JP2004216932A - 内外気熱交換除湿装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内外気の熱交換による除湿効率が高い除湿装置を提供する。
【解決手段】第1内気導入口31からの内気を一端から導入し、他端ではフット開口部5に連通する第1空気通路11と、外気導入口2からの外気を一端から導入し、他端ではデフロスタ開口部7に連通する第2空気通路12とを、仕切り板10によりケース1内に区画形成し、さらに、第2内気導入口32からの内気を第2空気通路12に混入させる内気案内路14を設ける。そして、内気案内路14を流れる内気より吸熱し、外気導入口2からの外気へ放熱するヒートパイプ8を設ける。ヒートパイプ8には外気風量に対して10〜40%の風量の内気を接触させる。これにより、高湿な内気を最大効率で除湿でき、暖房負荷を大きくせずに防曇効果を高めることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】第1内気導入口31からの内気を一端から導入し、他端ではフット開口部5に連通する第1空気通路11と、外気導入口2からの外気を一端から導入し、他端ではデフロスタ開口部7に連通する第2空気通路12とを、仕切り板10によりケース1内に区画形成し、さらに、第2内気導入口32からの内気を第2空気通路12に混入させる内気案内路14を設ける。そして、内気案内路14を流れる内気より吸熱し、外気導入口2からの外気へ放熱するヒートパイプ8を設ける。ヒートパイプ8には外気風量に対して10〜40%の風量の内気を接触させる。これにより、高湿な内気を最大効率で除湿でき、暖房負荷を大きくせずに防曇効果を高めることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内外気を熱交換することにより除湿する内外気熱交換除湿装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、暖房時、定常的に取り入れる外気と比較的高温高湿な内気とをヒートパイプを用いて熱交換することにより内気の除湿を行うものがあった。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−6746号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術では、内気の除湿効率を高くするための構成は開示されておらず改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、内外気の熱交換による除湿効率が高い除湿装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、一端(1a)には低温気体を導入する低温気体導入口(2)および高温気体を導入する高温気体導入口(32)が備えられ、他端(1b)には室内に空調風を吹出す吹出し口(5、7)を備えたケース(1)と、前記ケース内に配設され、前記一端より前記他端に向う空気流を発生させる送風手段(4)と、前記ケース内の前記低温気体導入口および高温気体導入口の下流側に配設され、それぞれ所定風量の前記導入された高温気体と前記導入された低温気体とが非混合状態で接触することにより高温気体と低温気体との熱交換を行うヒートパイプ(8)とを備え、前記ヒートパイプに接触する高温気体の風量の低温気体の風量に対する風量比率が10%ないし40%であることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、ヒートパイプにそれぞれ所定風量の高温気体および低温気体を互いに非混合状態で接触させて、ヒートパイプを介して両気体の熱交換を行うに際して、このヒートパイプに接触する高温気体の風量を、低温気体の風量に対する風量比率で10%ないし40%の範囲とすることにより、風量比率に対して高温気体の除湿に要する熱量がピーク値を有する特性において、除湿熱量をこのピーク値付近の最大範囲にすることができる。
【0008】
また、請求項2に記載のように、一端(1a)には外気を導入する外気導入口(2)および内気を導入する内気導入口(32)が備えられ、他端(1b)には室内に空調風を吹出す吹出し口(5、7)を備えたケース(1)と、前記ケース内に配設され、前記一端より前記他端に向う空気流を発生させる送風手段(4)と、前記ケース内の前記外気導入口および内気導入口の下流側に配設され、前記導入された所定風量の内気より吸熱し、前記導入された所定風量の外気へ放熱するヒートパイプ(8)とを備え、前記導入された外気の風量に対する前記導入された内気の風量の風量比率が10%ないし40%とすることができる。
【0009】
なお、請求項3に記載のように、前記ケース内において、前記ヒートパイプの下流側で前記熱交換された内気および外気が混合され、該混合気が前記吹出し口より吹出されるようにすれば、除湿された内外混合気を室内に空調風として吹出すことができる。
【0010】
前記風量比率は、請求項4に記載のように10%ないし33%であることが好ましい。
【0011】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は本発明の内外気熱交換除湿装置を用いた車両用空調装置の模式的な断面図であり、この車両用空調装置は、例えばディーゼルエンジンを搭載するディーゼル車に搭載されるものである。ディーゼルエンジンは一般的にガソリンエンジンに比べ発熱量が小さいため、冬季における暖房能力が充分得られにくいものである。
【0014】
図1に示すように、車両用空調装置は、車室内に向けて空気を送る空気通路をなす樹脂製のケース1を備える。このケース1は、内外気切替部1Aと、空調ユニット部1Bとが結合されることで構成されており、一端1a側には外気導入口2、第1内気導入口31、および、第2内気導入口32が設けられ、他端1b側には、乗員の足元へ空調風を吹き出すフット吹出口(図示せず)に連通するフット開口部5、乗員の上半身へ空調風を吹き出すフェイス吹出口(図示せず)に連通するフェイス開口部6、および、フロントガラスへ空調風を吹き出すデフロスタ吹出口(図示せず)に連通するデフロスタ開口部7が設けられている。
【0015】
内外気切替部1A内は、低温気体導入口としての外気導入口2からの低温気体としての外気が流通する外気案内路13と、高温気体としての第2内気導入口32からの高温気体としての内気(以下、熱交換内気という)が流通する内気案内路14とが、副仕切り板100により仕切られている。この副仕切り板100には、内気案内路14内の熱交換内気から吸熱し、外気案内路13内の外気へ放熱するヒートパイプ8が配設されている。
【0016】
このヒートパイプ8は、内気案内路14および外気案内路13をまたぐように、副仕切り板100を貫通して配置されており、これにより内気案内路14の熱交換内気と外気案内路13の外気とがそれぞれ非混合状態でヒートパイプ8に接触する。
【0017】
このヒートパイプ8の内部では、内気案内路14内に配置される吸熱部8a側から外気案内路13内に配置される放熱部8b側にかけて熱媒体が循環するようになっている。なお、ヒートパイプ8の吸熱部8aが重力方向下方、放熱部8bが重力方向上方となるように配置されている。
【0018】
そして、吸熱部8a側において熱媒体が比較的高温な熱交換内気から吸熱して蒸発し、この蒸発して比重の小さくなった熱媒体が上方の放熱部8b側へ移動する。すると、この放熱部8b側では、比較的低温な外気へ放熱して凝縮し、凝縮して比重の大きくなった熱媒体が下方の吸熱部8a側へ移動する。このようにして、熱媒体がヒータパイプ8の内部で循環している。
【0019】
さらに、ヒートパイプ8の吸熱部8aおよび放熱部8bの表面には、上記熱媒体と、熱交換内気および外気との間の熱交換を促進するための伝熱フィン80a、80bが備えられている。また、ケース1においてヒートパイプ8の下方に位置する部分には、ヒートパイプ8に付着する水滴の排水口(図示しない)が形成されている。
【0020】
そして、ヒートパイプ8の下流側には、第1、第2内外気切替ドア9a、9bが配設されている。第2内外気切替ドア9bは、副仕切り板100の下流端に配設されており、外気案内路13からの外気導入量と内気案内路14からの内気導入量との導入割合、すなわち、後述するヒートパイプ8にそれぞれ接触する外気の風量と熱交換内気の風量との風量比率αを調整するものである。第1内外気切替ドア9aは、第1内気導入口31近傍に配設されており、外気案内路13からの外気導入量と第1内気導入口31からの内気(以下、循環内気という)導入量を調整するものである。
【0021】
第1、第2内外気切替ドア9a、9bの空気下流側には、送風機4が配設されている。この送風機4は、ケース1の一端1aから他端1bに向かう空気流を発生させるもので、遠心式多翼ファン41、42、ファン駆動用モータ43、および樹脂製のスクロールケーシング44から構成されている。このスクロールケーシング44内は、仕切り板10により、遠心式多翼ファン41の送風空気が流れる第1空気通路11と、遠心式多翼ファン42の送風空気が流れる第2空気通路12とに仕切られている。
【0022】
この結果、第1空気通路11には、外気案内路13内の外気、または、第1内気導入口31からの循環内気が導入され、第2空気通路12には、外気案内路13内の外気、または、内気案内路14内の熱交換内気、あるいは両者の混合気が導入されるようになっている。これら第1、第2空気通路11、12は、さらにケース1の他端1b側へ向かって延びており、第1空気通路11はフット開口部5へ、第2空気通路12はフェイス開口部6およびデフロスタ開口部7へ連通している。
【0023】
そして、空調ユニット1Bにおいて、送風機4の空気下流側には、第1、第2空気通路11、12の全面を塞ぐように、エバポレータ20が配設されており、このエバポレータ20の空気下流側には、第1、第2空気通路11、12の一部を塞ぐように、ヒータコア(暖房用熱交換器)22が配設されている。具体的に、ヒータコア22は、第1、第2空気通路11、12の仕切り板10側半分程度を塞ぐものであり、ケース1内において、ヒータコア22の図1中上部および下部には、バイパス通路23a、23bが形成される。
【0024】
そして、エバポレータ20の空気下流側で、かつ、ヒータコア22の空気上流側に配設されたエアミックスドア21a、21bにて、上記バイパス通路23a、23bとヒータコア22とに送られる風量割合を調節して、吹出空気温度を調節している。このエアミックスドア21a、21bは、仕切り板10を中心に線対称に開閉するように同時に駆動される。
【0025】
さらに、上記フット開口部5、フェイス開口部6およびデフロスタ開口部7にはそれぞれ、フット用切替ドア51、フェイス用切替ドア61およびデフロスタ用切替ドア71が配設されており、これら切替ドア51、61、71により各開口部5、6、7が開閉される。また、仕切り板10には、第1空気通路11と第2空気通路12とを連通する連通口10aが形成されており、上記フット用切替ドア51は、この連通口10aの開閉も同時に行っている。
【0026】
そして、車室内の前面に設けられた図示しないインストルメントパネルには、空調装置の操作部があり、この操作部に、吹出モードを切り換える吹出モード切替スイッチ(図示せず)、車室内への吹出温度を指示する吹出温度設定スイッチ等が設けられている。
【0027】
この吹出モード切替スイッチは乗員により選択、操作される。吹出モードには、空調風を主にフット開口部5から吹き出し、少量をデフロスタ開口部7から吹き出すフットモード、フット開口部5とデフロスタ開口部7からほぼ同量の空調風を吹き出すフットデフモード、デフロスタ開口部7から空調風を吹き出すデフロスタモード、フェイス開口部6とフット開口部5からほぼ同量の空調風を吹き出すバイレベルモード、フェイス開口部6から空調風を吹き出すフェイスモードがある。
【0028】
そして、吹出モード切替スイッチや吹出温度設定スイッチ等の操作信号が図示しない制御装置へ送られる。この制御装置は、上記操作信号に基づいて所定の演算を行い、この演算結果に基づいて、上記フット用切替ドア51、フェイス用切替ドア61、デフロスタ用切替ドア71、第1、第2内外気切替ドア9a、9bエアミックスドア21a、21bへ制御信号を出力し、駆動制御する。
【0029】
ここで、上述したヒートパイプ8にそれぞれ接触する外気風量に対する熱交換内気の風量の風量比率αの決定方法について説明する。
【0030】
図2は、本実施形態の内外気熱交換除湿装置の模式図であり、この模式図における各パラメータを図3の図表に示す。
【0031】
ある外気風量Voに対して最も効率のよい内気風量をViとするとき、風量比率αを用いて、数式1のように表す。
【0032】
【数1】
Vi=α・Vo
また、ヒートパイプ8の断面形状を円形とするとき、熱交換される内気側の通路断面積をA(m2)、ヒートパイプの熱交換部長さをLi(m)、ヒートパイプ直径をdi(m)、移動熱量をQi(kcal/h)、および外気側の通路断面積をB(m2)、ヒートパイプの熱交換部長さをLo(m)、ヒートパイプ直径をdo(m)、移動熱量をQo(kcal/h)とおき、さらに、ヒートパイプ内の温度をTm(℃)、熱交換内気から奪った熱量Qiのうち除湿に使われた熱量Qx(kcal/h)と置くと、ヒートパイプと空気との熱交換は1本の管の外面からの強制対流熱伝達とみなすことができ、以下の数式2ないし数式11の関係式が得られる。
【0033】
【数2】
ui=Vi/(3600・A)
【0034】
【数3】
uo=Vo/(3600・B)
【0035】
【数4】
Qi=Nui・λi・(Tm−Ti)・π・Li
【0036】
【数5】
Qo=Nuo・λo・(Tm−To)・π・Lo
【0037】
【数6】
Nui=1.11・Pri0.31・j・Reim
【0038】
【数7】
Nuo=1.11・Pro0.31・k・Reon
【0039】
【数8】
Pri=νi/ai
【0040】
【数9】
Pro=νo/ao
【0041】
【数10】
Rei=ui・di/νi
【0042】
【数11】
Reo=uo・do/νo
なお、数式6および数式7における係数j、kおよび指数m、nは、管断面が円のときのレイノルズ数Re=4×104〜4×105に対して実測された値であるj=k=0.0239およびm=n=0.805を用いる。
【0043】
内気からヒートパイプ8に移動した熱量Qiと、ヒートパイプ8から外気へ移動した熱量Qoの絶対値は同じとみなすことができるので、数式12が成り立つ。
【0044】
【数12】
Qi+Qo=0
数式12に数式4および5を代入すると、数式13になる。
【0045】
【数13】
【0046】
さらに、数式4に数式13を代入すると、数式14になる。
【0047】
【数14】
【0048】
移動熱量Qiのうち、熱交換内気の除湿に使われた熱量Qxは、比エンタルピhを用いて数式15で表される。
【0049】
【数15】
Qx=Qi−γi・Vi・h
数式15に、数式1、2、10、および14を代入し、さらにQxをαについてまとめると数式16となる。
【0050】
【数16】
【0051】
内外気温度差ΔT=(Ti−To)の実際の使用領域を、最大温度差条件としてΔT=60℃(内気温Ti=30℃、外気温To=−30℃)、最小温度条件としてΔT=10℃(内気温Ti=10℃、外気温To=0℃)とする。この条件下で、数式16に基づき計算した一定量の外気風量Voに対する熱交換内気の風量Viの割合(風量比率α)変化に対する除湿熱量Qxの変化特性を図4ないし図11に示す。なお、最大温度差(ΔT=60℃)での、風量大(Vo=100m3/h)および風量小(Vo=50m3/h)における計算結果を図4、図5に、また、最小温度差(ΔT=10℃)での、風量大(Vo=100m3/h)および風量小(Vo=50m3/h)における計算結果を図10、図11にそれぞれ示す。また、中間的な温度差条件、ΔT=30℃および20℃での風量大および小における計算結果も、図6ないし9に示す。
【0052】
これらの結果より、外気風量の大きさに拘わらず、最大温度差での除湿熱量Qxがピークとなるαの値は約0.3744であり、最小温度差での最大除湿熱量でのαの値は約0.2032となった。したがって、外気と外気風量に対して約10ないし40%の風量の内気とを熱交換させることにより、最も効率よく除湿できることが判る。しかも、この最大効率となる風量比率αの値は、温度差が同じであれば外気風量の大きさによらず一定である。ただし、最大効率となる除湿熱量Qxのピーク値の大きさは変化する。
【0053】
なお、α=10〜33%の範囲でも、内外気の温度差および外気風量の大きさによらず最大の除湿熱量の90%以上の除湿熱量が得られる。
【0054】
このように決めた風量比率αを実現すべく、第2内外気切替ドア9aの開き角を設定する。すなわち、この第2内外気切替ドア9aの角度設定により、第2空気通路12へ導入される内気および外気の導入割合が決まるので、必然的にヒートパイプ8に接触する第2内気導入口32から導入される熱交換内気および外気導入口2から導入される外気の風量比率αも決まることになる。
【0055】
なお、これらの算出結果は、熱交換内気を高温気体、外気を低温気体と置き換えて考えることにより一般化できる。すなわち、ヒートパイプ8に接触させる低温気体の風量Voに対して、同じヒートパイプ8に互いに非混合状態で接触させる高温気体の風量ViをVi=α・Voとなるようにすることで、高温気体を高効率で除湿することができる。
【0056】
次に、上記構成による本実施形態の作動を説明する。
【0057】
吹出モード切替スイッチによりフットモードが選択されると、第1、第2内外気切替ドア9a、9bが、図1中実線で示すように制御装置により駆動制御され、第1内気導入口31からの循環内気のみが第1空気通路11に導入され、外気案内路13からの外気および内気案内路14からの熱交換内気が外気量に対する風量比率αの風量で第2空気通路12に導入される。
【0058】
同時に、フット用切替ドア51、フェイス用切替ドア61、およびデフロスタ用切替ドア71が、図1中実線で示すように制御装置により駆動制御され、フット開口部5が全開するとともに仕切り板10の連通口10aが閉塞し、フェイス開口部6が閉塞し、デフロスタ開口部7が少し開口する。そして、例えば、最大暖房時においては、エアミックスドア21a、21bが、図1中実線で示すように制御装置により駆動制御され、バイパス通路23a、23bを閉塞して、エバポレータ20を通過した空気が全てヒータコア22を通過する。
【0059】
そして、ヒートパイプ8において、吸熱部8aでは、内気案内路14を流れる比較的多湿な熱交換内気から吸熱し、放熱部8bでは、比較的湿気の少ない外気に放熱する。この結果、内気案内路14を流れる熱交換内気は冷却、除湿され、外気案内路13を流れる外気は加熱される。すると、熱交換内気中の水蒸気が結露して凝縮水となり、この凝縮水が吸熱部8aの伝熱フィン80a表面に付着し、表面を伝って下方へ落下して、上記排水口を介して車外へ放出される。
【0060】
そして、この除湿後の熱交換内気と比較的湿気の少ない外気との混合気からなる空調風をデフロスタ開口部7から吹き出すことにより、フロントガラスの防曇性を図りつつ、ヒータコア22の暖房負荷を低減できる。
【0061】
また、内気案内路14内の熱交換内気から吸熱することにより、この熱交換内気の温度が低下するが、これに対して、外気案内路13内の外気に放熱することにより外気の温度が上昇する。よって、ケース1内において、熱交換内気の温度低下を外気の温度上昇により相殺することができる。
【0062】
また、第2空気通路12には、比較的温度の低い外気に加えて、比較的温度の高い熱交換内気を導入しているので、この第2空気通路12と、循環内気のみが導入される第1空気通路11との温度差を小さくできる。従って、フット開口部5から車室内へ吹き出される空気と、デフロスタ開口部7から車室内へ吹き出される空気との温度差を小さくでき、乗員の暖房フィーリングを損ねる、という問題を抑制できる。
【0063】
ここで、ヒートパイプ8の放熱部8bにおける放熱を促進することにより、ヒートパイプ8の除湿能力を向上することができることが一般に知られている。そして、本実施形態のように、ヒートパイプ8の吸熱部8aに送風する熱交換内気の風量に比べて、ヒートパイプ8の放熱部8bに送風する外気の風量を多くする(内気量(Vi)の1/α倍(α=0.1ないし0.4または0.1ないし0.33)にする)ことにより、ヒートパイプ8の除湿能力を高効率にすることができる。
【0064】
なお、上記作動ではフットモードにおいてヒートパイプ8を作動させたときについて述べたが、デフロスタモードにおいても、ヒートパイプ8を作動させ、第2空気通路12に内気と外気が導入されるよう第1、第2内外気切替ドア9a、9bを制御する。この結果、フットモードと同じ効果が得られる。
【0065】
また、フェイスモード、バイレベルモード、デフロスタモードにおいて、フェイス開口部6またはデフロスタ開口部7から低湿な空調風を吹き出す必要がある場合、これらのモードではフットモードやフットデフモードに比べてさほど暖房能力を必要としないため、第2空気通路12には、外気導入口2からの外気のみを導入し、ヒートパイプ8は作動させないものとする。
【0066】
なお、上記実施形態では内外気の風量比率αは、制御装置により駆動される第2内外気切替ドア9bの開き角を予め設定した角度となるようにしていたが、内外気の温度センサを設け、これにより検出された内外気温度差ΔTに応じて、上記図4ないし図11に示す除湿熱量Qxがピークとなるαに対応した開き角度となるよう制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内外気熱交換除湿装置を用いた実施形態を示す構成図である。
【図2】内外気熱交換除湿装置の模式図である。
【図3】除湿効率を算出するための各パラメータを表す図表である。
【図4】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図5】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図6】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図7】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図8】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図9】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図10】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図11】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【符号の説明】
1…ケース、2…外気導入口、3、31、32…内気導入口、4…送風機、
5…フット開口部、7…デフロスタ開口部、8…ヒートパイプ、
10…仕切り板、11…第1空気通路、12…第2空気通路、
100…副仕切り板、13…外気案内路、14…内気案内路、
22…ヒータコア(暖房用熱交換器)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内外気を熱交換することにより除湿する内外気熱交換除湿装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、暖房時、定常的に取り入れる外気と比較的高温高湿な内気とをヒートパイプを用いて熱交換することにより内気の除湿を行うものがあった。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−6746号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術では、内気の除湿効率を高くするための構成は開示されておらず改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、内外気の熱交換による除湿効率が高い除湿装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、一端(1a)には低温気体を導入する低温気体導入口(2)および高温気体を導入する高温気体導入口(32)が備えられ、他端(1b)には室内に空調風を吹出す吹出し口(5、7)を備えたケース(1)と、前記ケース内に配設され、前記一端より前記他端に向う空気流を発生させる送風手段(4)と、前記ケース内の前記低温気体導入口および高温気体導入口の下流側に配設され、それぞれ所定風量の前記導入された高温気体と前記導入された低温気体とが非混合状態で接触することにより高温気体と低温気体との熱交換を行うヒートパイプ(8)とを備え、前記ヒートパイプに接触する高温気体の風量の低温気体の風量に対する風量比率が10%ないし40%であることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、ヒートパイプにそれぞれ所定風量の高温気体および低温気体を互いに非混合状態で接触させて、ヒートパイプを介して両気体の熱交換を行うに際して、このヒートパイプに接触する高温気体の風量を、低温気体の風量に対する風量比率で10%ないし40%の範囲とすることにより、風量比率に対して高温気体の除湿に要する熱量がピーク値を有する特性において、除湿熱量をこのピーク値付近の最大範囲にすることができる。
【0008】
また、請求項2に記載のように、一端(1a)には外気を導入する外気導入口(2)および内気を導入する内気導入口(32)が備えられ、他端(1b)には室内に空調風を吹出す吹出し口(5、7)を備えたケース(1)と、前記ケース内に配設され、前記一端より前記他端に向う空気流を発生させる送風手段(4)と、前記ケース内の前記外気導入口および内気導入口の下流側に配設され、前記導入された所定風量の内気より吸熱し、前記導入された所定風量の外気へ放熱するヒートパイプ(8)とを備え、前記導入された外気の風量に対する前記導入された内気の風量の風量比率が10%ないし40%とすることができる。
【0009】
なお、請求項3に記載のように、前記ケース内において、前記ヒートパイプの下流側で前記熱交換された内気および外気が混合され、該混合気が前記吹出し口より吹出されるようにすれば、除湿された内外混合気を室内に空調風として吹出すことができる。
【0010】
前記風量比率は、請求項4に記載のように10%ないし33%であることが好ましい。
【0011】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は本発明の内外気熱交換除湿装置を用いた車両用空調装置の模式的な断面図であり、この車両用空調装置は、例えばディーゼルエンジンを搭載するディーゼル車に搭載されるものである。ディーゼルエンジンは一般的にガソリンエンジンに比べ発熱量が小さいため、冬季における暖房能力が充分得られにくいものである。
【0014】
図1に示すように、車両用空調装置は、車室内に向けて空気を送る空気通路をなす樹脂製のケース1を備える。このケース1は、内外気切替部1Aと、空調ユニット部1Bとが結合されることで構成されており、一端1a側には外気導入口2、第1内気導入口31、および、第2内気導入口32が設けられ、他端1b側には、乗員の足元へ空調風を吹き出すフット吹出口(図示せず)に連通するフット開口部5、乗員の上半身へ空調風を吹き出すフェイス吹出口(図示せず)に連通するフェイス開口部6、および、フロントガラスへ空調風を吹き出すデフロスタ吹出口(図示せず)に連通するデフロスタ開口部7が設けられている。
【0015】
内外気切替部1A内は、低温気体導入口としての外気導入口2からの低温気体としての外気が流通する外気案内路13と、高温気体としての第2内気導入口32からの高温気体としての内気(以下、熱交換内気という)が流通する内気案内路14とが、副仕切り板100により仕切られている。この副仕切り板100には、内気案内路14内の熱交換内気から吸熱し、外気案内路13内の外気へ放熱するヒートパイプ8が配設されている。
【0016】
このヒートパイプ8は、内気案内路14および外気案内路13をまたぐように、副仕切り板100を貫通して配置されており、これにより内気案内路14の熱交換内気と外気案内路13の外気とがそれぞれ非混合状態でヒートパイプ8に接触する。
【0017】
このヒートパイプ8の内部では、内気案内路14内に配置される吸熱部8a側から外気案内路13内に配置される放熱部8b側にかけて熱媒体が循環するようになっている。なお、ヒートパイプ8の吸熱部8aが重力方向下方、放熱部8bが重力方向上方となるように配置されている。
【0018】
そして、吸熱部8a側において熱媒体が比較的高温な熱交換内気から吸熱して蒸発し、この蒸発して比重の小さくなった熱媒体が上方の放熱部8b側へ移動する。すると、この放熱部8b側では、比較的低温な外気へ放熱して凝縮し、凝縮して比重の大きくなった熱媒体が下方の吸熱部8a側へ移動する。このようにして、熱媒体がヒータパイプ8の内部で循環している。
【0019】
さらに、ヒートパイプ8の吸熱部8aおよび放熱部8bの表面には、上記熱媒体と、熱交換内気および外気との間の熱交換を促進するための伝熱フィン80a、80bが備えられている。また、ケース1においてヒートパイプ8の下方に位置する部分には、ヒートパイプ8に付着する水滴の排水口(図示しない)が形成されている。
【0020】
そして、ヒートパイプ8の下流側には、第1、第2内外気切替ドア9a、9bが配設されている。第2内外気切替ドア9bは、副仕切り板100の下流端に配設されており、外気案内路13からの外気導入量と内気案内路14からの内気導入量との導入割合、すなわち、後述するヒートパイプ8にそれぞれ接触する外気の風量と熱交換内気の風量との風量比率αを調整するものである。第1内外気切替ドア9aは、第1内気導入口31近傍に配設されており、外気案内路13からの外気導入量と第1内気導入口31からの内気(以下、循環内気という)導入量を調整するものである。
【0021】
第1、第2内外気切替ドア9a、9bの空気下流側には、送風機4が配設されている。この送風機4は、ケース1の一端1aから他端1bに向かう空気流を発生させるもので、遠心式多翼ファン41、42、ファン駆動用モータ43、および樹脂製のスクロールケーシング44から構成されている。このスクロールケーシング44内は、仕切り板10により、遠心式多翼ファン41の送風空気が流れる第1空気通路11と、遠心式多翼ファン42の送風空気が流れる第2空気通路12とに仕切られている。
【0022】
この結果、第1空気通路11には、外気案内路13内の外気、または、第1内気導入口31からの循環内気が導入され、第2空気通路12には、外気案内路13内の外気、または、内気案内路14内の熱交換内気、あるいは両者の混合気が導入されるようになっている。これら第1、第2空気通路11、12は、さらにケース1の他端1b側へ向かって延びており、第1空気通路11はフット開口部5へ、第2空気通路12はフェイス開口部6およびデフロスタ開口部7へ連通している。
【0023】
そして、空調ユニット1Bにおいて、送風機4の空気下流側には、第1、第2空気通路11、12の全面を塞ぐように、エバポレータ20が配設されており、このエバポレータ20の空気下流側には、第1、第2空気通路11、12の一部を塞ぐように、ヒータコア(暖房用熱交換器)22が配設されている。具体的に、ヒータコア22は、第1、第2空気通路11、12の仕切り板10側半分程度を塞ぐものであり、ケース1内において、ヒータコア22の図1中上部および下部には、バイパス通路23a、23bが形成される。
【0024】
そして、エバポレータ20の空気下流側で、かつ、ヒータコア22の空気上流側に配設されたエアミックスドア21a、21bにて、上記バイパス通路23a、23bとヒータコア22とに送られる風量割合を調節して、吹出空気温度を調節している。このエアミックスドア21a、21bは、仕切り板10を中心に線対称に開閉するように同時に駆動される。
【0025】
さらに、上記フット開口部5、フェイス開口部6およびデフロスタ開口部7にはそれぞれ、フット用切替ドア51、フェイス用切替ドア61およびデフロスタ用切替ドア71が配設されており、これら切替ドア51、61、71により各開口部5、6、7が開閉される。また、仕切り板10には、第1空気通路11と第2空気通路12とを連通する連通口10aが形成されており、上記フット用切替ドア51は、この連通口10aの開閉も同時に行っている。
【0026】
そして、車室内の前面に設けられた図示しないインストルメントパネルには、空調装置の操作部があり、この操作部に、吹出モードを切り換える吹出モード切替スイッチ(図示せず)、車室内への吹出温度を指示する吹出温度設定スイッチ等が設けられている。
【0027】
この吹出モード切替スイッチは乗員により選択、操作される。吹出モードには、空調風を主にフット開口部5から吹き出し、少量をデフロスタ開口部7から吹き出すフットモード、フット開口部5とデフロスタ開口部7からほぼ同量の空調風を吹き出すフットデフモード、デフロスタ開口部7から空調風を吹き出すデフロスタモード、フェイス開口部6とフット開口部5からほぼ同量の空調風を吹き出すバイレベルモード、フェイス開口部6から空調風を吹き出すフェイスモードがある。
【0028】
そして、吹出モード切替スイッチや吹出温度設定スイッチ等の操作信号が図示しない制御装置へ送られる。この制御装置は、上記操作信号に基づいて所定の演算を行い、この演算結果に基づいて、上記フット用切替ドア51、フェイス用切替ドア61、デフロスタ用切替ドア71、第1、第2内外気切替ドア9a、9bエアミックスドア21a、21bへ制御信号を出力し、駆動制御する。
【0029】
ここで、上述したヒートパイプ8にそれぞれ接触する外気風量に対する熱交換内気の風量の風量比率αの決定方法について説明する。
【0030】
図2は、本実施形態の内外気熱交換除湿装置の模式図であり、この模式図における各パラメータを図3の図表に示す。
【0031】
ある外気風量Voに対して最も効率のよい内気風量をViとするとき、風量比率αを用いて、数式1のように表す。
【0032】
【数1】
Vi=α・Vo
また、ヒートパイプ8の断面形状を円形とするとき、熱交換される内気側の通路断面積をA(m2)、ヒートパイプの熱交換部長さをLi(m)、ヒートパイプ直径をdi(m)、移動熱量をQi(kcal/h)、および外気側の通路断面積をB(m2)、ヒートパイプの熱交換部長さをLo(m)、ヒートパイプ直径をdo(m)、移動熱量をQo(kcal/h)とおき、さらに、ヒートパイプ内の温度をTm(℃)、熱交換内気から奪った熱量Qiのうち除湿に使われた熱量Qx(kcal/h)と置くと、ヒートパイプと空気との熱交換は1本の管の外面からの強制対流熱伝達とみなすことができ、以下の数式2ないし数式11の関係式が得られる。
【0033】
【数2】
ui=Vi/(3600・A)
【0034】
【数3】
uo=Vo/(3600・B)
【0035】
【数4】
Qi=Nui・λi・(Tm−Ti)・π・Li
【0036】
【数5】
Qo=Nuo・λo・(Tm−To)・π・Lo
【0037】
【数6】
Nui=1.11・Pri0.31・j・Reim
【0038】
【数7】
Nuo=1.11・Pro0.31・k・Reon
【0039】
【数8】
Pri=νi/ai
【0040】
【数9】
Pro=νo/ao
【0041】
【数10】
Rei=ui・di/νi
【0042】
【数11】
Reo=uo・do/νo
なお、数式6および数式7における係数j、kおよび指数m、nは、管断面が円のときのレイノルズ数Re=4×104〜4×105に対して実測された値であるj=k=0.0239およびm=n=0.805を用いる。
【0043】
内気からヒートパイプ8に移動した熱量Qiと、ヒートパイプ8から外気へ移動した熱量Qoの絶対値は同じとみなすことができるので、数式12が成り立つ。
【0044】
【数12】
Qi+Qo=0
数式12に数式4および5を代入すると、数式13になる。
【0045】
【数13】
【0046】
さらに、数式4に数式13を代入すると、数式14になる。
【0047】
【数14】
【0048】
移動熱量Qiのうち、熱交換内気の除湿に使われた熱量Qxは、比エンタルピhを用いて数式15で表される。
【0049】
【数15】
Qx=Qi−γi・Vi・h
数式15に、数式1、2、10、および14を代入し、さらにQxをαについてまとめると数式16となる。
【0050】
【数16】
【0051】
内外気温度差ΔT=(Ti−To)の実際の使用領域を、最大温度差条件としてΔT=60℃(内気温Ti=30℃、外気温To=−30℃)、最小温度条件としてΔT=10℃(内気温Ti=10℃、外気温To=0℃)とする。この条件下で、数式16に基づき計算した一定量の外気風量Voに対する熱交換内気の風量Viの割合(風量比率α)変化に対する除湿熱量Qxの変化特性を図4ないし図11に示す。なお、最大温度差(ΔT=60℃)での、風量大(Vo=100m3/h)および風量小(Vo=50m3/h)における計算結果を図4、図5に、また、最小温度差(ΔT=10℃)での、風量大(Vo=100m3/h)および風量小(Vo=50m3/h)における計算結果を図10、図11にそれぞれ示す。また、中間的な温度差条件、ΔT=30℃および20℃での風量大および小における計算結果も、図6ないし9に示す。
【0052】
これらの結果より、外気風量の大きさに拘わらず、最大温度差での除湿熱量Qxがピークとなるαの値は約0.3744であり、最小温度差での最大除湿熱量でのαの値は約0.2032となった。したがって、外気と外気風量に対して約10ないし40%の風量の内気とを熱交換させることにより、最も効率よく除湿できることが判る。しかも、この最大効率となる風量比率αの値は、温度差が同じであれば外気風量の大きさによらず一定である。ただし、最大効率となる除湿熱量Qxのピーク値の大きさは変化する。
【0053】
なお、α=10〜33%の範囲でも、内外気の温度差および外気風量の大きさによらず最大の除湿熱量の90%以上の除湿熱量が得られる。
【0054】
このように決めた風量比率αを実現すべく、第2内外気切替ドア9aの開き角を設定する。すなわち、この第2内外気切替ドア9aの角度設定により、第2空気通路12へ導入される内気および外気の導入割合が決まるので、必然的にヒートパイプ8に接触する第2内気導入口32から導入される熱交換内気および外気導入口2から導入される外気の風量比率αも決まることになる。
【0055】
なお、これらの算出結果は、熱交換内気を高温気体、外気を低温気体と置き換えて考えることにより一般化できる。すなわち、ヒートパイプ8に接触させる低温気体の風量Voに対して、同じヒートパイプ8に互いに非混合状態で接触させる高温気体の風量ViをVi=α・Voとなるようにすることで、高温気体を高効率で除湿することができる。
【0056】
次に、上記構成による本実施形態の作動を説明する。
【0057】
吹出モード切替スイッチによりフットモードが選択されると、第1、第2内外気切替ドア9a、9bが、図1中実線で示すように制御装置により駆動制御され、第1内気導入口31からの循環内気のみが第1空気通路11に導入され、外気案内路13からの外気および内気案内路14からの熱交換内気が外気量に対する風量比率αの風量で第2空気通路12に導入される。
【0058】
同時に、フット用切替ドア51、フェイス用切替ドア61、およびデフロスタ用切替ドア71が、図1中実線で示すように制御装置により駆動制御され、フット開口部5が全開するとともに仕切り板10の連通口10aが閉塞し、フェイス開口部6が閉塞し、デフロスタ開口部7が少し開口する。そして、例えば、最大暖房時においては、エアミックスドア21a、21bが、図1中実線で示すように制御装置により駆動制御され、バイパス通路23a、23bを閉塞して、エバポレータ20を通過した空気が全てヒータコア22を通過する。
【0059】
そして、ヒートパイプ8において、吸熱部8aでは、内気案内路14を流れる比較的多湿な熱交換内気から吸熱し、放熱部8bでは、比較的湿気の少ない外気に放熱する。この結果、内気案内路14を流れる熱交換内気は冷却、除湿され、外気案内路13を流れる外気は加熱される。すると、熱交換内気中の水蒸気が結露して凝縮水となり、この凝縮水が吸熱部8aの伝熱フィン80a表面に付着し、表面を伝って下方へ落下して、上記排水口を介して車外へ放出される。
【0060】
そして、この除湿後の熱交換内気と比較的湿気の少ない外気との混合気からなる空調風をデフロスタ開口部7から吹き出すことにより、フロントガラスの防曇性を図りつつ、ヒータコア22の暖房負荷を低減できる。
【0061】
また、内気案内路14内の熱交換内気から吸熱することにより、この熱交換内気の温度が低下するが、これに対して、外気案内路13内の外気に放熱することにより外気の温度が上昇する。よって、ケース1内において、熱交換内気の温度低下を外気の温度上昇により相殺することができる。
【0062】
また、第2空気通路12には、比較的温度の低い外気に加えて、比較的温度の高い熱交換内気を導入しているので、この第2空気通路12と、循環内気のみが導入される第1空気通路11との温度差を小さくできる。従って、フット開口部5から車室内へ吹き出される空気と、デフロスタ開口部7から車室内へ吹き出される空気との温度差を小さくでき、乗員の暖房フィーリングを損ねる、という問題を抑制できる。
【0063】
ここで、ヒートパイプ8の放熱部8bにおける放熱を促進することにより、ヒートパイプ8の除湿能力を向上することができることが一般に知られている。そして、本実施形態のように、ヒートパイプ8の吸熱部8aに送風する熱交換内気の風量に比べて、ヒートパイプ8の放熱部8bに送風する外気の風量を多くする(内気量(Vi)の1/α倍(α=0.1ないし0.4または0.1ないし0.33)にする)ことにより、ヒートパイプ8の除湿能力を高効率にすることができる。
【0064】
なお、上記作動ではフットモードにおいてヒートパイプ8を作動させたときについて述べたが、デフロスタモードにおいても、ヒートパイプ8を作動させ、第2空気通路12に内気と外気が導入されるよう第1、第2内外気切替ドア9a、9bを制御する。この結果、フットモードと同じ効果が得られる。
【0065】
また、フェイスモード、バイレベルモード、デフロスタモードにおいて、フェイス開口部6またはデフロスタ開口部7から低湿な空調風を吹き出す必要がある場合、これらのモードではフットモードやフットデフモードに比べてさほど暖房能力を必要としないため、第2空気通路12には、外気導入口2からの外気のみを導入し、ヒートパイプ8は作動させないものとする。
【0066】
なお、上記実施形態では内外気の風量比率αは、制御装置により駆動される第2内外気切替ドア9bの開き角を予め設定した角度となるようにしていたが、内外気の温度センサを設け、これにより検出された内外気温度差ΔTに応じて、上記図4ないし図11に示す除湿熱量Qxがピークとなるαに対応した開き角度となるよう制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内外気熱交換除湿装置を用いた実施形態を示す構成図である。
【図2】内外気熱交換除湿装置の模式図である。
【図3】除湿効率を算出するための各パラメータを表す図表である。
【図4】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図5】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図6】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図7】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図8】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図9】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図10】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【図11】算出された風量比率と除湿熱量との関係を表す線図である。
【符号の説明】
1…ケース、2…外気導入口、3、31、32…内気導入口、4…送風機、
5…フット開口部、7…デフロスタ開口部、8…ヒートパイプ、
10…仕切り板、11…第1空気通路、12…第2空気通路、
100…副仕切り板、13…外気案内路、14…内気案内路、
22…ヒータコア(暖房用熱交換器)。
Claims (4)
- 一端(1a)には低温気体を導入する低温気体導入口(2)および高温気体を導入する高温気体導入口(32)が備えられ、他端(1b)には室内に空調風を吹出す吹出し口(5、7)を備えたケース(1)と、
前記ケース内に配設され、前記一端より前記他端に向う空気流を発生させる送風手段(4)と、
前記ケース内の前記低温気体導入口および高温気体導入口の下流側に配設され、それぞれ所定風量の前記導入された高温気体と前記導入された低温気体とが非混合状態で接触することにより高温気体と低温気体との熱交換を行うヒートパイプ(8)とを備え、
前記ヒートパイプに接触する高温気体の風量の低温気体の風量に対する風量比率が10%ないし40%であることを特徴とする内外気熱交換除湿装置。 - 一端(1a)には外気を導入する外気導入口(2)および内気を導入する内気導入口(32)が備えられ、他端(1b)には室内に空調風を吹出す吹出し口(5、7)を備えたケース(1)と、
前記ケース内に配設され、前記一端より前記他端に向う空気流を発生させる送風手段(4)と、
前記ケース内の前記外気導入口および内気導入口の下流側に配設され、前記導入された所定風量の内気より吸熱し、前記導入された所定風量の外気へ放熱するヒートパイプ(8)とを備え、
前記導入された外気の風量に対する前記導入された内気の風量の風量比率が10%ないし40%であることを特徴とする内外気熱交換除湿装置。 - 前記ケース内において、前記ヒートパイプの下流側で前記熱交換された内気および外気が混合され、該混合気が前記吹出し口より吹出されることを特徴とする請求項2に記載の内外気熱交換除湿装置。
- 前記風量比率が10%ないし33%であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の内外気熱交換除湿装置。
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-
2003
- 2003-01-09 JP JP2003003249A patent/JP2004216932A/ja active Pending
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