JP2004210871A - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)成分4〜95質量部、(B)成分4〜95質量部、(C)成分1〜50質量部を有し、(A)+(B)+(C)が100質量部である熱可塑性樹脂組成物。(A)成分:ゲル含率20〜100質量%の共役ジエン系ゴム質重合体(a)の存在下に芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含む単量体(b1)を重合して得られる共重合樹脂又は該共重合樹脂とビニル系単量体(b2)の(共)重合体との組成物の何れかであって前記共役ジエン系ゴム質重合体(a)の含有量が3〜70質量%であるゴム変性スチレン系樹脂;(B)成分:ポリオレフィン系樹脂;(C)成分:共役ジエン系重合体の水素添加物において、ジエンの水素添加率が10〜95%である水素添加共役ジエン系重合体。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐衝撃性,耐薬品性,表面外観,ウエルド強度,剥離性に優れた熱可塑性樹脂成形品と、そのような成形品の成形材料である熱可塑性樹脂組成物とに関する。
【0002】
【従来の技術】
ABS樹脂等のゴム変性スチレン系樹脂の成形品は、耐衝撃性,成形性,機械的強度,成形品表面外観,二次加工性,特に固相状態での接着性,塗装性等に優れているため、電気・電子分野,OA・家電分野,車輌分野、サニタリー分野等で幅広く使用されている。しかしながら、ABS樹脂等のゴム変性スチレン系樹脂の成形品は、使用用途によっては、耐薬品性が劣る場合がある。
ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂の成形品は、耐薬品性,耐熱性等に優れているため、電気・電子分野,OA・家電分野,車輌分野、サニタリー分野等で幅広く使用されている。しかしながら、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂の成形品は、成形性,耐衝撃性,成形品表面外観,二次加工性が劣るという問題がある。
上述の各成形品の問題点を解決する樹脂材料として、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂のアロイ材料が考えられる。しかしながら、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂は相溶性が劣るため、これらのアロイ材料では物性の低下が著しいという問題がある。
このため、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の相溶性を改善する目的から、スチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の組成物に相溶化剤を添加してなる組成物が提案されている(特許文献1〜2,参照)。
例えば、特許文献1と特許文献2では、スチレン−非共役ジエンブロック共重合体等を相溶化剤として用いることが提案されている。また、他の方法として、エポキシ基変性ポリプロピレンと不飽和カルボン酸または無水物で変性されたスチレン系樹脂を相溶化剤として用いることが提案されている。しかしながら、これらは、成形品の剥離性改良、ウエルド強度改良等の効果が不充分であった。
【0003】
【特許文献1】
特開昭64−87645号公報
【特許文献2】
特開平1−174550号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐衝撃性,耐薬品性,成形品表面外観,ウエルド強度、剥離性に優れた成形品を得られる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記成形品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記[1]〜[7]の構成の熱可塑性樹脂組成物が提供されるとともに、下記[8]の構成の成形品が提供される。また、これにより、本発明の上記目的が達成される。
【0006】
[1] 下記の(A)成分4〜95質量部と、(B)成分4〜95質量部と、(C)成分1〜50質量部を有し、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計が100質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(A)成分:ゲル含率20〜100質量%の共役ジエン系ゴム質重合体(a)の存在下に芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含む単量体(b1)を重合して得られる共重合樹脂、又は、該共重合樹脂とビニル系単量体(b2)の(共)重合体との組成物、の何れかであって、前記共役ジエン系ゴム質重合体(a)の含有量が3〜70質量%であるゴム変性スチレン系樹脂;
(B)成分:ポリオレフィン系樹脂;
(C)成分:共役ジエン系重合体の水素添加物において、ジエンの水素添加率が10〜95%である水素添加共役ジエン系重合体。
【0007】
[2] 前記[1]の構成に於いて、
前記(A)成分に含まれる共役ジエン系ゴム質重合体(a)が、ゲル含率30〜75質量%の共役ジエン系ゴム質重合体(a1)と、ゲル含率が80〜98質量%の共役ジエン系ゴム質重合体(a2)からなり、a1/a2比が5〜50/95〜50質量%である、
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【0008】
[3] 前記[1]又は[2]の構成に於いて、
前記(C)成分に於けるジエンの水素添加率が30〜65%である、
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【0009】
[4] 前記[1]〜[3]の何れかの構成に於いて、
前記(C)成分が1分子中に少なくとも1個の芳香族ビニル化合物重合体ブロックを有し、芳香族ビニル化合物単位(C1)と共役ジエン化合物単位(C2)の比がC1/C2=50〜80/50〜20質量%である、
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【0010】
[5] 前記[1]〜[4]の何れかの構成に於いて、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、さらに下記の(D)成分1〜70質量部を配合して成ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(D)成分:水素添加共役ジエン系重合体5〜60重量%の存在下に、ビニル系単量体(d)を重合して得られるゴム強化樹脂。
【0011】
[6] 前記[1]〜[5]の何れかの構成に於いて、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、さらに下記の(E)成分1〜100質量部を配合して成ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(E)成分:芳香族ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂から選ばれた少なくとも1種。
【0012】
[7] 前記[1]〜[6]の何れかの構成に於いて、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、さらに下記の(F)成分0.1〜50質量部を配合して成ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(F)成分:変性オレフィン系重合体。
【0013】
[8] 前記[1]〜[7]の何れかの熱可塑性樹脂組成物から成ることを特徴とする成形品。
【0014】
【発明の実施の形態】
1.(A)成分:
前記(A)成分は、
(イ)ゲル含率20〜100質量%の共役ジエン系ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b)を重合して得られる共重合樹脂;
又は、
(ロ)上記共重合樹脂(イ)とビニル系単量体の(共)重合体との混合物(組成物?);
の何れかであって、上記ゴム質重合体(a)の含有量が3〜70質量%であるゴム変性スチレン系樹脂、である。
上記共役ジエン系ゴム質重合体(a)は、
(1a)共役ジエン化合物の重合体、
又は、
(2a)共役ジエン化合物と、共役ジエン化合物と共重合可能な他のビニル単量体と、の共重合体である。
【0015】
上記に於いて、共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン、3,4−ジメチルー1、3―ヘキサジエン、4,5−ジエチルー1,3−オクタジエン等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上で使用することができる。好ましいものは、ブタジエン及びイソプレンである。
また、上記に於いて、共役ジエン化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド化合物、不飽和酸、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、及びアミノ基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上で使用することができる。
【0016】
上記に於いて、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、臭素化スチレン、ヒドロキシスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上組み合わせて使用できる。好ましくはスチレンである。
また、上記に於いて、ビニルシアン化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。
また、上記に於いて、(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上併用することができる。
また、上記に於いて、マレイミド化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N―ブチルマレイミド、N―フェニルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上併用することができる。
また、上記に於いて、不飽和酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上併用することができる。
また、上記に於いて、エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上併用することができる。
また、上記に於いて、水酸基含有不飽和化合物としては、3−ヒドロキシー1−プロペン、4−ヒドロキシー1−ブテン、シスー4−ヒドロキシー2−ブテン、トランスー4−ヒドロキシー2−ブテン、3−ヒドロキシー2−メチルー1−プロペン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N―(4―ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上併用することができる。
また、上記に於いて、オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上併用することができる。
また、上記に於いて、酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上併用することができる。
また、上記に於いて、アミノ基含有不飽和化合物としては、アミノ基、置換アミノ基の少なくとも1種を有するビニル系単量体である。具体例としては、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステル系誘導体、N―ビニルジエチルアミンおよびN―アセチルビニルアミンなどのビニルアミン系誘導体類、アクリルアミン、メタクリルアミンおよびN―メチルアクリルアミンなどのアクリルアミン系誘導体類、アクリルアミドおよびN―メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系誘導体およびp―アミノスチレンなどのアミノスチレン類などが用いられる。これらは、1種単独で、または2種以上併用することができる。
【0017】
前記共役ジエン系ゴム質重合体(a)は、好ましくは、ポリブタジエン、ブタジエンースチレン共重合体、ブタジエンーアクリロニトリル共重合体、ブタジエンーアクリル共重合体等から選ばれたものが挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上併用できる。
【0018】
前記共役ジエン系ゴム質重合体(a)は、乳化重合で得られたものが好ましく使用される。
また、前記共役ジエン系ゴム質重合体(a)は、その平均粒子径が、0.07〜1.5μmの範囲のものが使用される。
また、前記共役ジエン系ゴム質重合体(a)は、そのガラス転移温度(Tg)が、目的とする熱可塑性樹脂組成物の成形品の耐衝撃性の観点から、0℃以下であることが必要であり、好ましくは−30℃以下、更に好ましくは−50℃以下である。
【0019】
前記共役ジエン系ゴム質重合体(a)は、そのゲル含率が20〜100質量%であることが、目的とする熱可塑性樹脂組成物の成形品の耐衝撃性,成形品表面外観,ウエルド強度の観点から必要である。好ましくは、30〜98質量%である。更に好ましくは、ゲル含率が30〜75質量%の範囲にある共役ジエン系ゴム質重合体(a1)と、ゲル含率が80〜98質量%の範囲にある共役ジエン系ゴム質重合体(a2)とを、a1/a2=5〜50/95〜50質量%の範囲で併用したものである。
【0020】
上記に於いて、ゲル含率は、トルエン100mlにゴム質重合体1gを投入し、室温で48時間静置した後、100メッシュ金網(重量W1)で濾過し、トルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(重量W2)し、次式により算出した値である。
「ゲル含率(%)=[{W2(g)―W1(g)}/1(g)]×100」
また、上記ゲル含率は、ゴム質重合体の製造時に於いて、分子量調整剤の種類及び量,重合時間,重合温度,重合転化率などを適宜設定することにより調整することができる。
【0021】
前記共役ジエン系ゴム質重合体(a)は、上記したゲル含率であることに加えて、さらに、トルエン膨潤度が200質量%以上のものが当該共役ジエン系ゴム質重合体(a)中に5〜50質量%含まれていることが好ましい。
トルエン膨潤度は、トルエン中にゴム質重合体(重量W3)を投入し、23℃で48時間放置した後、100メッシュ金網(重量W4)で濾過し、濾過後、金網+トルエンで膨潤したゴム質重合体の重量(重量W5)を測定し、下記式より算出した値である。
「トルエン膨潤率(%)= [{W5(g)―W4(g)―W3(g)}/W3(g)]×100」
【0022】
前記芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b1)に於いて、芳香族ビニル化合物としては、前記したものが全て使用できる。即ち、スチレン、α−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、臭素化スチレン、ヒドロキシスチレン、ジビニルベンゼン等を使用できる。これらは、1種単独で、または2種以上併用して使用できる。好ましくは、スチレン、α−メチルスチレンである。
また、前記芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b)に於いて、ビニルシアン化合物としては、前記したものが全て使用できる。即ち、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を使用できる。これらは、1種単独で、または2種以上併用して使用できる。好ましくは、アクリロニトリルである。
【0023】
前記芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b1)には、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物に加えて、さらに、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物と共重合可能な他の単量体を使用できる。該他の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物、不飽和酸、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物及びアミノ基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらの単量体は前記したものが使用できる。これらは、1種単独で、または2種以上併用して使用できる。
【0024】
前記芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b1)に於いて、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物の合計使用量は、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b1)全体に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
また、前記芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b)に於いて、芳香族ビニル化合物とビニルシアン化合物の使用比率は、好ましくは「芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物(質量比)=95/5〜50/50」、更に好ましくは「90/10〜65/35」の範囲である。
【0025】
前記芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b1)に於いて、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物以外のビニル単量体の使用量は、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b1)全体に対して、好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
【0026】
前記(A)成分が、共役ジエン系ゴム質重合体(a)の存在下に芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b1)を重合して得られる共重合樹脂と、ビニル系単量体(b2)の(共)重合体との組成物である場合に於いての、ビニル系単量体(b2)の(共)重合体について説明する。
ビニル系単量体(b2)としては、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド化合物、不飽和酸、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、及びアミノ基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上で使用することができる。
上記の化合物に於ける、例示化合物、好ましい化合物等については、前記と同様である。
ビニル系単量体(b2)として、好ましくは、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド化合物、から選ばれる少なくとも2種である。なお、マレイミド化合物の導入は、無水マレイン酸を共重合させて、後イミド化する方法でもよい。
さらに、好ましくは芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b2)である。芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物の合計使用量は、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b2)全体に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
また、前記芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b2)に於いて、芳香族ビニル化合物とビニルシアン化合物の使用比率は、好ましくは「芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物(質量比)=95/5〜50/50」、更に好ましくは「90/10〜65/35」の範囲である。
前記ビニル単量体(b2)に於いて、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物以外のビニル単量体の使用量は、前記ビニル単量体(b2)全体に対して、好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
上記の官能基含有不飽和化合物の好ましい使用量はビニル系単量体(b2)中に0〜20質量%である。官能基含有不飽和化合物の使用効果を得るためには、その使用量は0.01〜20質量%である。
【0027】
共役ジエン系ゴム質重合体(a)の(A)成分中の量は、3〜70質量%、好ましくは5〜60質量%、更に好ましくは10〜50質量%、とくに好ましくは15〜40質量%である。3質量%未満では、目的の熱可塑性樹脂組成物の成形品の耐衝撃性及びウエルド強度が劣りる。70質量%を超えると耐衝撃性が劣り、剥離し易くなる。
【0028】
前記(A)成分の共重合樹脂は、公知の重合法である乳化重合,塊状重合,溶液重合,懸濁重合,及びこれらを組み合わせた重合法で重合することができる。好ましくは乳化重合である。乳化重合では、重合開始剤,連鎖移動剤,乳化剤,水を使用するのであるが、重合開始剤,連鎖移動剤,乳化剤としては、公知のものを全て使用することができる。
共役ジエン系ゴム質重合体(a)の全量の存在下に、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含むビニル単量体(b)を一括添加して重合してもよく、分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、これらを組合わせた方法で重合してもよい。さらに、共役ジエン系ゴム質重合体(a)の全量又は一部を重合途中で添加して重合してもよい。
【0029】
上記に於いて、重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーポキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t―ブチルパーオキシラウレート、t―ブチルパーオキシモノカーボネート等が挙げられる。
また、上記に於いて、連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、n―ドデシルメルカプタン、t―ドデシルマルカプタン、n―ヘキシルメルカプタン、テトラエチルチウラムスルフィド、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコール等が挙げられる。
また、上記に於いて、乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、高級脂肪族カルボン酸塩、ロシン酸塩、リン酸塩等のアニオン系界面活性剤が挙げられ、さらに、公知のノニオン系界面活性剤も使用できる。
【0030】
前記乳化重合では、通常、凝固剤により凝固して得られる粉末を、水洗後、乾燥することにより、ゴム変性スチレン系樹脂の粉末が得られる。上記凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機塩、あるいは硫酸、塩酸、酢酸等の酸を用いることが出来る。特に好ましくは、硫酸である。凝固後に、リン酸等の酸性水溶液で洗浄することが好ましい。
【0031】
前記溶液重合では、溶剤として、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶媒を用いる。例えば、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、ジクロルメチレン、四塩化炭素等のハロゲン炭化水素、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。前記溶液重合の重合温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは85〜130℃、特に好ましくは90〜120℃の範囲である。
また、前記溶液重合では、重合開始剤を使用せずに熱重合してもよく、重合開始剤を用いて重合してもよい。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が好ましく用いられる。
また、前記溶液重合では、連鎖移動剤として、例えば、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー等を用いることができる。
【0032】
前記塊状重合では、上記の溶液重合に関して記載した重合開始剤,連鎖移動剤等を全て使用することができる。
【0033】
前記(A)成分の共重合樹脂のグラフト率は、好ましくは20〜300質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%である。このグラフト率(%)は、次式により求める。
「グラフト率(%)={(T−S)/S}×100」
上記式中、Tはメチルエチルケトン20mlに共重合樹脂1gを投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは、共重合樹脂1gに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。
また、前記(A)成分のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.2dl/g、更に好ましくは0.2〜1dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
また、前記(A)成分に最終的に残留する単量体量は、好ましくは10000ppm以下、更に好ましくは5000ppm以下である。
【0034】
前記(A)成分のビニル系単量体の(共)重合体の製造方法としては、乳化重合,溶液重合,塊状重合,懸濁重合等が挙げられ、前記した方法等で製造することができる。好ましくは溶液重合、塊状重合である。
【0035】
前記(A)成分が、共重合樹脂と、ビニル系単量体の(共)重合体との組成物である場合に於いて、両者の組成割合は、共役ジエン系ゴム質重合体(a)の含有量が前記の範囲に入るように選択される。
上記(共)重合体の配合は、上記共重合樹脂に配合して使用してもよく、また(B)(C)成分を混合するときに配合してもよい。即ち、(共)重合体の配合は、特に限定するものでない。
【0036】
前記(A)成分は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部中、4〜95質量部、好ましくは5〜80質量部、更に好ましくは15〜70質量部、特に好ましくは20〜62質量部である。4質量部未満では、目的の熱可塑性樹脂の成形品の耐衝撃性,成形品表面外観が劣り、成形品が剥離しやすくなる。また、95質量部を超えると耐薬品性が劣る。
【0037】
2.(B)成分:
前記(B)成分のポリオレフィン系樹脂は、炭素数2〜10のα−オレフィンの少なくとも1種からなる単量体の重合体である。このポリオレフィン系樹脂としては、X線回折により室温で結晶化度を示すものが好ましく、より好ましくは結晶化度が20%以上であり、40℃以上の融点を有するものである。また、このオレフィン系樹脂は、常温において成形用樹脂として充分な分子量が必要である。例えば、プロピレンが主成分である場合、JIS K6758に準拠して測定したメルトフローレートが、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜100g/10分に相当する分子量である。
【0038】
上記ポリオレフィン系樹脂の単量体であるα−オレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、3,3−ジメチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルヘキセン−1、5−メチルヘキセン−1、アリルシクロペンタン、アリルベンゼン、3−シクロヘキシルブテン−1、ビニルシクロヘキサン、2−ビニルビシクロ(2.2.1)へプタン、ヘプテン−1またはオクテン−1等が挙げられる。これらα−オレフィンの1種または2種以上を重合成分として用いることができる。
【0039】
上記α−オレフィンは、好ましくはエチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1等である。特に好ましくは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1である。
【0040】
また、他に、4−メチル−1、4−ヘキサジエン、5−メチル−1、4−ヘキサジエン、7−メチル−1、6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエンを重合成分の一部として使用することもできる。
【0041】
前記(B)成分は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部中、4〜95質量部、好ましくは19〜94質量部、更に好ましくは29〜94質量部、特に好ましくは38〜78質量部である。4質量部未満では、目的の熱可塑性樹脂の成形品の耐薬品性が劣る。また、95質量部を超えると、目的の熱可塑性樹脂の成形品の耐衝撃性、成形品表面外観が劣り、成形品が剥離しやすくなる。
【0042】
3.(C)成分:
前記(C)成分である水素添加共役ジエン系重合体では、共役ジエン化合物として、前記したものを全て使用できる。即ち、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン、3,4−ジメチルー1、3―ヘキサジエン、4,5−ジエチルー1,3−オクタジエン等を使用できる。これらは、1種単独で、又は2種以上で使用することができる。好ましくは、ブタジエン、イソプレンである。
【0043】
前記(C)成分である水素添加共役ジエン系重合体では、ジエン部分の水素添加率は10〜95%、好ましくは20〜70%、更に好ましくは30〜65%である。
【0044】
前記(C)成分である水素添加共役ジエン系重合体は、好ましくは、芳香族ビニル化合物単位(C1)0〜90質量%と、共役ジエン化合物単位(C2)10〜100質量%とから成る共役ジエン系重合体を水素添加したものである。好ましいC1/C2比は、10〜90/90〜10質量%、更に好ましくは30〜90/70〜10質量%、特に好ましくは50〜80/50〜20質量%の範囲である。ジエン部分の水添率が10%未満の領域と95%を超えた領域では、前記(A)成分と前記(B)成分の分散性を向上させる効果が無くなるため、目的の熱可塑性樹脂の成形品の耐衝撃性,耐薬品性,成形品表面外観,ウエルド強度,剥離性が改善されない。
【0045】
前記(C)成分である水素添加共役ジエン系重合体としては、芳香族ビニル化合物が共重合されていることが好ましく、1分子中に少なくとも1個の芳香族ビニル化合物重合体ブロックを有することが、本発明の目的を達成する上で特に好ましい。また、芳香族ビニル化合物の共重合量は、(C)成分の50〜80質量%であることが特に好ましい。
【0046】
上記に於いて、芳香族ビニル化合物としては、前記例示したものを全て使用できる。即ち、スチレン、α―メチルスチレン、ο―メチルスチレン、p―メチルスチレン、ビニルトルエン、臭素化スチレン、ヒドロキシスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニルを使用できる。これらは、1種単独で、又は2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、スチレンが好ましい。
【0047】
前記(C)成分に関して、水素添加前の共役ジエン系重合体は、前記例示した共役ジエン化合物(ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン、3,4−ジメチルー1、3―ヘキサジエン、4,5−ジエチルー1,3−オクタジエン等の1種又は2種以上)の単独(共)重合体であってもよく、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物のランダム共重合体、又はブロック共重合体、又はそれらの混合物であってもよい。水添共役ジエン系重合体が種類の異なる共役ジエン系重合体の混合物である場合は、水素添加前に混合し、その後に水素添加したものでもよく、また、水素添加後に混合したものでもよい。
【0048】
前記(C)成分に於いて、共役ジエン系重合体のジエン部分のミクロ構造である1,2−、3,4−等のビニル結合含有量は、好ましくは10〜80%の範囲である。目的の熱可塑性樹脂組成物の成形品の耐衝撃性を特に重視する場合、20〜80%が好ましく、更に好ましくは30〜60%の範囲である。
【0049】
前記(C)成分に於いて、共役ジエン系重合体の数平均分子量は、好ましくは5000〜1000000、更に好ましくは10000〜300000、特に好ましくは20000〜200000である。
【0050】
前記(C)成分の構造としては下記(1)〜(14)を例示できる。即ち、前記(C)成分は下記(1)〜(14)を骨格とし、更に下記(1)〜(14)の基本骨格を繰り返し有する共重合体等である。また、それらをカップリングして得られる共役ジエン系重合体であってもよい。
以下で、A〜Cは、下記の通りである。
A:芳香族ビニル化合物重合体,
B:ジエン重合体,
A/B:芳香族ビニル化合物/ジエン化合物のランダム共重合体,
C:ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体であり、かつ芳香族ビニル化合物が漸増するテーパーブロック.
(1)A−B
(2)A−B−A
(3)A−B−C
(4)A−B1−B2(B1のビニル結合は好ましくは20%以上、B2のビニル結合は好ましくは20%未満)
(5)B
(6)A/B
(7)A−A/B
(8)A−A/B−C
(9)A−A/B−A
(10)B2−B1−B2(B1のビニル結合は好ましくは20%以上、B2のビニル結合は好ましくは20%未満)
(11)C−B
(12)C−B−C
(13)C−A/B−C
(14)C−A−B
【0051】
前記(C)成分の製造方法は特に限定されるものでは無く、公知の方法を採用できる。例えば、特公昭36−19286号公報に記載されている有機リチウム触媒を用いたリビングアニオン重合の技術を用いて不活性溶媒中で芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を重合することで、(ブロック共)重合体を製造することができる。有機リチウム触媒としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなどのモノリチウム化合物等がある。共役ジエン化合物のビニル結合量の調節は、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジアゾビシクロ(2,2,2)オクタン等のアミン類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、チオエーテル類、ホスフィン類ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
【0052】
上記で得た重合体を公知の方法で水素添加反応することにより、また、公知の方法で水素添加率を調整することにより、目的の重合体を得ることができる。具体的な方法としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公昭63−5401号公報、特願昭63−285774号、特願昭63−127400号に示されている方法がある。
【0053】
前記(C)成分は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部中、1〜50質量部、好ましくは1〜40質量部、更に好ましくは1〜30質量部、特に好ましくは2〜20質量部である。1質量部未満では、目的の熱可塑性樹脂の成形品の耐衝撃性,耐薬品性,成形品表面外観,ウエルド強度が劣る。また、50質量部を超えると、目的の熱可塑性樹脂の成形品の耐薬品性、成形品表面外観が劣る。
【0054】
4.(D)成分:
前記(D)成分は、水素添加共役ジエン系重合体5〜60重量%の存在下に、ビニル系単量体(d)を重合して得られるゴム強化樹脂である。上記水素添加共役ジエン系重合体としては、前記(C)成分の項で述べたものが全て使用できる。その水添率は、好ましくは30〜100%、更に好ましくは40〜100%である。これらは、前記(C)成分の項で述べた製造方法で得ることができる。
【0055】
ビニル系単量体(d)としては、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド化合物、不飽和酸、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、及びアミノ基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上で使用することができる。
上記の各化合物における、具体的化合物の例示、好ましい化合物等については前記と同様である。
【0056】
単量体(d)として、好ましくは、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド化合物、から選ばれる少なくとも2種である。なお、マレイミド化合物の導入は、無水マレイン酸を共重合させて、後イミド化する方法でもよい。
更に好ましくは芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル系単量体である。
【0057】
ビニル単量体(d)の中の各化合物の使用量は、化合物の使用効果を得るために、好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上である。
上記の官能基含有不飽和化合物の好ましい使用量はビニル系単量体(d)中に0〜20質量%である。官能基含有不飽和化合物の使用効果を得るためには、その使用量は0.01〜20質量%である。
【0058】
前記(D)成分は、公知の重合法である、溶液重合,塊状重合,懸濁重合,乳化重合により、水素添加共役ジエン系重合体存在下に、ビニル系単量体をグラフト重合して得ることが出来る。好ましい重合法は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合であり、特に好ましくは溶液重合である。
【0059】
前記溶液重合では、溶剤として、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶媒を用いる。例えば、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、ジクロルメチレン、四塩化炭素等のハロゲン炭化水素、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。前記溶液重合の重合温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは85〜130℃、特に好ましくは90〜120℃の範囲である。
また、前記溶液重合では、重合開始剤を使用せずに熱重合してもよく、重合開始剤を用いて重合してもよい。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が好ましく用いられる。
また、連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン類等を用いることができる。
【0060】
前記(D)成分のグラフト率は、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%、特に好ましくは30〜60質量%である。このグラフト率(%)は、前記の方法により求める。
また、前記(D)成分のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.2dl/g、更に好ましくは0.2〜1dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
また、前記(D)成分に最終的に残留する単量体量は、好ましくは10000ppm以下、更に好ましくは5000ppm以下である。
【0061】
前記(D)成分は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、1〜70質量部、好ましくは5〜50質量部、更に好ましくは5〜40質量部、特に好ましくは5〜30質量部である。1質量部未満では、目的の熱可塑性樹脂の成形品の耐衝撃性,ウエルド強度を向上させる効果が劣る。また、70質量部を超えると、目的の熱可塑性樹脂の成形品の耐薬品性が低下する傾向がある。
【0062】
5.(E)成分:
前記(E)成分は、芳香族ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、から選ばれた少なくとも1種である。
【0063】
5−1.芳香族ポリカーボネート樹脂:
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、種々のヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの界面重縮合によって得られるもの、又はジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネート等のカーボネート化合物とのエステル交換反応(溶融重縮合)によって得られるもの等、公知の重合法によって得られるものが全て使用できる。目的の熱可塑性樹脂組成物の成形品のウエルド強度の観点からは、溶融重合法で得られたものが好ましい。
【0064】
また、芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるジヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホン、ヒドロキノン、レゾルシン等が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。特に好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)である。上記芳香族ポリカーボネートは、上記原料より得られた各種ポリカーボネートを1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0065】
また、上記に於いて、芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、好ましくは13000〜32000、更に好ましくは、17000〜31000、特に好ましくは18000〜30000である。また、粘度平均分子量の異なる芳香族ポリカーボネートを併用することもできる。特に、粘度平均分子量13000〜19000(E1)のものと、20000〜32000(E2)のものを、「(E1)/(E2)=10/90〜50/50(質量%)」の割合で併用すると、耐衝撃性と流動性のバランスに優れるものが得られる。
なお、芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、塩化メチレンを溶媒として、20℃、濃度〔0.7g/100ml(塩化メチレン)〕で測定した比粘度(ηsp)を次式に挿入して算出することができる。
「粘度平均分子量=([η]×8130)1.205 」
ここで、[η]=〔(ηsp×1.12+1)1/2−1〕/0.56C(Cは濃度を示す)である。
【0066】
上記芳香族ポリカーボネート樹脂において、界面重縮合で得られたものは、各種塩素化合物を含む場合がある。この塩素化合物は、目的の熱可塑性樹脂組成物の熱安定性に悪影響する場合があるため、芳香族ポリカーボネート樹脂の塩素化合物含有量は、塩素原子として300ppm以下であることが好ましく、更に好ましく、100ppm以下である。
【0067】
5−2.熱可塑性ポリエステル樹脂:
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸またはそのエステルもしくはエステル形成誘導体とジオール成分とを公知の方法により重縮合させて得られたもの等が挙げられる。
上記に於いて、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等が挙げられる。これらのエステル形成誘導体も、上記熱可塑性ポリエステル樹脂の成分として用いることができる。また、p−ヒドロキシ安息香酸も単独で、またはジオール成分、ジカルボン酸成分と併用して使用することもできる。
上記のジオール成分としては、2〜6の炭素数を有するポリメチレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール)、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、ヒドロキノン及びこれらのエステル形成誘導体等が挙げられる。
上記のジカルボン酸成分、上記のジオール成分等は、1種単独で、または2種以上併用して使用することができる。
【0068】
熱可塑性ポリエステル樹脂は、好ましくはポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等であり、更に好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートである。
【0069】
熱可塑性ポリエステル樹脂の極限粘度は特に規定されず、公知のものが全て使用できる。
ポリエチレンテレフタレートとしては、テトラクロルエタン/フェノールの等量混合溶媒中、25℃で測定した極限粘度[η](単位dl/g)が、好ましくは0.5〜2dl/g、更に好ましくは0.5〜1.5dl/gの範囲のものである。
ポリブチレンテレフタレートとしては、O−クロロフェノールを溶媒として、25℃で測定した極限粘度[η](単位dl/g)が、0.4〜2.0の範囲のものが好ましく使用できる。
また、リサイクル品、例えば、ポリエチレンテレフタレートのボトル粉砕品等を使用することができる。
【0070】
5−3.ポリアミド樹脂:
ポリアミド樹脂としては、式 H2N―(CH2)X―NH2(式中、Xは3〜12の整数である。)で表される線状ジアミンと式 HOO―(CH2)Y―COOH(式中、Yは2〜12の整数である。)で表される線状ジカルボン酸との縮合によって製造されたもの、若しくはラクタムの開環重合によって製造されたものを使用することができる。
【0071】
ポリアミド樹脂の好ましい例としては、ナイロン6、ナイロン6、6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン4,6、ナイロン3,4、ナイロン6,9、ナイロン12、ナイロン1,1、ナイロン4等が挙げられる。また、ナイロン6/6,10、ナイロン6/6,12、ナイロン6/4,6、ナイロン6/12、ナイロン6/6,6、ナイロン6/6,6,10、ナイロン6/4,6/6,6、ナイロン6/6,6/6,12、ナイロン6/4,6/10、ナイロン6/4,6/12等の共重合ポリアミド類が挙げられる。さらに、ナイロン6/6,T(T:テレフタル酸成分)、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸とメタキシリレンジアミンまたは脂環族ジアミンとにより得られる半芳香族ポリアミド樹脂、メタキシリレンジアミンと上記線状ジカルボン酸とにより得られるポリアミド樹脂、ポリエステルアミド樹脂、ポリエーテルアミド樹脂およびポリエステルエーテルアミド樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上併用して使用することができる。
好ましくは、ナイロン6、ナイロン6,6である。
【0072】
また、ポリアミド樹脂としては、相対粘度(JIS K6810に準拠し、硫酸法にて測定)が、好ましくは1.8〜7.0の範囲、更に好ましくは1.8〜5.0の範囲、特に好ましくは、2.0〜4.0の範囲である。
【0073】
前記(E)成分は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、1〜100質量部、好ましくは5〜80質量部、更に好ましくは5〜60質量部、特に好ましくは10〜50質量部である。1質量部未満では、目的の熱可塑性樹脂の成形品の耐衝撃性,ウエルド強度を向上させる効果が得られない。また、100質量部を超えると、目的の熱可塑性樹脂の成形品の耐衝撃性,ウエルド強度が劣り、更に剥離し易くなり好ましくない。
【0074】
前記(E)成分について、公知の相溶化剤を使用することができる。
例えば、前記(E)成分として芳香族ポリカーボネート樹脂を用いる場合、前記(A)成分の芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含む単量体(b)としてスチレンーアクリロニトリル共重合体を用い、アクリロニトリル含有量が10〜27質量%に範囲にあるもの、及び前記(A)成分中に前記エポキシ基含有不飽和化合物,不飽和酸,酸無水物基含有不飽和化合物が共重合されたもの等を相溶化剤として用いことができる。
また、前記(E)成分として熱可塑性ポリエステル樹脂を用いる場合、前記芳香族ポリカーボネート、及び前記(A)成分中に、前記エポキシ基含有不飽和化合物,不飽和酸,酸無水物基含有不飽和化合物,水酸基含有不飽和化合物等が共重合されたもの等を相溶化剤として用いることができる。
また、前記(E)成分とてポリアミド樹脂を用いる場合、前記(A)成分が、前記不飽和酸,酸無水物基含有不飽和化合物,水酸基含有不飽和化合物を共重合されたものを相溶化剤として用いることができる。
【0075】
6.(F)成分:
前記(F)成分は、変性オレフィン系重合体である。変性オレフィン重合体としては、変性オレフィンワックス、変性オレフィン重合体である。変性とは、特定の官能基を有することを意味する。特定の官能基としては、カルボン酸、酸無水物、エポキシ基、水酸基、オキサゾリン基等が使用できる。好ましくはカルボン酸基、酸無水物基である。また、オレフィンとして、好ましくはエチレン、プロピレンの重合体である。変性方法としては、公知の方法が全て使用できる。例えば、オレフィンワックス、オレフィン重合体を、酸化反応でカルボン酸変性する方法、前記官能基含有不飽和化合物をラジカル発生剤下又は非存在下に溶融混練し付加し変性する方法、エチレン,プロピレン等と前記官能基含有不飽和化合物を共重合する方法、高分子量体のポリエチレン,ポリプロピレン等を熱分解させて不飽和基を生成させて不飽和基に前記官能基含有不飽和化合物を付加させる方法等が挙げられる。
【0076】
上記に於いて、カルボン酸及び/又は酸無水物変性ポリオレフィンワックスとしては、酸価5〜80mgKOH/gの範囲が好ましく、更に好ましくは10〜70mgKOH/gである。数平均分子量としては、700〜5000のものが好ましく、更に好ましくは800〜3000である。
また、上記に於いて、カルボン酸及び/又は酸無水物変性ポリオレフィン重合体としては、酸価1〜70mgKOH/gの範囲が好ましく、更に好ましくは5〜60mgKOH/gであり、質量平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算値)は、10000〜50000が好ましい。
【0077】
前記(F)成分は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、0.1〜50質量部、好ましくは0.1〜30質量部、更に好ましくは0.2〜20質量部、特に好ましくは0.3〜10質量部である。0.1質量部未満では、目的の熱可塑性樹脂の成形品の耐衝撃性,ウエルド強度を向上させる効果が得られない。また、50質量部を超えると、目的の熱可塑性樹脂の成形品の耐衝撃性,ウエルド強度が劣り、更に剥離し易くなり好ましくない。
【0078】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、公知の難燃剤を配合することができる。難燃剤としては、樹脂に添加した際に充分な難燃性を付与できる化合物であればよい。例えば、臭素化エポキシ重合体、ハロゲン化ポリオレフィン等の有機ハロゲン系難燃剤、ポリホスフェート等有機リン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム/多価アルコール化合物、赤リン、ホスファゼン化合物、ポリオルガノシロキサン/有機金属化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0079】
上記に於いて、難燃剤は、(A)+(B)+(C)成分の合計100質量部に対して、5〜150質量部の範囲で使用することが好ましい。
【0080】
また、難燃性を向上させる目的から、ホウ酸アルカリ土類金属塩、錫酸亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、チオカルバミン酸亜鉛系化合物、メルカプトベンゾチアゾール亜鉛系化合物、サリチルアルデヒド亜鉛系化合物等を、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0.5〜50質量部の範囲で配合することができる。
【0081】
また、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を、燃焼時のドリッピング(溶融液垂れ)防止剤として配合することができる。
PTFEとしては、質量平均分子量が、50万以上、好ましくは100万以上である。また、平均粒子径が、90〜600μm、好ましくは100〜500μm、更に好ましくは120〜400μmである。他の成分と混練された後、PTFEは、平均粒子径が0.1〜100μmの粒状物またはそれよりも微細な繊維状物として分散される。PTFEの比重は、1.5〜2,5、好ましくは2.1〜2.3である。また、嵩密度は、0.5〜1g/ml、好ましくは0.6〜0.9g/mlである。
PTFEは、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲で通常用いられる。
【0082】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、前記(B)成分の結晶造核剤の公知のものを配合することができる。前記(B)成分の結晶造核剤としては、例えば、有機カルボン酸の金属塩、ベンズアルデヒドおよびその環置換体と多価アルコールの縮合物、高分子核剤等が挙げられる。
【0083】
上記に於いて、有機カルボン酸の金属塩としては、例えば、安息香酸のナトリウム塩やカリウム塩、モンタン酸のナトリウム塩やカリウム塩、カルシウム塩、パラ−t−ブチル安息香酸のアルミニウム塩等が挙げられる。
また、上記に於いて、ベンズアルデヒド及びその環置換体と多価アルコールの縮合物としては、例えば、ジベンジルデンソルビトール、ジベンジリデンキシリトール、ジベンジルデンパセイトール、モノベンジルデンソルビトール、ジベンジリデンマンニトール、1,3−ジ(アルキルベンジリデン)ソルビトール、1,3−ジ(アルキルベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(アルキルベンジリデン)ソルビトール、1,3−ジ(アルコキシベンジリデン)ソルビトール、2,4−ジ(アルコキシベンジリデン)ソルビトール、アルキル置換ベンジリデンソルビトール等が挙げられる。
また、上記に於いて、高分子核剤としては、例えば、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン等のビニルシクロアルカン、p−t−ブチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン、3−メチルブテン−1、4,4−ジメチルペンテン−1、4,4−ジメチルヘキセン−1、3,3−ジメチル−1、3−メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1、3,5,5−トリメチルヘキセン−1、インデン、トリアルキルアリルシラン、ビニルシクロアルケン等の重合体が挙げられる。
これらの結晶造核剤は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、通常0.001〜1質量部の範囲で使用される。
【0084】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、プレス成形、シート押出成形、真空成形、異形押出成形、発泡成形等の公知の成形法により、成形品を得る事ができる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる各種成形品は、塗装、メッキ等の二次加工を施して使用することもできる。
【0085】
上記の成形法で得られた成形品としては、下記のものが例示される。
各種ギア、各種ケース、センサ、LEPランプ、コネクタ、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサ、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリン配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モータ、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダ、パラボラアンテナ、コンピュータ関連部品などに代表される電気・電子部品。
VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤ、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、などに代表される家庭・事務電気製品部品。
オフィスコンピュータ関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具関連部品。
便座、タンクカバー、ケーシング、台所回りの部品、洗面台関連部品、浴室関連パーツ等のサニタリー関連部品。
窓枠、家具、床材、壁材等の住宅、住設関連部品。
顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機器関連部品。
オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクタ、ICレギュレータ、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気各種バルブ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディ、キャブレタースペーサ、排気ガスセンサ、冷却水センサ、油温センサ、ブレーキパットウェアーセンサ、スロットルポジションセンサ、クランクシャフトポジションセンサ、エアーフローメータ、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモータ用ブラッシュホルダ、ウオーターポンプインペラ、タービンベイン、ワイパーモータ関係部品、ディストリビュータ、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイパーハーネス、ウインドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクタ、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローラ、ランプソケット、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルタ、点火装置ケース。
パソコン、プリンタ、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フロッピーディスクドライブなどの記憶装置のハウジング、シャーシ、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビンなどの電気・電子機器部品、自動車部品、特にバンパー、フェンダー等の外板部材、その他各種用途。
【0086】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、他の無機充填剤、例えば、ガラス繊維、ガラス繊維のミルドファイバ、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素繊維のミルドファイバ、酸化亜鉛ウイスカ、マイカ、タルク、ワラストナイト、ホウ酸アルミニウムウイスカ、チタン酸カリウムウイスカ等を配合することができる。
また、ポリエステル繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド繊維等の有機繊維を配合することもできる。
【0087】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、耐候(光)剤、耐電防止剤、酸化防止剤、滑剤、シリコーンオイル、可塑剤、着色剤、染料、抗菌剤等を適宜配合することができる。
さらに、他の重合体であるAES、ASA、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、POM、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、LCP、エチレン−酢酸ビニル共重合体、等を適宜配合して使用することができる。
【0088】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサ、ニーダ、ロール、フィーダールーダ等により、各成分を混練することにより調製することができる。好ましいくは、押出機又はバンバリーミキサを用いる方法である。
さらに、各々の成分を混練するに際しては、それらの成分を一括して混練してもよく、押出機、バンバリーミキサで多段、分割配合し混練してもよい。
なお、バンバリーミキサ、ニーダ等で混練したあと、押出機によりペレット化することもできる。
【0089】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら制約されるものではない。なお、実施例中、部及び%は、特に断らない限り質量基準である。
【0090】
<1>評価方法:
実施例中の各種評価は、以下のように測定したものである。
(1)ポリブタジエン系ゴム質重合体のゲル含有率:
前記したため省略する。
(2)ポリブタジエン系ゴム質重合体の平均粒径:
前記(A)成分の形成に用いるポリブタジエン重合体粒子の平均粒径は、ラテックス中の分散粒子を光散乱法で測定した。測定機器は、大塚電子社製、LPA−3100型を使用し、70回積算でキュムラント法を用いた。
なお、前記(A)成分中の分散粒子の粒径は、ラテックス粒径とほぼ同じであることを電子顕微鏡で確認した。
(3)ポリブタジエン系ゴム質重合体存在下にビニル単量体を重合して得た重合体のグラフト率:
前記したため省略する。
(4)水素添加共役ジエン系重合体(C)の結合スチレン量、ビニル結合量、分子量、分子量分布、及び水素添加率:
(4−1)結合スチレン量:
水素添加前の重合体で測定。
699cm― 1のフェニル基の吸収に基づいた赤外法による検量線から求めた。
(4−2)分子量:
水素添加前の重合体で測定。
ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)から求めた。
(4−3)ビニル結合量:
水素添加前の重合体で測定。
赤外法(モレロ法)によって求めた。
(4−4)水素添加率:
水素添加後の重合体で測定。
四塩化エチレンを溶媒として用い、15%濃度で測定した100MHzの1H−NMRスペクトルの不飽和結合部のスペクトル減少から算出した。
(5)耐衝撃性:
ISO試験法179に準拠してノッチ付きシャルピー衝撃強さ(KJ/m2)を測定した。
(6)耐薬品性:
1/4楕円に成形品(縦165mm×横40mm×厚さ2mm)を固定して薬品として白灯油を塗布し、48時間後の成形品表面のクラックの発生を観察して、臨界歪み(%)を測定した。
(7)成形品表面外観:
平板(縦150mm×横150mm×厚み3mm)を成形し、成形品表面外観を下記評価基準に準じて目視評価した。
○;外観良好。
△;やや劣る。
×;劣る。
(8)ウエルド強度:
12.5×125×1.2mm肉厚の成形品であって、長手方向の片端にゲートを有する成形品(ウエルド無し成形品)と、長手方向の両端にゲートを有する成形品(成形品中央にウエルドを有する成形品;ウエルド有り成形品)とを得た。
ウエルド無し成形品の曲げ強さ(FS1)と、ウエルド有り成形品の曲げ強さ(FS2)を測定し、下記式よりウエルド強度の保持率を算出した。
「ウエルド強度の保持率(%)=(FS2/FS1)×100」
(9)剥離性:
成形品表面外観を評価した成形品に、1/2インチ径のタップを、3.6mm/secの速度(油圧で速度を調整)で打撃を与え、成形品を破壊した。破壊面を目視観察して、下記評価基準で剥離性を評価した。
○;剥離が無いか、又は非常に少ない。
×;剥離が激しい。
【0091】
<2>熱可塑性樹脂組成物の成分:
以下ように熱可塑性樹脂組成物の各成分を製造した。
(1)成分(A):
(1−1)製造例A−1:
共重合樹脂。
攪拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(平均粒径;2700Å、ゲル含率;95%)40部(固形分)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、攪拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部及びブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始し、1時間重合させた後、更にイオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、t−ドデシルメルカプタン0.05部及びクメンハイドロパーオキシド0.01を3時間かけて連続的に添加し、更に、1時間重合させて、2,2´−メチレン−ビス(4−エチレン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結した。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗したのち、乾燥して共重合樹脂A1を得た。この共重合樹脂A1のグラフト率は72%、メチルエチルケトン(以下MEKと記す)可溶部の極限粘度[η]は0.47dl/gであった。
【0092】
(1−2)製造例A−2:
共重合樹脂。
製造例A−1で用いたポリブタジエンラテックスに代えて、ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス(スチレン含量25%、平均粒子径6500Å、ゲル含率62%)40部(固形分)を用いた以外は、製造例A−1の条件で重合し、グラフト率64%、MEK可溶分の極限粘度[η]は0.45dl/gの共重合樹脂A2を得た。
【0093】
(1−3)製造例A−3:
共重合樹脂。
製造例A−1で用いたポリブタジエンラテックス(平均粒径;2700Å、ゲル含率;95%)40部(固形分)に代えて、ポリブタジエンラテックス(平均粒径3000Å、ゲル含率13%)40部(固形分)を用いた以外は、製造例A−1の条件で重合し、グラフト率68%、MEK可溶分の極限粘度[η]は0.45dl/gの共重合樹脂A3を得た。
【0094】
(1−4)製造例A−4:
共重合樹脂。
製造例A−1で用いたポリブタジエンラテックス(平均粒径;2700Å、ゲル含率;95%)40部(固形分)に代えて、ポリブタジエンラテックス(平均粒径;2700Å、ゲル含率;95%)32部(固形分)と、ブタジエンースチレン共重合体ラテックス(スチレン含量25%、平均粒子径6500Å、ゲル含率62%)8部(固形分)とを用いた以外は、製造例A−1の条件で重合し、グラフト率69%、MEK可溶分の極限粘度[η]は0.47dl/gの共重合樹脂A4を得た。
【0095】
(1−5)製造例A−5:
共重合樹脂。
製造例A−1に於いて、ポリブタジエンラテックスの使用量を80部にし、スチレンとアクリロニトリルの合計使用量を20部とした以外は、製造例A−1の比率で分割し、重合開始剤、連鎖移動剤を変量し、グラフト率13%、MEK可溶分の極限粘度[η]0.45dl/gの共重合樹脂A5を得た。
【0096】
(1−6)製造例A−6:
共重合樹脂。
製造例A−1に於いて、ポリブタジエンラテックスの使用量を1部にし、スチレンとアクリロニトリルの合計使用量を99部とした以外は、製造例A−1の比率で分割し、重合開始剤、連鎖移動剤を変量し、グラフト率92%、MEK可溶分の極限粘度[η]0.47dl/gの共重合樹脂A6を得た。
【0097】
(1−7)製造例A−7:
共重合樹脂。
製造例A−1に於いて、1段目成分のアクリロニトリルを4部に、グリシジルメタクリレートを1部に変更し、2段目のアクリロニトリルを8部に、グリシジルメタクリレートを2部に変更し、また、乳化剤であるロジン酸カリウムをドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムに変え、凝固剤を塩化カルシウムに変えた以外は、製造例A−1の条件で重合し、グラフト率70%、MEK可溶部の[η]0.48の共重合樹脂A7を得た。
【0098】
(1−8)製造例A−8:
共重合樹脂。
製造例A−1において、1段目成分のアクリロニトリルを4部に、メタクリル酸を1部に変更し、2段目のアクリロニトリルを8部に、メタクリル酸を2部に変更し、また、乳化剤であるロジン酸カリウムをドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムに変え、凝固剤を塩化カルシウムに変えた以外は、製造例A−1の条件で重合し、グラフト率69%、MEK可溶部の[η]0.48の共重合樹脂A8を得た。
【0099】
(1−9)製造例A−9:
(共)重合体。
内容積30リットルのリボン翼を備えたジャケット付き重合反応容器を2基連結し、窒素置換したあと、1基目の反応容器にスチレン76部、アクリロニトリル24部、トルエン20部を連続的に添加した。分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン0.1部及びトルエン5部の溶液、及び重合開始剤として1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カ−ボニトリル)0.1部及びトルエン5部の溶液を連続的に供給した。1基目の重合温度は、110℃にコントロールし平均滞留時間2.0時間、重合転化率60%であった。得られた重合体溶液は、1基目の反応容器の外部に設けられたポンプにより、スチレン、アクリロニトリル、トルエン、分子量調節剤、重合開始剤の供給量と同量を連続的に取り出し2基目の反応容器に供給した。
2基目の反応容器の重合温度は、130℃、平均滞留時間2.0時間、重合転化率80%であった。2基目の反応容器で得られた共重合体溶液は2軸3段ベント付き押出機を用いて、直接未反応単量体と溶剤を脱揮し、[η]0.48のアクリロニトリル−スチレン共重合体A9を得た。
【0100】
(2)成分(B):
本発明の(B)成分として下記のものを用いた。
(2−1)B1:
ブロックタイプポリプロピレン「ノバテックBC06C」(日本ポリケム社製)。
(2−2)B2:
ホモタイプポリプロピレン「ノバテックFY6C」(日本ポリケム社製)。
【0101】
(3)成分(C):
本発明の(C)成分として下記のものを用いた。
(3−1)製造例C−1:
水素添加共役ジエン系重合体。
攪拌機及びジャケット付きの内容量50リットルのオートクレーブを乾燥、窒素置換し、スチレン33部を含むシクロヘキサン溶液を投入した。次いでn−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンを添加し、70℃で1時間重合した後、ブタジエン34部を含むシクロヘキサン溶液を加えて1時間、さらに33重量部を含むシクロヘキサン溶液を1時間重合した。得られたブロック共重合体溶液の一部をサンプリングし、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体100部に対して0.3部添加し、その後溶媒を加熱除去した。このものの、スチレン含量は66%、ポリブタジエン部分の1,2ビニル結合量は50%、数平均分子量は56000であった。残りのブロック共重合体溶液を用いて、ジ−p−トリス(1−シクロペンタジエニル)チタニウムとn−ブチルリチウムを水添触媒として、温度70℃で水素添加を行い、一部の重合体溶液をサンプリングし重合体C1を得た。このものの水素添加率は、5%であった。
【0102】
(3−2)製造例C−2:
水素添加共役ジエン共重合体。
製造例C−1で重合体C1をサンプリングした後、更に水素添加を継続し、水素添加から30分後に、重合体C2をサンプリングした。このものの水素添加率は、42%であった。
【0103】
(3−3)製造例C−3:
水素添加共役ジエン共重合体。
製造例C−2で重合体C2をサンプリングしたあと、更に水素添加を継続し、水素添加開始から40分後に、重合体C3をサンプリングした。このものの水素添加率は、61%であった。
【0104】
(3−4)製造例C−4:
水素添加共役ジエン重合体。
製造例C−3で重合体C3をサンプリングしたあと、更に水素添加を水素添加率が99%になるまで継続し、重合体C4を得た。
【0105】
(3−5)製造例C−5:
水素添加共役ジエン重合体。
製造例C−1の条件で、スチレンの投入量とn−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンの添加量を変えて、下記重合体C5を得た。
数平均分子量66000、スチレン含量52%、1,2ビニル結合量60%、水素添加率58%。
【0106】
(3−6)製造例C−6:
水素添加共役ジエン重合体。
製造例C−1の条件で、スチレンの投入量とn−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンの添加量を変えて、下記重合体C6を得た。
数平均分子量74000、スチレン含量64%、1,2ビニル結合量60%、水素添加率60%
【0107】
(4)成分(D):
本発明の(D)成分として下記のものを用いた。
(4−1)製造例D−1:
ゴム強化樹脂(水素添加共役ジエン系重合体含有スチレン系樹脂。)
リボン型攪拌翼を備えた、内容積20リットルのステンレス製オートクレーブに予め均一溶液にした重合体C3を30部、スチレン53.2部、アクリロニトリル16.8部、トルエン120部、t−ドデシルメルカプタン0.12部を仕込み、攪拌しながら昇温し、50℃にてベンゾイルパーオキサイド0.5部、ジクミルパーオキサイド0.1部を添加し、さらに昇温し、80℃に到達した後は、80℃一定に制御しながら重合反応を行わせた。反応開始後6時間目から1時間かけて120℃まで昇温し、さらに2時間反応をおこなって終了した。重合添加率は98%であった。
100℃まで冷却後、2,2−メチレンビス−4−メチル−6−t−ブチルフェノール0.2部を添加したのち、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物を留去し細かく粉砕した後、ベント付き押出機(220℃、760mmHg)にて、実質的に全揮発分を留去するとともに、ペレット化し、重合体D1を得た。重合体D1のグラフト率は49%、MEK可溶分の[η]は0.45であった。
【0108】
(4−2)製造例D−2:
ゴム強化樹脂(水素添加共役ジエン系重合体含有スチレン系樹脂。)
製造例D−1でゴム質重合体をC4に変え、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド及びt−ドデシルメルカプタン量を変えた以外は、製造例D−1で重合し、グラフト率45%、MEK可溶分の[η]は0.47の重合体D2を得た。
【0109】
(5)成分(E):
本発明の(E)成分として下記のものを用いた。
(5−1)E1:
ポリカーボネート樹脂「ノバレック7022PJ」(粘度平均分子量22000)(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)。
(5−2)E2:
ポリブチレンテレフタレート「ジュラネックスXD477」(極限粘度 1.2dl/g)(ポリプラスチックス社製)。
(5−3)E3:
ナイロン6「MC110」(相対粘度3.1)(鐘紡合繊社製)。
【0110】
(6)成分(F):
本発明の(F)成分として下記のものを用いた。
(6−1)F1:
酸化ポリエチレンワックス「Lico Wax PED136」(クラリアントジャパン社製)。
(6−2)F2:
無水マレイン酸変性ポリプロピレン「ユーメックス1003」(三洋化成工業社製)。
【0111】
<3>実施例1〜19,比較例1〜9:
表1記載の配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(池貝鉄工株式会社製,形式PCM45,シリンダー設定温度は表2に記載)を用いて、溶融混練し、ペレット化した。
ついで、得られたペレットを充分に乾燥し、射出成形機(シリンダー設定温度は表2に記載)により評価用試験片を作製した。
この試験片を用い、前記の方法で、衝撃性、耐薬品性、成形品表面外観、ウエルド強度、及び成形品の剥離性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
比較例1は、(A)成分の使用量が発明の範囲外で少なく、(B)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性、成形品表面外観、及び剥離性が劣る。
比較例2は、(A)成分の使用量が発明の範囲外で多く、(B)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例れあり、耐薬品性が劣る。
比較例3は、(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、耐薬品性、成形品表面外観、ウエルド強度、及び剥離性が劣る。
比較例4は、(C)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐薬品性及び成形品表面外観が劣る。
比較例5は、(A)成分で使用した、共役ジエン系ゴム質重合体のゲル含量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、成形品表面外観、及びウエルド強度が劣る。
比較例6は、(C)成分の水素添加率が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、耐薬品性、成形品表面外観、ウエルド強度、及び剥離性が劣る。
比較例7は、(C)成分の水素添加率が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性、耐薬品性、成形品表面外観、ウエルド強度、及び剥離性が劣る。
比較例8は、(A)成分中の共役ジエン系ゴム質重合体量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性及び剥離性が劣る。
比較例9は、(A)成分中の共役ジエン系ゴム質重合体量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性及びウエルド強度が劣る。
【0115】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物では、(A)成分(ゴム変性スチレン系樹脂)、(B)成分(ポリオレフィン系樹脂)、(C)成分(水素添加共役ジエン系重合体)として、それぞれ特定範囲のものを使用しているため、耐衝撃性、耐薬品性、成形品表面外観、ウエルド強度に優れた成形品を得ることができる。
Claims (8)
- 下記の(A)成分4〜95質量部と、(B)成分4〜95質量部と、(C)成分1〜50質量部を有し、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計が100質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(A)成分:ゲル含率20〜100質量%の共役ジエン系ゴム質重合体(a)の存在下に芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物を含む単量体(b1)を重合して得られる共重合樹脂、又は、該共重合樹脂とビニル系単量体(b2)の(共)重合体との組成物、の何れかであって、前記共役ジエン系ゴム質重合体(a)の含有量が3〜70質量%であるゴム変性スチレン系樹脂;
(B)成分:ポリオレフィン系樹脂;
(C)成分:共役ジエン系重合体の水素添加物において、ジエンの水素添加率が10〜95%である水素添加共役ジエン系重合体。 - 請求項1に於いて、
前記(A)成分に含まれる共役ジエン系ゴム質重合体(a)が、ゲル含率30〜75質量%の共役ジエン系ゴム質重合体(a1)と、ゲル含率が80〜98質量%の共役ジエン系ゴム質重合体(a2)からなり、a1/a2比が5〜50/95〜50質量%である、
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項1又は請求項2に於いて、
前記(C)成分に於けるジエンの水素添加率が30〜65%である、
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項1〜請求項3の何れかに於いて、
前記(C)成分が1分子中に少なくとも1個の芳香族ビニル化合物重合体ブロックを有し、芳香族ビニル化合物単位(C1)と共役ジエン化合物単位(C2)の比がC1/C2=50〜80/50〜20質量%である、
ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項1〜請求項4の何れかに於いて、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、さらに下記の(D)成分1〜70質量部を配合して成ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(D)成分:水素添加共役ジエン系重合体5〜60重量%の存在下に、ビニル系単量体(d)を重合して得られるゴム強化樹脂。 - 請求項1〜請求項5の何れかに於いて、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、さらに下記の(E)成分1〜100質量部を配合して成ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(E)成分:芳香族ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂から選ばれた少なくとも1種。 - 請求項1〜請求項6の何れかに於いて、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、さらに下記の(F)成分0.1〜50質量部を配合して成ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(F)成分:変性オレフィン系重合体。 - 請求項1〜請求項7の何れかの熱可塑性樹脂組成物から成ることを特徴とする成形品。
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