JP2004211463A - 小口径推進工法における掘進機の引戻し装置 - Google Patents

小口径推進工法における掘進機の引戻し装置 Download PDF

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麟 森
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Abstract

【課題】掘進機あるいは掘進機と後続設備管のみを、簡便、短時間、且つ繰り返し引き戻しを可能とし、設計線から乖離が大きく修正不能になる前に、軌道修正し直し、再掘進を行うことを可能とする。
【解決手段】掘進機及び推進管を備えた小口径推進工法における掘進機の引戻し装置は、掘進機の後方に配置され、相互に隣り合い離接可能な構造をなす少なくとも2つの管部材を備えると共に、一方の管部材内に配置されるジャッキとを有し、ジャッキによって2つの管部材双方を相互に離接させる引戻し装置を備え、ジャッキを配置した管部材を含む2つの管部材から構成される引戻し装置を包含する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、小口径推進工法における掘進機の引戻し装置に関し、特に掘進機の方向修正を間違えたときに、簡単にしかも短時間で掘進機を引き戻すことのできる引戻し装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明の課題】
従来から、地中に曲線部を含む小口径管路を構築する小口径推進工法は、下水道管埋設等において頻繁に使用されるが、下水道管の埋設は下水を自然勾配で流下させるため、さらに発進立坑間に正確に到達させるために、上下、左右方向ともに掘進機の高度な方向制御が要求されている。
【0003】
この場合、小口径推進工法における掘進機の方向制御は、レーザ、ジャイロ、電磁波等の様々な計測方法によりモニタリングし、モニタリングされた先頭の掘進機の位置、上下左右方向と、設計線との誤差を把握しながら、オペレータが目的の位置・方向に掘進機に装備した方向制御ジャッキにより誘導制御している。このため方向制御管理については、現在の掘進機の位置の計測精度とオペレータの技量によるところが大きい。
【0004】
しかしながら、掘進する土質は玉石交じりの砂礫土層から軟弱粘土層、これらの互層等不均一であり、このため掘進機の前面及び周面抵抗は均一でなく、常に設計線から乖離が生じやすい状態にある。乖離が生じたときには掘進機内部に装備した方向制御ジャッキにより制御を行うが、正確な方向制御は掘削地盤不均一性やさらにオペレータの技能熟練度の不足又はバラツキによることが相俟って、掘進機を誘導したい方向に制御できないことが往々にして生じるものであった。
【0005】
制御方向ミスにより、設計線からの乖離が大きくなり方向制御ジャッキにより修正が不能な場合には、一般的に、掘進機の先端部に立坑を掘削し、ここから改めて修正した方向への推進を行う必要があり、その費用、時間の損失は莫大なものである。
【0006】
かかる状況の中、掘進機の方向修正を間違えたときに、簡単にしかも短時間で掘進機を引き戻すことのできる引戻し装置が要求されていた。
【0007】
従来の、掘進機の方向制御を掘進機に装備した中折れ部に設置した押引きジャッキにより制御する場合おいては、掘進機前部に玉石、流木等の障害物があるときには乖離が大きく方向ジャッキのみでは制御できない場合が生じる。
【0008】
この状態を平面図で示された図8により説明する。図8(a)において、中折れ部(57)が(1−1)にあるときに、掘進機左前方に玉石、流木等の障害物(56)があって、その障害物(56)等に当っている状態を示す。この場合において、石等の障害物の地盤の不均一性により、乖離が大きくなった時の対処法は次の通りである。
【0009】
掘進機は中折れ部(57)が(1−1)位置から(2−2)位置に進む間に、障害物(56)により、掘進機が右方向にはじかれ、方向制御ができずに掘進線との乖離が生じた。障害物により掘進機がはじかれた状態が図8(b)に示される。なお、この場合、障害物(56)がもっと内側にあるときには、図8(b)とは反対方向に曲げられる。
図8(b)の状態で、計画線に戻すためには方向制御用押引きジャッキ(A)を伸ばし、方向制御用押引きジャッキ(B)を縮め、先端部を計画線に向けるように操作するが、掘進機(1a)が計画線に向けるのを阻害する受動土圧と押引きジャッキの作用方向は概ね90度直交しているために、方向制御用押引きジャッキ(A)(B)の作用力は受動土圧にはほとんど効果が無い。
【0010】
従来は、掘進機を引戻せない場合が多くそのまま前進するしか手段がなかったし、掘進機の引戻しができる場合でも多大の時間と費用がかかるので、引戻しを省略してそのまま前進するものであった。引戻しをした場合には、図−8(c)に示すように、その中折れ部(57)を少なくとも(1−1)位置あるいはそれより以上に、少し大きく一旦後退させ、方向制御用押引きジャッキで方向修正し設計線に合わせて再発進するのが最適の方法として採用できるものであった。
【0011】
したがって、前述したように、方向修正用押引きジャッキのみでは掘進機の方向を掘削線上に戻すことはできない。掘削線上に戻すためには、掘進機を、少なくとも元の状態、即ち図8(a)の状態に、あるいは図8(c)の状態に、掘進機を引き戻すことにより、元の状態に復帰させることができるものであった。ここで、小口径推進において、掘進機及び後続管を引き戻す従来の方法としては、一工程方式と、二工程方式があるので、以下に、それぞれの工法を引き戻す方法を示す。
【0012】
図7(a)に示すように、一工程方式による小口径推進工法は、掘進機(41)の後方に順次コンクリート製の推進管(42)を順次接続しながら、曲線部を含む管渠を構築する。この工法によれば、図に示すように、掘進機(41)の後端部に引抜用鋼棒(44)(通常は引張強度が約40トン程度)2本を推進管(42)の設置に伴い順次接続して設置する。引き戻しの必要が生じた場合には、発進立坑内(8)に引戻し用装置類、即ち、引戻し用反力壁(46)、油圧ジャッキ(43)、引戻し用治具(47)を設置し、引戻し用治具(47)に鋼棒(44)をかませてセットし、油圧ジャッキ(43)を伸長させて掘進機(41)及び推進管(42)は所定の位置まで引戻される。
【0013】
図7(b)に示すように、二工程方式による小口径推進は、一工程目に、掘進機(51)及びその後続管として、例えば鉄鋼性の管等の鋼管(52)を順次接続し、地中に曲線部を含む管路を構築する。次の二工程目で、発進立坑(8)から別途推進管(図示省略)を順次後続させながら押し込むことにより、掘進機(51)及び鋼管(52)を別途所定の到達立坑に押し出し、後続の推進管に置き換え管路を構築する工法である。該鋼管(52)の敷設時において、鋼管(52)同士はボルト等の緊結具により固定されており、全体が一体となった管路を形成するものとなっている。
【0014】
したがって、掘進機(51)を後退させる必要が生じたときには、図7(b)に示すように、発進立坑(8)内に引戻し用装置、即ち引戻し用反力壁(54)、油圧ジャッキ(53)、引戻し用治具(55)を設置し、引戻し用治具(55)に鋼管(52)をかませ、油圧ジャッキ(53)を伸長させることによって、掘進機(51)及び鋼管(52)を所定の位置まで引戻すことができる。
【0015】
しかし、上記従来の一工程方式、二工程方式の技術は、いずれの場合も、次のような課題を有するものであった。すなわち、掘進機を後退させるためには、掘進機の後続の推進管或いは鋼管の全てを対象として引戻すことが必要であり、また、その際、非常に大きな引戻し力を加える必要のあるものであった。その場合の引戻し力に関しては、掘進機、及び推進管或いは鋼管を締付ける地山との摩擦力と既に敷設した敷設長の乗数であるため、掘進長が長い場合ほど大きな引戻し力が必要であり、掘進長が50メートルを越すと引戻し力は50トン以上となり、実質上引戻しは不可能となるものであった。
【0016】
さらに、小口径推進工法においても曲線部を含む線形が多く、曲線部を含む場合には引戻し抵抗力は直線部より急激に増大するため、引戻しが不可能な場合も往々にして生じる。
【0017】
以上から、一工程方式、二工程方式の従来技術による場合では、掘進機を後退させるために、前述のように大掛かりな段取り、費用、時間を必要とするために、方向制御が悪く設計線からの乖離が生じても、そのまま掘進作業を行なわざるを得ないこととなり、所定の精度の得られないことが往々にして生じるものであった。
【0018】
本発明は、上記事情に鑑み、掘進機あるいは掘進機及び後続設備管のみの引戻しを繰り返し、簡便、短時間で引き戻しを可能とした掘進機の引戻し装置を提供するものであり、設計線から乖離が大きく修正不能になる前に、掘進機或いは掘進機及び後続設備管を含めて容易に引き戻し、計画線に向けて軌道修正し直し、再掘進を行うことを可能とした装置を提供することを目的とする。
【0019】
本発明によれば、上記多数の従来技術の欠点、諸問題をほぼ全面的に除去解決してなお、工事費を大幅に上昇させることも、時間を浪費することもなく、また、精度が高く仕上げる画期的な新技術を提供することができる。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この出願の第1の発明は、掘進機及び推進管を備えた小口径推進工法における掘進機の引戻し装置において、掘進機の後方に配置され、相互に隣り合い離接可能な構造をなす少なくとも2つの管部材を備えると共に、一方の管部材内に配置されるジャッキとを有し、ジャッキによって2つの管部材双方を相互に離接させる引戻し装置を備え、ジャッキを配置した管部材を含む2つの管部材から構成される引戻し装置を包含することを特徴とする掘進機の引戻し装置(請求項1)を提供する。
【0021】
この出願の第2の発明は、掘進機及び推進管を備えた小口径推進工法における掘進機の引戻し装置において、掘進機の後方に配置した後続設備管後方の外部鋼管と推進管の前方端部の内部鋼管とを相互にスライド移動可能な入れ子式構造となすと共に、スライド可能な内外鋼管の摺接面間にシール部を備えた2重鋼管と、外部鋼管内に配置されるジャッキとを含み、ジャッキによって内外鋼管相互をスライドさせ、以って外部鋼管と内部鋼管及び後続管とのスライド移動を可能とする後退設備を構成し、ジャッキを配置した内外鋼管のスライド式の二重鋼管から構成される後退設備を、掘進機又はその後部の後部設備管の後端に配置したことを特徴とする掘進機の引戻し装置(請求項2)を提供する。
【0022】
これによれば、小口径推進工法において、計画線と掘進機の乖離が生じ、引戻しが必要なときに、掘進機とその後続管全てを引戻すことなく、掘進機或いは後続設備管のみを引戻すことが可能となる。
【0023】
また、この出願の第3の発明は、外部鋼管内部に該鋼管中心軸方向に緊張するワイヤ巻取り装置を配備し、ワイヤ巻取り装置によっても外部鋼管を引き戻すことを可能としたことを特徴とする掘進機の引戻し装置(請求項3)を提供する。この出願の第3の発明によれば、全体に掛る作業時間は非常に短くすることができるため、いつでも気軽にやり直し再掘進が可能となり、高度な線形管理ができる。
【0024】
さらに、この出願の第4の発明は、該スライド式の二重鋼管の内部鋼管の後端部に、内部管軸と交差する半径方向に地山反力用ジャッキを配置し、当該地山反力用ジャッキにより地山に楔体を突出し内部管を係留することを特徴とする掘進機の引戻し装置(請求項4)をも提供する。
【0025】
この出願の第4の発明によれば、後退完了後、後続設備管内に搭載した方向修正用押引きジャッキによる軌道修正で、速やかに再掘進することが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
この出願の発明によれば、以下の実施の形態を採用することができる。
【0027】
掘進機の引き戻すための引戻し装置の配置は、掘進機の後方に位置する後続設備管と推進管の間にすることができ、また、掘進機と後続設備管との間にすることもできる。
【0028】
引戻し装置は、相互にスライド移動可能な内外鋼管による入れ子式の2重構造を有している。
【0029】
引戻し装置を構成する相互にスライド可能な内側鋼管と外側鋼管は、中間隔壁を備えた中空鋼管と、中空鋼管を任意に組み合わせることができる。すなわち内側鋼管と外側鋼管の少なくとも一方の部材を中間隔壁を備えた中空鋼管から
構成することができる。
【0030】
引戻し装置の内外鋼管内には、相互にスライド移動させるために、油圧ジャッキ又は引抜き用ウインチを配備することができ、その一方又は双方を作動して相互にスライド移動することができる。内外鋼管の摺接面間にシール部を備え、外部から土砂や水の進入を防止することができる。
【0031】
引戻し装置の内外鋼管内に対する油圧ジャッキの配設構造について、内外鋼管の組み合わせが、中空の外側鋼管と中間隔壁を備えた内側鋼管の組み合わせの場合には、油圧ジャッキは、中空の外側鋼管の内壁と中間隔壁備えた内側鋼管の中間隔壁に固定設置することができる。この場合、中心を通る半径方向内壁に対をなして設置することができる。また、両方とも中間隔壁を備えた内側鋼管の組み合わせの場合には、油圧ジャッキは、中間隔壁を備えた内側鋼管の各中間隔壁に固定設置することができる。
【0032】
引戻し装置の内外鋼管内に配設されるスライド移動可能するための手段として、油圧ジャッキの他に、ワイヤ巻取り装置を配備することもできる。油圧ジャッキとワイヤ巻取り装置を配備した場合には、油圧ジャッキのみを作動したり、油圧ジャッキとワイヤ巻取り装置の両方を作動させることもできる。
【0033】
引戻し装置の内外鋼管の組み合わせにおいて、中間隔壁を備えた内側鋼管を使用する組合わせの場合には、内部鋼管の後端部に、内部管軸と交差する半径方向に地山反力用ジャッキを配置することができる。
【0034】
以下この出願の発明について、さらに詳しく説明する。
【0035】
【実施例】
(実施例1) この出願の発明の装置は、図1にその概略図が示される。
【0036】
図1において、この出願に係る小口径推進工法施工装置は、掘進機の後退前及び後退後の状態における接続状態が模式的に示されている。
【0037】
この出願の発明に係る小口径推進工法施工装置は、掘進機(1)、後続設備管(2)、引戻し装置(3)、推進管(4)が配備され、掘進機(1)の後方に後続設備管(2)を配置すると共に推進管(4)の前方に後退設備(3)が配置されている。元押し装置(7)は図1の立坑内に示される全ての装置で、推進管(4)を押し込めるための装置である。
【0038】
図2の引戻し装置の拡大図に示すように、引戻し装置(3)は、外側鋼管(31)及び内側鋼管(32)を相互にスライド移動可能な内外鋼管による2重構造の入れ子式としたスライド部(S)を有し、その内部に押引き油圧ジャッキ(5)及び引抜き用ウインチ(6)を配備している。なお外側鋼管(31)は、後続設備管(2)の後端にボルトナット等の締着具(図示省略)によって固定され、また内側鋼管(32)は推進管(4)の先端に挿入するように接続されている。
【0039】
押引き油圧ジャッキ(5)は、図2(c)に示すように、2重の内外鋼管の内壁に半径方向に対をなして配備され、外側鋼管(31)及び内側鋼管(32)は押引き油圧ジャッキ(5)によって相互にスライド移動可能となっている。
【0040】
また、図9に示すように、掘進機を2段中折れ式として連結ピン及び方向修正用押引きジャッキAによって接続した構造を採ることもできる。この構造を有する掘進機は、それらの方向修正用押引きジャッキAの作動によって左右上下の軌道修正が実施できる。この押引き油圧ジャッキ(5)は外部鋼管と内部鋼管のスライド部を確保するために使用するものであり、方向修正用押引きジャッキは、掘進機内に配備される。方向修正用押引きジャッキは曲線勾配により、相互に可動の複数の部材間で1関節又はさらに自由度を増すための2関節をなすよう1箇所又は2箇所に設置することができる。
【0041】
引抜き用ウインチ(6)は外側鋼管(31)内に配備の巻取りドラムにその一端が巻き取られる引抜き用ワイヤ(61)を有し、引抜き用ワイヤ(61)の他端は、図1に示すように、例えば元押し装置(7)に固定されている。引抜き用ワイヤ(61)の他端の固定対象は、掘削機を後退させるときの掘削機外周摩擦抵抗より十分大きな推進管外周摩擦抵抗を生じる距離にある発進立坑側の推進管に固定することもできる。また、掘進が進み、推進管外周摩擦が引抜き力より大きくなった場合は、推進管にワイヤ先端を固定することも可能である。逆に、ウインチを推進管途中に設置し、ワイヤ先端を掘進機側に取付けることも可能である。
【0042】
したがって、引戻し装置(3)内の押引き油圧ジャッキ(5)及び引抜き用ウインチ(6)を作動することによって、掘進機あるいは掘進機及び後続設備管のみの引戻しが可能となる。
【0043】
なお、この実施例1において、一工程方式を採用する場合、掘進機の引抜き反力は、基本的にウインチのワイヤから取る。また、二工程方式を採用する場合は、引戻し装置とその後方の鋼管は全て緊結されているので、掘進が進んで鋼管との間の地山周辺摩擦力が大きくなった段階で、引抜き反力を取ることができる。この場合ジャッキのみで後退させることが可能である。ただし、地山周辺摩擦力が十分でない場合にはウインチにより後退させることもできる。
【0044】
引戻し装置(3)の入れ子式2重構造の相互にスライド移動可能なスライド部(S)の外側鋼管(31)及び内側鋼管(32)の対向摺接面間には、図3に示すように、水パッキン(33)が配備され、これによって外部からの土砂や水の進入を防ぐことが可能となっている。
【0045】
図1では、引戻し装置(3)は後部設備管の後端に配置するものとして示してあるが、掘進機の後端に配置することも可能である。この場合、「掘進機」の後端に外部鋼管が、また「後続設備管」の前端に内部鋼管が配置される。
【0046】
この出願の発明によれば、掘進機前部に玉石等の障害物があって設計線から乖離が大きく修正不能となった場合には、引戻し装置(3)によって掘進機あるいは掘進機及び後続設備管のみを容易に、簡便、短時間で引き戻すことが可能となり、早期に計画線に向けて軌道修正し直し、再掘進を行うことが可能となる。
(実施例2)
この出願の発明の装置は、直接地山から引抜き反力を採ることができるようにすれば、再掘進用に用意したジャッキの牽引力だけで、掘進機を直接引くことができる場合の例であり、図4にその概略図が示される。この場合には、実施例1のウインチが必要なくなる。
【0047】
図4において、この出願に係る小口径推進工法施工装置における引戻し装置は、実施例1における引戻し装置(3)内の押引き油圧ジャッキ(5)及び引抜き用ウインチ(6)について、押引き油圧ジャッキ(5)については、入れ子式2重構造の相互にスライド移動可能な外側鋼管(31)及び内側鋼管(32)内部における押引き油圧ジャッキ(5)の配備構造に変更を加えた押引き油圧ジャッキ(5A)となっており、また、引抜き用ウインチ(6)については、引抜き用ウインチ(6)、引抜き用ワイヤ(61)を除外し、これに代わるものとして、地山反力用ジャッキ(9)を新たに付設したものとなっている。
【0048】
さらに詳細に説明すれば、引戻し装置(3A)は、入れ子式2重構造の相互にスライド移動可能な外側鋼管(31A)及び内側鋼管(32A)はいずれも有底の鋼管として構成され、押引き油圧ジャッキ(5A)が外側鋼管(31)の底壁と内側鋼管(32)の底壁との間に設置固定され、外側鋼管(31A)及び内側鋼管(32A)は油圧ジャッキ(5A)によって相互にスライド移動可能となっている。
【0049】
また、外側鋼管(31A)内にスライド移動可能な内側鋼管(32A)はその底壁の後端に、内側鋼管軸と交差する半径方向に地山反力用ジャッキ(9)が配置されている。地山反力用ジャッキ(9)を作動することにより楔体(91)を半径方向外方向に突出し、これによって地山(10)に楔体(91)を打込んで内部管(32A)を係留することができる。
【0050】
したがって、引戻し装置(3)内の押引き油圧ジャッキ(5A)を作動すると、地山反力用ジャッキ(9)による楔体(91)の突出によって内部管(32A)が地山(10)に係留されているため、外側鋼管(31A)を接続している掘進機あるいは掘進機及び後続設備管を、引戻すことが可能となっている。
【0051】
なお、実施例1において、一工程方式を採用する場合、掘進機の引抜き反力は、基本的にウインチのワイヤから取る。ジャッキのみで引戻そうとすると、引戻し装置の内部鋼管と推進管は緊結されていないので、引戻し装置の前部(掘進機、後続設備管及び引戻し装置の外部鋼管)の重量が、後部(引戻し装置の内部鋼管)の重量より重いので内部鋼管が取り込まれ、内部鋼管と推進管との間が開く惧れがあるが、地山反力用ジャッキ(9)を半径方向に張り出すことで反力を確保できる場合にこの押引き油圧ジャッキ(5A)による後退が可能で、内部鋼管と推進管との間隙発生抑制に有効である。
(実施例3)
図5に示すように、押引き油圧ジャッキ(5B)と引抜き用ウインチ(6)を備え、引抜き用ウインチ(6)は発進立坑(8)内に配置されると共に、押引き油圧ジャッキ(5B)は、図6(a)に示すように、外側鋼管(31B)内の中間隔壁に配置される。また、外側鋼管内には、図6(a)に詳細に示すように、ワイヤ用シーブが配置される。この場合、内外鋼管の組み合わせは、中間隔壁を備えた外側鋼管(31B)と中空の内側鋼管(32B)との組み合わせとなっている。ワイヤ(61)はその一端が引抜き用ウインチ(6)に巻き取られ、ワイヤ用シーブ(11)を迂回して他端が発進立坑(8)に固定されている。引戻し装置(3B)内の押引き油圧ジャッキ(5B)及び引抜き用ウインチ(6)を作動すると、掘進機(1)あるいは掘進機(1)及び後続設備管(2)のみの引戻しが可能となる。
【0052】
また、図6(b)に示すように、押引き油圧ジャッキ(5B)を外側鋼管内の中間隔壁に配置すると共に中空の内側鋼管内の周壁に配置し、内側鋼管(32B)内に地山反力用ジャッキ(9)を備えて地山(10)に係留し反力を受けようにしたものである。この場合も、内外鋼管の組み合わせは、中間隔壁を備えた外側鋼管と中空の内側鋼管との組み合わせとなっている。なお、その一端が引抜き用ウインチに巻き取られているワイヤの他端は、前方に位置する掘進機あるいは掘進機及び後続設備管に固定されている。この場合も、引戻し装置(3B)内の押引き油圧ジャッキ(5B)及び引抜き用ウインチ(6)を作動すると、掘進機あるいは掘進機及び後続設備管のみの引戻しが可能となる。
【0053】
以上図面に基づく発明について詳細に説明してきたが、上記のものに限定されるものではなく、引戻し装置を構成する管部材については、鋼管による入れ子式構造のものに限定することなく、一方の管部材内に配置されるジャッキによって相対的に離接可能な少なくとも2つの管部材を有することができ、また、引戻し装置の設置位置は、掘進機又はその後部の後部設備管の後端に配置であれば、その直後に限定されることのないものを選択することもできる。したがって、この出願の発明においては、掘進機及び推進管を備えた小口径推進工法における掘進機の引戻し装置において、掘進機の後方に配置され、相互に隣り合い離接可能な構造をなす少なくとも2つの管部材を備えると共に、一方の管部材内に配置されるジャッキとを有し、ジャッキによって2つの管部材双方を相互に離接させる引戻し装置を備え、ジャッキを配置した管部材を含む2つの管部材から構成される引戻し装置を包含することを特徴とする掘進機の引戻し装置をも提供することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したとおり、この出願請求項1の発明によれば、小口径推進工法において、計画線と掘進機の乖離が生じ、引戻しが必要なときに、掘進機とその後続管全てを引戻すことなく、掘進機或いは後続設備管のみを引戻すことが可能となる。
【0055】
また、この出願請求項2の発明によれば、全体に掛る作業時間は非常に短いため、いつでも気軽にやり直し再掘進が可能となり、高度な線形管理ができる。
【0056】
さらに、この出願請求項3の発明によれば、後退完了後、掘進機内に搭載したジャッキの軌道修正で、速やかに再掘進することが可能となる。
【0057】
この出願の発明によれば、掘進機、後続設備管の限られた部分のみを後退させることで済むため、従来よりも格段に小さい数トンの力で後退させることができる。
【0058】
また、発進立坑で、新たに設備するものはないので、工事費を大幅に上昇させることも、時間を浪費することもない。
【0059】
さらに、後退完了後、推進機内に搭載した方向制御用押引きジャッキで速やかに方向制御でき、再掘進できる。
【0060】
全体に掛る作業時間は非常に短いため、いつでも気軽にやり直し再掘進が可能となり、高度な線形管理ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願に係る小口径推進装置の接続概要と、その作動前後の状態を模式的に示す模式図であり、(a)は掘進機を後方に引き戻す前の後退前の状態を示し、(b)は後退後の状態を示す。
【図2】図1(a)における○で囲った引戻し装置の部分的拡大図を示し、(a)は引戻し装置を後方に引き戻す前の後退前状態を示し、(b)は後退後状態をそれぞれ示し、また(c)は図2(b)の矢視線C―Cから見た正面図である。
【図3】図2(b)や図4(b)のスライド部(S)の部分的拡大断面図を示し、(a)は引戻し装置を後方に引き戻す前のスライド部(S)の後退前状態を示し、(b)は後退後状態をそれぞれ示している。
【図4】引戻し装置の第2の実施例を示し、図2と同様の部分的拡大図において、(a)は引戻し装置における後方に引き戻す前の後退前の状態を示し、(b)は後退後の状態を示す拡大断面図である。
【図5】引戻し装置の第3の実施例を示し、(a)は掘進機を後方に引き戻す前の後退前の状態を示し、(b)は後退後の状態を示す。
【図6】第3の実施例の部分的拡大図を示し、(a)は、引戻し装置の後退後の状態を示すと共に、(b)地山反力用ジャッキを備えた変形例を示すものである。
【図7】引抜き装置としての従来技術の例を示し、(a)は一工程方式による掘削装置の概要を、(b)は二工程方式による掘削装置の概要をそれぞれ示している。
【図8】障害物に接したときの引戻し動作を概要を示す図で、(a)は掘進機前方に障害物が存在する状態を示し、(b)さらなる掘進で障害物により掘進機がはじかれた状態を示し、(c)方向修正できた場合の掘進機の後退状態を示す図である。
【図9】本願発明、掘進機を2段中折れ式とした場合の方向修正用引抜きジャッキの配設状態を示す図で、(a)は2段中折れ式掘進機の場合を、(b)3段中折れ式掘進機の場合をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 掘進機
2 後続設備管
3、3A、3B 引戻し装置
31、31A、31B 外側鋼管
32、32A、32B 内側鋼管
33 水パッキン
4 推進管
5,5A,5B 押引き油圧ジャッキ
6 引抜き用ウインチ
61 引抜き用ワイヤ
7 元押し装置
8 発進立坑
9 地山反力用ジャッキ
91 楔体
10 地山
11 ワイヤ用シーブ
S スライド部
41、51 掘進機
42 推進管
43、53 油圧ジャッキ
44 引抜き用鋼棒
45 鋼棒接続部
46、54 反力壁
47、55 引抜き用治具
52 鋼管
56 障害物
57 中折れ部
A 、B 方向制御用押引き油圧ジャッキ
L 連結ピン

Claims (4)

  1. 掘進機及び推進管を備えた小口径推進工法における掘進機の引戻し装置において、掘進機の後方に配置され、相互に隣り合い離接可能な構造をなす少なくとも2つの管部材を備えると共に、一方の管部材内に配置されるジャッキとを有し、ジャッキによって2つの管部材双方を相互に離接させる引戻し装置を備え、ジャッキを配置した管部材を含む2つの管部材から構成される引戻し装置を包含することを特徴とする掘進機の引戻し装置。
  2. 掘進機及び推進管を備えた小口径推進工法における掘進機の引戻し装置において、掘進機の後方に配置した後続設備管後方の外部鋼管と推進管の前方端部の内部鋼管とを相互にスライド移動可能な入れ子式構造となすと共に、スライド可能な内外鋼管の摺接面間にシール部を備えた2重鋼管と、外部鋼管内に配置されるジャッキとを含み、ジャッキによって内外鋼管相互をスライドさせ、以って外部鋼管と内部鋼管及び後続管とのスライド移動を可能とする後退設備を構成し、ジャッキを配置した内外鋼管のスライド式の二重鋼管から構成される引戻し装置を、掘進機又はその後部の後部設備管の後端に配置したことを特徴とする掘進機の引戻し装置。
  3. 請求項2において、外部鋼管内部に該鋼管中心軸方向に緊張するワイヤ巻取り装置を配備し、ワイヤ巻取り装置によっても外部鋼管を引き戻すことを可能としたことを特徴とする掘進機の引戻し装置。
  4. 請求項2又は3において、該スライド式の二重鋼管の内部鋼管の後端部に、内部管軸と交差する半径方向に地山反力用ジャッキを配置し、当該地山反力用ジャッキにより地山に楔体を突出し内部管を係留することを特徴とする掘進機の引戻し装置。
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