JP7178909B2 - コークス原料の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
従来、廃プラスチックフラフ(以下、単に「フラフ」ともいう。)から得られるコークス原料の高密度化を図るためには、特許文献1~3に開示されている高密度減容成形機を使用していた。
この高密度減容成形機には、シリンダ51内に混練部52とその両側に搬送部53を備えたスクリュ54が平行に二軸で配置され、フラフ供給口55に供給されたフラフは、スクリュ54の回転により移動しながらヒータによる加熱とフラフの自己摩擦熱により溶融もしくは軟化、混練されてノズル56から押し出される。この高密度減容成形機には大気開放された第一ベント57とシリンダ51内で発生した水蒸気や揮発分が真空ポンプにより抜き取られる第二ベント58が設けられている。押し出された混練物は回転刃59により切断されてペレット状のコークス原料60となる。
(1)高密度化するために、廃プラスチックフラフを220℃の高温かつ一部溶融もしくは軟化状態にして成形する必要がある。
(2)コークス原料の内部に空気が混入しないように成形し高密度化するため、原料に含まれる空気を抜く脱気工程が必要である。そして脱気をするためにはスクリュの形状を特殊形状にし、空気漏れがないようにする必要がある。また、この特殊形状のスクリュは上記(1)で説明したとおり高温で一部溶融もしくは軟化状態の廃プラスチックフラフを成形することから、その摩耗が激しくなり頻繁に交換する必要がある。このように特殊形状のスクリュを頻繁に交換するために、多大なコスト及び労力を要する。
(3)フラフには一般的にポリ塩化ビニルが含まれているため、220℃程度の高温まで加熱するとポリ塩化ビニルが熱分解し塩素ガスが発生する。そうすると、真空式脱気工程(真空ポンプ式)に塩素ガスが流れ込み、真空ポンプの劣化を招くとともに酸性化した封水の水処理が必要となる。また、塩素ガスはスクリュの摩耗を促進する。
廃プラスチックフラフからコークス炉に投入するコークス原料を製造するコークス原料の製造方法において、
廃プラスチックフラフを120~200℃へ一部溶融もしくは軟化するまで加熱して一次成形物とする第一の工程と、前記一次成形物を0.4MPa以上で圧縮して二次成形物とする第二の工程との独立した二つの工程で実施され、かつ、前記第一の工程と前記第二の工程とを連続して実施する、コークス原料の製造方法。
廃プラスチックフラフからコークス炉に投入するコークス原料を製造するコークス原料の製造装置において、
廃プラスチックフラフを120~200℃へ一部溶融もしくは軟化するまで加熱して一次成形物とする第一の装置と、前記一次成形物を0.4MPa以上で圧縮して二次成形物とする第二の装置とを連続して直列に配置している、コークス原料の製造装置。
また本発明の製造装置によれば、廃プラスチックフラフを一部溶融するまで加熱して一次成形物とする第一の装置と、前記一次成形物を圧縮して二次成形物とする第二の装置とを連続して直列に配置していることで、ランニングコストの増加やメンテナンス性の低下を招くことなく、廃プラスチックフラフから高密度のコークス原料を製造することができる。
そして本発明によれば、廃プラスチックフラフから高密度のコークス原料を製造することができるため、廃プラスチックフラフ由来のコークス原料のコークス炉への投入量を増加できる。
容器包装リサイクル法によって自治体より排出される廃プラスチックは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、場合によってはその他の廃プラスチック及びプラスチックでない異物(以下、単に「異物」という。)を含有し、その典型的な含有率と結晶融点ガラス転移点は表1に示すとおりである。なお、表1では他のプラスチック及び異物を「他」と表記し、「PET、他」の欄における「結晶融点又はガラス転移点」はPETについて示している。
なお、廃プラスチックはポリエチレンテレフタロール(PET)も含有するが、このPETの結晶融点又はガラス転移点は約260℃であるからフラフの加熱温度を120℃としてもPETは溶融しない。ただし、本発明ではフラフの加熱温度を例えば120℃以上としてフラフを一部溶融状態とするから、PETはこの一部溶融状態のフラフ中に取り込まれてフラフ全体として圧縮成形される。すなわち、本発明によれば結晶融点又はガラス転移点の高いPETを他のプラスチックと合せて処理することができるという効果も得られる。溶融しないPETと同様に、異物も他のプラスチックと合せて処理できる。
図1に本発明の製造装置の第一の実施形態を示している。
この製造装置は、廃プラスチックフラフを一部溶融するまで加熱して一次成形物とする第一の装置としての二軸押出成形機10と、一次成形物を圧縮して二次成形物とする第二の装置としてのロール成形機20とを備えている。
なお、二軸押出成形機10においてノズル15の出口近傍に図4に示したような回転刃を配置して、ノズル15から押し出された一次成形物M1を所定の長さに切断することもできる。
また、ロール成形機20において一対の成形ロール22の表面にカップ形状の凹部を設けて、塊状の二次成形物M2を得るようにすることもできる。
図2に本発明の製造装置の第二の実施形態を示している。
この製造装置は、廃プラスチックフラフを一部溶融するまで加熱して一次成形物とする第一の装置としての二軸押出成形機10と、一次成形物を圧縮して二次成形物とする第二の装置としてのプレス機30とを備えている。
この製造装置では、二軸押出成形機10のノズル15から押し出された一次成形物M1は、バッチ式でプレス機30によって圧縮されて二次成形物となる。
図3に本発明の製造装置の第三の実施形態を示している。
この製造装置は、廃プラスチックフラフを一部溶融するまで加熱して一次成形物とする第一の装置としての二軸押出成形機10と、一次成形物を圧縮して二次成形物とする第二の装置としての突き押し式成形機40とを備えている。
この製造装置では、二軸押出成形機10のノズル15から押し出された一次成形物M1は、そのまま自然落下して突き押し式成形機40の供給ホッパ41に供給され、水平スクリュ42及び鉛直スクリュ43により、シリンダ44内に供給される。そして、進退を繰り返すピストン45によって突き押しされることで圧縮されながら、ノズル46から押し出されて二次成形物M2となる。
なお、この試験において第二の装置(工程)へ投入する一次成形物の温度の下限は150℃であるが、前述のとおり(表1参照)、一次成形物の温度を120℃にすると、少なくともLDPE及びPSが溶融して一次成形物が一部溶融状態となることで、第二の装置(工程)での圧縮にて効率的に高密度化を図ることができることから、この一次成形物の温度は120℃以上であれば、見掛密度が0.7t/m3以上のコークス原料を製造可能である。
この試験の試験条件と試験結果を表3に示す。なお、表3において「温度」とは第二の装置(工程)へ投入する一次成形物の温度のことであり、「圧力」とは第二の装置(工程)の圧縮時にかけた圧力のことである。また、「見掛密度」とは第二の装置(工程)で得られた二次成形物の見掛密度のことである。この二次成形物の見掛密度は、コークス原料としてコークス炉への投入量を増加する点から、0.7t/m3以上であることが好ましい。
11 シリンダ
12 スクリュ
13 フラフ供給口
14 ヒータ
15 ノズル
20 ロール成形機(第二の装置)
21 供給ホッパ
22 成形ロール
30 プレス機(第二の装置)
40 突き押し式成形機(第二の装置)
41 供給ホッパ
42 水平スクリュ
43 鉛直スクリュ
44 シリンダ
45 ピストン
46 ノズル
M1 一次成形物
M2 二次成形物
Claims (8)
- 廃プラスチックフラフからコークス炉に投入するコークス原料を製造するコークス原料の製造方法において、
廃プラスチックフラフを120~200℃へ一部溶融もしくは軟化するまで加熱して一次成形物とする第一の工程と、前記一次成形物を0.4MPa以上で圧縮して二次成形物とする第二の工程との独立した二つの工程で実施され、かつ、前記第一の工程と前記第二の工程とを連続して実施する、コークス原料の製造方法。 - 廃プラスチックフラフは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリ塩化ビニルを含有する、請求項1に記載のコークス原料の製造方法。
- 廃プラスチックフラフは、さらに、ポリエチレンテレフタレート、その他の廃プラスチック、及び/又はプラスチックでない異物を含有する、請求項2に記載のコークス原料の製造方法。
- 廃プラスチックフラフからコークス炉に投入するコークス原料を製造するコークス原料の製造装置において、
廃プラスチックフラフを120~200℃へ一部溶融もしくは軟化するまで加熱して一次成形物とする第一の装置と、前記一次成形物を0.4MPa以上で圧縮して二次成形物とする第二の装置とを連続して直列に配置している、コークス原料の製造装置。 - 前記第一の装置は二軸押出成形機である、請求項4に記載のコークス原料の製造装置。
- 前記第二の装置はロール成形機である、請求項5に記載のコークス原料の製造装置。
- 前記第二の装置はプレス機である、請求項5に記載のコークス原料の製造装置。
- 前記第二の装置は突き押し式成形機である、請求項5に記載のコークス原料の製造装置。
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