JP2004214827A - サンプリングレート変換装置およびその方法、並びに、オーディオ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サンプル信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にするアップサンプラ102と、FIRフィルタを含みアップサンプラの出力信号に対して所定の畳み込み演算を行う積和演算器103と、積和演算器の演算結果に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げるダウンサンプラ104とを有し、FIRフィルタは、インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられ、フィルタ係数が、プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されている。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば音声(オーディオ)のサンプリング周波数の変換や画像の画枠の拡大や縮小の解像度変換に適用可能なサンプリングレート変換装置およびその方法、並びに、オーディオ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
音声や画像のディジタル信号処理では、フィルタ処理がよく使われる。そのフィルタ処理に使われるフィルタは、有限のタップ数で直線位相を持つという特徴から直線位相FIR(Finite Impulse Response;有限インパルス応答)フィルタがよく利用される。
【0003】
図1は、直線位相FIRフィルタのトランスバーサル型回路構成を示す図である。
この直線位相FIRフィルタ1は、図1に示すように、入力端子TINに対して縦続接続されシフトレジスタを構成する(n−1)個の遅延器2−1〜2−n-1と、入力端子TINに入力された信号および各遅延器2−1〜2−n-1 の出力信号に対してそれぞれフィルタ係数h(0)〜h(n−1)を乗算するn個の乗算器3−1〜3−nと、n個の乗算器3−1〜3−nの出力信号を加算し出力端子TOUT に出力する加算器4により構成される。
【0004】
このような直線位相FIRフィルタの代表的な設計法としては、たとえばParks, T.W. and McClellan, J.H. らが直線位相FIRフィルタに適用したレムズ交換(RemezExchange)アルゴリズムが知られている(非特許文献1参照)。
【0005】
レムズ交換アルゴリズムは、所望の振幅特性に対して重みつき近似誤差が等リプルな形になるように近似するアルゴリズムである。
【0006】
ところで、直線位相FIRフィルタを用いたフィルタ処理の応用にサンプリングレート変換を利用した画像の解像度変換や音声のサンプリング周波数の変換がある。
たとえば解像度変換では、インタポレータ(補間器)とデシメータ(間引き器)と直線位相FIRフィルタを要素技術とするマルチレートフィルタを使用する(たとえば貴家仁志著, 「マルチレート信号処理」, 昭晃堂, 1997 参照)。
【0007】
マルチレートフィルタでは、一般に直線位相FIRフィルタをインタポレータに合わせてポリフェーズ分解して使用する。インタポレータとデシメータは共に周期的時不変システムであり、時不変システムとは異なる特性を持つ。
そのインタポレータの周期的時不変性が原因で、画像の解像度変換ではチェス盤歪みと呼ばれる格子上の歪みが起きてしまう。
【0008】
そこで、原田、貴家は、チェス盤歪みを回避する条件をフィルタの零点配置から考察した(原田康裕、貴家仁志: ”チェス盤歪みを伴わないマルチレートフィルタとその零点配置について",信学技法CAS96-78, pp1-6, 1997-01)。
【0009】
チェス盤歪みを伴わないマルチレートフィルタの伝達関数H(z)は、何らかの方法で設計された直線位相FIRフィルタ( 以後、イコライザと呼ぶ) の伝達関数K(z)に、あとからチェス盤歪みを回避するため零点の伝達関数Z(z)を乗算することによって求められる。
【0010】
【数1】
H(z)=Z(z)・K(z) …(1)
【0011】
【数2】
Z(z)=1+z-1+z-2+・・・+z-(U-1) …(2)
【0012】
ここで、チェス盤歪みを回避するための零点の伝達関数Z(z)のように、あらかじめ固定されている直線位相FIRフィルタをプリフィルタと呼ぶことにする。
【0013】
図2(A)〜(C)に、レムズ交換アルゴリズムで設計したイコライザにプリフィルタを乗算してチェス盤歪みを回避したマルチレートフィルタの周波数応答と重みつき近似誤差の一例を示す。
【0014】
【非特許文献1】
Parks, T.W. and McClellan, J.H.: "Chebyshev Approximation for Nonrecursive Digital Filters with Linear Phase", IEEE Trans. Circuit Theory, CT-19, 2,pp.189-194, 1972、およびRabiner, L.R., McClellan, J.H. and Parks, T.W.: "FIR Digital Filter Design Techniques Using Weighted Chebyshev Approximation", Proc. IEEE, Vol 63,April, pp.595-610, 1975
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の方法によるチェス盤歪みの回避方法には次のような不利益がある。
すなわち、従来方法で設計された伝達関数H(z)のマルチレートフィルタは、図2(C)に示すように、レムズ交換アルゴリズムで設計した重みつき近似誤差の等リプルが崩れてしまう。
また、従来方法で設計されたマルチレートフィルタは、図2(B)に示すように、通過域の利得が一定値ではなく、右端が減衰している。
【0016】
このようなフィルタを使って解像度変換を行うと、画像の輪郭がぼけてしまい、画質に影響する。同様に、このようなフィルタを使って音声のサンプリング周波数の変換を行うと、高周波成分が減衰して精度の高い音声再生を行うことができない。
この通過域の減衰は、フィルタ係数を増やしても回避することはできない。
【0017】
また、直線位相FIRフィルタの設計仕様で、周波数w=0のとき直流利得を1にしなければならない場合がある。
しかしながら、レムズ交換アルゴリズムでは、図3(A)〜(C)に示すように、指定した任意の周波数点を通過するような振幅特性を得ることができない。
【0018】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、重みつき近似誤差の等リプルが崩れてしまうことがなく、また、通過域の利得を略一定値に保持でき、さらに任意の周波数を通過するような振幅特性を得ることができ、高精度な変換を実現できるサンプリングレート変換装置およびその方法、並びに、オーディオ装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るサンプリングレート変換装置は、サンプル信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にするアップサンプラと、FIRフィルタを含み、上記アップサンプラの出力信号に対して所定の畳み込み演算を行う積和演算器と、上記積和演算器の演算結果に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げるダウンサンプラと、を有し、上記積和演算器のFIRフィルタは、インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点、および/または、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されている。
【0020】
本発明の第2の観点に係るサンプリングレート変換装置は、所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解したポリフェーズフィルタを含み、入力されたサンプル信号と当該ポリフェーズに分解されたポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う複数の積和演算器と、対応する上記積和演算器の出力信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にする複数のアップサンプラと、上記複数のアップサンプラの出力信号の伝播時間を調整して全ての信号を加算した信号を生成する加算手段と、上記加算手段による信号に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げるダウンサンプラと、を有し、上記FIRフィルタは、インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点、および/または、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されたFIRフィルタである。
【0021】
本発明の第3の観点に係るサンプリングレート変換装置は、所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解した異なるフィルタ係数を設定可能なポリフェーズフィルタを含み、入力されたサンプル信号と選択された係数のポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う積和演算器と、出力サンプルに対応するポリフェーズフィルタの係数を選択するためのセレクタと、を有し、上記FIRフィルタは、インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点、および/または、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されたFIRフィルタである。
【0022】
本発明の第4の観点に係るサンプリングレート変換方法は、サンプル信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍する第1ステップと、インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタを含む積和演算器により、サンプリング周波数をU倍された信号に対して所定の畳み込み演算を行う第2ステップと、上記演算結果に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げる第3ステップと、を有し、上記FIRフィルタのフィルタ係数を、通過させたい周波数点、および/または、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより算出する。
【0023】
本発明の第5の観点に係るサンプリングレート変換方法は、所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解したポリフェーズフィルタを含む複数の積和演算器により、入力されたサンプル信号と当該ポリフェーズに分解されたポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う第1ステップと、対応する上記積和演算器の出力信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にする第2のステップと、上記サンプリング周波数がU倍された複数の信号の伝播時間を調整して全ての信号を加算した信号を生成する第3のステップと、上記第3のステップによる信号に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げる第4のステップと、を有し、上記FIRフィルタは、インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、上記FIRフィルタのフィルタ係数を、通過させたい周波数点、および/または、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより算出する。
【0024】
本発明の第6の観点に係るサンプリングレート変換方法は、出力サンプルに対応するポリフェーズフィルタの係数を選択する第1ステップと、所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解した異なるフィルタ係数を設定可能なポリフェーズフィルタを含む積和演算器により、入力されたサンプル信号と選択された係数のポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う第2ステップと、を有し、上記FIRフィルタは、インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、上記フィルタ係数を、通過させたい周波数点、および/および、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより算出する。
【0025】
本発明の第7の観点は、サンプリングレート変換装置を含むオーディオ装置であって、上記サンプリング変換装置は、サンプル信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にするアップサンプラと、FIRフィルタを含み、上記アップサンプラの出力信号に対して所定の畳み込み演算を行う積和演算器と、上記積和演算器の演算結果に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げるダウンサンプラと、を有し、上記積和演算器のFIRフィルタは、インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点および/または上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されている。
【0026】
本発明の第8の観点は、サンプリングレート変換装置を含むオーディオ装置であって、上記サンプリング変換装置は、所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解したポリフェーズフィルタを含み、入力されたサンプル信号と当該ポリフェーズに分解されたポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う複数の積和演算器と、対応する上記積和演算器の出力信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にする複数のアップサンプラと、上記複数のアップサンプラの出力信号の伝播時間を調整して全ての信号を加算した信号を生成する加算手段と、上記加算手段による信号に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げるダウンサンプラと、を有し、上記FIRフィルタは、インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点および/または上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されたFIRフィルタである。
【0027】
本発明の第9の観点は、サンプリングレート変換装置を含むオーディオ装置であって、上記サンプリング変換装置は、所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解した異なるフィルタ係数を設定可能なポリフェーズフィルタを含み、入力されたサンプル信号と選択された係数のポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う積和演算器と、出力サンプルに対応するポリフェーズフィルタの係数を選択するためのセレクタと、を有し、上記FIRフィルタは、インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点および/または上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されたFIRフィルタである。
【0028】
本発明によれば、たとえばFIRフィルタが設計される。たとえば初期設定により、直線位相FIRフィルタの設定、バンドの設定、プリフィルタの係数の設定、通過させたい任意の周波数点の入力、初期極値点の設定が行われる。
次に、現在の極値点と通過させたい周波数点から振幅特性を補間する補間多項式が生成される。
次に、生成した補間多項式から求められた振幅特性から新しい極値点が決定される。
これらが繰り返されて、たとえば極値の位置が所望の範囲内に近似されたか否かが判断される。
そして、近似された振幅特性からフィルタ係数が求められる。
このように、係数が設定されているFIRフィルタは、重みつき近似誤差が等リプルになり、また、通過域の利得が一定値に保たれる。
また、指定した周波数点を通過することができる。
【0029】
そして、アップサンプラにおいて、サンプル信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍する。
次に、上記のように設計されたFIRフィルタを含む積和演算器により、サンプリング周波数をU倍された信号に対して所定の畳み込み演算を行う。
次に、演算結果に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に関連付けて詳細に説明する。
【0031】
第1実施形態
図4は、本発明に係るサンプリングレート変換装置の第1の実施形態を示す構成図である。
図4において、UおよびDは互いに素な正整数であり、H(z)はFIRフィルタの伝達関数を示している。また、上向きの矢印は各信号間に(U−1)個の零点を挿入するアップサンプラ、下向き矢印は信号をD個間隔で間引くダウンサンプラを示している。
【0032】
すなわち、本サンプリングレート変換装置100は、図1に示すように、入力端子101、アップサンプラ102、積和演算器103、ダウンサンプラ104、および出力端子105を有している。
【0033】
入力端子101には、サンプリング周波数Fsのサンプル信号x(n)が入力される。
【0034】
アップサンプラ102は、入力端子101から入力されたサンプリング周波数Fsのサンプルデータx(n)を受けて、U−1の零点を挿入し、サンプリング周波数FsをU倍に上げ、サンプリング周波数UFsのサンプル信号を積和演算器103に出力する。
【0035】
積和演算器103は、後述するレムズ交換アルゴリズムに基づいて設計されたFIRフィルタを含み、次式で示す畳み込み演算を行い(帯域制限を行い)、演算結果を次段のダウンサンプラ104に出力する。
【0036】
【数3】
【0037】
ここで、h(n)はFIRフィルタのインパルス応答をであり、畳み込みの出力(ダウンサンプラ前) は、入力はアップサンプラで零点を挿入されたサンプルである。
【0038】
ダウンサンプラ104は、サンプリング周波数UFsの積和演算器103の出力信号を、Dサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げ、サンプリングレートを(U/D)Fsに変換し、サンプル信号y(m)として出力端子105から出力する。
【0039】
以下に、積和演算器103のFIRフィルタの設計方法について詳述する。
【0040】
本実施形態に係る直線位相FIRフィルタは、等価的にはたとえば図1に示すようなトランスバーサル型回路構成をとることが可能である。
ただし、フィルタ係数h(n)は、以下に詳述するように、レムズ交換(RemezExchange)アルゴリズムを拡張し、通過させたい周波数点を指定でき、かつ、プリフィルタの周波数応答を考慮した上で所望の振幅特性をチェビシェフ近似し、近似された振幅特性から求められる。
【0041】
以下、本発明に係る直線位相FIRフィルタの係数設定の具体的な方法について、図面に関連付けて順を追って説明する。
【0042】
式(4)のように、Nタップの直線位相FIRフィルタの伝達関数H(z)は、プリフィルタの伝達関数Z(z)とイコライザの伝達関数K(z)の積から成り立つようなフィルタである。
【0043】
【数4】
H(z)=Z(z)・K(z) …(4)
【0044】
ここで、プリフィルタとイコライザは、それぞれUタップ、N−(U−1)タップの直線位相FIRフィルタであり、プリフィルタの伝達関数はあらかじめ与えられているものとする。
また、周波数領域でNp個の任意の周波数点を通過させる。したがって、ここでの伝達関数H(z)のフィルタ設計とは、指定した任意の周波数点を通過し、かつ、振幅特性H(ejw)を所望の振幅特性D(ejw)に近づけるように、N−(U−1)タップのイコライザの伝達関数K(z)を決定することである。
【0045】
伝達関数K(z)のイコライザに割り当てられるタップ数をL=N−(U−1)とおく。
直線位相FIRフィルタの伝達関数K(z)は、図5に示すように、直線位相を持つために4つの場合に分類される。
具体的には、図5(A)に示す奇数タップ、偶対称の場合1、図5(B)に示す偶数タップ、偶対称の場合2、図5(C)に示す奇数タップ、奇対称の場合3、および図5(D)に示す偶数タップ、奇対称の場合4の4つ場合に分類される。
【0046】
そして、その振幅特性関数K(ejw)を場合1はそのままにして、場合2〜4を次のように書き直す。
【0047】
【数5】
【0048】
すなわち、振幅特性関数K(ejw)は、図6に示した固定パラメータの関数Q(ejw)と設計パラメータを含む余弦級数P(ejw)との積で表される。以後、各式(5−1)〜(式5−4)の和の上限をR−1+2×Npと表すことにする。すなわち、Rは図6のように計算される。また、a(n);  ̄ b(n); ̄c(n);  ̄ d(n) をp(n)と総称する。
【0049】
所望の振幅特性D(ejw)とし、各周波数に対する重みをW(ejw)とするとき、重みつき近似誤差は次のように定義される。
【0050】
【数6】
【0051】
【数7】
【0052】
式(6)に式(7)を代入すると次のようになる。
【0053】
【数8】
【0054】
ただし、^W(ejw)、^D(ejw)は下記のようであるとする。
【0055】
【数9】
【0056】
【数10】
【0057】
式(8)は、場合1〜場合4の4つの場合の直線位相FIRフィルタの重みつき近似誤差を表している。
重みつきチェビシェフ近似問題は、式(6)において指定周波数帯域内での|E(ejw)|の最大値を最小にするような式(5−1)〜(5−4)のa(n);  ̄b(n); ̄ c(n); ̄ d(n) を決定することである。
【0058】
以下、具体例に関連付けて説明する。
ここでは、下記および図7に示すように、振幅特性D(ejw)を定義する。
【0059】
【数11】
【0060】
ただし、Rが与えられると、δ1 ,δ2 の値は任意に指定できないが、その比率を指定することができる。
W(ejw)は通過域では一定値W1 、阻止域ではW2 とし、W1 δ1 =W2 δ2 が成立するように選ぶ。たとえば、W1 =1、W2 =δ1 /δ2 と選ぶ。このとき、次の交番定理が成り立つ。
【0061】
定理
(R−1)次の余弦級数P(ejw)がwの区間(0,π)で目的特性に対する最良重みつきチェビシェフ近似であるための必要十分条件は、
(1) E(ejw)は区間(0,π)で少なくとも(R+1)回、極値をとること。そのときの極値をとる周波数をw0 <w1 <w2 <・・<wR-1 <wR とする。
(2) 隣り合う極値の符号は異なり、かつすべての極値の絶対値は等しいこと。すなわち、次の条件を満足する。
【0062】
【数12】
【0063】
したがって、|E(ejwi )|は区間内での|E(ejw)|の最大値に等しい。
【0064】
最良なチェビシェフ近似を得る手法に交番定理に基づいたレムズ交換アルゴリズム(RemezExchange Algorithm)がある(Rabiner, L.R., McClellan, J.H. andParks, T.W.: "FIR Digital Filter Design Techniques Using Weighted Chebyshev Approximation", Proc. IEEE, Vol 63,April, pp.595-610, 1975 参照)。
レムズ交換アルゴリズムは、周波数領域で所望の振幅特性をチェビシェフ近似し、近似された振幅特性から直線位相FIRフィルタの係数を求めるものである。
【0065】
図8は、本発明に係る任意の周波数点を通過し、かつ、プリフィルタの周波数応答を考慮したレムズ交換アルゴリズムのフローチャートである。
具体的なプリフィルタの周波数応答を考慮したレムズ交換アルゴリズムは以下のようになる。
【0066】
step0
図8に示すように、まず、初期設定を行う(F101)。この初期設定では、直線位相FIRフィルタの設定、バンドの設定、プリフィルタの係数の設定、通過させたい任意の周波数点の入力、初期極値点の設定を行う。
具体的に設定する項目は以下の通りである。
・タップ数、
・直線位相FIRフィルタは、偶対称あるいは奇対称、
・バンドの数、
・各バンドの両端の周波数、
・各バンドの所望の振幅値、
・各バンドに対する重みづけ、
・プリフィルタの係数、
・通過させたい点の周波数と振幅値(wR+i ,D(ejwR+1 ),i=1,・・,Np)、
・近似帯域で極値となる周波数w(0) =wk (0) (k=0,・・,R)
ただし、右肩文字(i) は繰り返しの回数を表している。
【0067】
step1
次に、現在の極値点から振幅特性を補間するラグランジュ補間多項式を生成する(F102)。
上記式(6)で示すチェビシェフ近似の目的関数が最小になる必要十分条件は交番定理により示されている。そこで、交番定理をもとにして、各周波数点で所望の振幅特性からの重みつき近似誤差δ(i) が等しく、符号が交番するように、次式のパラメータp(n)を求める。
【0068】
【数13】
【0069】
すなわち、周波数点w(i) =wk (i) (k=0,・・,R)における式(7)の重みつき近似誤差が次式を満足する。
【0070】
【数14】
【0071】
以下、簡略化のために右肩文字(i) は省略する。式(14)を変形すると次のようになる。
【0072】
【数15】
【0073】
そして、式(15)に制約として周波数領域で通過させたい点の等式が加わる。
【0074】
【数16】
【0075】
式(15)と式(16)を行列表現すると、次のようになる。
【0076】
【数17】
【0077】
しかし、この式を解くのは非常に計算量が多いので、まずδを解析的に求める。
【0078】
【数18】
【0079】
【数19】
【0080】
【数20】
【0081】
αk は行列Fのk行(R+1)列の要素の余因子である。ただし、^W(ejw),^D(ejw)は、それぞれ式(9)、式(10)を使う。
次にこのδを用いて次式のようにおく。
【0082】
【数21】
【0083】
【数22】
【0084】
極値点以外の周波数の振幅特性を求めるために、極値点と通過させたい周波数点を用いて補間する補間多項式として、今回はラグランジュ補間多項式を用いることにする。すなわち、P(ejw)は、ラグランジュ補間多項式を用いて、wk(k=0,・・,R+Np) で値Ck をとるような補間をすることで計算される。
【0085】
【数23】
【0086】
【数24】
【0087】
【数25】
【0088】
この結果は、式(17)を解いたことに相当する。
【0089】
step2
補間多項式から求められた振幅特性から新しい極値点を求めることと(F103)、最適近似が得られた否かを繰り返し判断する(F104)。
上記したstep1の結果の各極値点wk は必ずしも重みつき誤差関数E(ejw)の極値になっておらず、|E(ejw)|>δ(i) となる点が存在することがある。そこで新しい極値点w(i+1) を全点同時入れ替え法から決定する。
全点同時入れ替え法:
次式に基づいて、補間に用いた極値点から計算される重みつき近似誤差の極値を近似帯域全体にわたり探し求め、それを新しい極値点w(i+1) =wk (i+1) (k=0,1, ・・,R) とし、step1の処理に戻る。
【0090】
【数26】
【0091】
極値の位置が変化しなくなったとき最適近似が得られたとする。これが繰り返しの終了条件であり、次のstep3の処理へ進む。
【0092】
図9(A)〜(C)は、全点入れ替え法の概念図である。
簡単に説明すると、図9(A)〜(C)中の黒丸が補間に用いた極値点を表し、この極値点から求めた重みつき近似誤差E(ejw)が実線に相当する。
図9(A)に示すように、黒丸の極値点での重みつき近似誤差の値は白丸となるが、実際の極値は四角で示す周波数である。そこで、四角で示す周波数を新しい極値点として、step1の処理に戻る。
また、図9(B)に示すように、補間に用いた極値点と実際の極値の周波数がずれているので、四角で示す周波数を新しい極値点として、step1の処理に戻る。
そして、図9(C)に示すように、補間に用いた極値点と、実際の重みつき近似誤差の極値点(白丸)が同じになったときに、繰り返しは終了する。
【0093】
step3
近似された振幅特性から直線位相FIRフィルタの係数を求める(F105)。
最適近似関数P(ejw)からNタップのインパルス応答h(n)を求める際に、p(n)から求める代わりに、次式から求める。
【0094】
【数27】
【0095】
【数28】
【0096】
【数29】
【0097】
【数30】
【0098】
【数31】
【0099】
また、L=N−(U−1)タップのイコライザのインパルス応答k(n)を求めるときは、次式から計算する。
【0100】
【数32】
【0101】
【数33】
【0102】
【数34】
【0103】
【数35】
【0104】
【数36】
【0105】
もし、プリフィルタが、次式で示すように伝達関数Z(z)が1のときは、任意の周波数点を通過するレムズ交換アルゴリズムと同じである。
【0106】
【数37】
Z(z)=1 …(37)
【0107】
また、もし、プリフィルタが通過させたい任意の周波数点がない場合Np=0のときは、プリフィルタの周波数応答を考慮したレムズ交換アルゴリズムと同じである。
【0108】
さらに、もし、プリフィルタが、次式で示すように伝達関数Z(z)が1であり、かつ、通過させたい任意の周波数点がない場合Np=0のときは、通常のレムズ交換アルゴリズムと同じである。
【0109】
【数38】
Z(z)=1 …(38)
【0110】
図10(A)〜(D)は、以下の仕様に対して、任意の周波数点を通過し、かつ、プリフィルタの周波数応答を考慮できるように拡張したレムズ交換アルゴリズムで設計された低域通過フィルタの周波数応答を示す図である。
なお、以降の説明では、チェス盤歪みを回避するための零点をプリフィルタとして扱うことにする。
プリフィルタの周波数応答は、次のように表される。
【0111】
【数39】
【0112】
以下に、仕様を示す。
【0113】
直線位相FIRフィルタ
・24タップ
・偶対称
・式(2)のプリフィルタU=3(直流利得がUとなるように調節する)
設計方法
・任意の周波数点を通過し、かつ、プリフィルタの周波数応答を考慮したレムズ交換アルゴリズムで設計した。
【0114】
【表1】
【0115】
【表2】
【0116】
図10(A)デシベルで表示した周波数応答を示す図、図10(B)はそのままの値で表示シタ周波数応答を示す図、図10(C)は利得3付近を拡大した図、図10(D)は利得0付近を拡大した図である。
図10(A)〜(D)中、点線はプリフィルタの周波数特性(Pre-filter)およびイコライザの周波数特性(Equalizer) を示し、実曲線は最終的に得られた周波数特性(Proposed H(z)) 、および縦実線はチェス盤歪みを回避するためにH(z) =0とならなければならない周波数(Zero Point)、および黒丸はバンドの区切りを示している。
【0117】
図10(A)から通過域の利得が一定値を保っており、チェス盤歪みを回避する零点を通過していることが確認できる。
また、図10(C)から指定した周波数点を通過していることが確認できる。さらに、図10(C),(D)から、等リップルを保っていることが確認できる。
【0118】
すなわち、任意の周波数点を通過し、かつ、プリフィルタの周波数応答を考慮できるように拡張したレムズ交換アルゴリズムで設計された低域通過フィルタは、良好な周波数応答特性を得ることができる。
【0119】
次に、上記構成を有するサンプリングレート変換装置の動作を説明する。
【0120】
入力端子101から入力されたサンプリング周波数Fsのサンプルデータx(n)がアップサンプラ102に入力される。
アップサンプラ102では、各信号間にU−1の零点が挿入され、サンプリング周波数FsがU倍に上げられ、サンプリング周波数UFsのサンプル信号が積和演算器103に出力される。
積和演算器103においては、式(3)に基づく畳み込み演算が行われ、サンプル信号の帯域制限が行われ、次段のダウンサンプラ104に供給される。
このとき、畳み込みの出力(ダウンサンプラ前) は、入力はアップサンプラで零点を挿入されたサンプルである。
そして、ダウンサンプラ104おいて、サンプリング周波数UFsの積和演算器103の出力信号を、Dサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数が1/Dに下げられる。
これにより、サンプリングレートがU/D倍に変換され、サンプリング周波数周波数(U/D)Fsのサンプル信号y(m)が出力端子105から出力される。
【0121】
以上の機能を有するサンプリングレート変換装置100において、積和演算器103のFIRフィルタは、インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)およびイコライザの伝達関数K(z)に関連付けられ、通過させたい周波数点およびプリフィルタの周波数応答に関連付けられている直線位相FIRフィルタであり、フィルタ係数が、通過させたい周波数点およびプリフィルタの周波数応答に関連付けて、任意の周波数点を通過し、かつ、プリフィルタの周波数応答を考慮したレムズ交換(RemezExchange)アルゴリズムを用いて所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより得られたイコライザの振幅特性に基づいて設定されていることから、本サンプリングレート変換装置は、以下の利点を有する。
すなわち、チェス盤ひずみを回避可能である。また、任意のプリフィルタを考慮でき、任意の周波数点を通過可能である。
【0122】
第2実施形態
図11は、本発明に係るサンプリングレート変換装置の第2の実施形態を示す構成図である。
【0123】
なお、図11において、UおよびDは互いに素な正整数であり、R(z)はポリフェーズフィルタの伝達関数を示している。また、上向きの矢印は各信号間に(U−1)個の零点を挿入するアップサンプラ、下向き矢印は信号をD個間隔で間引くダウンサンプラを示している。
【0124】
本第2の実施形態が上述した第1の実施形態と異なる点は、FIRフィルタをU個にいわゆるポリフェーズ(Polyphase)分解してポリフェーズ構成をとるようにしたことにある。
【0125】
ここで、まずポリフェーズ分解について説明する。
【0126】
ポリフェーズ分解
サンプリングレート変換装置は、(N−1)次のFIRフィルタ(伝達関数H(z))を用いて帯域制限し、零点部分のサンプルを補間する。
【0127】
【数40】
【0128】
このFIRフィルタのカットオフ周波数ωC は次のようになる。
【0129】
【数41】
【0130】
図4の構成は、ポリフェーズ構成により図11のように等価表現することができる。式(40)のフィルタの伝達関数H(z)とポリフェーズフィルタの伝達関数Ri (z)は、次のような関係で表される。
【0131】
【数42】
【0132】
【数43】
【0133】
ただし、NはUの整数倍にするか、または、NUタップに足りない場合は0の係数が存在するとして計算する。
【0134】
図11で示されるインタポレータの入出力関係は、ポリフェーズフィルタRi(z)のインパルス応答をri (n)と表すと畳み込みとアップサンプラの処理により次のようになる。
【0135】
【数44】
【0136】
ただし、kは整数であり、xi(m)は次のようになる。
【0137】
【数45】
【0138】
本第2の実施形態に係るサンプリングレート変換装置200は、図11に示すように、入力端子201、積和演算器202−1〜202−U、アップサンプラ203−1〜203−U、遅延器204−1〜204−U-1 、加算器205−1〜205−U-1 、ダウンサンプラ206、および出力端子207を有する。
これらの構成要素のうち、遅延器204−1〜204−U-1 、および加算器205−1〜205−U-1 により加算手段が構成される。
【0139】
入力端子201には、サンプリング周波数Fsのサンプル信号x(n)が入力される。
【0140】
積和演算器202−1〜202−Uは、それぞれ上述したレムズ交換アルゴリズムに基づいて設計されたFIRフィルタをポリフェーズ分解したポリフェーズフィルタを含み、入力されたサンプル信号とポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を上記式(45)に基づいて行い、演算結果を次段のアップサンプラ203−1〜203−Uに出力する。
【0141】
アップサンプラ203−1〜203−Uは、積和演算器202−1〜202−Uの出力サンプル信号を受けて、それぞれU−1の零点を挿入し、サンプリング周波数FsをU倍に上げ、サンプリング周波数UFsのサンプル信号を出力する。
【0142】
遅延器204−1は、アップサンプラ204−1によるサンプリング周波数UFsのサンプル信号を所定時間遅延させて加算器205−1に出力する。
また、遅延器204−2〜204−U-1 は、それぞれ加算器205−1〜204−U-2 の出力信号を所定時間遅延させて加算器205−2〜204−U-1 に出力する。
【0143】
加算器205−1は、アップサンプラ204−2によるサンプリング周波数UFsのサンプル信号と遅延器204−1により遅延されたサンプル信号を加算して遅延器204−2に出力する。
加算器205−2は、アップサンプラ204−3によるサンプリング周波数UFsのサンプル信号と遅延器204−2により遅延されたサンプル信号を加算して遅延器204−3に出力する。
同様にして、加算器205−U-1 は、アップサンプラ204−Uによるサンプリング周波数UFsのサンプル信号と遅延器204−U-1 により遅延されたサンプル信号を加算してダウンサンプラ206に出力する。
【0144】
ダウンサンプラ206は、加算器205−U-1 の出力信号、すなわち、各アップサンプラ203−1〜203−U-1 によりサンプリング周波数がU倍されたサンプル信号を加算した信号を、Dサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げ、サンプリングレートを(U/D)Fsに変換し、サンプル信号y(m)として出力端子207から出力する。
【0145】
サンプリングレート変換装置200においては、入力端子201から入力された周波数Fsのサンプル信号x(n)がポリフェーズフィルタを含む積和演算器202−1〜202−Uに並列的に入力される。
【0146】
各積和演算器202−1〜202−Uにおいて、入力されたサンプル信号とポリフェーズフィルタとの畳み込み演算が行われ、演算結果が次段のアップサンプラ203−1〜203−Uに供給される。
アップサンプラ203−1〜203−Uにおいては、積和演算器202−1〜202−Uの出力サンプル信号間にU−1の零点が挿入され、サンプリング周波数FsがU倍に上げられ、サンプリング周波数UFsのサンプル信号が出力される。
アップサンプラ203−1〜203−Uに出力信号は、遅延器204−1〜204−U-1 および加算器205−1〜205−U-1 により遅延され、かつ累積的に加算されて、ダウンサンプラ206に供給される。
そして、ダウンサンプラ206おいて、サンプリング周波数UFsの加算器205−U-1 の出力信号を、Dサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数が1/Dに下げられる。
これにより、サンプリングレートがU/D倍に変換され、サンプリング周波数(U/D)Fsのサンプル信号y(m)が出力端子207から出力される。
【0147】
本第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態の効果に加えて、演算量を必要最小限に抑えることが可能で、処理速度の向上を図ることができる利点がある。
【0148】
第3実施形態
図12は、本発明に係るサンプリングレート変換装置の第3の実施形態を概念的に示す図である。
【0149】
本第3の実施形態が上述した第2の実施形態と異なる点は、ダウンサンプラをセレクタ208と見立てて、セレクタ208により出力されるサンプルに対応するポリフェーズフィルタを選択して、上記式(45)に基づくポリフェーズの畳み込み計算を行うように構成したことにある。
【0150】
上記式(44)より、インタポレータはmに対して周期Uの異なる入出力特性を持ち、周期的な時変性を持つことがわかる。
サンプリングレート変換装置から出力される信号y(m)は、ダウンサンプラの間引き値Dで決まるサンプルのみが出力される。
すなわち、図12に示すように、ダウンサンプラをセレクタ208と見立てて、出力されるサンプルに対応するポリフェーズフィルタを選択して、式(45)のポリフェーズの畳み込み計算のみを行えばよい。
【0151】
こうすることで、不必要な計算をする必要がなくなる。
出力するサンプルの計算はm=0のサンプルは必ず出力することとすると次に出力するサンプルは以下の式(46)〜(48)により決定する。なおここでは、カウンタをCoefCount 、計算に使用するポリフェーズフィルタをCoefOffset、入力データの中心をInputOffset としている。
【0152】
【数46】
CoefOffset = CoefCount%Up (46)
【0153】
【数47】
InputOffset = CoefCount/Up (47)
【0154】
【数48】
CoefCount += Down (48)
【0155】
この場合のサンプリングレート変換装置200Aの構成は、基本的には、図12に示すように、サンプリング周波数Fsのサンプル信号x(n)が入力される入力端子201、入力されたサンプルとポリフェーズに分解されたポリフェーズフィルタとの畳み込み計算(式(45))を行う積和演算器202(−1〜−n)、出力サンプルに対応するポリフェーズフィルタを選択するためのセレクタ208、およびサンプリングレートがU/D倍に変換され、サンプリング周波数(U/D)Fsのサンプル信号y(m)を出力するための出力端子207を有する。
【0156】
そして、セレクタ208が、上記式(46)〜(48)に基づいて次の出力するサンプルを選択する。
【0157】
図13は、図12の概念的に示すサンプリングレート変換装置200Aを、より具体的に示す図である。
【0158】
このサンプリングレート変換装置200Bは、図13に示すように、上述した図8のアルゴリズムに基づいて係数が設定されたFIRフィルタをポリフェーズに分解する分解装置211と、分解されたポリフェーズフィルタの係数を記憶する係数メモリ212と、出力サンプルに対応するポリフェーズフィルタの係数を係数メモリ212から選択して読み出すセレクタ213と、係数メモリ212から読み出された係数を保持する係数レジスタ214と、入力サンプル信号x(n)を保持する入力レジスタ215と、係数レジスタ214に保持された係数と入力レジスタ215に保持されたサンプル信号の積和演算を行い積和演算器216により構成されている。
【0159】
以下、本実施形態に係るサンプリングレート変換装置の実装法および具体的な例について順を追って説明する。
【0160】
サンプリングレート変換装置の実装法
図4に示すサンプリングレート変換装置を実現する際には、図12に示すポリフェーズ構成を用いて実現する。以下で説明する実現法では、出力に対して必要な入力とポリフェーズフィルタを選択することで必要最小限の計算で済むようにしている。
【0161】
図14は、本実施形態に係るサンプリングレート変換装置の実装法を説明するためのフローチャートである。
具体的な処理は以下のようになる。
【0162】
step10
図14に示すように、まず、初期設定を行う(F201)。この初期設定では、入力データ数、出力データ数、タップ数、ポリフェーズフィルタのタップ数の設定を行う。
具体的には以下の通りである。
・入力データ数: Width 、
・出力データ数: DstWidth = Width×Up/Down、
・タップ数: Tap 、
・ポリフェーズフィルタのタップ数: PolyTap = (Tap + Up-1)/Up。
【0163】
step11
次に、たとえば既に図8等に関連付けて説明したレムズ交換(RemezExchange)アルゴリズムにより低域通過FIRフィルタを設計する(F202)。
ここでは、その詳細は省略する。
【0164】
step12
次に、ポリフェーズフィルタを準備する(F203)。すなわち、FIRフィルタの伝達関数H(z)から、上記式(42)の展開式を用いてポリフェーズフィルタの伝達関数Ri(z)を求める。
次式のように、各ポリフェーズの正規化係数RiNormal を求めておく。
【0165】
【数49】
【0166】
そして、畳み込みのための係数反転を行う。すなわち、上記式(45)の畳み込みを行うために,各ポリフェーズフィルタの係数を逆順に並び替える。
【0167】
step13
次に、ポリフェーズフィルタと入力の中心を決定する(F204)。
すべてのポリフェーズに対して畳み込みをする必要はなく、ダウンサンプラによって残される部分のみ畳み込みをすればよい。
ここで、上述したように、カウンタをCoefCount 、使うポリフェーズフィルタをCoefOffset,入力データの中心をInputOffset とし、以下の関係を満足する。
【0168】
【数50】
CoefOffset = CoefCount%Up (50)
【0169】
【数51】
InputOffset = CoefCount/Up (51)
【0170】
【数52】
CoefCount += Down (52)
【0171】
step14
次に、上記式(45)の畳み込みを行う。
具体的には、式(53)のように畳み込みを行い、次に、式(54)のように四捨五入した後、式(55)のように正規化した後、式(56)のようにクリッピングを行う。
【0172】
【数53】
【0173】
【数54】
【0174】
【数55】
【0175】
【数56】
【0176】
たとえば16ビットの場合は、CLIP MAX=32767、CLIP MIN=−32768となる。
符号化8ビット(signed 8bit )の場合は、CLIP MAX=127、CLIP MIN=−128となる。
非符号化8ビット(unsigned 8bit )の場合は、CLIP MAX=255、CLIP MIN=0となる。
【0177】
step15
ここで、終了条件を満足しているか否かの判定を行う(F206)。条件を満足している場合は、処理を終了する。満足していない場合には、F204の処理に戻る。
【0178】
次に、サンプリングレート変換の具体例について説明する。ここでは、2つの具体例について説明する。
【0179】
具体例1
この例では、Up:3、Down:1の場合のサンプリングレート変換について図15に関連付けて説明する。
【0180】
この場合、FIRフィルタのフィルタ係数を次のようにする。
・H(z): r00, r10, r20, r01, r11, r21, r02, r12, r22, r03, r13, r23, r04, r14, r24, r05, r15, r25 。
【0181】
また、ポリフェーズフィルタのフィルタ係数を次のようにする。
・R0 : r20, r21, r22, r23, r24, r25 、
・R1 : r10, r11, r12, r13, r14, r15 、
・R2 : r00, r01, r02, r03, r04, r05 。
【0182】
また、畳み込みのための反転順序(Inverse Order for convolution )を次のようにする。
・R0 : r25, r24, r23, r22, r21, r20 、
・R1 : r15, r14, r13, r12, r11, r10 、
・R2 : r05, r04, r03, r02, r01, r00 。
【0183】
このような条件で、たとえばDown後の出力9,10,11番の計算は、以下のように行う。
【0184】
9番の出力を求めるためには、ポリフェーズの係数セットR2を使い、入力データは1〜6番を使う。
【0185】
10番の出力を求めるためには、ポリフェーズの係数セットR1を使い、入力データは1〜6番を使う。
【0186】
11番の出力を求めるためには、ポリフェーズの係数セットR0を使い、入力データは1〜6番を使う。
【0187】
ポリフェーズフィルタの準備
ポリフェーズフィルタを準備するために、まず、FIRフィルタをUp=3のポリフェーズ分解する。
そして、分解したポリフェーズフィルタを、畳み込みの計算を簡単にするために逆順に並べ替える。
【0188】
畳み込み
ここで、畳み込みを行う。
カウンタをCoefCount 、計算すべきポリフェーズのポリフェーズフィルタCoefOffset、入力の中心InputOffset の値を以下に示す。
【0189】
【表3】
【0190】
ただし、CoefOffsetとポリフェーズフィルタの関係を以下に示す。
【0191】
【表4】
【0192】
具体例2
この例では、Up:3、Down:2の場合のサンプリングレート変換について図15に関連付けて説明する。
【0193】
この場合、FIRフィルタのフィルタ係数を次のようにする。
・H(z): r00, r10, r20, r01, r11, r21, r02, r12, r22, r03, r13, r23, r04, r14, r24, r05, r15, r25 。
【0194】
また、ポリフェーズフィルタのフィルタ係数を次のようにする。
・R0 : r20, r21, r22, r23, r24, r25 、
・R1 : r10, r11, r12, r13, r14, r15 、
・R2 : r00, r01, r02, r03, r04, r05 。
【0195】
また、畳み込みのための反転順序(Inverse Order for convolution )を次のようにする。
・R0 : r25, r24, r23, r22, r21, r20 、
・R1 : r15, r14, r13, r12, r11, r10 、
・R2 : r05, r04, r03, r02, r01, r00 。
【0196】
このような条件で、たとえばDown後の出力3,4,5番の計算は、以下のように行う。
【0197】
3番の出力を求めるためには、ポリフェーズの係数セットR2を使い、入力データは0〜5番を使う。
【0198】
4番の出力を求めるためには、ポリフェーズの係数セットR0を使い、入力データは0〜5番を使う。
【0199】
5番の出力を求めるためには、ポリフェーズの係数セットR1を使い、入力データは1〜6番を使う。
【0200】
ポリフェーズフィルタの準備
ポリフェーズフィルタを準備するために、まず、FIRフィルタをUp=3のポリフェーズ分解する。
そして、分解したポリフェーズフィルタを、畳み込みの計算を簡単にするために逆順に並べ替える。
【0201】
畳み込み
ここで、畳み込みを行う。
カウンタをCoefCount 、計算すべきポリフェーズのポリフェーズフィルタCoefOffset、入力の中心InputOffset の値を以下に示す。
【0202】
【表5】
【0203】
ただし、CoefOffsetとポリフェーズフィルタの関係を以下に示す。
【0204】
【表6】
【0205】
第4実施形態
第4の実施形態として、上述した各サンプリングレート変換装置を採用したオーディオ装置について説明する。
【0206】
図17は、本発明に係るサンプリングレート変換装置を採用したオーディオ装置の構成例を示すブロック図である。
【0207】
本オーディオ装置300は、入力端子301、LR分離回路(DSB)302、サンプリングレート変換装置(SRC)303、アッテネータ(ATT)304、ミュート回路(MUTE)305、および出力端子306を有している。
【0208】
そして、サンプリングレート変換装置(SRC)303が、上述した第1〜第3の実施形態として図4、図11および図12に関連付けて説明したサンプリングレート変換装置100,200,200A,200Bが適用される。
【0209】
この場合、上述した説明の例外処理として、以下の処理を行う。
【0210】
端点処理を行う。すなわち、初めのフィルタ演算をするときTap/2 サンプル分足らない。そのTap/2 サンプル分、0を補っておく。
また、前データの保持処理を行う。オーディオ特有の処理として,以下のように、Width に対してフィルタをかけ終わった後、次のフィルタ演算用に入力データをコピーしておく必要がある。
【0211】
【数57】
【0212】
このオーディオ装置300においては、たとえば入力端子301から入力された48kHzのPCMデジタル信号が分離回路302で所定の分離処理が施された後、サンプリングレート変換装置303でサンプリングレートが変換され、たとえば32kHzの信号として出力される。
そして、アッテネータ304で減衰処理を受け、さらにミュート回路305を介して、出力端子306からPCMデジタル音声信号が出力される。
【0213】
本オーディオ装置300によれば、チェス盤歪みが回避され、また、任意のプリフィルタを考慮でき、任意の周波数点を通過可能で、演算量を必要最小限に抑えることが可能なサンプリングレート変換装置を有することから、ノイズ耐性が向上し、また、直線利得のずれを回避でき、また、処理速度の向上を図ることができる利点がある。
【0214】
第5実施形態
第5の実施形態として、上述した各サンプリングレート変換装置を採用した画像処理装置について説明する。
【0215】
直線位相FIRフィルタを用いたフィルタ処理の応用にサンプリングレート変換を利用した画像の解像度変換では、インタポレータ(補間器)とデシメータ(間引き器)と直線位相FIRフィルタを要素技術とするマルチレートフィルタを使用する。
【0216】
この場合、端点処理を行う。両端の処理として、第1に零を補う、第2に反射(Mirror)したデータを入れる、第3に両端の画素を保持する、といった処理を行う。
また、初期化処理を行う。具体的には、画像の端まで処理をしたらCoefCount= 0 と初期化する。
【0217】
本画像処理装置によれば、チェス盤歪みが回避され、また、任意のプリフィルタを考慮でき、任意の周波数点を通過可能で、演算量を必要最小限に抑えることが可能なサンプリングレート変換装置を有することから、画像が格子状になることはなく、また、直線利得のずれを回避でき、また、処理速度の向上を図ることができる利点がある。
【0218】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、チェス盤ひずみを回避可能である。
また、任意のプリフィルタを考慮でき、任意の周波数点を通過可能である。
また、演算量を必要最小限に抑えることが可能で、処理速度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】FIRフィルタのトランスバーサル型回路構成を示す図である。
【図2】従来方法におけるチェス盤歪みを回避した周波数応答と重みつき近似誤差の一例を示す図である。
【図3】従来方法における周波数応答と利得1付近の拡大図である。
【図4】本発明に係るサンプリングレート変換装置の第1の実施形態を示す構成図である。
【図5】FIRフィルタが直線位相を持つ4つの場合のインパルス応答を示す図である。
【図6】直線位相FIRフィルタの4つの場合に対するQ(ejw)とRを示す図である。
【図7】重みつきチェビシェフ近似の例を示す図である。
【図8】本発明に係るプリフィルタの周波数応答を考慮したレムズ交換アルゴリズムのフローチャートである。
【図9】重みつき近似誤差E(ejw)の新しい極値の決定法を説明するための図である。
【図10】本発明の任意の周波数点を指定したときの周波数応答とその拡大図を示す図である。
【図11】本発明に係るサンプリングレート変換装置の第2の実施形態を示す構成図である。
【図12】本発明に係るサンプリングレート変換装置の第3の実施形態を概念的に示す図である。
【図13】図12の概念的に示すサンプリングレート変換装置を、より具体的に示す図である。
【図14】本実施形態に係るサンプリングレート変換装置の実装法を説明するためのフローチャートである。
【図15】Up:3、Down:1の場合のサンプリングレート変換について説明するための図である。
【図16】Up:3、Down:2の場合のサンプリングレート変換について説明するための図である。
【図17】本発明に係るサンプリングレート変換装置を採用したオーディオ装置の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…直線位相FIRフィルタ、2−1〜2−n-1 …遅延器、3−1〜3−n…乗算器、4…加算器、h(0)〜h(n−1)…フィルタ係数、TIN…入力端子、TOUT …出力端子、100…サンプリングレート変換装置、101…入力端子、102…アップサンプラ、103…積和演算器、104…ダウンサンプラ、105…出力端子、200,200A,200B…サンプリングレート変換装置、201…入力端子、202−1〜202−U…積和演算器、203−1〜203−U…アップサンプラ、204−1〜204−U-1 …遅延器、205−1〜205−U-1 …加算器、206…ダウンサンプラ、207…出力端子、208…セレクタ、211…分解装置、212…係数メモリ、213…セレクタ、214…係数レジスタ、215…入力レジスタ、216…積和演算器、300…オーディオ装置、301…入力端子、302…LR分離回路(DSB)、303…サンプリングレート変換装置(SRC)、304…アッテネータ(ATT)、305…ミュート回路(MUTE)、306…出力端子。
Claims (39)
- サンプル信号間にU−1の零点を挿入し、サンプリング周波数をU倍にするアップサンプラと、
FIRフィルタを含み、上記アップサンプラの出力信号に対して所定の畳み込み演算を行う積和演算器と、
上記積和演算器の演算結果に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げるダウンサンプラと、
を有し、
上記積和演算器のFIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数が、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されている
サンプリングレート変換装置。 - 上記フィルタ係数が、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより得られたイコライザの振幅特性に基づいて設定されている
請求項1記載のサンプリングレート変換装置。 - 上記重みつき近似は、プリフィルタの周波数応答を考慮したレムズ交換(RemezExchange)アルゴリズムを用いて、所望の特性に対して行う
請求項1記載のサンプリングレート変換装置。 - サンプル信号間にU−1の零点を挿入し、サンプリング周波数をU倍にするアップサンプラと、
FIRフィルタを含み、上記アップサンプラの出力信号に対して所定の畳み込み演算を行う積和演算器と、
上記積和演算器の演算結果に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げるダウンサンプラと、
を有し、
上記積和演算器のFIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数が、任意の周波数点を通過するような制約条件を加えたアルゴリズムを用いて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されている
サンプリングレート変換装置。 - 上記重みつき近似は、任意の周波数点を通過するレムズ交換(RemezExchange)アルゴリズムを用いて、所望の特性に対して行う
請求項4記載のサンプリングレート変換装置。 - サンプル信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にするアップサンプラと、
FIRフィルタを含み、上記アップサンプラの出力信号に対して所定の畳み込み演算を行う積和演算器と、
上記積和演算器の演算結果に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げるダウンサンプラと、
を有し、
上記積和演算器のFIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点および上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されている
サンプリングレート変換装置。 - 上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点および上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより得られたイコライザの振幅特性に基づいて設定されている
請求項6記載のサンプリングレート変換装置。 - 上記重みつき近似は、任意の周波数点を通過し、かつ、プリフィルタの周波数応答を考慮したレムズ交換(RemezExchange)アルゴリズムを用いて、所望の特性に対して行う
請求項6記載のサンプリングレート変換装置。 - 所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解したポリフェーズフィルタを含み、入力されたサンプル信号と当該ポリフェーズに分解されたポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う複数の積和演算器と、
対応する上記積和演算器の出力信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にする複数のアップサンプラと、
上記複数のアップサンプラの出力信号の伝播時間を調整して全ての信号を加算した信号を生成する加算手段と、
上記加算手段による信号に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げるダウンサンプラと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数が、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されたFIRフィルタである
サンプリングレート変換装置。 - 上記フィルタ係数が、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより得られたイコライザの振幅特性に基づいて設定されている
請求項9記載のサンプリングレート変換装置。 - 上記重みつき近似は、プリフィルタの周波数応答を考慮したレムズ交換(RemezExchange)アルゴリズムを用いて、所望の特性に対して行う
請求項9記載のサンプリングレート変換装置。 - 所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解したポリフェーズフィルタを含み、入力されたサンプル信号と当該ポリフェーズに分解されたポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う複数の積和演算器と、
対応する上記積和演算器の出力信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にする複数のアップサンプラと、
上記複数のアップサンプラの出力信号の伝播時間を調整して全ての信号を加算した信号を生成する加算手段と、
上記加算手段による信号に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げるダウンサンプラと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数が、任意の周波数点を通過するような制約条件を加えたアルゴリズムを用いて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されたFIRフィルタである
サンプリングレート変換装置。 - 上記重みつき近似は、任意の周波数点を通過するレムズ交換(RemezExchange)アルゴリズムを用いて、所望の特性に対して行う
請求項12記載のサンプリングレート変換装置。 - 所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解したポリフェーズフィルタを含み、入力されたサンプル信号と当該ポリフェーズに分解されたポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う複数の積和演算器と、
対応する上記積和演算器の出力信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にする複数のアップサンプラと、
上記複数のアップサンプラの出力信号の伝播時間を調整して全ての信号を加算した信号を生成する加算手段と、
上記加算手段による信号に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げるダウンサンプラと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点および上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されたFIRフィルタである
サンプリングレート変換装置。 - 上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点および上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより得られたイコライザの振幅特性に基づいて設定されている
請求項14記載のサンプリングレート変換装置。 - 上記重みつき近似は、任意の周波数点を通過し、かつ、プリフィルタの周波数応答を考慮したレムズ交換(RemezExchange)アルゴリズムを用いて、所望の特性に対して行う
請求項14記載のサンプリングレート変換装置。 - 所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解した異なるフィルタ係数を設定可能なポリフェーズフィルタを含み、入力されたサンプル信号と選択された係数のポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う積和演算器と、出力サンプルに対応するポリフェーズフィルタの係数を選択するためのセレクタと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数が、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されたFIRフィルタであるサンプリングレート変換装置。 - 上記セレクタは、カウンタを有し、当該カウンタをCoefCount 、演算に使用するポリフェーズフィルタをCoefOffset、入力データの中心をInputOffset とすると、CoefOffset= CoefCount%Up、InputOffset = CoefCount/Up 、CoefCount += Down なる関係を満足する
請求項17記載のサンプリングレート変換装置。 - 上記フィルタ係数が、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより得られたイコライザの振幅特性に基づいて設定されている
請求項17記載のサンプリングレート変換装置。 - 上記重みつき近似は、プリフィルタの周波数応答を考慮したレムズ交換(RemezExchange)アルゴリズムを用いて、所望の特性に対して行う
請求項17記載のサンプリングレート変換装置。 - 所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解した異なるフィルタ係数を設定可能なポリフェーズフィルタを含み、入力されたサンプル信号と選択された係数のポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う積和演算器と、出力サンプルに対応するポリフェーズフィルタの係数を選択するためのセレクタと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数が、任意の周波数点を通過するような制約条件を加えたアルゴリズムを用いて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されたFIRフィルタである
サンプリングレート変換装置。 - 上記セレクタは、カウンタを有し、当該カウンタをCoefCount 、演算に使用するポリフェーズフィルタをCoefOffset、入力データの中心をInputOffset とすると、CoefOffset= CoefCount%Up、InputOffset = CoefCount/Up 、CoefCount += Down なる関係を満足する
請求項21記載のサンプリングレート変換装置。 - 上記重みつき近似は、任意の周波数点を通過するレムズ交換(RemezExchange)アルゴリズムを用いて、所望の特性に対して行う
請求項21記載のサンプリングレート変換装置。 - 所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解した異なるフィルタ係数を設定可能なポリフェーズフィルタを含み、入力されたサンプル信号と選択された係数のポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う積和演算器と、出力サンプルに対応するポリフェーズフィルタの係数を選択するためのセレクタと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点および上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されたFIRフィルタである
サンプリングレート変換装置。 - 上記セレクタは、カウンタを有し、当該カウンタをCoefCount 、演算に使用するポリフェーズフィルタをCoefOffset、入力データの中心をInputOffset とすると、CoefOffset= CoefCount%Up、InputOffset = CoefCount/Up 、CoefCount += Down なる関係を満足する
請求項24記載のサンプリングレート変換装置。 - 上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点および上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより得られたイコライザの振幅特性に基づいて設定されている
請求項24記載のサンプリングレート変換装置。 - 上記重みつき近似は、任意の周波数点を通過し、かつ、プリフィルタの周波数応答を考慮したレムズ交換(RemezExchange)アルゴリズムを用いて、所望の特性に対して行う
請求項24記載のサンプリングレート変換装置。 - サンプル信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍する第1ステップと、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタを含む積和演算器により、サンプリング周波数をU倍された信号に対して所定の畳み込み演算を行う第2ステップと、
上記演算結果に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げる第3ステップと、
を有し、
上記FIRフィルタのフィルタ係数を、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより算出する
サンプリングレート変換方法。 - サンプル信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍する第1ステップと、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっているFIRフィルタを含む積和演算器により、サンプリング周波数をU倍された信号に対して所定の畳み込み演算を行う第2ステップと、
上記演算結果に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げる第3ステップと、
を有し、
上記FIRフィルタのフィルタ係数を、任意の周波数点を通過するような制約条件を加えたアルゴリズムを用いて、所望の特性に対して重みつき近似を算出する
サンプリングレート変換方法。 - サンプル信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍する第1ステップと、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタを含む積和演算器により、サンプリング周波数をU倍された信号に対して所定の畳み込み演算を行う第2ステップと、
上記演算結果に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げる第3ステップと、
を有し、
上記FIRフィルタのフィルタ係数を、通過させたい周波数点および上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより算出する
サンプリングレート変換方法。 - 所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解したポリフェーズフィルタを含む複数の積和演算器により、入力されたサンプル信号と当該ポリフェーズに分解されたポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う第1ステップと、
対応する上記積和演算器の出力信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にする第2のステップと、
上記サンプリング周波数がU倍された複数の信号の伝播時間を調整して全ての信号を加算した信号を生成する第3のステップと、
上記第3のステップによる信号に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げる第4のステップと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数を、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより算出する
サンプリングレート変換方法。 - 所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解したポリフェーズフィルタを含む複数の積和演算器により、入力されたサンプル信号と当該ポリフェーズに分解されたポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う第1ステップと、
対応する上記積和演算器の出力信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にする第2のステップと、
上記サンプリング周波数がU倍された複数の信号の伝播時間を調整して全ての信号を加算した信号を生成する第3のステップと、
上記第3のステップによる信号に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げる第4のステップと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数を、任意の周波数点を通過するような制約条件を加えたアルゴリズムを用いて、所望の特性に対して重みつき近似を算出する
サンプリングレート変換方法。 - 所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解したポリフェーズフィルタを含む複数の積和演算器により、入力されたサンプル信号と当該ポリフェーズに分解されたポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う第1ステップと、
対応する上記積和演算器の出力信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にする第2のステップと、
上記サンプリング周波数がU倍された複数の信号の伝播時間を調整して全ての信号を加算した信号を生成する第3のステップと、
上記第3のステップによる信号に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げる第4のステップと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、
上記FIRフィルタのフィルタ係数を、通過させたい周波数点および上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより算出する
サンプリングレート変換方法。 - 出力サンプルに対応するポリフェーズフィルタの係数を選択する第1ステップと、
所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解した異なるフィルタ係数を設定可能なポリフェーズフィルタを含む積和演算器により、入力されたサンプル信号と選択された係数のポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う第2ステップと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数を、上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより算出する
サンプリングレート変換方法。 - 出力サンプルに対応するポリフェーズフィルタの係数を選択する第1ステップと、
所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解した異なるフィルタ係数を設定可能なポリフェーズフィルタを含む積和演算器により、入力されたサンプル信号と選択された係数のポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う第2ステップと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数を、任意の周波数点を通過するような制約条件を加えたアルゴリズムを用いて、所望の特性に対して重みつき近似を算出する
サンプリングレート変換方法。 - 出力サンプルに対応するポリフェーズフィルタの係数を選択する第1ステップと、
所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解した異なるフィルタ係数を設定可能なポリフェーズフィルタを含む積和演算器により、入力されたサンプル信号と選択された係数のポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う第2ステップと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数を、通過させたい周波数点および上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより算出する
サンプリングレート変換方法。 - サンプリングレート変換装置を含むオーディオ装置であって、
上記サンプリング変換装置は、
サンプル信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にするアップサンプラと、
FIRフィルタを含み、上記アップサンプラの出力信号に対して所定の畳み込み演算を行う積和演算器と、
上記積和演算器の演算結果に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げるダウンサンプラと、
を有し、
上記積和演算器のFIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点および/または上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されている
オーディオ装置。 - サンプリングレート変換装置を含むオーディオ装置であって、
上記サンプリング変換装置は、
所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解したポリフェーズフィルタを含み、入力されたサンプル信号と当該ポリフェーズに分解されたポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う複数の積和演算器と、
対応する上記積和演算器の出力信号間にU−1の零点を挿入に、サンプリング周波数をU倍にする複数のアップサンプラと、
上記複数のアップサンプラの出力信号の伝播時間を調整して全ての信号を加算した信号を生成する加算手段と、
上記加算手段による信号に対してDサンプルの間隔で間引いていくことでサンプリング周波数を1/Dに下げるダウンサンプラと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点および/または上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されたFIRフィルタである
オーディオ装置。 - サンプリングレート変換装置を含むオーディオ装置であって、
上記サンプリング変換装置は、
所定のFIRフィルタをポリフェーズ分解した異なるフィルタ係数を設定可能なポリフェーズフィルタを含み、入力されたサンプル信号と選択された係数のポリフェーズフィルタとの畳み込み演算を行う積和演算器と、
出力サンプルに対応するポリフェーズフィルタの係数を選択するためのセレクタと、
を有し、
上記FIRフィルタは、
インパルス応答が有限時間長で表され、当該インパルス応答がフィルタ係数となっており、伝達関数H(z)がプリフィルタの伝達関数Z(z)に関連付けられているFIRフィルタであって、
上記フィルタ係数が、通過させたい周波数点および/または上記プリフィルタの周波数応答に関連付けて、所望の特性に対して重みつき近似を行うことにより設定されたFIRフィルタである
オーディオ装置。
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