JP2004210709A - アルキルベンゼンスルホン化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高純度で異臭気が無く、液状において高い透明度を有するアルキルベンゼンスルホン化物を、高収率で容易に製造する製造方法を提供する。
【解決手段】(A)アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比が1/99〜50/50となるように、アルキルベンゼンにハロゲン化炭化水素溶媒を混合し、三酸化硫黄をアルキルベンゼンに対し、モル比0.8〜1.2で接触させて溶液中のアルキルベンゼンをスルホン化する工程と、(B)得られたアルキルベンゼンスルホン酸を中和して静置又は中和せずに水を加えて静置し、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を水相に、また副生物スルホンと未反応アルキルベンゼンをハロゲン化炭化水素溶媒相に移行させ、該水相とハロゲン化炭化水素溶媒相とを分離する工程と、(C)水相を濃縮或いは乾燥して濃縮液或いは粉体とする工程とを、少なくとも含むアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比が1/99〜50/50となるように、アルキルベンゼンにハロゲン化炭化水素溶媒を混合し、三酸化硫黄をアルキルベンゼンに対し、モル比0.8〜1.2で接触させて溶液中のアルキルベンゼンをスルホン化する工程と、(B)得られたアルキルベンゼンスルホン酸を中和して静置又は中和せずに水を加えて静置し、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を水相に、また副生物スルホンと未反応アルキルベンゼンをハロゲン化炭化水素溶媒相に移行させ、該水相とハロゲン化炭化水素溶媒相とを分離する工程と、(C)水相を濃縮或いは乾燥して濃縮液或いは粉体とする工程とを、少なくとも含むアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種用途に有用な界面活性剤、合成洗剤の可溶化剤、特に、台所及び住居用洗剤等のハイドロトロープ剤などに好適に用いるアルキルベンゼンスルホン化物(酸の形態及び塩の形態の双方を含む、以下、同様)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、アルキルベンゼンスルホン化物の比較的長鎖長、例えば、ドデシル基のアルキルベンゼンスルホン酸塩は、有用な界面活性剤として各種用途に使用されている。また、比較的短鎖長、例えば、イソプロピル基のアルキルベンゼンのスルホン酸塩は、合成洗剤の可溶化剤、特に台所及び住居用洗剤等のハイドロトロープ剤として利用するのに好適であることが知られている。また、トルエンスルホン酸は、エステル化反応の触媒等に広く利用されている。
【0003】
このように有用なアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法としては、例えば、アルキルベンゼンに発煙硫酸或いは過剰の(約4倍モル)濃硫酸を添加してバッチ反応方式で製造する方法が知られている。
この方法の場合、製品を濃硫酸或いは芒硝から単離するには、反応後、得られたアルキルベンゼンスルホン酸の結晶を濾過で集め、さらに洗浄、晶析などの煩雑な精製が必要であるなどの問題があった。
【0004】
このため、アルキルベンゼンスルホン化物のより簡便な製造方法が研究されている。例えば、アルキルベンゼンを、不活性ガスで希釈した三酸化硫黄によりスルホン化し、アルキルベンゼンスルホン酸を得る方法がある。この方法の場合も、短鎖長アルキルベンゼンの場合、蒸気圧が低いため揮発し易く、そのため大規模の回収設備が必要であり、また、揮発するアルキルベンゼンに対するモル比の設定が困難であった。また長鎖長アルキルベンゼンの場合でも、希釈ガスからの酸ミストの回収設備が必要であった。更に、この方法によるスルホン化では、スルホン抑制剤を用いても、スルホン副生量が比較的多いという問題があった。
【0005】
そこで、これらの問題点を解決するものとして、例えば、アルキルベンゼンとアルキルベンゼンスルホン酸の共存下に、アルキルベンゼンと三酸化硫黄を等モル比で連続スルホン化し、スルホン生成等の抑制をしてアルキルベンゼンスルホン酸を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、触媒を使用してスルホン化を容易にする方法(例えば、特許文献2参照)も知られている。
更に、高剪断力を有する反応装置を使用して、高剪断力を有する装置内で、アルキルベンゼンと、これとほぼ等量のスルホン化剤とを反応させてアルキルベンゼンスルホン化物を製造する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭53−63346号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】
特開平1−250342号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】
特開平2−50899号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載される方法では、疎水性スルホンの生成を完全に抑制できないため、製品に澱が発生したり、また未反応原料も若干残存することから、異臭気といった問題は避けられず、アルキルベンゼンスルホン酸の純度に課題があり、上記特許文献2に記載される方法は、触媒を用いてより穏和な条件で反応を進行させているものであるが、この方法では、反応後の触媒の分離精製作業が煩雑であるという課題があり、更に、上記特許文献3に記載される方法では、三酸化硫黄の強い酸化力のため、副生物として疎水性のスルホンが多く生成してしまい、またモル比の振れによっては未反応アルキルベンゼンが残留するため異臭気が発生するという課題があるものである。
【0008】
以上の方法の他に、アルキルベンゼンの種類を特にトルエンに限定した場合のスルホン化技術も開発されている。例えば、トルエンに対しスルホン化剤を過剰量使用する方法が知られている(例えば、特許文献4及び5参照)。
最近では、本出願人によるポリスチレンスルホン酸又はその塩の製造法として、ポリスチレンをハロゲン化炭化水素溶媒に溶解させて液状の原料とし、これを液状の無水硫酸と高速剪断撹拌条件下においてスルホン化し、ポリスチレンスルホン酸溶液を撹拌条件下苛性水で中和又は/中和しないで水添加後、静置し、水相とハロゲン化炭化水素溶媒に分離する方法を開示している(例えば、特許文献6及び7参照)。
また、本出願人は、アルキルベンゼンスルホン化物の製造方法として、液状アルキルベンゼンに液状無水硫酸を高速剪断撹拌条件下において直接接触させてスルホン化させる方法を開示している(例えば、特許文献8参照)。
【0009】
【特許文献4】
特開昭52−139042号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献5】
特開昭53−21142号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献6】
特開平8−193104号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献7】
特開2000−63429号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献8】
特開2001−240588号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0010】
しかしながら、上記特許文献4及び5に記載される方法は、硫酸を過剰量使用して、生成するトルエンスルホン酸の立体配置の選択性を向上させるものであるが、この方法では、余剰の硫酸廃液の処理に莫大なコストを必要とし、更に反応後も、濾過、洗浄、晶析と多くの煩雑な精製工程を必要とするという課題がある。
また、上記特許文献6〜8に記載される方法は、上述の従来の製造法よりも優れたものであるが、得られるアルキルベンゼンスルホン化物の更なる純度の向上、異臭気が更に少なく、かつ、更に高収率で容易に製造できるという製造方法が切望されているのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、アルキルベンゼンのスルホン化により副生するスルホン及び未反応のアルキルベンゼンを含まない、すなわち、高純度で異臭気が無く、また液状において高い透明度を有するアルキルベンゼンスルホン化物を、高収率で容易に製造できるアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法及びそれを含む洗浄剤を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題等を解決すべく鋭意検討した結果、アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比を特定の範囲となるように、アルキルベンゼンにハロゲン化炭化水素溶媒を混合し、三酸化硫黄をアルキルベンゼンに対し、特定のモル比の範囲で接触させて溶液中のアルキルベンゼンをスルホン化する工程と、得られたアルキルベンゼンスルホン酸を中和して静置し/または中和せずに水を加えて静置し、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を水相に、また副生物スルホンと未反応アルキルベンゼンをハロゲン化炭化水素溶媒相に移行させ、該水相とハロゲン化炭化水素溶媒相とを分離する工程、及び水相を濃縮或いは乾燥して濃縮液或いは粉体とする工程を少なくとも含むことにより、上記目的のアルキルベンゼンスルホン化物等が得られることを見い出し、本発明を完成させるに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)に存する。
(1) (A)アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比が1/99〜50/50となるように、アルキルベンゼンにハロゲン化炭化水素溶媒を混合し、三酸化硫黄をアルキルベンゼンに対し、モル比0.8〜1.2で接触させて溶液中のアルキルベンゼンをスルホン化する工程と、(B)得られたアルキルベンゼンスルホン酸を中和して静置又は中和せずに水を加えて静置し、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を水相に、また副生物スルホンと未反応アルキルベンゼンをハロゲン化炭化水素溶媒相に移行させ、該水相とハロゲン化炭化水素溶媒相とを分離する工程と、(C)水相を濃縮或いは乾燥して濃縮液或いは粉体とする工程とを、少なくとも含むことを特徴とするアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法。
(2) スルホン化の際に、スルホン抑制剤として、エーテル化合物及び/又はカルボニル基含有化合物を、アルキルベンゼンに対して、0.1〜20%添加する、上記(1)に記載のアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法。
(3) 上記(1)又は(2)に記載した製造方法により得られるアルキルベンゼンスルホン化物を、洗剤組成物中に0.2〜10質量%配合することを特徴とする洗剤組成物。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明のアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法は、(A)アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比が1/99〜50/50となるように、アルキルベンゼンにハロゲン化炭化水素溶媒を混合し、三酸化硫黄をアルキルベンゼンに対し、モル比0.8〜1.2で接触させて溶液中のアルキルベンゼンをスルホン化する工程と、(B)得られたアルキルベンゼンスルホン酸を中和して静置又は中和せずに水を加えて静置し、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を水相に、また副生物スルホンと未反応アルキルベンゼンをハロゲン化炭化水素溶媒相に移行させ、該水相とハロゲン化炭化水素溶媒相とを分離する工程と、(C)水相を濃縮或いは乾燥して濃縮液或いは粉体とする工程とを、少なくとも含むことを特徴とするものである。
【0014】
本発明のアルキルベンゼンをスルホン化する工程〔(A)工程〕は、アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比が1/99〜50/50となるように、アルキルベンゼンにハロゲン化炭化水素溶媒を混合し、三酸化硫黄をアルキルベンゼンに対し、モル比0.8〜1.2で接触させて溶液中のアルキルベンゼンをスルホン化する工程である。
用いるアルキルベンゼンは、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩の使用目的によって、アルキル基が直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、アルキル基の炭素数が1〜14のものが好ましい。
このアルキル基の炭素数が1〜14のアルキルベンゼンとしては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、クメン、ジイソプロピルベンゼン、n−プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ドデシルベンゼンなどを挙げることができる。これらの中でも、各種用途に有用な界面活性剤という点で、ドデシルベンゼン、オクチルベンゼン等が好ましく、また、合成洗剤の可溶化剤、特に、台所及び住居用洗剤等のハイドロトロープ剤という点で、トルエン、キシレン、クメン、ジイソプロピルベンゼン等が好ましい。
また、ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、1,2−ジクロルエタンなどのジクロルエタン類、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロルメタン、テトラクロルエタン、テトラクロルエチレンなどの一種又は二種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、反応温度による蒸気圧の影響が小さい、あるいは、溶媒回収のし易さの点で1,2−ジクロルエタン、四塩化炭素が好ましい。
【0015】
本発明の製造方法では、アルキルベンゼンとハロゲン化炭化水素溶媒との使用割合を任意とすることができるが、溶媒希釈による反応温度のコントロール性、あるいは、中和時の水の溶媒分離性やスルホン及び未反応アルキルベンゼンの溶媒抽出性の向上の点から、アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比を1/99〜50/50とすることが必要であり、好ましくは、5/95〜30/70、より好ましくは10/90〜20/80とすることが望ましい。
アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比が1/99〜50/50の範囲から外れるものであると、すなわち、1/99より溶媒の比率が多くなると、溶媒回収量が増大してコストアップとなり経済的ではないし、逆に、50/50より少ないと、反応温度コントロールが難しくなり、また、溶媒分離性や不純物の溶媒抽出性が悪化するため、好ましくない。
ここで、スルホン化に用いるスルホン化剤としては、例えば、無水硫酸(液体又は気体)、無水硫酸含有ガス、発煙硫酸、クロルスルホン酸などを用いることができるが、特に、廃硫酸及び廃塩酸等をなくす点から、無水硫酸を被スルホン化剤と同時にガス状あるいは液状で連続的に供給するのが好ましい。
これらのスルホン化剤の使用量は、芒硝又は硫酸量及び未反応アルキルベンゼンを少なくするなどの観点から、アルキルベンゼンに対し、0.8〜1.2倍モルの量が必要であり、好ましくは、0.9〜1.1倍モル、より好ましくは1.0倍モルである。このモル比が0.8倍未満であると、未反応アルキルベンゼンが多くなり、低収率となり、また、1.2倍を越えると、未反応のスルホン化剤が多くなり、硫酸あるいは芒硝分が増加して、好ましくない。
【0016】
本発明の製造方法においては、副生物スルホンを著しく抑制できることから、エーテル化合物及び/又はカルボニル基含有化合物をスルホン抑制剤として、アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の混合液に添加又は/任意の方法で導入しスルホン化することが好ましい。
用いるエーテル化合物及び/又はカルボニル基含有化合物の添加量は、液状アルキルベンゼン100質量部当たり、0.1〜20質量部が好ましく、特に好ましくは1〜10質量部である。
この添加量が0.1質量部未満であると、副生物スルホンの生成抑制効果が不十分であり、また、20質量部を越えると経済上不利益となる。
また、エーテル化合物及び/又はカルボニル基含有化合物は、アルキルベンゼンとハロゲン化炭化水素溶媒を混合した後にスルホン化剤と反応させてもよく、アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の混合液とは別個に反応装置に供給してもよい。
【0017】
前記エーテル化合物及び/又はカルボニル基含有化合物としては、種々の有機化合物を用いることができる。これらのうちエーテル化合物としては、例えば、炭素数が3〜21のアルキルエーテル、アルキルアリールエーテル、アリールエーテル、ジオキサンやフランなどが挙げられ、また、ポリアルキレングリコール、そのモノ又はジエーテル若しくはエステル、そのサルフェートなどが挙げられる。
これら中で、好ましいエーテル化合物としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジサルフェート類が挙げられる。
【0018】
また、カルボニル基含有化合物としては、例えば、炭素数が3〜21のアルキルケトン、アルキルアリールケトン、アリールケトンなどのケトン化合物、及び炭素数が2〜11の脂肪族カルボン酸、アリールカルボン酸などのカルボン酸化合物、これらのエステルなどのエステル化合物が挙げられる。なお、アルデヒド類も使用することができるが、ケトン化合物、カルボン酸化合物やエステル化合物を用いることが好ましい。
これらのうち、好ましいカルボニル基含有化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセトフェノン、アセチルアセトン、ジフェニルケトン(ベンゾフェノン)、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、安息香酸、安息香酸エステル類、イソフタル酸、無水フタル酸、酢酸、無水酢酸、酢酸エステル類、プロピオン酸、無水プロピオン酸、プロピオン酸エステル類、酪酸、無水酪酸、酪酸エステル類、吉草酸、吉草酸エステル類、シクロヘキシルカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、分子中に芳香族炭化水素基を有するカルボン酸類、ケトン類及びエステル類が特に好ましい。
【0019】
本発明において、スルホン化工程に用いる反応装置としては、攪拌機能を有し、また任意の反応温度を制御できる熱交換部を有する装置であれば、バッチ式、セミバッチ式、連続式のいずれでもよい。
特に、高速剪断及び液循環機能を有する撹拌羽根の近くに該原料及び無水硫酸を同時供給できるノズルを配置し、反応生成物の温度を一定の範囲に制御しながら装置から連続的に排出できるようにすると、特に高品質のものが製造できる。また、上記反応装置において、撹拌羽根から吐出された反応生成物/及び未反応原料を含むハロゲン化炭化水素溶液は、上記したように、連続的に排出されても良いし、又は循環して再び撹拌羽根へ返送することもできる。なお、前記循環流路及び反応温度制御のための熱交換部については、装置内部又は/及び装置外部に設けることができる。
【0020】
スルホン化反応温度は、20〜60℃が適当であり、好ましくは、30〜50℃である。温度が20℃より低すぎると、反応が進みにくくなり、また、60℃を越えて高すぎると、溶媒の飛散が問題となるばかりか、アルキルベンゼンの芳香族に分子間架橋が起きやすくなり、また色調も悪くなり好ましくない。
【0021】
本発明において、(B)工程は、上記(A)工程のスルホン化工程で得られたアルキルベンゼンスルホン酸を、中和して静置又は中和せずに水を加えて静置し、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を水相に、また副生物スルホンと未反応アルキルベンゼンをハロゲン化炭化水素溶媒相に移行させ、該水相とハロゲン化炭化水素溶媒相とを分離する工程である。
スルホン化後のアルキルベンゼンスルホン酸は、水を添加して、または、1〜30%濃度の水酸化ナトリウム水溶液、好ましくは、3〜10%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、5分〜4時間程度攪拌した後、静置或いは解乳化を行うなど強制分離することで、上層のアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩の水溶液相と下層のハロゲン化炭化水素溶媒相に分離することができる。
静置分離の場合は、任意の時間及び温度で行うことができるが、20〜60℃で5分〜4時間、好ましくは10分〜2時間とするのがよい。溶媒分離後の水相にはアルキルベンゼンスルホン酸と硫酸/又はアルキルベンゼンスルホン酸塩と芒硝が移行し、また、ハロゲン化炭化水素溶媒相にはスルホン及び未反応アルキルベンゼン等が抽出されて移行する。
なお、移行後の水相におけるアルキルベンゼンスルホン酸/又はその塩の濃度は、2〜50質量%程度、好ましくは、10〜30質量%となるようにするのがよい。この濃度が2質量%未満では、濃縮・乾燥に多大なエネルギーを要し経済的でないし、また、50質量%を越えると、ハロゲン化炭化水素溶媒と水相の分離が困難になる。
【0022】
本発明では、未中和のアルキルベンゼンスルホン酸水溶液については、これを取り出した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムやアルカリ土類金属化合物、アミンやアンモニアなどアルカリ剤を添加して、アルキルベンゼンスルホン酸の塩として得ることもできる。なお、上記した硫酸/又は芒硝等は、スルホン化物に対して、通常0.1〜15質量%存在するが、これらはそのまま含有する状態で各種用途に使用することもできるし、また、除去した状態で使用することもできる。
【0023】
本発明において、(C)工程は、上記(B)工程で分離した水相を濃縮或いは乾燥して濃縮液或いは粉体とする工程である。
上記(B)工程で得たアルキルベンゼンスルホン酸/又はその塩を含む水相の水溶液は、連続式の薄膜蒸発濃縮機やドラム式乾燥機/又は回分式の濃縮乾燥機により、濃縮/或いは乾燥粉体化することによって、スルホン及び未反応アルキルベンゼンのような不純物を含まず、異臭気もせず、また色調の著しく改善された、高純度のアルキルベンゼンスルホン酸塩を製造することができることとなる。
また、溶媒分離後のハロゲン化炭化水素溶媒相については、蒸留さらに必要な場合は精留操作により回収し、スルホン化工程において再利用することができる。具体的には、分離した溶媒相にアルカリ剤を添加してpHを4〜10、好ましくは4〜8に調整した後、蒸留によりハロゲン化炭化水素溶媒を回収する。ここで、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムやアルカリ土類金属化合物などが挙げられ、これらは水溶液として使用するのが好ましい。
pHが4未満となると、ハロゲン化炭化水素溶媒を蒸留により回収する際、酸性物質等が蒸留液に混入するため金属腐食を発生させるので好ましくない。一方、pHが10を越えて高くなると、ジクロルエタン類の分解が著しくなり好ましくない。
本発明では、このようにして回収したハロゲン化炭化水素溶媒を、該スルホン化工程に供する該アルキルベンゼンの混合液として再度使用することができる。
【0024】
このように構成される本発明の製造方法では、上記(A)工程〜(C)工程を少なくとも含むことにより、アルキルベンゼンのスルホン化により副生するスルホン及び未反応のアルキルベンゼンを含まない、すなわち、高純度で異臭気が無く、また液状において高い透明度を有し、各種用途に有用な界面活性剤、合成洗剤の可溶化剤、特に、台所及び住居用洗剤等のハイドロトロープ剤等に好適なアルキルベンゼンスルホン化物を、高収率で容易に製造することができることとなる。
【0025】
次に、本発明の洗剤組成物は、上記本発明の製造方法により得られたアルキルベンゼンスルホン化物を、洗剤中に(洗剤組成物全量)に、0.2〜10質量%配合することを特徴とするものである。
本発明の洗剤組成物は、高純度で異臭気が無く、また液状において高い透明度を有するアルキルベンゼンスルホン化物を含有するので、従来にない優れた性能を有する洗剤組成物が得られることとなる。
このアルキルベンゼンスルホン化物の含有量を、洗剤組成物全量に対して、0.2質量%〜10質量%とすることにより、上述の優れた性能を有するアルキルベンゼンスルホン化物の機能を洗剤組成物中で最大限に発揮することができ、好ましくは、0.5〜5質量%とすることが望ましい。
【0026】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳述するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0027】
〔実施例1〜9及び比較例1〜2〕
下記各製造方法により、アルキルベンゼンスルホン化物を得た。
また、下記表1に各実施例及び比較例で用いた原料(化合物名、濃度、スルホン抑制剤)、得られたアルキルベンゼンスルホン化物の製品性状〔酸又は塩、スルホン化物(%)、芒硝(%)、スルホン(%)、未反応原料(%)、色調、異臭気の有無〕、並びに、原料の回収率を示す。
【0028】
(実施例1)
トルエン/1,2−ジクロロエタンの質量比が30/70となるように、トルエンに1,2−ジクロロエタンを混合した原料を、無水硫酸とモル比が1.0となるよう高撹拌条件下に同時供給し、また反応温度が40℃となるように冷却しながら連続スルホン化し、トルエンスルホン酸のハロゲン炭化水素溶液を得た。これを5%苛性水で中和後、溶媒静置分離を行い、水相とハロゲン炭化水素溶媒相に分離した。水相は濃縮・乾燥して、トルエンスルホン酸塩粉体とした。
【0029】
(実施例2)
トルエンに対して20質量%のポリエチレングリコールを添加した以外は、上記実施例1と同様の操作を行った。
(実施例3)
キシレン/1,2−ジクロロエタンの質量比が20/80となるようにキシレンに1,2−ジクロロエタンを混合し、また反応温度を20℃で行った以外は、上記実施例1と同様の操作を行った。
(実施例4)
キシレンに対して0.1質量%のベンゾフェノンを添加した以外は、上記実施例3と同様の操作を行った。
(実施例5)
クメン/1,2−ジクロロエタンの質量比が10/90となるように、クメンに1,2−ジクロロエタンを混合し、また反応温度を30℃で行い、更に、溶媒分離後の水相を濃縮して、40質量%のクメンスルホン酸水溶液にした以外は、上記実施例1と同様の操作を行った。得られた製品性状を表1に記す。
【0030】
(実施例6)
クメンに対して3質量%の安息香酸を添加した以外は、上記実施例5と同様の操作を行った。
(実施例7)
クメン/1,2−ジクロロエタンの質量比が10/90となるように、クメンに1,2−ジクロロエタンを混合し、またクメンに対して3質量%の安息香酸を添加した原料を、無水硫酸とモル比が1.0となるように高撹拌条件下に同時供給し、また反応温度が30℃となるように冷却しながら連続スルホン化し、クメンスルホン酸のハロゲン炭化水素溶液を得た。これを同質量の水で撹拌後、溶媒静置分離を行い、水相とハロゲン炭化水素溶媒相に分離した。水相は、加熱、濃縮して70質量%濃度のクメンスルホン酸水溶液とした。
【0031】
(実施例8)
オクチルベンゼン/1,2−ジクロロエタンの質量比が50/50となるように、オクチルベンゼンに1,2−ジクロロエタンを混合した原料を、無水硫酸とモル比が1.0となるよう高撹拌条件下に同時供給し、また反応温度が60℃となるように冷却しながら連続スルホン化し、オクチルベンゼンスルホン酸のハロゲン化炭化水素溶液を得た。これを5%苛性水で中和後、溶媒静置分離を行い、水相とハロゲン炭化水素溶媒相に分離した。水相は濃縮・乾燥して、オクチルベンゼンスルホン酸塩粉体とした。
(実施例9)
実施例8のオクチルベンゼンをドデシルベンゼンにした以外は、上記実施例8と同様の操作を行った。
【0032】
(比較例1)
クメンと無水硫酸をモル比1.0となるように高撹拌条件下に同時供給し、また反応温度が30℃となるように冷却しながら連続スルホン化し、液状のクメンスルホン酸を得た。これを20%苛性水で中和し、約40%濃度のクメンスルホン酸塩水溶液を得た。
(比較例2)
クメンに対して3質量%の安息香酸を添加した以外は、比較例1と同様の操作を行った。
【0033】
【表1】
【0034】
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜9は、本発明範囲外となる比較例1〜2に較べて、高純度で異臭気が無く、また液状において高い透明度を有し、高収率で容易に製造することができるアルキルベンゼンスルホン化物であることが判明した。
【0035】
〔実施例10〜18及び比較例3〜4:洗剤組成物の調製〕
本発明方法で得られるアルキルベンゼンスルホン化物は、上述の如く、優れた性能を有するものであり、下記に上記実施例1〜9及び比較例1〜2の製造法で得られたアルキルベンゼンスルホン化物(トルエンスルホン化物、クメンスルホン化物、及びキシレンスルホン化物等)を用いて、下記表2に示す配合組成により、各台所用の洗剤組成物(洗浄剤)を得た。
得られた各洗剤組成物について、下記方法により、異臭気及び外観・色調の評価を行った。
これらの結果を下記表2に示す。
【0036】
〔異臭気及び外観・色調の評価方法〕
得られた各洗剤組成物50mlを100ml容器に収容し、50℃で1カ月間保存した後、官能評価により、下記各評価基準により、評価を行った。
(異臭気の評価基準)
○:アルキルベンゼン特有の異臭気がしない
△:アルキルベンゼン特有の異臭気が若干する
×:アルキルベンゼン特有の異臭気がする
(外観・色調の評価基準)
○:外観・色調が極めて良好である
△:外観・色調が良好である
×:外観・色調が劣っている
【0037】
【表2】
【0038】
上記表2の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例10〜18の洗剤組成物は、本発明範囲外となる比較例3〜4の洗剤組成物に較べて、異臭気もなく、外観・色調に優れたものとなることが判明した。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、アルキルベンゼンのスルホン化において発生する、スルホン及び未反応アルキルベンゼンの不純物を容易に分離除去でき、また色調の良いアルキルベンゼンスルホン化物を、高収率で製造できるアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法が提供される。
また、本発明方法により製造されたアルキルベンゼンスルホン化物は、品質が格段に優れているから、例えば、界面活性剤、合成洗剤の可溶化剤、台所及び住居用洗剤等のハイドロトロープ剤として特に有用なものとなる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種用途に有用な界面活性剤、合成洗剤の可溶化剤、特に、台所及び住居用洗剤等のハイドロトロープ剤などに好適に用いるアルキルベンゼンスルホン化物(酸の形態及び塩の形態の双方を含む、以下、同様)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、アルキルベンゼンスルホン化物の比較的長鎖長、例えば、ドデシル基のアルキルベンゼンスルホン酸塩は、有用な界面活性剤として各種用途に使用されている。また、比較的短鎖長、例えば、イソプロピル基のアルキルベンゼンのスルホン酸塩は、合成洗剤の可溶化剤、特に台所及び住居用洗剤等のハイドロトロープ剤として利用するのに好適であることが知られている。また、トルエンスルホン酸は、エステル化反応の触媒等に広く利用されている。
【0003】
このように有用なアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法としては、例えば、アルキルベンゼンに発煙硫酸或いは過剰の(約4倍モル)濃硫酸を添加してバッチ反応方式で製造する方法が知られている。
この方法の場合、製品を濃硫酸或いは芒硝から単離するには、反応後、得られたアルキルベンゼンスルホン酸の結晶を濾過で集め、さらに洗浄、晶析などの煩雑な精製が必要であるなどの問題があった。
【0004】
このため、アルキルベンゼンスルホン化物のより簡便な製造方法が研究されている。例えば、アルキルベンゼンを、不活性ガスで希釈した三酸化硫黄によりスルホン化し、アルキルベンゼンスルホン酸を得る方法がある。この方法の場合も、短鎖長アルキルベンゼンの場合、蒸気圧が低いため揮発し易く、そのため大規模の回収設備が必要であり、また、揮発するアルキルベンゼンに対するモル比の設定が困難であった。また長鎖長アルキルベンゼンの場合でも、希釈ガスからの酸ミストの回収設備が必要であった。更に、この方法によるスルホン化では、スルホン抑制剤を用いても、スルホン副生量が比較的多いという問題があった。
【0005】
そこで、これらの問題点を解決するものとして、例えば、アルキルベンゼンとアルキルベンゼンスルホン酸の共存下に、アルキルベンゼンと三酸化硫黄を等モル比で連続スルホン化し、スルホン生成等の抑制をしてアルキルベンゼンスルホン酸を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、触媒を使用してスルホン化を容易にする方法(例えば、特許文献2参照)も知られている。
更に、高剪断力を有する反応装置を使用して、高剪断力を有する装置内で、アルキルベンゼンと、これとほぼ等量のスルホン化剤とを反応させてアルキルベンゼンスルホン化物を製造する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭53−63346号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】
特開平1−250342号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】
特開平2−50899号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載される方法では、疎水性スルホンの生成を完全に抑制できないため、製品に澱が発生したり、また未反応原料も若干残存することから、異臭気といった問題は避けられず、アルキルベンゼンスルホン酸の純度に課題があり、上記特許文献2に記載される方法は、触媒を用いてより穏和な条件で反応を進行させているものであるが、この方法では、反応後の触媒の分離精製作業が煩雑であるという課題があり、更に、上記特許文献3に記載される方法では、三酸化硫黄の強い酸化力のため、副生物として疎水性のスルホンが多く生成してしまい、またモル比の振れによっては未反応アルキルベンゼンが残留するため異臭気が発生するという課題があるものである。
【0008】
以上の方法の他に、アルキルベンゼンの種類を特にトルエンに限定した場合のスルホン化技術も開発されている。例えば、トルエンに対しスルホン化剤を過剰量使用する方法が知られている(例えば、特許文献4及び5参照)。
最近では、本出願人によるポリスチレンスルホン酸又はその塩の製造法として、ポリスチレンをハロゲン化炭化水素溶媒に溶解させて液状の原料とし、これを液状の無水硫酸と高速剪断撹拌条件下においてスルホン化し、ポリスチレンスルホン酸溶液を撹拌条件下苛性水で中和又は/中和しないで水添加後、静置し、水相とハロゲン化炭化水素溶媒に分離する方法を開示している(例えば、特許文献6及び7参照)。
また、本出願人は、アルキルベンゼンスルホン化物の製造方法として、液状アルキルベンゼンに液状無水硫酸を高速剪断撹拌条件下において直接接触させてスルホン化させる方法を開示している(例えば、特許文献8参照)。
【0009】
【特許文献4】
特開昭52−139042号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献5】
特開昭53−21142号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献6】
特開平8−193104号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献7】
特開2000−63429号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献8】
特開2001−240588号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0010】
しかしながら、上記特許文献4及び5に記載される方法は、硫酸を過剰量使用して、生成するトルエンスルホン酸の立体配置の選択性を向上させるものであるが、この方法では、余剰の硫酸廃液の処理に莫大なコストを必要とし、更に反応後も、濾過、洗浄、晶析と多くの煩雑な精製工程を必要とするという課題がある。
また、上記特許文献6〜8に記載される方法は、上述の従来の製造法よりも優れたものであるが、得られるアルキルベンゼンスルホン化物の更なる純度の向上、異臭気が更に少なく、かつ、更に高収率で容易に製造できるという製造方法が切望されているのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、アルキルベンゼンのスルホン化により副生するスルホン及び未反応のアルキルベンゼンを含まない、すなわち、高純度で異臭気が無く、また液状において高い透明度を有するアルキルベンゼンスルホン化物を、高収率で容易に製造できるアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法及びそれを含む洗浄剤を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題等を解決すべく鋭意検討した結果、アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比を特定の範囲となるように、アルキルベンゼンにハロゲン化炭化水素溶媒を混合し、三酸化硫黄をアルキルベンゼンに対し、特定のモル比の範囲で接触させて溶液中のアルキルベンゼンをスルホン化する工程と、得られたアルキルベンゼンスルホン酸を中和して静置し/または中和せずに水を加えて静置し、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を水相に、また副生物スルホンと未反応アルキルベンゼンをハロゲン化炭化水素溶媒相に移行させ、該水相とハロゲン化炭化水素溶媒相とを分離する工程、及び水相を濃縮或いは乾燥して濃縮液或いは粉体とする工程を少なくとも含むことにより、上記目的のアルキルベンゼンスルホン化物等が得られることを見い出し、本発明を完成させるに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)に存する。
(1) (A)アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比が1/99〜50/50となるように、アルキルベンゼンにハロゲン化炭化水素溶媒を混合し、三酸化硫黄をアルキルベンゼンに対し、モル比0.8〜1.2で接触させて溶液中のアルキルベンゼンをスルホン化する工程と、(B)得られたアルキルベンゼンスルホン酸を中和して静置又は中和せずに水を加えて静置し、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を水相に、また副生物スルホンと未反応アルキルベンゼンをハロゲン化炭化水素溶媒相に移行させ、該水相とハロゲン化炭化水素溶媒相とを分離する工程と、(C)水相を濃縮或いは乾燥して濃縮液或いは粉体とする工程とを、少なくとも含むことを特徴とするアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法。
(2) スルホン化の際に、スルホン抑制剤として、エーテル化合物及び/又はカルボニル基含有化合物を、アルキルベンゼンに対して、0.1〜20%添加する、上記(1)に記載のアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法。
(3) 上記(1)又は(2)に記載した製造方法により得られるアルキルベンゼンスルホン化物を、洗剤組成物中に0.2〜10質量%配合することを特徴とする洗剤組成物。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明のアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法は、(A)アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比が1/99〜50/50となるように、アルキルベンゼンにハロゲン化炭化水素溶媒を混合し、三酸化硫黄をアルキルベンゼンに対し、モル比0.8〜1.2で接触させて溶液中のアルキルベンゼンをスルホン化する工程と、(B)得られたアルキルベンゼンスルホン酸を中和して静置又は中和せずに水を加えて静置し、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を水相に、また副生物スルホンと未反応アルキルベンゼンをハロゲン化炭化水素溶媒相に移行させ、該水相とハロゲン化炭化水素溶媒相とを分離する工程と、(C)水相を濃縮或いは乾燥して濃縮液或いは粉体とする工程とを、少なくとも含むことを特徴とするものである。
【0014】
本発明のアルキルベンゼンをスルホン化する工程〔(A)工程〕は、アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比が1/99〜50/50となるように、アルキルベンゼンにハロゲン化炭化水素溶媒を混合し、三酸化硫黄をアルキルベンゼンに対し、モル比0.8〜1.2で接触させて溶液中のアルキルベンゼンをスルホン化する工程である。
用いるアルキルベンゼンは、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩の使用目的によって、アルキル基が直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、アルキル基の炭素数が1〜14のものが好ましい。
このアルキル基の炭素数が1〜14のアルキルベンゼンとしては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、クメン、ジイソプロピルベンゼン、n−プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ドデシルベンゼンなどを挙げることができる。これらの中でも、各種用途に有用な界面活性剤という点で、ドデシルベンゼン、オクチルベンゼン等が好ましく、また、合成洗剤の可溶化剤、特に、台所及び住居用洗剤等のハイドロトロープ剤という点で、トルエン、キシレン、クメン、ジイソプロピルベンゼン等が好ましい。
また、ハロゲン化炭化水素溶媒としては、例えば、1,2−ジクロルエタンなどのジクロルエタン類、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロルメタン、テトラクロルエタン、テトラクロルエチレンなどの一種又は二種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、反応温度による蒸気圧の影響が小さい、あるいは、溶媒回収のし易さの点で1,2−ジクロルエタン、四塩化炭素が好ましい。
【0015】
本発明の製造方法では、アルキルベンゼンとハロゲン化炭化水素溶媒との使用割合を任意とすることができるが、溶媒希釈による反応温度のコントロール性、あるいは、中和時の水の溶媒分離性やスルホン及び未反応アルキルベンゼンの溶媒抽出性の向上の点から、アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比を1/99〜50/50とすることが必要であり、好ましくは、5/95〜30/70、より好ましくは10/90〜20/80とすることが望ましい。
アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比が1/99〜50/50の範囲から外れるものであると、すなわち、1/99より溶媒の比率が多くなると、溶媒回収量が増大してコストアップとなり経済的ではないし、逆に、50/50より少ないと、反応温度コントロールが難しくなり、また、溶媒分離性や不純物の溶媒抽出性が悪化するため、好ましくない。
ここで、スルホン化に用いるスルホン化剤としては、例えば、無水硫酸(液体又は気体)、無水硫酸含有ガス、発煙硫酸、クロルスルホン酸などを用いることができるが、特に、廃硫酸及び廃塩酸等をなくす点から、無水硫酸を被スルホン化剤と同時にガス状あるいは液状で連続的に供給するのが好ましい。
これらのスルホン化剤の使用量は、芒硝又は硫酸量及び未反応アルキルベンゼンを少なくするなどの観点から、アルキルベンゼンに対し、0.8〜1.2倍モルの量が必要であり、好ましくは、0.9〜1.1倍モル、より好ましくは1.0倍モルである。このモル比が0.8倍未満であると、未反応アルキルベンゼンが多くなり、低収率となり、また、1.2倍を越えると、未反応のスルホン化剤が多くなり、硫酸あるいは芒硝分が増加して、好ましくない。
【0016】
本発明の製造方法においては、副生物スルホンを著しく抑制できることから、エーテル化合物及び/又はカルボニル基含有化合物をスルホン抑制剤として、アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の混合液に添加又は/任意の方法で導入しスルホン化することが好ましい。
用いるエーテル化合物及び/又はカルボニル基含有化合物の添加量は、液状アルキルベンゼン100質量部当たり、0.1〜20質量部が好ましく、特に好ましくは1〜10質量部である。
この添加量が0.1質量部未満であると、副生物スルホンの生成抑制効果が不十分であり、また、20質量部を越えると経済上不利益となる。
また、エーテル化合物及び/又はカルボニル基含有化合物は、アルキルベンゼンとハロゲン化炭化水素溶媒を混合した後にスルホン化剤と反応させてもよく、アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の混合液とは別個に反応装置に供給してもよい。
【0017】
前記エーテル化合物及び/又はカルボニル基含有化合物としては、種々の有機化合物を用いることができる。これらのうちエーテル化合物としては、例えば、炭素数が3〜21のアルキルエーテル、アルキルアリールエーテル、アリールエーテル、ジオキサンやフランなどが挙げられ、また、ポリアルキレングリコール、そのモノ又はジエーテル若しくはエステル、そのサルフェートなどが挙げられる。
これら中で、好ましいエーテル化合物としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジサルフェート類が挙げられる。
【0018】
また、カルボニル基含有化合物としては、例えば、炭素数が3〜21のアルキルケトン、アルキルアリールケトン、アリールケトンなどのケトン化合物、及び炭素数が2〜11の脂肪族カルボン酸、アリールカルボン酸などのカルボン酸化合物、これらのエステルなどのエステル化合物が挙げられる。なお、アルデヒド類も使用することができるが、ケトン化合物、カルボン酸化合物やエステル化合物を用いることが好ましい。
これらのうち、好ましいカルボニル基含有化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセトフェノン、アセチルアセトン、ジフェニルケトン(ベンゾフェノン)、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、安息香酸、安息香酸エステル類、イソフタル酸、無水フタル酸、酢酸、無水酢酸、酢酸エステル類、プロピオン酸、無水プロピオン酸、プロピオン酸エステル類、酪酸、無水酪酸、酪酸エステル類、吉草酸、吉草酸エステル類、シクロヘキシルカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、分子中に芳香族炭化水素基を有するカルボン酸類、ケトン類及びエステル類が特に好ましい。
【0019】
本発明において、スルホン化工程に用いる反応装置としては、攪拌機能を有し、また任意の反応温度を制御できる熱交換部を有する装置であれば、バッチ式、セミバッチ式、連続式のいずれでもよい。
特に、高速剪断及び液循環機能を有する撹拌羽根の近くに該原料及び無水硫酸を同時供給できるノズルを配置し、反応生成物の温度を一定の範囲に制御しながら装置から連続的に排出できるようにすると、特に高品質のものが製造できる。また、上記反応装置において、撹拌羽根から吐出された反応生成物/及び未反応原料を含むハロゲン化炭化水素溶液は、上記したように、連続的に排出されても良いし、又は循環して再び撹拌羽根へ返送することもできる。なお、前記循環流路及び反応温度制御のための熱交換部については、装置内部又は/及び装置外部に設けることができる。
【0020】
スルホン化反応温度は、20〜60℃が適当であり、好ましくは、30〜50℃である。温度が20℃より低すぎると、反応が進みにくくなり、また、60℃を越えて高すぎると、溶媒の飛散が問題となるばかりか、アルキルベンゼンの芳香族に分子間架橋が起きやすくなり、また色調も悪くなり好ましくない。
【0021】
本発明において、(B)工程は、上記(A)工程のスルホン化工程で得られたアルキルベンゼンスルホン酸を、中和して静置又は中和せずに水を加えて静置し、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を水相に、また副生物スルホンと未反応アルキルベンゼンをハロゲン化炭化水素溶媒相に移行させ、該水相とハロゲン化炭化水素溶媒相とを分離する工程である。
スルホン化後のアルキルベンゼンスルホン酸は、水を添加して、または、1〜30%濃度の水酸化ナトリウム水溶液、好ましくは、3〜10%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、5分〜4時間程度攪拌した後、静置或いは解乳化を行うなど強制分離することで、上層のアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩の水溶液相と下層のハロゲン化炭化水素溶媒相に分離することができる。
静置分離の場合は、任意の時間及び温度で行うことができるが、20〜60℃で5分〜4時間、好ましくは10分〜2時間とするのがよい。溶媒分離後の水相にはアルキルベンゼンスルホン酸と硫酸/又はアルキルベンゼンスルホン酸塩と芒硝が移行し、また、ハロゲン化炭化水素溶媒相にはスルホン及び未反応アルキルベンゼン等が抽出されて移行する。
なお、移行後の水相におけるアルキルベンゼンスルホン酸/又はその塩の濃度は、2〜50質量%程度、好ましくは、10〜30質量%となるようにするのがよい。この濃度が2質量%未満では、濃縮・乾燥に多大なエネルギーを要し経済的でないし、また、50質量%を越えると、ハロゲン化炭化水素溶媒と水相の分離が困難になる。
【0022】
本発明では、未中和のアルキルベンゼンスルホン酸水溶液については、これを取り出した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムやアルカリ土類金属化合物、アミンやアンモニアなどアルカリ剤を添加して、アルキルベンゼンスルホン酸の塩として得ることもできる。なお、上記した硫酸/又は芒硝等は、スルホン化物に対して、通常0.1〜15質量%存在するが、これらはそのまま含有する状態で各種用途に使用することもできるし、また、除去した状態で使用することもできる。
【0023】
本発明において、(C)工程は、上記(B)工程で分離した水相を濃縮或いは乾燥して濃縮液或いは粉体とする工程である。
上記(B)工程で得たアルキルベンゼンスルホン酸/又はその塩を含む水相の水溶液は、連続式の薄膜蒸発濃縮機やドラム式乾燥機/又は回分式の濃縮乾燥機により、濃縮/或いは乾燥粉体化することによって、スルホン及び未反応アルキルベンゼンのような不純物を含まず、異臭気もせず、また色調の著しく改善された、高純度のアルキルベンゼンスルホン酸塩を製造することができることとなる。
また、溶媒分離後のハロゲン化炭化水素溶媒相については、蒸留さらに必要な場合は精留操作により回収し、スルホン化工程において再利用することができる。具体的には、分離した溶媒相にアルカリ剤を添加してpHを4〜10、好ましくは4〜8に調整した後、蒸留によりハロゲン化炭化水素溶媒を回収する。ここで、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムやアルカリ土類金属化合物などが挙げられ、これらは水溶液として使用するのが好ましい。
pHが4未満となると、ハロゲン化炭化水素溶媒を蒸留により回収する際、酸性物質等が蒸留液に混入するため金属腐食を発生させるので好ましくない。一方、pHが10を越えて高くなると、ジクロルエタン類の分解が著しくなり好ましくない。
本発明では、このようにして回収したハロゲン化炭化水素溶媒を、該スルホン化工程に供する該アルキルベンゼンの混合液として再度使用することができる。
【0024】
このように構成される本発明の製造方法では、上記(A)工程〜(C)工程を少なくとも含むことにより、アルキルベンゼンのスルホン化により副生するスルホン及び未反応のアルキルベンゼンを含まない、すなわち、高純度で異臭気が無く、また液状において高い透明度を有し、各種用途に有用な界面活性剤、合成洗剤の可溶化剤、特に、台所及び住居用洗剤等のハイドロトロープ剤等に好適なアルキルベンゼンスルホン化物を、高収率で容易に製造することができることとなる。
【0025】
次に、本発明の洗剤組成物は、上記本発明の製造方法により得られたアルキルベンゼンスルホン化物を、洗剤中に(洗剤組成物全量)に、0.2〜10質量%配合することを特徴とするものである。
本発明の洗剤組成物は、高純度で異臭気が無く、また液状において高い透明度を有するアルキルベンゼンスルホン化物を含有するので、従来にない優れた性能を有する洗剤組成物が得られることとなる。
このアルキルベンゼンスルホン化物の含有量を、洗剤組成物全量に対して、0.2質量%〜10質量%とすることにより、上述の優れた性能を有するアルキルベンゼンスルホン化物の機能を洗剤組成物中で最大限に発揮することができ、好ましくは、0.5〜5質量%とすることが望ましい。
【0026】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳述するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0027】
〔実施例1〜9及び比較例1〜2〕
下記各製造方法により、アルキルベンゼンスルホン化物を得た。
また、下記表1に各実施例及び比較例で用いた原料(化合物名、濃度、スルホン抑制剤)、得られたアルキルベンゼンスルホン化物の製品性状〔酸又は塩、スルホン化物(%)、芒硝(%)、スルホン(%)、未反応原料(%)、色調、異臭気の有無〕、並びに、原料の回収率を示す。
【0028】
(実施例1)
トルエン/1,2−ジクロロエタンの質量比が30/70となるように、トルエンに1,2−ジクロロエタンを混合した原料を、無水硫酸とモル比が1.0となるよう高撹拌条件下に同時供給し、また反応温度が40℃となるように冷却しながら連続スルホン化し、トルエンスルホン酸のハロゲン炭化水素溶液を得た。これを5%苛性水で中和後、溶媒静置分離を行い、水相とハロゲン炭化水素溶媒相に分離した。水相は濃縮・乾燥して、トルエンスルホン酸塩粉体とした。
【0029】
(実施例2)
トルエンに対して20質量%のポリエチレングリコールを添加した以外は、上記実施例1と同様の操作を行った。
(実施例3)
キシレン/1,2−ジクロロエタンの質量比が20/80となるようにキシレンに1,2−ジクロロエタンを混合し、また反応温度を20℃で行った以外は、上記実施例1と同様の操作を行った。
(実施例4)
キシレンに対して0.1質量%のベンゾフェノンを添加した以外は、上記実施例3と同様の操作を行った。
(実施例5)
クメン/1,2−ジクロロエタンの質量比が10/90となるように、クメンに1,2−ジクロロエタンを混合し、また反応温度を30℃で行い、更に、溶媒分離後の水相を濃縮して、40質量%のクメンスルホン酸水溶液にした以外は、上記実施例1と同様の操作を行った。得られた製品性状を表1に記す。
【0030】
(実施例6)
クメンに対して3質量%の安息香酸を添加した以外は、上記実施例5と同様の操作を行った。
(実施例7)
クメン/1,2−ジクロロエタンの質量比が10/90となるように、クメンに1,2−ジクロロエタンを混合し、またクメンに対して3質量%の安息香酸を添加した原料を、無水硫酸とモル比が1.0となるように高撹拌条件下に同時供給し、また反応温度が30℃となるように冷却しながら連続スルホン化し、クメンスルホン酸のハロゲン炭化水素溶液を得た。これを同質量の水で撹拌後、溶媒静置分離を行い、水相とハロゲン炭化水素溶媒相に分離した。水相は、加熱、濃縮して70質量%濃度のクメンスルホン酸水溶液とした。
【0031】
(実施例8)
オクチルベンゼン/1,2−ジクロロエタンの質量比が50/50となるように、オクチルベンゼンに1,2−ジクロロエタンを混合した原料を、無水硫酸とモル比が1.0となるよう高撹拌条件下に同時供給し、また反応温度が60℃となるように冷却しながら連続スルホン化し、オクチルベンゼンスルホン酸のハロゲン化炭化水素溶液を得た。これを5%苛性水で中和後、溶媒静置分離を行い、水相とハロゲン炭化水素溶媒相に分離した。水相は濃縮・乾燥して、オクチルベンゼンスルホン酸塩粉体とした。
(実施例9)
実施例8のオクチルベンゼンをドデシルベンゼンにした以外は、上記実施例8と同様の操作を行った。
【0032】
(比較例1)
クメンと無水硫酸をモル比1.0となるように高撹拌条件下に同時供給し、また反応温度が30℃となるように冷却しながら連続スルホン化し、液状のクメンスルホン酸を得た。これを20%苛性水で中和し、約40%濃度のクメンスルホン酸塩水溶液を得た。
(比較例2)
クメンに対して3質量%の安息香酸を添加した以外は、比較例1と同様の操作を行った。
【0033】
【表1】
【0034】
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜9は、本発明範囲外となる比較例1〜2に較べて、高純度で異臭気が無く、また液状において高い透明度を有し、高収率で容易に製造することができるアルキルベンゼンスルホン化物であることが判明した。
【0035】
〔実施例10〜18及び比較例3〜4:洗剤組成物の調製〕
本発明方法で得られるアルキルベンゼンスルホン化物は、上述の如く、優れた性能を有するものであり、下記に上記実施例1〜9及び比較例1〜2の製造法で得られたアルキルベンゼンスルホン化物(トルエンスルホン化物、クメンスルホン化物、及びキシレンスルホン化物等)を用いて、下記表2に示す配合組成により、各台所用の洗剤組成物(洗浄剤)を得た。
得られた各洗剤組成物について、下記方法により、異臭気及び外観・色調の評価を行った。
これらの結果を下記表2に示す。
【0036】
〔異臭気及び外観・色調の評価方法〕
得られた各洗剤組成物50mlを100ml容器に収容し、50℃で1カ月間保存した後、官能評価により、下記各評価基準により、評価を行った。
(異臭気の評価基準)
○:アルキルベンゼン特有の異臭気がしない
△:アルキルベンゼン特有の異臭気が若干する
×:アルキルベンゼン特有の異臭気がする
(外観・色調の評価基準)
○:外観・色調が極めて良好である
△:外観・色調が良好である
×:外観・色調が劣っている
【0037】
【表2】
【0038】
上記表2の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例10〜18の洗剤組成物は、本発明範囲外となる比較例3〜4の洗剤組成物に較べて、異臭気もなく、外観・色調に優れたものとなることが判明した。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、アルキルベンゼンのスルホン化において発生する、スルホン及び未反応アルキルベンゼンの不純物を容易に分離除去でき、また色調の良いアルキルベンゼンスルホン化物を、高収率で製造できるアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法が提供される。
また、本発明方法により製造されたアルキルベンゼンスルホン化物は、品質が格段に優れているから、例えば、界面活性剤、合成洗剤の可溶化剤、台所及び住居用洗剤等のハイドロトロープ剤として特に有用なものとなる。
Claims (3)
- (A)アルキルベンゼン/ハロゲン化炭化水素溶媒の質量比が1/99〜50/50となるように、アルキルベンゼンにハロゲン化炭化水素溶媒を混合し、三酸化硫黄をアルキルベンゼンに対し、モル比0.8〜1.2で接触させて溶液中のアルキルベンゼンをスルホン化する工程と、(B)得られたアルキルベンゼンスルホン酸を中和して静置又は中和せずに水を加えて静置し、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を水相に、また副生物スルホンと未反応アルキルベンゼンをハロゲン化炭化水素溶媒相に移行させ、該水相とハロゲン化炭化水素溶媒相とを分離する工程と、(C)水相を濃縮或いは乾燥して濃縮液或いは粉体とする工程とを、少なくとも含むことを特徴とするアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法。
- スルホン化の際に、スルホン抑制剤として、エーテル化合物及び/又はカルボニル基含有化合物を、アルキルベンゼンに対して、0.1〜20%添加する、請求項1に記載のアルキルベンゼンスルホン化物の製造方法。
- 請求項1又は2に記載した製造方法により得られるアルキルベンゼンスルホン化物を、洗剤組成物中に0.2〜10質量%配合することを特徴とする洗剤組成物。
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