JP4117795B2 - 内装品の真空成形方法及び真空成形機 - Google Patents

内装品の真空成形方法及び真空成形機 Download PDF

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本発明は、吸気路を分散形成された基材をその形状に対応した真空吸引型にセットし、表皮に発泡層を接着させた表皮材を基材の表面にセットし、表皮材を基材に真空吸引により吸着させた状態で接着して自動車のドアトリム、インストルメントパネル等の内装品を製作するための内装品の真空成形方法及び真空成形機に関するものである。
図7を基に、この種の従来の表皮材の真空成形方法により、デフロスタを脱着可能に収納する凹状のデフロスタ収納部2aを備えたインストルメントパネル9を製作する真空接着工程を説明する。このインストルメントパネルは、例えばTPO(サーモプラスチックオレフィン)製の表皮1にPPフォーム(ポリプロピレン発泡体)製の発泡層2を接合した表皮材3をプレート状の基材4に接着して3層で製作されている。一体成形に際して、表皮材3は、真空吸引型により加温軟化状態で真空吸引して賦形して製作される(同図A)。その際、表皮材3には、真空吸引型の型面形状により、デフロスタ収納部2aが形成されると共に、デフロスタの係合溝の形状に対応したアンダカット部2bが形成され、一方基材4は射出成形された例えばPP(ポリプロピレン)製であり、後処理の穿孔により吸気路が分散形成され、真空吸引型5の凸型5aにセットされる(同図B)。基材4には、デフロスタに対応したデフロスタ収納部4aが成形されている。
次いで、基材4に接着剤を噴霧して、同図Cに示すように、表皮材3をセットして真空引きすることにより、表皮材3が基材4に吸着されて接着され、3層のインストルメントパネル9が製作される。その際、表皮材3の真空成型時に、アンダカット部2bに沿って発泡層2が膨張変形することにより、デフロスタ収納部4aには基材4に接着されない空洞部が形成され、剥がれの原因になったり、表皮1が変形したり或いは筋を発生させる場合がある。さらに、デフロスタを装着する際に変形して外れ易くなることもある。
文献1には、表皮材を支持具で扁平状に引張支持し、通気自在な基板を真空接着型の凸型面に組み付け、布地材を真空接着型の凸型面と部分的に相似する受け型の型面に組み付け、基板の真空接着型と、布地材が組み付けられた受け型とを加温軟化状態の表皮材に向けて両側から移動し、表皮材を真空接着型で基材の板面に真空引き接着する工程内で、布地材を表皮材の所定部分に押圧接着する部分布貼り車内装部材の製造方法が開示されている。この方法によれば、布地材が表皮材に部分布貼りされるだけでなく、表皮材を予め成形加工しておかなくても、軟化状態で基板表面に吸着状態で接着されることにより、空洞の発生は抑制されるが、逆に表皮材のみでアンダカット部2bを形成するのは不可能になる。特許文献2により、アンダカット部を有する芯材もしくは基材に空洞部を残すことなく表皮材を密着状態で接着するために、接着剤が塗布された芯材を雄型にセットし、雌型側へ相対的に移動させることにより雄型と雌型との間に張られた表皮を芯材に接触させると共に、雌型側から真空吸引し、次にその真空吸引を停止した後、雄型側から真空吸引する真空成形法が提案されている。
特開平10−34741号公報 特開平6−34433号公報
しかしながら、特許文献2による真空成形は、雄雌双方の型から吸引することにより、基材の外側面の凹凸に表皮を密着させ、また表皮面も賦形することができるが、例えば凹部内の周壁のアンダカット部等の凹凸に対する密着接着は不可能であり、いずれにしても真空成形機に付加構成を要する。
そこで、本出願人は、特願2003−341672により、扁平状に支持された熱可塑性の表皮材に対して上下方向の両側に、基材用真空吸引型と、表皮の所定の表面形状に対応する型面を有する表皮材用真空吸引型とを対向状態に設け、表皮材を加温処理により軟化させた状態で、基材用真空吸引型及び表皮材用真空吸引型を型締めし、これらの真空吸引型により型締め状態で両側から真空吸引することを提案した。
これにより、発泡層の裏面は接着剤で基材用真空吸引型にセットされた基材に真空吸引により吸着状態で接着されると共に、表皮材は、表皮材用真空吸引型の型面に真空吸引により吸着されて賦形され、表皮材の真空成形の前工程が不要となると共に、表皮が表皮材用真空吸引型の型面に沿って賦形される。また、表面品質が向上するだけでなく、基材表面に対して非相似形状に形成することもでき、したがって周壁付き開口部の例えば前述のデフロスタ収納部において、両側からの吸引により空洞が吸収されたアンダカット部2bが形成され、また冷却後の真空吸引型の型開き時にはアンダカット部2bが圧縮して型開きが許容される。
しかしながら、前述の本出願人の発明により基材用真空吸引型と略同時に型締めを行う表皮材用真空吸引型に対して型開き方向がインストルメントパネルの例えばメータフードの開口部に沿った方向に設定される等により、剛性のプレート状基材に形成された開口部の一部の周壁が表皮材用真空吸引型に対してアンダカット部を形成すると、その型開きが不可能になる場合がある。その際、通常の方法により、図8に示すように、表皮材用真空吸引型63にアンダカット周壁部61付きのデフロスタ収納部60用のスライドコア65を構成する場合、表皮材を加温軟化させた状態で型締めしたのに次いでスライドコア65をデフロスタ収納部60に前進させて、表皮材1,2を部分的に伸展させて一体成形すると、その深さによってはデフロスタ収納部60の発泡層2の膨張度が大きくなって、脱形後の収縮度合が部分的に大きくなって表面品質が低下する恐れがある。また、表皮材用真空吸引型63及びスライドコア65の双方の金型境界線である所謂PL(パーティングライン)に、段差或はバリを生じて外観を損なう可能性がある。
そこで、本発明は、前述の本出願人の発明をさらに発展させて、表皮材を加温軟化させた状態で、基材用及び表皮材用真空吸引型を型締め状態で両側から真空吸引することにより、表皮材を基材へ真空接着させ、表皮材を表皮材用真空吸引型の型面に沿って賦形する際に、基材に、部分的にアンダカット部を形成する周壁を備える開口部が形成されている場合でも、スライドコアを用いることなく、表皮材用真空吸引型の開閉を可能にする内装品の真空成形方法及び真空成形機を提供することを目的とする。
本発明は、この目的を達成するための真空成形方法としては、請求項1により、扁平状に支持された熱可塑性の発泡層付き表皮材に対して上下方向の両側の一方に、吸気路が分散形成された基材がセットされた基材用真空吸引型が、他方には扁平状に対して賦形すべき表皮全域の表面形状に対応する型面を有する表皮材用真空吸引型が対向状態に設けられ表皮材を加温処理により軟化させた状態で、基材用真空吸引型及び表皮材用真空吸引型を型締めして両側から真空吸引することにより、発泡層を基材に接着すると共に表皮材を表皮材用真空吸引型の型面に沿って賦形する内装品の真空成形方法において、基材の裏面側に突出する周壁付きで、かつその一部が表皮材用真空吸引型の型開き方向に対して負角になるアンダカット部を形成する開口部を備えた内装品を製作するための真空成形方法であって、表皮材用真空吸引型の開口部へ対応する凸状型部分を着脱自在に置駒として形成すると共に、アンダカット部及びこのアンダカット部に連続する開口部周辺領域の基材領域を型締め時に置駒と干渉しない逃げ位置まで原位置から移動し得る基材可動部として形成し、この基材可動部を逃げ位置に位置付けすると共に置駒を表皮材用真空吸引型に装着した状態で、表皮材を加温処理して型締めし、基材可動部を原位置に移動させて両側から真空吸引し、表皮材用真空吸引型の型開き後に置駒を内装品の開口部から外すことを特徴とする。
真空成形機としては、請求項2により、扁平状に支持された熱可塑性の発泡層付き表皮材に対して上下方向の両側の一方に、吸気路が分散形成された基材がセットされた基材用真空吸引型が、他方には扁平状に対して賦形すべき表皮全域の表面形状に対応する型面を有する表皮材用真空吸引型が対向状態に設けられ、表皮材を加温処理により軟化させた状態で、基材用真空吸引型及び表皮材用真空吸引型を型締めして両側から真空吸引することにより、発泡層を基材に接着すると共に表皮材を表皮材用真空吸引型の型面に沿って賦形する内装品の真空成形機において、基材の裏面側に突出する周壁付きで、かつその一部が表皮材用真空吸引型の型開き方向に対して負角になるアンダカット部を形成する開口部を備えた内装品を製作するための真空成形機であって、表皮材用真空吸引型の開口部へ対応する凸状型部分が、着脱自在に置駒として形成され、アンダカット部及びこのアンダカット部に連続する開口部周辺領域の基材領域が、型締め時に置駒と干渉しない逃げ位置まで原位置から移動し得る基材可動部として形成されると共に、基材用真空吸引型に、基材可動部を逃げ位置から周壁を形成する前記原位置に駆動するアクチュエータが設けられたことを特徴とする。
表皮材用真空吸引型及び置駒間のパーティングラインを開口部の内部に形成するには、請求項3により、表皮材用真空吸引型の凸状型部分に、発泡層を圧縮させて型開きし得る程度に開口部に侵入した状態で着脱自在に置駒を着座させる凸状座部が形成される。基材可動部の構成としては、請求項4又は請求項5により、基材本体に対して回動可能に支持させるか、或は逃げ位置へ基材本体から分離状態で移動させる。
請求項1又は請求項2の発明によれば、表皮材の真空成形の前工程が不要となると共に、表皮が表皮材用真空吸引型の型面に沿って賦形されるために、表面品質が向上するだけでなく、意匠の制約が少なくなり、基材表面に対して非相似形状に形成することもできる。型開き可能にする軟質を利用して表皮材に基材形状と無関係に型締め方向に対して横方向の凸凹部もしくはアンダカット部が簡単に形成可能になる。また、内装品に表皮材用真空吸引型に対してアンダカット部を形成する周壁を備える開口部が形成されている場合でも、開口部基材に可動部が設けられることにより型締め時に表皮材用真空吸引型との干渉が回避され、型開きに際して置駒を残すことにより開口部の表皮材を傷めることがなくなる。また、この置駒により、スライドコア式と異なり、型締め時に一般面と同時に開口部に沿って軟化表皮材を変形させることができる。
請求項3の発明によれば、置駒周囲のパーティングラインが内装品の開口部内に形成され、その外観品質が確保される。請求項4又は請求項5の発明により、基材可動部は、残りの基材本体に一体成形又はピン支持によるヒンジを用いた回動式或はアクチュエータに付属のスライドコアへの分離装着もしくはスライド式により原位置で係合させる等の基材本体から分離移動式に構成される。
図1乃至図4を基に本発明の実施の形態による内装品の真空成形方法を前述したものと同一もしくは同等部分は同一符号で説明する。真空接着されるプレート状内装品は、図4により、デフロスタ8を収納するための周壁及び底面部付きの開口部であるデフロスタ収納部2a、メータフード9a等を備えた自動車のインストルメントパネル9とする。
一体成形用真空成形機として、 図1に示すように、表皮材10を扁平状に引張り支持するように、その周辺部をクランプするクランプ具18の下側に、基材4用の真空吸引型5が設けられると共に、上側にはその凸型5aに対向し、かつインストルメントパネル9の賦形すべき表皮全域の表面形状に対応する型面を有する電鋳による多孔性の凹型16aを備えた真空吸引型16が設けられている。雄型である基材用真空吸引型5及び雌型である表皮材用真空吸引型16は、付属の昇降装置(図示せず)によりクランプ具18に向けて上下動し、双方の連結具17,17aが凹凸連結することにより、型締めが行われる。クランプ具18の両側には、表皮材10を両側から加熱するヒータ19が配置され、型締め時には側方の逃げ位置に移動可能になっている。
熱可塑性の表皮材10は、TPO製の表皮11にPPフォーム製の発泡層12が溶着され、その裏面に熱溶融性のオレフィン系接着剤13が塗布され(図1A)、ロール状に巻回されて保管されている。発泡層12の裏面には、オレフィン系ホットメルトフィルムを熱ラミネートすることも考えられる。吸気路が分散形成された基材4は例えばPP製であり、デフロスタ収納部2aと相似形状のデフロスタ収納部4k、分散した吸気路(図示せず)等を備えるように射出成形される。このデフロスタ収納部は、図1乃至図3に示すように、プレート状基材4の一般面部4fに形成された開口部30から裏側に曲げられて下降した周壁31及び底面部35を有し、周壁31中の後面側は、表皮材用真空吸引型16に対して型開き方向がメータフード9aの開口部に沿った方向に設定されていることにより、周壁用アンダカット部31aを形成する。基材4の前述の吸気路に連通する凸型5aの吸気路(図示せず)及び真空吸引型16の吸引口16dには、それぞれ真空ポンプに接続して、両側から真空吸引を行う吸引手段を構成している。
表皮材用真空吸引型16の型面16bのデフロスタ収納部4kに対面する凸状型部分は、周壁31に対して一体成形用隙間を形成するように相似形状に型開き方向に対して傾斜した多孔質の置駒20として形成されている。即ち、凹型本体16gには、置駒20の型開き方向に沿った基部25を挿入させるように、型開き方向に凹部22が形成され、通気処理をされて基部25の端面に取付けられた磁性材25aが、凹部22の底面に設けられて同様に通気処理をされた磁石22aに着脱自在に吸着されるようになっている。型面16bは凸型5aの型面5bもしくは基材4の表面に対して大部分は相似形であるが、デフロスタ8の外周面の係合溝8aに対するアンダカット部12bを形成するように、置駒20の周面には凹状型面部26が形成されている。即ち、凸型5a及び凹型16aの型面は、型締め状態で基材4及び表皮材10に圧接し得るかもしくは略接触する離間距離を有するキャビティを形成するが、アンダカット部12bに対向する領域の周壁31は平坦状であり、非相似形状になっている。
図2及び図3に示すように、デフロスタ収納部4kの周壁用アンダカット部31aは、インテグラルヒンジ部35aを形成する底面部35の一部と、アンダカット部31aに連続し、かつ型締め時に置駒20と干渉する可能性のある開口部周辺領域30aとで、残りの基材本体に対して基材可動部39を形成している。開口部周辺領域30aは、基材4の一般面部4fに回動方向に斜めに切目4gを入れて分離され、その互いに対向する端縁には凹部34及び凸部33が形成されることにより、アンダカット部31aが周壁31を形成する原位置で互いに係合するようになっている。
基材可動部39を駆動するために、基材用真空吸引型5には、例えばソレノイドプランジャ49等のアクチュエータで進退駆動される付属のスライドコア40をガイドする空洞状のガイド部41が形成されている。これにより、前面が基材可動部39の外周面形状に一致するように形成されたスライドコア40が、所定のストロークだけ前進駆動されると、アンダカット部31aは原位置で周壁31を形成する。
表皮材10の基材4に対する一体成形の真空成形工程を図1を参照して説明する。所要の大きさの表皮材10(図1A)をクランプ具18で扁平状に支持すると共に、基材4をその裏面に沿った型面形状の真空吸引型5の凸型5aにセットする(図1B)。その際、デフロスタ収納部4kの基材可動部39は、置駒20を侵入させるように、ガイド部41内でインテグラルヒンジ部35aを支点として裏側の逃げ位置へ回動させておく。
次いで、表皮材10をヒータ19で加温処理して軟化状態にする。続いて、このヒータを逃がして真空吸引型5及び真空吸引型16を型締め方向に昇降させ、図2に示すように、置駒20が基材可動部39と干渉しない位置に下降してきた時点で、スライドコア40を所属のアクチュエータで前進駆動させ、図3に示すように、原位置を占めた状態で型締めする(図1C)と共に、吸引口16d並びに凸型5a及び基材4の吸気路に連通する吸気路から略同時に真空吸引を行う。
これにより、基材4には基材可動部39を含めて発泡層12がホットメルト型のオレフィン系接着剤13で密着状態に接着されると共に、表皮11は、置駒20を含めて全域にわたり多孔性の凹型16aの型面16bで緊密に吸着され、熱軟化状態の発泡層12を圧縮もしくは膨張させつつ型面16bに沿って賦形され、オールオレフィン3層のインストルメントパネル9が製作される。同時に、アンダカット部31aを含む周壁31の表皮材10の賦形も行われる。
凹状型面部26の近辺では、型締め時点で、表皮材10が表裏双方からの真空吸引により、表皮11の引張り変位及び発泡層12の膨張により、空洞が吸収されて凹状型面部26に沿って凸状にアンダカット部12bが形成される。さらに、基材4のプレート状一般面部4fのエアバッグドア部分に段差が生じても、対面する型面16bの領域は平坦であることにより段差が解消され、曲面状のコーナ部でのRだれも型面16bに沿った賦形により解消される。
冷却後の真空吸引型16の型開き時には、周壁用アンダカット部31aにより拘束されて、凹型本体16gから離脱して残された置駒20は、周壁31に沿って型開き方向に対して斜め方向に取出すことができ、その際アンダカット部12bが圧縮して撓み、型開きを許容する。
図5は、別の実施の形態によるインストルメントパネル9の基材4の一般面部4fに形成され、かつ部分的にアンダカット部を形成する底面部無しの周壁51付きの開口部50を示すもので、周壁用アンダカット部55は、型締め時に置駒20を干渉させないように、このアンダカット部に連続し、かつ一般面部4fから切目4hで分離された開口部周辺領域50aとで基材可動部59を形成している。残りの周壁の両側の端縁にはあり溝56が形成され、アンダカット部55の両側の表面に形成された断面ハの字形のレール57がスライド可能に係合している。これにより、基材可動部59は、同図Bに示す逃げ位置から付属のアクチュエータで型内ガイド部58に沿って前進駆動されることにより、あり溝56のストッパとして機能する上端56aに拘束されて、同図Aに示すように、開口部周辺領域50aが一般面部4fと同一面状の原位置を占めて周壁51を形成する。
図6は置駒の着脱自在構造を変更した別の実施の形態を説明する。デフロスタ収納部2aを形成するために基材可動部39付きのデフロスタ収納部4kに隙間を置いて対面する表皮材用真空吸引型の凸状型部分が、置駒20aと、発泡層12を圧縮させて型開きし得る程度に、開口部30に対応して賦形さる表皮材10の開口部30b内に侵入して着脱自在に置駒20aを着座させる凸状座部16kとより形成されている。置駒20aの裏面には型開き方向に突設された2本のピン29が凸状座部16kの対応形状の溝16mに挿入され、磁力により着脱自在に保持される。これにより、同図Bに示す型締め状態で置駒20aと表皮材用真空吸引型の本体側の凸状座部16kとのPLがデフレスタ収納部の内部に形成され、場合により段差、バリが発生しても目立たなくなる。尚、デフロスタが収納されるとパーティングラインは隠れるが、本発明はその他の周壁付きの開口部を形成する場合にも適用できる。凸状座部16kの突出量は、発泡層12を圧縮させて,表皮損傷の恐れなく型開きし得る範囲で基材4の開口部30に僅かに侵入させることもできる。
尚、周壁用アンダカット部は、ピン結合によるヒンジを用いたり、或は周壁から完全に分離してスライドコアに装着させておき、前進駆動により、残りの開口部周壁に凹凸係合させる等により可動式に構成することが考えられる。置駒は、磁力に依らず、弾性材を介して凹凸係合させる等の別の構成で着脱自在にすることも可能である。さらに、表皮としてはPVC(ポリ塩化ビニル)、発泡層には発泡PVC、基材にはPC(ポリカーボネート)/ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン三元共重合体)、或はASG(ガラス繊維強化アクリロニトリル・スチレン)等の合成樹脂を用いることもでき、基材に対する接着には溶剤蒸発型を用いることもできる。PP基材の場合、OR系又はオレフィン系接着剤を塗布することも考えられる。
本発明の実施の形態によるインストルメントパネルの表皮材の基材に対する真空成形機による真空成形工程を説明する図である。 同真空接着工程の途中状態を示す要部の断面図である。 同真空成形機のアンダカット部に対応する部分の断面図である。 同インストルメントパネルのアンダカット部の斜視図である。 本発明の別の実施の形態による真空成形機のアンダカット部に対応する部分の斜視図である。 別の実施の形態による置駒の装着構造を説明する断面図である。 従来のインストルメントパネルの表皮材の真空成形方法の成形過程を説明する図である。 インストルメントパネルの真空成形型に設けられた従来のスライドコアを説明する断面図である
符号の説明
4 基材
4k デフロスタ収納部
5 基材用真空吸引型
5a 凸型
8 デフロスタ
9 インストルメントパネル
10 表皮材
11 表皮
12 発泡層
13 オレフィン系接着剤
16 表皮材用真空吸引型
16a 凹型
16b 型面
16k 凸状座部
18 クランプ具
19 ヒータ
20,20a 置駒
22 置駒用の凹部
25 置駒の基部
30,30b,50 開口部
31,51 周壁
31a,55 周壁用アンダカット部
35a インテグラルヒンジ部
39,59 基材可動部
40 スライドコア

Claims (5)

  1. 扁平状に支持された熱可塑性の発泡層付き表皮材に対して上下方向の両側の一方に、吸気路が分散形成された基材がセットされた基材用真空吸引型が、他方には前記扁平状に対して賦形すべき表皮全域の表面形状に対応する型面を有する表皮材用真空吸引型が対向状態に設けられ、前記表皮材を加温処理により軟化させた状態で、前記基材用真空吸引型及び前記表皮材用真空吸引型を型締めして両側から真空吸引することにより、前記発泡層を前記基材に接着すると共に前記表皮材を前記表皮材用真空吸引型の前記型面に沿って賦形する内装品の真空成形方法において、前記基材の裏面側に突出する周壁付きで、かつその一部が前記表皮材用真空吸引型の脱型方向に対して負角になるアンダカット部を形成する開口部を備えた内装品を製作するための真空成形方法であって、
    前記表皮材用真空吸引型の前記開口部へ対応する凸状型部分を着脱自在に置駒として形成すると共に、前記アンダカット部及びこのアンダカット部に連続する前記開口部周辺領域の前記基材領域を前記型締め時に前記置駒と干渉しない逃げ位置まで原位置から移動し得る基材可動部として形成し、
    この基材可動部を前記逃げ位置に位置付けすると共に前記置駒を前記表皮材用真空吸引型に装着した状態で、前記表皮材を加温処理して型締めし、
    前記基材可動部を前記原位置に移動させて両側から真空吸引し、
    前記表皮材用真空吸引型の型開き後に前記置駒を前記内装品の前記開口部から外すことを特徴とする内装品の真空成形方法。
  2. 扁平状に支持された熱可塑性の発泡層付き表皮材に対して上下方向の両側の一方に、吸気路が分散形成された基材がセットされた基材用真空吸引型が、他方には前記扁平状に対して賦形すべき表皮全域の表面形状に対応する型面を有する表皮材用真空吸引型が対向状態に設けられ、前記表皮材を加温処理により軟化させた状態で、前記基材用真空吸引型及び前記表皮材用真空吸引型を型締めして両側から真空吸引することにより、前記発泡層を前記基材に接着すると共に前記表皮材を前記表皮材用真空吸引型の前記型面に沿って賦形する内装品の真空成形機において、前記基材の裏面側に突出する周壁付きで、かつその一部が前記表皮材用真空吸引型の型開き方向に対して負角になるアンダカット部を形成する開口部を備えた内装品を製作するための真空成形機であって、
    前記表皮材用真空吸引型の前記開口部へ対応する凸状型部分が、着脱自在に置駒として形成され、
    前記アンダカット部及びこのアンダカット部に連続する前記開口部周辺領域の前記基材領域が、前記型締め時に前記置駒と干渉しない逃げ位置まで原位置から移動し得る基材可動部として形成されると共に、前記基材用真空吸引型に、前記基材可動部を前記逃げ位置から前記周壁を形成する前記原位置に駆動するアクチュエータが設けられたことを特徴とする内装品の真空成形機。
  3. 表皮材用真空吸引型の凸状型部分に、発泡層を圧縮させて型開きし得る程度に開口部に侵入した状態で、着脱自在に置駒を着座させる凸状座部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の内装品の真空成形機。
  4. 基材可動部が、基材本体に対して回動可能に支持されることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の内装品の真空成形機。
  5. 基材可動部が、逃げ位置へ基材本体から分離状態で移動することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の内装品の真空成形機。
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