒストグラムデータは温度又は及び湿度が計測される毎にコントローラ221により更新される。
【0079】
図9(a)は、食材出荷者が輸送食材品質監視サーバ装置10から動作指定データを受信したデータロガー22に設定するときの、データロガー22と携帯電話機23とインタフェース装置24の配置の例を示す図である。図6に示したインタフェース装置24は、図に示すように略直方体の容器内に収納されており、データロガー22に対して外部からデータを送受信するときには、カード型のデータロガー22をインタフェース装置24の上面に置かれる。インタフェース装置24は、信号線241を介して携帯電話機23に接続される。インタフェース装置24の厚さも10mmあるいはそれ以下にすることができ、サイズもデータロガー22のサイズとほぼ同じサイズであるため、小型、軽量であり、携帯に適している。
【0080】
図6に示されたインタフェース装置24に含まれたパワー信号用並列共振回路246とデータ信号用並列共振回路247にそれぞれ含まれたパワー信号用アンテナとデータ信号用アンテナは、インタフェース装置24内のその上面近くに上面に平行してかつ並んで配置されている。データロガー22に含まれたパワー信号用並列共振回路224を構成するパワー信号用アンテナとデータ信号用並列共振回路227を構成するデータ信号用アンテナは、データロガー22内に、その下面に平行に、それぞれインタフェース装置24内のパワー信号用並列共振回路246内のパワー信号用アンテナとデータ信号用並列共振回路247内のデータ信号用アンテナに対向する位置に収納されている。
【0081】
こうして、インタフェース装置24内のパワー信号用アンテナからデータロガー22のパワー信号用アンテナにパワー信号が無線(例えば電磁結合)で送信され、インタフェース装置24内のデータ信号用アンテナとデータロガー22内のデータ信号用アンテナとの間でデータ信号が無線(例えば電磁結合)で交換される。
【0082】
食材出荷者が、複数のデータロガー22に動作指定データを設定するときには、1つのデータロガー22をインタフェース装置24上に置いた状態でそのデータロガーに対する動作指定データの設定動作を携帯電話機23を操作して実行する。その設定動作の終了後に、携帯電話機31と輸送食材品質監視サーバ装置10とを接続した状態で、インタフェース装置24に他の複数のデータロガー22を順次載せてそれぞれのデータロガーに対して同じ設定動作を繰り返すだけで、それぞれのデータロガー22にそれぞれのデータロガー用の動作指定データを設定することができる。したがって、複数のデータロガーに対する動作指定データの設定を簡単な操作で行うことができる。
【0083】
図9(b)は、輸送者が輸送された輸送用容器から取り出したデータロガー22から履歴データを輸送食材品質監視サーバ装置10に送信するときの、データロガー22と輸送者が使用する携帯電話機31とインタフェース装置32の配置の例を示す。図9(a)に示す機器の配置は、図9(a)に示す配置と実質的に同じである。すなわち、輸送者がある輸送用容器21から取り出した1つのデータロガー22に記憶された履歴データを輸送食材品質監視サーバ装置10に送信し当該履歴データに対して品質判定結果を受信するときには、輸送者は、インタフェース装置32を携帯電話機31に信号線321で接続した状態で、そのデータロガー22をインタフェース装置32上に置いて携帯電話機31を操作してデータロガー22に記憶された履歴データをインタフェース装置32を介して読み出させ、携帯電話機31を介して輸送食材品質監視サーバ装置10に転送する操作を行う。
【0084】
その後、当該データロガー22が収容されていた輸送用容器21内の食材の品質の合否通知を輸送食材品質監視サーバ装置10から携帯電話機31により受信する。その後、携帯電話機31と輸送食材品質監視サーバ装置10とを接続した状態で、他の輸送用容器21から取り出した複数のデータロガー22を順次インタフェース装置32上に置いて同じ操作を繰り返せばよい。したがって、輸送者も、簡単な操作で輸送食材品質監視サーバ装置10へ複数のデータロガー22内の履歴データを送信しそれぞれに対する品質判定結果を受信することができる。
【0085】
図10は、食材販売者が、食材の注文を商店等の食材受領者から受注したときに実行する処理の一例の概略フローチャートである。なお、本実施の形態では、食材販売者は、食材の受注の前に、食材別に品質基準データを決定して輸送食材品質監視サーバ装置10内のデータベース記憶装置12に記憶しているものと仮定する。食材販売者は、いずれかの商店等の食材受領者から食材を受注したときに、それぞれの食材について、以下の処理を実行する。まず、当該食材を生産あるいは加工する食材出荷者に当該食材を発注するとともに、食材出荷者と協議して食材を輸送者に引き渡す日時と場所を決定する(ステップS701)。食材販売者は、当該食材供給者に事前に輸送時に使用する複数のデータロガー22とデータロガー用インタフェース装置24を配布する(ステップS702)。この配布は、上記注文の前に行われてもよい。あるいは、食材出荷者がデータロガーを購入するようにしてもよい。
【0086】
食材販売者は、上記注文された食材の輸送時に使用される複数のデータロガー22の識別情報を決定し、当該識別情報と、上記食材出荷者に対して食材販売者があらかじめ定めた食材出荷者識別情報と、輸送される食材に関する複数の監視限界値とを動作指定データ15として輸送食材品質監視サーバ装置10内のデータベース記憶装置12に記憶させる(ステップS703)。監視限界値は、食材販売者が食材に対応してあらかじめ定めておいてもよく、受注時に決定してもよく、季節、輸送距離等に応じてその値を変更してもよい。
【0087】
食材販売者は、輸送業者に輸送を発注し、輸送すべき食材と量、食材を受け取るべき日時と場所、輸送先の受領者の場所等、食材を食材出荷者から受け取り食材受領者に引き渡すのに必要な情報を事前に輸送業者に通知する(ステップS704)。輸送車として保冷室を有する輸送車を使用する場合には、必要に応じて上記監視限界値あるいはその一部を輸送業者に通知してもよい。この通知の時点あるいはそれより前にデータロガー22用のインタフェース装置24を輸送業者に配布する(ステップS705)。
【0088】
図11は、食材出荷者が、食材に対する注文を食材販売者から受注したときに実行する処理の一例の概略フローチャートである。食材出荷者は、食材販売者から事前に配布されたデータロガー用インタフェース装置24を携帯電話機23に信号線で接続し(ステップS801)、食材販売者から事前に配布された、輸送に使用すべき複数のデータロガーの1つをインタフェース装置24上に置く(ステップS802)。
【0089】
食材出荷者は、通信機器23、例えば携帯電話機を使用して通信ネットワーク50を介して輸送食材品質監視サーバ装置10にアクセスする。輸送食材品質監視サーバ装置10は、アクセスされると認証のための情報を入力することを要求する入力要求コマンドを携帯電話機23に送信する。食材出荷者は、例えば、自己に割り当てられた食材出荷者識別情報を入力する(ステップS803)。場合によっては、必要に応じてパスワードを識別情報の一部として食材出荷者に入力させるようにしてもよい。
【0090】
輸送食材品質監視サーバ装置10は、入力された識別情報に基づいてアクセスした食材出荷者の正当性を認証すると、携帯電話機23にメニュー情報を送付する。例えば、本実施の形態では、「1 動作指定データのダウンロード」、「2品質判定」というふたつのメニュー名が携帯電話機23に通知される。食材出荷者は、メニュー項目「1 動作指定データのダウンロード」を選択すると(ステップS804)、携帯電話機23は、動作指定データの送信要求を輸送食材品質監視サーバ装置10に送信する。
【0091】
輸送食材品質監視サーバ装置10は、このコマンドに応答して、データベース記憶装置12から上記食材出荷者が入力した食材出荷者識別情報と一致する食材出荷者識別情報がエリア151に記憶されている動作指定データ15(図3)を検出して、その中の最初の組であるデータロガー識別情報152と動作条件データ155とを読み出し、通信ネットワーク50を介して携帯電話機23に動作指定データとして送信し、更にデータロガー22への書き込みを要求する書き込み要求コマンドを送信する。
【0092】
携帯電話機23は、送信された動作指定データと上記書き込み要求コマンドを通信ネットワーク50を介して受信したときに、この書き込み要求コマンドに応じて、受信した動作指定データを信号線241を介してインタフェース装置24に送信しデータロガー22への書き込みを要求する書き込み要求コマンドを送信するプログラムがあらかじめ記憶されている。こうして、食材出荷者は、輸送食材品質監視サーバ装置10から送信された動作指定データを携帯電話機23で受信してインタフェース装置24を介して1つのデータロガー22に設定することができる(ステップS805)。
【0093】
その後食材出荷者は、動作指定データが設定されていないデータロガーがあるか否かを判断し(ステップS806)、そのようなデータロガーがあるときには、携帯電話機23と輸送食材品質監視サーバ装置10を接続した状態のまま、動作指定データが未設定であるデータロガーをインタフェース装置24の上に置き(ステップS807)、ステップS805以降を繰り返す。こうして、複数のデータロガー22には、順次異なるデータロガー番号が設定されるが、動作条件データとしては同じデータが設定される。こうして、全てのデータロガー22に動作指定データが設定されると、食材出荷者は、輸送すべき食材を収容する複数の輸送用容器に上記複数のデータロガーを一つずつ収容し(ステップS808)、それらの輸送用容器を輸送業者に引き渡すべき適当な場所に保管する(ステップS809)。
【0094】
図12は、輸送車40を運転する輸送者の処理の一例の概略フローチャートである。輸送者は、食材出荷者事業所20に輸送車を運転して行き、食材販売者から前に指定された引き渡し場所にて、輸送すべき食材を含む複数の輸送用容器21を引き受け、輸送車40に積み込む(ステップS901)。複数の輸送用容器21が夏季に屋外に保管されていた場合、積み込みが完了するまでの間に、積み込み待ち状態にある輸送用容器21内の温度が大きく上昇するおそれがあるが、このような温度変化は、各輸送用容器21に収容されたデータロガー22により計測され、記憶される。
【0095】
輸送者は輸送車を運転してあらかじめ食材販売者により指定されていた食材受領者事業所30まで輸送し(ステップS902)、搭載していた複数の輸送用容器21を積み下す(ステップS903)。輸送者は、食材販売者から事前に配布された、データロガー22用のインタフェース装置32を信号線321で、輸送者が使用する携帯電話機31に接続する(ステップS904)。
【0096】
輸送者は、複数の輸送用容器21内のデータロガー22を順次取り出す(ステップS905)。各データロガーが、いずれの輸送用容器内に収容されていたものであるか否かが後に判別可能なようにする必要がある。したがって、取り出された複数のデータロガー22と元の輸送用容器21とを1対1で対比させて一時的に保管してもよい。しかし、より具体的には、食材出荷者が各データロガー用の動作指定データを受信して当該データロガーに設定したときに、携帯電話機21にラベルプリンタ等の簡易小型プリンタを接続して当該動作指定データ内のデータロガー識別情報をラベルに印字し、当該データロガーを収容した輸送用容器に当該ラベルを貼り付けておくのが望ましい。
【0097】
輸送者は取り出された1つのデータロガーをインタフェース装置32上に置き(ステップS906)、携帯電話機31を操作して、通信ネットワーク50を介して輸送食材品質監視サーバ装置10にアクセスし、輸送食材品質監視サーバ装置10から識別情報の入力が要求される入力要求コマンドが携帯電話機31に送信されると、輸送者は、自己又は自己が属する輸送業者にあらかじめ割り当てられた識別情報等の認証情報を入力する(ステップS907)。輸送食材品質監視サーバ装置10は、入力された識別情報に基づいて正当な輸送者又は輸送業者であると認証すると、メニュー項目として、例えば先に説明した2つのメニュー項目を携帯電話機31に転送する。
【0098】
輸送者は、「2 品質判定」を選択すると(ステップS908)、携帯電話機31は、品質判定要求コマンドを輸送食材品質監視サーバ装置10に送信する。輸送食材品質監視サーバ装置10は、このコマンドに応答して、計測された履歴データの送信要求コマンドを携帯電話機31に送信する。携帯電話機31は、この送信要求コマンドを受信すると、携帯電話機31に接続された信号線321とインタフェース装置32を介して履歴データの読み出しをデータロガー22に要求する。データロガー22は、その読み出し要求に従って、内部に記憶した動作指定データと履歴データをインタフェース装置32と信号線321を介して携帯電話機31に送出し、携帯電話機31は、この読み出された動作指定データと履歴データを輸送食材品質監視サーバ装置10に送信する(ステップS909)。
【0099】
輸送食材品質監視サーバ装置10は、受信した履歴データに基づいて、当該データロガー22が収容されていた輸送用容器21内の食材の品質が合格か否かを判定し、判定結果を携帯電話機31に通信ネットワーク50を介して通知して携帯電話機31の画面に表示させる(ステップS910)。輸送者は、通知された品質判定結果が合格を示すときには(ステップS911)、当該輸送用容器21が収容されていた輸送用容器21内の食材を納品可能品とし(ステップS912)、通知された品質判定結果が不合格を示すときには(ステップS911)、当該輸送用容器21が収容されていた輸送用容器21内の食材を納品しないで食材出荷者事業所20に持ち帰り、返品する(ステップS914)。
【0100】
いずれの場合にも、輸送者は、携帯電話機31にラベルプリンタ等の簡易プリンタを接続して、通知された品質判定結果を印刷して利用することが望ましい。輸送食材品質監視サーバ装置10は、各データロガーから受信した履歴データに基づく品質判定結果を携帯電話機31に通知するときに、当該データロガーの動作指定データ含まれたデータロガー識別情報と組にして品質判定結果を通知することが望ましい。そうすると、輸送者は、すでに述べたようにデータロガー識別情報が印字されたラベルが貼付された輸送用容器に、対応する品質判定結果を印字したラベルを貼り付けることを間違いなく実施できる。品質判定結果を印字したラベルを対応する輸送用容器に貼り付けた後に、合格ラベルが貼り付けられた複数の輸送用容器を食材受領者にまとめて納品し、不合格を示すラベルを付けた輸送用容器を持ち帰るようにしてもよい。
【0101】
その後、輸送者は、未判定のデータロガー22があるか否かを判断し(ステップS913)、そのようなデータロガー22があるときには、携帯電話機31と輸送食材品質監視サーバ装置10を接続した状態でステップS905以降の処理を繰り返す。
【0102】
こうして全ての輸送用容器21から取り出された複数のデータロガー22に対する判定が全て終了すると、輸送者は、ステップS912において納品可能品と判定された複数のデータロガー22が収容されていた輸送用容器21内の食材を納品し、ステップS912において納品不可とされたデータロガー22が見つかった場合には、当該データロガー22が収容されていた輸送用容器21を持ち帰り食材出荷者事業所20に返品する。
【0103】
図13は、輸送食材品質監視サーバ装置10が実行する処理を説明するための概略フローチャートである。輸送食材品質監視サーバ装置10は、処理装置11は、通信ネットワーク50あるいは入力装置13からコマンドを受信したか否かを監視する状態にあり(ステップS111)、コマンドが受信された場合には、そのコマンドの種類が判定され(ステップS112)、コマンドの種類に応じて処理ブロックが起動される。なお、処理装置11は、そのコマンドの処理の終了後に再びコマンド入力待ち状態に戻る。
【0104】
例えば、食材出荷者が品質基準データをデータベース記憶装置12に設定するコマンドを入力装置13から入力した場合、品質基準データ設定部121が起動され、図4に例示されたような、食材販売者が指定した品質基準データ16がデータベース記憶装置12に記憶される。同様に、食材出荷者が動作指定データをデータベース記憶装置12に設定するコマンドを入力装置13から入力した場合、動作指定データ設定部122が起動され、図3に例示されたような、食材販売者が指定した動作指定データ15がデータベース記憶装置12に記憶される。
【0105】
処理装置11が食材出荷者が使用する携帯電話機23から動作指定データの送信要求コマンドを受信すると、動作指定データ送信部123が起動される。動作指定データ送信部123は、起動されると、携帯電話機23に「データロガーをインタフェース装置上に置いて下さい」等のメッセージを送信し、携帯電話機23の画面に表示させる。食材出荷者が、データロガーをインタフェース装置24上に置いた後、そのことを示すメッセージを携帯電話機23から入力すると、動作指定データ送信部123により、アクセスしてきた食材出荷者用の動作指定データがデータベース記憶装置12から読み出され、携帯電話機23に送信され、既に説明したように、インタフェース装置24上に置かれたデータロガー22内に設定される。
【0106】
動作指定データ送信部123は、1つのデータロガー22に対する最初の動作指定データの設定が終了すると、次のデータロガーをインタフェース装置24に置くことを指示するメッセージを携帯電話機23に送信する。その後は、上に説明したのと同じように、食材出荷者が後続のデータロガー22をインタフェース装置24に置き、上に説明したのと同じ手順で後続のデータロガー22に対応する動作指定データを送信して設定する動作を繰り返す。繰り返し回数は、輸送に必要な全てのデータロガーが処理されるまで繰り返される。
【0107】
履歴データ収集部124は、処理装置11が輸送者により携帯電話機31から履歴データの品質判定要求コマンドを受信すると、履歴データ収集部124が起動される。履歴データ収集部124は、起動されると、携帯電話機31に「データロガーをインタフェース装置上に置いて下さい」等のメッセージを送信し、携帯電話機31の画面に表示させる。輸送者が、データロガー22をインタフェース装置24上に置いた後、そのことを示すメッセージを携帯電話機31から入力すると、履歴データ収集部124により、既に説明したように輸送者が使用する携帯電話機31と通信してインタフェース装置24を介してデータロガー22から動作指定データと履歴データを受信してデータベース記憶装置12内に、受信された動作指定データを含めて履歴データ17として記憶する。
【0108】
本実施の形態では各データロガー22から履歴データとして受信されるのは、図8から分かるように、動作指定データ、温度履歴データ、湿度履歴データ、温度ヒストグラムデータ、湿度ヒストグラムデータである。温度履歴データには、日付、温度、限界超過フラグの組が複数組含まれている。湿度履歴データにも同様に、日付、湿度、限界超過フラグの組が複数組含まれている。
【0109】
履歴データ処理部124は、処理装置11が携帯電話機31から一つのデータロガーに記憶された動作指定データと履歴データを受信する毎に、品質判定部125を起動する。品質判定部125は、起動されると、受信された温度履歴データから限界超過フラグが設定されている温度と日付のデータを抽出し、受信された湿度履歴データから限界超過フラグが設定されている湿度と日付のデータを抽出し、これらの抽出されたデータを限界超過データ18として、データベース記憶装置12に記憶する。
【0110】
図14は、限界超過データ18を例示するものであり、181は、温度履歴データのうち限界値を超過したデータのリストであり、182は、湿度履歴データのうち限界値を超過したデータのリストである。品質判定部125は、限界超過データ18に基づいて、受信された履歴データが記録されていたデータロガー22が収納されていた輸送用容器21内の食材の品質が合格か(所定の基準以上になっているか)否かを判断する。
【0111】
なお、品質合格条件は、食材毎にあらかじめ定められている。上に説明したデータロガー22から受信した動作指定データ及び履歴データ内には、この履歴データが何の食材に関するものかを直接指定するデータは含まれていない。したがって、受信した履歴データが何の食材に関するデータであるかを適当な方法で判断可能にしておく必要があることは言うまでもない。例えば、動作指定データ(図3)内に、輸送する食材を示す識別するための情報として、例えば、品質基準データ(図4)に示した食材名情報161と同じ食材名情報をあらかじめ含ませておき、これを動作指定データの一部としてデータロガー22内に設定し、履歴データと動作指定データをその後データロガー22から受信したときに、当該受信された動作指定データ内の食材名情報を使用して履歴データが関係する食材の名称を識別するようにしてもよい。あるいは、輸送食材品質監視サーバ装置10内のデータベース記憶装置12に、各データロガー識別情報とそれを使用して輸送される食材に関する食材名情報との対応表をデータベース記憶装置12に別に記憶させておき、いずれかのデータロガー22から履歴データと動作指定データを受信したときに当該動作指定データに含まれたデータロガー識別情報に対応する食材名情報を上記対応表を用いて判別して、当該食材名情報により当該履歴データが関係する食材の名称を判別してもよい。
【0112】
また、品質合格条件は、図4に関して説明したように、各食材に対応して、品質合格条件データエリア163に記憶されている。あるいは、品質判定部125内に品質合格判定条件が組み込まれていてもよく、この場合も、品質合格条件がサーバ装置10に記憶されていることになる。したがって、品質判定部125がプログラムにより実現される場合、当該プログラム内に品質合格条件が組み込まれていてもよく、あるいは当該プログラムが使用するデータとして当該プログラムと一緒に処理装置11あるいはデータベース記憶装置12に記憶されていても、品質合格条件がサーバ装置10に記憶されていることに変わりはない。なお、品質判定に温度ヒストグラムデータあるいは湿度ヒストグラムデータを更に併用してもよい。
【0113】
本実施の形態では、既に説明したように、データロガー22が温度又は湿度を計測したときに、その時点でその温度又は湿度がいずれかの監視限界値を越えているか否かをデータロガー22に判断させ、越えている場合には限界超過フラグをそのときの温度計測値あるいは湿度計測値に対応して記憶させている。しかし、本実施の形態と異なり、監視限界値をデータロガーに事前に設定しないで、更にデータロガー22で計測された温度又は湿度が温度又は湿度に関する監視限界値162を越えているか否かをデータロガー22に判断させない方法も可能である。その場合には、輸送食材品質監視サーバ装置10が、データロガー22から温度履歴データと湿度履歴データを受信した後で、輸送食材品質監視サーバ装置10が、計測された各温度あるいは各湿度がいずれかの限界値を超えているか否かを判断することになる。
【0114】
しかし、本実施の形態では、輸送食材品質監視サーバ装置10は、温度履歴データ又は湿度履歴データを輸送者が使用する携帯電話機31を介してデータロガー22から受信したときに、温度計測値あるいは湿度計測値に限界超過フラグが設定されているか否かにより、温度計測値あるいは湿度計測値が監視限界値を超えているか否かを直ちに判断することができ。したがって、輸送食材品質監視サーバ装置10は、温度計測値又は湿度計測値と監視限界値とを比較することなく、監視限界値を越えた温度計測値あるいは湿度計測値あるいはそれらの両方をすぐに抽出することができ、抽出された限界超過データを使用して食材の合格不合格を判断できるので、品質判定処理が短時間に終了することができる。
【0115】
したがって、複数の輸送用容器21内の複数のデータロガー22を用いた品質判定処理の待ち時間が少なくて済み、輸送者に好都合である。特に、限界超過フラグが設定された測定データが非常に少ないかあるいは0に近い場合、待ち時間は非常に少なくなるので、輸送者にとっても、輸送中の温度あるいは湿度等の雰囲気を適正値に維持するほど、輸送後の品質判定待ち時間が少なくて済むという利点がある。
【0116】
品質判定部125は、品質判定処理が終了した後、判定結果を履歴データ収集部124を介して携帯電話機31に送信し、輸送者に判定結果を通知する。品質判定部は、品質判定を実行するごとに、品質判定結果をデータベース記憶装置12内に記憶された履歴データ17に追加して記憶する。品質判定部125は、輸送者が使用する携帯電話機31から受信された上記温度履歴データと上記湿度履歴データを結合して、1つの統合履歴データ19として、履歴データ17の代わりにデータベース記憶装置12に保存するようにしてもよい。図15は、そのような統合履歴データ19の例であり、同じ計測日時に対応して温度計測値と湿度計測値との対を複数個記憶した統合履歴データ部分192が含まれる。データロガー22から受信された温度ヒストグラムデータと湿度ヒストグラムデータを含むヒストグラムデータ193も統合履歴データ19に含まれている。
【0117】
なお、図では、計測値に対して限界超過フラグは記憶されていないが、限界超過フラグを記憶するようにしてもよい。例えば、同じ計測日時において、温度又は湿度の計測値が監視限界値を超えたときには、当該日時に対応して共通に監視限界値を記憶するようにしてもよい。更に、図に示された統合履歴データ19は、履歴データを送信したデータロガー22に対して指定された動作指定データ191及び輸送された食材の品質の合否の判定結果194も含んでいる。
【0118】
以上のようにして、一つのデータロガーから受信された履歴データに基づく品質判定が終了すると、履歴データ収集部124は、次のデータロガーをインタフェース装置24に置くことを指示するメッセージを携帯電話機31に送信する。その後は、輸送者が、後続のデータロガー22をインタフェース装置24に置いた後で、そのことを示すメッセージを送信すると、履歴データ収集部124は、上に説明したのと同じ手順で後続のデータロガー22に記憶された履歴データを受信してデータベース記憶装置12に記憶する動作を繰り返し、かつ、品質判定部125により品質の合否を判定する動作を繰り返させる。繰り返しは、輸送に使用された全てのデータロガーが処理されるまで実行される。
【0119】
輸送食材品質監視サーバ装置10の管理者が、受信された履歴データ等のデータを画面に表示させるためにデータ表示コマンドを入力装置13から入力したときには、データ表示部126が起動される。データ表示部126は、入力装置13からその後に入力されるコマンドに従い、データベース記憶装置12に記憶された履歴データ、例えば統合履歴データ19を表示装置14に温度あるいは湿度を数値の一覧として表示するかあるいは温度あるいは湿度の時系列的変化を示すグラフを表示させることができる。
【0120】
以上の説明から明らかなように、本実施の形態における食材の品質判定は、輸送された食材が輸送者に引き渡された後、積み下されるまでの温度、湿度等の雰囲気パラメータの時系列的な変化を示す履歴データに基づいて行われるので、輸送車への輸送用容器の積み込み時の外気の温度あるいは湿度の影響、あるいは、輸送車からの輸送用容器の積み下し時の外気の温度あるいは湿度の影響を含めて、輸送中の全期間にわたる、食材の品質に影響する雰囲気パラメータの履歴データに基づいて輸送された食材の品質の評価が行われる。したがって、輸送される食材の品質の輸送中の劣化をより詳細に監視することができる。
【0121】
一般には、輸送開始前、輸送中あるいは輸送終了時に食材の温度あるいは湿度等の雰囲気パラメータが異常になり食材の品質が劣化するような状況が生じたとしても、そのような状況の発生は輸送者しか知らないため、食材の受領者は、外見上から品質の劣化が分からない場合には、劣化していないものとして受領し、外見上から品質の劣化が分かる場合には、食材出荷者が食材を提供した時点で劣化した品質の食材を提供したのではないかという不満を抱くことになる。
【0122】
しかし、上記実施の形態では、外見で判断できるか否かに関係なく、品質の劣化を検出でき、劣化した食材の納品を防ぐことができる。更に、品質の判定が、食品販売者が指定する品質にしたがい行われるので、目視等の主観的な判断に比べて客観的に品質の劣化を検出することができる。しかも、品質の合格基準を厳しくすることにより、品質の劣化が極めて少ないもののみ納品されるようにすることも可能になる。更に、この品質判断基準の厳しさを、食材受領者の要望あるいは注文に応じて変えるように、食材販売者は上記品質判定を運用することもできる。また、納品前の品質の判定を輸送者が行うので、食材受領者自身が上記サーバ装置に品質判定を要求して判定結果を受け取る手間あるいは食材受領者自身が同じような品質判定処理を自社内の装置を使用して実行する手間が不要となる。輸送業者としても、顧客に対するサービスの向上になる。
【0123】
更に、輸送車内の輸送用容器の位置により、その中の食材の温度あるいは湿度は通常異なる。したがって、複数の輸送用容器21内の食材の品質の輸送中の劣化は、輸送用容器21の車内の位置に異なるのが普通である。本実施の形態では、データロガーは、各輸送用容器内に1つ収容されている。したがって、各輸送用容器21別にその中の食材の雰囲気パラメータを計測することができ、各輸送用容器21毎にその中の食材の品質が合格か否かを判定することができる。したがって、万一一部の輸送用容器内の食材が不合格となっても他の輸送用容器内の食材が合格となれば、合格した輸送用容器のみ納品することが可能になる。
【0124】
このようにして、上記実施の形態によれば、食材受領者が商店の場合、当該商店は、受領した食材の品質がよいことを一般消費者に宣伝することができ、その信用を得ることができる。このような納品前の品質判定は、食材販売業者にとっても、自社が販売する食材を購入してくれる販売店に対するサービスの向上になり、より多くの注文を受けることにつながる。食材受領者が個人の消費者の場合には、上記輸送食材品質監視方法を採用する食材販売者から購入する食材の品質に対する信頼が高まり、食材販売者の食材の購入希望が増大することになる。
【0125】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で、変更あるいは修正してもよいことは言うまでもない。例えば、以上の実施の形態では、輸送食材品質監視サーバ装置10は、一つのデータロガーから履歴データと動作指定データを受信する毎に品質判定を行い、その都度品質判定結果を輸送者の携帯電話機31に通知していた。しかし、全てのデータロガーについての上記品質の判定が終了した後に、全てのデータロガーに対する品質判定結果を対応するデータロガー識別情報と組にして品質判定結果一覧として輸送者の携帯電話機31に通知することも望ましい。この場合には、輸送者は、その品質判定結果一覧を携帯電話機31にラベルプリンタ等の簡易プリンタを接続して印字し、印字された品質判定結果一覧を食品受領者、食品出荷者、輸送業者に渡すことができる。
【0126】
あるいは、上記実施の形態では、一つのデータロガーから履歴データと動作指定データを受信する毎に品質判定を行い、その都度品質判定結果を輸送者の携帯電話機31に通知していたが、複数のデータロガーからの履歴データと動作指定データの受信を続けて行い、その後にそれらのデータロガーに対する品質判定を続けて行い、複数のデータロガーに対する品質判定結果を対応するデータロガー識別情報と組にして判定結果一覧として輸送者の携帯電話機31に通知するようにしてもよい。輸送者は、携帯電話機31にラベルプリンタ等の簡易プリンタを接続して受信した品質判定結果の一覧を印字することができる。既に説明したように、食材出荷者が各輸送用容器に、収納したデータロガーの識別情報を印字したラベルを貼付しておけば、輸送者は、上記品質判定結果の一覧と各輸送用容器に貼付されたラベルに記載されたデータロガー識別情報とに基づいて、合格した食材を収容した輸送用容器とそうでない輸送用容器を識別することができる。更に, 印字された品質判定結果の一覧を食品受領者、食品出荷者、輸送業者に渡すことができる。
【0127】
あるいは、以上の実施の形態では、輸送食材品質監視サーバ装置10は、食材販売者が管理する装置であったが、このサーバ装置10を、食材販売会社とは別に設けられた、輸送後の食材の品質の判定を業務として提供する企業により運営させてもよい。このようなサーバ装置は、食材販売者以外に、食材出荷者自身が使用することも可能になる。輸送食材品質監視サーバ装置10をこのような業務に使用できるように変更する場合は、データベース記憶装置12に記憶すべき品質基準データ16は、この判定業務を提供する上記企業が材料別に複数の利用者(例えば食材販売者又は食材出荷者)に共通に定めることができる。しかし、場合によっては、材料別でしかも利用者別に品質基準データを決めることもできる。データベース記憶装置12に記憶すべき動作指定データ15のうち、計測開始日時は、本判定業務を提供する上記企業が、依頼元の利用者から輸送開始日時を通知して貰い、その日時に基づいて上記企業が決定すればよい。データベース記憶装置12に記憶すべき動作指定データ15のうち、計測間隔は、本判定業務を提供する上記企業が、依頼元の利用者から通知された、輸送すべき食材、輸送に要する時間等に基づいて決定すればよい。
【0128】
ここに述べたような、輸送食材品質監視装置を運営する上記企業は、複数の食材販売者あるいは複数の食材出荷者に対して、輸送後の食材の品質を判定するサービスを提供することができる。前述の実施の形態では、サーバ装置10を運営する食材販売者は、輸送後の食材の品質が合格か否かを判断する品質合格基準と監視すべき監視限界値とを食材別に決定して輸送食材品質監視サーバ装置にあらかじめ記憶させておく必要があるが、そのような品質合格基準を決定する時間あるいは費用を費やすことができない食材販売者は、上記実施の形態を実現できない。しかし、上記のように変更された実施の態様では、品質合格基準と監視限界値の決定に関する知識を有する特定の企業等がそれらの情報を決定してサーバ装置10を多数の食材販売者に利用可能にするので、品質合格基準を決定する時間あるいは費用を費やすことができない食材販売者も輸送食材品質判定サービスを利用することが可能になる。
【0129】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明による輸送食材品質監視方法によれば、輸送された食材を輸送者が食材受領者に納品する前にその品質を判定するので、品質が劣化している場合、その食材の納品を防止する等の処置を輸送者に採らせることが可能となる。しかも、複数の輸送用容器別にそれぞれ内の食材の品質の合否を判定することが可能になる。更に、本発明による輸送食材品質監視方法のより具体的な態様では、食材販売者が指定した動作指定データを使用してデータロガーを動作させることができ、更に、品質の合否を食材販売者が指定した品質合格条件に基づいて判定することも可能になる。
【0130】
同様に、本発明に係る輸送食材品質監視システムにより、輸送された食材を食材受領者に納品する前にその品質を判定し、品質が劣化している場合、その食材の納品を防止する等の処置を輸送者に採らせることが可能となる。しかも、複数の輸送用容器別にそれぞれ内の食材の品質の合否を判定することが可能になり、更に、輸送後の食材の品質の合否を食材毎にあらかじめ定めた品質合格条件に基づいて判定することができる。
【0131】
更に、本発明に係る輸送食材品質監視装置によれば、食材出荷者から供給される食材が輸送された後、輸送者が食材受領者に納品される前にその品質を判定してその判定結果を輸送者に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る輸送食材品質監視システムの一つの実施の形態の概略ブロック図である。
【図2】図1のシステムに使用する輸送食材品質監視サーバ装置の例の概略ブロック図である。
【図3】データロガーに設定されるべき動作指定データの例を示す図である。
【図4】輸送後の食材の品質判定に使用される品質基準データの例を示す図である。
【図5】輸送中の食材の雰囲気の温度と、監視すべき温度上限値と下限値との関係を模式的に示す図である。
【図6】図1のシステム使用可能なデータロガー用インタフェース装置の一例の概略ブロック図である。
【図7】図1のシステム使用可能なデータロガーの一例の概略ブロック図である。
【図8】図7のデータロガーのRAMに記憶されるデータの例を示す図である。
【図9】データロガーに対してデータの送受信をするときの、データロガーと携帯電話機とインタフェース装置の配置の例を示す図である。
【図10】食材販売者が、食材の注文を商店等の食材受領者から受注したときに実行する処理の一例の概略フローチャートである。
【図11】食材出荷者が、食材に対する注文を食材販売者から受注したときに実行する処理の一例の概略フローチャートである。
【図12】食材輸送車を運転する輸送者が実行する処理の一例の概略フローチャートである。
【図13】輸送食材品質監視サーバ装置が実行する処理を説明するための概略フローチャートである。
【図14】受信された履歴データのうち、限界超過フラグが設定されているデータからなる限界超過データの例を示す図である。
【図15】データベース記憶装置に保存される、温度履歴データと湿度履歴データとが統合された統合履歴データの例を示す図である。
【符号の説明】
10…輸送食材品質監視サーバ装置、20…食材出荷者事業所、21…輸送用容器、22…データロガー、23…通信機器(携帯電話機)、24…インタフェース装置、30…食材受領者事業所、31…携帯型通信機器(携帯電話機)、32…インタフェース装置、50…通信ネットワーク、51…移動通信網、52…インターネット。
Claims (7)
- 輸送すべき食材をそれぞれ収容する複数の輸送用容器内の温度又は湿度等の食材の品質に影響を及ぼす少なくとも一つの雰囲気パラメータを時系列に計測して雰囲気パラメータの履歴データを保持する可搬携帯型の複数のデータロガーを使用して、当該食材が輸送された後、食材受領者に納品される前の当該食材の品質を監視するための輸送食材品質監視方法であって、
それぞれ動作状態に設定されたデータロガーと輸送すべき食材とを一緒に収容した複数の輸送用容器を食材出荷者から輸送者に引き渡させ、
前記引き渡された複数の輸送用容器が輸送車に積み込まれて食材受領者のところに輸送され、当該複数の輸送用容器が当該輸送車から積み下された後、当該複数の輸送用容器内の食材を前記食材受領者に納品する前に、各輸送用容器内の前記データロガーに記録された履歴データを前記輸送者により携帯型通信機器を用いて無線で読み出させて通信ネットワーク介して所定の輸送食材品質監視サーバ装置に転送させ、
前記送信された履歴データとあらかじめ当該食材に対応して前記輸送食材品質監視サーバ装置に記憶された品質合格条件とに基づいて、当該輸送用容器内の食材の品質の合否を当該輸送食材品質監視サーバ装置に輸送用容器別に判定させ、当該輸送食材品質監視サーバ装置に前記判定結果を前記通信ネットワークを介して前記携帯型通信機器に通知させる、
ステップを含むことを特徴とする輸送食材品質監視方法。 - 輸送すべき食材を収容する複数の輸送用容器内の温度又は湿度等の食材の品質に影響を及ぼす少なくとも一つの雰囲気パラメータを時系列に計測して雰囲気パラメータの履歴データを保持する可搬携帯型の複数のデータロガーを使用して、当該食材が輸送された後、食材受領者に納品される前の前記食材の品質を監視するための輸送食材品質監視方法であって、
食材販売者から指示された食材の輸送時に一緒に輸送されるべき複数のデータロガーに対する、当該食材販売者が指定した複数の動作指定データを、前記食材を出荷する食材出荷者に、通信機器を用いて当該食材販売者が指定した輸送食材品質監視サーバ装置から通信ネットワークを介してダウンロードさせ、それぞれの動作指定データを前記複数のデータロガーに無線で設定させ、
前記複数の輸送用容器が、前記複数のデータロガーが動作状態に設定されて収容された状態で前記食材出荷者から輸送者に引き渡され、輸送車により輸送され、各輸送用容器が食材受領者のところで輸送車から積み下された後、当該輸送用容器内の食材が前記食材受領者に納品される前に、各輸送用容器内のデータロガーに記録された履歴データを前記輸送者に携帯型通信機器を用いて無線で読み出させて通信ネットワーク介して前記輸送食材品質監視サーバ装置に転送させ、
各輸送用容器内のデータロガーから読み出されて送信された履歴データと当該食材に対応してあらかじめ前記輸送食材品質監視サーバ装置に記憶された、前記食材販売者が指定した品質合格条件とに基づいて、当該輸送用容器内の食材の品質の合否を当該輸送食材品質監視サーバ装置に輸送用容器別に判定させ、
当該輸送食材品質監視サーバ装置に前記判定結果を前記通信ネットワークを介して前記携帯型通信機器に通知させる、
ステップを含むことを特徴とする輸送食材品質監視方法。 - 前記食材輸送食材品質監視サーバ装置に記憶された前記動作指定データは、雰囲気パラメータの計測の開始時刻及び計測間隔を指定するデータを含む、ことを特徴とする、請求項2に記載の輸送食材品質監視方法。
- 前記データロガーは、複数の雰囲気パラメータの一つ又は複数に関して複数の限界値を設定可能であり、いずれかの雰囲気パラメータについて限界値が設定された場合に、当該雰囲気パラメータの計測値が、当該限界値を越えたときには、限界超過フラグが当該計測値に対応して記憶するように構成されており、
前記食材輸送食材品質監視サーバ装置に記憶された前記動作指定データは、前記輸送されるべき食材の輸送後の品質の判定時に使用する少なくとも一つの雰囲気パラメータの限界値を含み、
いずれかの雰囲気パラメータが計測される毎に、当該計測値が、当該パラメータに対して前記データロガーに記憶された限界値を超過したか否かを当該データロガーにより判断させ、
当該計測値が当該限界値を超過したときには、当該計測値に対応して限界超過フラグを履歴データの一部として当該データロガー内に記憶させる、
ステップを更に含み、
当該食材に対する前記品質合格条件は、当該限界値に依存して定められ、
前記輸送食材品質監視サーバ装置における前記輸送された食材の品質についての前記判定は、各輸送用容器に収容された前記データロガーから送信された履歴データのうち、限界超過フラグが対応して記憶されている複数の計測値と、前記輸送食材品質監視サーバ装置に記憶された前記品質判定条件とに基づいて実行される、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の輸送食材品質監視方法。 - 前記輸送食材品質監視サーバ装置は、前記携帯型通信機器から転送された各輸送用容器に対する前記履歴データ及び当該履歴データに対する品質判定結果を、当該輸送用容器で輸送された前記食材の品質に関連する履歴データとして保存することを特徴とする、請求項2から4のいずれか一つに記載の輸送食材品質監視方法。
- 輸送すべき食材を収容する複数の輸送用容器内の温度又は湿度等の食材の品質に影響を及ぼす少なくとも一つの雰囲気パラメータを時系列に計測して雰囲気パラメータの履歴データを保持する可搬携帯型の複数のデータロガーを使用して、当該食材が輸送された後、食材受領者に納品される前の前記食材の品質を監視するための輸送食材品質監視システムであって、
輸送すべき食材を収容する複数の輸送用容器内にそれぞれ収容させて輸送させるための前記複数のデータロガーと、
通信ネットワークを介してアクセス可能な輸送食材品質監視サーバ装置と、
前記通信ネットワークを介して前記輸送食材品質監視サーバ装置から前記複数のデータロガーに設定すべき複数の動作指定データを読み出し、当該複数のデータロガーに無線で設定可能な、食材出荷者により使用されるための通信機器と、前記複数の輸送用容器が、前記複数のデータロガーが動作状態に設定されて収容された状態で前記食材出荷者から輸送者に引き渡され、輸送車により輸送され、各輸送用容器が食材受領者のところで輸送車から積み下された後、各輸送用容器内のデータロガーに記録された履歴データを無線で読み出して前記輸送食材品質監視サーバ装置に前記通信ネットワークを用いて送信するための前記輸送者により使用されるための携帯型通信機器と、
を備え、
前記輸送食材品質監視サーバ装置は、
前記食材の輸送前に食材出荷者により前記複数のデータロガーに設定させるためのあらかじめ定められた前記複数の動作指定データを記憶する手段と、
前記食材に対応してあらかじめ定められた品質合格条件を記憶する手段と、
前記携帯型通信機器から送信された各輸送用容器内のデータロガーから読み出されて送信された履歴データと前記食材に対応してあらかじめ定められた前記品質合格条件とに基づいて、各輸送用容器内の食材の輸送後の品質の合否を輸送用容器別に判定する品質判定手段と、
前記判定結果を前記通信ネットワークを介して前記携帯型通信機器に通知する手段と、
を備えることを特徴とする輸送食材品質監視システム。 - 輸送すべき食材を収容する複数の輸送用容器内のそれぞれ内に収容され、当該輸送用容器内の温度又は湿度等の当該食材の品質に影響を及ぼす少なくとも一つの雰囲気パラメータを時系列に計測して雰囲気パラメータの履歴データを保持することができ、動作指定データを無線で設定可能な可搬携帯型の複数のデータロガーに輸送中に計測して保存された履歴データを使用して、各輸送用容器内の前記食材の輸送後の品質を監視するための輸送食材品質監視装置であって、
食材出荷者により使用される通信機器により通信ネットワークを介して読み出し可能であり、前記複数の輸送用容器に収容された前記複数のデータロガーに当該通信機器により無線で設定可能な複数の動作指定データを記憶するための動作指定データ記憶手段と、
前記食材に対応してあらかじめ定められた品質合格条件を記憶するための品質合格条件記憶手段と、
前記複数の輸送用容器が、前記複数のデータロガーが動作状態に設定されて収容された状態で前記食材出荷者から輸送者に引き渡され、輸送車により輸送され、各輸送用容器が食材受領者のところで輸送車から積み下された後に、当該輸送者により携帯型通信機器を用いて各輸送用容器内のデータロガーから無線で読み出されて送信される履歴データを通信ネットワークを介して受信して記憶するための履歴データ記憶手段と、
各輸送用容器内のデータロガーから読み出されて送信された履歴データと前記食材に対応してあらかじめ定められた前記品質合格条件とに基づいて、当該輸送用容器内の食材の輸送後の品質の合否を輸送用容器別に判定するための品質判定手段と、
前記判定結果を前記通信ネットワークを介して前記携帯型通信機器に通知するための手段と、
を備えることを特徴とする輸送食材品質監視装置。
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