JP2004215562A - 飲食物用添加剤、医薬組成物、glut4トランスロケート剤及びトランスロケート方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲食物用添加剤、これを含む飲料及び食料、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防のための医薬組成物、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせるためのGLUT4トランスロケート剤、並びに、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病はインスリン作用の不足に起因する慢性の高血糖を主徴とする代謝異常疾患群であり、インスリンを合成・分泌する膵ランゲルハンス島β細胞の破壊消失に基づく1型糖尿病と、インスリン分泌低下を招く素因に遺伝的素因や、過食、肥満、ストレス等の環境因子が加わって発症する2型糖尿病に大別される。
【0003】
糖尿病の治療のためにインスリンが用いられるが、インスリンは経口による吸収が困難なために投与は注射によらなければならない。したがって、注射による投与よりも簡便な経口血糖降下薬(スルホニル尿素薬、ビグアナイド薬、α−グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン誘導体、フェニルアラニン誘導体等)が、特に2型糖尿病用に開発されている(非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】
「糖尿病治療ガイド2002−2003」日本糖尿病学会編、文光堂発行、2002年5月9日発行第1版第1刷
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような既存の経口血糖降下薬は、投与後に低血糖を発症させやすく、低血糖により手指振戦、顔面蒼白、意識レベルの低下、けいれん、昏睡等が生じてしまうため、かかる症状が生じた場合に備えてブドウ糖やブドウ糖を含む飲料等を常に携帯する必要がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、経口で投与することができ、投与後に低血糖を生じ難い、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防に適用可能な材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、コロソリン酸及びその類縁化合物を飲食物用添加剤や医薬組成物として用いたときに、上記目的が達成可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を含有する飲食物用添加剤を提供する。
【化9】
[式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に単糖類単位1〜10個からなるグリコシド基、水酸基又は水素原子を示し、R5はカルボキシル基、メチル基、メチロール基、ホルミル基又は−COR10で表される基を示し、R6、R7及びR8はそれぞれ独立にメチル基又は水素原子を示す。但し、R10は単糖類単位1〜10個からなるグリコシド基であり、R6、R7及びR8のうち2つはメチル基である。]
【0009】
本発明はまた、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分とする、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防のための医薬組成物を提供する。なお、上記飲食物用添加剤及び医薬組成物における一般式(1)で表される化合物又はその塩はバナバ葉に由来するものであることが好ましい。
【0010】
上記飲食物用添加剤及び医薬組成物は経口投与が可能であり、糖尿病患者に投与した場合に低血糖の問題が生じ難い。一般に、食物を摂取した直後には血糖値が急激に上昇し、体内から分泌されたインスリンがその血糖値上昇を抑える役割を果たしているが、インスリンは急激な血糖値上昇からやや遅れて分泌されるために、食後の急激な血糖値上昇にすばやく対応できない。かかる事情は糖尿病患者に限らず健常者でも同様である。そして、このような時間差が、血管内の血糖値を急激な上昇を阻止しきれず、コレステロールを増加させたり、循環器系の疾患や、腎臓への負担増、視神経への悪影響を引き起こしている。
【0011】
上記飲食物用添加剤及び医薬組成物は、上述した時間差の問題を解消できるという優れた効果を奏する。細胞内への糖の取り込みは糖輸送担体タイプ4(GLUT4)が細胞膜上にトランスロケートすることにより行われるが、上記飲食物用添加剤及び医薬組成物の主成分である一般式(1)で表される化合物又はその塩は、GLUT4の細胞膜上へのトランスロケーションを促進することが今回新たに見出された。したがって、食事に先立って一般式(1)で表される化合物又はその塩を含む組成物を経口投与することにより、あらかじめ細胞膜上へGLUT4をトランスロケートさせておき、その状態で食事を摂取させることにより、上記時間差の問題を解決して急激な血糖値上昇を防止することができる。
【0012】
すなわち、本発明よれば、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分とする、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせるためのGLUT4トランスロケート剤が提供され、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を含有する組成物を食前に経口投与する、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせる方法が提供される。
【0013】
上記飲食物用添加剤、医薬組成物、GLUT4トランスロケート剤並びにトランスロケートさせる方法においては、一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の組み合わせが、(a)R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、(b)R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子、(c)R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、又は、(d)R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であることが好ましく、上記(a)が特に好ましい。
【0014】
上記飲食物用添加剤、医薬組成物、GLUT4トランスロケート剤並びにトランスロケートさせる方法においては、一般式(1)に該当する複数の化合物を組み合わせて用いることができる。すなわち、一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であるマスリン酸、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であるウルソール酸、及び、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であるオレアソール酸、からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物又はその塩と、一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であるコロソリン酸又はその塩と、を含有する組成物を適用可能である。この場合において、0.1〜10重量部のマスリン酸、0.1〜10重量部のウルソール酸及び0.1〜10重量部のオレアソール酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物又はその塩と、100重量部のコロソリン酸又はその塩とを組み合わせることが好ましい。
【0015】
なお、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩は、バナバ葉に由来するものが好適である。また、上記飲食物用組成物を含有させることにより、食前に経口摂取して血糖値の急上昇を防止可能な飲料又は食料を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において適用される一般式(1)で表される化合物及びその塩について、好適な実施形態を先ず説明する。
【0017】
一般式(1)で表される化合物においては、R1、R2、R3及びR4として単糖類単位1〜10個からなるグリコシド基が適用でき、R5である−COR10のR10としても単糖類単位1〜10個からなるグリコシド基が適用できる。すなわち、一般式(1)で表される化合物は配糖体であってもよい。この場合におけるグリコシド基は単糖体単位(単糖体を構成する炭素数には制限はない。)を1〜6個備えることが好ましく、1〜3個備えることが好ましい。
【0018】
一般式(1)で表される化合物としては、コロソリン酸及びその類縁化合物が特に好ましい。すなわち、コロソリン酸(R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であり、下記式(1a)で表される。)、マスリン酸(R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であり、下記式(1b)で表される。)、ウルソール酸(R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であり、下記式(1c)で表される。)、オレアソール酸(R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であり、下記式(1d)で表される。)が好ましい。
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0019】
上記の中では、コロソリン酸が最も好ましく、マスリン酸、ウルソール酸及びオレアソール酸の少なくとも一つ(好ましくはマスリン酸及び/又はウルソール酸)とコロソリン酸とを組み合わせることもできる。組み合わせる場合においては、コロソリン酸100重量部に対して、マスリン酸、ウルソール酸及びオレアソール酸の少なくとも一つを、各0.1〜10重量部、好ましくは各1〜10重量部、より好ましくは各5〜10重量部用いることが好適である。
【0020】
なお、一般式(1)で表される化合物は塩を形成していてもよく、そのような塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等の金属塩が挙げられる。
【0021】
一般式(1)で表される化合物は、バナバ葉(Lagerstroemia Speciosa、 Linn.又はPers.)に由来するものが好ましい。特に、コロソリン酸、マスリン酸、ウルソール酸及びオレアソール酸は、バナバ葉から抽出して得ることが好適である。バナバ葉から一般式(1)で表される化合物を得る場合は、バナバ葉をアルコール等で抽出してバナバエキスを得(必要により更に濃縮してバナバエキス濃縮物としてもよい)、このエキスを精製する方法を採用することが好適である。
【0022】
抽出はバナバ葉の生葉又は乾燥物を用いることが好ましく、生葉の乾燥方法としては、自然乾燥、風乾、強制乾燥等の方法が採用できる。乾燥は、いわゆるトーステッドドライにより水分含量が20重量%以下、好ましくは10重量%以下となるように行うのが、微生物の生育を防止しかつ保存安定性のために望ましい。乾燥したバナバ葉は、そのまま抽出してもよいが粉砕又は細断して抽出してもよい。
【0023】
以上のように調製したバナバ葉を、熱水又はメタノール、エタノール等のアルコール等の抽出溶媒で抽出してバナバエキスを得ることができるが、この場合においては、エキス中にコロソリン酸及びコロソリン酸類縁化合物(マスリン酸、ウルソール酸、オレアソール酸等)が一定の割合で含有されるような条件を採用することが好ましい。このような抽出方法としては、以下の方法1〜3が例示できる。
【0024】
方法1:乾燥したバナバ葉の粉砕化物(原料)にエタノール又はエタノール水溶液(エタノール含量50〜80重量%)を原料に対して5〜20重量倍、好ましくは8〜10重量倍加えて、常温〜90℃好ましくは約50〜85℃の温度で30分〜2時間加熱還流する。この抽出を2〜3回繰り返す。
【0025】
方法2:乾燥したバナバ葉の粉砕化物に対して3〜20重量倍のメタノール又はメタノール水溶液(メタノール含量50〜90重量%)を加え、方法1と同様に加熱還流して抽出する。抽出の操作は、常温〜65℃の範囲の温度で30分〜2時間実施するのが好適である。抽出操作は1回に限らず2回以上繰り返して行うことができる。
【0026】
方法3:乾燥したバナバ葉の粉砕化物に対して3〜20重量倍の熱水を加え、50〜90℃、好ましくは60〜85℃の温度で30分〜2時間加熱還流して抽出を行う。
【0027】
上記したバナバエキスの抽出の方法1〜3は、適宜組み合わせることもできる。例えば、方法1及び方法2を組み合わせて実施することもできる。これらの方法のうち、好ましいのは方法1及び方法2であり、特に好ましいのは方法1である。
【0028】
このようにして得られたバナバエキスから、一般式(1)で表される化合物を精製するが、この精製は公知の手法が採用できる。例えば、コロソリン酸を精製する場合は以下の手段を採用することが好適である。
【0029】
すなわち、バナバエキスを水に懸濁した後、エーテルやヘキサン等に分配して先ず低極性成分を除く。水層をダイアイオンHP−20カラムクロマトグラフィー等を用いて、水、メタノール及びアセトンにて順次溶出する。さらにコロソリン酸が含まれているメタノール溶出画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび高速液体クロマトグラフィーにて分離、精製を行い,コロソリン酸を単離する。エーテルやヘキサン等で低極性成分を除き,ダイアイオンHP−20カラムクロマトグラフィー等で分離した方が精製は容易であるが(特にエキス量が多い場合)、必ずしも必須ではなく、抽出エキスを直接シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分離し、最終的に高速液体クロマトグラフィーにて精製をすることも可能である。
【0030】
本発明の飲食物用添加剤、医薬組成物及びGLUT4トランスロケート剤は、一般式(1)で表される化合物を含有していればよく、その含有量は任意である。但し、少量の使用によりより確実な効果を得るために、本発明の飲食物用添加剤、医薬組成物及びGLUT4トランスロケート剤は、一般式(1)で表される化合物のみからなることが好ましい。なお、一般式(1)で表される化合物は単一種を用いても複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
飲食物用添加剤、医薬組成物及びGLUT4トランスロケート剤は、ヒト又は非ヒト動物に適用可能である。適用対象は糖尿病を発症した患者又は患畜であっても、糖尿病を発症していない患者又は患畜であってもよい。
【0032】
飲食物用添加剤、医薬組成物及びGLUT4トランスロケート剤は、食前に経口投与することが好ましいが、投与のタイミングは食事時間に糖輸送担体タイプ4(GLUT4)が細胞膜上にトランスロケートするように、個体に合わせて調整することが好適である。例えば、ヒトの場合は、食事を開始する0分〜2時間前が好適である。また、投与量は適用対象の体重60kg当たり、0.1〜1000mgが好ましい。
【0033】
飲食物用添加剤は、例えば、水、清涼飲料水、果汁飲料、乳飲料、アルコール飲料等の飲料や、パン類、麺類、米類、豆腐、乳製品、醤油、味噌、菓子類等の食品に添加して用いることができる。添加量は、投与量が適用対象の体重60kg当たり、0.1〜1000mgとなるように調整することが好ましい。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
(コロソリン酸の投与によるKK−Ayマウスの血糖値)
被検動物として、2型糖尿病モデル動物のひとつであるKK−Ayマウス(日本クレア株式会社)を用いた。かかるKK−Ayマウスは、6〜10週齢で、血糖値は300mg/dLであった。バナバ葉から抽出・精製されたコロソリン酸を、注射筒及びマウス用経口ゾンデを用いてKK−Ayマウスに強制的に投与した。
【0036】
投与後2時間、4時間及び7時間に、眼窩静脈叢採血法により採血を行い、グルコースオキシダーゼ法により血糖を測定した。なお、血糖値の測定は4匹のKK−Ayマウスで行い、平均値を求めるとともに、Student’sのt検定を用いて検定を行った。得られた結果(血糖値の経時変化)を図1に示す。なお、図1において血糖値のデータは平均値±標準誤差で示し、Student’sのt検定においてp値が0.05以下のものを有意とした(有意のものは図に*印を記載した。以下同様。)。
【0037】
図1から明らかなように、コロソリン酸投与群は投与後4時間においてKK−Ayマウスの血糖値を有意に低下させることがわかった。また、コロソリン酸投与後4時間における血糖値は約280mg/dLであり、コロソリン酸を投与することにより、低血糖(血糖値60mg/dL以下)にならない範囲で、血糖を低下させることが可能であることがわかった。
【0038】
(コロソリン酸の投与によるKK−Ayマウスの血清インスリン値)
上記「コロソリン酸の投与によるKK−Ayマウスの血糖値」におけるコロソリン酸投与群及びコロソリン酸非投与群のKK−Ayマウスについて、投与4時間後に血清インスリン値を測定した。血清インスリンの測定は、酵素2抗体法により行い、Student’sのt検定において有意差が現れるかどうか上記と同様の基準で評価した。得られた結果を図2に示すが、コロソリン酸投与群の血清インスリン値はコントロールと比較して有意ではなく、血清インスリン自体は変化していないことがわかった。
【0039】
(コロソリン酸がマウス骨格筋のGLUT4に及ぼす影響)
細胞内への糖の取り込みは,細胞膜上の糖輸送担体(GLUT)と呼ばれる輸送系担体タンパクによって行われる。筋肉には糖輸送担体タイプ1(GLUT1)及びタイプ4(GLUT4)があるが、そのうちGLUT4は低密度ミクロソーム画分(LDM)から血漿膜(PM)に移行し、糖取り込み活性を示すことが知られている。この細胞内局在の変化はGLUT4のトランスロケーションと呼ばれており、筋肉や脂肪組織においてグルコースの顕著な増加が起こるのは、GLUT4のトランスロケーションが主な役割を担っていると考えられている。そこで、コロソリン酸がGLUT4に及ぼす影響を検討した。
【0040】
先ず、Klipらの方法(FEBS Lett., 224, 224−230 (1987), Biochem. Biophys. Res. Commum., 172, 728−736 (1990))に準じて、スクロース濃度勾配により、低密度ミクロソーム(LDM)画分及び血漿膜(PM)画分を調製した。そして、コロソリン酸投与群及びコントロール群のKK−Ayマウスについて、投与後4時間に、ウエスタンブロット解析することにより、PM画分及びLDM画分におけるGLUT4の相対量を測定した。図3にPM画分におけるGLUT4の相対量(%)を示し、図4にLDM画分におけるGLUT4の相対量(%)を示す。図3及び4から明らかなように、コロソリン酸は低密度ミクロソームのGLUT4を減少させ、血漿膜画分のGLUT4を増加させていること、すなわち、GLUT4が細胞膜上にトランスロケートしたことがわかった。これは、ウエスタンブロット法を用いた実験(ECL法)により、コロソリン酸投与群の方が濃いスポットとして観測されたことからも確認された(図5)。
【0041】
(コロソリン酸の投与によるddYマウスの血糖値)
2型糖尿病モデル動物であるKK−Ayマウスに代えて、正常マウスであるddYマウス(日本エスエルシー株式会社)を用いた他は、上記「コロソリン酸の投与によるKK−Ayマウスの血糖値」に記載の方法と同様にして、血糖値を求めた。
【0042】
得られた結果(血糖値の経時変化)を図6に示すが、投与後2時間、4時間、7時間のいずれにおいても有意差は見られず、コロソリン酸は糖尿病に特異的に働くことが示された。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、経口で投与することができ、投与後に低血糖を生じ難い、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防に適用可能な材料(化合物)が提供される。かかる化合物は上記一般式(1)で表される化合物又はその塩であり、飲食物用添加剤、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防のための医薬組成物、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせるためのGLUT4トランスロケート剤として用いることができ、飲食物用添加剤を添加することにより、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防の効果を奏する飲料又は食料を得ることもできる。
【0044】
また、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を食前に経口投与することにより、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせることができるため、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防の効果が発揮される。
【0045】
上記一般式(1)で表される化合物又はその塩はバナバ葉からの抽出で得ることが可能であり、安価な処方を組むことができる。そして、連続使用した場合であっても副作用等の心配がなく安全性が高い。更には、微量で効果があり、大量に服用しても副作用が認められない。
【図面の簡単な説明】
【図1】コロソリン酸又は比較対照物(コントロール)の投与によるKK−Ayマウスの血糖値の経時変化を示す図である。
【図2】コロソリン酸又は比較対照物(コントロール)の投与によるKK−Ayマウスの血清インスリン値を示す図である。
【図3】コロソリン酸又は比較対照物(コントロール)の投与によるKK−AyマウスのPM画分におけるGLUT4の相対量(%)を示す図である。
【図4】コロソリン酸又は比較対照物(コントロール)の投与によるKK−AyマウスのLDM画分におけるGLUT4の相対量(%)を示す図である。
【図5】ウエスタンブロットの結果を示す図である。
【図6】コロソリン酸又は比較対照物(コントロール)の投与によるddYマウスの血糖値の経時変化を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲食物用添加剤、これを含む飲料及び食料、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防のための医薬組成物、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせるためのGLUT4トランスロケート剤、並びに、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病はインスリン作用の不足に起因する慢性の高血糖を主徴とする代謝異常疾患群であり、インスリンを合成・分泌する膵ランゲルハンス島β細胞の破壊消失に基づく1型糖尿病と、インスリン分泌低下を招く素因に遺伝的素因や、過食、肥満、ストレス等の環境因子が加わって発症する2型糖尿病に大別される。
【0003】
糖尿病の治療のためにインスリンが用いられるが、インスリンは経口による吸収が困難なために投与は注射によらなければならない。したがって、注射による投与よりも簡便な経口血糖降下薬(スルホニル尿素薬、ビグアナイド薬、α−グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン誘導体、フェニルアラニン誘導体等)が、特に2型糖尿病用に開発されている(非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】
「糖尿病治療ガイド2002−2003」日本糖尿病学会編、文光堂発行、2002年5月9日発行第1版第1刷
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような既存の経口血糖降下薬は、投与後に低血糖を発症させやすく、低血糖により手指振戦、顔面蒼白、意識レベルの低下、けいれん、昏睡等が生じてしまうため、かかる症状が生じた場合に備えてブドウ糖やブドウ糖を含む飲料等を常に携帯する必要がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、経口で投与することができ、投与後に低血糖を生じ難い、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防に適用可能な材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、コロソリン酸及びその類縁化合物を飲食物用添加剤や医薬組成物として用いたときに、上記目的が達成可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を含有する飲食物用添加剤を提供する。
【化9】
[式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に単糖類単位1〜10個からなるグリコシド基、水酸基又は水素原子を示し、R5はカルボキシル基、メチル基、メチロール基、ホルミル基又は−COR10で表される基を示し、R6、R7及びR8はそれぞれ独立にメチル基又は水素原子を示す。但し、R10は単糖類単位1〜10個からなるグリコシド基であり、R6、R7及びR8のうち2つはメチル基である。]
【0009】
本発明はまた、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分とする、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防のための医薬組成物を提供する。なお、上記飲食物用添加剤及び医薬組成物における一般式(1)で表される化合物又はその塩はバナバ葉に由来するものであることが好ましい。
【0010】
上記飲食物用添加剤及び医薬組成物は経口投与が可能であり、糖尿病患者に投与した場合に低血糖の問題が生じ難い。一般に、食物を摂取した直後には血糖値が急激に上昇し、体内から分泌されたインスリンがその血糖値上昇を抑える役割を果たしているが、インスリンは急激な血糖値上昇からやや遅れて分泌されるために、食後の急激な血糖値上昇にすばやく対応できない。かかる事情は糖尿病患者に限らず健常者でも同様である。そして、このような時間差が、血管内の血糖値を急激な上昇を阻止しきれず、コレステロールを増加させたり、循環器系の疾患や、腎臓への負担増、視神経への悪影響を引き起こしている。
【0011】
上記飲食物用添加剤及び医薬組成物は、上述した時間差の問題を解消できるという優れた効果を奏する。細胞内への糖の取り込みは糖輸送担体タイプ4(GLUT4)が細胞膜上にトランスロケートすることにより行われるが、上記飲食物用添加剤及び医薬組成物の主成分である一般式(1)で表される化合物又はその塩は、GLUT4の細胞膜上へのトランスロケーションを促進することが今回新たに見出された。したがって、食事に先立って一般式(1)で表される化合物又はその塩を含む組成物を経口投与することにより、あらかじめ細胞膜上へGLUT4をトランスロケートさせておき、その状態で食事を摂取させることにより、上記時間差の問題を解決して急激な血糖値上昇を防止することができる。
【0012】
すなわち、本発明よれば、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分とする、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせるためのGLUT4トランスロケート剤が提供され、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を含有する組成物を食前に経口投与する、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせる方法が提供される。
【0013】
上記飲食物用添加剤、医薬組成物、GLUT4トランスロケート剤並びにトランスロケートさせる方法においては、一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の組み合わせが、(a)R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、(b)R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子、(c)R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、又は、(d)R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であることが好ましく、上記(a)が特に好ましい。
【0014】
上記飲食物用添加剤、医薬組成物、GLUT4トランスロケート剤並びにトランスロケートさせる方法においては、一般式(1)に該当する複数の化合物を組み合わせて用いることができる。すなわち、一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であるマスリン酸、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であるウルソール酸、及び、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であるオレアソール酸、からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物又はその塩と、一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であるコロソリン酸又はその塩と、を含有する組成物を適用可能である。この場合において、0.1〜10重量部のマスリン酸、0.1〜10重量部のウルソール酸及び0.1〜10重量部のオレアソール酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物又はその塩と、100重量部のコロソリン酸又はその塩とを組み合わせることが好ましい。
【0015】
なお、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩は、バナバ葉に由来するものが好適である。また、上記飲食物用組成物を含有させることにより、食前に経口摂取して血糖値の急上昇を防止可能な飲料又は食料を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において適用される一般式(1)で表される化合物及びその塩について、好適な実施形態を先ず説明する。
【0017】
一般式(1)で表される化合物においては、R1、R2、R3及びR4として単糖類単位1〜10個からなるグリコシド基が適用でき、R5である−COR10のR10としても単糖類単位1〜10個からなるグリコシド基が適用できる。すなわち、一般式(1)で表される化合物は配糖体であってもよい。この場合におけるグリコシド基は単糖体単位(単糖体を構成する炭素数には制限はない。)を1〜6個備えることが好ましく、1〜3個備えることが好ましい。
【0018】
一般式(1)で表される化合物としては、コロソリン酸及びその類縁化合物が特に好ましい。すなわち、コロソリン酸(R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であり、下記式(1a)で表される。)、マスリン酸(R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であり、下記式(1b)で表される。)、ウルソール酸(R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であり、下記式(1c)で表される。)、オレアソール酸(R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であり、下記式(1d)で表される。)が好ましい。
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0019】
上記の中では、コロソリン酸が最も好ましく、マスリン酸、ウルソール酸及びオレアソール酸の少なくとも一つ(好ましくはマスリン酸及び/又はウルソール酸)とコロソリン酸とを組み合わせることもできる。組み合わせる場合においては、コロソリン酸100重量部に対して、マスリン酸、ウルソール酸及びオレアソール酸の少なくとも一つを、各0.1〜10重量部、好ましくは各1〜10重量部、より好ましくは各5〜10重量部用いることが好適である。
【0020】
なお、一般式(1)で表される化合物は塩を形成していてもよく、そのような塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等の金属塩が挙げられる。
【0021】
一般式(1)で表される化合物は、バナバ葉(Lagerstroemia Speciosa、 Linn.又はPers.)に由来するものが好ましい。特に、コロソリン酸、マスリン酸、ウルソール酸及びオレアソール酸は、バナバ葉から抽出して得ることが好適である。バナバ葉から一般式(1)で表される化合物を得る場合は、バナバ葉をアルコール等で抽出してバナバエキスを得(必要により更に濃縮してバナバエキス濃縮物としてもよい)、このエキスを精製する方法を採用することが好適である。
【0022】
抽出はバナバ葉の生葉又は乾燥物を用いることが好ましく、生葉の乾燥方法としては、自然乾燥、風乾、強制乾燥等の方法が採用できる。乾燥は、いわゆるトーステッドドライにより水分含量が20重量%以下、好ましくは10重量%以下となるように行うのが、微生物の生育を防止しかつ保存安定性のために望ましい。乾燥したバナバ葉は、そのまま抽出してもよいが粉砕又は細断して抽出してもよい。
【0023】
以上のように調製したバナバ葉を、熱水又はメタノール、エタノール等のアルコール等の抽出溶媒で抽出してバナバエキスを得ることができるが、この場合においては、エキス中にコロソリン酸及びコロソリン酸類縁化合物(マスリン酸、ウルソール酸、オレアソール酸等)が一定の割合で含有されるような条件を採用することが好ましい。このような抽出方法としては、以下の方法1〜3が例示できる。
【0024】
方法1:乾燥したバナバ葉の粉砕化物(原料)にエタノール又はエタノール水溶液(エタノール含量50〜80重量%)を原料に対して5〜20重量倍、好ましくは8〜10重量倍加えて、常温〜90℃好ましくは約50〜85℃の温度で30分〜2時間加熱還流する。この抽出を2〜3回繰り返す。
【0025】
方法2:乾燥したバナバ葉の粉砕化物に対して3〜20重量倍のメタノール又はメタノール水溶液(メタノール含量50〜90重量%)を加え、方法1と同様に加熱還流して抽出する。抽出の操作は、常温〜65℃の範囲の温度で30分〜2時間実施するのが好適である。抽出操作は1回に限らず2回以上繰り返して行うことができる。
【0026】
方法3:乾燥したバナバ葉の粉砕化物に対して3〜20重量倍の熱水を加え、50〜90℃、好ましくは60〜85℃の温度で30分〜2時間加熱還流して抽出を行う。
【0027】
上記したバナバエキスの抽出の方法1〜3は、適宜組み合わせることもできる。例えば、方法1及び方法2を組み合わせて実施することもできる。これらの方法のうち、好ましいのは方法1及び方法2であり、特に好ましいのは方法1である。
【0028】
このようにして得られたバナバエキスから、一般式(1)で表される化合物を精製するが、この精製は公知の手法が採用できる。例えば、コロソリン酸を精製する場合は以下の手段を採用することが好適である。
【0029】
すなわち、バナバエキスを水に懸濁した後、エーテルやヘキサン等に分配して先ず低極性成分を除く。水層をダイアイオンHP−20カラムクロマトグラフィー等を用いて、水、メタノール及びアセトンにて順次溶出する。さらにコロソリン酸が含まれているメタノール溶出画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび高速液体クロマトグラフィーにて分離、精製を行い,コロソリン酸を単離する。エーテルやヘキサン等で低極性成分を除き,ダイアイオンHP−20カラムクロマトグラフィー等で分離した方が精製は容易であるが(特にエキス量が多い場合)、必ずしも必須ではなく、抽出エキスを直接シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分離し、最終的に高速液体クロマトグラフィーにて精製をすることも可能である。
【0030】
本発明の飲食物用添加剤、医薬組成物及びGLUT4トランスロケート剤は、一般式(1)で表される化合物を含有していればよく、その含有量は任意である。但し、少量の使用によりより確実な効果を得るために、本発明の飲食物用添加剤、医薬組成物及びGLUT4トランスロケート剤は、一般式(1)で表される化合物のみからなることが好ましい。なお、一般式(1)で表される化合物は単一種を用いても複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
飲食物用添加剤、医薬組成物及びGLUT4トランスロケート剤は、ヒト又は非ヒト動物に適用可能である。適用対象は糖尿病を発症した患者又は患畜であっても、糖尿病を発症していない患者又は患畜であってもよい。
【0032】
飲食物用添加剤、医薬組成物及びGLUT4トランスロケート剤は、食前に経口投与することが好ましいが、投与のタイミングは食事時間に糖輸送担体タイプ4(GLUT4)が細胞膜上にトランスロケートするように、個体に合わせて調整することが好適である。例えば、ヒトの場合は、食事を開始する0分〜2時間前が好適である。また、投与量は適用対象の体重60kg当たり、0.1〜1000mgが好ましい。
【0033】
飲食物用添加剤は、例えば、水、清涼飲料水、果汁飲料、乳飲料、アルコール飲料等の飲料や、パン類、麺類、米類、豆腐、乳製品、醤油、味噌、菓子類等の食品に添加して用いることができる。添加量は、投与量が適用対象の体重60kg当たり、0.1〜1000mgとなるように調整することが好ましい。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
(コロソリン酸の投与によるKK−Ayマウスの血糖値)
被検動物として、2型糖尿病モデル動物のひとつであるKK−Ayマウス(日本クレア株式会社)を用いた。かかるKK−Ayマウスは、6〜10週齢で、血糖値は300mg/dLであった。バナバ葉から抽出・精製されたコロソリン酸を、注射筒及びマウス用経口ゾンデを用いてKK−Ayマウスに強制的に投与した。
【0036】
投与後2時間、4時間及び7時間に、眼窩静脈叢採血法により採血を行い、グルコースオキシダーゼ法により血糖を測定した。なお、血糖値の測定は4匹のKK−Ayマウスで行い、平均値を求めるとともに、Student’sのt検定を用いて検定を行った。得られた結果(血糖値の経時変化)を図1に示す。なお、図1において血糖値のデータは平均値±標準誤差で示し、Student’sのt検定においてp値が0.05以下のものを有意とした(有意のものは図に*印を記載した。以下同様。)。
【0037】
図1から明らかなように、コロソリン酸投与群は投与後4時間においてKK−Ayマウスの血糖値を有意に低下させることがわかった。また、コロソリン酸投与後4時間における血糖値は約280mg/dLであり、コロソリン酸を投与することにより、低血糖(血糖値60mg/dL以下)にならない範囲で、血糖を低下させることが可能であることがわかった。
【0038】
(コロソリン酸の投与によるKK−Ayマウスの血清インスリン値)
上記「コロソリン酸の投与によるKK−Ayマウスの血糖値」におけるコロソリン酸投与群及びコロソリン酸非投与群のKK−Ayマウスについて、投与4時間後に血清インスリン値を測定した。血清インスリンの測定は、酵素2抗体法により行い、Student’sのt検定において有意差が現れるかどうか上記と同様の基準で評価した。得られた結果を図2に示すが、コロソリン酸投与群の血清インスリン値はコントロールと比較して有意ではなく、血清インスリン自体は変化していないことがわかった。
【0039】
(コロソリン酸がマウス骨格筋のGLUT4に及ぼす影響)
細胞内への糖の取り込みは,細胞膜上の糖輸送担体(GLUT)と呼ばれる輸送系担体タンパクによって行われる。筋肉には糖輸送担体タイプ1(GLUT1)及びタイプ4(GLUT4)があるが、そのうちGLUT4は低密度ミクロソーム画分(LDM)から血漿膜(PM)に移行し、糖取り込み活性を示すことが知られている。この細胞内局在の変化はGLUT4のトランスロケーションと呼ばれており、筋肉や脂肪組織においてグルコースの顕著な増加が起こるのは、GLUT4のトランスロケーションが主な役割を担っていると考えられている。そこで、コロソリン酸がGLUT4に及ぼす影響を検討した。
【0040】
先ず、Klipらの方法(FEBS Lett., 224, 224−230 (1987), Biochem. Biophys. Res. Commum., 172, 728−736 (1990))に準じて、スクロース濃度勾配により、低密度ミクロソーム(LDM)画分及び血漿膜(PM)画分を調製した。そして、コロソリン酸投与群及びコントロール群のKK−Ayマウスについて、投与後4時間に、ウエスタンブロット解析することにより、PM画分及びLDM画分におけるGLUT4の相対量を測定した。図3にPM画分におけるGLUT4の相対量(%)を示し、図4にLDM画分におけるGLUT4の相対量(%)を示す。図3及び4から明らかなように、コロソリン酸は低密度ミクロソームのGLUT4を減少させ、血漿膜画分のGLUT4を増加させていること、すなわち、GLUT4が細胞膜上にトランスロケートしたことがわかった。これは、ウエスタンブロット法を用いた実験(ECL法)により、コロソリン酸投与群の方が濃いスポットとして観測されたことからも確認された(図5)。
【0041】
(コロソリン酸の投与によるddYマウスの血糖値)
2型糖尿病モデル動物であるKK−Ayマウスに代えて、正常マウスであるddYマウス(日本エスエルシー株式会社)を用いた他は、上記「コロソリン酸の投与によるKK−Ayマウスの血糖値」に記載の方法と同様にして、血糖値を求めた。
【0042】
得られた結果(血糖値の経時変化)を図6に示すが、投与後2時間、4時間、7時間のいずれにおいても有意差は見られず、コロソリン酸は糖尿病に特異的に働くことが示された。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、経口で投与することができ、投与後に低血糖を生じ難い、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防に適用可能な材料(化合物)が提供される。かかる化合物は上記一般式(1)で表される化合物又はその塩であり、飲食物用添加剤、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防のための医薬組成物、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせるためのGLUT4トランスロケート剤として用いることができ、飲食物用添加剤を添加することにより、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防の効果を奏する飲料又は食料を得ることもできる。
【0044】
また、上記一般式(1)で表される化合物又はその塩を食前に経口投与することにより、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせることができるため、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防の効果が発揮される。
【0045】
上記一般式(1)で表される化合物又はその塩はバナバ葉からの抽出で得ることが可能であり、安価な処方を組むことができる。そして、連続使用した場合であっても副作用等の心配がなく安全性が高い。更には、微量で効果があり、大量に服用しても副作用が認められない。
【図面の簡単な説明】
【図1】コロソリン酸又は比較対照物(コントロール)の投与によるKK−Ayマウスの血糖値の経時変化を示す図である。
【図2】コロソリン酸又は比較対照物(コントロール)の投与によるKK−Ayマウスの血清インスリン値を示す図である。
【図3】コロソリン酸又は比較対照物(コントロール)の投与によるKK−AyマウスのPM画分におけるGLUT4の相対量(%)を示す図である。
【図4】コロソリン酸又は比較対照物(コントロール)の投与によるKK−AyマウスのLDM画分におけるGLUT4の相対量(%)を示す図である。
【図5】ウエスタンブロットの結果を示す図である。
【図6】コロソリン酸又は比較対照物(コントロール)の投与によるddYマウスの血糖値の経時変化を示す図である。
Claims (27)
- 前記一般式(1)において前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の組み合わせが、
R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、
R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子、
R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、又は、
R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子、
である請求項1記載の飲食物用添加剤。 - 前記一般式(1)において前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の組み合わせが、
R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、
である請求項1記載の飲食物用添加剤。 - 下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であるマスリン酸、
下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であるウルソール酸、及び、
下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であるオレアソール酸、
からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物又はその塩と、
下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であるコロソリン酸又はその塩と、
を含有する飲食物用添加剤。
- 0.1〜10重量部の前記マスリン酸、0.1〜10重量部の前記ウルソール酸及び0.1〜10重量部の前記オレアソール酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物又はその塩と、100重量部の前記コロソリン酸又はその塩と、を含有する請求項4記載の飲食物用添加剤。
- 前記一般式(1)で表される化合物又はその塩は、バナバ葉に由来する請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲食物用添加剤。
- 前記一般式(1)において前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の組み合わせが、
R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、
R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子、
R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、又は、
R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子、
である請求項7記載の医薬組成物。 - 前記一般式(1)において前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の組み合わせが、
R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、
である請求項7記載の医薬組成物。 - 下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であるマスリン酸、
下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であるウルソール酸、及び、
下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であるオレアソール酸、
からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物又はその塩と、
下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であるコロソリン酸又はその塩と、
を含有する、糖尿病又は血糖値上昇の治療又は予防のための医薬組成物。
- 0.1〜10重量部の前記マスリン酸、0.1〜10重量部の前記ウルソール酸及び0.1〜10重量部の前記オレアソール酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物又はその塩と、100重量部の前記コロソリン酸又はその塩と、を含有する請求項10記載の医薬組成物。
- 経口投与型である請求項7〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記一般式(1)で表される化合物又はその塩は、バナバ葉に由来する請求項7〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記一般式(1)において前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の組み合わせが、
R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、
R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子、
R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、又は、
R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子、
である請求項14記載のGLUT4トランスロケート剤。 - 前記一般式(1)において前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の組み合わせが、
R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、
である請求項14記載のGLUT4トランスロケート剤。 - 下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であるマスリン酸、
下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であるウルソール酸、及び、
下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であるオレアソール酸、
からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物又はその塩と、
下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であるコロソリン酸又はその塩と、
を含有する、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせるGLUT4トランスロケート剤。
- 0.1〜10重量部の前記マスリン酸、0.1〜10重量部の前記ウルソール酸及び0.1〜10重量部の前記オレアソール酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物又はその塩と、100重量部の前記コロソリン酸又はその塩と、を含有する請求項15記載のGLUT4トランスロケート剤。
- 前記一般式(1)で表される化合物又はその塩は、バナバ葉に由来する請求項14〜18のいずれか一項に記載のGLUT4トランスロケート剤。
- 前記一般式(1)において前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の組み合わせが、
R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、
R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子、
R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、又は、
R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子、
である請求項20記載の方法。 - 前記一般式(1)において前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の組み合わせが、
R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基、
である請求項20記載の方法。 - 下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であるマスリン酸、
下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であるウルソール酸、及び、
下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水素原子、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7がメチル基、R8が水素原子であるオレアソール酸、
からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物又はその塩と、
下記一般式(1)において、R1が水素原子、R2が水酸基、R3が水酸基、R4が水素原子、R5がカルボキシル基、R6がメチル基、R7が水素原子、R8がメチル基であるコロソリン酸又はその塩と、
を含有する組成物を、食前に経口投与する、糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を細胞膜上にトランスロケートさせる方法。
- 0.1〜10重量部の前記マスリン酸、0.1〜10重量部の前記ウルソール酸及び0.1〜10重量部の前記オレアソール酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物又はその塩と、100重量部の前記コロソリン酸又はその塩と、を含有する組成物を、食前に経口投与する、請求項23記載の方法。
- 前記一般式(1)で表される化合物又はその塩は、バナバ葉に由来する請求項20〜24のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の飲食物用添加剤を含有する飲料。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の飲食物用添加剤を含有する食料。
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