JP2004214013A - 軟x線光源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば波長4〜6nmの狭帯域の波長の軟X線を高輝度かつ多光量で利用できるようにする。
【解決手段】X線光学系に、錫及び鉛の少なくとも一方よりなる金属膜が積層された高分子フィルムからなり狭帯域の所定波長の軟X線が透過するフィルタ52を配置した。
高分子フィルムは炭素原子が多く存在するため、あたかも炭素膜のように機能して波長5〜15nmの軟X線をよく透過する。また高分子フィルム表面であれば、錫及び鉛の少なくとも一方の薄膜を容易に形成することができ、金属膜によってさらに狭い波長の軟X線のみが透過する。
【選択図】 図23
【解決手段】X線光学系に、錫及び鉛の少なくとも一方よりなる金属膜が積層された高分子フィルムからなり狭帯域の所定波長の軟X線が透過するフィルタ52を配置した。
高分子フィルムは炭素原子が多く存在するため、あたかも炭素膜のように機能して波長5〜15nmの軟X線をよく透過する。また高分子フィルム表面であれば、錫及び鉛の少なくとも一方の薄膜を容易に形成することができ、金属膜によってさらに狭い波長の軟X線のみが透過する。
【選択図】 図23
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザープラズマ軟X線、X線レーザーなどを高輝度,多光量で発生させることが可能な軟X線光源装置に関する。本発明の軟X線光源装置は、光電子分光,X線回折分光,X線顕微鏡などの分析装置に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
近年、真空容器内に配置された所定のターゲットにレーザービームを照射して軟X線を発生させる軟X線光源装置が知られている。例えばターゲットとして平板状あるいは円柱状の固体金属を用い、このターゲットの表面にレーザービームを集光させることによって高密度レーザープラズマを生成し、この自由膨張したプラズマ中から発生する軟X線をX線光学系を介して外部へ導く構造のものが知られている。
【0003】
また近年、10〜 100MW/cm2 以上の強度をもつ高エネルギーのレーザー光が開発され、このレーザー光を励起用に用いてレーザープラズマ軟X線を発生させる装置が提案され(特開平07−128500号公報など)、X線リソグラフィやX線顕微鏡などへの応用が期待されている。
【0004】
しかしこのような軟X線光源装置では、過熱による不具合を回避するために数10分以上の間隔をあけて間欠的に励起用レーザー光の照射を行っているのが現状である。これでは連続的に軟X線を取り出すことが困難であるが、近年、特開平07−094296号公報に開示されているように、波形制御されたパルス列の固体レーザーを用いることにより、1Hz又は10Hzの繰り返しでレーザープラズマ軟X線を発生させることができるようになっている。
【0005】
ところが励起用レーザー光を用いた軟X線光源装置では、ターゲットから燃焼分解物や破砕物からなる飛散粒子(以下、デブリという)がX線と同時に放出され、広範囲の領域に飛散あるいは浮遊する。また10MW/cm2 以上の高エネルギーの励起用レーザー光の場合は、デブリの速度が特に大きくなり、一層広範囲に飛散する。そしてこのデブリがX線光学系に付着すると、装置から取り出されるX線量が減少したり、X線光学系の要素を劣化させる場合がある。またレーザー光学系にデブリが付着すると、励起用レーザー光の利用効率が低減する。さらにテープ形状のターゲットを用いるなどして、長時間繰り返してレーザープラズマ軟X線を発生させる場合には、短時間の間に多量のデブリが爆発的に発生してX線光学系やレーザー光学系に付着するという問題がある。
【0006】
そのため従来のX線光源装置では、数十から数千回の励起用レーザー照射毎に真空容器を常圧に戻し、X線光学系やレーザー光学系に付着したデブリを除去している。したがって長時間連続してX線を取り出すことが困難であり、作業性及び生産性が低いという問題があった。
【0007】
そこで特開平08−194100号公報には、ターゲットとX線光学系との間に高分子フィルムを介在させ、高分子フィルムを通してX線をX線光学系へ照射する構成の装置が開示されている。また特開平10−026699号公報には、励起用レーザー入射窓へのデブリの付着を阻止するために、ポリエチレンなどからなる高分子フィルムを用いることが提案されている。このようにすれば、デブリは高分子フィルムに付着して捕捉されるので、デブリがX線光学系やレーザー光学系に付着するのが防止され、上記不具合を解決することができる。
【0008】
ところで、ターゲットにエネルギービームを照射することにより発生する軟X線には、種々の波長のものが含まれている。したがってX線光学系で軟X線を有効に利用するためには、特定波長の軟X線を狭帯域スペクトルとして取り出す必要がある。そこで特開平05−297148号公報には、アルミニウムなどの金属膜からなるフィルタを用いることが記載されている。また特開2000−162392号公報には、ポリプロピレンとニッケルなどの金属膜との積層体をフィルタとして用いることが記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開平07−128500号
【特許文献2】特開平07−094296号
【特許文献3】特開平08−194100号
【特許文献4】特開平10−026699号
【特許文献5】特開平05−297148号
【特許文献6】特開2000−162392号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
アルミニウムやニッケルなどの金属膜をフィルタとした場合には、可視光や赤外線を遮蔽でき、かつ波長4nm以下の軟X線のみを透過する。しかしながら、生体分野での利用が期待されている軟X線の波長は 2.3〜 4.3nmであり、電子分野あるいは材料分野での利用が期待されている軟X線の波長は4〜6nmであるので、アルミニウムやニッケルなどの金属膜をフィルタとした場合には、これらの軟X線はほとんど透過しない。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、例えば波長4〜6nmの狭帯域の波長の軟X線を高輝度かつ多光量で利用できるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の軟X線光源装置の特徴は、真空容器と、真空容器内に配置されたターゲットと、ターゲットにエネルギービームを照射するビーム照射手段と、真空容器と連通して設けられたX線光学系と、からなる軟X線光源装置において、
真空容器又はX線光学系には、錫及び鉛の少なくとも一方よりなる金属膜が積層された高分子フィルムからなり狭帯域の所定波長の軟X線が透過するフィルタを有することにある。
【0013】
上記フィルタにおいては、高分子フィルムの厚さは0.01〜1μmであり、金属膜の厚さは0.01〜1μmであることが望ましい。また高分子フィルムは、ポリエチレン,ポリプロピレン,パリレン−N及びパリレン−Cから選ばれる少なくとも一種から形成されていることが望ましい。
【0014】
さらにターゲットは、高分子フィルムと高分子フィルムの表面に積層された第1金属膜と、第1金属膜の表面に積層されたターゲット材料としての第2金属膜と、からなるシート形状又はテープ形状をなすことが望ましく、第2金属膜の厚さは1〜5μmであることが望ましい。また第2金属膜は、錫及び鉛の少なくとも一方からなることが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
炭素(C)の薄膜は波長5〜15nmの軟X線をよく透過し、錫(Sn)の薄膜は波長3〜9nmの軟X線をよく透過し、鉛(Pb)の薄膜は波長5〜9nmの軟X線をよく透過する。したがって、これらから選ばれる材料の薄膜からフィルタを形成すれば生体分野,電子分野あるいは材料分野で利用できるが、炭素は透過する波長域が広いため好ましくなく、錫又は鉛は薄膜に形成することが困難である。また炭素も薄膜とするのが難しい。
【0016】
そこで本発明の軟X線光源装置では、錫及び鉛の少なくとも一方よりなる金属膜が積層された高分子フィルムからなり、狭帯域の所定波長の軟X線が透過するフィルタを有している。高分子フィルムは炭素原子が多く存在するため、あたかも炭素膜のように機能して波長5〜15nmの軟X線をよく透過する。また高分子フィルム表面であれば、錫及び鉛の少なくとも一方の薄膜を容易に形成することができ、金属膜によってさらに狭い波長の軟X線のみが透過する。
【0017】
したがって本発明の軟X線光源装置によれば、波長が3〜9nmあるいは5〜9nmなどの狭帯域の軟X線のみを取り出すことができ、生体分野,電子分野あるいは材料分野での利用価値が著しく高まる。
【0018】
以下、本発明の軟X線光源装置を構成要件毎に説明する。
【0019】
真空容器の真空度は、10−10 〜10−3Paの範囲が一般的に用いられる。
【0020】
ターゲットは、アルミニウム、銅、鉄、錫、チタンなどの金属あるいは硫黄や炭素を含んだゴムなどの固体ターゲット材料、あるいはヘリウム、ネオン、キセノン、アルゴン、クリプトンなどの気体ターゲット材料を用いることができる。各ターゲット材料によって発生するX線のスペクトルが異なるので、ターゲット材料の種類とX線光学系の種類及び位置を選択することにより、所望の狭帯域の波長の軟X線を取り出すことが可能となる。
【0021】
ターゲットは、上記した固体ターゲット材料又は気体ターゲット材料をそのまま、あるいはエネルギービームを透過する容器に詰めて用いてもよいが、デブリが発生する恐れがある。そこでターゲットを、高分子フィルムと高分子フィルムに保持されたターゲット材料と、からなる構成とすることが望ましい。
【0022】
高分子フィルムにエネルギービームが照射されると、そのエネルギーによってプラズマ化されるだけでなく、ある種類の高分子フィルムでは、照射位置の周囲はガス化するだけでデブリは発生しないことが明らかとなった。したがってこの種の高分子フィルムを用いることにより、飛散微粒子の発生を抑制することができる。
【0023】
ターゲット用の高分子フィルムの材質としては、エネルギービームが照射されたときに容易にガス化するものが望ましく、炭素、水素、酸素及び窒素から選ばれる元素から構成されたものが望ましい。このような高分子フィルムを用いれば、エネルギービームが照射されたときにCO、CO2 、H2O 、N2などとなって容易にガス化し、デブリが生じない。このような高分子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、パリレンなどが例示される。
【0024】
この高分子フィルムの厚さは、30μm以上であることが望ましい。厚さが30μm未満であると、エネルギービームの照射位置の周囲が広範囲にわたって破断するため、後述のターゲット駆動装置を用いて連続的又は間欠的にターゲットを供給することが困難となる。30μm以上の厚さであれば、エネルギービームの照射位置が溶融するだけで、その周囲の破断を防止することができる。なお厚さの上限は制限されないが、ターゲット駆動装置による供給のし易さ、製造のし易さなどを考慮すると、 100μm以下とするのが好ましい。
【0025】
ターゲット材料を高分子フィルムに保持するには、前述の固体ターゲットを微粒子状として高分子フィルム中に保持してもよいし、前述の固体ターゲットを膜状にしターゲット層として高分子フィルム表面あるいは内部に積層することもできる。微粒子状として高分子フィルム中に保持する場合は、粒子径を 0.1〜80μmとし、高分子フィルムの厚さ方向に5〜10μmの厚さとなるように保持することが望ましい。粒子径が 0.1μm未満であると発生する軟X線の強度が小さくなり、80μmを超えるとプラズマ化しなかった部分がエネルギービームのエネルギーによって溶融し、粒子どうしが融合して部分的に粒子径が 100μm以上の粗大粒子が生成するため、デブリが発生するようになる。
【0026】
またターゲット粒子が高分子フィルムの厚さ方向に5μm未満となるように保持されていると、量が少なすぎて発生する軟X線の強度が小さく、10μmを超える厚さとなるように保持されていると、量が過剰となってデブリが発生するようになる。
【0027】
またターゲット粒子の形状は、箔状、球状、不定形など特に制限されない。そして粒子は高分子フィルム全体に分散保持してもよいし、表面のみに保持することもできる。高分子フィルム表面に保持するのであれば粒子は箔状とするのが望ましく、高分子フィルム中に保持するのであれば球状とするのが特に望ましい。
【0028】
微粒子状の金属粒子を製造するには、アトマイズ法、粉砕法、爆砕法などが例示される。アトマイズ法にはガスアトマイズ法、水アトマイズ法、遠心アトマイズ法があり、溶融金属を真空中や溶液中に吹出したり、遠心力により飛散させて微粒子状の金属粒子を製造することができる。粉砕法は目的とする金属とそれより硬い金属とを容器中に入れて容器ごと回転あるいは振動させて粉砕する方法であり、また爆砕法は金属片と爆薬を容器中に入れて爆発させることで微粒子を製造する方法である。このうちアトマイズ法によれば比較的整った球状の微粒子を製造することができ、爆砕法によれば比較的硬質の金属から微粒子状の金属粒子を製造することができる。
【0029】
微粒子状の粒子を高分子フィルムに保持するには、高分子フィルム内に埋設してもよいし、高分子フィルム表面に付着させることもできる。いずれの場合も、均一に分散して保持されていることが望ましい。埋設する場合には、高分子溶液中に粒子を混合してスピンコート法などで成膜する方法、溶融高分子中に粒子を混合してフィルム成形する方法、ラミネート法により2枚の高分子フィルムの間に粒子を挟持する方法などを採用することができる。また高分子フィルムの表面に粒子を保持するには、溶融した高分子フィルムの表面に粒子を供給して溶着させる方法、あるいは接着剤を用いる方法などを採用することができる。
【0030】
また固体ターゲットを膜状にして高分子フィルム表面あるいは内部に積層する場合、固体ターゲット層の厚さは10μm以下とすることが望ましい。固体ターゲット層の厚さが10μmを超えると、エネルギービームを照射した際にデブリが発生するようになる。なお、固体ターゲット層を形成するには、固体ターゲット材料を厚さ10μm以下に加工し、高分子フィルムと溶着あるいは接着することにより行うことができる。また、蒸着法などを用いて固体ターゲット層を形成することもできる。
【0031】
例えばボロン、ベリリウム、カーボンをターゲット材料とすれば、波長5〜9nmの軟X線が発生するため、生体分野,電子分野あるいは材料分野で利用することができる。しかしこれらのターゲット材料は、高分子フィルム表面に膜状に形成することが困難である。
【0032】
そこで、ターゲットは、高分子フィルムと高分子フィルムの表面に積層された第1金属膜と、第1金属膜の表面に積層されたターゲット材料としての第2金属膜と、からなることが望ましい。例えば高分子フィルム上に第1金属膜をアルミニウムから形成すれば、ボロン,ベリリウム,カーボンなどをその表面に膜状に形成することが容易となり、第2金属膜を形成することができる。そしてこのターゲットにエネルギービームを照射することで、波長5〜9nmの狭帯域の軟X線を発生させることができる。
【0033】
この場合も、高分子フィルムは上記と同様のものを用いることができる。第1金属膜は、高分子フィルムに膜状に積層することが容易な金属であればよく、アルミニウム,銅,鉄,錫,チタンなどから形成することができる。また第2金属膜は、狭帯域の波長の軟X線を発生させる金属が用いられ、例えばボロン,ベリリウム,カーボンなどから第2金属膜を形成すれば波長5〜9nmの狭帯域の軟X線を発生させることができる。第1金属膜及び第2金属膜の形成方法は、上記した固体ターゲット層の形成と同様に蒸着などで行うことができる。
【0034】
第2金属膜の厚さは、1〜5μmであることが望ましい。第2金属膜の厚さが1μm未満では、第1金属膜から発生する軟X線が多くなるために、狭帯域の波長の軟X線を有効利用することが困難となる。また第2金属膜の厚さが5μmを超えると、エネルギービーム照射時に割れ、剥離などの不具合が生じ易くなる。
【0035】
ターゲットは、シート形状又はテープ形状をなすことが望ましい。このようなターゲットとすることにより、ターゲット駆動装置を用いて、ターゲットをエネルギービームの照射位置に連続的又は間欠的に供給することができる。したがって真空容器の真空を解除することなく、長時間連続して軟X線を発生させることが可能となる。
【0036】
このターゲット駆動装置は、例えば一対のリールを用意し、テープ状のターゲットが巻回された一方のリールから他方のリールに巻き取る構成のものが例示される。リールの回転駆動を連続的にすれば、ターゲットをエネルギービームの照射位置に連続的に供給でき、回転駆動を間欠的にすれば間欠的に供給することができる。
【0037】
またターゲットを比較的面積の大きなシート状とし、それを回転駆動あるいは平行移動させることで連続的又は間欠的に供給することもできる。あるいは円柱状の部材表面にシート状のターゲットを巻き付け、その部材を回転させてもよい。
【0038】
ビーム照射手段としては、強度が10MW/cm2 以上のレーザー光を照射する装置を利用することができ、レーザー光の種類としては 100MW/cm2 以上のものが特に好ましく、YAGレーザー、ガラスレーザー、エキシマレーザー、CO2 ガスレーザーなどのレーザー光を利用できる。 100MW/cm2 以上の強度のレーザー光を用いれば、2〜40nmの波長の軟X線を効率よく発生させることができる。
【0039】
真空容器には、真空容器と連通してX線光学系が配置される。X線光学系には、集光ミラー,波長分散装置,波長選択装置などがある。
【0040】
波長分散装置としては、分光器,回折格子などが例示される。そして波長選択装置としては、多層膜ミラー,フィルタなどが例示される。
【0041】
波長選択装置は、固定として特定の波長の軟X線を取り出すように構成してもよいが、波長分散された軟X線の波長分散方向に移動可能とすることが好ましい。これにより各種波長の軟X線を選択して取り出すことができ、各種波長の軟X線を照射できる単色軟X線光源として多様に利用することができる。
【0042】
例えば波長分散装置として回折格子を用いた場合、回折格子に入射される軟X線の入射角度(α)と波長分散された所定波長(λ)の軟X線の出射角度(β)との間には次(1)式の関係がある。なお次(1)式において、Nは回折格子の溝の数、kは次数である。
【0043】
したがって(1)式から所定波長(λ)の軟X線の出射角度(β)を求めることができるので、回折格子から波長選択装置までの距離Lを用いて、次式(2)によって回折格子面から結像位置までの高さ(H)が算出でき、波長選択装置をその結像位置へ移動可能とすることにより、波長分散された中から任意の波長の軟X線を取り出すことができる。
【0044】
Nkλ= sinα+ sinβ (1)
H=L cotβ (2)
そして波長選択装置で選択された特定波長の軟X線は、波長選択装置の先にX線CCDカメラ、マイクロチャンネルプレート、ストリークカメラなどのX線検出器を配置しておくことで観察することができ、X線顕微鏡、X線(EUV)リソグラフィ評価装置、光電子分光装置などを配置しておくことで、単色軟X線光源としてそれぞれの分野に利用することができる。
【0045】
本発明の特色をなすフィルタは、錫及び鉛の少なくとも一方よりなる金属膜が積層された高分子フィルムからなる。高分子フィルムとしては、ポリエチレン,ポリプロピレン,パリレン,ポリカーボネート,ポリメチルメタクリレート,テフロン(登録商標)などが例示される。中でも分子中の炭素原子が多く、かつ波長5〜10nmの軟X線の透過率が高いものが好ましく、ポリエチレン,ポリプロピレン,パリレン−N及びパリレン−Cから選ばれる少なくとも一種であることが望ましい。
【0046】
金属膜は、錫,鉛,あるいは錫−鉛合金から形成することができる。また金属膜を錫と鉛の二層構造としてもよい。この金属膜は、ターゲットの固体ターゲット層と同様にして高分子フィルム上に形成することができる。
【0047】
またフィルタの高分子フィルムの厚さは0.01〜1μmであり、金属膜の厚さも0.01〜1μmであることが望ましい。高分子フィルムの厚さが0.01μm未満では強度面で使用が困難となり、1μmより厚くなると波長5〜10nmの軟X線の透過率が大きく低下する。また金属膜の厚さが0.01μm未満では透過する軟X線の波長域が広くなりすぎ、1μmを超えると波長5〜10nmの軟X線の透過率が大きく低下する。
【0048】
このフィルタは、真空容器内に配置することもできるが、デブリの付着を防止するためにX線光学系のできるだけ軟X線流れの下流側に設けることが望ましい。
【0049】
また本発明の軟X線光源装置は、ターゲットとX線光学系との間に高次の次数の軟X線をカットする規制部材が配置されていることが望ましい。このようにすれば、規制部材により高次の次数の軟X線がカットされ、その軟X線が波長分散装置及び波長選択装置に入射されることによって、さらなる狭帯域化が達成され単波長の軟X線をいっそう確実に取り出すことができる。この規制部材としては、窒化ケイ素膜などを用いることができる。
【0050】
さらに本発明の軟X線光源装置は、少なくともX線光学系へのデブリの侵入を抑制するデブリ除去装置をもつことが望ましい。これにより、何らかの事情によってターゲットからデブリが発生した場合でもそれがX線光学系に付着するのを阻止することができ、いっそう長時間の連続運転を行うことができる。このデブリ除去装置としては、特開平08−194100号公報などに開示された高分子フィルムなどを用いることができる。
【0051】
【実施例】
以下、試験例及び実施例により本発明を具体的に説明する。
【0052】
<試験例1>
各種金属を厚さ 0.2μmの膜状とし、その金属膜における波長1〜20μmの軟X線の透過率をシミュレートした。結果を図1〜12に示す。図1〜12より、炭素(C)の薄膜は波長5〜15nmの軟X線をよく透過し、錫(Sn)の薄膜は波長3〜9nmの軟X線をよく透過し、鉛(Pb)の薄膜は波長5〜9nmの軟X線をよく透過するとともに、他の波長域の軟X線の透過率が低いことがわかる。
【0053】
そこで、厚さ 0.2μmのC膜と厚さ 0.2μmのSn膜とを積層した場合と、厚さ0.2μmのC膜と厚さ 0.2μmのPb膜とを積層した場合とにおいて、それぞれ波長1〜20μmの軟X線の透過率をシミュレートした。結果を図13〜14に示す。図13〜14より、いずれの場合も波長5〜15nmの軟X線のみを透過するフィルタとしての可能性が見出された。
【0054】
一方、各種高分子を厚さ 0.2μmの膜状とし、その高分子膜における波長1〜20μmの軟X線の透過率をシミュレートした。結果を図15〜20に示す。図15〜20より、ポリエチレン,ポリプロピレン,パリレン−N及びパリレン−Cが炭素単体に近い透過特性を有していることがわかった。
【0055】
そこで厚さ 0.2μmのパリレン−Nに厚さ 0.2μmのSn膜を積層した場合と、厚さ 0.2μmのパリレン−Nに厚さ 0.2μmのPb膜を積層した場合とにおいて、それぞれ波長1〜20μmの軟X線の透過率をシミュレートした。結果を図21〜22に示す。図21〜22より、いずれの場合も波長5〜10nmの軟X線のみを透過するフィルタとして最適であることが見出された。
【0056】
(実施例1)
図23に本発明の一実施例の軟X線光源装置を示す。この軟X線光源装置は、一側壁にレーザー入射窓10を備え、その側壁と90度に交差する側壁に分光器接続ポート11をもつ真空容器1と、真空容器1外部に配置された集光レンズ2と、真空容器1内に配置されたターゲット供給機構3と、ターゲット供給機構3に配置されたテープ状のターゲット4と、分光器接続ポート11に連結された平面結像型斜入射分光器5と、から構成されている。
【0057】
平面結像型斜入射分光器5は、全反射型のX線集光ミラー50と、スリット51及びフィルタ52を備え、その先に波長分散装置としての回折格子53と、CCD検出器6が備えられている。
【0058】
真空容器1には図示しない排気装置が接続され、真空容器1内を10−4Paまで減圧可能とされている。またレーザー入射窓10は石英ガラスから形成され、真空容器1の側壁に真円形状に形成されている。
【0059】
集光レンズ2は、真空容器1外部でレーザー光入射窓10と同軸的に配置されている。そしてターゲット4と、レーザー光入射窓10及び集光レンズ2が同一直線(レーザー光軸)上に位置し、その延長線上に図示しないレーザー光源が配置されている。このレーザー光源は、10Hzの繰り返し周波数で数 100MW/cm2 の高エネルギーの励起用レーザー光 100を照射するものである。集光レンズ2によって集光されたレーザー光は、レーザー光入射窓10を通過してターゲット4の表面で点状に集光される。
【0060】
ターゲット供給機構3は、一対のリール31,32と、一対のリール31,32間に介装されたターゲット4と、図示しないモータとから構成されている。ターゲット4は、図24に示すように、ポリエチレンからなる高分子膜40と、高分子膜40表面に蒸着によって積層された金属Al膜41と、金属Al膜41の表面に蒸着によって積層された金属B膜42とからなる三層構造をなし、テープ状に形成されている。
【0061】
図25に拡大して示すように、ターゲット4は一方のリール31に巻回され、モータの連続駆動によって一方のリール31から他方のリール32に巻き取られるように構成されている。したがって励起用レーザー光が照射された部分はリール32に巻き取られるので、ターゲット4は常に新しい部分がレーザー光 100の集光位置に表出するようになっている。
【0062】
ターゲット4の高分子膜40は厚さが60μmであり、金属Al膜41は10μm、金属B膜42は3μmの厚さとされている。このターゲット4は、金属B膜42がレーザー光 100に対向するように配置されている。
【0063】
なお1回のレーザー光 100の照射で、ターゲット4は移動方向に約 500μm剥ぎ取られることがわかっている。したがってレーザー光を10Hzの繰り返し周波数で照射する場合には、ターゲット4の送り速度は5mm/秒程度であれば十分である。
【0064】
発生した軟X線は、真空容器1内に配置された前置きスリット12を通過した後に平面結像型斜入射分光器5内に入る。平面結像型斜入射分光器5内のX線集光ミラー50は、斜入射したX線が全反射してスリット51を通過するように設計されている。スリット51を通過して余分な光がカットされた軟X線は、フィルタ52を通過後に回折格子53で波長分散され、CCD検出器6によって検出される。
【0065】
フィルタ52は、厚さ 0.2μmのパリレン−N膜に、厚さ 0.2μmの金属Sn膜が蒸着により積層されてなり、パリレン−N膜がスリット51に対向し、金属Sn膜が回折格子53に対向している。
【0066】
この軟X線光源装置によれば、リール31,32の回転駆動を連続的にすることにより、ターゲット4を励起用レーザー光 100の集光位置に連続的に供給でき、回転駆動を間欠的にすれば間欠的に供給することができる。したがって長時間の連続駆動が可能となる。
【0067】
そしてこの軟X線光源装置によれば、フィルタ52によって波長5〜9nmの軟X線のみが透過して取り出されるので、生体分野,電子分野あるいは材料分野で利用することができる。さらに高分子膜40と金属Al膜41及び金属B膜42からなるテープ状のターゲット4を用いているので、ボロンにより波長6nmの軟X線が多く発生し、フィルタ52による濾過作用と相乗的に作用するため、狭帯域の軟X線を高輝度かつ多光量で取り出すことができる。そしてデブリの発生を抑制することができるので、レーザー入射窓10や平面結像型斜入射分光器5にデブリや浮遊粒子が付着するのが抑制され、長時間安定して軟X線を発生・利用することができる。
【0068】
(実施例2)
金属Sn膜に代えて厚さ 0.2μmの金属Pb膜を蒸着により形成したフィルタ52を用いたこと以外は実施例1と同様である。
【0069】
(比較例1)
フィルタ52を用いなかったこと以外は実施例1と同様である。
【0070】
<試験例2>
実施例1,実施例2及び比較例1のX線光源装置について、CCD検出器6により検出された軟X線の波長とピーク強度を測定し、結果を図26に示す。
【0071】
図26の比較例1の結果より、高分子膜40と金属Al膜41及び金属B膜42からなるテープ状のターゲット4を用いたことで、波長6nmの軟X線が高輝度及び多光量で発生していることが明らかである。しかしCCD検出器6で観察された軟X線には、他の波長のスペクトルも観察されている。
【0072】
しかし各実施例では、波長6nmの軟X線を高輝度及び多光量で取り出すことができ、かつ他の波長の軟X線はカットされていることがわかり、これはフィルタ52を用いた効果であることが明らかである。
【0073】
<試験例3>
ターゲット4において、金属Al膜41と金属B膜42の膜厚を種々変化させ、それぞれについて実施例1のX線光源装置を用いて軟X線を取り出し、CCD検出器6で観察された軟X線のピーク強度を測定した。結果を図27に示す。なお図27において、ボロンについては波長6nmの軟X線ピーク強度を示し、アルミニウムについては波長16nmの軟X線ピーク強度を示す。また各種膜厚の金属B膜42表面のSEM写真を図28〜32に示す。
【0074】
図27より、波長6nmの軟X線を高いピーク強度で安定して取り出すためには、金属B膜42の膜厚を1〜6μmとするのが好ましいことがわかる。金属B膜42の膜厚が1μm未満ではピーク強度が低すぎて好ましくなく、6μmを超えるとピーク強度のばらつきが大きい。この理由は、図28〜32より、金属B膜42の膜厚が厚くなると鱗片状となり、これによって金属B膜42が割れたり剥離したためと考えられる。
【0075】
なお上記実施例で用いたターゲット4及びターゲット供給機構3に代えて、図33,34に示すものを用いても、本実施例と同様の効果が得られる。図33では、ディスク状のターゲット41と、ターゲット41を回転駆動するとともに図のY方向へ移動させるターゲット供給機構を有している。また図34では、棒状のターゲット42と、ターゲット42を回転駆動するとともに図のZ方向へ移動させるターゲット供給機構を有している。
【0076】
【発明の効果】
すなわち本発明の軟X線光源装置によれば、狭帯域の波長の軟X線を高輝度かつ多光量で取り出すことができるので、生体分野,電子分野あるいは材料分野での利用価値が著しく高まる。またターゲットをシート状又はテープ状などとすることで、高頻度で繰り返して高輝度かつ多光量の軟X線を発生させることができ、長時間の連続運転が可能となる。したがって光電子分光,X線回折分光,X線顕微鏡に最適に用いることができるる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ti膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図2】Ba膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図3】Li膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図4】C膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図5】Ca膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図6】P膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図7】B膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図8】Al膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図9】S膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図10】Pb膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図11】Sn膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図12】Si膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図13】C膜とSn膜との積層体における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図14】C膜とPb膜との積層体における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図15】PMMAフィルムにおける各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図16】ポリエチレンフィルムにおける各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図17】ポリプロピレンフィルムにおける各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図18】ポリカーボネートフィルムにおける各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図19】パリレン−Nフィルムにおける各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図20】パリレン−Cフィルムにおける各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図21】パリレン−N膜とSn膜との積層体における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図22】パリレン−N膜とPb膜との積層体における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図23】本発明の一実施例の軟X線光源装置の全体構成を示す説明図である。
【図24】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの斜視図である。
【図25】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲット供給機構の斜視図である。
【図26】フィルタの種類と取り出された軟X線のスペクトルとの関係を示すグラフである。
【図27】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの金属B膜の厚さと生成した軟X線のピーク強度との関係を示すグラフである。
【図28】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの金属B膜を各種膜厚に蒸着形成した場合の表面の粒子構造を示すSEM写真である。
【図29】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの金属B膜を各種膜厚に蒸着形成した場合の表面の粒子構造を示すSEM写真である。
【図30】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの金属B膜を各種膜厚に蒸着形成した場合の表面の粒子構造を示すSEM写真である。
【図31】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの金属B膜を各種膜厚に蒸着形成した場合の表面の粒子構造を示すSEM写真である。
【図32】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの金属B膜を各種膜厚に蒸着形成した場合の表面の粒子構造を示すSEM写真である。
【図33】実施例の軟X線光源装置に用いたターゲット供給機構の他の態様を示す斜視図である。
【図34】実施例の軟X線光源装置に用いたターゲット供給機構の他の態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:真空容器 2:集光レンズ 3:ターゲット供給機構
4:ターゲット 5:平面結像型斜入射分光器 6:CCD検出器
50:X線集光ミラー 51:スリット 52:フィルタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザープラズマ軟X線、X線レーザーなどを高輝度,多光量で発生させることが可能な軟X線光源装置に関する。本発明の軟X線光源装置は、光電子分光,X線回折分光,X線顕微鏡などの分析装置に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
近年、真空容器内に配置された所定のターゲットにレーザービームを照射して軟X線を発生させる軟X線光源装置が知られている。例えばターゲットとして平板状あるいは円柱状の固体金属を用い、このターゲットの表面にレーザービームを集光させることによって高密度レーザープラズマを生成し、この自由膨張したプラズマ中から発生する軟X線をX線光学系を介して外部へ導く構造のものが知られている。
【0003】
また近年、10〜 100MW/cm2 以上の強度をもつ高エネルギーのレーザー光が開発され、このレーザー光を励起用に用いてレーザープラズマ軟X線を発生させる装置が提案され(特開平07−128500号公報など)、X線リソグラフィやX線顕微鏡などへの応用が期待されている。
【0004】
しかしこのような軟X線光源装置では、過熱による不具合を回避するために数10分以上の間隔をあけて間欠的に励起用レーザー光の照射を行っているのが現状である。これでは連続的に軟X線を取り出すことが困難であるが、近年、特開平07−094296号公報に開示されているように、波形制御されたパルス列の固体レーザーを用いることにより、1Hz又は10Hzの繰り返しでレーザープラズマ軟X線を発生させることができるようになっている。
【0005】
ところが励起用レーザー光を用いた軟X線光源装置では、ターゲットから燃焼分解物や破砕物からなる飛散粒子(以下、デブリという)がX線と同時に放出され、広範囲の領域に飛散あるいは浮遊する。また10MW/cm2 以上の高エネルギーの励起用レーザー光の場合は、デブリの速度が特に大きくなり、一層広範囲に飛散する。そしてこのデブリがX線光学系に付着すると、装置から取り出されるX線量が減少したり、X線光学系の要素を劣化させる場合がある。またレーザー光学系にデブリが付着すると、励起用レーザー光の利用効率が低減する。さらにテープ形状のターゲットを用いるなどして、長時間繰り返してレーザープラズマ軟X線を発生させる場合には、短時間の間に多量のデブリが爆発的に発生してX線光学系やレーザー光学系に付着するという問題がある。
【0006】
そのため従来のX線光源装置では、数十から数千回の励起用レーザー照射毎に真空容器を常圧に戻し、X線光学系やレーザー光学系に付着したデブリを除去している。したがって長時間連続してX線を取り出すことが困難であり、作業性及び生産性が低いという問題があった。
【0007】
そこで特開平08−194100号公報には、ターゲットとX線光学系との間に高分子フィルムを介在させ、高分子フィルムを通してX線をX線光学系へ照射する構成の装置が開示されている。また特開平10−026699号公報には、励起用レーザー入射窓へのデブリの付着を阻止するために、ポリエチレンなどからなる高分子フィルムを用いることが提案されている。このようにすれば、デブリは高分子フィルムに付着して捕捉されるので、デブリがX線光学系やレーザー光学系に付着するのが防止され、上記不具合を解決することができる。
【0008】
ところで、ターゲットにエネルギービームを照射することにより発生する軟X線には、種々の波長のものが含まれている。したがってX線光学系で軟X線を有効に利用するためには、特定波長の軟X線を狭帯域スペクトルとして取り出す必要がある。そこで特開平05−297148号公報には、アルミニウムなどの金属膜からなるフィルタを用いることが記載されている。また特開2000−162392号公報には、ポリプロピレンとニッケルなどの金属膜との積層体をフィルタとして用いることが記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開平07−128500号
【特許文献2】特開平07−094296号
【特許文献3】特開平08−194100号
【特許文献4】特開平10−026699号
【特許文献5】特開平05−297148号
【特許文献6】特開2000−162392号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
アルミニウムやニッケルなどの金属膜をフィルタとした場合には、可視光や赤外線を遮蔽でき、かつ波長4nm以下の軟X線のみを透過する。しかしながら、生体分野での利用が期待されている軟X線の波長は 2.3〜 4.3nmであり、電子分野あるいは材料分野での利用が期待されている軟X線の波長は4〜6nmであるので、アルミニウムやニッケルなどの金属膜をフィルタとした場合には、これらの軟X線はほとんど透過しない。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、例えば波長4〜6nmの狭帯域の波長の軟X線を高輝度かつ多光量で利用できるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の軟X線光源装置の特徴は、真空容器と、真空容器内に配置されたターゲットと、ターゲットにエネルギービームを照射するビーム照射手段と、真空容器と連通して設けられたX線光学系と、からなる軟X線光源装置において、
真空容器又はX線光学系には、錫及び鉛の少なくとも一方よりなる金属膜が積層された高分子フィルムからなり狭帯域の所定波長の軟X線が透過するフィルタを有することにある。
【0013】
上記フィルタにおいては、高分子フィルムの厚さは0.01〜1μmであり、金属膜の厚さは0.01〜1μmであることが望ましい。また高分子フィルムは、ポリエチレン,ポリプロピレン,パリレン−N及びパリレン−Cから選ばれる少なくとも一種から形成されていることが望ましい。
【0014】
さらにターゲットは、高分子フィルムと高分子フィルムの表面に積層された第1金属膜と、第1金属膜の表面に積層されたターゲット材料としての第2金属膜と、からなるシート形状又はテープ形状をなすことが望ましく、第2金属膜の厚さは1〜5μmであることが望ましい。また第2金属膜は、錫及び鉛の少なくとも一方からなることが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
炭素(C)の薄膜は波長5〜15nmの軟X線をよく透過し、錫(Sn)の薄膜は波長3〜9nmの軟X線をよく透過し、鉛(Pb)の薄膜は波長5〜9nmの軟X線をよく透過する。したがって、これらから選ばれる材料の薄膜からフィルタを形成すれば生体分野,電子分野あるいは材料分野で利用できるが、炭素は透過する波長域が広いため好ましくなく、錫又は鉛は薄膜に形成することが困難である。また炭素も薄膜とするのが難しい。
【0016】
そこで本発明の軟X線光源装置では、錫及び鉛の少なくとも一方よりなる金属膜が積層された高分子フィルムからなり、狭帯域の所定波長の軟X線が透過するフィルタを有している。高分子フィルムは炭素原子が多く存在するため、あたかも炭素膜のように機能して波長5〜15nmの軟X線をよく透過する。また高分子フィルム表面であれば、錫及び鉛の少なくとも一方の薄膜を容易に形成することができ、金属膜によってさらに狭い波長の軟X線のみが透過する。
【0017】
したがって本発明の軟X線光源装置によれば、波長が3〜9nmあるいは5〜9nmなどの狭帯域の軟X線のみを取り出すことができ、生体分野,電子分野あるいは材料分野での利用価値が著しく高まる。
【0018】
以下、本発明の軟X線光源装置を構成要件毎に説明する。
【0019】
真空容器の真空度は、10−10 〜10−3Paの範囲が一般的に用いられる。
【0020】
ターゲットは、アルミニウム、銅、鉄、錫、チタンなどの金属あるいは硫黄や炭素を含んだゴムなどの固体ターゲット材料、あるいはヘリウム、ネオン、キセノン、アルゴン、クリプトンなどの気体ターゲット材料を用いることができる。各ターゲット材料によって発生するX線のスペクトルが異なるので、ターゲット材料の種類とX線光学系の種類及び位置を選択することにより、所望の狭帯域の波長の軟X線を取り出すことが可能となる。
【0021】
ターゲットは、上記した固体ターゲット材料又は気体ターゲット材料をそのまま、あるいはエネルギービームを透過する容器に詰めて用いてもよいが、デブリが発生する恐れがある。そこでターゲットを、高分子フィルムと高分子フィルムに保持されたターゲット材料と、からなる構成とすることが望ましい。
【0022】
高分子フィルムにエネルギービームが照射されると、そのエネルギーによってプラズマ化されるだけでなく、ある種類の高分子フィルムでは、照射位置の周囲はガス化するだけでデブリは発生しないことが明らかとなった。したがってこの種の高分子フィルムを用いることにより、飛散微粒子の発生を抑制することができる。
【0023】
ターゲット用の高分子フィルムの材質としては、エネルギービームが照射されたときに容易にガス化するものが望ましく、炭素、水素、酸素及び窒素から選ばれる元素から構成されたものが望ましい。このような高分子フィルムを用いれば、エネルギービームが照射されたときにCO、CO2 、H2O 、N2などとなって容易にガス化し、デブリが生じない。このような高分子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、パリレンなどが例示される。
【0024】
この高分子フィルムの厚さは、30μm以上であることが望ましい。厚さが30μm未満であると、エネルギービームの照射位置の周囲が広範囲にわたって破断するため、後述のターゲット駆動装置を用いて連続的又は間欠的にターゲットを供給することが困難となる。30μm以上の厚さであれば、エネルギービームの照射位置が溶融するだけで、その周囲の破断を防止することができる。なお厚さの上限は制限されないが、ターゲット駆動装置による供給のし易さ、製造のし易さなどを考慮すると、 100μm以下とするのが好ましい。
【0025】
ターゲット材料を高分子フィルムに保持するには、前述の固体ターゲットを微粒子状として高分子フィルム中に保持してもよいし、前述の固体ターゲットを膜状にしターゲット層として高分子フィルム表面あるいは内部に積層することもできる。微粒子状として高分子フィルム中に保持する場合は、粒子径を 0.1〜80μmとし、高分子フィルムの厚さ方向に5〜10μmの厚さとなるように保持することが望ましい。粒子径が 0.1μm未満であると発生する軟X線の強度が小さくなり、80μmを超えるとプラズマ化しなかった部分がエネルギービームのエネルギーによって溶融し、粒子どうしが融合して部分的に粒子径が 100μm以上の粗大粒子が生成するため、デブリが発生するようになる。
【0026】
またターゲット粒子が高分子フィルムの厚さ方向に5μm未満となるように保持されていると、量が少なすぎて発生する軟X線の強度が小さく、10μmを超える厚さとなるように保持されていると、量が過剰となってデブリが発生するようになる。
【0027】
またターゲット粒子の形状は、箔状、球状、不定形など特に制限されない。そして粒子は高分子フィルム全体に分散保持してもよいし、表面のみに保持することもできる。高分子フィルム表面に保持するのであれば粒子は箔状とするのが望ましく、高分子フィルム中に保持するのであれば球状とするのが特に望ましい。
【0028】
微粒子状の金属粒子を製造するには、アトマイズ法、粉砕法、爆砕法などが例示される。アトマイズ法にはガスアトマイズ法、水アトマイズ法、遠心アトマイズ法があり、溶融金属を真空中や溶液中に吹出したり、遠心力により飛散させて微粒子状の金属粒子を製造することができる。粉砕法は目的とする金属とそれより硬い金属とを容器中に入れて容器ごと回転あるいは振動させて粉砕する方法であり、また爆砕法は金属片と爆薬を容器中に入れて爆発させることで微粒子を製造する方法である。このうちアトマイズ法によれば比較的整った球状の微粒子を製造することができ、爆砕法によれば比較的硬質の金属から微粒子状の金属粒子を製造することができる。
【0029】
微粒子状の粒子を高分子フィルムに保持するには、高分子フィルム内に埋設してもよいし、高分子フィルム表面に付着させることもできる。いずれの場合も、均一に分散して保持されていることが望ましい。埋設する場合には、高分子溶液中に粒子を混合してスピンコート法などで成膜する方法、溶融高分子中に粒子を混合してフィルム成形する方法、ラミネート法により2枚の高分子フィルムの間に粒子を挟持する方法などを採用することができる。また高分子フィルムの表面に粒子を保持するには、溶融した高分子フィルムの表面に粒子を供給して溶着させる方法、あるいは接着剤を用いる方法などを採用することができる。
【0030】
また固体ターゲットを膜状にして高分子フィルム表面あるいは内部に積層する場合、固体ターゲット層の厚さは10μm以下とすることが望ましい。固体ターゲット層の厚さが10μmを超えると、エネルギービームを照射した際にデブリが発生するようになる。なお、固体ターゲット層を形成するには、固体ターゲット材料を厚さ10μm以下に加工し、高分子フィルムと溶着あるいは接着することにより行うことができる。また、蒸着法などを用いて固体ターゲット層を形成することもできる。
【0031】
例えばボロン、ベリリウム、カーボンをターゲット材料とすれば、波長5〜9nmの軟X線が発生するため、生体分野,電子分野あるいは材料分野で利用することができる。しかしこれらのターゲット材料は、高分子フィルム表面に膜状に形成することが困難である。
【0032】
そこで、ターゲットは、高分子フィルムと高分子フィルムの表面に積層された第1金属膜と、第1金属膜の表面に積層されたターゲット材料としての第2金属膜と、からなることが望ましい。例えば高分子フィルム上に第1金属膜をアルミニウムから形成すれば、ボロン,ベリリウム,カーボンなどをその表面に膜状に形成することが容易となり、第2金属膜を形成することができる。そしてこのターゲットにエネルギービームを照射することで、波長5〜9nmの狭帯域の軟X線を発生させることができる。
【0033】
この場合も、高分子フィルムは上記と同様のものを用いることができる。第1金属膜は、高分子フィルムに膜状に積層することが容易な金属であればよく、アルミニウム,銅,鉄,錫,チタンなどから形成することができる。また第2金属膜は、狭帯域の波長の軟X線を発生させる金属が用いられ、例えばボロン,ベリリウム,カーボンなどから第2金属膜を形成すれば波長5〜9nmの狭帯域の軟X線を発生させることができる。第1金属膜及び第2金属膜の形成方法は、上記した固体ターゲット層の形成と同様に蒸着などで行うことができる。
【0034】
第2金属膜の厚さは、1〜5μmであることが望ましい。第2金属膜の厚さが1μm未満では、第1金属膜から発生する軟X線が多くなるために、狭帯域の波長の軟X線を有効利用することが困難となる。また第2金属膜の厚さが5μmを超えると、エネルギービーム照射時に割れ、剥離などの不具合が生じ易くなる。
【0035】
ターゲットは、シート形状又はテープ形状をなすことが望ましい。このようなターゲットとすることにより、ターゲット駆動装置を用いて、ターゲットをエネルギービームの照射位置に連続的又は間欠的に供給することができる。したがって真空容器の真空を解除することなく、長時間連続して軟X線を発生させることが可能となる。
【0036】
このターゲット駆動装置は、例えば一対のリールを用意し、テープ状のターゲットが巻回された一方のリールから他方のリールに巻き取る構成のものが例示される。リールの回転駆動を連続的にすれば、ターゲットをエネルギービームの照射位置に連続的に供給でき、回転駆動を間欠的にすれば間欠的に供給することができる。
【0037】
またターゲットを比較的面積の大きなシート状とし、それを回転駆動あるいは平行移動させることで連続的又は間欠的に供給することもできる。あるいは円柱状の部材表面にシート状のターゲットを巻き付け、その部材を回転させてもよい。
【0038】
ビーム照射手段としては、強度が10MW/cm2 以上のレーザー光を照射する装置を利用することができ、レーザー光の種類としては 100MW/cm2 以上のものが特に好ましく、YAGレーザー、ガラスレーザー、エキシマレーザー、CO2 ガスレーザーなどのレーザー光を利用できる。 100MW/cm2 以上の強度のレーザー光を用いれば、2〜40nmの波長の軟X線を効率よく発生させることができる。
【0039】
真空容器には、真空容器と連通してX線光学系が配置される。X線光学系には、集光ミラー,波長分散装置,波長選択装置などがある。
【0040】
波長分散装置としては、分光器,回折格子などが例示される。そして波長選択装置としては、多層膜ミラー,フィルタなどが例示される。
【0041】
波長選択装置は、固定として特定の波長の軟X線を取り出すように構成してもよいが、波長分散された軟X線の波長分散方向に移動可能とすることが好ましい。これにより各種波長の軟X線を選択して取り出すことができ、各種波長の軟X線を照射できる単色軟X線光源として多様に利用することができる。
【0042】
例えば波長分散装置として回折格子を用いた場合、回折格子に入射される軟X線の入射角度(α)と波長分散された所定波長(λ)の軟X線の出射角度(β)との間には次(1)式の関係がある。なお次(1)式において、Nは回折格子の溝の数、kは次数である。
【0043】
したがって(1)式から所定波長(λ)の軟X線の出射角度(β)を求めることができるので、回折格子から波長選択装置までの距離Lを用いて、次式(2)によって回折格子面から結像位置までの高さ(H)が算出でき、波長選択装置をその結像位置へ移動可能とすることにより、波長分散された中から任意の波長の軟X線を取り出すことができる。
【0044】
Nkλ= sinα+ sinβ (1)
H=L cotβ (2)
そして波長選択装置で選択された特定波長の軟X線は、波長選択装置の先にX線CCDカメラ、マイクロチャンネルプレート、ストリークカメラなどのX線検出器を配置しておくことで観察することができ、X線顕微鏡、X線(EUV)リソグラフィ評価装置、光電子分光装置などを配置しておくことで、単色軟X線光源としてそれぞれの分野に利用することができる。
【0045】
本発明の特色をなすフィルタは、錫及び鉛の少なくとも一方よりなる金属膜が積層された高分子フィルムからなる。高分子フィルムとしては、ポリエチレン,ポリプロピレン,パリレン,ポリカーボネート,ポリメチルメタクリレート,テフロン(登録商標)などが例示される。中でも分子中の炭素原子が多く、かつ波長5〜10nmの軟X線の透過率が高いものが好ましく、ポリエチレン,ポリプロピレン,パリレン−N及びパリレン−Cから選ばれる少なくとも一種であることが望ましい。
【0046】
金属膜は、錫,鉛,あるいは錫−鉛合金から形成することができる。また金属膜を錫と鉛の二層構造としてもよい。この金属膜は、ターゲットの固体ターゲット層と同様にして高分子フィルム上に形成することができる。
【0047】
またフィルタの高分子フィルムの厚さは0.01〜1μmであり、金属膜の厚さも0.01〜1μmであることが望ましい。高分子フィルムの厚さが0.01μm未満では強度面で使用が困難となり、1μmより厚くなると波長5〜10nmの軟X線の透過率が大きく低下する。また金属膜の厚さが0.01μm未満では透過する軟X線の波長域が広くなりすぎ、1μmを超えると波長5〜10nmの軟X線の透過率が大きく低下する。
【0048】
このフィルタは、真空容器内に配置することもできるが、デブリの付着を防止するためにX線光学系のできるだけ軟X線流れの下流側に設けることが望ましい。
【0049】
また本発明の軟X線光源装置は、ターゲットとX線光学系との間に高次の次数の軟X線をカットする規制部材が配置されていることが望ましい。このようにすれば、規制部材により高次の次数の軟X線がカットされ、その軟X線が波長分散装置及び波長選択装置に入射されることによって、さらなる狭帯域化が達成され単波長の軟X線をいっそう確実に取り出すことができる。この規制部材としては、窒化ケイ素膜などを用いることができる。
【0050】
さらに本発明の軟X線光源装置は、少なくともX線光学系へのデブリの侵入を抑制するデブリ除去装置をもつことが望ましい。これにより、何らかの事情によってターゲットからデブリが発生した場合でもそれがX線光学系に付着するのを阻止することができ、いっそう長時間の連続運転を行うことができる。このデブリ除去装置としては、特開平08−194100号公報などに開示された高分子フィルムなどを用いることができる。
【0051】
【実施例】
以下、試験例及び実施例により本発明を具体的に説明する。
【0052】
<試験例1>
各種金属を厚さ 0.2μmの膜状とし、その金属膜における波長1〜20μmの軟X線の透過率をシミュレートした。結果を図1〜12に示す。図1〜12より、炭素(C)の薄膜は波長5〜15nmの軟X線をよく透過し、錫(Sn)の薄膜は波長3〜9nmの軟X線をよく透過し、鉛(Pb)の薄膜は波長5〜9nmの軟X線をよく透過するとともに、他の波長域の軟X線の透過率が低いことがわかる。
【0053】
そこで、厚さ 0.2μmのC膜と厚さ 0.2μmのSn膜とを積層した場合と、厚さ0.2μmのC膜と厚さ 0.2μmのPb膜とを積層した場合とにおいて、それぞれ波長1〜20μmの軟X線の透過率をシミュレートした。結果を図13〜14に示す。図13〜14より、いずれの場合も波長5〜15nmの軟X線のみを透過するフィルタとしての可能性が見出された。
【0054】
一方、各種高分子を厚さ 0.2μmの膜状とし、その高分子膜における波長1〜20μmの軟X線の透過率をシミュレートした。結果を図15〜20に示す。図15〜20より、ポリエチレン,ポリプロピレン,パリレン−N及びパリレン−Cが炭素単体に近い透過特性を有していることがわかった。
【0055】
そこで厚さ 0.2μmのパリレン−Nに厚さ 0.2μmのSn膜を積層した場合と、厚さ 0.2μmのパリレン−Nに厚さ 0.2μmのPb膜を積層した場合とにおいて、それぞれ波長1〜20μmの軟X線の透過率をシミュレートした。結果を図21〜22に示す。図21〜22より、いずれの場合も波長5〜10nmの軟X線のみを透過するフィルタとして最適であることが見出された。
【0056】
(実施例1)
図23に本発明の一実施例の軟X線光源装置を示す。この軟X線光源装置は、一側壁にレーザー入射窓10を備え、その側壁と90度に交差する側壁に分光器接続ポート11をもつ真空容器1と、真空容器1外部に配置された集光レンズ2と、真空容器1内に配置されたターゲット供給機構3と、ターゲット供給機構3に配置されたテープ状のターゲット4と、分光器接続ポート11に連結された平面結像型斜入射分光器5と、から構成されている。
【0057】
平面結像型斜入射分光器5は、全反射型のX線集光ミラー50と、スリット51及びフィルタ52を備え、その先に波長分散装置としての回折格子53と、CCD検出器6が備えられている。
【0058】
真空容器1には図示しない排気装置が接続され、真空容器1内を10−4Paまで減圧可能とされている。またレーザー入射窓10は石英ガラスから形成され、真空容器1の側壁に真円形状に形成されている。
【0059】
集光レンズ2は、真空容器1外部でレーザー光入射窓10と同軸的に配置されている。そしてターゲット4と、レーザー光入射窓10及び集光レンズ2が同一直線(レーザー光軸)上に位置し、その延長線上に図示しないレーザー光源が配置されている。このレーザー光源は、10Hzの繰り返し周波数で数 100MW/cm2 の高エネルギーの励起用レーザー光 100を照射するものである。集光レンズ2によって集光されたレーザー光は、レーザー光入射窓10を通過してターゲット4の表面で点状に集光される。
【0060】
ターゲット供給機構3は、一対のリール31,32と、一対のリール31,32間に介装されたターゲット4と、図示しないモータとから構成されている。ターゲット4は、図24に示すように、ポリエチレンからなる高分子膜40と、高分子膜40表面に蒸着によって積層された金属Al膜41と、金属Al膜41の表面に蒸着によって積層された金属B膜42とからなる三層構造をなし、テープ状に形成されている。
【0061】
図25に拡大して示すように、ターゲット4は一方のリール31に巻回され、モータの連続駆動によって一方のリール31から他方のリール32に巻き取られるように構成されている。したがって励起用レーザー光が照射された部分はリール32に巻き取られるので、ターゲット4は常に新しい部分がレーザー光 100の集光位置に表出するようになっている。
【0062】
ターゲット4の高分子膜40は厚さが60μmであり、金属Al膜41は10μm、金属B膜42は3μmの厚さとされている。このターゲット4は、金属B膜42がレーザー光 100に対向するように配置されている。
【0063】
なお1回のレーザー光 100の照射で、ターゲット4は移動方向に約 500μm剥ぎ取られることがわかっている。したがってレーザー光を10Hzの繰り返し周波数で照射する場合には、ターゲット4の送り速度は5mm/秒程度であれば十分である。
【0064】
発生した軟X線は、真空容器1内に配置された前置きスリット12を通過した後に平面結像型斜入射分光器5内に入る。平面結像型斜入射分光器5内のX線集光ミラー50は、斜入射したX線が全反射してスリット51を通過するように設計されている。スリット51を通過して余分な光がカットされた軟X線は、フィルタ52を通過後に回折格子53で波長分散され、CCD検出器6によって検出される。
【0065】
フィルタ52は、厚さ 0.2μmのパリレン−N膜に、厚さ 0.2μmの金属Sn膜が蒸着により積層されてなり、パリレン−N膜がスリット51に対向し、金属Sn膜が回折格子53に対向している。
【0066】
この軟X線光源装置によれば、リール31,32の回転駆動を連続的にすることにより、ターゲット4を励起用レーザー光 100の集光位置に連続的に供給でき、回転駆動を間欠的にすれば間欠的に供給することができる。したがって長時間の連続駆動が可能となる。
【0067】
そしてこの軟X線光源装置によれば、フィルタ52によって波長5〜9nmの軟X線のみが透過して取り出されるので、生体分野,電子分野あるいは材料分野で利用することができる。さらに高分子膜40と金属Al膜41及び金属B膜42からなるテープ状のターゲット4を用いているので、ボロンにより波長6nmの軟X線が多く発生し、フィルタ52による濾過作用と相乗的に作用するため、狭帯域の軟X線を高輝度かつ多光量で取り出すことができる。そしてデブリの発生を抑制することができるので、レーザー入射窓10や平面結像型斜入射分光器5にデブリや浮遊粒子が付着するのが抑制され、長時間安定して軟X線を発生・利用することができる。
【0068】
(実施例2)
金属Sn膜に代えて厚さ 0.2μmの金属Pb膜を蒸着により形成したフィルタ52を用いたこと以外は実施例1と同様である。
【0069】
(比較例1)
フィルタ52を用いなかったこと以外は実施例1と同様である。
【0070】
<試験例2>
実施例1,実施例2及び比較例1のX線光源装置について、CCD検出器6により検出された軟X線の波長とピーク強度を測定し、結果を図26に示す。
【0071】
図26の比較例1の結果より、高分子膜40と金属Al膜41及び金属B膜42からなるテープ状のターゲット4を用いたことで、波長6nmの軟X線が高輝度及び多光量で発生していることが明らかである。しかしCCD検出器6で観察された軟X線には、他の波長のスペクトルも観察されている。
【0072】
しかし各実施例では、波長6nmの軟X線を高輝度及び多光量で取り出すことができ、かつ他の波長の軟X線はカットされていることがわかり、これはフィルタ52を用いた効果であることが明らかである。
【0073】
<試験例3>
ターゲット4において、金属Al膜41と金属B膜42の膜厚を種々変化させ、それぞれについて実施例1のX線光源装置を用いて軟X線を取り出し、CCD検出器6で観察された軟X線のピーク強度を測定した。結果を図27に示す。なお図27において、ボロンについては波長6nmの軟X線ピーク強度を示し、アルミニウムについては波長16nmの軟X線ピーク強度を示す。また各種膜厚の金属B膜42表面のSEM写真を図28〜32に示す。
【0074】
図27より、波長6nmの軟X線を高いピーク強度で安定して取り出すためには、金属B膜42の膜厚を1〜6μmとするのが好ましいことがわかる。金属B膜42の膜厚が1μm未満ではピーク強度が低すぎて好ましくなく、6μmを超えるとピーク強度のばらつきが大きい。この理由は、図28〜32より、金属B膜42の膜厚が厚くなると鱗片状となり、これによって金属B膜42が割れたり剥離したためと考えられる。
【0075】
なお上記実施例で用いたターゲット4及びターゲット供給機構3に代えて、図33,34に示すものを用いても、本実施例と同様の効果が得られる。図33では、ディスク状のターゲット41と、ターゲット41を回転駆動するとともに図のY方向へ移動させるターゲット供給機構を有している。また図34では、棒状のターゲット42と、ターゲット42を回転駆動するとともに図のZ方向へ移動させるターゲット供給機構を有している。
【0076】
【発明の効果】
すなわち本発明の軟X線光源装置によれば、狭帯域の波長の軟X線を高輝度かつ多光量で取り出すことができるので、生体分野,電子分野あるいは材料分野での利用価値が著しく高まる。またターゲットをシート状又はテープ状などとすることで、高頻度で繰り返して高輝度かつ多光量の軟X線を発生させることができ、長時間の連続運転が可能となる。したがって光電子分光,X線回折分光,X線顕微鏡に最適に用いることができるる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ti膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図2】Ba膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図3】Li膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図4】C膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図5】Ca膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図6】P膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図7】B膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図8】Al膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図9】S膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図10】Pb膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図11】Sn膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図12】Si膜における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図13】C膜とSn膜との積層体における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図14】C膜とPb膜との積層体における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図15】PMMAフィルムにおける各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図16】ポリエチレンフィルムにおける各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図17】ポリプロピレンフィルムにおける各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図18】ポリカーボネートフィルムにおける各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図19】パリレン−Nフィルムにおける各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図20】パリレン−Cフィルムにおける各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図21】パリレン−N膜とSn膜との積層体における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図22】パリレン−N膜とPb膜との積層体における各波長の軟X線透過率を示すグラフである。
【図23】本発明の一実施例の軟X線光源装置の全体構成を示す説明図である。
【図24】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの斜視図である。
【図25】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲット供給機構の斜視図である。
【図26】フィルタの種類と取り出された軟X線のスペクトルとの関係を示すグラフである。
【図27】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの金属B膜の厚さと生成した軟X線のピーク強度との関係を示すグラフである。
【図28】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの金属B膜を各種膜厚に蒸着形成した場合の表面の粒子構造を示すSEM写真である。
【図29】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの金属B膜を各種膜厚に蒸着形成した場合の表面の粒子構造を示すSEM写真である。
【図30】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの金属B膜を各種膜厚に蒸着形成した場合の表面の粒子構造を示すSEM写真である。
【図31】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの金属B膜を各種膜厚に蒸着形成した場合の表面の粒子構造を示すSEM写真である。
【図32】本発明の一実施例の軟X線光源装置に用いたターゲットの金属B膜を各種膜厚に蒸着形成した場合の表面の粒子構造を示すSEM写真である。
【図33】実施例の軟X線光源装置に用いたターゲット供給機構の他の態様を示す斜視図である。
【図34】実施例の軟X線光源装置に用いたターゲット供給機構の他の態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:真空容器 2:集光レンズ 3:ターゲット供給機構
4:ターゲット 5:平面結像型斜入射分光器 6:CCD検出器
50:X線集光ミラー 51:スリット 52:フィルタ
Claims (6)
- 真空容器と、該真空容器内に配置されたターゲットと、該ターゲットにエネルギービームを照射するビーム照射手段と、該真空容器と連通して設けられたX線光学系と、からなる軟X線光源装置において、
該真空容器又は該X線光学系には、錫及び鉛の少なくとも一方よりなる金属膜が積層された高分子フィルムからなり狭帯域の所定波長の軟X線が透過するフィルタを有することを特徴とする軟X線光源装置。 - 前記高分子フィルムの厚さは0.01〜1μmであり、前記金属膜の厚さは0.01〜1μmである請求項1に記載の軟X線光源装置。
- 前記高分子フィルムは、ポリエチレン,ポリプロピレン,パリレン−N及びパリレン−Cから選ばれる少なくとも一種から形成されている請求項1に記載の軟X線光源装置。
- 前記ターゲットは、高分子フィルムと該高分子フィルムの表面に積層された第1金属膜と、該第1金属膜の表面に積層されたターゲット材料としての第2金属膜と、からなるシート形状又はテープ形状をなすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の軟X線光源装置。
- 前記第2金属膜の厚さは1〜5μmである請求項4に記載の軟X線光源装置。
- 前記第2金属膜は、錫及び鉛の少なくとも一方からなる請求項4又は請求項5に記載の軟X線光源装置。
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