JP2004210641A - N,n′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン及びその製造法 - Google Patents
N,n′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン及びその製造法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004210641A JP2004210641A JP2002378456A JP2002378456A JP2004210641A JP 2004210641 A JP2004210641 A JP 2004210641A JP 2002378456 A JP2002378456 A JP 2002378456A JP 2002378456 A JP2002378456 A JP 2002378456A JP 2004210641 A JP2004210641 A JP 2004210641A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- dimethyl
- propanediamine
- bis
- trihaloacetyl
- reaction
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
- 0 CC(C)(CNC(*)=O)CNC(NCC(C)(C)CNC(*)=O)=O Chemical compound CC(C)(CNC(*)=O)CNC(NCC(C)(C)CNC(*)=O)=O 0.000 description 1
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
【課題】N,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンを工業的に効率よく得る。
【解決手段】本発明のN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの製造法は、トリハロ酢酸ハライドと2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンとを塩基の存在下で反応させることを特徴とする。この方法において、反応をヘテロ原子含有有機溶媒中で行ってもよい。ヘテロ原子含有有機溶媒には、酸素原子又は窒素原子含有有機溶媒などが含まれる。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明のN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの製造法は、トリハロ酢酸ハライドと2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンとを塩基の存在下で反応させることを特徴とする。この方法において、反応をヘテロ原子含有有機溶媒中で行ってもよい。ヘテロ原子含有有機溶媒には、酸素原子又は窒素原子含有有機溶媒などが含まれる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬、写真薬、感光剤等の精密化学品又はその合成中間体などとして有用なN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンとその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、N,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、及びこれを工業的に効率よく製造する方法は知られていない。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−322593号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的はN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンと、その工業的な製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、トリハロ酢酸ハライドと2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンとを塩基の存在下で反応させると、N,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンが収率よく生成することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、トリハロ酢酸ハライドと2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンとを塩基の存在下で反応させることを特徴とするN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの製造法を提供する。この方法において、反応をヘテロ原子含有有機溶媒中で行ってもよい。ヘテロ原子含有有機溶媒には、例えば酸素原子又は窒素原子含有有機溶媒が含まれる。
【0007】
本発明は、また、N,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンを提供する。この化合物において、不純物としての下記式(1)で表される化合物(式中、Xはハロゲン原子を示す)の含有量が0.1重量%以下であるのが好ましい。
【化2】
【0008】
なお、本明細書において、脱ハロゲン体(脱臭素体等)とは、トリハロ酢酸ハライド、N,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンのそれぞれについて、トリハロアセチル基(トリブロモアセチル基等)のハロゲン原子(臭素原子等)が1以上水素原子に置換した化合物を意味する。また、不純物としての…の含有量と言うときは、[該不純物の量/(該不純物の量+主化合物の量)]×100(重量%)を意味する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の方法において原料として用いられるトリハロ酢酸ハライドとしては如何なる製造法で製造されたものであってもよい。トリハロ酢酸ハライドの代表的な例として、トリブロモ酢酸クロリド(塩化トリブロモアセチル)、トリブロモ酢酸ブロミド(臭化トリブロモアセチル)などのトリブロモ酢酸ハライド;トリクロロ酢酸クロリド(塩化トリクロロアセチル)、トリクロロ酢酸ブロミド(臭化トリクロロアセチル)などのトリクロロ酢酸ハライドなどが挙げられる。
【0010】
トリハロ酢酸ハライドは、例えば、トリハロ酢酸とハロゲン化チオニルとを反応させることにより得ることができる。この反応について、以下に説明する。
【0011】
トリハロ酢酸とハロゲン化チオニルとの反応は、溶媒の存在下又は非存在下の何れで行ってもよいが、反応収率及び副生物の抑制の点から、有機溶媒中で行うのが好ましい。また、トリハロ酢酸としては、トリハロ酢酸の脱ハロゲン体(ジハロ酢酸など)の含有量が0.5重量%以下のものを用いるのが好ましい。ハロゲン化チオニルには、塩化チオニル、臭化チオニルなどが含まれる。ハロゲン化チオニルの使用量は、トリハロ酢酸1モルに対して、例えば0.9〜2モル、好ましくは0.9〜1.5モル程度である。有機溶媒としては、反応を損なわないものであればよく、例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエンなどの芳香族炭化水素、アセトニトリル等のニトリル、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテルなどが挙げられる。有機溶媒の使用量は、トリハロ酢酸100重量部に対して、通常50〜1000重量部、好ましくは100〜800重量部程度である。反応には、N,N−ジメチルホルムアミドなどの触媒を用いることもできる。触媒の使用量は、トリハロ酢酸100重量部に対して、例えば0.001〜30重量部、好ましくは0.1〜10重量部程度である。反応温度は、通常10〜100℃、好ましくは40〜90℃、さらに好ましくは65〜85℃程度である。反応温度が高すぎると、トリハロ酢酸ハライドの脱ハロゲン体(ジブロモ酢酸ハライドなどのジハロ酢酸ハライドなど)等の副生物が生成しやすくなる。反応終了後、反応で副生したハロゲン化水素及び二酸化硫黄、並びに反応溶媒を留去することにより、蒸留残渣としてトリハロ酢酸ハライドを得ることができる。反応溶媒等を留去する際の温度(液温)は、好ましくは80℃以下、さらに好ましくは75℃以下である。この温度が高すぎると前記脱ハロゲン体が副生しやすい。トリハロ酢酸ハライドは、必要に応じて、蒸留等によりさらに精製してもよい。
【0012】
本発明の方法において原料として用いるトリハロ酢酸ハライドとしては、不純物としてのトリハロ酢酸ハライドの脱ハロゲン体の含有量が2重量%以下(特に、1.6重量%以下)であるトリハロ酢酸ハライドが好ましい。脱ハロゲン体(脱臭素体など)の含有量の多いトリハロ酢酸ハライド(トリブロモ酢酸ハライドなど)を用いると、対応するN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの脱ハロゲン体が多く生成する。この脱ハロゲン体は簡単な精製法では完全に除去することが困難である。そのため、N,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンを用いて医薬品等の精密化学品に誘導する際、前記脱ハロゲン体由来の不純物が製品の純度や性能に悪影響を及ぼす場合がある。
【0013】
本発明の方法において、トリハロ酢酸ハライドの使用量は、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(=1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルプロパン)1モルに対して、通常1.6〜3モル、好ましくは1.8〜2.5モル、さらに好ましくは1.9〜2.2モル程度である。この量が少なすぎると、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン又はそのモノトリハロアセチル体が系内に残存しやすく、逆に多すぎると、副反応が増大したり、後処理が煩雑になりやすい。
【0014】
反応で用いる塩基としては特に限定されず、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの鎖状第3級アミン;N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−5(DBU)(=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などの環状第3級アミン;ピリジン、ジメチルアミノピリジン、キノリンなどの窒素原子含有芳香族複素環化合物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。これらの中でも、鎖状第3級アミン、環状第3級アミン、窒素原子含有芳香族複素環化合物等の有機塩基が好ましい。
【0015】
塩基の使用量は、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン1モルに対して、通常1.6〜10モル、好ましくは1.8〜8モル、さらに好ましくは2〜6モル程度である。
【0016】
トリハロ酢酸ハライドと2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンとの反応は通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、反応を損なわないものであれば特に限定されず、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などのアミド又はウレア系溶媒;スルホランなどのイオウ原子含有溶媒;これらの混合溶媒などが挙げられる。また、反応を阻害しない範囲で水を反応溶媒又はその一部として用いることもできる。これらの溶媒の中でも、エステル(酢酸エチル等)、ニトリル(アセトニトリル等)など、酸素原子や窒素原子等のヘテロ原子を有する有機溶媒が好ましい。ヘテロ原子(特に、酸素原子又は窒素原子)を有する有機溶媒を用いると、反応生成物(目的物、塩)の析出を抑制でき、反応を操作性良く円滑に進行させることができる。
【0017】
反応方式は特に制限されず、回分式、半回分式、連続式等の何れの方式も採用できるが、(i)トリハロ酢酸ハライドと塩基とを含む液中に2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンを添加する方式、(ii)トリハロ酢酸ハライドを含む液中に2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンと塩基とを添加する方式、(iii)2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンを含む液中にトリハロ酢酸ハライドと塩基とを添加する方式が好ましい。これらの方式を採用することにより、前記式(1)で表される化合物の副生を抑制できる。式(1)中、Xで示されるハロゲン原子は、通常、原料として用いたトリハロ酢酸ハライドのトリハロアセチル基のハロゲン原子と同一である。なお、式(1)で表される化合物は、一旦生成したN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンのカルボニル炭素に、塩基の存在下で2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン又はそのモノトリハロアセチル体のアミノ基が求核攻撃し、脱ハロホルム化が進行して生成するものと推測される。前記の方式の中でも(i)又は(ii)の方式[特に(ii)の方式]がより好ましい。
【0018】
反応温度は、通常−20℃〜50℃程度、好ましくは−10℃〜25℃、さらに好ましくは0〜20℃程度である。反応温度が低すぎると反応速度が低下し、反応温度が高すぎると脱ハロゲン体(脱臭素体等)などの副生物が生成しやすくなる。
【0019】
上記反応により、対応するN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン[例えば、N,N′−ビス(トリクロロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンなど]が生成する。反応生成物は、濾過、液性調整(中和)、濃縮、抽出、洗浄、晶析、再結晶、リンス、リパルプ、乾燥、カラムクロマトグラフィー等の手段により分離、精製できる。晶析(再結晶)溶媒の代表的な例として、エステル(酢酸エチルなど)、ニトリル(アセトニトリルなど)、エステル(酢酸エチルなど)−炭化水素(ヘキサンなど)混合溶媒、ニトリル(アセトニトリルなど)−水混合溶媒などが挙げられる。
【0020】
本発明の方法によれば、前記式(1)で表される化合物や脱ハロゲン体等の不純物含量の少ない目的化合物を得ることができる。特に、用いる原料の純度(不純物含量)、反応温度、反応方式、精製法等の選択により、高純度のN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、例えば前記式(1)で表される化合物の含有量が0.1重量%以下のN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンを取得することができる。
【0021】
こうして得られるN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンは、医薬、農薬、写真薬、感光剤等の精密化学品又はその合成中間体などとして使用できる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、新規なN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンと、その工業的に効率の良い製造法が提供される。本発明の製造法は、特に、臭素原子がはずれやすいN,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの製造法として有用である。
【0023】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、生成物の定量は高速液体クロマトグラフィー等により行った。また、生成物(脱ハロゲン体等の副生物を含む)の同定はLC−MS、1H−NMRスペクトル等により行った。
【0024】
実施例1
塩化トリブロモアセチル97.1g(0.31モル)と酢酸エチル500mlの混合液をフラスコに入れ、撹拌した。2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン15.0g(0.15モル)とトリエチルアミン59.5g(0.59モル)の混合液を、滴下ロートを用いてフラスコ中に滴下した。滴下時はフラスコを氷浴に浸し、液温を−2℃〜15℃に維持した。2時間かけて滴下を終了した後、液温を前記範囲に維持しながら水100mlと5N塩酸118mlを順次加え、撹拌した。反応液の上層を水洗した後に濃縮し、析出したN,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの固体を濾取し、乾燥した。N,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの収量は89.1gであった(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン基準の収率:92%)。これを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、前記式(1)で表される副生物は検出されなかった。
[N,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンのスペクトルデータ]
1H−NMR(500MHz, DMSO-d6) δ:0.85(s, 6H, CH3), 3.04(d, J=6.1Hz, 4H, CH2), 8.76(s, 2H, NH)
【0025】
実施例2
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン15.0g(0.15モル)、トリエチルアミン59.5g(0.59モル)及び酢酸エチル500mlの混合液をフラスコに入れ、撹拌した。塩化トリブロモアセチル97.1g(0.31モル)を滴下ロートを用いてフラスコ中に滴下した。滴下時はフラスコを氷浴に浸し、液温を−2℃〜15℃に維持した。2時間かけて滴下を終了した後、液温を前記範囲に維持しながら水100mlと5N塩酸118mlを順次加え、撹拌した。反応液の上層を水洗した後に濃縮し、析出したN,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの固体を濾取し、得られた白色固体をアセトニトリルから再結晶し、乾燥した。N,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの収量は83.3gであった(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン基準の収率:86%)。これをHPLCで分析した結果、前記式(1)で表される副生物が0.05重量%含まれていた。
【0026】
実施例3
塩化トリブロモアセチル97.1g(0.31モル)とアセトニトリル500mlの混合液をフラスコに入れ、撹拌した。2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン15.0g(0.15モル)とトリエチルアミン59.5g(0.59モル)の混合液を、滴下ロートを用いてフラスコ中に滴下した。滴下時はフラスコを氷浴に浸し、液温を−2℃〜15℃に維持した。2時間かけて滴下を終了した後、液温を前記範囲に維持しながら水500mlを加え、析出したN,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの固体を濾取し、乾燥した。N,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの収量は87.2gであった(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン基準の収率:90%)。これをHPLCで分析した結果、前記式(1)で表される副生物は検出されなかった。
【0027】
実施例4
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン15.0g(0.15モル)、トリエチルアミン59.5g(0.59モル)及びアセトニトリル500mlの混合液をフラスコに入れ、撹拌した。塩化トリブロモアセチル97.1g(0.31モル)を滴下ロートを用いてフラスコ中に滴下した。滴下時はフラスコを氷浴に浸し、液温を−2℃〜15℃に維持した。2時間かけて滴下を終了した後、液温を前記範囲に維持しながら水500mlを加え、析出したN,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの固体を濾取し、乾燥した。N,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの収量は82.3gであった(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン基準の収率:85%)。これをHPLCで分析した結果、前記式(1)で表される副生物は検出されなかった。
【0028】
実施例5
塩化トリクロロアセチル56.4g(0.31モル)と酢酸エチル500mlの混合液をフラスコに入れ、撹拌した。2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン15.0g(0.15モル)とトリエチルアミン59.5g(0.59モル)の混合液を、滴下ロートを用いてフラスコ中に滴下した。滴下時はフラスコを氷浴に浸し、液温を−2℃〜15℃に維持した。2時間かけて滴下を終了した後、液温を前記範囲に維持しながら水100mlと5N塩酸118mlを順次加え、撹拌した。反応液の上層を水洗した後に濃縮し、析出したN,N′−ビス(トリクロロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの固体を濾取し、乾燥した。N,N′−ビス(トリクロロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの収量は56.0gであった(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン基準の収率:95%)。これを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、前記式(1)で表される副生物は検出されなかった。
[N,N′−ビス(トリクロロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンのスペクトルデータ]
1H−NMR(500MHz, DMSO-d6) δ:1.01(s, 6H, CH3), 3.18(d, J=6.7Hz, 4H, CH2), 7.65(s, 2H, NH)
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、農薬、写真薬、感光剤等の精密化学品又はその合成中間体などとして有用なN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンとその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、N,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、及びこれを工業的に効率よく製造する方法は知られていない。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−322593号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的はN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンと、その工業的な製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、トリハロ酢酸ハライドと2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンとを塩基の存在下で反応させると、N,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンが収率よく生成することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、トリハロ酢酸ハライドと2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンとを塩基の存在下で反応させることを特徴とするN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの製造法を提供する。この方法において、反応をヘテロ原子含有有機溶媒中で行ってもよい。ヘテロ原子含有有機溶媒には、例えば酸素原子又は窒素原子含有有機溶媒が含まれる。
【0007】
本発明は、また、N,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンを提供する。この化合物において、不純物としての下記式(1)で表される化合物(式中、Xはハロゲン原子を示す)の含有量が0.1重量%以下であるのが好ましい。
【化2】
【0008】
なお、本明細書において、脱ハロゲン体(脱臭素体等)とは、トリハロ酢酸ハライド、N,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンのそれぞれについて、トリハロアセチル基(トリブロモアセチル基等)のハロゲン原子(臭素原子等)が1以上水素原子に置換した化合物を意味する。また、不純物としての…の含有量と言うときは、[該不純物の量/(該不純物の量+主化合物の量)]×100(重量%)を意味する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の方法において原料として用いられるトリハロ酢酸ハライドとしては如何なる製造法で製造されたものであってもよい。トリハロ酢酸ハライドの代表的な例として、トリブロモ酢酸クロリド(塩化トリブロモアセチル)、トリブロモ酢酸ブロミド(臭化トリブロモアセチル)などのトリブロモ酢酸ハライド;トリクロロ酢酸クロリド(塩化トリクロロアセチル)、トリクロロ酢酸ブロミド(臭化トリクロロアセチル)などのトリクロロ酢酸ハライドなどが挙げられる。
【0010】
トリハロ酢酸ハライドは、例えば、トリハロ酢酸とハロゲン化チオニルとを反応させることにより得ることができる。この反応について、以下に説明する。
【0011】
トリハロ酢酸とハロゲン化チオニルとの反応は、溶媒の存在下又は非存在下の何れで行ってもよいが、反応収率及び副生物の抑制の点から、有機溶媒中で行うのが好ましい。また、トリハロ酢酸としては、トリハロ酢酸の脱ハロゲン体(ジハロ酢酸など)の含有量が0.5重量%以下のものを用いるのが好ましい。ハロゲン化チオニルには、塩化チオニル、臭化チオニルなどが含まれる。ハロゲン化チオニルの使用量は、トリハロ酢酸1モルに対して、例えば0.9〜2モル、好ましくは0.9〜1.5モル程度である。有機溶媒としては、反応を損なわないものであればよく、例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエンなどの芳香族炭化水素、アセトニトリル等のニトリル、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテルなどが挙げられる。有機溶媒の使用量は、トリハロ酢酸100重量部に対して、通常50〜1000重量部、好ましくは100〜800重量部程度である。反応には、N,N−ジメチルホルムアミドなどの触媒を用いることもできる。触媒の使用量は、トリハロ酢酸100重量部に対して、例えば0.001〜30重量部、好ましくは0.1〜10重量部程度である。反応温度は、通常10〜100℃、好ましくは40〜90℃、さらに好ましくは65〜85℃程度である。反応温度が高すぎると、トリハロ酢酸ハライドの脱ハロゲン体(ジブロモ酢酸ハライドなどのジハロ酢酸ハライドなど)等の副生物が生成しやすくなる。反応終了後、反応で副生したハロゲン化水素及び二酸化硫黄、並びに反応溶媒を留去することにより、蒸留残渣としてトリハロ酢酸ハライドを得ることができる。反応溶媒等を留去する際の温度(液温)は、好ましくは80℃以下、さらに好ましくは75℃以下である。この温度が高すぎると前記脱ハロゲン体が副生しやすい。トリハロ酢酸ハライドは、必要に応じて、蒸留等によりさらに精製してもよい。
【0012】
本発明の方法において原料として用いるトリハロ酢酸ハライドとしては、不純物としてのトリハロ酢酸ハライドの脱ハロゲン体の含有量が2重量%以下(特に、1.6重量%以下)であるトリハロ酢酸ハライドが好ましい。脱ハロゲン体(脱臭素体など)の含有量の多いトリハロ酢酸ハライド(トリブロモ酢酸ハライドなど)を用いると、対応するN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの脱ハロゲン体が多く生成する。この脱ハロゲン体は簡単な精製法では完全に除去することが困難である。そのため、N,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンを用いて医薬品等の精密化学品に誘導する際、前記脱ハロゲン体由来の不純物が製品の純度や性能に悪影響を及ぼす場合がある。
【0013】
本発明の方法において、トリハロ酢酸ハライドの使用量は、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(=1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルプロパン)1モルに対して、通常1.6〜3モル、好ましくは1.8〜2.5モル、さらに好ましくは1.9〜2.2モル程度である。この量が少なすぎると、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン又はそのモノトリハロアセチル体が系内に残存しやすく、逆に多すぎると、副反応が増大したり、後処理が煩雑になりやすい。
【0014】
反応で用いる塩基としては特に限定されず、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの鎖状第3級アミン;N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−5(DBU)(=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などの環状第3級アミン;ピリジン、ジメチルアミノピリジン、キノリンなどの窒素原子含有芳香族複素環化合物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。これらの中でも、鎖状第3級アミン、環状第3級アミン、窒素原子含有芳香族複素環化合物等の有機塩基が好ましい。
【0015】
塩基の使用量は、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン1モルに対して、通常1.6〜10モル、好ましくは1.8〜8モル、さらに好ましくは2〜6モル程度である。
【0016】
トリハロ酢酸ハライドと2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンとの反応は通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、反応を損なわないものであれば特に限定されず、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどの鎖状又は環状エーテル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などのアミド又はウレア系溶媒;スルホランなどのイオウ原子含有溶媒;これらの混合溶媒などが挙げられる。また、反応を阻害しない範囲で水を反応溶媒又はその一部として用いることもできる。これらの溶媒の中でも、エステル(酢酸エチル等)、ニトリル(アセトニトリル等)など、酸素原子や窒素原子等のヘテロ原子を有する有機溶媒が好ましい。ヘテロ原子(特に、酸素原子又は窒素原子)を有する有機溶媒を用いると、反応生成物(目的物、塩)の析出を抑制でき、反応を操作性良く円滑に進行させることができる。
【0017】
反応方式は特に制限されず、回分式、半回分式、連続式等の何れの方式も採用できるが、(i)トリハロ酢酸ハライドと塩基とを含む液中に2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンを添加する方式、(ii)トリハロ酢酸ハライドを含む液中に2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンと塩基とを添加する方式、(iii)2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンを含む液中にトリハロ酢酸ハライドと塩基とを添加する方式が好ましい。これらの方式を採用することにより、前記式(1)で表される化合物の副生を抑制できる。式(1)中、Xで示されるハロゲン原子は、通常、原料として用いたトリハロ酢酸ハライドのトリハロアセチル基のハロゲン原子と同一である。なお、式(1)で表される化合物は、一旦生成したN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンのカルボニル炭素に、塩基の存在下で2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン又はそのモノトリハロアセチル体のアミノ基が求核攻撃し、脱ハロホルム化が進行して生成するものと推測される。前記の方式の中でも(i)又は(ii)の方式[特に(ii)の方式]がより好ましい。
【0018】
反応温度は、通常−20℃〜50℃程度、好ましくは−10℃〜25℃、さらに好ましくは0〜20℃程度である。反応温度が低すぎると反応速度が低下し、反応温度が高すぎると脱ハロゲン体(脱臭素体等)などの副生物が生成しやすくなる。
【0019】
上記反応により、対応するN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン[例えば、N,N′−ビス(トリクロロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンなど]が生成する。反応生成物は、濾過、液性調整(中和)、濃縮、抽出、洗浄、晶析、再結晶、リンス、リパルプ、乾燥、カラムクロマトグラフィー等の手段により分離、精製できる。晶析(再結晶)溶媒の代表的な例として、エステル(酢酸エチルなど)、ニトリル(アセトニトリルなど)、エステル(酢酸エチルなど)−炭化水素(ヘキサンなど)混合溶媒、ニトリル(アセトニトリルなど)−水混合溶媒などが挙げられる。
【0020】
本発明の方法によれば、前記式(1)で表される化合物や脱ハロゲン体等の不純物含量の少ない目的化合物を得ることができる。特に、用いる原料の純度(不純物含量)、反応温度、反応方式、精製法等の選択により、高純度のN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、例えば前記式(1)で表される化合物の含有量が0.1重量%以下のN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンを取得することができる。
【0021】
こうして得られるN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンは、医薬、農薬、写真薬、感光剤等の精密化学品又はその合成中間体などとして使用できる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、新規なN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンと、その工業的に効率の良い製造法が提供される。本発明の製造法は、特に、臭素原子がはずれやすいN,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの製造法として有用である。
【0023】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、生成物の定量は高速液体クロマトグラフィー等により行った。また、生成物(脱ハロゲン体等の副生物を含む)の同定はLC−MS、1H−NMRスペクトル等により行った。
【0024】
実施例1
塩化トリブロモアセチル97.1g(0.31モル)と酢酸エチル500mlの混合液をフラスコに入れ、撹拌した。2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン15.0g(0.15モル)とトリエチルアミン59.5g(0.59モル)の混合液を、滴下ロートを用いてフラスコ中に滴下した。滴下時はフラスコを氷浴に浸し、液温を−2℃〜15℃に維持した。2時間かけて滴下を終了した後、液温を前記範囲に維持しながら水100mlと5N塩酸118mlを順次加え、撹拌した。反応液の上層を水洗した後に濃縮し、析出したN,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの固体を濾取し、乾燥した。N,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの収量は89.1gであった(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン基準の収率:92%)。これを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、前記式(1)で表される副生物は検出されなかった。
[N,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンのスペクトルデータ]
1H−NMR(500MHz, DMSO-d6) δ:0.85(s, 6H, CH3), 3.04(d, J=6.1Hz, 4H, CH2), 8.76(s, 2H, NH)
【0025】
実施例2
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン15.0g(0.15モル)、トリエチルアミン59.5g(0.59モル)及び酢酸エチル500mlの混合液をフラスコに入れ、撹拌した。塩化トリブロモアセチル97.1g(0.31モル)を滴下ロートを用いてフラスコ中に滴下した。滴下時はフラスコを氷浴に浸し、液温を−2℃〜15℃に維持した。2時間かけて滴下を終了した後、液温を前記範囲に維持しながら水100mlと5N塩酸118mlを順次加え、撹拌した。反応液の上層を水洗した後に濃縮し、析出したN,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの固体を濾取し、得られた白色固体をアセトニトリルから再結晶し、乾燥した。N,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの収量は83.3gであった(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン基準の収率:86%)。これをHPLCで分析した結果、前記式(1)で表される副生物が0.05重量%含まれていた。
【0026】
実施例3
塩化トリブロモアセチル97.1g(0.31モル)とアセトニトリル500mlの混合液をフラスコに入れ、撹拌した。2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン15.0g(0.15モル)とトリエチルアミン59.5g(0.59モル)の混合液を、滴下ロートを用いてフラスコ中に滴下した。滴下時はフラスコを氷浴に浸し、液温を−2℃〜15℃に維持した。2時間かけて滴下を終了した後、液温を前記範囲に維持しながら水500mlを加え、析出したN,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの固体を濾取し、乾燥した。N,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの収量は87.2gであった(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン基準の収率:90%)。これをHPLCで分析した結果、前記式(1)で表される副生物は検出されなかった。
【0027】
実施例4
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン15.0g(0.15モル)、トリエチルアミン59.5g(0.59モル)及びアセトニトリル500mlの混合液をフラスコに入れ、撹拌した。塩化トリブロモアセチル97.1g(0.31モル)を滴下ロートを用いてフラスコ中に滴下した。滴下時はフラスコを氷浴に浸し、液温を−2℃〜15℃に維持した。2時間かけて滴下を終了した後、液温を前記範囲に維持しながら水500mlを加え、析出したN,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの固体を濾取し、乾燥した。N,N′−ビス(トリブロモアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの収量は82.3gであった(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン基準の収率:85%)。これをHPLCで分析した結果、前記式(1)で表される副生物は検出されなかった。
【0028】
実施例5
塩化トリクロロアセチル56.4g(0.31モル)と酢酸エチル500mlの混合液をフラスコに入れ、撹拌した。2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン15.0g(0.15モル)とトリエチルアミン59.5g(0.59モル)の混合液を、滴下ロートを用いてフラスコ中に滴下した。滴下時はフラスコを氷浴に浸し、液温を−2℃〜15℃に維持した。2時間かけて滴下を終了した後、液温を前記範囲に維持しながら水100mlと5N塩酸118mlを順次加え、撹拌した。反応液の上層を水洗した後に濃縮し、析出したN,N′−ビス(トリクロロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの固体を濾取し、乾燥した。N,N′−ビス(トリクロロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの収量は56.0gであった(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン基準の収率:95%)。これを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、前記式(1)で表される副生物は検出されなかった。
[N,N′−ビス(トリクロロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンのスペクトルデータ]
1H−NMR(500MHz, DMSO-d6) δ:1.01(s, 6H, CH3), 3.18(d, J=6.7Hz, 4H, CH2), 7.65(s, 2H, NH)
Claims (5)
- トリハロ酢酸ハライドと2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンとを塩基の存在下で反応させることを特徴とするN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの製造法。
- 反応をヘテロ原子含有有機溶媒中で行う請求項1記載のN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの製造法。
- ヘテロ原子含有有機溶媒が酸素原子又は窒素原子含有有機溶媒である請求項2記載のN,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミンの製造法。
- N,N′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002378456A JP2004210641A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | N,n′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002378456A JP2004210641A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | N,n′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン及びその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004210641A true JP2004210641A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=32815304
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002378456A Withdrawn JP2004210641A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | N,n′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004210641A (ja) |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002378456A patent/JP2004210641A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7399850B2 (ja) | 芳香族ニトリル化合物の製造方法 | |
KR101653025B1 (ko) | 2-아미노-4-트리플루오로메틸피리딘류의 제조 방법 | |
WO2007105793A1 (ja) | イソ尿素類のニトロ化方法 | |
EP3207023B1 (en) | Process for the preparation of 1-(3,5-dichlorophenyl)-2,2,2-trifluoroethanone and derivatives thereof | |
JP2012067030A (ja) | クロロギ酸含フッ素アルキルの改良された製造方法 | |
JP2004210641A (ja) | N,n′−ビス(トリハロアセチル)−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン及びその製造法 | |
JP3459892B2 (ja) | フッ素系界面活性化合物及びその製造方法 | |
JP2003335735A (ja) | パーフルオロイソプロピルアニリン類の製造方法 | |
JPWO2016199688A1 (ja) | カーバメート化合物の製造方法 | |
JP5009306B2 (ja) | 2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン−1−イル3−メチル−2−ブテノアートの製造方法 | |
KR100420494B1 (ko) | 2-트리플루오로메톡시벤젠설폰아미드의제조방법 | |
JP4258658B2 (ja) | アセチレン化合物の製造方法 | |
JP6915189B1 (ja) | 高純度2−ナフチルアセトニトリル及びその製造方法 | |
JP2007070270A (ja) | 3−アミノメチルオキセタン化合物の製法 | |
JP2013151452A (ja) | 光学活性トルフルオロメチル基含有イミン誘導体、その製造方法並びにそれを用いたトリフルオロメチル基含有光学活性アミン誘導体の製造方法 | |
JP2007277232A (ja) | ニトロ化方法 | |
JPH0616615A (ja) | 含フッ素フタロニトリル誘導体の製造方法 | |
JP2016169192A (ja) | 7−オクテニルハライドの製造方法 | |
JP4507398B2 (ja) | 3−ハロメチルオキセタン化合物の合成方法 | |
JP2008137898A (ja) | 4−メチルチオ−3−ブテニルイソチオシアナートの製造方法、その合成中間体、及びこれを含有する抗菌剤組成物 | |
JPH0421646A (ja) | クロルエチルエーテルの製造方法 | |
JP2000198775A (ja) | 環状グアニジン類及びその製造法 | |
JP2004300052A (ja) | クロロ蟻酸ベンジルエステル類の製造方法 | |
JP2004051572A (ja) | トリブロモ酢酸ハライドの製造法 | |
JP2004123548A (ja) | 3−アルコキシアクリル酸ハライドの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051007 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Effective date: 20070808 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 |