JP2004216625A - 成形体の製造方法および成形装置 - Google Patents

成形体の製造方法および成形装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電鋳型を用いず、かつ真空成形を利用できる成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】成形装置10の表型部12は、成形面21側のエアを吸引可能に設けられた開口部32と、開口部32の近傍に設けられた挿入部材40とを備えている。シート状成形材料105を真空成形する場合は、開口部32より成形面21から突出させて挿入部材40を配置するとともに、表型部12の成形面21側にシート状成形材料105を配置して、開口部32からエアを吸引する。この方法では、開口部32の近傍に設けられる挿入部材40にシート状成形材料105が引っかかり、開口部32にシート状成形材料105が密着して、吸引不良となることを抑制できる。したがって、より大きな開口部32を備える表型部12によって、良好に真空成形することができる。
【選択図】図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、真空吸引を用いる成形体の製造方法および成形装置に関し、特に真空吸引と射出成形とを組み合わせた積層状の成形体の製造方法及び成形装置に好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両や建築物などの内装材には、射出成形やプレス成形によって所定の形状に成形されるパネル状の基材と、その表面に設けられた表皮材とが積層された積層成形体がある。この積層成形体は、基材の射出成形やプレス成形のときに、予め型内に表皮材を配置しておくことにより、基材の成形と同時に表皮材を積層一体化して製造することができる。この方法では、より少ない工程数で積層成形体を製造できる一方、成形のための熱や圧力によって表皮材が伸ばされ、予め付与されているシボ(エンボス模様)が消失したり凹凸が減少する、いわゆる「シボ流れ」が起きる場合があった。
【0003】
このシボ流れを解消するため、表皮材としてシボを備えないシートを用い、射出成形型やプレス成形型の成形面にシボ模様を付与しておき、射出成形やプレス成形時に表皮材にシボを転写する製造方法が提供されている。この方法は、典型的には、成形型に表皮材となるシートを真空吸引によって成形面に密着させてから、基材材料を射出やプレスによって成形する(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−301243号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
真空吸引によって表皮材となるシートを密着させる製法では、成形面側のエアを吸引するために、小孔を成形面に無数に備えている電鋳型を用いることが一般的である。エアを吸引するための小孔は、表面の意匠性を損ねないために直径0.1mm〜0.3mm程度に形成されていることが好ましく、電鋳型では、このような大きさの孔を良好に形成できる。しかしながら、この孔は、埃や軟化した表皮材料などによって、目詰まりを起こしやすい。また、電鋳型は、鋼材製の成形型と比較して耐圧性が小さいため、成形時、特に射出成形における樹脂材料の射出圧力について電鋳型の強度を考慮しなければならない場合がある。また、電鋳型は、その製造工程において型を必要とすることから、設計変更のたびに電鋳型を作成するための型から作成しなければならない。
【0006】
そこで、本発明では、電鋳型を用いず、かつ真空成形を利用できる成形体の製造方法を提供することを課題とする。
また、同時に、電鋳型を用いず、かつ真空成形を利用できる成形装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、成形体の製造方法であって、成形体の表面を成形する表型部であって、成形面側のエアを吸引可能に設けられた開口部を備えるものに、シート状成形材料を配置して前記開口部からエアを吸引し、この開口部及びその近傍以外の部分の成形面にシート状成形材料を密着させて真空成形する工程と、前記真空成形工程の後、前記開口部およびその近傍の成形面に対向するシート状成形材料部分を、当該開口部近傍の成形面に沿わせる成形工程とを備える成形体の製造方法を提供する。
この製造方法では、開口部及びその近傍以外の部分の成形面にシート状成形材料を密着させて真空成形してから、開口部とその近傍に対応するシート状成形材料を成形するため、開口部にシート状成形材料が密着して吸引不良となることが良好に回避されている。また、開口部とその近傍に対向するシート状成形材料部分は、他の部分の真空成形工程によって冷え、柔軟性が低下した後で成形することが可能であるため、シート状成形材料が開口部に吸込まれたり、開口部の形状に成形されることが抑制されている。したがって、この製造方法によれば、より大きな開口部を備える表型部を用いて良好に真空成形できる。
【0008】
また、本発明では、成形体の製造方法であって、成形体の表面を成形する表型部であって、成形面側のエアを吸引可能に設けられた開口部を備えるものに、この開口部の近傍に当該開口部より成形面から突出させて挿入部材を配置するとともに、前記表型部の成形面側にシート状成形材料を配置して、前記開口部からエアを吸引して真空成形する工程を備える方法を提供する。
この製造方法では、開口部の近傍に挿入部材が設けられているため、開口部からエアを吸引した時に開口部の近傍に位置するシート状成形材料は、挿入部材に引っかかる。これにより、開口部にシート状成形材料が密着して、吸引不良となることを回避できる。したがって、より大きな開口部を備える表型部を用いて、良好に真空成形できる。
【0009】
この製造方法において、真空成形工程後、前記挿入部材を成形面より突出しない位置に配置して、前記表型部に対応する裏型部を突き合わせて表型部と裏型部との間で基材成形材料を成形すると同時に前記シート状成形材料を一体化する圧締成形工程を備える成形体の製造方法を提供する。
この製造方法では、真空成形後のシート状成形材料を型に密接させたままの状態で表型部と裏型部との間で基材成形材料を成形するため、基材成形材料の成形に係る熱や圧力によってシート状成形材料が変形することを抑制して一体化できる。また、挿入部材を成形面より突出しない位置に移動させておくことにより、挿入部材に対応する部位においても基材成形材料を成形面に対応する形状に成形することができる。したがって、例えば、成形面にシボ転写用のシボ形成部を設けてシート状成形材料にシボ模様を付した場合、基材成形材料の成形時にシボ形成部に押し付けられるため、シボが浅くなる等のシボ流れを良好に抑制できる。
【0010】
また、本発明では、成形装置であって、成形体の表面を成形する成形面を有し、この成形面側に開口部を有する表型部と、この開口部を通して成形面側のエアを吸引する吸引手段と、この表型部にシート状材料を設けた状態で、前記吸引手段によるエアの吸引によって前記開口部及びその近傍の成形面と前記シート状材料との間より先に、前記開口部及びその近傍以外の成形面と前記シート状材料との間のエアを除去させる切替え手段とを備えるものを提供する。
この装置は、切替え手段を開口部及びその近傍の成形面とシート状成形材料との間のエアを除去するようにして吸引手段によってエアを吸引し、成形した後、開口部及びその近傍の成形面部分のエアを除去するように切替える。これにより、開口部にシート状成形材料がくっついて吸引不良になることを回避して、良好にシート状成形材料を真空成形することができる装置となっている。したがって、この装置では、例えば、開口部をより大きく形成してより少数設けて、良好に真空成形ができる。
【0011】
また、本発明では、上記成形装置であって、前記切替え手段は、前記表型部の開口部の近傍に設けられて、前記開口部より成形面から突出する吸引位置と、開口部より成形面から突出しない収納位置とに位置切替え可能に設けられる挿入部材とを備えるものを提供する。
この装置によれば、挿入部材を、開口部より成形面から突出する吸引位置に配置して吸引手段でエアを吸引することにより、シート状成形材料を挿入部材にひっかけて開口部にシート状成形材料が密着することを防いで、開口部及びその近傍以外の成形面とシート状成形材料とで形成される空間のエアを除去して真空成形することができる。また、開口部とその近傍以外の部分が真空成形された後で挿入部材を収納位置に移動させることで、開口部及びその近傍のシート状成形材料と成形面との間の空間のエアを除去して、この部分の突出を抑制することができる。したがって、例えば、開口部は、より大きく形成されて少数設けられていても、良好に真空成形ができる装置となっている。
【0012】
上記成形装置では、前記開口部は、得られる成形体の表面を成形しない前記成形面部分に形成されていると、成形面と成形されるシート状成形材料との間のエアを開口部から良好に吸引できるとともに、挿入部材や開口部の跡が残る場合でも成形体の表面に悪影響を与えることが無く、好ましい。
また、前記表型部の成形面には、シボ模様を転写可能な凹凸状のシボ形成部を備えると、真空成形によってシート状成形材料にシボを成形することができ、好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る成形装置によって、本発明の一実施形態に係る成形体の製造方法によって製造することができる成形体の一実施形態を示す。この成形体は車室用の内装材1であり、車両のドアの窓枠下部に設けられる内装材である。以下、この内装材1について簡単に説明する。
【0014】
車室内装材1は、基材3の表側が表皮材5で被覆されており、基材3と表皮材5とが積層一体化されて形成されている。
基材3は、熱可塑性材料で形成されている。基材3は、全体として熱可塑性を有する材料であり、例えば、公知のオレフィン系、ポリエステル系の熱可塑性樹脂のみで形成されていても良いし、木粉、カーボンブラックや、繊維など種々の充填材を含有していても良い。したがって、例えば、基材3は、木質繊維材料がニードルパンチングなどされて形成されたマット材と熱可塑性樹脂材料とによって形成されていても良い。
【0015】
表皮材5は、内装材1の表面に意匠を付与している部材であり、図1に示す本実施形態では、熱可塑性樹脂よりなる表皮層7と、弾性層6とを備えている。
【0016】
弾性層6は、内装材1の表面に弾性あるいは柔軟性を付与する部材であり、基材3の表面に積層状に一体化されており、表側の面で、表皮層7に一体化されている。弾性層6は、典型的には、発泡成形体であり、ポリウレタン、PETなどのポリエステル樹脂やポリオレフィン樹脂等が公知の発泡成形法で成形されたシート状材料である。弾性層6は、基材3の材料と相溶性を有するか、基材3の材料によって溶着可能な材料が選択されている。
【0017】
表皮層7は、内装材1の表面の色、質感等を形成する部材である。また、表皮層7は、弾性層6と少なくとも一方の樹脂による溶着または別の接着材料による接着によって積層一体化されている。表皮層7は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂など、公知の熱可塑性樹脂によって形成されている。また、表皮層7は、本実施形態では、シボ模様、すなわち、皮革調、大理石調など種々の雰囲気を表現できる凹凸状の意匠を備えている。
【0018】
次に、この内装材1を製造するための装置について、図2ないし図6を参照して説明する。なお、図2,4,5における型(20,50)は模式的に描写しており、図1,3に示す具体的な形状とは異なっている。
成形装置10は、型内に予め表皮材5を配置しておき、基材3を射出成形すると同時に積層一体化できる装置である。図5,6に示すように、成形装置10は、内装材1の表面側を成形する表型部12と、内装材1の裏面側を成形する裏型部14とを備えている。
【0019】
まず、表型部12について、図2を参照して詳細に説明する。
表型部12は、公知の板状の台座部23と、鋼材ブロックよりなるスペーサ27と、上型20とを備えている。上型20は、複数のスペーサ27を介して台座部23にボルトによる公知の方法で取り外し可能に固定されている。
【0020】
上型20は、鋼材製であり、公知の方法によって形成されている。上型20の台座部23に取付けられて下を向く面は、成形面21に形成されている。上型20は、図3に示すように、内装材1を2個取りできる型であり、成形面21は、互いに対称な2個の凹部を備えている。
上型20の成形面21は、本実施形態では、凹部を構成する面全体にシボ模様を形成するためのシボ形成部24が形成されている。シボ形成部24は、所望の絞り形状、すなわち、凹部26の形状に形成された滑らかな成形面が、公知の方法によって所望の凹凸状に成形されている面である。
【0021】
表型部12には、吸引手段30と切替え手段としての挿入部材40とが設けられている。
吸引手段30は、成形面21の下方のエアを吸引可能な手段である。本実施形態の吸引手段30は、成形面21に設けられた複数の開口部32と、開口部32から成形面21と反対側の上型20の面、すなわち上面まで伸びる吸引路34とこの吸引路34の上端に接続された公知の吸引ポンプ36とで形成されている。
【0022】
開口部32は、成形面21側、すなわち凹部のエアを吸引できるように形成されている。開口部32を設ける位置、大きさ及び数は、特に制限されない。良好な成形性を維持するためには、開口部32は、成形面21の得られる成形体の表面に対応しない部位、例えば、成形後に端材として除去される部分や、後で他部材が被覆される表面部分を成形する部分に対応する部位に形成されていることが好ましい。
【0023】
また、開口部32の数および大きさ(内径)は、公知の穿孔装置、例えばガンドリルなどで形成できる大きさとすることができる。開口部32は、成形体の表面を成形する部分に対応する成形面21部分に設けられる場合は、できるだけ小さいと、成形性の低下を抑制でき、好ましい。また、成形性の低下を抑制するため、このような部分に設けられる開口部32の数は、少ないことが、好ましい。また、成形面21全体に対しては、開口部32は、より多く設けられていると、より均一な真空圧での真空成形が容易に行えるため、好ましい。
【0024】
一方、上型20製作の面からは、開口部32は、より少ない数であると、開口部を形成する工程が単純となり、好ましい。本実施形態では、図3に示すように、2つの凹部26の間に位置する成形体の表面を構成しない部分に1つの開口部32aが形成されており、また、凹部26のインサイドハンドルアセンブリが取付けられる部位にそれぞれ1つの開口部32b,32cが形成されている。これらの開口部32a,32b,32cは、いずれもガンドリルによって上側の成形面21と反対の面から掘削されて形成されている。開口部32a,32b,32cの内径は、それぞれ、例えば、40〜50mmである。
【0025】
吸引路34は、開口部を通ったエアが通る部分で、種々の形状に形成することができる。吸引路34は、本実施形態では、図2に示すように、開口部32を形成するために掘削された断面円形の開口部32から直線状に上方に延びる空間に形成されている。吸引路34は、開口部32と反対側の端部が吸引ポンプ36に接続されている。吸引ポンプ36は、エアポンプなど公知の構成であるため、その構成について詳細な説明は省略する。
【0026】
なお、吸引ポンプ36は、図2に示すように、各開口部32ごとに独立して設けられていても良いし、単一の吸引ポンプに複数の開口部が連通されていても良い。単一の吸引ポンプに複数の開口部が連通される場合、例えば、各開口部の吸引路が合流するように形成することができる。また、吸引路34は、成形型内に形成されるものに限定されず、成形型に接続されたパイプなど中空部材によって形成される部位を含んでいても良い。
【0027】
挿入部材40は、吸引手段30の各開口部32の近傍に、成形面21から突出する吸引位置(図5参照)と成形面21から突出しない成形位置(図6参照)とに移動可能に設けられる部材である。挿入部材40は、典型的には、上型20に成形面21まで挿入部材40を挿通可能な孔部が形成されて、移動可能に設けられている。
本実施形態では、挿入部材40は、円柱状に形成されて、上型20を貫通して形成された取付け孔に設置されている。より具体的には、挿入部材40の取付け孔は、上型20の成形面21と反対側の面からガンドリルで穿孔することによって形成されており、上側から成形面21に向かって段階的に内径が小さくなる形状に形成されている。また、挿入部材40は、上端に油圧シリンダなどの駆動手段42を備える円柱状部材であり、ガンドリルによって形成された取付け孔に埋設状態に設置されている。挿入部材40は、駆動手段42によって図4,5に示すように先端が成形面21より突出する吸引位置と、図6に示す先端が成形面21と同一面を成す成形位置とに移動可能に形成されている。
なお、成形位置では、挿入部材40の先端は、成形面21に対して凹んだ位置、すなわち図6ではより上方に配置されていても良い。
【0028】
挿入部材40は、典型的には、開口部32の周囲を少なくとも部分的に囲う形状に形成されている。例えば、挿入部材40が、開口部32を囲う円弧状に形成されていても良い。本実施形態では、図2に示すように、開口部32を間に挟んで2本の円柱状の挿入部材40が設けられている。
【0029】
また、裏型部14は、図5,6に示すように、公知の板状の台座部53と、鋼材ブロック製のスペーサ57と、上型20と対を成す下型50とを備えている。下型50は、上型20と同様、鋼材製であり、同様に複数のスペーサ57を介して台座部53にボルトによって取り外し可能に固定されている。
また、裏型部14は、図示しないが、下型50の成形領域に軟化状態(溶融状態を含む)の成形材料を供給可能な材料供給ノズルを備えている。材料供給ノズルは、公知の射出成形、特にSPM成形で使用される成形装置と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0030】
次に、この成形装置10を用いて図1に示す内装材1を製造する方法について図4〜6を参照して説明する。
まず、図4に示すように、図1の弾性層6を構成するシート状の発泡材106と、図1の表皮層7を構成するシボが付与されていないシート状の表皮材料107とが一体化されているシート状成形材料105を表型部12の成形面21の最突出面に密着するように配置する。シート状成形材料105は、予め真空成形可能な程度に軟化した状態に調整されており、本実施形態では、表皮材料107がシボ転写できる柔軟性を備えるように加熱しておく。図4では、シート状成形材料105を、表皮材保持体45によって張った状態に保持しており、その状態で上型20の成形面21の最下面に密着させて配置している。
また、挿入部材40は、吸引位置に配置しておく。
【0031】
次に、表型部12の吸引手段30によって成形面21側のエアを吸引して真空成形する。吸引ポンプ36を作動させることによって吸引路34を通して、各開口部32からエアを吸引することができる。表型部12の成形面21には、シート状成形材料105が密着しているため、吸引手段30による吸引で、成形面21とシート状成形材料105との間の空間が真空(減圧)状態にすることができる。これにより、軟化状態のシート状成形材料105は、図5に示すように、成形面に密着して、成形面21に沿う形状に成形される。
また、本実施形態では、図2,3に示すように、成形面21にシボ形成部24が設けられている。このため、十分に軟化した状態の表皮材料107には、真空成形によってシボが転写される。
【0032】
エアが十分吸引されてシート状成形材料105の挿入部材40及び開口部32以外の部分に対応する部分が成形面21に沿った後、挿入部材40を図6に示す成形位置まで移動させる。この状態で、吸引手段30によってエアを吸引することにより、挿入部材40に対応する部分のシート状成形材料の突出状態を緩和することができる。吸引手段30によるエアの吸引は、挿入部材40の移動の間は停止させても良いが、好ましくは、開口部32およびその近傍以外の部分の真空成形成形工程から連続して行う。挿入部材40の成形位置への移動は、挿入部材40によって引っかかっている部分以外の部分が成形面21に密着した後、速やかに行うことで、より温かい状態のシート状成形材料105を開口部32の近傍の成形面に沿うように成形することができ、好ましい。
真空成形体を製造する場合は、この後、シート状成形材料105を、その形状を保持可能な程度に冷却した後、脱型して得ることができる。
【0033】
内装材1のような積層成形体を得る場合は、シート状成形材料105の真空成形に連続して基材成形材料103を圧締成形することができる。この場合は、SPM成形の場合と同様、表型部12と裏型部14とを型締めすると共に、基材成形材料103を表型部12と裏型部14とが突き合わされて形成されるキャビティに供給する。基材成形材料103の供給は、図示しない供給ノズルによって行い、軟化状態(溶融状態)の樹脂材料を所定の圧力で射出する。
【0034】
基材成形材料103は、射出圧によって表型部12の成形面21に沿う形状に成形される。特に、シート状成形材料105が開口部32及びその近傍において成形面21から離れている場合も、射出圧力によって密着させ、基材成形材料103を成形面21に沿う形状に成形することができる。また、同時に、軟化状態の基材成形材料103によってシート状成形材料105と基材成形材料103とを一体化することができる。
この後、基材成形材料103およびシート状成形材料105を、形状を保持可能な程度に冷却してから脱型し、適宜、余分な表皮材部分をカット等して除去することにより、積層成形体である内装材1を得ることができる。
【0035】
この製造方法では、挿入部材40を開口部32の近傍に配置してシート状成形材料105を真空成形する。このため、開口部32は、電鋳型の小孔と比較して大きくてもシート状成形材料105が密着して真空成形できなくなるおそれがなく、良好に真空成形することができる。したがって、開口部32を備える上型20として、従来の鋼材製の金型など、より耐圧性が大きいものや、設計変更が容易なもの、あるいは安価な成形型を用いることができる。
【0036】
また、開口部32は、大径に形成されるため、電鋳型の小孔と比較して、エアの吸引能力が大きい。このため、電鋳型と比較して、非常に少ない数の開口部32を設けることで、真空成形で必要とされる真空状態(減圧状態)まで容易に達成させることができる。また、開口部32の数は、少なくても良く、また、挿入部材40を設けることによって、成形面21の突出部分などにも設けることができるため、得られる成形体の表面を構成しない部分や目立たない部分に対応する位置に開口部を設けることができる。したがって、この成形装置10や成形体製造方法では、電鋳型を用いずに、良好な真空成形が可能である。
【0037】
また、耐圧性、強度などの高い型を使用できるため、射出成形における制約が少なく、例えば、最適な射出圧などを選択して良好に基材を成形することができる。
また、開口部32は、大径であるため、目詰まりする可能性が小さく、また、金型などであるため、表型部12(上型20)のメンテナンスが容易である。
【0038】
また、成形面21にシボ形成部24を設けることにより、成形面21による絞り形状の付与とともにシボ模様を付与することができる。そして、後続して圧締成形する場合は、絞り形状やシボ模様の成形面に密着した状態でシート状成形材料を基材成形材料の成形にかかる圧力を受けるため、シート状成形材料105のシボや絞りの形状の変化を抑制して成形性の良い成形体を製造することができる。
【0039】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
基材成形材料の成形形態は、射出成形に限定されず、プレス成形でも良い。この場合は、例えば、シート状成形材料を上記実施形態と同様に真空成形した後、例えば、マット状に予備成形された基材成形材料を配置して、表型部12と裏型部14とで、所定の圧力を加えてプレス成形する。
また、成形装置に配置される挿入部材の駆動手段は、上型に埋設されるタイプに限定されない。別体で形成されていても良い。また、各挿入部材が単一の駆動手段で移動可能に形成されていても良い。
【0040】
また、切替え手段としての挿入部材は、表型部12と裏型部14との突き合わせ方向に平行な方向に移動する形態に限定されず、例えば、絞り形状の厚み面から突出する吸引位置と厚み面と同一面を成すまたは厚み面に対して凹む成形位置とを備えていても良い。
また、挿入部材は、開口部が形成されている成形面と同一の面から突出する形態に限定されず、底面を形成する成形面に開口部を形成して、その近傍の厚み面から突出するように挿入部材を設けても良い。あるいは、その逆に配置されていても良い。
【0041】
また、基材成形材料とシート状成形材料との一体化において、別途シート状成形材料及び/または基材成形材料の互いに密着される面に接着材料を添加して一体化しておいて、基材成形材料の成形と同時に一体化しても良い。また、シート状成形材料は、単層体でも良いし、基材成形材料は、複数でも良いことは言うまでもない。
【0042】
【発明の効果】
本発明では、電鋳型を用いず、かつ真空成形を利用できる成形体の製造方法、および電鋳型を用いず、かつ真空成形を利用できる成形装置を提供することにより、従来の型を利用して良好に真空成形されている成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る成形体の製造方法によって製造される成形体の斜視図である。
【図2】本発明に係る成形装置の要部を示す一部を破断した平面図である。
【図3】図2の成形装置の成形面を示す平面図である。
【図4】図2の成形装置にシート状成形材料を配置する様子を示す一部を破断した平面図である。
【図5】図2の成形装置の全体及び真空成形工程を示す一部を破断した平面図である。
【図6】図5の成形装置の圧締成形工程を示す一部を破断した平面図である。
【符号の説明】
1 内装材
3 基材
5 表皮材
6 弾性層
7 表皮層
10 成形装置
12 表型部
14 裏型部
20 上型
21,51 成形面
23,53 台座部
24 シボ形成部
26 凹部
27,57 スペーサ
30 吸引手段
32,32a,32b,32c 開口部
34b,34c 吸引路
36b,36c 吸引ポンプ
40 挿入部材
42 駆動手段
45 表皮材保持体
50 下型
103 基材成形材料
105 シート状成形材料
106 発泡材
107 表皮材料

Claims (7)

  1. 成形体の製造方法であって、
    成形体の表面を成形する表型部であって、成形面側のエアを吸引可能に設けられた開口部を備えるものに、シート状成形材料を配置して前記開口部からエアを吸引し、この開口部及びその近傍以外の部分の成形面にシート状成形材料を密着させて真空成形する工程と、
    前記真空成形工程の後、前記開口部およびその近傍の成形面に対向するシート状成形材料部分を、当該開口部近傍の成形面に沿わせる成形工程とを備える、成形体の製造方法。
  2. 成形体の製造方法であって、
    成形体の表面を成形する表型部であって、成形面側のエアを吸引可能に設けられた開口部を備えるものに、この開口部の近傍に当該開口部より成形面から突出させて挿入部材を配置するとともに、前記表型部の成形面側にシート状成形材料を配置して、前記開口部からエアを吸引して真空成形する工程を備える、成形体の製造方法。
  3. 真空成形工程の後、前記挿入部材を成形面より突出しない位置に配置して、前記表型部に対応する裏型部を突き合わせて表型部と裏型部との間で基材成形材料を成形すると同時に前記シート状成形材料を一体化する圧締成形工程を備える、請求項2に記載の成形体の製造方法。
  4. 成形装置であって、
    成形体の表面を成形する成形面を有し、この成形面側に開口部を有する表型部と、
    この開口部を通して成形面側のエアを吸引する吸引手段と、
    この表型部にシート状材料を設けた状態で、前記吸引手段によるエアの吸引によって前記開口部及びその近傍の成形面と前記シート状材料との間より先に、前記開口部及びその近傍以外の成形面と前記シート状材料との間のエアを除去させる切替え手段とを備える、成形装置。
  5. 前記切替え手段は、前記表型部の開口部の近傍に設けられて、前記開口部より成形面から突出する吸引位置と、開口部より成形面から突出しない収納位置とに位置切替え可能に設けられる挿入部材を備える、請求項4に記載の成形装置。
  6. 前記開口部は、得られる成形体の表面を成形しない前記成形面部分に形成されている、請求項4または5に記載の成形装置。
  7. 前記表型部は、成形面に、シボ模様を転写可能な凹凸状のシボ形成部を備える、請求項4から6のいずれかに記載の成形装置。
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