JP2002263690A - スケール付着防止剤及びスケール付着防止法 - Google Patents

スケール付着防止剤及びスケール付着防止法

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JP2002263690A
JP2002263690A JP2001063717A JP2001063717A JP2002263690A JP 2002263690 A JP2002263690 A JP 2002263690A JP 2001063717 A JP2001063717 A JP 2001063717A JP 2001063717 A JP2001063717 A JP 2001063717A JP 2002263690 A JP2002263690 A JP 2002263690A
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deposition
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Shigeru Sato
茂 佐藤
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Kurita Water Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ボイラ水系、冷却水系などにおけるスケール付
着防止に有効であり、特にカルシウム系スケールとシリ
カ系スケールの両方の付着防止に効果を発揮し、さら
に、良好な腐食防止効果をも有するスケール付着防止剤
及びスケール付着防止法を提供する。 【解決手段】一般式[1]で表されるポリアミド構造単
位を有する水溶性ポリマーと、水溶性のホスホン酸化合
物及び/又はリン酸化合物とを含有することを特徴とす
るスケール付着防止剤、並びに、水系に、一般式[1]
で表されるポリアミド構造単位を有する水溶性ポリマー
と、水溶性のホスホン酸化合物及び/又はリン酸化合物
とを添加することを特徴とするスケール付着防止法。た
だし、式中、Rは水素又はメチル基である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スケール付着防止
剤及びスケール付着防止法に関する。さらに詳しくは、
本発明は、ボイラ水系、冷却水系などにおけるスケール
付着防止に有効であり、特にカルシウム系スケールとシ
リカ系スケールの両方の付着防止に効果を発揮し、さら
に、良好な腐食防止効果をも有するスケール付着防止剤
及びスケール付着防止法に関する。
【0002】
【従来の技術】冷却水系、ボイラ水系などの水と接触す
る伝熱面や配管内では、スケール障害が発生する。特
に、開放循環式冷却水系において、省資源、省エネルギ
ーの立場から、冷却水の系外への排棄(ブロー)を少な
くして高濃縮運転を行う場合、溶解している塩類が濃縮
されて、伝熱面が腐食しやすくなるとともに、難溶性の
塩となってスケール化する。生成したスケールは、熱効
率の低下、配管の閉塞など、ボイラや熱交換器の運転に
重大な障害を引き起こす。生成するスケール種として
は、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウ
ム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグ
ネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸亜鉛、水酸化亜
鉛、塩基性炭酸亜鉛などがあり、これらの中でも特にカ
ルシウム系スケールとシリカ系スケールによる障害が大
きく問題になっている。カルシウム系スケールに対して
は、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸などを重合し
たカルボキシル基を有するポリマーが有効であり、必要
に応じて、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの
スルホン酸基を有するビニルモノマーや、アクリルアミ
ドなどのノニオン性ビニルモノマーを対象水質に応じて
組み合わせたコポリマーが、スケール付着防止剤として
一般的に使用されている。また、ヘキサメタリン酸ソー
ダやトリポリリン酸ソーダなどの無機ポリリン酸類、ヒ
ドロキシエチリデンジホスホン酸やホスホノブタントリ
カルボン酸などのホスホン酸類も一般的に使用されてい
る。特開昭61−107998号公報には、シリカ系ス
ケールに対する防止効果の優れたスケール防止剤とし
て、アクリルアミド系ポリマーとアクリル酸系ポリマー
を含むスケール防止剤が提案されている。また、特開平
2−31894号公報には、冷却水系のスケール防止
と、防食、スライム防止などの効果を併せもつ複合水処
理剤として、ポリエチレングリコールとホスホン酸又は
カルボン酸系ポリマーを含有するスケール防止剤が提案
されている。特開平7−256266号公報には、冷却
水の水質変動や運転条件に関わりなく、スライム、スケ
ール、腐食障害、レジオネラ菌の発生を防止し得る水処
理方法として、水溶性カチオン性ポリマー、ハロゲン化
脂肪族ニトロアルコール及びホスホン酸又はカルボン酸
系ポリマーを添加する方法が提案されている。さらに、
特開平10−165986号公報には、シリカ系及びカ
ルシウム系スケールの付着防止に対して優れた効果を有
するスケール防止剤として、N−ビニルカルボン酸アミ
ドの水溶性重合体又は該重合体を加水分解して得られる
第一級アミノ基を有する水溶性重合体を含有するスケー
ル防止剤が提案されている。このように、スケール種に
応じて各種のポリマーが使い分けられている。冷却水系
において使用される水は、通常、工業用水、水道水など
であるために、水中にはさまざまなイオン種が存在す
る。したがって、特に高濃縮運転を行う場合には、すべ
てのスケール種に効果的に対応し得るスケール付着防止
剤が必要であるが、このようなスケール付着防止剤はま
だ存在しない。特に、シリカ系スケールの付着防止に有
効なポリマーがないのが現状である。例えば、アクリル
アミド系ポリマーは、シリカ濃度が低い場合にはスケー
ル付着防止効果を有するものの、シリカ濃度が高い場合
には効果がない。これは、アクリルアミドが部分的に加
水分解を受けて生じるカルボキシル基のために、アミド
基のシリカへの作用が低下するためと考えられる。上記
のごとく、特開平7−256266号公報には、カチオ
ン系ポリマーの使用も提案されているが、カチオン性で
あるために水中のシリカだけでなく配管や微生物由来の
汚れ(スライム)と反応しやすく、効果は安定しない。
本発明者らは、特開平10−165986号公報におい
て、N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマー
又はそれを加水分解することによって得られるアミノ基
を有するポリマーの使用を提案したが、やはりカチオン
性であるために、水中のシリカだけでなく配管や微生物
由来の汚れ(スライム)と反応しやすく、シリカスケー
ル付着防止効果が安定しないという問題があった。この
ような状況から、カルシウム系スケール及びシリカ系ス
ケールの両方の付着防止に効果のあるスケール付着防止
剤及びスケール付着防止法が望まれている。さらには、
冷却水系において問題となる伝熱面や配管における腐食
に対しても防止効果を有することが望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ボイラ水
系、冷却水系などにおけるスケール付着防止に有効であ
り、特にカルシウム系スケールとシリカ系スケールの両
方の付着防止に効果を発揮し、さらに、良好な腐食防止
効果をも有するスケール付着防止剤及びスケール付着防
止法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ナイロン3構造単
位を有する水溶性ポリマーと、水溶性のホスホン酸化合
物及び/又はリン酸化合物を併用することにより、相乗
的な効果が発揮され、カルシウム系スケールとシリカ系
スケールの両方の付着を効果的に防止することができ、
さらに良好な腐食防止効果も得られることを見いだし、
この知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、(1)一般式[1]で表されるポリアミ
ド構造単位を有する水溶性ポリマーと、水溶性のホスホ
ン酸化合物及び/又はリン酸化合物とを含有することを
特徴とするスケール付着防止剤、
【化3】 (ただし、式中、Rは水素又はメチル基である。)、及
び、(2)水系に、一般式[1]で表されるポリアミド
構造単位を有する水溶性ポリマーと、水溶性のホスホン
酸化合物及び/又はリン酸化合物とを添加することを特
徴とするスケール付着防止法、
【化4】 (ただし、式中、Rは水素又はメチル基である。)、を
提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のスケール付着防止剤は、
一般式[1]で表されるポリアミド構造単位を有する水
溶性ポリマーと、水溶性のホスホン酸化合物及び/又は
リン酸化合物とを含有する。本発明のスケール付着防止
法においては、水系に、一般式[1]で表されるポリア
ミド構造単位を有する水溶性ポリマーと、水溶性のホス
ホン酸化合物及び/又はリン酸化合物とを添加する。
【化5】 ただし、一般式[1]において、Rは水素又はメチル基
である。一般式[1]で表されるポリアミド構造単位を
基本骨格とするポリマーは、アクリルアミド又はメタク
リルアミドを溶液中で強塩基とともに加熱し、水素移動
アニオン重合することにより、製造することができる。
その重合法は、J.Am.Chem.Soc.、第79巻、396
0頁(1957)、J.Polym.Sci.Part A-1、第6巻、
3187頁(1968)、J.Polym.Sci.Polym.Phy
s.、第23巻、733頁(1985)、Makromol.Che
m.、第193巻、2561頁(1992)などに報告され
ている。一般式[1]で表されるポリアミド構造単位を
有するポリマーは、β−アラニン、2−メチル−β−ア
ラニン又はこれらの誘導体の重合又は共重合によっても
製造することができる。
【0006】本発明において、一般式[1]で表される
ポリアミド構造単位を有するポリマーとしては、一般式
[1]においてRが水素であるホモポリマーすなわちナ
イロン3、Rがメチル基であるホモポリマー、Rが水素
であるポリアミド構造単位とRがメチル基であるポリア
ミド構造単位を有するコポリマー、一般式[1]で表さ
れるポリアミド構造単位と−CH2CR(CONH2)−で
表される(メタ)アクリルアミド構造単位を有する見かけ
上のコポリマー、一般式[1]で表されるポリアミド構
造単位と他のコモノマーの構造単位を有するコポリマー
などを挙げることができる。他のコモノマーとしては、
例えば、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクトン、β
−メチル−δ−バレロラクトンなどを挙げることができ
る。本発明に用いるポリマーは、水溶性であって、一般
式[1]で表されるポリアミド構造単位を10モル%以
上有することが好ましく、50モル%以上有することが
より好ましい。一般式[1]で表されるポリアミド構造
単位が10モル%未満であると、スケール付着防止効果
と腐食防止効果が不十分となるおそれがある。
【0007】ポリマー中の一般式[1]で表されるポリ
アミド構造単位の割合は、赤外線吸収スペクトル、プロ
トン核磁気共鳴スペクトルなどに基づいて求めることが
できる。例えば、アクリルアミドの重合により得られる
ナイロン3構造単位−CH2CH2CONH−とアクリル
アミド構造単位−CH2CH(CONH2)−を有するポリ
マーの場合、赤外線吸収スペクトルを測定し、ナイロン
3構造に由来する1675cm-1、1540cm-1の第二ア
ミドの吸収強度と、アクリルアミド構造に由来する16
60cm-1、1620cm-1のアミドI、アミドIIの吸収強
度の比からナイロン3構造単位の割合を算出することが
できる。本発明に用いる一般式[1]で表されるポリア
ミド構造単位を有する水溶性ポリマーの分子量に特に制
限はないが、1,000〜100,000であることが好
ましく、2,000〜20,000であることがより好ま
しい。分子量が1,000未満であると、スケール付着
防止効果と腐食防止効果が不十分となるおそれがある。
分子量が100,000を超えると、ポリマー水溶液が
高粘度となって取り扱いに困難を生ずるおそれがある。
一般式[1]で表されるポリアミド構造単位を有する水
溶性ポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィーにより分子量分布曲線を求め、ポリエチレングリコ
ールを標準物質として換算することにより、分子量を求
めることができる。
【0008】本発明に用いるホスホン酸化合物に特に制
限はなく、例えば、ニトリロトリメチレンホスホン酸
(NTMP)、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(H
EDP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸
(EDTP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBT
C)、アミノメチレンホスホネート(AMP)、ポリア
ミノポリエーテルメチレンホスホネート(PAPEM
P)、ホスホノポリカルボン酸(POCA)、ビス(ポ
リ−2−カルボキシエチル)ホスホン酸などや、これら
の塩などを挙げることができる。これらのホスホン酸化
合物は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2
種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明に用
いるリン酸化合物に特に制限はなく、例えば、オルトリ
ン酸、次リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、トリメ
タリン酸、テトラメタリン酸、ペンタメタリン酸、ヘキ
サメタリン酸、ヘプタメタリン酸、オクタメタリン酸、
ウルトラリン酸などや、これらの塩などを挙げることが
できる。これらのリン酸化合物は、1種を単独で用いる
ことができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いる
こともできる。
【0009】本発明のスケール付着防止剤の形態に特に
制限はなく、例えば、一般式[1]で表されるポリアミ
ド構造単位を有する水溶性ポリマーと、水溶性のホスホ
ン酸化合物及び/又はリン酸化合物とをあらかじめ混合
して一液型の薬剤として水系に添加することができ、あ
るいは、一般式[1]で表されるポリアミド構造単位を
有する水溶性ポリマーと、ホスホン酸化合物及び/又は
リン酸化合物とを、別々に水系に添加することもでき
る。添加するポリマー水溶液、ホスホン酸化合物水溶液
及びリン酸化合物水溶液の濃度にも特に制限はなく、任
意の濃度に調製した水溶液を対象とする水系に添加する
ことができる。本発明のスケール付着防止剤の添加場所
に特に制限はなく、スケールが付着する箇所に直接添加
することができ、あるいは、その箇所よりも前段の任意
の箇所に添加することもできる。例えば、冷却水系にお
いては、熱交換器本体、循環水のピット、冷却塔の配管
ラインなどの任意の箇所に直接添加することができ、あ
るいは、循環水系に補給する補給水にあらかじめ添加し
ておくこともできる。本発明のスケール付着防止剤を使
用するとき、水質条件や、ボイラ、熱交換器運転条件な
どに特に制限はなく、通常の水質、ボイラ、熱交換器運
転条件で運転することができる。
【0010】本発明のスケール付着防止剤により、炭酸
カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン
酸亜鉛、亜鉛水酸化物、ケイ酸マグネシウム、シリカな
ど、通常のボイラ、冷却水系で生成するスケールの付着
を防止することができるが、特にカルシウム系スケール
とシリカ系スケールの付着防止に有効である。また、本
発明のスケール防止剤により、金属材料の腐食も防止す
ることができる。本発明のスケール付着防止剤の詳細な
作用機構は不明であるが、一般式[1]で表されるポリ
アミド構造単位の分極したアミド基のカルボニル基の弱
い正電荷が、シリカの負電荷へ吸着作用を及ぼすことに
より、シリカ系スケールの配管壁面や、伝熱面、冷却塔
充填材などへの付着を効果的に防止するものと考えられ
る。一般式[1]で表されるポリアミド構造単位を有す
るポリマーは、弱い正電荷を有するポリマーであり、従
来のカチオン性ポリマーより正電荷が弱いために、配管
などへの吸着によるポリマーの損失も少ない。また、併
用するホスホン酸化合物及び/又はリン酸化合物によ
り、カルシウム系スケールの付着も同時に防止し、腐食
も防止し得るばかりでなく、一般式[1]で表されるポ
リアミド構造単位を有する水溶性ポリマーとホスホン酸
化合物及び/又はリン酸化合物が相乗効果を発揮して、
スケール全体の付着量を減少させるので、あらゆる水質
におけるスケール付着防止が可能である。
【0011】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 製造例1 酢酸エチルを用いて再結晶し、減圧乾燥したアクリルア
ミド10g(0.14モル)を100mL四つ口フラスコ
に入れ、窒素雰囲気下で、開始剤として水素化カルシウ
ム29mg(0.7ミリモル)を添加した。撹拌機でよく
混合したのち、150℃に予め加熱しておいたオイルバ
スにこの四つ口フラスコを浸し、窒素雰囲気下で30分
重合させた。得られた重合物を粉砕し、粉末ポリマーを
得た。粉末ポリマーを純水200mLに全量投入して6時
間撹拌したのち、3Gグラスフィルターでろ過し、不溶
解物を除去した。ろ液の一部を採取し、蒸発残分を測定
した結果、収率は79.5重量%であった。ポリエチレ
ングリコールを標準試料とするゲルパーミエーションク
ロマトグラフィーの結果、平均分子量は8,000であ
った。また、赤外線吸収スペクトルの1540cm-1と1
620cm-1の強度比から求めたナイロン3構造単位の割
合は、65モル%であった。このポリマーを、ポリマー
A1とする。 製造例2 水素化カルシウムの添加量を59mg(1.4ミリモル)
とした以外は、製造例1と同じ操作を行い、粉末ポリマ
ーを得た。収率は83.3重量%で、平均分子量は4,5
00、ナイロン3構造単位の割合は58モル%であっ
た。このポリマーを、ポリマーA2とする。実施例及び
比較例において使用したポリマー及び薬剤を、第1表に
示す。
【0012】
【表1】
【0013】実施例及び比較例において、スケール付着
試験及び腐食性試験は、下記の方法により行った。すな
わち、伝熱面積が約0.25m2の熱交換器を有する保有
水量0.45m3の開放循環式冷却水系で、水道水を補給
水とし、12倍濃縮条件で30日間運転した。水道水の
水質は、pH7.8、電気伝導率180μS/cm、カルシ
ウム硬度42mgCaCO3/L、マグネシウム硬度22mgCaC
O3/L、Mアルカリ度54mgCaCO3/L、シリカ32mgS
iO2/Lであった。熱交換器のチューブは、材質が銅
で、外径19mmのものを用いた。循環水入口温度は45
℃、出口温度は75℃に保ち、循環水流速は0.5m/
sとした。また、腐食性試験の試験片として、銅の試験
片(3cm×5cm、厚さ1mm)を冷却水ピットに浸漬し
た。30日間の運転終了後、熱交換器のチューブの重量
増加より、スケール付着速度を求めた。比較例において
は、付着したスケールを600℃で焼成し、焼成残渣を
塩酸に溶解し、酸不溶解分をシリカとして、スケール中
のSiO2量を算出した。また、焼成残渣の塩酸溶液に
ついて、フレーム原子吸光法によりカルシウム濃度を測
定し、スケール中のカルシウムをCaO量として表し
た。また、腐食性試験片の重量減少より、腐食速度(m
dd、mg/dm2/day)を算出した。
【0014】実施例1 製造例1で得られたポリマーA1を循環水中の濃度が2
0mg/Lになるように添加し、ヒドロキシエチリデンジ
ホスホン酸を循環水中のリンの濃度が10mg/Lになる
ように添加して、30日間の運転を行った。スケール付
着速度は、0.1mg/cm2/30日であった。腐食速度
は、0.1mddであった。 実施例2 製造例1で得られたポリマーA1を循環水中の濃度が2
0mg/Lになるように添加し、ホスホノブタントリカル
ボン酸を循環水中のリンの濃度が10mg/Lになるよう
に添加して、30日間の運転を行った。スケール付着速
度は、0.1mg/cm2/30日であった。腐食速度は、
0.1mddであった。 実施例3 製造例2で得られたポリマーA2を循環水中の濃度が2
0mg/Lになるように添加し、ヘキサメタリン酸ナトリ
ウムを循環水中のリンの濃度が10mg/Lになるように
添加して、30日間の運転を行った。スケール付着速度
は、0.3mg/cm2/30日であった。腐食速度は、0.
1mddであった。 比較例1 製造例1で得られたポリマーA1を、循環水中の濃度が
30mg/Lになるように添加して、30日間の運転を行
った。スケール付着速度は、4.3mg/cm2/30日であ
った。スケール中のSiO2分は21重量%であり、C
aO分は63重量%であった。腐食速度は、1.1md
dであった。 比較例2 製造例2で得られたポリマーA2を、循環水中の濃度が
30mg/Lになるように添加して、30日間の運転を行
った。スケール付着速度は、6.2mg/cm2/30日であ
った。スケール中のSiO2分は18重量%であり、C
aO分は65重量%であった。腐食速度は、1.2md
dであった。 比較例3 ヒドロキシエチリデンジホスホン酸を、循環水中のリン
の濃度が20mg/Lになるように添加して、30日間の
運転を行った。スケール付着速度は28mg/cm 2/30
日であつた。スケール中のSiO2分は45重量%であ
り、CaO分は29重量%であった。腐食速度は、0.
3mddであった。 比較例4 ヒドロキシエチリデンジホスホン酸を、循環水中のリン
の濃度が30mg/Lになるように添加して、30日間の
運転を行った。スケール付着速度は32mg/cm 2/30
日であつた。スケール中のSiO2分は48重量%であ
り、CaO分は34重量%であった。腐食速度は、0.
2mddであった。 比較例5 ホスホノブタントリカルボン酸を、循環水中のリンの濃
度が20mg/Lになるように添加して、30日間の運転
を行った。スケール付着速度は31mg/cm2/30日で
あつた。スケール中のSiO2分は51重量%であり、
CaO分は34重量%であった。腐食速度は、0.2m
ddであった。 比較例6 ヘキサメタリン酸ナトリウムを、循環水中のリンの濃度
が20mg/Lになるように添加して、30日間の運転を
行った。スケール付着速度は45mg/cm2/30日であ
つた。スケール中のSiO2分は35重量%であり、C
aO分は42重量%であった。腐食速度は、0.3md
dであった。実施例1〜3及び比較例1〜6の結果を、
第2表に示す。
【0015】
【表2】
【0016】第2表に見られるように、ナイロン3構造
単位を有するポリマーと、ホスホン酸化合物又はリン酸
化合物とを循環水に添加した実施例1〜3においては、
スケール付着速度が極めて小さく、優れたスケール付着
防止効果が発現している。また、腐食速度も小さく、良
好な腐食防止効果も発現している。ナイロン3構造単位
を有するポリマーのみを添加した比較例1〜2において
は、ポリマーの添加量は実施例1〜3の1.5倍である
が、スケール付着速度と腐食速度は実施例1〜3より大
きく、ナイロン3構造単位を有するポリマーとホスホン
酸化合物又はリン酸化合物が相乗的に作用して、優れた
スケール付着防止効果と腐食防止効果を発揮することが
分かる。ホスホン酸化合物又はリン酸化合物のみを循環
水に添加した比較例3〜6においては、スケール付着速
度が大きく、かつ付着したスケールが多量のSiO2
とCaO分を含むことから、本発明のスケール付着防止
剤及びスケール付着防止法は、シリカ系スケールに対し
ても、カルシウム系スケールに対しても、その付着防止
に有効であることが分かる。
【0017】
【発明の効果】本発明のスケール付着防止剤及びスケー
ル付着防止法によれば、ナイロン3構造単位を有する水
溶性ポリマーと、ホスホン酸化合物又はリン酸化合物
が、水系において相乗的に作用し、伝熱面や配管壁面に
付着するカルシウム系スケールとシリカ系スケールの両
方に対して、優れた付着防止効果を発揮し、さらに金属
材料に対する良好な腐食防止効果も発現する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 5/08 C02F 5/08 F 5/10 620 5/10 620Z 5/14 5/14 A

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式[1]で表されるポリアミド構造単
    位を有する水溶性ポリマーと、水溶性のホスホン酸化合
    物及び/又はリン酸化合物とを含有することを特徴とす
    るスケール付着防止剤。 【化1】 (ただし、式中、Rは水素又はメチル基である。)
  2. 【請求項2】水系に、一般式[1]で表されるポリアミ
    ド構造単位を有する水溶性ポリマーと、水溶性のホスホ
    ン酸化合物及び/又はリン酸化合物とを添加することを
    特徴とするスケール付着防止法。 【化2】 (ただし、式中、Rは水素又はメチル基である。)
JP2001063717A 2001-03-07 2001-03-07 スケール付着防止剤及びスケール付着防止法 Pending JP2002263690A (ja)

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