JP2004217203A - インフレーターガス導入分配ホース - Google Patents

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Abstract

【課題】エアバッグ展開時の不良、つまりインフレーターガス導入分配ホースのガス分配孔周辺の破損を抑え、信頼性の高い側面衝突用エアバッグ用インフレーターガス導入分配ホースを提供する。
【解決手段】側面衝突用エアバッグ装置に配され、エアバッグ作動時にインフレーターからのガスをエアバッグ内部へ分配するための単数あるいは複数の分配孔を有する織物製ホースであって、該ホースの外表面と内表面のうちの少なくとも一方にはゴムまたは合成樹脂が塗布されており、且つ、該分配孔を端部として、ホースを構成する織物の経、緯糸方向のそれぞれに試料幅方向が直交するように切り出した、幅3cm、長さ5cmの試料において、JIS L1096 8.21.3に規定されるピン引掛け法により測定される引抜き最大抵抗値が、経、緯方向のいずれも70N/3cm以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、車両の側面衝突時に乗員を保護する側面衝突用エアバッグ装置部品に関するものであり、詳しくは上記エアバッグ内にインフレーターガスを導入するのに最適なインフレーターガス導入分配ホースに関するものである。
運転席および助手席などには、車両の衝突時にエアバッグを膨張させて乗員を保護するエアバッグ装置が搭載されている。かかるエアバッグ装置は、ガス発生装置であるインフレーター、インフレーターガスで膨張するエアバッグ、エアバッグにインフレーターからのガスを導入するインフレーターガス導入分配ホースおよびこれらを収納するエアバッグケースから構成されている。
近年、運転席および助手席の前面衝突に加え、側部衝突時の衝撃緩和を目的として、主に頭部を保護する目的でカーテンエアバッグと呼ばれる側面衝突用エアバッグ装置の需要が増大している。かかる側面衝突用エアバッグは、センターピラーやフロントピラーに折りたたんで収納されており、衝突時に、インフレーターガスがエアバッグ内に導入されることによりドア部と乗員との間に展開して、乗員に対する側面からの衝撃を和らげるものである。
この側面衝突用エアバッグは、車両の衝突時に瞬時に展開する必要があり、また、展開までの時間は運転席や助手席用エアバッグ以上に短いことが求められるので、特にインフレーターガスを導入する上記ホースの分配孔付近ではガス圧力が非常に高くなり易く、該分配孔部分がインフレーターガスの圧力によりバーストしてその形状が変形し、エアバッグ展開時の膨張形態が不均一となることや、ガス導入口付近の繊維が切断されてエアバッグ内に散乱、溶融したり、エアバッグ自体の破損につながるという問題がある。
このような部分的な圧力上昇により生じる問題の改善策として、太径の繊維やアラミド繊維などの高強力繊維を使用し、エアバッグやインフレーターガス分配ホースの強度を全体的に高める方法がある。ところが、太径の繊維を用いると、エアバッグ自体が嵩高となり、収納スペースを確保する必要性から自動車の内装デザインが制限されるため好ましくない。また、高強力繊維は高価であるため、これを用いることでコストアップが問題となる。
これまでに、インフレーターガスの分配に注目し、インフレーターからのガスをエアバッグ本体内へ速やかに分散放出させる複数個の孔を設けたディフューザー部を有するエアバッグ装置や(特許文献1)、展開終了時までのエアバッグの膨張形態をコントロールするため、ディフューザー部に設けたガス噴出口の形状を適正化したエアバッグ装置(特許文献2)が提案されている。しかし、これらの提案はインフレーターからのガス流を制御するのみであり、具体的にインフレーターガス導入分配ホースのガス分配孔部に要求される特性については何ら考慮されておらず、上述のようなエアバッグ展開時にインフレーターガス導入口付近に生じる問題を解決することはできなかった。
特開平10−100840号公報、特許請求の範囲など 特開2001−270415号公報、特許請求の範囲など
本発明は、上述のような事情に着目してなされたものであって、詳しくはエアバッグ展開時の不良、殊にインフレーターガス導入分配ホースのガス分配孔周辺の破損を抑え、展開信頼性の高い側面衝突用エアバッグ用インフレーターガス導入分配ホースを提供することにある。
本発明のインフレーターガス導入分配ホースは、側面衝突用エアバッグ装置に配され、エアバッグ作動時にインフレーターからのガスをエアバッグ内部へ分配するための分配孔を1個以上有する織物製ホースであって、該ホースの外表面と内表面のうち少なくとも一方にゴムまたは合成樹脂が塗布されており、且つ、該分配孔を端部とし、ホースを構成する織物の、経、緯糸方向のそれぞれに試料幅方向が直交するように切り出された、幅3cm、長さ5cmの試料について、JIS L1096 8.21.3に規定されるピン引掛け法により測定される引抜き最大抵抗値が、経、緯方向のいずれも70N/3cm以上であるところに要旨を有する。
上記引抜き最大抵抗値は、経、緯方向のいずれも100N/3cm以上であるのが好ましく、さらに上記ホースへのゴムまたは合成樹脂の塗布量は、塗布前のホース質量に対して10〜80%であるのが望ましい。
尚、ホースの分配孔の内周縁に強化部を形成しておけば、高圧による分配孔周縁部の損傷をより効果的に低減できるため好ましく、該強化部が、接着剤を分配孔内周縁に塗布することにより形成されたものでもよく、また、分配孔をレーザー裁断により形成する際に同時に形成されたものであれば、ホースの製造工程を簡素化できるので好ましい。
さらにホース分配孔周縁の強化部が、加熱体を分配孔周縁部に直接接触させることによって形成されたものは本発明の好ましい実施態様である。
本発明のインフレーターガス導入用ホースは、導入口周縁の強度が十分に高められているため、エアバッグの展開時におけるガス分配孔周辺の破損を効果的に抑えることができ、信頼性が高められる。また、本発明のインフレーターガス導入用ホースは織物製であるため、コンパクト且つ軽量で収納性に優れ、コスト的にも有利なものである。
本発明者らは、側面衝突用エアバッグ装置に配され、エアバッグ作動時にインフレーターからのガスをエアバッグ内部へ分配するため、インフレーターガス分配導入ホースにおけるガス分配孔周辺において、エアバッグ展開時に当該ガス分配孔周辺に部分的高圧力が作用することによって生じる問題に着目し、鋭意検討した結果、該ガス分配孔周辺部の基布強度を高めれば、上記問題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
従って本発明が適用される側面衝突用エアバッグ装置は、ガス発生器であるインフレーターと、インフレーターガスにより膨張するエアバッグと、このエアバッグにインフレーターで発生したガスを導入するインフレーターガス分配ホース(以下単に「ホース」という)を備えている。
本発明は、上記インフレーターガス導入分配ホースに関するもので、この分配ホースは、車両に搭載するものであることから、軽量化および収納性の観点より織物製のものが好ましい。この織物を構成する繊維は特に限定されないが、例えば、ポリアミド繊維やポリエステル繊維などを用いることができる。これらの繊維で構成される糸の強度は、解反糸強度で5cN/dtex以上が好ましく、より好ましくは6cN/dtex以上であり、さらに好ましくは7cN/dtex以上である。なお、解単糸強度とは、ホースを構成している経糸および緯糸をほぐし、原糸に付着しているゴムや樹脂を除去した後に測定した原糸の強度を意味する。
上記分配ホースを構成する糸の繊度は、110dtex以上、7000dtex以下が好ましく、これらの糸は、撚糸や加工糸であっても構わない。より好ましくは、経糸は500dtex以上、3000dtex以下であり、緯糸は1500dtex以上、5000dtex以下である。繊度が110dtex未満では、ホース経方向の強度が不十分となることに加えて、得られる織物の織密度を高めるために多量の経糸が必要となり、その準備に時間が掛かるため経済的に好ましくない。緯糸が110dtex未満の場合には、緯方向の織密度を上げるために多数の緯糸を打ち込まなければならず、製織性が低下し経済的に好ましくない。一方7000dtexを超えると、ホース自体が嵩高くなり収納性が悪くなる。
本発明に係る分配ホースの製織に使用される製織機としては、消防ホースなどが織られる環状織機や、シャトル織機、シートベルトなどを織るニードル織機などいずれも用いることができ、製織機は特に限定されない。
なお、織組織は特に限定されないが、強度に優れることや織物組織間の空隙率を低くできる点からは、平織や綾織が好ましい。また、このとき得られる織物は、一般に織密度の指標として用いられ、下記式より求められるカバーファクター(CF)が、経方向1500以上、緯方向500以上であるのが好ましい。
カバーファクター(CF)=繊度[dtex]1/2×織密度[本/2.54cm]。
上述の繊維を用いて製織されるホースの直径は2cm以上、6cm以下が好ましい。ホースの直径が2cm未満では、ホース内における圧力損失が大きくなり、部分的に破損を起こしやすくなる。一方、ホースの直径が6cmを超えるとエアバッグ装置内へ収納し難くなるため好ましくない。より好ましくは3cm以上、5cm以下である。
本発明に係るインフレーターガス導入分配ホースは、インフレーターからのガスをエアバッグ内へ導入・分散させるための分配孔を1個以上有するものであり、本発明の最大のポイントは、該ホースの分配孔周辺の引抜き最大抵抗値を70N/3cm以上に高めたところにある。
ここで、引抜き最大抵抗値とは、JIS L1096 8.21.3に規定される織物の試験方法によって求められる織物の強度を示す値のことである。具体的には、ガス分配孔部分を端部とし、ホースを構成する織物の、経、緯糸方向のそれぞれに試料幅方向が直交するように、幅3cm、長さ5cmの試料を切り出して緯および経試料を作製し、次いで、得られた試料の端部(ガス分配孔部分)から3mmの位置にピンを指し込み、該試料を織物引張り試験機に取り付けた後、引張りスピード15cm/minで引張ったときに得られる値のことである。
なお、ガス分配孔を構成する辺が、経糸および緯糸に直交しない場合や、円形である場合であっても、同様にガス分配孔部分を試料の端部とし、該分配孔部分の最も突出した部分を基準として、試料の経方向あるいは緯方向がホース基布の経糸および緯糸方向にそれぞれ直交するように上述のサイズで試料を切り出し、分配孔部分より3mmの位置にピンを差し込んで引張り試験を行えばよい。また、ガス分配孔の一辺が3cmよりも小さい場合には、実際の分配孔のサイズを基準として、上述の方法で試料を作製して同様に測定した後、得られる数値を3cmに換算すればよい。
上述の様にして測定される引抜き最大抵抗値が70N/3cm未満では、インフレーターから噴出した高圧ガスがエアバッグの膨張部に送られて、分配孔部分を瞬間的に通過する際に、分配孔部分の経糸および/あるいは緯糸の一部がほつれて分配孔の形状が変形し、ガス分配孔が設計サイズよりも大きくなってしまう。このようにガス分配孔が変形し拡大すると、当該部分からのガス流出量が設計値以上に多量となり、エアバッグの膨張形態が一様とならず、特に複数の膨張部を有するエアバッグの場合には、特定部分のエアバッグ膨張部に過度のガスが導入されて破裂するおそれが生じ、衝突時の衝撃緩和機能が著しく損なわれることがある。また、分配孔端部がほつれてエアバッグ内に散乱すると、これが溶融することでエアバッグの破裂を生じるおそれもある。より好ましくは、100N/3cm以上、更に好ましくは160N/3cm以上である。
本発明において、インフレーターガス分配孔周辺部の引抜き最大抵抗値を高めて70N/3cm以上を確保するには、ホースを構成する基布の少なくとも片面を、ゴムまたは合成樹脂(以下、コート剤という)でコートする必要がある。コート剤が被覆されていない場合、実際にエアバッグが作動する際にインフレーターからのガスが、ガス分配孔以外にホース本体表面から漏洩し、エアバッグの各膨張部へのガス分配率が安定しない。また、ホース基布に部分的にガスが抜けやすい箇所が存在すると、その部分に高圧ガスの流れが集中して、破損にいたる場合もある。
上記コート剤に使用可能なゴムとしては、ネオプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。これらの中でも、熱に対する耐性に優れるという点からはシリコーンゴムが好ましく、より好ましい具体例としては、熱硬化型付加重合シリコーンゴム、二液型RTVシリコーン等が挙げられる。尚、上記シリコーンゴムには、接着性を向上させるために、アミノ系シランカップリング剤、エポキシ変性シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、クロル系シランカップリング剤等を添加することも有効である。
コート剤として使用可能な合成樹脂としては、具体的にはポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等を用いることができる。
上記コート剤をホースに塗布する方法は限定されず、製織されたホースを直接コート剤中に浸漬させる方法や、ホース表面に刷毛などで塗布する方法など、任意の塗布法を採用できる。
コート剤の塗布量は、ホース質量に対して10%以上、80%以下が望ましい。塗布量が10%未満では、織物組織を構成する糸と糸との間の間隙をコート剤で埋めるのには不充分であり、部分的にインフレーターガスの漏れが生じ、ガス分配率が当初の設計通りにならなくなる場合がある。一方80%を超えると、ホース全体の質量が増加し嵩高くなって収納性が低下する他、コストも上昇するため好ましくない。より好ましくは25%以上、60%以下である。
尚、コート剤の塗布量を測定する方法としては、コート剤塗布前後でのホースの質量差を測定する方法の他に、コート剤のみを溶解する溶剤を用いてコート剤被覆ホースからゴムあるいは合成樹脂のみを溶解除去した後、構成繊維の質量を測定する方法、あるいは、ホース構成繊維のみを溶解する溶媒を用いてコート剤被覆ホースから繊維を除去し、ゴムあるいは合成樹脂の質量を測定する方法がある。
上述の様にして、コート剤で被覆されたホースにインフレーターガス導入口となるインフレーターガス分配孔を形成する。分配孔の個数は限定されず、エアバッグの大きさや、膨張形態などを考慮して適宜決定すればよい。分配孔の大きさは、0.25cm2以上、16cm2以下が好ましく、さらに好ましくは1cm2以上、9cm2以下である。分配孔の大きさが16cm2を超えると、該分配孔部分からのインフレーターガスの流量が多くなり、局所的に加温されて当該部分から破壊が進み、エアバッグの膨張形態が不均一となり、エアバッグ本体の破壊につながるおそれがある。一方0.25cm2未満では、瞬時にエアバッグを展開させるために多数の分配孔を形成しなければならず、加工の手間やコストがかかるため好ましくない。分配孔の形状は特に限定されないが、裁断部からの糸のほつれ防止や加工のし易さ等を考慮すると、正方形、長方形または円形とするのが好ましい。
また、上記ガス分配孔は、その個数や配置位置を適正化するとともに、エアバッグ本体が万遍なく一様に膨張し得るように、インフレーターに近接する部分と離れた部分とで、その大きさを適宜調整するのが好ましい。このようにすることで展開時のエアバッグの膨張形態をコントロールできるからである。
上述の様にして、得られるインフレーターガス導入用ホースの分配孔部分の引抜き最大抵抗値を70N/3cm以上とする。
本発明を実施するに当たっては、上述の様にして形成されるインフレーターガス分配孔周辺部の強度を一層高めるため、ガス分配孔周辺に強化部を設けることが好ましい。強化部は、(1)レーザー裁断によって分配孔を設ける際に同時に分配孔周辺部の繊維を溶融・溶接させる方法、(2)予め形成したガス分配孔断面に加熱体を直接接触させて周辺部の繊維を熱により溶融、溶接させる方法、さらに、(3)接着剤を使用して当該部分の繊維を接着する方法、などで形成することができる。
接着剤を用いて強化部を形成する場合には、ガス分配孔の打ち抜き断面へ直接接着剤を付与する方法の他に、ホース外表面および/又は内表面のガス分配孔打ち抜き線から1cm以内の部分に接着剤を付着させて固化させてもよい。このようにすることで強化部の強度を一段と高めることができる。なお、このときに使用する接着剤は特に限定されないが、瞬間接着剤のように短時間で固化が完了するものが好ましく、具体的には、短時間で接着性を発現でき、耐熱性にも優れるシアノアクリレート系接着剤(例えば、セメダイン社製3000DXシリーズ)等が挙げられる。
また、上述の様にして設けた強化部の強度をさらに向上させるため、加熱体をガス分配孔打ち抜き端面に接触させ1mm程度押し込むようにして溶着を進めることも有効である。この際の加熱体としては、熱コテや加熱ブロック体等が使用できる。
一般に、エアバッグは、インフレーターからのガスにより膨張し、車両の衝突時に乗員を拘束して保護するものであるから、インフレーターガス導入による急激な膨張と車両衝突時の乗員との衝撃に対して十分な強度を備えると共に、乗員に与える衝撃が小さいものでなければならない。このような観点から、エアバッグ本体は、例えば、ポリアミド系繊維やポリエステル系繊維等を用いた織物であるのが好ましい。また、インフレーターガス導入分配ホースと同様、エアバッグからのガス漏れ防止や、強度等の諸特性の向上を目的として、その表面をゴムや合成樹脂でコーティングしてもよく、このコーティング剤としては、上述のホース用として上げたものを同様に使用できる。
上記エアバッグの本体を構成する繊維は、繊度が200dtex以上、600dtex以下のものが好ましい。繊度が600dtexを超えると、製織されたエアバッグが嵩高くなって収納性不良となり、一方、200dtex未満では十分な基布強度が得られ難くなり、ガス分配孔を多数設けてインフレーターガスの分配をコントロールしても、ガス分配孔付近がバーストする可能性が生じてくるので好ましくない。より好ましくは、300dtex以上、500dtex以下である。
側面衝突用エアバッグ本体を構成するマルチフィラメントの単糸径は、2dtex以上、10dtex以下のものが好ましく、より好ましくは3dtex以上、6dtex以下である。単糸径が10dtexを超えると、基布の剛性が高くなりすぎて収納性が低下するばかりか、エアバッグ膨張時の乗員に対する衝撃も大きくなるからである。一方、単糸径が2dtex未満では、製織時に単糸切れ等を起こし易くなるので好ましくない。
上記エアバッグ本体の製造方法は限定されず、公知の製織方法によって製造することができる。
上述のようにして得られたインフレーターガス導入分配ホースは、エアバッグ本体内に配設した後、インフレーターに装着する。なお、エアバッグ本体とインフレーターガス導入分配ホースとは、ホース縁部でエアバッグ本体と縫製あるいは接着などの手段によって一体化させても良いが、上記ホースはインフレーターに固定されているため特に一体化させなくても良い。
このようにして得られた側面衝突用エアバッグは折りたたまれて、車両のセンターピラーやフロントピラーなどに収容される。
本発明で得られるインフレーター導入分配ホースは、車両の側面衝突用エアバッグ内に設置する場合に限らず、運転席用や助手席用のエアバッグ装置、運転席または助手席に設置されるニーエアバッグ装置など種々のエアバッグ装置に用いることができる。
以下、本発明を実験例によって更に詳細に説明するが、下記実験例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。なお、評価の方法は次に示すとおりである。
ホース内への加圧ガス導入後のガス分配孔ほつれ試験
実験例で得られたインフレーターガス導入用分配ホースの開放端から、初期圧力800kPa、5リットルの容積に加圧した窒素ガスを導入し、その後の分配孔の状態を観察した。評価は、窒素ガス導入口に一番近い分配孔周縁部のほつれ具合を5段階で評価し、A:形状の変形がほとんど認められない、B:形状の変形がほんの少し認められる、C:形状の変形が少し認められる、D:形状の変形がかなり認められる、E:形状の変形が甚だしく認められる、として、評価がC以上であるものを合格とした。
引抜き最大抵抗値の測定
JIS L1096 8.21.3(ピン引掛け法)に準拠して行った。ガス分配孔を端部として、ホースを構成する織物の経、緯糸方向のそれぞれに試料幅方向が直交するように、幅3cm、長さ5cmの試料を切り出して、緯および経試料を作製した。すなわち、経糸を引抜く場合が経試料であり、緯糸を引抜く場合が緯試料である。得られた試料の端部(ガス分配孔内周縁部分)から3mmの位置にピンを指し込み、該サンプルを織物引張り試験機に、ヘッドとピンとの間隔が5cmとなるように取り付けた後、引張りスピード15cm/minで引張り、引抜き最大抵抗値を測定した。
実験例1
強度8.0cN/dtexのポリアミド66繊維を用い、経糸は470dtex/72fの5本撚、緯糸は470dtex/72fのホースでは見掛け上10本撚となるように5本撚を使用して(5本撚の2本引き揃え)、ニードル織機でジャケット(コート前チューブ状織物)をからみ部幅4mmで織り、全幅7.5cm(チューブ径4.5cm)となるように製織した。このとき得られたチューブ状織物の織密度は、経方向(2350dtex):74本/2.54cm、緯方向(4700dtex):10.5本/2.54cmであった。
得られたチューブを扁平状に折り畳み、添加剤(Adhesion Promoter HF86 WACKER社製)を含むコート剤(シリコーン樹脂:ELASTOSIL M−4640 WACKER社製)中に浸漬してから取り出し、塗布量が均一となるように余剰なコート剤をしごき板でしごいて除去することによって、均一両面コートを施し、170℃で2分間硬化させた。なお、このときのコート剤塗布量は45g/mであった。
次に、ホースの長さが2mとなるように裁断した後、ホース端部の一方を、樹脂加工ナイロン66糸(1400dtex)を使用して、2.5mmピッチで本縫い(3列縫製)して閉じ、からみ部を持たない側のホース開口端から30cmおきに、一辺が3cmの正方形のガス分配孔を5個打ち抜いた。この打ち抜き部の径糸および緯糸断面に直接熱コテを接触させ、該分配孔周縁の繊維同士を500℃で8秒間加熱して溶融・溶接させることにより、ガス分配孔周縁に強化部を有するインフレーター導入分配ホースを得た。このときの分配孔の各辺は、ホース基布の経糸および緯糸に直交するように形成した。得られたホースを用いて、加圧ガス導入後のガス分配孔ほつれ試験および引抜き最大抵抗値の測定を行った。結果を表1に示す。
実験例2
強度8.0cN/dtexのポリアミド66繊維を用い、経糸は350dtex/108fの2本撚、緯糸は350dtex/108fのホースでは見掛け上6本撚となるよう、3本撚を使用し(3本撚の2本引き揃え)、ニードル織機でジャケット(コート前チューブ状織物)をからみ部幅2mmで織り、全幅7.3cm(ホース径4.5cm)となるように製織した。得られた織物の織密度は、経方向(700dtex):90本/2.54cm、緯方向(2100dtex):16.5本/2.54cmであった。
得られたチューブ状織物に、前記実験例1と同様にしてコート剤を塗布した後、ホース長さが2mとなるように裁断し、ガス分配孔を形成して、インフレーターガス導入分配ホースを作製した。このときのコート剤塗布量は30g/mであった。
得られたホースを用いて、加圧ガス導入後のガス分配孔ほつれ試験およびピン引掛け強度を評価した。結果を表1に示す。
実験例3
強度8.0cN/dtexのポリエステル繊維を用い、経糸は280dtex/96fの8本撚、緯糸は280dtex/96fのホースでは見掛け上16本撚となるよう、8本撚を使用し(8本撚の2本引き揃え)、ニードル織機でジャケット(コート前チューブ状織物)をからみ部幅4mmで織り、全幅7.5cm(ホース径4.5cm)となるように製織した。得られた織物の織密度は、経方向(2240dtex):77本/2.54cm、緯方向(4480dtex):11本/2.54cmであった。
得られたチューブ状織物に、前記実験例1と同様の方法でコート剤を塗布し、ホース長さが2mとなるように裁断した後、ガス分配孔を設けてインフレーター導入分配ホースを作製した。このときのコート剤の塗布量は55g/mであった。なお、得られたホースのガス分配孔周縁には強化部を設けなかった。
得られたホースを用いて、加圧ガス導入後のガス分配孔ほつれ試験およびピン引掛け強度を評価した。結果を表1に示す。
実験例4
強度8.0cN/dtexのポリアミド66繊維を用い、経糸は470dtex/72fの5本撚、緯糸は470dtex/72fのホースでは見掛け上10本撚となるよう、5本撚を使用し(5本撚の2本引き揃え)、ニードル織機でジャケット(コート前チューブ状織物)をからみ部幅4mmで織り、全幅7.5cm(ホース径4.5cm)となるように製織した。得られた織物の織密度は、経方向(2350dtex):74本/2.54cm、緯方向(4700dtex):10.5本/2.54cmであった。
前記実験例1と同様の方法で、得られたチューブ状織物にコート剤を塗布し、ホース長さが2mとなるように裁断した後、ガス分配孔を設けてインフレーター導入分配ホースを作製した。このときのコート剤塗布量は11g/mであった。実験例3と同様、得られたホースのガス分配孔周縁には強化部を設けなかった。
得られたホースを用いて、加圧ガス導入後のガス分配孔ほつれ試験およびピン引掛け強度を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2004217203
表1からも明らかなように、本発明の規定要件を満たす実験例1〜3のインフレーターガス分配ホースは、いずれも分配孔の変形がほとんど見られず、ガス分配孔周縁に不良が生じることはなかった。特に、実験例1および2のホースには、ガス分配孔周縁の繊維を熱コテで溶融、溶接させて強化部を形成したため、その強度が一層高められ、ガス分配孔周縁における不良の発生をより効果的に抑制できた。また、実験例3のホースには、強化部を形成しなかったが、コート剤の塗布により、ガス分配孔周縁の強度が十分に確保されているため、分配孔の変形はほとんど見られなかった。
これらに対して実験例4のホースは、コート剤の塗布量が不十分であったため、ガス分配孔部周縁が強度不足となり、該ガス分配孔部の不良を防ぐことができなかった。

Claims (7)

  1. 側面衝突用エアバッグ装置に配され、エアバッグ作動時にインフレーターからのガスをエアバッグ内部へ分配するための分配孔を1個以上有する織物製分配ホースであって、該ホースの外表面と内表面のうち少なくとも一方にゴムまたは合成樹脂が塗布されており、且つ、
    該分配孔を端部とし、ホースを構成する織物の、経、緯糸方向のそれぞれに試料幅方向が直交するように切り出された、幅3cm、長さ5cmの試料について、JIS L1096 8.21.3に規定されるピン引掛け法により測定される引抜き最大抵抗値が、経、緯方向のいずれも70N/3cm以上であることを特徴とするインフレーターガス導入分配ホース。
  2. 上記引抜き最大抵抗値が、経、緯方向のいずれも100N/3cm以上である請求項1に記載のインフレーターガス導入分配ホース。
  3. 上記ホースへのゴムまたは合成樹脂の塗布量が、塗布前のホース質量に対して10〜80%である請求項1または2に記載のインフレーターガス導入分配ホース。
  4. 上記分配孔の内周縁に強化部が形成されている請求項1〜3のいずれかに記載のインフレーターガス導入分配ホース。
  5. 上記分配孔内周縁の強化部が、接着剤を分配孔内周縁に塗布することにより形成されたものである請求項4に記載のインフレーターガス導入分配ホース。
  6. 上記分配孔内周縁の強化部が、分配孔をレーザー裁断によって形成する際に同時に形成されたものである請求項4に記載のインフレーターガス導入分配ホース。
  7. 上記分配孔内周縁の強化部が、加熱体を分配孔内周縁部に直接接触させることにより形成したものである請求項4〜6のいずれかに記載のインフレーターガス導入分配ホース。
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