JP2004211137A - 防食剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩及び金属封鎖剤を含有することを特徴とする防食剤組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、防食剤組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩を含有する防食剤組成物において、効果的かつ経済的に澱の発生が防止された安定性の高い防食剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
水系においては、配管、熱交換器などの基材に、主として炭素鋼などの鋼材が使用されている。水中に浸漬されている鋼材は、水中の溶存酸素や塩化物イオン、硫酸イオンなどにより腐食され、全面腐食や孔食が発生する。このような全面腐食や孔食は、銅、銅合金、ステンレス鋼などの耐食材料においても同様に発生する。腐食は、冷却水系の設備の寿命の短縮、熱交換器チューブの貫通による製品の漏洩、汚染などの直接的な障害を引き起こすのみならず、腐食生成物の付着によって、熱交換器の熱効率の低下、ポンプ圧の上昇などの間接的な障害を発生させる。また、高温、高圧プロセスの冷却水系における事故の発生は人身事故にもつながる。
このために、従来より、水系と接する金属材料の腐食を抑制するために、防食剤が用いられている。一般に、水系で使用される防食剤は、それ自身は水に可溶であるが、金属表面に酸化皮膜又は水に不溶性若しくは難溶性の皮膜を形成して、金属イオンの溶出又は溶存酸素の還元反応を妨げることによって腐食反応を抑制する。
このような水系の防食剤として、モリブデン酸塩とタングステン酸塩が広く用いられている(特許文献1)。しかし、モリブデン酸塩とタングステン酸塩は、鉱石からの微量な不純物に由来して、経時的に砂状の澱が生成する。この澱は、濃度が高いほど、また保存温度が高いほど生成が早いが、一般に室温では配合から数ケ月後に肉眼で観察される程度である。そのために、配合後にろ別除去することは困難である。
根本的な解決法として、モリブデン酸塩又はタングステン酸塩の精製を繰り返し、純度を高めることにより澱の発生の程度を軽減することができる。しかし、精製を繰り返すことは、モリブデン酸塩又はタングステン酸塩の価格上昇を招き、水処理のコストが増大する。また、どの程度の純度まで精製を繰り返せば、経時的に発生する澱の防止に十分であるかの基準が明確でなく、判断が難しい。
このために、水系と接する金属材料の防食を効果的に防止又は制御する方法として、モリブデン酸塩又はタングステン酸塩を用いる防食剤において、鉱石由来の微量不純物による澱の発生を効果的かつ経済的に防止し得る防食剤組成物が求められていた。
【特許文献1】
特公昭61−48590号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩を含有する防食剤組成物において、効果的かつ経済的に澱の発生が防止された安定性の高い防食剤組成物を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、金属封鎖作用を有する化合物が、モリブデン酸塩又はタングステン酸塩の鉱石に由来する微量不純物による澱の発生を防止し、製品の安定性を高める作用を有することを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩及び金属封鎖剤を含有することを特徴とする防食剤組成物、
(2)モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩の含有量が1〜50重量%であり、金属封鎖剤の含有量が0.01〜5重量%である第1項記載の防食剤組成物、
(3)金属封鎖剤が、ジエチレントリアミン五酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸又はジカルボキシメチルグルタミン酸テトラゾリウム塩である第1項又は第2項記載の防食剤組成物、及び、
(4)カルボキシル基を有する重量平均分子量500〜50,000のポリマーを含有する第1項、第2項又は第3項記載の防食剤組成物、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の防食剤組成物は、モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩及び金属封鎖剤を含有する。
本発明組成物に用いるモリブデン酸としては、例えば、オルトモリブデン酸H2MoO4、メタモリブデン酸(八モリブデン酸)、パラモリブデン酸(七モリブデン酸)などを挙げることができる。本発明組成物に用いるモリブデン酸塩は、xMI 2O・yMoO3・zH2Oで表される酸化モリブデン(VI)と陽性金属の酸化物からなる塩である。ただし、zは0でもよい。このようなモリブデン酸塩としては、例えば、x:y=1:1のMI 2MoO4で表されるオルトモリブデン酸塩のほかに、x:y=2:8のメタモリブデン酸塩(八モリブデン酸塩)、x:y=3:7のパラモリブデン酸塩(七モリブデン酸塩)などを挙げることができる。これらの中で、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウムは、水に容易に溶解するので好適に用いることができる。
本発明組成物に用いるタングステン酸としては、例えば、オルトタングステン酸H2WO4、メタタングステン酸、パラタングステン酸などを挙げることができる。本発明組成物に用いるタングステン酸塩は、xMI 2O・yWO3・zH2Oで表される塩である。ただし、zは0でもよい。このようなタングステン酸塩としては、例えば、x:y=1:1のMI 2WO4で表されるオルトタングステン酸塩のほかに、y=12にあたるメタタングステン酸塩(十二タングステン酸二水素塩)、パラタングステン酸塩(十二タングステン酸十水素塩)などを挙げることができる。これらの中で、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウムは、水に容易に溶解するので好適に用いることができる。
【0006】
本発明組成物に用いる金属封鎖剤は、水溶液中で金属イオンと結合して可溶性の錯塩を形成し、金属イオンが他の試薬によって沈殿することを防ぐ薬剤である。このような金属封鎖剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸−N,N’−二プロピオン酸、グリコールエーテルジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(GEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、trans−シクロヘキサン−1,2−ジアミン四酢酸(CyDTA)、エチレンジアミン−N,N’−ジプロピオン酸(EDDP)、トリエチレンテトラミン−N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−六酢酸(TTHA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸(HEDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸(DPTA−OH)、1,2−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸(Methyl−EDTA)、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラキス(メチレンホスホン酸)(EDTPO)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTPO)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノ二酢酸(IDA)、3,3’,3’’−ニトリロ三プロピオン酸、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン、ジカルボキシメチルグルタミン酸テトラゾリウム塩(GLDA)、ジメチルグリオキシム、アセチルアセトン、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、2−ホスホノ−1,2,4−トリカルボキシブタン(PBTC)、トリスアミノメタンホスホン酸(AMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(ENTP)、ヘキサメチレンホスホン酸(HMTP)、ピロリン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸、ポリリン酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸などを挙げることができる。これらの金属封鎖剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、ジエチレントリアミン五酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸及びジカルボキシメチルグルタミン酸テトラゾリウム塩は、金属イオンを封鎖する効果に優れ、モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩を含有する防食剤組成物の澱の発生を効果的に防止し、安定性を高めることができるので、特に好適に用いることができる。
【0007】
本発明の防食剤組成物は、モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩の含有量が1〜50重量%であることが好ましく、3〜30重量%であることがより好ましい。モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩の含有量が1重量%未満であると、取り扱う防食剤組成物の量が多くなり、輸送、保管などのコストが高くなるおそれがある。モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩の含有量が50重量%を超えると、防食剤組成物の安定性が損なわれるおそれがある。
本発明の防食剤組成物は、金属封鎖剤の含有量が0.01〜5重量%であることが好ましく、0.1〜3重量%であることがより好ましい。金属封鎖剤の含有量が0.01重量%未満であると、澱の発生を防止する効果が十分に発現しないおそれがある。金属封鎖剤の含有量は5重量%以下で澱の発生を防止する効果が発現し、金属封鎖剤の含有量が5重量%を超えても、金属封鎖剤の含有量の増加に見合っては効果が向上しないおそれがある。
【0008】
本発明の防食剤組成物は、カルボキシル基を有する低分子量ポリマーを含有することが好ましい。防食剤組成物にカルボキシル基を有する低分子量ポリマーを含有させることにより、防食剤組成物を添加する水系にカルシウムが存在する場合であっても、沈殿の形成を防ぐことができる。沈殿が形成されると、沈殿の中にモリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩が含まれて失われるが、沈殿が形成されない限り、添加したモリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩は、全量が水系中に留まって防食効果を発揮する。カルボキシル基を有するポリマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などの構造単位を有するポリマーを挙げることができる。カルボキシル基を有するポリマーには、カルボキシル基を有しないモノマーを共重合してコポリマーとすることができる。共重合するモノマーとしては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などを挙げることができる。コポリマーの中で、アクリル酸と3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸のコポリマーを特に好適に用いることができる。
本発明組成物に用いるカルボキシル基を有する低分子量ポリマーの重量平均分子量は、500〜50,000であることが好ましく、1,000〜30,000であることがより好ましく、1,500〜20,000であることがさらに好ましい。重量平均分子量が500未満であると、沈殿の形成を防ぐ効果が不十分になるおそれがある。重量平均分子量が50,000を超えると、水溶液の粘度が高くなって取り扱い性が低下するおそれがある。
本発明組成物において、カルボキシル基を有する低分子量ポリマーの含有量に特に制限はないが、0.05〜10重量%であることが好ましく、0.1〜5重量%であることがより好ましい。低分子量ポリマーの含有量が0.05重量%未満であると、沈殿の形成を防ぐ効果が不足するおそれがある。低分子量ポリマーの含有量は、10重量%以下で沈殿の形成を防ぐ効果が十分に発現し、通常は10重量%を超えるカルボキシル基を有する低分子量ポリマーを含有させる必要はない。また、カルボキシル基を有する低分子量ポリマーの含有量が10重量%を超えると、防食剤組成物を添加した水系において、水が着色するおそれがある。
【0009】
本発明組成物を添加する水系は、pHを7〜12に調整することが好ましく、pHを8〜10に調整することがより好ましい。pHを7〜12に調整することにより、タングステン酸塩が防食皮膜を形成し、効果を発揮することができる。水系のpHの調整には、緩衝作用のあるアルカリ剤を用いることが好ましい。緩衝作用のあるアルカリ剤としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウムなどを挙げることができる。これらの中で、ケイ酸ナトリウムは、pH緩衝作用とともに防食効果も有するので、特に好適に用いることができる。
本発明の防食剤組成物は、pH10〜14に調整することが好ましく、pH11〜13に調整することがより好ましい。pHの調整に用いるアルカリ剤に特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができる。pH10〜14に調整することにより、モリブデン酸塩又はタングステン酸塩の析出を防止するとともに、ケイ酸ナトリウムを高濃度に共存させることができる。
本防食剤組成物には、必要に応じて他の防食剤を配合することができる。他の防食剤としては、例えば、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、リン酸塩、亜鉛塩、糖アルコール系防食剤、亜硝酸塩系防食剤などを挙げることができる。
本発明の防食剤組成物を用いることにより、水系と接する金属材料の腐食を効果的に防止することができる。本発明の防食剤組成物は、モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩を含有するが、澱の発生が効果的かつ経済的に防止され、高い安定性を有する。
【0010】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例においては、工業用モリブデン酸ナトリウム二水和物[日本無機化学工業(株)]又は工業用タングステン酸ナトリウム二水和物[日本無機化学工業(株)]を用いた。実施例1及び実施例2においては、工業用モリブデン酸ナトリウム二水和物又は工業用タングステン酸ナトリウム二水和物10重量%と、金属封鎖剤1.0重量%を含有する水溶液を調製し、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを12に調整して試験液とした。この試験液を、室温又は60℃の恒温槽中で14日間保存したのち、目視により澱の発生量を観察した。澱が全く発生していないものを−、金属封鎖剤を添加することなく60℃で14日間保存した試料の澱を+++とし、その間を+と++に分けて評価した。
実施例1
工業用モリブデン酸ナトリウム二水和物10重量%を含有し、金属封鎖剤を含有せず、pHを12に調整した試験液を、60℃で14日間保存したときに発生した澱を+++とすると、室温で14日間保存した試験液に発生した澱は++であった。
工業用モリブデン酸ナトリウム二水和物10重量%、エチレンジアミン四酢酸1.0重量%を含有し、pHを12に調整した試験液は、室温、14日後には澱は発生せず、60℃、14日後の澱は+であった。
エチレンジアミン四酢酸の代わりに、第1表に示す33種類の金属封鎖剤を用い、同様にして澱の発生量を評価した。
結果を、第1表に示す。
【0011】
【表1】
【0012】
第1表に見られるように、工業用モリブデン酸ナトリウム10重量%を含有する水溶液に、金属封鎖剤1.0重量%を添加すると、室温、14日間の保存では澱は発生しない。また、金属封鎖剤として、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸又はジカルボキシメチルグルタミン酸テトラゾリウム塩を配合した組成物は、60℃、14日間の保存によっても澱は発生しない。
実施例2
工業用モリブデン酸ナトリウム二水和物の代わりに、工業用タングステン酸ナトリウム二水和物を用いた以外は、実施例1と同様にして、室温又は60℃、14日間の保存における澱の発生量を評価した。
結果を、第2表に示す。
【0013】
【表2】
【0014】
第2表に見られるように、工業用タングステン酸ナトリウム10重量%を含有する水溶液に、金属封鎖剤1.0重量%を添加すると、室温、14日間の保存では澱は発生しない。また、金属封鎖剤として、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸又はジカルボキシメチルグルタミン酸テトラゾリウム塩を配合した組成物は、60℃、14日間の保存によっても澱は発生しない。
実施例3
工業用タングステン酸ナトリウム二水和物40重量%とジエチレントリアミン五酢酸0.5重量%を含有し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH12に調整した防食剤組成物を調製した。この防食剤組成物は、室温、14日間保存後も、60℃、14日間保存後も、澱は発生しなかった。
ビーカーに入れた脱イオン水1Lに、塩化カルシウム、重炭酸ナトリウム及び調製した防食剤組成物を添加し、カルシウム硬度50mgCaCO3/L、Mアルカリ度100mgCaCO3/L、pH8.0、タングステン酸ナトリウム600mg/Lの試験液を調製した。この試験液をビーカーに入れたまま、50℃で40時間静置したところ、底一面に白色の沈殿が沈降した。試験液を孔径0.1μmのフィルターを用いてろ過し、ろ液のタングステン酸ナトリウムの濃度を測定したところ、400mg/Lであった。
実施例4
工業用タングステン酸ナトリウム二水和物40重量%、アクリル酸と3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸とのコポリマー[(株)日本触媒、アクアリックGL、重量平均分子量5,000]1.0重量%及びジエチレントリアミン五酢酸0.5重量%を含有し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH12に調整した防食剤組成物を調製した。この防食剤組成物は、室温、14日間保存後も、60℃、14日間保存後も、澱は発生しなかった。
この防食剤組成物を用い、実施例3と同様にして、カルシウム硬度50mgCaCO3/L、Mアルカリ度100mgCaCO3/L、pH8.0、タングステン酸ナトリウム600mg/Lの試験液を調製し、50℃で40時間静置したが、白色の沈殿は析出しなかった。試験液を孔径0.1μmのフィルターを用いてろ過し、ろ液のタングステン酸ナトリウムの濃度を測定したところ、600mg/Lであった。
実施例5
ジエチレントリアミン五酢酸の代わりに、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸を用いた以外は、実施例4と同様にして防食剤組成物を調製し、評価を行った。この防食剤組成物は、室温、14日間保存後も、60℃、14日間保存後も、澱は発生しなかった。
この防食剤組成物を用い、実施例3と同様にして、カルシウム硬度50mgCaCO3/L、Mアルカリ度100mgCaCO3/L、pH8.0、タングステン酸ナトリウム600mg/Lの試験液を調製し、50℃で40時間静置したが、白色の沈殿は析出しなかった。試験液を孔径0.1μmのフィルターを用いてろ過し、ろ液のタングステン酸ナトリウムの濃度を測定したところ、600mg/Lであった。
実施例3〜5の結果から、防食剤組成物にアクリル酸と3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸とのコポリマーを含有させることにより、カルシウム硬度とMアルカリ度の高い水系に防食剤組成物を添加したとき、タングステン酸ナトリウムを含有する沈殿の析出を防ぎ得ることが分かる。
【0015】
【発明の効果】
本発明の防食剤組成物を用いることにより、水系と接する金属材料の腐食を効果的に防止することができる。本発明の防食剤組成物は、モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩を含有するが、澱の発生が効果的かつ経済的に防止され、高い安定性を有する。
Claims (4)
- モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩及び金属封鎖剤を含有することを特徴とする防食剤組成物。
- モリブデン酸若しくはその塩又はタングステン酸若しくはその塩の含有量が1〜50重量%であり、金属封鎖剤の含有量が0.01〜5重量%である請求項1記載の防食剤組成物。
- 金属封鎖剤が、ジエチレントリアミン五酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸又はジカルボキシメチルグルタミン酸テトラゾリウム塩である請求項1又は請求項2記載の防食剤組成物。
- カルボキシル基を有する重量平均分子量500〜50,000のポリマーを含有する請求項1、請求項2又は請求項3記載の防食剤組成物。
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