JP2004215343A - 電動駆動装置制御ユニット部の防振グランド装置 - Google Patents
電動駆動装置制御ユニット部の防振グランド装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】電動駆動装置に制御ユニットを防振支持し、無配線で接地する。
【解決手段】電動機を備える駆動装置の制御ユニット1を駆動装置に取付けて一体化した電動駆動装置において、制御ユニットの基台11を緩衝部材53,54を持つ防振支持手段5を介して駆動装置に支持し、防振支持手段に導電性部材からなる接地手段51,52組込んだ。これにより制御ユニットは最短距離で駆動装置に防振支持かつ接地され、耐震性が高く、低インピーダンスの放射ノイズを抑えた防振グランドが実現される。
【選択図】 図4
【解決手段】電動機を備える駆動装置の制御ユニット1を駆動装置に取付けて一体化した電動駆動装置において、制御ユニットの基台11を緩衝部材53,54を持つ防振支持手段5を介して駆動装置に支持し、防振支持手段に導電性部材からなる接地手段51,52組込んだ。これにより制御ユニットは最短距離で駆動装置に防振支持かつ接地され、耐震性が高く、低インピーダンスの放射ノイズを抑えた防振グランドが実現される。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機を動力とする駆動装置の制御ユニット部に関し、特に、電気自動車用駆動装置やハイブリッド車用駆動装置に用いる制御ユニット部に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電動機(本明細書において、モータと、モータとしても作動させる発電機を総称して電動機という)を収容する駆動装置ケース上に、電動機の制御のためのインバータと、インバータと駆動装置を統括制御する制御装置とからなる制御ユニット部を搭載した電動駆動装置が開発されてきている。こうした制御ユニット部を一体化した駆動装置を車両、特にそのエンジンルーム内に搭載する場合、一意に一体化するとは言え、インバータ周辺には様々な搭載上の制約が発生する。例えば、車両前後方向にはクラッシャブルゾーンを確保する必要があり、左右方向にはサイドメンバーが存在する等といった制約がそれに当る。そこで、インバータ等を含む制御ユニット部を、駆動装置から比較的制約の少ない車両上方向に延ばした形態で配設した駆動装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−119898号公報
【0004】
この駆動装置の制御ユニット部は、駆動装置ケースの頂部に固定する有底矩形筒状のインバータケースの底壁にインバータのスイッチング素子パワーモジュールを固定し、ケースフレームの筒状胴部の中間に張出させた取付部に、インバータに付随する平滑コンデンサをブラケットを介して固定し、更に、胴部頂壁に制御基板を固定した構造とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術における制御ユニット部の駆動装置に対する一体化のための位置付けは、それ自体適切なものではあるが、この一体化構造を電気自動車に適用することを考えた場合、制御ユニット部は車両走行時の振動を受けることから、一般に薄板構造となる制御基板の耐震性が懸念される。また、この一体化構造をハイブリッド車に適用することを考えた場合、制御基板は更にエンジン振動にも曝されることになるので、耐震性の懸念は一層深刻になる。
【0006】
更に、制御基板を制御ユニット部の最上部に配置する構成は、ケースフレームの構造上、最上方の部品に対する支持部を胴部の周りにしか設けることができないため、曲げ剛性の低い制御基板が、その周縁部のみでフレームに固定される構造となり、この構造では振動等で中央部が撓み易いため、制御に悪影響を与える膜振動の発生の可能性が懸念される。
【0007】
そこで、こうした問題点を解決すべく、制御基板を防振支持手段を介してケースフレームに支持する構成が着想されるが、このように制御基板をケースフレームに対して浮かせた構造では、一般に防振部材がゴム等の非導電材で構成されるため、支持部で制御基板とフレームが電気的に絶縁されることから、別途、制御基板のケースフレームへの接地のためのグランド配線を必要とする。こうした構造は、グランド配線自体やその結線作業のための余分なスペース、更にはそのための工数を要するばかりでなく、グランド線のインピーダンスが大きいと、パワーモジュールのスイッチングにより発生するノイズの高周波分を吸収することができず、制御基板から車両配線に接続されるケーブルを通してノイズが放射され、インバータの放射ノイズが大きくなる。そこで、グランド線を多重並行に接続する方法もないではないが、こうした方法も、グランド配線自体やその結線作業のための余分なスペース、更にはそのための工数を要することから、有効とは言い難い。
【0008】
本発明は、こうした事情に鑑み案出されたもので、制御ユニット部の少なくとも一部を駆動装置に対して防振支持した構造において、インピーダンスを低く抑えながら、実質上配置スペースを要しない防振支持グランド装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、電動機を備える駆動装置の制御ユニット部を駆動装置に取付けて一体化した電動駆動装置において、前記制御ユニット部の少なくとも一部のユニットは、防振支持手段を介して駆動装置に支持され、前記防振支持手段に導電性部材からなる接地手段が組込まれた電動駆動装置制御ユニット部の防振グランド装置を特徴とする。
【0010】
上記の構成において、前記接地手段は、前記一部のユニットに接続された第1の導通部材と、前記駆動装置に接続された第2の導通部材からなり、第1の導通部材と第2の導通部材は、相互に弾接して軸方向可動に嵌り合う構成とするのが有効である。この場合の前記防振支持手段は、前記第1の導通部材を挟持する第1及び第2の緩衝部材を備える構成を採るのが有効である。具体的には、前記一部のユニットは、前記駆動装置を制御する制御基板を基台に接地状態に支持してなる制御ユニットであり、前記第2の導通部材は、前記防振支持手段を駆動装置に締結する固定手段により駆動装置に圧接され、前記第1の導通部材は、防振支持手段の駆動装置への締結による前記第1の緩衝部材の弾性力により基台に圧接された構成とされる。更に、上記いずれかの構成において、前記一部のユニットは、前記駆動装置に接地状態に固定されたパワーユニットに防振支持され、該パワーユニットを介して駆動装置に支持された制御ユニットとされる。あるいは、前記制御ユニット部は、パワーユニットと制御ユニットを一体化してなり、制御ユニット部全体が防振支持手段を介して駆動装置に支持された構成とされる。
【0011】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1に記載の構成では、制御ユニット部を構成する少なくとも一部のユニットを、防振支持手段で支持しながら、該防振支持手段に組込んだ導通部材で駆動装置に接地させることができる。これにより、ユニットの防振支持と併せて、別途の配線を必要とせず、支持手段と同数の多数箇所かつ最短の経路によりインピーダンスを低く抑えた接地を成立させることができる。また、通常の接地構造として想起されるような、インピーダンス低減のために多数のグランド線を並列に両端ボルト止めでユニットと駆動装置に固定するような複雑な接地構造が不要となるため、ユニットの駆動装置への組付け性が向上する。
【0012】
次に、請求項2に記載の構成では、防振支持手段による振動吸収時のユニットと駆動装置の位相差を、ユニットに接続された第1の導通部材と駆動装置に接続された第2の導通部材の嵌め合い部で吸収させ、かつ、第1の導通部材と第2の導通部材との導通を、それらの弾接により確実に維持することができる。
【0013】
また、請求項3に記載の構成では、防振支持手段が、第1の導通部材を第1の緩衝部材と第2の緩衝部材とで挟持する構造であるため、第1の導通部材を緩衝部材に嵌め込み又は埋め込む等の工数を要する加工を廃した単純な部品の組合せにより防振支持手段を構成することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の構成では、制御ユニット部を構成する他の部品に比べて薄板状であることで撓みやすく、振動が加わる場合の共振で膜振動を生じやすい制御基板を、基台の剛性を利用して高剛性化することができるため、制御ユニットの耐震性を向上させることができる。また、制御ユニットが振動した場合でも、制御基板への振動の伝播を緩衝部材で減衰させることができるため、上記の理由で振動に弱い制御基板を保護することで、制御ユニット部全体の耐震性を向上させることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の構成では、制御ユニット部が振動した場合でも、制御基板への振動の伝播を緩衝部材で減衰させることができるため、上記の理由で振動に弱い制御基板を保護することができる。しかも、制御ユニット部全体を防振支持とする構成に比べて、制御ユニットのみの防振支持でばね上重量を軽くすることができるため、小さなばね定数の緩衝部材によるコンパクトな防振支持が可能となるため、防振支持に伴う制御ユニット部の大型化を防ぐことができる。
【0016】
また、請求項6に記載の構成では、制御ユニット部全体の防振支持で、制御ユニットだけを防振支持する場合に比べてばね上重量が重くなるが、制御ユニット部全体がコンパクトなものである場合に、ばね定数に対する緩衝部材の寸法関係が良好となるため、一般的なばね弾性を持つゴム等の緩衝材を用いた安価な防振が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明をハイブリッド車用駆動装置に適用した実施形態を説明する。先ず、図1はハイブリッド車用駆動装置のシステム構成をブロックで示す。この駆動装置は、第1軸上配置の発電機Gと、第2軸上配置の駆動モータMと、第4軸上配置のディファレンシャル装置Dと、第1軸上配置のシングルピニオン構成のプラネタリギヤセットPとを主要な構成要素とし、第1軸上でプラネタリギヤセットPに連結される内燃機関(以下、エンジンという)Eと、これと同軸の発電機GとをプラネタリギヤセットPを介して相互且つ第3軸上のカウンタギヤ機構Tを介してディファレンシャル装置Dに駆動連結するとともに、駆動モータMをカウンタギヤ機構Tを介してディファレンシャル装置Dに直接連結し、更に、エンジンEの逆回転阻止のためのワンウェイクラッチFと、発電機Gの空転阻止のためのブレーキBとを付設した構成とされている。
【0018】
この駆動装置の車両制御系は、その主体となる車両制御装置Uと、それへの運転者の要求の入力手段としてのシフトポジションセンサSn1、ブレーキペダルセンサSn2及びアクセルペダルセンサSn3と、車両の運転状況の各種情報の入力手段としての各種センサ(発電機ロータ位置センサSn4、駆動モータロータ位置センサSn5等)と、電源としてのバッテリBtと、駆動モータMを駆動する手段としての駆動モータ用インバータInMと、発電機Gを駆動するための発電機用インバータInGと、から構成されている。
【0019】
車両制御装置Uは、CPU、メモリ等から成り、車両全体の制御を行う制御装置であり、エンジン制御装置UE 、発電機制御装置UG 及び駆動モータ制御装置UM を備える。エンジン制御装置UE は、CPU、メモリ等から成り、エンジンEの制御を行うために、スロットル開度、燃料噴射量等の指令信号をエンジンEに送るべく信号ラインLE を介してエンジンEに接続されている。また、発電機制御装置UG は、CPU、メモリ等から成り、3相交流電動機(例えば、永久磁石形同期電動機)からなる発電機Gの制御を行うために、インバータInGに制御信号を送るべく信号ラインLG を介してインバータInGに接続されている。また、駆動モータ制御装置UM は、3相交流電動機からなる駆動モータMの制御を行うために、インバータInMに制御信号を送るべく信号ラインLM を介してインバータInMに接続されている。両インバータInG、InMは、直流パワーラインLS を介してバッテリBtに接続されるとともに、3相(U、V、Wの3相)交流パワーラインLA G,LA Mを介して駆動モータMと発電機Gのそれぞれのステータの3相コイルに接続されている。なお、符号Cは、直流パワーラインLS の直流電圧の変動を抑制して平滑化する平滑コンデンサを示す。
【0020】
更に詳述すると、インバータInGは、発電機制御装置UG が信号ラインLG に出力するPWM(パルス幅変調)信号に基づいて制御され、力行時には、バッテリBtから直流パワーラインLS を介して供給される直流の電流を、U、V、W各相の電流IU G 、IV G 、IW G に変換し、各電流IU G 、IV G 、IW G を3相交流パワーラインLA Gを経て発電機Gの3相コイルに送る。また、発電又は回生時には、発電機Gの3相コイルに発生するU、V、W各相の電流IU G 、IV G 、IW G を3相交流パワーラインLA Gを経て供給され、これを直流の電流に変換して、直流パワーラインLS 経由でバッテリBtに送る。
【0021】
また、インバータInMは、駆動モータ制御装置UM が信号ラインLM に出力する制御信号に基づいて制御され、力行時には、バッテリBtから直流パワーラインLS を介して供給される直流の電流を、U、V、W各相の電流IU M 、IV M 、IW M に変換し、各電流IU M 、IV M 、IW M を3相交流パワーラインLA Mを経て駆動モータMの3相コイルに送る。また、発電又は回生時には、駆動モータMの3相コイルに発生するU、V、W各相の電流IU M 、IV M 、IW M を3相交流パワーラインLA Mを経て供給され、これを直流の電流に変換して、直流パワーラインLS 経由でバッテリBtに送る。
【0022】
そして、各種センサのうち、信号ラインLB の図示を省略するバッテリセンサは、バッテリBtの状態、すなわち、バッテリ電圧(VB )、バッテリ電流(IB )、バッテリ温度、バッテリ残量(SOC:ステートオブチャージ)等を検出し、それらの情報を発電機制御装置UG と駆動モータ制御装置UM に入力するものとされる。エンジン回転速度センサSn6は、エンジン回転数(NE )を検出するものとされる。シフトポジションセンサSn1は、図示しない選速操作手段のシフトポジション(SP)を検出するものとされる。アクセルペダルセンサSn3は、アクセルペダルの位置すなわち踏込量(AP)を検出するものとされる。ブレーキペダルセンサSn2は、ブレーキペダルの位置すなわち踏込量(BP)を検出するものとされる。エンジン温度センサSn7は、エンジンEの温度(tE )を検出するものとされる。発電機温度センサSn8は、発電機Gの温度(tG )を例えばコイルの温度から検出するものとされる。駆動モータ温度センサSn9は、駆動モータMの温度(tM )を例えばコイルの温度からを検出するものとされる。そして、3相交流パワーラインLA G,LA Mのそれぞれの電流センサSn10〜Sn13は、3相中の2相の電流値、すなわちIU G 、IV G 、IU M 、IV M を検出する電流センサとされる。
【0023】
かくしてこの車両制御装置Uは、エンジン制御装置UE にエンジン制御信号を送って、エンジンEの駆動・停止を設定し、発電機Gのロータ位置(θG )を読み込んで発電機回転数を算出し、駆動モータMのロータ位置(θM )を読み込んで駆動モータ回転数を算出し、それに対する回転数関係によってエンジン回転数を算出し、エンジン制御装置UE にエンジン回転数の目標値を表すエンジン目標回転数を設定し、発電機制御装置UG に発電機目標回転数、及び発電機目標トルクを設定し、駆動モータ制御装置UM に駆動モータ目標トルク、及び駆動モータトルク補正値を設定する等の各種演算処理を行なう。
【0024】
また、前記駆動装置には、更にギヤトレインのブレーキBの油圧制御と機構各部の潤滑及び冷却のための油圧回路とその制御のための油圧制御装置も設けられているが、それらの図示は省略されている。これと関連して、車両制御装置Uには、油圧制御装置をソレノイド信号駆動で制御するためのメモリ情報や演算処理手段も包含される。
【0025】
前記のシステム構成から分かるように、機能上から見て、広義の意味では車両制御装置Uのほかに両インバータInG,InMと、それらに共通の平滑コンデンサCを含めて駆動装置に対する概念的な制御装置ということができるが、両インバータInG,InMは、パワーラインに介挿されて車両制御装置Uの発電機制御装置UG と駆動モータ制御装置UM により制御され、平滑コンデンサCは、同じくパワーラインに介挿された素子であることから、本明細書では、純粋に信号制御を行なう車両制御装置Uを構成する実体的ユニットを狭義の意味での制御装置と捉えて制御ユニットと言い、両インバータInG,InMを構成するインバータユニットを平滑コンデンサCのユニットも含めてパワーユニットと言い、これら全てのユニットを総称して制御ユニット部と言う。
【0026】
図2に駆動装置の実体的な構成を軸方向部分断面で示し、図3に制御ユニット部の実体的構成を一部分解した斜視図で示すように、この形態では、制御ユニット部は、制御ユニット1とインバータユニット2とコンデンサユニット3とで構成されている。制御ユニット1は、前記のように、駆動装置全体を制御する各種プログラム及びデータを格納したメモリとマイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(ECU)を構成するもので、各種機能チップを回路上に配した制御基板10と、それを載置する基台としてのブラケット11とで構成されている。また、両インバータInG,InMのスイッチング回路部を構成するインバータユニット2は、スイッチングトランジスタや付随の回路チップを配した回路基板からなる発電機G用及び駆動モータM用のスイッチング素子パワーモジュール20g,20mと、それを載置する基台21とで構成されている。直流回路部の平滑コンデンサ30は、これらモジュール20g,20mとはバスパネル41を介して接続する別配置とされ、別の基台31に載置されてコンデンサユニット3とされている。これらインバータユニット2、コンデンサユニット3及び制御ユニット1は、その順序で図1に示す発電機G、駆動モータM、プラネタリギヤセットP、差動装置D、カウンタギヤ機構T、ブレーキB及びワンウェイクラッチFを収容した駆動装置ケース9に載置されている。
【0027】
インバータユニット2の基台としてのフレーム21は、放熱と軽量を目的としてアルミニウム材の鋳造品からなり、2つのスイッチング素子パワーモジュール20g,20mを隣接させて並べ(図2では、これらが紙面に対して重なる方向に並ぶため、一方のモジュールにこれらを表す符合を併記する)、その一側にこれらと並行に三相交流パワーラインLA G,LA M(図1参照)結線のための6つの端子42を並べて配置した外形に概ね符合する断面形状の有底矩形短筒状のフレーム構造とされている。フレーム21の4隅と3極の交流端子42側の辺部中央には、ねじ穴を形成したボス部が設けられ、これらが平滑コンデンサ30用の載置基台としてのブラケット31の載置取付け部とされている。
【0028】
スイッチング素子パワーモジュール20g,20mは、それらを収容するケースフレーム21の底上げされた底壁に一体化されたヒートシンクの上面の切削加工仕上げ面に密接させて、適宜の手段で最大限の接触面積を確保する面接触により緊密に接触させて直接ボルト止め固定されている。
【0029】
この形態における制御ユニット部は、これらを構成する各部品のうち、大電流を扱うスイッチング素子パワーモジュール20g,20mが、その構成チップからの発熱が大きいことから、ケースフレーム21の底壁で構成されるヒートシンクに接しさせて冷却すべく、制御ユニット部における最下方に底壁面上に並べて配置し、その上部に前記のようにインバータの平滑回路用のコンデンサ30を配置し、更にその上方に制御基板10を配置した構成とされている。そして、これらコンデンサ30と制御基板10は、ケースフレーム21の高さより上方に突出することから、これらを覆うように上方に膨らんだカバーによりケースフレーム21の上部が覆われている。
【0030】
この形態では、駆動装置の機構各部の潤滑と、駆動モータM及び発電機Gの冷却のために駆動装置ケース9内でATF(オートマチック・トランスミッション・フルイド)を循環させ、このATFを別のクーラント(例えば水、不凍液等を用いる)との熱交換で冷却する方式を採ることと、駆動装置にその制御ユニット部を一体配置とし、これをクーラントとの熱交換で冷却する方式を採ることから、駆動装置と制御ユニット部との連結部に放熱フィン付の伝熱壁を介して接するATFとクーラントの流動空間が画定されている。
【0031】
平滑コンデンサ30は、本形態では3本構成とされ、ブラケット31に横並びに配置されている。ブラケット31は、放熱性、軽量、高剛性を狙ってリブ構造を有する概ね板状とされ、板面から上方に突出する形態で横向き円筒状の平滑コンデンサ収容部が形成され、4隅には前記フレーム21の載置取付け部と符合する位置関係にボルト通し孔を形成した締結部31bが設けられている。また、これら締結部31bより内側の4隅と、それら4隅の概ね中間部に当る2箇所に、上方に延びる合計6個のボス部31aが設けられ、これらボス部31aにはねじ穴が形成されて制御ユニット1の載置取付け部とされている。こうした構成からなるブラケット31に対して、各平滑コンデンサ30は、収容部に嵌合させ、端子側の端面に当て付けた止め具のブラケット31へのボルト止めにより抜け止め固定されている。
【0032】
制御基板10は、これも先のブラケット31と同様に、放熱性、軽量、高剛性を狙ってリブ構造を有する概ね板状とされた基台としてのブラケット11の上面にねじ止め固定されており、このブラケット11の4隅には、前記平滑コンデンサ30のブラケット31の載置取付け部31aと符合する位置関係に、本発明の主題に係る防振支持手段5の締結部11aが設けられている。ブラケット11に対する制御基板10の取付け部は、ブラケット11の上面から若干突出たボス部とされている。これらボス部は、縦横方向に実質上一定間隔で12箇所(図のねじ頭の位置がこれらの位置を示す)設けられている。そして、これらボス部を避ける位置に、ブラケット31の載置取付け部31aと符合する位置関係に別の2箇所の締結部(図3では制御基板10に覆われている)が設けられている。本発明の主題に係る防振支持手段5は、これら合計6箇所の締結部11aに配置されている。すなわち、制御ユニット1は、防振支持手段5を介して駆動装置に支持され、防振支持手段5に導電性部材からなる接地手段が組込まれている。なお、本発明にいう防振支持手段5の取付け対象としての駆動装置は、必ずしも厳密に駆動装置本体のみを意味するものではなく、本実施形態のように、それが制御ユニット部側の部材であっても、制御装置に固定して一体化される部材で、支持のための仲介部材となり得る全ての部材を包含する。
【0033】
図4に拡大して詳細を断面で示すように、接地手段は、制御ユニット1のブラケット11に接続された第1の導通部材51と、駆動装置に接続された第2の導通部材52からなり、第1の導通部材51と第2の導通部材52は、相互に弾接して軸方向可動に嵌り合う関係に配置されている。そして、防振支持手段5は、第1の導通部材51を挟持する第1及び第2の緩衝部材53,54を備える。より具体的には、制御ユニット1は、駆動装置を制御する制御基板10を基台としてのブラケット11に接地状態に支持してなり、第2の導通部材52は、防振支持手段5を駆動装置に締結する固定手段55により駆動装置に圧接され、第1の導通部材51は、防振支持手段5の駆動装置への締結による第1の緩衝部材53の弾性力により基台としてのブラケット11に圧接されている。この形態では、制御ユニット1は、駆動装置のケース9に接地状態に固定されたパワーユニットの基台31に防振支持され、パワーユニット2,3を介して駆動装置に支持されている。
【0034】
更に詳述すると、防振支持手段5は、第2の導通部材52を構成し、締結ボルト55の外周に嵌り、導通面積確保のために端面に拡径されたつば部を有するグランドスリーブと、第2の緩衝部材54を構成し、グランドスリーブ52のつば部の外周に嵌る内径とブラケット11の締結部11aに形成された取付け孔の内周に嵌る外径の筒状部と、その一端から径方向に外方に延びるつば部を有するゴム等からなる弾性体の緩衝部材と、第1の導通部材51を構成し、グランドスリーブ52の外周に弾接状態に嵌る凸条部51aが形成され、グランドスリーブ52のつば部の端面との間に相対摺動分の間隙を保つ長さの筒状部と、その一端から径方向に外方に延び、導通面積確保のために十分な外径を確保したつば部を有するグランドプレートと、第1の緩衝部材53を構成する環状のゴム等からなる弾性体の緩衝部材と、グランドスリーブ52の端面に当接する平ワッシャ56とで構成されている。
【0035】
こうした構成からなる防振支持手段5は、締結ボルト55の締込みでグランドスリーブ52がその両端をブラケット31と平ワッシャ56とに圧接された導通状態に固定される。このようにボルト締めされることで、緩衝部材53,54は、ブラケット31の載置取付け部31aと平ワッシャ56との間で適度の荷重負荷状態に軸方向に圧縮され、それによりブラケット11とグランドプレート51のつば部は、両緩衝部材53,54の圧縮力で互いに圧接された導通状態でブラケット31に弾性支持される。
【0036】
この状態で、振動負荷がかかると、駆動装置と制御ユニット1の振動の位相差により、ブラケット31に対してブラケット11が相対的に軸方向移動し、グランドプレート51は、ブラケット11の取付け部11aとの圧接状態を保ちつつグランドスリーブ52に対して軸方向移動するが、グランドプレート51とグランドスリーブ52は凸条部51aでの嵌合による弾性圧接状態を保って摺動するため、両者の導通状態が維持される。
【0037】
以上詳述したように、この実施形態によれば、制御ユニット部を構成する他の部品に比べて薄板状であることで撓みやすく、振動が加わる場合の共振で膜振動を生じやすい制御基板10を持つ制御ユニット1を、防振支持手段5で支持しながら、防振支持手段5に組込んだ導通部材51,52で駆動装置に接地させることができる。これにより、制御ユニット1の防振支持と併せて、別途の配線を必要とせず、支持手段と同数の多数箇所かつ最短の経路によりインピーダンスを低く抑えた制御ユニット1の接地を成立させることができる。また、通常の接地構造として想起されるような、インピーダンス低減のために多数のグランド線を並列に両端ボルト止めで制御ユニットと駆動装置に固定するような複雑な接地構造が不要となるため、制御ユニット1の駆動装置への組付け性が向上する。
【0038】
また、防振支持手段5による振動吸収時の制御ユニット1と駆動装置の位相差を、制御ユニット1に接続されたグランドプレート51と駆動装置にブラケット31及びフレーム21を介して接続されたグランドスリーブ52の嵌め合い部で吸収させ、かつ、グランドプレート51とグランドスリーブ52との導通を、それらの弾接により確実に維持することができる。
【0039】
また、防振支持手段5が、グランドプレート51を第1の緩衝部材53と第2の緩衝部材54とで挟持する構造であるため、グランドプレート51を緩衝部材に嵌め込み又は埋め込む等の工数を要する加工を廃した単純な部品の組合せにより防振支持手段6を構成することができる。
【0040】
また、制御ユニット部を構成する他の部品に比べて薄板状であることで撓みやすく、振動が加わる場合の共振で膜振動を生じやすい制御基板10を、ブラケット11に多数箇所でねじ止めすることで、ブラケット11の剛性を利用して高剛性化することができるため、制御ユニット1の耐震性を向上させることができる。また、制御ユニット1が振動した場合でも、制御基板10への振動の伝播を緩衝部材53,54で減衰させることができるため、上記の理由で振動に弱い制御基板10を保護することで、制御ユニット部全体の耐震性を向上させることができる。
【0041】
また、制御ユニット部が振動した場合でも、制御基板10への振動の伝播を緩衝部材53,54で減衰させることができるため、上記の理由で振動に弱い制御基板10を保護することができる。しかも、制御ユニット部全体を防振支持とする構成に比べて、制御ユニット1のみの防振支持でばね上重量を軽くすることができるため、小さなばね定数の緩衝部材53,54によるコンパクトな防振支持が可能となるため、防振支持に伴う制御ユニット部の大型化を防ぐことができる。
【0042】
前記実施形態は、制御ユニット部中で最も振動に対する耐性が低い制御ユニット部を防振支持した例であるが、制御ユニット部がコンパクトなものである場合、あるいは制御ユニットがパワーユニットと一体構造である場合、例えばそれらが単一のモジュールとして構成される場合、制御ユニット全体を防振支持するのが有効なこともある。次に図5を参照して示す実施形態は、こうした場合に対応するものである。
【0043】
この形態では、制御ユニット部は、パワーユニット2と制御ユニット1を一体化してなり、制御ユニット部全体が防振支持手段5を介して駆動装置に防振支持されている。詳しくは、制御基板10を基台11に載置固定してなる制御ユニット1は、ブラケット31にボルト止め等で直接固定され、ケースフレーム21に固定されたブラケット31を介して、同じくケースフレーム21に固定されたパワーユニット2と一体化されている。
【0044】
防振支持手段5は、先の実施形態とは異なり、ケースフレーム21を駆動装置ケース9に固定するボルトの締結部に設けられている。このようにケースフレーム21を駆動装置ケース9に対して浮かせたことで、駆動装置ケース9に固定された交流端子42がケースフレーム21に固定されたパワーモジュール20g, 20mに対して相対変位することになるので、パワーモモジュール20g, 20mと交流端子42との結線は、剛性のバスバーに代えてフレキシブルバスバー44とされている。防振支持手段5自体の構成及びその余の部分の構成は、全て先の実施形態と同様であるので、対応する各部材に同様の参照符号を付して説明に代える。
【0045】
この実施形態の場合、制御ユニット部全体の防振支持で、制御ユニット1だけを防振支持する場合に比べてばね上重量が重くなるが、制御ユニット部全体がコンパクトなものである場合に、ばね定数に対する緩衝部材53,54の寸法関係が良好となるため、一般的なばね弾性を持つゴム等の緩衝材を用いた安価な防振が可能となる利点が得られる。
【0046】
以上、本発明をハイブリッド車用の駆動装置に適用した実施形態に基づき詳説したが、本発明はこの実施形態に限るものではなく、電気自動車用駆動装置等、少なくとも電動機を使用し、その制御ユニット部を駆動装置に一体化する全ての駆動装置に適用可能なものであり、特許請求の範囲に記載の事項の範囲内で種々に具体的構成を変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用に係るハイブリッド車用駆動装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】制御ユニット部を一体化したハイブリッド車用駆動装置の軸方向部分断面図である。
【図3】制御ユニット部の一部分解斜視図である。
【図4】防振グランド部の構成を拡大して示す部分断面図である。
【図5】制御ユニット部全体を防振支持した他の実施形態を示す軸方向部分断面図である。
【符号の説明】
G ジェネレータ(電動機)
M モータ(電動機)
1 制御ユニット
2,3 パワーユニット
5 防振支持手段
9 駆動装置ケース
10 制御基板
11 ブラケット(基台)
51 グランドプレート(第1の導通部材、接地手段)
52 グランドスリーブ(第2の導通部材、接地手段)
53 弾性体(第1の緩衝部材)
54 弾性体(第2の緩衝部材)
55 ボルト(固定手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機を動力とする駆動装置の制御ユニット部に関し、特に、電気自動車用駆動装置やハイブリッド車用駆動装置に用いる制御ユニット部に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電動機(本明細書において、モータと、モータとしても作動させる発電機を総称して電動機という)を収容する駆動装置ケース上に、電動機の制御のためのインバータと、インバータと駆動装置を統括制御する制御装置とからなる制御ユニット部を搭載した電動駆動装置が開発されてきている。こうした制御ユニット部を一体化した駆動装置を車両、特にそのエンジンルーム内に搭載する場合、一意に一体化するとは言え、インバータ周辺には様々な搭載上の制約が発生する。例えば、車両前後方向にはクラッシャブルゾーンを確保する必要があり、左右方向にはサイドメンバーが存在する等といった制約がそれに当る。そこで、インバータ等を含む制御ユニット部を、駆動装置から比較的制約の少ない車両上方向に延ばした形態で配設した駆動装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−119898号公報
【0004】
この駆動装置の制御ユニット部は、駆動装置ケースの頂部に固定する有底矩形筒状のインバータケースの底壁にインバータのスイッチング素子パワーモジュールを固定し、ケースフレームの筒状胴部の中間に張出させた取付部に、インバータに付随する平滑コンデンサをブラケットを介して固定し、更に、胴部頂壁に制御基板を固定した構造とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術における制御ユニット部の駆動装置に対する一体化のための位置付けは、それ自体適切なものではあるが、この一体化構造を電気自動車に適用することを考えた場合、制御ユニット部は車両走行時の振動を受けることから、一般に薄板構造となる制御基板の耐震性が懸念される。また、この一体化構造をハイブリッド車に適用することを考えた場合、制御基板は更にエンジン振動にも曝されることになるので、耐震性の懸念は一層深刻になる。
【0006】
更に、制御基板を制御ユニット部の最上部に配置する構成は、ケースフレームの構造上、最上方の部品に対する支持部を胴部の周りにしか設けることができないため、曲げ剛性の低い制御基板が、その周縁部のみでフレームに固定される構造となり、この構造では振動等で中央部が撓み易いため、制御に悪影響を与える膜振動の発生の可能性が懸念される。
【0007】
そこで、こうした問題点を解決すべく、制御基板を防振支持手段を介してケースフレームに支持する構成が着想されるが、このように制御基板をケースフレームに対して浮かせた構造では、一般に防振部材がゴム等の非導電材で構成されるため、支持部で制御基板とフレームが電気的に絶縁されることから、別途、制御基板のケースフレームへの接地のためのグランド配線を必要とする。こうした構造は、グランド配線自体やその結線作業のための余分なスペース、更にはそのための工数を要するばかりでなく、グランド線のインピーダンスが大きいと、パワーモジュールのスイッチングにより発生するノイズの高周波分を吸収することができず、制御基板から車両配線に接続されるケーブルを通してノイズが放射され、インバータの放射ノイズが大きくなる。そこで、グランド線を多重並行に接続する方法もないではないが、こうした方法も、グランド配線自体やその結線作業のための余分なスペース、更にはそのための工数を要することから、有効とは言い難い。
【0008】
本発明は、こうした事情に鑑み案出されたもので、制御ユニット部の少なくとも一部を駆動装置に対して防振支持した構造において、インピーダンスを低く抑えながら、実質上配置スペースを要しない防振支持グランド装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、電動機を備える駆動装置の制御ユニット部を駆動装置に取付けて一体化した電動駆動装置において、前記制御ユニット部の少なくとも一部のユニットは、防振支持手段を介して駆動装置に支持され、前記防振支持手段に導電性部材からなる接地手段が組込まれた電動駆動装置制御ユニット部の防振グランド装置を特徴とする。
【0010】
上記の構成において、前記接地手段は、前記一部のユニットに接続された第1の導通部材と、前記駆動装置に接続された第2の導通部材からなり、第1の導通部材と第2の導通部材は、相互に弾接して軸方向可動に嵌り合う構成とするのが有効である。この場合の前記防振支持手段は、前記第1の導通部材を挟持する第1及び第2の緩衝部材を備える構成を採るのが有効である。具体的には、前記一部のユニットは、前記駆動装置を制御する制御基板を基台に接地状態に支持してなる制御ユニットであり、前記第2の導通部材は、前記防振支持手段を駆動装置に締結する固定手段により駆動装置に圧接され、前記第1の導通部材は、防振支持手段の駆動装置への締結による前記第1の緩衝部材の弾性力により基台に圧接された構成とされる。更に、上記いずれかの構成において、前記一部のユニットは、前記駆動装置に接地状態に固定されたパワーユニットに防振支持され、該パワーユニットを介して駆動装置に支持された制御ユニットとされる。あるいは、前記制御ユニット部は、パワーユニットと制御ユニットを一体化してなり、制御ユニット部全体が防振支持手段を介して駆動装置に支持された構成とされる。
【0011】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1に記載の構成では、制御ユニット部を構成する少なくとも一部のユニットを、防振支持手段で支持しながら、該防振支持手段に組込んだ導通部材で駆動装置に接地させることができる。これにより、ユニットの防振支持と併せて、別途の配線を必要とせず、支持手段と同数の多数箇所かつ最短の経路によりインピーダンスを低く抑えた接地を成立させることができる。また、通常の接地構造として想起されるような、インピーダンス低減のために多数のグランド線を並列に両端ボルト止めでユニットと駆動装置に固定するような複雑な接地構造が不要となるため、ユニットの駆動装置への組付け性が向上する。
【0012】
次に、請求項2に記載の構成では、防振支持手段による振動吸収時のユニットと駆動装置の位相差を、ユニットに接続された第1の導通部材と駆動装置に接続された第2の導通部材の嵌め合い部で吸収させ、かつ、第1の導通部材と第2の導通部材との導通を、それらの弾接により確実に維持することができる。
【0013】
また、請求項3に記載の構成では、防振支持手段が、第1の導通部材を第1の緩衝部材と第2の緩衝部材とで挟持する構造であるため、第1の導通部材を緩衝部材に嵌め込み又は埋め込む等の工数を要する加工を廃した単純な部品の組合せにより防振支持手段を構成することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の構成では、制御ユニット部を構成する他の部品に比べて薄板状であることで撓みやすく、振動が加わる場合の共振で膜振動を生じやすい制御基板を、基台の剛性を利用して高剛性化することができるため、制御ユニットの耐震性を向上させることができる。また、制御ユニットが振動した場合でも、制御基板への振動の伝播を緩衝部材で減衰させることができるため、上記の理由で振動に弱い制御基板を保護することで、制御ユニット部全体の耐震性を向上させることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の構成では、制御ユニット部が振動した場合でも、制御基板への振動の伝播を緩衝部材で減衰させることができるため、上記の理由で振動に弱い制御基板を保護することができる。しかも、制御ユニット部全体を防振支持とする構成に比べて、制御ユニットのみの防振支持でばね上重量を軽くすることができるため、小さなばね定数の緩衝部材によるコンパクトな防振支持が可能となるため、防振支持に伴う制御ユニット部の大型化を防ぐことができる。
【0016】
また、請求項6に記載の構成では、制御ユニット部全体の防振支持で、制御ユニットだけを防振支持する場合に比べてばね上重量が重くなるが、制御ユニット部全体がコンパクトなものである場合に、ばね定数に対する緩衝部材の寸法関係が良好となるため、一般的なばね弾性を持つゴム等の緩衝材を用いた安価な防振が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明をハイブリッド車用駆動装置に適用した実施形態を説明する。先ず、図1はハイブリッド車用駆動装置のシステム構成をブロックで示す。この駆動装置は、第1軸上配置の発電機Gと、第2軸上配置の駆動モータMと、第4軸上配置のディファレンシャル装置Dと、第1軸上配置のシングルピニオン構成のプラネタリギヤセットPとを主要な構成要素とし、第1軸上でプラネタリギヤセットPに連結される内燃機関(以下、エンジンという)Eと、これと同軸の発電機GとをプラネタリギヤセットPを介して相互且つ第3軸上のカウンタギヤ機構Tを介してディファレンシャル装置Dに駆動連結するとともに、駆動モータMをカウンタギヤ機構Tを介してディファレンシャル装置Dに直接連結し、更に、エンジンEの逆回転阻止のためのワンウェイクラッチFと、発電機Gの空転阻止のためのブレーキBとを付設した構成とされている。
【0018】
この駆動装置の車両制御系は、その主体となる車両制御装置Uと、それへの運転者の要求の入力手段としてのシフトポジションセンサSn1、ブレーキペダルセンサSn2及びアクセルペダルセンサSn3と、車両の運転状況の各種情報の入力手段としての各種センサ(発電機ロータ位置センサSn4、駆動モータロータ位置センサSn5等)と、電源としてのバッテリBtと、駆動モータMを駆動する手段としての駆動モータ用インバータInMと、発電機Gを駆動するための発電機用インバータInGと、から構成されている。
【0019】
車両制御装置Uは、CPU、メモリ等から成り、車両全体の制御を行う制御装置であり、エンジン制御装置UE 、発電機制御装置UG 及び駆動モータ制御装置UM を備える。エンジン制御装置UE は、CPU、メモリ等から成り、エンジンEの制御を行うために、スロットル開度、燃料噴射量等の指令信号をエンジンEに送るべく信号ラインLE を介してエンジンEに接続されている。また、発電機制御装置UG は、CPU、メモリ等から成り、3相交流電動機(例えば、永久磁石形同期電動機)からなる発電機Gの制御を行うために、インバータInGに制御信号を送るべく信号ラインLG を介してインバータInGに接続されている。また、駆動モータ制御装置UM は、3相交流電動機からなる駆動モータMの制御を行うために、インバータInMに制御信号を送るべく信号ラインLM を介してインバータInMに接続されている。両インバータInG、InMは、直流パワーラインLS を介してバッテリBtに接続されるとともに、3相(U、V、Wの3相)交流パワーラインLA G,LA Mを介して駆動モータMと発電機Gのそれぞれのステータの3相コイルに接続されている。なお、符号Cは、直流パワーラインLS の直流電圧の変動を抑制して平滑化する平滑コンデンサを示す。
【0020】
更に詳述すると、インバータInGは、発電機制御装置UG が信号ラインLG に出力するPWM(パルス幅変調)信号に基づいて制御され、力行時には、バッテリBtから直流パワーラインLS を介して供給される直流の電流を、U、V、W各相の電流IU G 、IV G 、IW G に変換し、各電流IU G 、IV G 、IW G を3相交流パワーラインLA Gを経て発電機Gの3相コイルに送る。また、発電又は回生時には、発電機Gの3相コイルに発生するU、V、W各相の電流IU G 、IV G 、IW G を3相交流パワーラインLA Gを経て供給され、これを直流の電流に変換して、直流パワーラインLS 経由でバッテリBtに送る。
【0021】
また、インバータInMは、駆動モータ制御装置UM が信号ラインLM に出力する制御信号に基づいて制御され、力行時には、バッテリBtから直流パワーラインLS を介して供給される直流の電流を、U、V、W各相の電流IU M 、IV M 、IW M に変換し、各電流IU M 、IV M 、IW M を3相交流パワーラインLA Mを経て駆動モータMの3相コイルに送る。また、発電又は回生時には、駆動モータMの3相コイルに発生するU、V、W各相の電流IU M 、IV M 、IW M を3相交流パワーラインLA Mを経て供給され、これを直流の電流に変換して、直流パワーラインLS 経由でバッテリBtに送る。
【0022】
そして、各種センサのうち、信号ラインLB の図示を省略するバッテリセンサは、バッテリBtの状態、すなわち、バッテリ電圧(VB )、バッテリ電流(IB )、バッテリ温度、バッテリ残量(SOC:ステートオブチャージ)等を検出し、それらの情報を発電機制御装置UG と駆動モータ制御装置UM に入力するものとされる。エンジン回転速度センサSn6は、エンジン回転数(NE )を検出するものとされる。シフトポジションセンサSn1は、図示しない選速操作手段のシフトポジション(SP)を検出するものとされる。アクセルペダルセンサSn3は、アクセルペダルの位置すなわち踏込量(AP)を検出するものとされる。ブレーキペダルセンサSn2は、ブレーキペダルの位置すなわち踏込量(BP)を検出するものとされる。エンジン温度センサSn7は、エンジンEの温度(tE )を検出するものとされる。発電機温度センサSn8は、発電機Gの温度(tG )を例えばコイルの温度から検出するものとされる。駆動モータ温度センサSn9は、駆動モータMの温度(tM )を例えばコイルの温度からを検出するものとされる。そして、3相交流パワーラインLA G,LA Mのそれぞれの電流センサSn10〜Sn13は、3相中の2相の電流値、すなわちIU G 、IV G 、IU M 、IV M を検出する電流センサとされる。
【0023】
かくしてこの車両制御装置Uは、エンジン制御装置UE にエンジン制御信号を送って、エンジンEの駆動・停止を設定し、発電機Gのロータ位置(θG )を読み込んで発電機回転数を算出し、駆動モータMのロータ位置(θM )を読み込んで駆動モータ回転数を算出し、それに対する回転数関係によってエンジン回転数を算出し、エンジン制御装置UE にエンジン回転数の目標値を表すエンジン目標回転数を設定し、発電機制御装置UG に発電機目標回転数、及び発電機目標トルクを設定し、駆動モータ制御装置UM に駆動モータ目標トルク、及び駆動モータトルク補正値を設定する等の各種演算処理を行なう。
【0024】
また、前記駆動装置には、更にギヤトレインのブレーキBの油圧制御と機構各部の潤滑及び冷却のための油圧回路とその制御のための油圧制御装置も設けられているが、それらの図示は省略されている。これと関連して、車両制御装置Uには、油圧制御装置をソレノイド信号駆動で制御するためのメモリ情報や演算処理手段も包含される。
【0025】
前記のシステム構成から分かるように、機能上から見て、広義の意味では車両制御装置Uのほかに両インバータInG,InMと、それらに共通の平滑コンデンサCを含めて駆動装置に対する概念的な制御装置ということができるが、両インバータInG,InMは、パワーラインに介挿されて車両制御装置Uの発電機制御装置UG と駆動モータ制御装置UM により制御され、平滑コンデンサCは、同じくパワーラインに介挿された素子であることから、本明細書では、純粋に信号制御を行なう車両制御装置Uを構成する実体的ユニットを狭義の意味での制御装置と捉えて制御ユニットと言い、両インバータInG,InMを構成するインバータユニットを平滑コンデンサCのユニットも含めてパワーユニットと言い、これら全てのユニットを総称して制御ユニット部と言う。
【0026】
図2に駆動装置の実体的な構成を軸方向部分断面で示し、図3に制御ユニット部の実体的構成を一部分解した斜視図で示すように、この形態では、制御ユニット部は、制御ユニット1とインバータユニット2とコンデンサユニット3とで構成されている。制御ユニット1は、前記のように、駆動装置全体を制御する各種プログラム及びデータを格納したメモリとマイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(ECU)を構成するもので、各種機能チップを回路上に配した制御基板10と、それを載置する基台としてのブラケット11とで構成されている。また、両インバータInG,InMのスイッチング回路部を構成するインバータユニット2は、スイッチングトランジスタや付随の回路チップを配した回路基板からなる発電機G用及び駆動モータM用のスイッチング素子パワーモジュール20g,20mと、それを載置する基台21とで構成されている。直流回路部の平滑コンデンサ30は、これらモジュール20g,20mとはバスパネル41を介して接続する別配置とされ、別の基台31に載置されてコンデンサユニット3とされている。これらインバータユニット2、コンデンサユニット3及び制御ユニット1は、その順序で図1に示す発電機G、駆動モータM、プラネタリギヤセットP、差動装置D、カウンタギヤ機構T、ブレーキB及びワンウェイクラッチFを収容した駆動装置ケース9に載置されている。
【0027】
インバータユニット2の基台としてのフレーム21は、放熱と軽量を目的としてアルミニウム材の鋳造品からなり、2つのスイッチング素子パワーモジュール20g,20mを隣接させて並べ(図2では、これらが紙面に対して重なる方向に並ぶため、一方のモジュールにこれらを表す符合を併記する)、その一側にこれらと並行に三相交流パワーラインLA G,LA M(図1参照)結線のための6つの端子42を並べて配置した外形に概ね符合する断面形状の有底矩形短筒状のフレーム構造とされている。フレーム21の4隅と3極の交流端子42側の辺部中央には、ねじ穴を形成したボス部が設けられ、これらが平滑コンデンサ30用の載置基台としてのブラケット31の載置取付け部とされている。
【0028】
スイッチング素子パワーモジュール20g,20mは、それらを収容するケースフレーム21の底上げされた底壁に一体化されたヒートシンクの上面の切削加工仕上げ面に密接させて、適宜の手段で最大限の接触面積を確保する面接触により緊密に接触させて直接ボルト止め固定されている。
【0029】
この形態における制御ユニット部は、これらを構成する各部品のうち、大電流を扱うスイッチング素子パワーモジュール20g,20mが、その構成チップからの発熱が大きいことから、ケースフレーム21の底壁で構成されるヒートシンクに接しさせて冷却すべく、制御ユニット部における最下方に底壁面上に並べて配置し、その上部に前記のようにインバータの平滑回路用のコンデンサ30を配置し、更にその上方に制御基板10を配置した構成とされている。そして、これらコンデンサ30と制御基板10は、ケースフレーム21の高さより上方に突出することから、これらを覆うように上方に膨らんだカバーによりケースフレーム21の上部が覆われている。
【0030】
この形態では、駆動装置の機構各部の潤滑と、駆動モータM及び発電機Gの冷却のために駆動装置ケース9内でATF(オートマチック・トランスミッション・フルイド)を循環させ、このATFを別のクーラント(例えば水、不凍液等を用いる)との熱交換で冷却する方式を採ることと、駆動装置にその制御ユニット部を一体配置とし、これをクーラントとの熱交換で冷却する方式を採ることから、駆動装置と制御ユニット部との連結部に放熱フィン付の伝熱壁を介して接するATFとクーラントの流動空間が画定されている。
【0031】
平滑コンデンサ30は、本形態では3本構成とされ、ブラケット31に横並びに配置されている。ブラケット31は、放熱性、軽量、高剛性を狙ってリブ構造を有する概ね板状とされ、板面から上方に突出する形態で横向き円筒状の平滑コンデンサ収容部が形成され、4隅には前記フレーム21の載置取付け部と符合する位置関係にボルト通し孔を形成した締結部31bが設けられている。また、これら締結部31bより内側の4隅と、それら4隅の概ね中間部に当る2箇所に、上方に延びる合計6個のボス部31aが設けられ、これらボス部31aにはねじ穴が形成されて制御ユニット1の載置取付け部とされている。こうした構成からなるブラケット31に対して、各平滑コンデンサ30は、収容部に嵌合させ、端子側の端面に当て付けた止め具のブラケット31へのボルト止めにより抜け止め固定されている。
【0032】
制御基板10は、これも先のブラケット31と同様に、放熱性、軽量、高剛性を狙ってリブ構造を有する概ね板状とされた基台としてのブラケット11の上面にねじ止め固定されており、このブラケット11の4隅には、前記平滑コンデンサ30のブラケット31の載置取付け部31aと符合する位置関係に、本発明の主題に係る防振支持手段5の締結部11aが設けられている。ブラケット11に対する制御基板10の取付け部は、ブラケット11の上面から若干突出たボス部とされている。これらボス部は、縦横方向に実質上一定間隔で12箇所(図のねじ頭の位置がこれらの位置を示す)設けられている。そして、これらボス部を避ける位置に、ブラケット31の載置取付け部31aと符合する位置関係に別の2箇所の締結部(図3では制御基板10に覆われている)が設けられている。本発明の主題に係る防振支持手段5は、これら合計6箇所の締結部11aに配置されている。すなわち、制御ユニット1は、防振支持手段5を介して駆動装置に支持され、防振支持手段5に導電性部材からなる接地手段が組込まれている。なお、本発明にいう防振支持手段5の取付け対象としての駆動装置は、必ずしも厳密に駆動装置本体のみを意味するものではなく、本実施形態のように、それが制御ユニット部側の部材であっても、制御装置に固定して一体化される部材で、支持のための仲介部材となり得る全ての部材を包含する。
【0033】
図4に拡大して詳細を断面で示すように、接地手段は、制御ユニット1のブラケット11に接続された第1の導通部材51と、駆動装置に接続された第2の導通部材52からなり、第1の導通部材51と第2の導通部材52は、相互に弾接して軸方向可動に嵌り合う関係に配置されている。そして、防振支持手段5は、第1の導通部材51を挟持する第1及び第2の緩衝部材53,54を備える。より具体的には、制御ユニット1は、駆動装置を制御する制御基板10を基台としてのブラケット11に接地状態に支持してなり、第2の導通部材52は、防振支持手段5を駆動装置に締結する固定手段55により駆動装置に圧接され、第1の導通部材51は、防振支持手段5の駆動装置への締結による第1の緩衝部材53の弾性力により基台としてのブラケット11に圧接されている。この形態では、制御ユニット1は、駆動装置のケース9に接地状態に固定されたパワーユニットの基台31に防振支持され、パワーユニット2,3を介して駆動装置に支持されている。
【0034】
更に詳述すると、防振支持手段5は、第2の導通部材52を構成し、締結ボルト55の外周に嵌り、導通面積確保のために端面に拡径されたつば部を有するグランドスリーブと、第2の緩衝部材54を構成し、グランドスリーブ52のつば部の外周に嵌る内径とブラケット11の締結部11aに形成された取付け孔の内周に嵌る外径の筒状部と、その一端から径方向に外方に延びるつば部を有するゴム等からなる弾性体の緩衝部材と、第1の導通部材51を構成し、グランドスリーブ52の外周に弾接状態に嵌る凸条部51aが形成され、グランドスリーブ52のつば部の端面との間に相対摺動分の間隙を保つ長さの筒状部と、その一端から径方向に外方に延び、導通面積確保のために十分な外径を確保したつば部を有するグランドプレートと、第1の緩衝部材53を構成する環状のゴム等からなる弾性体の緩衝部材と、グランドスリーブ52の端面に当接する平ワッシャ56とで構成されている。
【0035】
こうした構成からなる防振支持手段5は、締結ボルト55の締込みでグランドスリーブ52がその両端をブラケット31と平ワッシャ56とに圧接された導通状態に固定される。このようにボルト締めされることで、緩衝部材53,54は、ブラケット31の載置取付け部31aと平ワッシャ56との間で適度の荷重負荷状態に軸方向に圧縮され、それによりブラケット11とグランドプレート51のつば部は、両緩衝部材53,54の圧縮力で互いに圧接された導通状態でブラケット31に弾性支持される。
【0036】
この状態で、振動負荷がかかると、駆動装置と制御ユニット1の振動の位相差により、ブラケット31に対してブラケット11が相対的に軸方向移動し、グランドプレート51は、ブラケット11の取付け部11aとの圧接状態を保ちつつグランドスリーブ52に対して軸方向移動するが、グランドプレート51とグランドスリーブ52は凸条部51aでの嵌合による弾性圧接状態を保って摺動するため、両者の導通状態が維持される。
【0037】
以上詳述したように、この実施形態によれば、制御ユニット部を構成する他の部品に比べて薄板状であることで撓みやすく、振動が加わる場合の共振で膜振動を生じやすい制御基板10を持つ制御ユニット1を、防振支持手段5で支持しながら、防振支持手段5に組込んだ導通部材51,52で駆動装置に接地させることができる。これにより、制御ユニット1の防振支持と併せて、別途の配線を必要とせず、支持手段と同数の多数箇所かつ最短の経路によりインピーダンスを低く抑えた制御ユニット1の接地を成立させることができる。また、通常の接地構造として想起されるような、インピーダンス低減のために多数のグランド線を並列に両端ボルト止めで制御ユニットと駆動装置に固定するような複雑な接地構造が不要となるため、制御ユニット1の駆動装置への組付け性が向上する。
【0038】
また、防振支持手段5による振動吸収時の制御ユニット1と駆動装置の位相差を、制御ユニット1に接続されたグランドプレート51と駆動装置にブラケット31及びフレーム21を介して接続されたグランドスリーブ52の嵌め合い部で吸収させ、かつ、グランドプレート51とグランドスリーブ52との導通を、それらの弾接により確実に維持することができる。
【0039】
また、防振支持手段5が、グランドプレート51を第1の緩衝部材53と第2の緩衝部材54とで挟持する構造であるため、グランドプレート51を緩衝部材に嵌め込み又は埋め込む等の工数を要する加工を廃した単純な部品の組合せにより防振支持手段6を構成することができる。
【0040】
また、制御ユニット部を構成する他の部品に比べて薄板状であることで撓みやすく、振動が加わる場合の共振で膜振動を生じやすい制御基板10を、ブラケット11に多数箇所でねじ止めすることで、ブラケット11の剛性を利用して高剛性化することができるため、制御ユニット1の耐震性を向上させることができる。また、制御ユニット1が振動した場合でも、制御基板10への振動の伝播を緩衝部材53,54で減衰させることができるため、上記の理由で振動に弱い制御基板10を保護することで、制御ユニット部全体の耐震性を向上させることができる。
【0041】
また、制御ユニット部が振動した場合でも、制御基板10への振動の伝播を緩衝部材53,54で減衰させることができるため、上記の理由で振動に弱い制御基板10を保護することができる。しかも、制御ユニット部全体を防振支持とする構成に比べて、制御ユニット1のみの防振支持でばね上重量を軽くすることができるため、小さなばね定数の緩衝部材53,54によるコンパクトな防振支持が可能となるため、防振支持に伴う制御ユニット部の大型化を防ぐことができる。
【0042】
前記実施形態は、制御ユニット部中で最も振動に対する耐性が低い制御ユニット部を防振支持した例であるが、制御ユニット部がコンパクトなものである場合、あるいは制御ユニットがパワーユニットと一体構造である場合、例えばそれらが単一のモジュールとして構成される場合、制御ユニット全体を防振支持するのが有効なこともある。次に図5を参照して示す実施形態は、こうした場合に対応するものである。
【0043】
この形態では、制御ユニット部は、パワーユニット2と制御ユニット1を一体化してなり、制御ユニット部全体が防振支持手段5を介して駆動装置に防振支持されている。詳しくは、制御基板10を基台11に載置固定してなる制御ユニット1は、ブラケット31にボルト止め等で直接固定され、ケースフレーム21に固定されたブラケット31を介して、同じくケースフレーム21に固定されたパワーユニット2と一体化されている。
【0044】
防振支持手段5は、先の実施形態とは異なり、ケースフレーム21を駆動装置ケース9に固定するボルトの締結部に設けられている。このようにケースフレーム21を駆動装置ケース9に対して浮かせたことで、駆動装置ケース9に固定された交流端子42がケースフレーム21に固定されたパワーモジュール20g, 20mに対して相対変位することになるので、パワーモモジュール20g, 20mと交流端子42との結線は、剛性のバスバーに代えてフレキシブルバスバー44とされている。防振支持手段5自体の構成及びその余の部分の構成は、全て先の実施形態と同様であるので、対応する各部材に同様の参照符号を付して説明に代える。
【0045】
この実施形態の場合、制御ユニット部全体の防振支持で、制御ユニット1だけを防振支持する場合に比べてばね上重量が重くなるが、制御ユニット部全体がコンパクトなものである場合に、ばね定数に対する緩衝部材53,54の寸法関係が良好となるため、一般的なばね弾性を持つゴム等の緩衝材を用いた安価な防振が可能となる利点が得られる。
【0046】
以上、本発明をハイブリッド車用の駆動装置に適用した実施形態に基づき詳説したが、本発明はこの実施形態に限るものではなく、電気自動車用駆動装置等、少なくとも電動機を使用し、その制御ユニット部を駆動装置に一体化する全ての駆動装置に適用可能なものであり、特許請求の範囲に記載の事項の範囲内で種々に具体的構成を変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用に係るハイブリッド車用駆動装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】制御ユニット部を一体化したハイブリッド車用駆動装置の軸方向部分断面図である。
【図3】制御ユニット部の一部分解斜視図である。
【図4】防振グランド部の構成を拡大して示す部分断面図である。
【図5】制御ユニット部全体を防振支持した他の実施形態を示す軸方向部分断面図である。
【符号の説明】
G ジェネレータ(電動機)
M モータ(電動機)
1 制御ユニット
2,3 パワーユニット
5 防振支持手段
9 駆動装置ケース
10 制御基板
11 ブラケット(基台)
51 グランドプレート(第1の導通部材、接地手段)
52 グランドスリーブ(第2の導通部材、接地手段)
53 弾性体(第1の緩衝部材)
54 弾性体(第2の緩衝部材)
55 ボルト(固定手段)
Claims (6)
- 電動機を備える駆動装置の制御ユニット部を駆動装置に取付けて一体化した電動駆動装置において、
前記制御ユニット部の少なくとも一部のユニットは、防振支持手段を介して駆動装置に支持され、
前記防振支持手段に導電性部材からなる接地手段が組込まれたことを特徴とする電動駆動装置制御ユニット部の防振グランド装置。 - 前記接地手段は、前記一部のユニットに接続された第1の導通部材と、前記駆動装置に接続された第2の導通部材からなり、第1の導通部材と第2の導通部材は、相互に弾接して軸方向可動に嵌り合う、請求項1記載の電動駆動装置制御ユニット部の防振グランド装置。
- 前記防振支持手段は、前記第1の導通部材を挟持する第1及び第2の緩衝部材を備える、請求項2記載の電動駆動装置制御ユニット部の防振グランド装置。
- 前記一部のユニットは、前記駆動装置を制御する制御基板を基台に接地状態に支持してなる制御ユニットであり、
前記第2の導通部材は、前記防振支持手段を駆動装置に締結する固定手段により駆動装置に圧接され、前記第1の導通部材は、防振支持手段の駆動装置への締結による前記第1の緩衝部材の弾性力により基台に圧接された、請求項2又は3記載の電動駆動装置制御ユニット部の防振グランド装置。 - 前記一部のユニットは、前記駆動装置に接地状態に固定されたパワーユニットに防振支持され、該パワーユニットを介して駆動装置に支持された制御ユニットである、請求項1〜4のいずれか1項記載の電動駆動装置制御ユニット部の防振グランド装置。
- 前記制御ユニット部は、パワーユニットと制御ユニットを一体化してなり、制御ユニット部全体が防振支持手段を介して駆動装置に支持された、請求項1〜5のいずれか1項記載の電動駆動装置制御ユニット部の防振グランド装置。
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2002
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