JP2004216777A - 発泡体の製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】原料ペレットが加熱溶融されて発生する水蒸気の逆流をなくし、かつ粉化し難い均一な品質を有する発泡体を効率よく得るための製造方法及び製造装置の提供。
【解決手段】澱粉、澱粉部分加水分解物及び澱粉完全加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種と水とを含む原料を加熱下に射出して発泡させることにより発泡体を得る発泡体の製造方法及び製造装置であって、搬送工程と、溶融工程と、射出工程とを有する製造方法、並びに搬送工程を行うスクリューバレルと、溶融工程を行う延長バレルと、射出工程を行うダイとを有する製造装置。
【選択図】 図1
【解決手段】澱粉、澱粉部分加水分解物及び澱粉完全加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種と水とを含む原料を加熱下に射出して発泡させることにより発泡体を得る発泡体の製造方法及び製造装置であって、搬送工程と、溶融工程と、射出工程とを有する製造方法、並びに搬送工程を行うスクリューバレルと、溶融工程を行う延長バレルと、射出工程を行うダイとを有する製造装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、商品の箱詰めなど各種の用途に使用することのできる発泡体の製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、発泡体としては発泡ポリスチロールが広く使用されてきた。しかし、この発泡ポリスチロールは、廃棄処分のため焼却すると高熱を発するため、焼却炉を損傷させるという問題や、焼却しない場合には非分解性であるため、埋立地を確保しなければならないという問題を有していた。そこで、最近ではこのような問題の少ない澱粉を主成分とした原料を用いた発泡体が上記発泡ポリスチロールの代替品として開発され使用されている。
【0003】
上記澱粉を主成分とした発泡体の製造方法及び製造装置として、従来、特許文献1に記載の方法及び装置が知られている。以下、図4を参考にしながら、従来の製造方法及び装置を説明する。
【0004】
図4に示されるように、澱粉を主成分とする原料ペレットは、ペレット供給フィーダー41からスクリューバレル42内に供給され、ペレット供給用スクリュー43の回転によって連続的にバレル先端に取付けた発泡用のダイ44の空間(以下、「溶融発泡室45」という)に押し込まれる。ダイ44は、ダイ取付用フランジの外側に取り付けられたバンドヒーター46により通常220℃前後まで加熱される。溶融発泡室45内に押し込まれた原料ペレットは、加熱されたダイ44に接触することにより溶融を始め、さらに加熱されることにより原料ペレット中に含まれていた水分が水蒸気化し、沸騰することでダイ44の先端に設けられている射出ノズル47より膨張発泡し、発泡体を得ることができる。
【0005】
前記製造装置において、ダイ44は、ペレット供給用スクリュー43から押し出される原料ペレットを220℃前後のバンドヒーター46で外側から加熱し、原料ペレットの溶融及び含有水分の蒸気化に必要な160〜180℃にする必要がある。さらにダイ44は、装置を小型化しつつ、発泡までの立ち上がり時間を短くし、かつ必要な発泡体の生産量を満足させる必要がある。さらに、ダイ44の射出ノズル47の口径を2.2mm以下とすれば原料ペレットが装置内部で詰まってしまい、3.3mm以上とすれば耐荷重性に欠け、緩衝材として発泡体を使用できない。
このような理由から、従来の製造装置ではダイの射出ノズル47の口径は2.6mm程度が最適とされ、その結果、ダイ44の溶融発泡室45の大きさ及び体積も自ずと限定され、内径65mm、体積45ml程度とされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の製造装置において、生産量をさらに増加させるためには、単位時間当たりの原料ペレットの供給量を増加させる必要がある。しかしながら、従来のダイ44内の溶融発泡室45の容積は上記のとおり45ml程度であるため、一度に多量の原料ペレットを供給すると、溶融速度が追いつかず、ダイ44の射出ノズル47が詰まり、原料ペレットがスクリューバレル42側に逆流して装置が稼動しなくなってしまうという問題があった。さらに、従来の溶融発泡室45では原料ペレットを溶融するための充分なスペースを確保できなかったため、不充分な溶融状態のまま原料ペレットの沸騰が開始され、その結果、発泡むらのある発泡体となり、発泡体の品質が低下するという問題があった。
【0007】
また、従来の製造装置では、装置を稼動させても直ちに原料ペレットの溶融及び沸騰が始まらないため、ダイ44の射出ノズル47から原料ペレットを射出させるために、原料ペレットを少量ずつ溶融発泡室45内に搬送して原料ペレットを溶融させ、溶融発泡室45内の圧力を充分高める必要があった。しかし、射出開始までには約15分程度の時間(立ち上がり時間)を要していたため、この間に消費される原料ペレットはロスになるという問題があった。
【0008】
また、従来の製造装置では、搬送された原料ペレットをダイ44の溶融発泡室45内で加熱溶融させる必要があった。しかるに、溶融発泡室45内で原料ペレットの急激な加熱溶融が行われると、発泡に使用されない水蒸気が多く発生する。この水蒸気は、ダイ44の射出ノズル47から放出されずにスクリューバレル42側に逆流し、その水蒸気熱により新たに搬送されてくる原料ペレットを溶融してしまう。その結果、従来の製造装置では溶融した原料ペレットがペレット供給用スクリュー43やペレット投入口に付着又は粘着し、安定した装置の稼動を著しく阻害してしまうという問題があった。さらに、発生した水蒸気がスクリューバレル42側へ逆流すると、溶融発泡室45内の圧力が非常に不安定になり、品質の悪い不均一な発泡体が生成されてしまうばかりではなく、装置の安定した連続稼働を妨げる原因にもなっていた。
【0009】
さらに、原料ペレット中に含まれる水分が水蒸気としてスクリューバレル42側に逆流してしまうと、発泡体の組成に必要な水分が水蒸気として流出してしまうことから、発泡体が乾燥して弾力性を失い、その結果、得られる発泡体は著しく不安定であり、かつ簡単に粉砕・粉化されてしまうため、緩衝材として機能し得なくなるという問題があった。
【0010】
また、従来の製造装置は、図4に示されるように、ダイ44がフランジによってスクリューバレル42に極めて近い位置に直接連結される構造を有する。このため、稼働時間が嵩むと、熱伝導によりスクリューバレル42及びペレット供給スクリュー43もダイ44と同程度の温度まで加熱され、搬送途中の原料ペレットが途中で溶融してしまい、上記同様、安定した品質の発泡体の提供と、安定した装置の連続稼動が困難になるという問題があった。
【0011】
安定した装置の連続稼動における上記問題を解決するために、従来は操作員が製造された発泡体の状態を確認しながら、常時原料ペレットの搬送量を調節していた。さらに装置内で原料の付着又は粘着が生じた場合には、これを手動で取り除く作業が行われていた。しかし、これらの作業は、操作員が常時装置を監視する必要があり、労力を要するほか、大変煩わしいものであった。また、原料ペレットの含水量不足による発泡体の粉化の問題に対しては、不足水分を補うために、発泡体を成形した後に再加湿をする等の方法がとられていた。
【0012】
その一方で、従来の装置ではダイの溶融発泡室の容量が小さく熱伝導を受け易かったため、製造装置を停止すると原料残留物が急速に炭化し、焼き付きを起こしてしまう。これを防止するために、操作員は装置を停止した後、速やかにダイを取り外して溶融発泡室の残留物を取り除く必要があった。しかしながら、この作業は高温加圧された溶融発泡室を解放する必要があったため、解放と同時に沸騰蒸気が一気に噴出し、大変危険な作業であった。さらに、機械的にはスクリューバレル42とペレット供給用スクリュー43が恒常的に高温高圧状態にさらされるため腐食が激しく、機械の主要部品である高価な部品を頻繁に交換する必要があった。
【0013】
【特許文献1】
特許第2722056号公報(請求項2、第2頁[0013]〜第3頁[0019]、図1〜図6)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の製造装置における種々の問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、原料ペレットの溶融物から発生する水蒸気が原料供給側へ逆流することなく、かつ粉化し難い均一な品質を有する発泡体を効率よく得ることができる発泡体の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために原料の溶融方法に着目して鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明の目的は、以下の製造方法により達成される。
(1)澱粉、澱粉部分加水分解物及び澱粉完全加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種と水とを含む原料を加熱下に射出して発泡させることにより発泡体を得る発泡体の製造方法であって、原料の融点より低い温度で前記原料を射出方向へ搬送する搬送工程と、前記搬送された原料を加熱して原料を原料塊にし、該原料塊を射出方向へ押し出す溶融工程と、前記押し出された原料塊を射出して発泡体を得る射出工程とを有することを特徴とする前記方法。
(2)前記溶融工程における加熱温度が160〜180℃である(1)に記載の方法。
【0017】
本発明の製造方法では、原料の加熱溶融をダイの溶融発泡室ではなく、溶融工程で行うため、安定した加熱溶融が可能であり、その結果、従来の射出工程で問題となっていた原料の急激な溶融もなく原料を射出でき、かつ高品質の発泡体を得ることができる。また、本発明の製造方法は、溶融工程において原料塊が形成されるため、原料から発生する水蒸気の搬送工程側への逆流を防ぎ、搬送工程における原料の付着又は粘着を防止することができる。また、本発明の製造方法では、高温高圧に接する部分の材料として極めて安価な鉄材を用いることができるため、前記部分の交換が容易になるメリットがある。
【0018】
また、本発明のもう一つの目的は、以下の製造装置により達成される。
(1)澱粉、澱粉部分加水分解物及び澱粉完全加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種と水とを含む原料を加熱下に射出して発泡させることにより発泡体を得る発泡体の製造装置であって、原料の融点より低い温度で前記原料を搬送するための搬送用スクリューを内部に有するスクリューバレルと、前記スクリューバレルの射出側先端に連結された延長バレルであって、内部に前記搬送用スクリューの射出側先端に連結された心棒を有する延長バレルと、前記延長バレルの射出側先端に連結され、前記延長バレルから押し出された原料を加圧して発泡させて発泡体を得るためのダイとを有し、前記延長バレルは、前記心棒の外周面と前記延長バレルの内周面とにより挟まれた空間において、前記スクリューバレルから搬送された原料を加熱して原料塊にし、かつ前記原料塊を射出方向へ押し出すためのものであることを特徴とする発泡体の製造装置。
(2)前記延長バレルが円筒状である(1)に記載の製造装置。
(3)前記心棒が円柱状である(1)又は(2)に記載の製造装置
(4)前記延長バレルが前記スクリューバレルとの連結部分に断熱のための空気層を有する(1)〜(3)のいずれかに記載の製造装置。
(5)前記延長バレルがプレヒーターを有する(1)〜(4)のいずれかに記載の製造装置。
(6)前記延長バレルが、少なくとも1つの溝を有する(1)〜(5)のいずれかに記載の製造装置。
【0019】
本発明の製造装置は、スクリューバレルとダイとの間に延長バレルを有する。このため、本発明の製造装置であれば、延長バレル内で従来よりも多量の原料の連続、かつ安定した加熱溶融が可能である。さらに、本発明の製造装置では、延長バレル内に原料が搬送されると直ちに溶融が開始されるため、立ち上がり時間を削減でき、原料ロスを少なくできる。このため、本発明の製造装置であれば、発泡体の生産効率を大幅に向上できる。さらに、本発明の製造装置では、延長バレル内で原料塊が形成されるため、原料の加熱溶融に伴い、発生する水蒸気のスクリューバレル側への逆流を防止できる。これにより本発明の製造装置であれば、スクリューバレル内での原料の付着又は粘着もなく、安定した原料の搬送が可能となる。さらに、安定した原料の搬送によってダイの溶融発泡室内の圧力も均一となり、良品質の発泡体が得られるほか、装置の安定した連続稼動も可能となり、操作上の手間も大幅に軽減される。
【0020】
さらに、本発明の製造装置は、延長バレルとダイを合わせた容積を有するため、装置の稼動を停止すると、延長バレル及びダイは速やかに冷却され、延長バレル内及びダイ内に残っている溶融物が焼き付いて炭化するという現象を回避することができる。さらに、冷却することにより、残留ペレットは収縮し、その後は、簡単にとることができ、清掃時における危険も回避できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の製造方法及びその製造装置を、実施例として示した図面に基づいてさらに詳細に説明する。
【0022】
[本発明の製造装置]
本発明の製造装置を図1を用いて以下に説明する。
本発明の製造装置1は、原料の融点より低い温度において、前記原料を射出方向へ搬送するための搬送用スクリュー3を内部に有するスクリューバレル2と、スクリューバレル2の射出側先端に連結され、内部に搬送用スクリュー3の射出側先端に連結された心棒4aを有する延長バレル4と、延長バレル4の射出側先端に連結され、延長バレル4から押し出された原料を射出して発泡させて発泡体を得るためのダイ5とを備えている。
【0023】
スクリューバレル2は、円筒状のシリンダであり、その長さは特に限定されないが、装置の小型化の観点からは、通常の押出機に使用されるバレルよりも長さが短い方が好ましい(例えば、内径が約30〜150mm、長さが200〜600mm)。スクリューバレル2の内径と長さは、後述する搬送用スクリュー3の外径と主モータの大きさに合わせて適宜変更できる。
【0024】
スクリューバレル2は、例えば、ヒーター(図示せず)により原料の融点より低い温度であって、原料ペレットから水蒸気が発生しない程度の温度で予熱しておくこともできる。スクリューバレル2内で原料を予熱しておくことにより、後述するダイ5から射出開始までの立ち上がり時間を短縮できる。
【0025】
搬送用スクリュー3は、その前部のスクリュー部3aをスクリューバレル2内に位置させるとともに、後部のロッド部3bの後端を、インバータ(図示せず)により速度を制御することができる主モータ(図示せず)に連結させることができる。スクリュー部3aは、スクリューバレル2の長さに応じて適宜ピッチや長さを変更できる。また、スクリュー部3aは、スクリュー羽根の形状や数を変更したものを用いることもできる。
【0026】
スクリューバレル2から延長バレル4へ搬送する原料の単位時間当たりの搬送量は、延長バレル4の加熱溶融領域4bの容積、心棒4aの回転速度、ダイ5からの射出量などに応じて適宜決定できる。好ましくは、単位時間当たりの搬送量は、120〜290g/分であり、さらに好ましは230〜270g/分であり、最も好ましくは270g/分程度である。
【0027】
スクリューバレル2の射出側先端には延長バレル4が連結される。本発明の製造装置は、スクリューバレル2から搬送された原料を延長バレル4内で加熱溶融する。延長バレル4は、心棒4aの外周面と延長バレル4の内周面との間に空間(以下「加熱溶融領域」という)4bを有し、この加熱溶融領域4bにおいて、スクリューバレル2から搬送された原料を加熱して原料塊にし、さらにこの原料塊を混練することなく射出方向へ押し出すことができる。加熱溶融領域4bにおいて原料塊が形成されることにより、これまで課題とされていたスクリューバレル2内への水蒸気の逆流を防止できる。また、加熱溶融領域4bにおいて原料塊を混練しない状態で射出方向へ押し出しながら直線的又は段階的な加熱をすることにより、延長バレル4内での急激な溶融を防止し、かつ原料の安定した加熱が可能である。
【0028】
延長バレル4は、その内径がスクリューバレル2の内径と同等以上であることが好ましい。延長バレル4は、延長バレル4内に原料の適度に滞留させて安定した加熱を行うために、その全長は、例えば、50〜220mmの範囲であることが好ましく、75〜150mmの範囲であることがより好ましく、110mm程度であることがさらに好ましい。延長バレル4の形状は、その内径がスクリューバレル2の内径と同等以上に保持できれば、特に限定されない。好ましくはスクリューバレル2の形状と同じく円筒状である。
【0029】
延長バレル4は、その内部に搬送用スクリュー3の射出側先端に連結される心棒4aを有する。心棒4aは、搬送用スクリュー3に連結されるため、搬送用スクリュー3の回転と同一の回転方向及び同一の回転速度で回転させることができる。これにより、延長バレル4内での原料塊の押出速度は、搬送用スクリュー3の延長バレル4内への原料の搬送速度にほぼ一致させることが可能である。このため、延長バレル4内では原料の搬送速度が変化して急激な溶融が発生するのを防止でき、安定した原料の加熱が可能である。さらに、心棒4aは、装置の稼動中に後述するプレヒーター7により加熱された原料及び原料塊からの熱を蓄熱することが可能であり、その結果、加熱溶融領域4bでは、外側のプレヒーター7と内側の心棒4aとの両側から原料(原料塊を含む)を加熱できる。
【0030】
心棒4aは、搬送用スクリュー3と同一方向に同一速度で回転することができるため、回転時の原料との抵抗を少なくする観点からは、円柱状であることが好ましい。さらに心棒4aは、空間4bのための所定の容積を確保する観点から、心棒4aの内径は、搬送用スクリュー3の内径よりも小さい方が好ましく、例えば、搬送用スクリュー3の内径が52mmである場合には、38〜52mmであることが好ましく、45mmであることがさらに好ましい。さらに全長は延長バレル4と同長であることが好ましい。
【0031】
加熱溶融領域4bでは、スクリューバレル2側から順次搬送されてくる原料を加熱し、原料塊を形成し、該原料塊を混練することなく射出方向へ押し出すことができる。加熱溶融領域4bは、原料を安定した状態で加熱できれば、その容積は限定されず、原料の搬送量及び射出量に応じて適宜決定できる。例えば、ノズル9の内径が2.6mmである場合には、加熱溶融領域4bの容積は、85〜376cm3、好ましくは128〜245cm3、さらに好ましくは188cm3程度である。
【0032】
スクリューバレル2側より搬送された原料は、加熱溶融領域4bに入ると直ちに加熱され、溶融が開始され、原料塊を形成できる。形成された原料塊は、その後、スクリューバレル2側より新たに搬送されてくる原料により順次、射出方向へと押し出される。原料塊は、さらに加熱され、次第に原料塊に含まれる水分が沸騰し始め、ダイ5との連結部付近では原料塊の発泡状態にすることができる。その後、原料塊は、ダイ5内の溶融発泡室5aへと移動し、さらに加熱されてノズル9から外部へ一気に射出されて発泡体を形成することができる。
【0033】
なお、本発明の製造装置1では、加熱溶融領域4bとダイ5の溶融発泡室5aの両室において連続した原料の溶融及び原料塊の加熱を行うことができる(両室の容積の合計は190〜233cm3程度)。このため、本発明の製造装置1は、溶融発泡室5aのみを有する従来の製造装置と比べて単位時間当りの生産量を多くできる。
【0034】
図2及び3に示されるように延長バレル4は、その内周面の長手方向に少なくとも一つの溝6を有することが好ましい。延長バレル4の加熱溶融領域4bでは、スクリューバレル2側から搬送された原料が加熱されて原料塊が形成される。この原料塊が心棒4aに付着して心棒4aと一緒に回転してしまうと、原料塊が射出方向へ押し出されずに延長バレル4内に滞留し、順次搬送される原料が延長バレル4内へ押し込まれずに、スクリューバレル2へ逆流してしまう可能性がある。そこで、このような原料塊の滞留及び原料の逆流を防止する目的で溝6が設けられる。
【0035】
溝6は、延長バレル4の内周の長手方向に少なくとも一つ、好ましくは二つ以上設けられる(図2参照)。溝6の長さは、特に限定されないが、好ましくは延長バレル4の全長の1/4以上の長さであり、さらに好ましくは、1/2以上の長さであり、最も好ましくは延長バレル4の全長と同一の長さである。溝6の幅は、原料が溝内に残留せず、かつ原料塊の延長バレル4内での滞留を防止するために、5〜10mm程度であることが好ましい。また溝6の深さは、2〜5mm程度であることが好ましい。
【0036】
延長バレル4は、その外周側に原料及び原料塊を加熱するためのプレヒーター7を備えている。プレヒーター7は、延長バレル4全体が段階的に加熱できるよう、延長バレル4の外周に設けられることが好ましく、スクリューバレル2から搬送された原料が加熱溶融領域4bで水蒸気を発生させないようにするために、スクリューバレル2側よりできるだけ遠い位置に設けられることが好ましい。プレヒーター7の温度は、延長バレル4内の加熱溶融領域4bで原料を段階的に溶融し、かつ原料塊を加熱沸騰できるようにするため、160〜200℃の範囲であることが好ましく、170〜180℃の範囲であることがさらに好ましく、180℃程度であることが最も好ましい。
【0037】
延長バレル4は、スクリューバレル2との連結部分に空気層8を有すること好ましい(図2参照)。空気層8は、加熱された延長バレル4の熱がスクリューバレル2側に熱伝導されるのを防止するための断熱層として機能することができる。さらに、空気層8を設けることにより延長バレル4とスクリューバレル2との連結部の外周に設けられたフランジ全体が放熱ファンとしての役割を果たすため、延長バレル4からスクリューバレル2への熱伝導を有効に阻止できる。その結果、スクリューバレル2内の温度を常に原料の融点より低い温度に維持できるため、スクリューバレル2内で原料が溶融発泡することはない。
【0038】
ダイ5は、延長バレル4の射出方向の先端に連結される。ダイ5には原料塊をダイ5側から外部へ射出するための射出ノズル9が設けられている。ダイ5では、スクリュー3によって連続的に搬送される原料ペレットにより原料塊が押し込まれる圧力と、延長バレル後端で沸騰を始めた水蒸気の圧力とにより加圧が行われる。ダイ5における加圧は、加熱した状態で行うことが好ましい。ダイ5の外周には、好ましくはヒーター10が設置され、このヒーター10によりダイ5の溶融発泡室5aで原料をさらに加熱できる。加圧及び加熱された原料塊は、ダイ5の射出ノズル9から外部へ連続的に一気に射出され、発泡体11(図3参照)が得られる。
【0039】
ヒーター10は、ダイ5に取付け可能とされ、前記原料を射出寸前に延長バレル4よりも高温で加熱することが好ましい。ヒーター10は、装置の稼動中にダイ5の温度が220℃を超えることがないよう常時ON/OFF制御され得る。さらに、カートリッジヒーター(図示せず)をダイ5近傍に埋込めば、精密な温度制御が可能となるためさらに好ましい。
【0040】
本発明の製造装置1は、さらに原料供給用シリンダ12や切断機13を設けることもできる。
原料供給用シリンダ12は、原料をスクリューバレル2内に供給するためのシリンダであり、スクリューバレル2の射出方向とは反対側の上部に設けられる。原料供給シリンダ12は、例えば、対角90mm程度の長さ200〜300mmのシリンダとすることができ、スクリューバレル2から逆流する熱気をシリンダ中間部に設けられた開口部14から放出することにより、この熱気が長時間稼働において原料供給用スクリュウに悪作用を及ぼすことを回避することができる。さらに、原料供給用シリンダ12の上部にはファンモータなどの駆動装置を取付けることもできる。
【0041】
原料供給用シリンダ12からスクリューバレル2内への原料の供給は、例えば、原料供給用シリンダ12の側面に連結した押出スクリュー(図示せず)を介して供給用シリンダ12内に原料が搬送され、次いで原料供給用シリンダ12からスクリューバレル2内に原料を供給することができる。原料供給用シリンダ12からスクリューバレル2内への原料の供給をファンモータなどの駆動装置を用いて気体を給気しながら行えば、スクリューバレル2に外気を供給することで、スクリューバレル2の温度が上昇して、原料ペレットが溶融し稼働を困難にする等の不測の事故を防ぐことができる。
【0042】
切断機13は、ダイ5の射出ノズル9から射出された発泡体11を切断するためのものであり、発泡体11をペレット状に切断するペレタイザとすることができる。
【0043】
その他、本発明の製造装置1は、通常の押出装置に装備されている装置を適宜有することもできる。
【0044】
[本発明の製造方法]
次に、本発明の製造方法について適宜図面を参照しながら説明する。
本発明の発泡体の製造方法は、澱粉、澱粉部分加水分解物及び澱粉完全加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種と水とを含む原料を加熱下に射出して発泡させることにより発泡体を得る。
【0045】
ここで、本明細書における「澱粉部分加水分解物」とは、澱粉全体のうちの一部分が加水分解されたものを意味し、長鎖状の澱粉(アミロース及び/又はアミロペクチン)と加水分解され比較的短鎖状となった成分の双方が含まれる。また、本明細書における「澱粉完全加水分解物」とは、澱粉が完全に加水分解された成分を含むが、澱粉自体は含まれないものを意味する。これらのうち加水分解による生じる成分の分子量は、使用する澱粉の種類、加水分解の割合などにより適宜決定される。
【0046】
本発明の製造方法で用いられる澱粉としては、例えば、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、豆澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉等の各種の澱粉が挙げられる。また、前記澱粉の含水量は、射出発泡する際のバレル内における原料の糊化を適度に低く抑える必要があるため、好ましくは10〜30%、より好ましくは12〜22%、最も好ましくは14〜19%にすることができる
【0047】
また、前記原料は、必要に応じてポリビニルアルコール、気泡調整剤、補助添加物、サリチル酸などの防腐剤等を混合したものとすることができる。例えば、ポリビニルアルコールは、0〜20質量%の含有量の範囲で混合することができる。また、気泡調整剤としては、炭酸カルシウム、卵殻粉、貝殻粉、タルクから選択することができ、その含有量は0〜2質量%の範囲とすることができる。さらに、補助添加物としては、植物性油脂、グルテン、大豆タンパク質、乾燥卵白、ポテトパルプ、木粉、古紙粉末、パルプ、小麦、コーンファイバーから適宜選択することができ、その含有量は0〜10質量%の範囲とすることができる。これらの補助添加物を発泡体に混合すると、製造される発泡体の耐水性や剛性を向上させることができる。
【0048】
本発明の製造方法は、原料の融点より低い温度において、前記原料を射出方向へ搬送する搬送工程と、前記搬送された原料を加熱して、原料塊にし、該原料塊を混練することなく射出方向へ押し出す溶融工程と、前記押し出された原料塊を射出して発泡体を得る射出工程とを有する。
以下、搬送工程、溶融工程及び射出工程の順に説明する。
【0049】
搬送工程では、原料の融点より低い温度において、原料を射出方向へ搬送する。搬送工程では、原料を射出方向へ搬送できれば特に制限はない。搬送工程では溶融工程への搬送が行われる。原料の搬送は、例えば、搬送用スクリュー3のスクリュー部3aにより行われ、搬送用スクリュー3を一定方向に回転させることにより射出方向へ原料を連続的に搬送することができる。
【0050】
溶融工程では、前記搬送工程から搬送された原料を加熱して、原料を原料塊にし、該原料塊を混練することなく射出方向へ押し出す。本発明の溶融工程は、例えば、本発明の製造装置における延長バレル4において行うことができる。
原料の射出方向への押し出しは、搬送工程からの原料の搬送に伴う押込力により行われ、例えば、本発明の製造装置における搬送用スクリュー3の押込力により行うことができる。
【0051】
原料の加熱は、例えば、本発明の製造装置におけるプレヒーター7などを用いて行うことができる。加熱温度は、溶融工程で原料を原料塊とすることができ、かつ原料及び原料塊が炭化しない温度であることが望ましく、通常、160〜200℃であることが適当であり、170〜180℃であることが好ましく、175〜180℃であることがさらに好ましい。
溶融工程における温度分布は、搬送工程側から射出工程側へ向かって、連続的又は段階的に変化することが望ましい。例えば、溶融工程における加熱温度を上記の160〜200℃とした場合、搬送工程側が160℃であり射出方向へ向かって昇温し、射出工程側では180℃と連続的又は段階的に変化することができる。
【0052】
本発明の製造方法の溶融工程における原料の流れを図3に示す。図3に示されるように、溶融工程において、搬送工程から搬送された原料は、プレヒーター7の加熱により直ちに溶融を開始し、原料塊20を形成する。原料塊20は、溶融状態の原料であり、原料よりも高密度化しており、いわば気密性の高い蓋として役割を果たす。このため、溶融工程で発生する水蒸気は、原料塊によって搬送工程側(スクリューバレル側)へ逆流するのを防止できる。これにより搬送工程内における搬送量と押込力とを一定に維持することができる。また、発生する水蒸気を射出工程へ原料塊と共に押し出すことができるため、射出工程での圧力を高めることができる。
【0053】
原料塊20は、順次、溶融工程に搬送される原料の押込力により徐々に射出方向へと押し込まれる。原料塊20は、臨界点を超えた温度になると発泡を開始し、水蒸気を発生する。発泡を開始した原料塊は、さらに射出方向へと押し出され、射出工程へと移動する。この際、発生した水蒸気は、上述のように原料塊20が形成されることにより搬送工程側へ逆流せず、常に射出方向へ排出される。
【0054】
次に射出工程について説明する。射出工程では、溶融工程から押し出された原料塊を加圧し、射出ノズルから外部へ一気に射出して発泡体を得ることができる。射出工程における加圧は、例えば、本発明の製造装置における延長バレル4の押出力により行うことができる。また、射出工程では、原料塊をより発泡させるために、加熱して行うことが好ましい。加熱は、例えば、本発明の製造装置のダイ5の外周に設けられたヒーター10を用いて行われる。温度の制御のしやすさを考慮すると、例えば、カートリッジヒーターなどを用いて、ダイ5の射出ノズル近傍を加熱することが望ましい。
【0055】
射出工程における原料の加圧条件及び加熱条件は、発泡体の原料や発泡効率を考慮して適宜決定することができる。加熱時間は、加熱温度に応じて適宜決定することができ、例えば、220℃の加熱温度では、加熱時間は10〜20秒であるが好ましく、12〜16秒であることがより好ましく、13〜14秒であることが最も好ましい。また、加圧条件は、例えば、0.8〜2.5MPaであることが好ましく、1〜2MPaであることがさらに好ましい。
【0056】
射出工程後の発泡体11はそのまま使用することもでき、また商品の箱詰め時に適当な大きさに切断して使用することも可能である。また、切断機13などを用いて所望の大きさに発泡体を切断することもできる。射出速度と発泡体の大きさ及び形状は、製造される発泡体の機能及び用途に合わせて適宜決定される。
【0057】
本発明の製造方法及び製造装置は、各種商品の箱詰めなど各種の用途に使用できる発泡体を得るために好適に用いることができる。
【0058】
【実施例】
本発明の製造装置と従来の製造装置(特許文献1に記載の装置)搬送量、生産量、原料ロス率及び得られた発泡体の比重を同一条件下で比較した。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1より本発明の製造装置は、従来の製造装置よりも1分当りに2.25倍の原料を搬送することができる。また、本発明の製造装置における生産量は、従来の製造装置の2.5倍であり、ロス率も従来の製造装置の約1/4と生産効率が優れていることが分かる。また、製造される発泡体も本発明の製造装置では軽くて良質のものが得られた。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の製造方法は、搬送工程と射出工程との間に溶融工程を有する。この構成を有することにより、本発明であれば、従来の射出工程における原料の急激な溶融を起こすことなく、原料を射出でき、かつ高品質の発泡体を得ることができる。また、本発明の製造方法であれば、溶融工程において原料塊が形成されるため、押し出し途中で原料塊から発生する水蒸気の逆流を防ぎ、搬送工程における原料の付着・粘着を防止することができる。
【0062】
また、本発明の製造装置は、スクリューバレルとダイとの間に延長バレルを有する。この構成により、本発明の製造装置であれば、延長バレル及びダイ内において一度に多量の原料の加熱溶融が可能である。さらに、本発明の製造装置では、延長バレル内に原料が搬送されると直ちに溶融が開始されるため、立ち上がり時間を削減でき、原料ロスを少なくすることができる。このため、本発明の製造装置であれば、発泡体の生産効率を大幅に向上することができる。
【0063】
さらに、本発明の製造装置では、延長バレル内において原料塊が形成されるため、原料の加熱溶融に伴い発生する水蒸気のスクリューバレル側への逆流を防止できる。これにより本発明の製造装置であれば、スクリューバレル側での原料の付着・粘着もなく、安定した原料の搬送が可能となるため、ダイの溶融発泡室内の圧力も均一となり、良品質の発泡体が得られるほか、装置の安定した連続稼動が可能であり、かつ操作上の手間も大幅に軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造装置の断面概略図である。
【図2】本発明の製造装置のI−I面における背面図である。
【図3】本発明の溶融工程における原料の流れを説明するための説明図である。
【図4】従来の製造装置の断面概略図である。
【符号の説明】
1 本発明の製造装置
2 スクリューバレル
3 搬送用スクリュー
3a スクリュー部
3b ロッド部
4 延長バレル
4a 心棒
4b 加熱溶融領域
5 ダイ
6 溝
7 プレヒーター
8 空気層
9 射出ノズル
10 ヒーター
11 発泡体
12 原料供給用シリンダ
13 切断機
14 開口部
20 原料塊
41 ペレット供給用フィーダー
42 スクリューバレル
43 ペレット供給用スクリュー
44 ダイ
45 溶融発泡室
46 バンドヒーター
47 射出ノズル
【発明の属する技術分野】
本発明は、商品の箱詰めなど各種の用途に使用することのできる発泡体の製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、発泡体としては発泡ポリスチロールが広く使用されてきた。しかし、この発泡ポリスチロールは、廃棄処分のため焼却すると高熱を発するため、焼却炉を損傷させるという問題や、焼却しない場合には非分解性であるため、埋立地を確保しなければならないという問題を有していた。そこで、最近ではこのような問題の少ない澱粉を主成分とした原料を用いた発泡体が上記発泡ポリスチロールの代替品として開発され使用されている。
【0003】
上記澱粉を主成分とした発泡体の製造方法及び製造装置として、従来、特許文献1に記載の方法及び装置が知られている。以下、図4を参考にしながら、従来の製造方法及び装置を説明する。
【0004】
図4に示されるように、澱粉を主成分とする原料ペレットは、ペレット供給フィーダー41からスクリューバレル42内に供給され、ペレット供給用スクリュー43の回転によって連続的にバレル先端に取付けた発泡用のダイ44の空間(以下、「溶融発泡室45」という)に押し込まれる。ダイ44は、ダイ取付用フランジの外側に取り付けられたバンドヒーター46により通常220℃前後まで加熱される。溶融発泡室45内に押し込まれた原料ペレットは、加熱されたダイ44に接触することにより溶融を始め、さらに加熱されることにより原料ペレット中に含まれていた水分が水蒸気化し、沸騰することでダイ44の先端に設けられている射出ノズル47より膨張発泡し、発泡体を得ることができる。
【0005】
前記製造装置において、ダイ44は、ペレット供給用スクリュー43から押し出される原料ペレットを220℃前後のバンドヒーター46で外側から加熱し、原料ペレットの溶融及び含有水分の蒸気化に必要な160〜180℃にする必要がある。さらにダイ44は、装置を小型化しつつ、発泡までの立ち上がり時間を短くし、かつ必要な発泡体の生産量を満足させる必要がある。さらに、ダイ44の射出ノズル47の口径を2.2mm以下とすれば原料ペレットが装置内部で詰まってしまい、3.3mm以上とすれば耐荷重性に欠け、緩衝材として発泡体を使用できない。
このような理由から、従来の製造装置ではダイの射出ノズル47の口径は2.6mm程度が最適とされ、その結果、ダイ44の溶融発泡室45の大きさ及び体積も自ずと限定され、内径65mm、体積45ml程度とされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の製造装置において、生産量をさらに増加させるためには、単位時間当たりの原料ペレットの供給量を増加させる必要がある。しかしながら、従来のダイ44内の溶融発泡室45の容積は上記のとおり45ml程度であるため、一度に多量の原料ペレットを供給すると、溶融速度が追いつかず、ダイ44の射出ノズル47が詰まり、原料ペレットがスクリューバレル42側に逆流して装置が稼動しなくなってしまうという問題があった。さらに、従来の溶融発泡室45では原料ペレットを溶融するための充分なスペースを確保できなかったため、不充分な溶融状態のまま原料ペレットの沸騰が開始され、その結果、発泡むらのある発泡体となり、発泡体の品質が低下するという問題があった。
【0007】
また、従来の製造装置では、装置を稼動させても直ちに原料ペレットの溶融及び沸騰が始まらないため、ダイ44の射出ノズル47から原料ペレットを射出させるために、原料ペレットを少量ずつ溶融発泡室45内に搬送して原料ペレットを溶融させ、溶融発泡室45内の圧力を充分高める必要があった。しかし、射出開始までには約15分程度の時間(立ち上がり時間)を要していたため、この間に消費される原料ペレットはロスになるという問題があった。
【0008】
また、従来の製造装置では、搬送された原料ペレットをダイ44の溶融発泡室45内で加熱溶融させる必要があった。しかるに、溶融発泡室45内で原料ペレットの急激な加熱溶融が行われると、発泡に使用されない水蒸気が多く発生する。この水蒸気は、ダイ44の射出ノズル47から放出されずにスクリューバレル42側に逆流し、その水蒸気熱により新たに搬送されてくる原料ペレットを溶融してしまう。その結果、従来の製造装置では溶融した原料ペレットがペレット供給用スクリュー43やペレット投入口に付着又は粘着し、安定した装置の稼動を著しく阻害してしまうという問題があった。さらに、発生した水蒸気がスクリューバレル42側へ逆流すると、溶融発泡室45内の圧力が非常に不安定になり、品質の悪い不均一な発泡体が生成されてしまうばかりではなく、装置の安定した連続稼働を妨げる原因にもなっていた。
【0009】
さらに、原料ペレット中に含まれる水分が水蒸気としてスクリューバレル42側に逆流してしまうと、発泡体の組成に必要な水分が水蒸気として流出してしまうことから、発泡体が乾燥して弾力性を失い、その結果、得られる発泡体は著しく不安定であり、かつ簡単に粉砕・粉化されてしまうため、緩衝材として機能し得なくなるという問題があった。
【0010】
また、従来の製造装置は、図4に示されるように、ダイ44がフランジによってスクリューバレル42に極めて近い位置に直接連結される構造を有する。このため、稼働時間が嵩むと、熱伝導によりスクリューバレル42及びペレット供給スクリュー43もダイ44と同程度の温度まで加熱され、搬送途中の原料ペレットが途中で溶融してしまい、上記同様、安定した品質の発泡体の提供と、安定した装置の連続稼動が困難になるという問題があった。
【0011】
安定した装置の連続稼動における上記問題を解決するために、従来は操作員が製造された発泡体の状態を確認しながら、常時原料ペレットの搬送量を調節していた。さらに装置内で原料の付着又は粘着が生じた場合には、これを手動で取り除く作業が行われていた。しかし、これらの作業は、操作員が常時装置を監視する必要があり、労力を要するほか、大変煩わしいものであった。また、原料ペレットの含水量不足による発泡体の粉化の問題に対しては、不足水分を補うために、発泡体を成形した後に再加湿をする等の方法がとられていた。
【0012】
その一方で、従来の装置ではダイの溶融発泡室の容量が小さく熱伝導を受け易かったため、製造装置を停止すると原料残留物が急速に炭化し、焼き付きを起こしてしまう。これを防止するために、操作員は装置を停止した後、速やかにダイを取り外して溶融発泡室の残留物を取り除く必要があった。しかしながら、この作業は高温加圧された溶融発泡室を解放する必要があったため、解放と同時に沸騰蒸気が一気に噴出し、大変危険な作業であった。さらに、機械的にはスクリューバレル42とペレット供給用スクリュー43が恒常的に高温高圧状態にさらされるため腐食が激しく、機械の主要部品である高価な部品を頻繁に交換する必要があった。
【0013】
【特許文献1】
特許第2722056号公報(請求項2、第2頁[0013]〜第3頁[0019]、図1〜図6)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の製造装置における種々の問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、原料ペレットの溶融物から発生する水蒸気が原料供給側へ逆流することなく、かつ粉化し難い均一な品質を有する発泡体を効率よく得ることができる発泡体の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために原料の溶融方法に着目して鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明の目的は、以下の製造方法により達成される。
(1)澱粉、澱粉部分加水分解物及び澱粉完全加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種と水とを含む原料を加熱下に射出して発泡させることにより発泡体を得る発泡体の製造方法であって、原料の融点より低い温度で前記原料を射出方向へ搬送する搬送工程と、前記搬送された原料を加熱して原料を原料塊にし、該原料塊を射出方向へ押し出す溶融工程と、前記押し出された原料塊を射出して発泡体を得る射出工程とを有することを特徴とする前記方法。
(2)前記溶融工程における加熱温度が160〜180℃である(1)に記載の方法。
【0017】
本発明の製造方法では、原料の加熱溶融をダイの溶融発泡室ではなく、溶融工程で行うため、安定した加熱溶融が可能であり、その結果、従来の射出工程で問題となっていた原料の急激な溶融もなく原料を射出でき、かつ高品質の発泡体を得ることができる。また、本発明の製造方法は、溶融工程において原料塊が形成されるため、原料から発生する水蒸気の搬送工程側への逆流を防ぎ、搬送工程における原料の付着又は粘着を防止することができる。また、本発明の製造方法では、高温高圧に接する部分の材料として極めて安価な鉄材を用いることができるため、前記部分の交換が容易になるメリットがある。
【0018】
また、本発明のもう一つの目的は、以下の製造装置により達成される。
(1)澱粉、澱粉部分加水分解物及び澱粉完全加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種と水とを含む原料を加熱下に射出して発泡させることにより発泡体を得る発泡体の製造装置であって、原料の融点より低い温度で前記原料を搬送するための搬送用スクリューを内部に有するスクリューバレルと、前記スクリューバレルの射出側先端に連結された延長バレルであって、内部に前記搬送用スクリューの射出側先端に連結された心棒を有する延長バレルと、前記延長バレルの射出側先端に連結され、前記延長バレルから押し出された原料を加圧して発泡させて発泡体を得るためのダイとを有し、前記延長バレルは、前記心棒の外周面と前記延長バレルの内周面とにより挟まれた空間において、前記スクリューバレルから搬送された原料を加熱して原料塊にし、かつ前記原料塊を射出方向へ押し出すためのものであることを特徴とする発泡体の製造装置。
(2)前記延長バレルが円筒状である(1)に記載の製造装置。
(3)前記心棒が円柱状である(1)又は(2)に記載の製造装置
(4)前記延長バレルが前記スクリューバレルとの連結部分に断熱のための空気層を有する(1)〜(3)のいずれかに記載の製造装置。
(5)前記延長バレルがプレヒーターを有する(1)〜(4)のいずれかに記載の製造装置。
(6)前記延長バレルが、少なくとも1つの溝を有する(1)〜(5)のいずれかに記載の製造装置。
【0019】
本発明の製造装置は、スクリューバレルとダイとの間に延長バレルを有する。このため、本発明の製造装置であれば、延長バレル内で従来よりも多量の原料の連続、かつ安定した加熱溶融が可能である。さらに、本発明の製造装置では、延長バレル内に原料が搬送されると直ちに溶融が開始されるため、立ち上がり時間を削減でき、原料ロスを少なくできる。このため、本発明の製造装置であれば、発泡体の生産効率を大幅に向上できる。さらに、本発明の製造装置では、延長バレル内で原料塊が形成されるため、原料の加熱溶融に伴い、発生する水蒸気のスクリューバレル側への逆流を防止できる。これにより本発明の製造装置であれば、スクリューバレル内での原料の付着又は粘着もなく、安定した原料の搬送が可能となる。さらに、安定した原料の搬送によってダイの溶融発泡室内の圧力も均一となり、良品質の発泡体が得られるほか、装置の安定した連続稼動も可能となり、操作上の手間も大幅に軽減される。
【0020】
さらに、本発明の製造装置は、延長バレルとダイを合わせた容積を有するため、装置の稼動を停止すると、延長バレル及びダイは速やかに冷却され、延長バレル内及びダイ内に残っている溶融物が焼き付いて炭化するという現象を回避することができる。さらに、冷却することにより、残留ペレットは収縮し、その後は、簡単にとることができ、清掃時における危険も回避できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の製造方法及びその製造装置を、実施例として示した図面に基づいてさらに詳細に説明する。
【0022】
[本発明の製造装置]
本発明の製造装置を図1を用いて以下に説明する。
本発明の製造装置1は、原料の融点より低い温度において、前記原料を射出方向へ搬送するための搬送用スクリュー3を内部に有するスクリューバレル2と、スクリューバレル2の射出側先端に連結され、内部に搬送用スクリュー3の射出側先端に連結された心棒4aを有する延長バレル4と、延長バレル4の射出側先端に連結され、延長バレル4から押し出された原料を射出して発泡させて発泡体を得るためのダイ5とを備えている。
【0023】
スクリューバレル2は、円筒状のシリンダであり、その長さは特に限定されないが、装置の小型化の観点からは、通常の押出機に使用されるバレルよりも長さが短い方が好ましい(例えば、内径が約30〜150mm、長さが200〜600mm)。スクリューバレル2の内径と長さは、後述する搬送用スクリュー3の外径と主モータの大きさに合わせて適宜変更できる。
【0024】
スクリューバレル2は、例えば、ヒーター(図示せず)により原料の融点より低い温度であって、原料ペレットから水蒸気が発生しない程度の温度で予熱しておくこともできる。スクリューバレル2内で原料を予熱しておくことにより、後述するダイ5から射出開始までの立ち上がり時間を短縮できる。
【0025】
搬送用スクリュー3は、その前部のスクリュー部3aをスクリューバレル2内に位置させるとともに、後部のロッド部3bの後端を、インバータ(図示せず)により速度を制御することができる主モータ(図示せず)に連結させることができる。スクリュー部3aは、スクリューバレル2の長さに応じて適宜ピッチや長さを変更できる。また、スクリュー部3aは、スクリュー羽根の形状や数を変更したものを用いることもできる。
【0026】
スクリューバレル2から延長バレル4へ搬送する原料の単位時間当たりの搬送量は、延長バレル4の加熱溶融領域4bの容積、心棒4aの回転速度、ダイ5からの射出量などに応じて適宜決定できる。好ましくは、単位時間当たりの搬送量は、120〜290g/分であり、さらに好ましは230〜270g/分であり、最も好ましくは270g/分程度である。
【0027】
スクリューバレル2の射出側先端には延長バレル4が連結される。本発明の製造装置は、スクリューバレル2から搬送された原料を延長バレル4内で加熱溶融する。延長バレル4は、心棒4aの外周面と延長バレル4の内周面との間に空間(以下「加熱溶融領域」という)4bを有し、この加熱溶融領域4bにおいて、スクリューバレル2から搬送された原料を加熱して原料塊にし、さらにこの原料塊を混練することなく射出方向へ押し出すことができる。加熱溶融領域4bにおいて原料塊が形成されることにより、これまで課題とされていたスクリューバレル2内への水蒸気の逆流を防止できる。また、加熱溶融領域4bにおいて原料塊を混練しない状態で射出方向へ押し出しながら直線的又は段階的な加熱をすることにより、延長バレル4内での急激な溶融を防止し、かつ原料の安定した加熱が可能である。
【0028】
延長バレル4は、その内径がスクリューバレル2の内径と同等以上であることが好ましい。延長バレル4は、延長バレル4内に原料の適度に滞留させて安定した加熱を行うために、その全長は、例えば、50〜220mmの範囲であることが好ましく、75〜150mmの範囲であることがより好ましく、110mm程度であることがさらに好ましい。延長バレル4の形状は、その内径がスクリューバレル2の内径と同等以上に保持できれば、特に限定されない。好ましくはスクリューバレル2の形状と同じく円筒状である。
【0029】
延長バレル4は、その内部に搬送用スクリュー3の射出側先端に連結される心棒4aを有する。心棒4aは、搬送用スクリュー3に連結されるため、搬送用スクリュー3の回転と同一の回転方向及び同一の回転速度で回転させることができる。これにより、延長バレル4内での原料塊の押出速度は、搬送用スクリュー3の延長バレル4内への原料の搬送速度にほぼ一致させることが可能である。このため、延長バレル4内では原料の搬送速度が変化して急激な溶融が発生するのを防止でき、安定した原料の加熱が可能である。さらに、心棒4aは、装置の稼動中に後述するプレヒーター7により加熱された原料及び原料塊からの熱を蓄熱することが可能であり、その結果、加熱溶融領域4bでは、外側のプレヒーター7と内側の心棒4aとの両側から原料(原料塊を含む)を加熱できる。
【0030】
心棒4aは、搬送用スクリュー3と同一方向に同一速度で回転することができるため、回転時の原料との抵抗を少なくする観点からは、円柱状であることが好ましい。さらに心棒4aは、空間4bのための所定の容積を確保する観点から、心棒4aの内径は、搬送用スクリュー3の内径よりも小さい方が好ましく、例えば、搬送用スクリュー3の内径が52mmである場合には、38〜52mmであることが好ましく、45mmであることがさらに好ましい。さらに全長は延長バレル4と同長であることが好ましい。
【0031】
加熱溶融領域4bでは、スクリューバレル2側から順次搬送されてくる原料を加熱し、原料塊を形成し、該原料塊を混練することなく射出方向へ押し出すことができる。加熱溶融領域4bは、原料を安定した状態で加熱できれば、その容積は限定されず、原料の搬送量及び射出量に応じて適宜決定できる。例えば、ノズル9の内径が2.6mmである場合には、加熱溶融領域4bの容積は、85〜376cm3、好ましくは128〜245cm3、さらに好ましくは188cm3程度である。
【0032】
スクリューバレル2側より搬送された原料は、加熱溶融領域4bに入ると直ちに加熱され、溶融が開始され、原料塊を形成できる。形成された原料塊は、その後、スクリューバレル2側より新たに搬送されてくる原料により順次、射出方向へと押し出される。原料塊は、さらに加熱され、次第に原料塊に含まれる水分が沸騰し始め、ダイ5との連結部付近では原料塊の発泡状態にすることができる。その後、原料塊は、ダイ5内の溶融発泡室5aへと移動し、さらに加熱されてノズル9から外部へ一気に射出されて発泡体を形成することができる。
【0033】
なお、本発明の製造装置1では、加熱溶融領域4bとダイ5の溶融発泡室5aの両室において連続した原料の溶融及び原料塊の加熱を行うことができる(両室の容積の合計は190〜233cm3程度)。このため、本発明の製造装置1は、溶融発泡室5aのみを有する従来の製造装置と比べて単位時間当りの生産量を多くできる。
【0034】
図2及び3に示されるように延長バレル4は、その内周面の長手方向に少なくとも一つの溝6を有することが好ましい。延長バレル4の加熱溶融領域4bでは、スクリューバレル2側から搬送された原料が加熱されて原料塊が形成される。この原料塊が心棒4aに付着して心棒4aと一緒に回転してしまうと、原料塊が射出方向へ押し出されずに延長バレル4内に滞留し、順次搬送される原料が延長バレル4内へ押し込まれずに、スクリューバレル2へ逆流してしまう可能性がある。そこで、このような原料塊の滞留及び原料の逆流を防止する目的で溝6が設けられる。
【0035】
溝6は、延長バレル4の内周の長手方向に少なくとも一つ、好ましくは二つ以上設けられる(図2参照)。溝6の長さは、特に限定されないが、好ましくは延長バレル4の全長の1/4以上の長さであり、さらに好ましくは、1/2以上の長さであり、最も好ましくは延長バレル4の全長と同一の長さである。溝6の幅は、原料が溝内に残留せず、かつ原料塊の延長バレル4内での滞留を防止するために、5〜10mm程度であることが好ましい。また溝6の深さは、2〜5mm程度であることが好ましい。
【0036】
延長バレル4は、その外周側に原料及び原料塊を加熱するためのプレヒーター7を備えている。プレヒーター7は、延長バレル4全体が段階的に加熱できるよう、延長バレル4の外周に設けられることが好ましく、スクリューバレル2から搬送された原料が加熱溶融領域4bで水蒸気を発生させないようにするために、スクリューバレル2側よりできるだけ遠い位置に設けられることが好ましい。プレヒーター7の温度は、延長バレル4内の加熱溶融領域4bで原料を段階的に溶融し、かつ原料塊を加熱沸騰できるようにするため、160〜200℃の範囲であることが好ましく、170〜180℃の範囲であることがさらに好ましく、180℃程度であることが最も好ましい。
【0037】
延長バレル4は、スクリューバレル2との連結部分に空気層8を有すること好ましい(図2参照)。空気層8は、加熱された延長バレル4の熱がスクリューバレル2側に熱伝導されるのを防止するための断熱層として機能することができる。さらに、空気層8を設けることにより延長バレル4とスクリューバレル2との連結部の外周に設けられたフランジ全体が放熱ファンとしての役割を果たすため、延長バレル4からスクリューバレル2への熱伝導を有効に阻止できる。その結果、スクリューバレル2内の温度を常に原料の融点より低い温度に維持できるため、スクリューバレル2内で原料が溶融発泡することはない。
【0038】
ダイ5は、延長バレル4の射出方向の先端に連結される。ダイ5には原料塊をダイ5側から外部へ射出するための射出ノズル9が設けられている。ダイ5では、スクリュー3によって連続的に搬送される原料ペレットにより原料塊が押し込まれる圧力と、延長バレル後端で沸騰を始めた水蒸気の圧力とにより加圧が行われる。ダイ5における加圧は、加熱した状態で行うことが好ましい。ダイ5の外周には、好ましくはヒーター10が設置され、このヒーター10によりダイ5の溶融発泡室5aで原料をさらに加熱できる。加圧及び加熱された原料塊は、ダイ5の射出ノズル9から外部へ連続的に一気に射出され、発泡体11(図3参照)が得られる。
【0039】
ヒーター10は、ダイ5に取付け可能とされ、前記原料を射出寸前に延長バレル4よりも高温で加熱することが好ましい。ヒーター10は、装置の稼動中にダイ5の温度が220℃を超えることがないよう常時ON/OFF制御され得る。さらに、カートリッジヒーター(図示せず)をダイ5近傍に埋込めば、精密な温度制御が可能となるためさらに好ましい。
【0040】
本発明の製造装置1は、さらに原料供給用シリンダ12や切断機13を設けることもできる。
原料供給用シリンダ12は、原料をスクリューバレル2内に供給するためのシリンダであり、スクリューバレル2の射出方向とは反対側の上部に設けられる。原料供給シリンダ12は、例えば、対角90mm程度の長さ200〜300mmのシリンダとすることができ、スクリューバレル2から逆流する熱気をシリンダ中間部に設けられた開口部14から放出することにより、この熱気が長時間稼働において原料供給用スクリュウに悪作用を及ぼすことを回避することができる。さらに、原料供給用シリンダ12の上部にはファンモータなどの駆動装置を取付けることもできる。
【0041】
原料供給用シリンダ12からスクリューバレル2内への原料の供給は、例えば、原料供給用シリンダ12の側面に連結した押出スクリュー(図示せず)を介して供給用シリンダ12内に原料が搬送され、次いで原料供給用シリンダ12からスクリューバレル2内に原料を供給することができる。原料供給用シリンダ12からスクリューバレル2内への原料の供給をファンモータなどの駆動装置を用いて気体を給気しながら行えば、スクリューバレル2に外気を供給することで、スクリューバレル2の温度が上昇して、原料ペレットが溶融し稼働を困難にする等の不測の事故を防ぐことができる。
【0042】
切断機13は、ダイ5の射出ノズル9から射出された発泡体11を切断するためのものであり、発泡体11をペレット状に切断するペレタイザとすることができる。
【0043】
その他、本発明の製造装置1は、通常の押出装置に装備されている装置を適宜有することもできる。
【0044】
[本発明の製造方法]
次に、本発明の製造方法について適宜図面を参照しながら説明する。
本発明の発泡体の製造方法は、澱粉、澱粉部分加水分解物及び澱粉完全加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種と水とを含む原料を加熱下に射出して発泡させることにより発泡体を得る。
【0045】
ここで、本明細書における「澱粉部分加水分解物」とは、澱粉全体のうちの一部分が加水分解されたものを意味し、長鎖状の澱粉(アミロース及び/又はアミロペクチン)と加水分解され比較的短鎖状となった成分の双方が含まれる。また、本明細書における「澱粉完全加水分解物」とは、澱粉が完全に加水分解された成分を含むが、澱粉自体は含まれないものを意味する。これらのうち加水分解による生じる成分の分子量は、使用する澱粉の種類、加水分解の割合などにより適宜決定される。
【0046】
本発明の製造方法で用いられる澱粉としては、例えば、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、豆澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉等の各種の澱粉が挙げられる。また、前記澱粉の含水量は、射出発泡する際のバレル内における原料の糊化を適度に低く抑える必要があるため、好ましくは10〜30%、より好ましくは12〜22%、最も好ましくは14〜19%にすることができる
【0047】
また、前記原料は、必要に応じてポリビニルアルコール、気泡調整剤、補助添加物、サリチル酸などの防腐剤等を混合したものとすることができる。例えば、ポリビニルアルコールは、0〜20質量%の含有量の範囲で混合することができる。また、気泡調整剤としては、炭酸カルシウム、卵殻粉、貝殻粉、タルクから選択することができ、その含有量は0〜2質量%の範囲とすることができる。さらに、補助添加物としては、植物性油脂、グルテン、大豆タンパク質、乾燥卵白、ポテトパルプ、木粉、古紙粉末、パルプ、小麦、コーンファイバーから適宜選択することができ、その含有量は0〜10質量%の範囲とすることができる。これらの補助添加物を発泡体に混合すると、製造される発泡体の耐水性や剛性を向上させることができる。
【0048】
本発明の製造方法は、原料の融点より低い温度において、前記原料を射出方向へ搬送する搬送工程と、前記搬送された原料を加熱して、原料塊にし、該原料塊を混練することなく射出方向へ押し出す溶融工程と、前記押し出された原料塊を射出して発泡体を得る射出工程とを有する。
以下、搬送工程、溶融工程及び射出工程の順に説明する。
【0049】
搬送工程では、原料の融点より低い温度において、原料を射出方向へ搬送する。搬送工程では、原料を射出方向へ搬送できれば特に制限はない。搬送工程では溶融工程への搬送が行われる。原料の搬送は、例えば、搬送用スクリュー3のスクリュー部3aにより行われ、搬送用スクリュー3を一定方向に回転させることにより射出方向へ原料を連続的に搬送することができる。
【0050】
溶融工程では、前記搬送工程から搬送された原料を加熱して、原料を原料塊にし、該原料塊を混練することなく射出方向へ押し出す。本発明の溶融工程は、例えば、本発明の製造装置における延長バレル4において行うことができる。
原料の射出方向への押し出しは、搬送工程からの原料の搬送に伴う押込力により行われ、例えば、本発明の製造装置における搬送用スクリュー3の押込力により行うことができる。
【0051】
原料の加熱は、例えば、本発明の製造装置におけるプレヒーター7などを用いて行うことができる。加熱温度は、溶融工程で原料を原料塊とすることができ、かつ原料及び原料塊が炭化しない温度であることが望ましく、通常、160〜200℃であることが適当であり、170〜180℃であることが好ましく、175〜180℃であることがさらに好ましい。
溶融工程における温度分布は、搬送工程側から射出工程側へ向かって、連続的又は段階的に変化することが望ましい。例えば、溶融工程における加熱温度を上記の160〜200℃とした場合、搬送工程側が160℃であり射出方向へ向かって昇温し、射出工程側では180℃と連続的又は段階的に変化することができる。
【0052】
本発明の製造方法の溶融工程における原料の流れを図3に示す。図3に示されるように、溶融工程において、搬送工程から搬送された原料は、プレヒーター7の加熱により直ちに溶融を開始し、原料塊20を形成する。原料塊20は、溶融状態の原料であり、原料よりも高密度化しており、いわば気密性の高い蓋として役割を果たす。このため、溶融工程で発生する水蒸気は、原料塊によって搬送工程側(スクリューバレル側)へ逆流するのを防止できる。これにより搬送工程内における搬送量と押込力とを一定に維持することができる。また、発生する水蒸気を射出工程へ原料塊と共に押し出すことができるため、射出工程での圧力を高めることができる。
【0053】
原料塊20は、順次、溶融工程に搬送される原料の押込力により徐々に射出方向へと押し込まれる。原料塊20は、臨界点を超えた温度になると発泡を開始し、水蒸気を発生する。発泡を開始した原料塊は、さらに射出方向へと押し出され、射出工程へと移動する。この際、発生した水蒸気は、上述のように原料塊20が形成されることにより搬送工程側へ逆流せず、常に射出方向へ排出される。
【0054】
次に射出工程について説明する。射出工程では、溶融工程から押し出された原料塊を加圧し、射出ノズルから外部へ一気に射出して発泡体を得ることができる。射出工程における加圧は、例えば、本発明の製造装置における延長バレル4の押出力により行うことができる。また、射出工程では、原料塊をより発泡させるために、加熱して行うことが好ましい。加熱は、例えば、本発明の製造装置のダイ5の外周に設けられたヒーター10を用いて行われる。温度の制御のしやすさを考慮すると、例えば、カートリッジヒーターなどを用いて、ダイ5の射出ノズル近傍を加熱することが望ましい。
【0055】
射出工程における原料の加圧条件及び加熱条件は、発泡体の原料や発泡効率を考慮して適宜決定することができる。加熱時間は、加熱温度に応じて適宜決定することができ、例えば、220℃の加熱温度では、加熱時間は10〜20秒であるが好ましく、12〜16秒であることがより好ましく、13〜14秒であることが最も好ましい。また、加圧条件は、例えば、0.8〜2.5MPaであることが好ましく、1〜2MPaであることがさらに好ましい。
【0056】
射出工程後の発泡体11はそのまま使用することもでき、また商品の箱詰め時に適当な大きさに切断して使用することも可能である。また、切断機13などを用いて所望の大きさに発泡体を切断することもできる。射出速度と発泡体の大きさ及び形状は、製造される発泡体の機能及び用途に合わせて適宜決定される。
【0057】
本発明の製造方法及び製造装置は、各種商品の箱詰めなど各種の用途に使用できる発泡体を得るために好適に用いることができる。
【0058】
【実施例】
本発明の製造装置と従来の製造装置(特許文献1に記載の装置)搬送量、生産量、原料ロス率及び得られた発泡体の比重を同一条件下で比較した。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1より本発明の製造装置は、従来の製造装置よりも1分当りに2.25倍の原料を搬送することができる。また、本発明の製造装置における生産量は、従来の製造装置の2.5倍であり、ロス率も従来の製造装置の約1/4と生産効率が優れていることが分かる。また、製造される発泡体も本発明の製造装置では軽くて良質のものが得られた。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の製造方法は、搬送工程と射出工程との間に溶融工程を有する。この構成を有することにより、本発明であれば、従来の射出工程における原料の急激な溶融を起こすことなく、原料を射出でき、かつ高品質の発泡体を得ることができる。また、本発明の製造方法であれば、溶融工程において原料塊が形成されるため、押し出し途中で原料塊から発生する水蒸気の逆流を防ぎ、搬送工程における原料の付着・粘着を防止することができる。
【0062】
また、本発明の製造装置は、スクリューバレルとダイとの間に延長バレルを有する。この構成により、本発明の製造装置であれば、延長バレル及びダイ内において一度に多量の原料の加熱溶融が可能である。さらに、本発明の製造装置では、延長バレル内に原料が搬送されると直ちに溶融が開始されるため、立ち上がり時間を削減でき、原料ロスを少なくすることができる。このため、本発明の製造装置であれば、発泡体の生産効率を大幅に向上することができる。
【0063】
さらに、本発明の製造装置では、延長バレル内において原料塊が形成されるため、原料の加熱溶融に伴い発生する水蒸気のスクリューバレル側への逆流を防止できる。これにより本発明の製造装置であれば、スクリューバレル側での原料の付着・粘着もなく、安定した原料の搬送が可能となるため、ダイの溶融発泡室内の圧力も均一となり、良品質の発泡体が得られるほか、装置の安定した連続稼動が可能であり、かつ操作上の手間も大幅に軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造装置の断面概略図である。
【図2】本発明の製造装置のI−I面における背面図である。
【図3】本発明の溶融工程における原料の流れを説明するための説明図である。
【図4】従来の製造装置の断面概略図である。
【符号の説明】
1 本発明の製造装置
2 スクリューバレル
3 搬送用スクリュー
3a スクリュー部
3b ロッド部
4 延長バレル
4a 心棒
4b 加熱溶融領域
5 ダイ
6 溝
7 プレヒーター
8 空気層
9 射出ノズル
10 ヒーター
11 発泡体
12 原料供給用シリンダ
13 切断機
14 開口部
20 原料塊
41 ペレット供給用フィーダー
42 スクリューバレル
43 ペレット供給用スクリュー
44 ダイ
45 溶融発泡室
46 バンドヒーター
47 射出ノズル
Claims (8)
- 澱粉、澱粉部分加水分解物及び澱粉完全加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種と水とを含む原料を加熱下に射出して発泡させることにより発泡体を得る発泡体の製造方法であって、
原料の融点より低い温度で前記原料を射出方向へ搬送する搬送工程と、
前記搬送された原料を加熱して、原料を溶融状態の塊(以下「原料塊」という)にし、該原料塊を射出方向へ押し出す溶融工程と、
前記押し出された原料塊を射出して発泡体を得る射出工程とを有することを特徴とする前記方法。 - 前記溶融工程における加熱温度が160〜180℃である請求項1に記載の方法。
- 澱粉、澱粉部分加水分解物及び澱粉完全加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも一種と水とを含む原料を加熱下に射出して発泡させることにより発泡体を得る発泡体の製造装置であって、
原料の融点より低い温度で前記原料を搬送するための搬送用スクリューを内部に有するスクリューバレルと、
前記スクリューバレルの射出側先端に連結された延長バレルであって、内部に前記搬送用スクリューの射出側先端に連結された心棒を有する延長バレルと、
前記延長バレルの射出側先端に連結され、前記延長バレルから押し出された原料塊を射出して発泡させて発泡体を得るためのダイとを有し、
前記延長バレルは、前記心棒の外周面と前記延長バレルの内周面とにより挟まれた空間において、前記スクリューバレルから搬送された原料を加熱して原料塊にし、かつ前記原料塊を射出方向へ押し出すためのものであることを特徴とする発泡体の製造装置。 - 前記延長バレルが円筒状である請求項3に記載の製造装置。
- 前記心棒が円柱状である請求項3又は4に記載の製造装置。
- 前記延長バレルが前記スクリューバレルとの連結部分に断熱のための空気層を有する請求項3〜5のいずれか一項に記載の製造装置。
- 前記延長バレルがプレヒーターを有する請求項3〜6のいずれか一項に記載の製造装置。
- 前記延長バレルが少なくとも一つの溝を有する請求項3〜7のいずれか一項に記載の製造装置。
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JP2008106227A (ja) * | 2006-09-26 | 2008-05-08 | Nard Inst Ltd | セルロース含有生分解性樹脂組成物およびその発泡体 |
KR100958592B1 (ko) | 2008-04-08 | 2010-05-18 | 주식회사 우진세렉스 | 사출성형기 노즐의 2단계 온도상승 제어방법 |
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2003
- 2003-01-16 JP JP2003008722A patent/JP2004216777A/ja active Pending
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