JP2004209815A - 印字装置 - Google Patents
印字装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004209815A JP2004209815A JP2002382410A JP2002382410A JP2004209815A JP 2004209815 A JP2004209815 A JP 2004209815A JP 2002382410 A JP2002382410 A JP 2002382410A JP 2002382410 A JP2002382410 A JP 2002382410A JP 2004209815 A JP2004209815 A JP 2004209815A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- medium
- ink ribbon
- width
- printing device
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Impression-Transfer Materials And Handling Thereof (AREA)
Abstract
【課題】片側基準の印字装置において、インクリボンよりも幅の狭い印字媒体に対して印字を行う場合でも、巻取られるインクリボンが基準側とは逆方向に寄れることを抑制できるようにする。
【解決手段】インクリボンRの幅に対して小さい幅の被印字媒体T2を用いた媒体カセット2をセットした場合には、認識部53の端部53aが摺動板40の傾斜部41に摺接することによって、摺動板40が移動してコロ34、35を傾ける構成により、インクリボンRに作用するテンションが調整され、幅狭の被印字媒体T2を用いた場合でもインクリボンRに寄れやシワの発生が抑制される。
【選択図】 図4
【解決手段】インクリボンRの幅に対して小さい幅の被印字媒体T2を用いた媒体カセット2をセットした場合には、認識部53の端部53aが摺動板40の傾斜部41に摺接することによって、摺動板40が移動してコロ34、35を傾ける構成により、インクリボンRに作用するテンションが調整され、幅狭の被印字媒体T2を用いた場合でもインクリボンRに寄れやシワの発生が抑制される。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクリボンを用いた印字装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクリボンを用いた印字装置印字装置は、インクリボンを供給する供給軸と、供給されたインクリボンを巻取る巻取り軸とを備えており、供給軸と巻取り軸との間におけるインクリボンの搬送経路上に、サーマルヘッドとプラテンローラとを圧接離間可能に設けているものがある。この種の印字装置では、サーマルヘッドとプラテンローラとの間にインクリボンと印字媒体を搬送させながら、サーマルヘッドを印字情報に応じて駆動して発熱素子を発熱させることにより、インクリボンのインクを印字媒体に転写して印字が行われる。
【0003】
このような印字装置では、印字媒体の所定位置に正確に印字するために、印字媒体を印字ヘッドに対して位置決めする必要がある。また、印字媒体の所定位置に正確に印字するためには、インクリボンがその幅方向にずれないようにして安定して搬送させる必要があり、インクリボンの幅方向へのずれを抑制するずれ防止部材を備えた印字装置も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
印字媒体を印字ヘッドに対して位置決めする際の位置決め基準は、印字装置を構成するフレーム等の条件により、サーマルヘッドの長手方向の中心に印字媒体の長手方向中央部を合わせるセンター基準と、サーマルヘッドの一方の端部に印字媒体の一側縁を合わせてセットする片側基準とに大別することができる。
【0005】
センター基準の印字装置では、印字媒体をインクリボンの幅方向の中心に搬送させるために、印字媒体の両側にガイド等の移動部材を設ける必要がある。更に、インクリボンの幅方向の中心位置を印字媒体の幅方向の中央に来るように移動させる必要があり、装置の大型化や構造の複雑化等によってコストが高くなるといった問題があった。このため、従来では小型化とコスト低減のために片側基準の印字装置が広く用いられている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−181168号公報(図2、段落番号[0008]〜[0012])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、片側基準の印字装置では、巻取り軸を回転させてインクリボンを巻取りながらインクリボンよりも幅の狭い印字媒体に対して印字を行う場合に、サーマルヘッドとプラテンローラ間のニップ近傍において、サーマルヘッドとプラテンローラによる加圧ニップは、インクリボンの幅方向に対して均一に作用しなくなる。このため、印字媒体が位置していないインクリボンの非基準側に作用する巻取り方向のテンション(引張力)の方が、基準側に作用する巻取り方向のテンション(引張力)よりも大きくなることによって、巻取られるインクリボンが基準側とは逆方向に寄れて行ってしまうという不具合が発生していた。
【0008】
このインクリボンの寄れによってインクリボンにシワなどが発生し易くなり、印字不良が生じる、あるいはインクリボンが印字媒体から外れてしまうというおそれがあった。
【0009】
また、上記した特許文献1のようにずれ防止部材を備えていても、インクリボンよりも幅の狭い印字媒体に対して印字を行う場合には、上記と同様に、印字媒体が位置していないインクリボンの非基準側に作用する巻取り方向のテンションの方が、基準側に作用する巻取り方向のテンションよりも大きくなることによって、巻取られるインクリボンが基準側とは逆方向に寄れて行ってしまう。
【0010】
そこで本発明は、片側基準の印字装置において、インクリボンよりも幅の狭い印字媒体に対して印字を行う場合でも、巻取られるインクリボンが基準側とは逆方向に寄れることを抑制することができる印字装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、サーマルヘッドとプラテン間で、熱転写リボンと被印字媒体を加圧挟持して、前記被印字媒体の幅方向における一方の縁を位置決め基準として前記被印字媒体を搬送し、前記サーマルヘッドの発熱により前記被印字媒体に印字を行う印字装置において、前記サーマルヘッドとプラテン間の加圧ニップ近傍で、前記熱転写リボンの幅方向での前記熱転写リボンの巻取り方向の引張力を略均一に調整する調整手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
なお、前記被印字媒体は該被印字媒体の幅情報を有する媒体カセットに収納され、前記調整手段は前記媒体カセットの着脱に連動して調整を行うようにしてもよい。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、サーマルヘッドとプラテン間で、熱転写リボンと被印字媒体を加圧挟持して、前記被印字媒体の幅方向における一方の縁を位置決め基準として前記被印字媒体を搬送し、前記サーマルヘッドの発熱により前記被印字媒体に印字を行う印字装置において、前記サーマルヘッドとプラテン間の加圧ニップ近傍で、前記熱転写リボンの幅方向での前記熱転写リボンの巻取り方向の引張力を前記位置決め基準側の方が大きくなるように調整する調整手段を備えたことを特徴としている。
【0014】
なお、前記被印字媒体は該被印字媒体の幅情報を有する媒体カセットに収納され、前記調整手段は前記媒体カセットの着脱に連動して調整を行うようにしてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0016】
〈実施の形態1〉
図1は、本発明の実施の形態1に係る印字装置(本実施の形態では可搬式のラベル印刷機)を示す概略斜視図である。
【0017】
この印字装置1にはキーボード11が設けられており、印字したい文字や記号等を各キーボード11を用いて入力する。入力された文字や記号等は表示部12に表示される。
【0018】
この印字装置1で印字される被印字媒体Tは、ラベル、熱収縮チューブ、IDストリップ、塩ビチューブ等である。ラベルは薄膜状ラベル基体の裏側に粘着層が被着され、さらに接着層に剥離フィルムが粘着されたものである。また、厚さは薄く一定であるが、幅寸法が6、9、12、18、25mmそれぞれ相違する複数種類のラベルに印字する。そこで、各種類毎にロール状に巻回して媒体カセット2内に格納されている。
【0019】
また、熱収縮チューブや塩ビチューブは、チューブを形成する素材の厚みが比較的薄いので扁平に押しつぶし、ロール状に巻回してラベルと同じく媒体カセット2に格納されている。なお、熱収縮チューブや塩ビチューブは直径が相違する複数種類のものがあり、直径が相違するため扁平に押し潰すと幅寸法の相違する帯状の形状になって媒体カセット2内に格納される。
【0020】
また、IDストリップは、電線等に予め取付けられたストリップホルダーに差し込まれるもので、厚みが比較的厚く(1mm程度)、かつ幅寸法が4、6、9、12、18、25mmそれぞれの幅が用意される。このIDストリップも上記ラベル、熱収縮チューブ、塩ビチューブと同じくロール状に巻回されて媒体カセット2内に格納される。このように、ほとんどの被印字媒体Tの種類を取り替える際には、媒体カセット2を交換することによって容易に行うことができる。
【0021】
この印字装置1に上記した媒体カセット2をセットすると、被印字媒体Tは一対の送りローラ13の間に挟まれ、印字を行うサーマルヘッド14側に送り出される。
【0022】
図1において、15はサーマルヘッド14の下流側に配置したピンチローラであり、印字された被印字媒体Tはピンチローラ15と押さえ部材4の間を通してカッター16へ搬送され、所定の長さ毎にカッター16により切断され、あるいは半切りされる。カバー17の内側には、図2に示すようにインクリボンRを格納したリボンカートリッジ30が装着されている。
【0023】
図2に示すように、供給コア31に巻かれた状態のインクリボンRは、本体側のサーマルヘッド14とプラテンローラ18で挟持搬送されると同時に巻取り機構(不図示)により、巻取りコア32に巻かれていく。このときのインクリボンRは、搬送路中に配置したコロ33、34、35、36により所定の軌道をたどってリボンシワ、寄れ、たるみ等がないように巻かれていく。
【0024】
図3に示すように、ケース17の側面には係合面17aが形成されており、媒体カセット2を上方から印字装置1にセットすると抜け止め部22が弾性変形した後、係合部23が係合面17aに係合することにより、媒体カセット2が印字装置1にガタツキなく装着される。また、係合部23の上面である係合面23aは、係合面17に対して下り傾斜しており、そのため抜け止め部22の弾性力により常に係合面23aが係合面17aに押接する。よって、印字装置1に装着された媒体カセット2の浮き上がりを防止することができる。なお、53は後述する認識部である。
【0025】
図4に示すように、印字装置1内に配設した摺動板40は、一端側に前方に向かって下り傾斜する傾斜部41を備えており、他端側にギア部42を備えている。摺動板40の両端側にそれぞれ形成した長穴状のガイドピン孔43、44には、印字装置1側に形成したガイドピン45、46がそれぞれ係止されており、摺動板40は、ガイドピン孔43、44に沿って図4の左右方向に摺動可能に保持されている。
【0026】
また、リボンカートリッジ30に設けた回動板47の両端側には、前記コロ34、35の位置に対応して軸48、49が取付けられている。また、回動板47の中間部には円弧状のギヤ部50が形成されており、摺動板40のギヤ部42と係合させている。回動板47は、その中間部に形成した円弧状のガイドピン孔52には、ガイドピン51が係止されており、回動板47は、ガイドピン孔52に沿って摺動可能に保持されている。
【0027】
媒体カセット2を印字装置1にセットしたときに摺動板40の傾斜部41が位置する部分に開口した認識部53が形成されており、媒体カセット2を印字装置1の上方から印字装置1にセットすると、認識部53の端部53aが摺動板40の傾斜部41に摺接することにより、摺動板40は図4の左方向へ移動する。摺動板40の図4の左方向へ移動量は、認識部53の端部53aの位置及び傾斜部41の傾斜度によって調整することができる。
【0028】
即ち、インクリボンRの幅に対して小さい幅の被印字媒体Tを用いた媒体カセット2をセットする場合には、移動量が多くなるように認識部53の端部53aを媒体カセット2の外面近くまで伸ばして形成し、インクリボンRの幅に対して略同じ幅の被印字媒体Tを用いた媒体カセット2をセットする場合には、移動量が略ゼロになるように認識部53の端部53aを媒体カセット2の外面から離れる内側に形成する。また、傾斜部41の傾斜度を変化させることによっても、同様に摺動板40の図4の左方向へ移動量を調整することができる。
【0029】
また、リボンカートリッジ30を印字装置1内にセットした場合には、図5に示すように、リボンカートリッジ30に設けた穴(不図示)から、軸48、49が内部のそれぞれのコロ軸54に入り込むようになっている。コロ軸54は、リボンカートリッジ30の一方の外板30aに隙間を設けて揺動自在に配置されている。各コロ軸54に一端側がそれぞれ取付けられているコロ34、35の他端側は、リボンカートリッジ30の他方の外板30bに揺動自在に支持されている。
【0030】
従って、媒体カセット2を印字装置1内にセットすることにより、摺動板40が図4の左方向に移動するとそれに応じてコロ軸54が揺動し、それに応じてコロ34、35が傾くことになる。コロ34、35の傾きは、傾斜部41の傾きと認識部53の位置で調節することができ、インクリボンRの幅に対してその幅よりも狭い被印字媒体を用いた媒体カセット2の場合は、認識部53を揺動板40の先端側に近づくように設けて摺動板40の移動量を多くし、インクリボンRの幅に対してその幅と略同じ被印字媒体を用いた媒体カセット2の場合は、認識部53を揺動板40の先端側から離れるように設けて摺動板40の移動量を小さくする。これにより、幅の狭い被印字媒体を用いた媒体カセット2の場合は、コロ34、35の傾きを大きくすることができる。
【0031】
次に、本実施の形態の印字装置を用いた場合における、印字動作時のコロ34、35の傾き動作について説明する。
【0032】
図6(a)に示すように、コロ34、35が傾かない構成で、インクリボンRの幅と略同じ幅の被印字媒体T1を用いた媒体カセット2の場合は、不図示のサーマルヘッドとプラテンローラによる加圧ニップAが被印字媒体T1とインクリボンRの幅方向に略均一に作用する。このため、加圧ニップAと巻取りコア32との間においては、巻取りコア3側への巻取り方向の基準側のテンション(引張力)B1と非基準側のテンション(引張力)B2が、インクリボンRに長手均一に作用して巻取られることによって、インクリボンRに寄れ、シワが発生することはない。
【0033】
また、図6(b)、図7(a)に示すように、コロ34、35が傾かない構成で、インクリボンRの幅に対して大幅に小さい幅の被印字媒体T2を用いた媒体カセット2の場合は、不図示のサーマルヘッドとプラテンローラによる加圧ニップAは被印字媒体T2が位置している基準側に作用する。このため、加圧ニップAと巻取りコア32との間においては、巻取りコア3側への巻取り方向の基準側のテンション(引張力)B1よりも非基準側のテンション(引張力)B2の方が大きくなり、巻取られるインクリボンRに対して非基準側(矢印C方向)に寄り始めて、シワが発生する。また、加圧ニップAのインクリボン巻取り方向に対して上流側のコロ34近傍における、巻取りコア3側への巻取り方向の基準側のテンション(引張力)B3は、上記の非基準側のテンション(引張力)B2よりも小さい。
【0034】
これに対し、図6(c)、図7(b)に示す本実施の形態のように、インクリボンRの幅に対して大幅に小さい幅の被印字媒体T2を用いた媒体カセット2の場合には、上記したように媒体カセット2の装着によって摺動板40が図4の左方向に移動し、更に、回動板47が揺動することにより、それに応じてコロ軸54が揺動してコロ34、35が傾く。これにより、加圧ニップAのインクリボン巻取り方向に対して下流側に位置しているコロ34の、被印字媒体T2が位置している基準側がプラテンローラ18に近づき、加圧ニップAのインクリボン巻取り方向に対して上流側に位置しているコロ35の、被印字媒体T2が位置している基準側がプラテンローラ18から遠のく。
【0035】
よって、コロ35近傍では、基準側でインクリボンRに対する負荷が増して、基準側のテンション(引張力)B1が大きくなり、非基準側のテンション(引張力)B2が小さくなる。また、コロ34近傍では、非基準側でインクリボンRに対する負荷が増して、非基準側のテンション(引張力)B3が大きくなる。これにより、加圧ニップA近傍ではインクリボンRに対して矢印D方向の非基準側から基準側への力が作用し、かつ基準側のテンション(引張力)B1が大きくなっているので、幅狭の被印字媒体T2を用いた場合でもインクリボンRに寄れやシワの発生を抑制して、巻取り方向(矢印E方向)に良好に巻取ることができる。
【0036】
また、図6(d)に示すように、インクリボンRの幅に対して略同じ幅の被印字媒体T1を用いた媒体カセット2の場合においても、図6(c)、図7(b)の場合と同様にコロ34、35を傾けると、コロ35近傍では基準側でインクリボンRに対する負荷が増し過ぎて、基準側のテンション(引張力)B1が大きくなり、非基準側のテンション(引張力)B2が小さくなる。これにより、加圧ニップA近傍では、インクリボンRに対して矢印方向Fの非基準側から基準側への力が作用し、インクリボンRに巻取り不良が発生する。
【0037】
よって、本実施の形態では、インクリボンRの幅に対して略同じ幅の被印字媒体T1を用いた媒体カセット2をセットした場合には、摺動板40が図4の左方向に移動しない位置に媒体カセット2の認識部53を形成する。そして、インクリボンRの幅に対して小さい幅の被印字媒体T1を用いた媒体カセット2の場合には、摺動板40が図4の左方向に移動する位置に媒体カセット2の認識部53を形成する。
【0038】
なお、上記した実施の形態では、コロ34、35を傾けたときのコロ34、35の傾き角度が5度程度で十分な効果が得られたが、インクリボンRの幅に対して被印字媒体Tの幅が大幅に小さい場合には、コロ34、35の傾き角度を更に大きくなるようにする。
【0039】
このように本実施の形態では、インクリボンRの幅に対して小さい幅の被印字媒体T2を用いた媒体カセット2をセットした場合には、インクリボンRの搬送路に設けたコロ34、35を傾ける構成により、インクリボンRに作用するテンション(引張力)が調整され、幅狭の被印字媒体T2を用いた場合でもインクリボンRに寄れやシワの発生を抑制して、巻取り方向(矢印E方向)に良好に巻取ることができる。
【0040】
また、上記した実施の形態では、サーマルヘッドとプラテンローラによる加圧ニップAの上流側と下流側にそれぞれ傾き自在なコロ34、35を有していたが、加圧ニップAの下流側のみに傾き自在なコロを備えた構成でもよい。
【0041】
〈実施の形態2〉
図8は、本発明の実施の形態2に係る印字装置(本実施の形態では可搬式のラベル印刷機)の媒体カセットとリボンカートリッジを示す概略平面図である。なお、実施の形態1の印字装置と同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0042】
本実施の形態では、図8に示すように、印字装置内に配設した摺動板60は、一端側に前方に向かって下り傾斜する傾斜部61を備えている。摺動板60の両端側にそれぞれ形成した長穴状のガイドピン孔62、63には、印字装置側に設けたガイドピン64、65がそれぞれ係止されており、摺動板60は、ガイドピン孔62、63に沿って図8の左右方向に摺動可能に保持されている。また、摺動板60の一端側は、印字装置内に配置したバネ67によって図8の右側方向に付勢力が作用している。
【0043】
媒体カセット2には、媒体カセット2を印字装置にセットしたときに摺動板60の傾斜部61が位置する部分に開口した認識部53が形成されており、媒体カセット2を印字装置の上方から印字装置にセットすると、認識部53の端部53aが摺動板60の傾斜部61に摺接することにより、摺動板60は図8の左方向へ移動する。摺動板60の図8の左方向へ移動量は、認識部53の端部53aの位置及び傾斜部61の傾斜度によって調整することができる。
【0044】
即ち、実施の形態1と同様に、インクリボンRの幅に対して小さい幅の被印字媒体Tを用いた媒体カセット2をセットする場合には、移動量が多くなるように認識部53の端部53aを媒体カセット2の外面近くまで伸ばして形成し、インクリボンRの幅に対して略同じ幅の被印字媒体Tを用いた媒体カセット2をセットする場合には、移動量が略ゼロになるように認識部53の端部53aを媒体カセット2の外面から離れる内側に形成する。また、傾斜部61の傾斜度を変化させることによっても、同様に摺動板60の図4の左方向へ移動量を調整することができる。
【0045】
摺動板60の他端側には軸66が設けられており、リボンカートリッジ30にはこの軸66の位置に対応して弾性自在なテンション板71が設けられている。リボンカートリッジ70を印字装置にセットすると、軸66がテンション板71の背面側に当接するように構成されている。
【0046】
テンション板71は、図9(a)、(b)、(c)に示すように、軸66と当接する背面側と反対の表面側の先端部にパッド72が貼り付けられている。パッドは、可撓性と摺動性を備えた材質としてフェルトを用いている。テンション板71の基端部73は、リボンカートリッジ30内に設けたリブ75で固定されている。テンション板71に貼り付けたパッド72は、図10に示すように、不図示のサーマルヘッドとプラテンローラによる加圧ニップAに対してインクリボン搬送方向の上流側に設けたコロ34の非基準側にのみ設けられている。なお、パッドはインクリボンに適度なテンションを付加可能なものであれば他の材質であってもよく、その形状も、例えば回転自在なゴムローラ等であってもよい。
【0047】
よって、図10に示すように、インクリボンRの幅に対して小さい幅の被印字媒体Tを用いた媒体カセット2をセットした場合には、上記したように媒体カセット2の装着によって摺動板60が図8の左方向に移動し、当接する軸66によってテンション板71が対向するコロ34に押圧される。これにより、被印字媒体Tが位置していない非基準側は、インクリボンRに対する負荷が増す。これにより、加圧ニップAの下流側に設けたコロ35近傍では、インクリボンRの幅方向に対する基準側と非基準側の各テンション(引張力)の大きさが略均一になることによって、幅狭の被印字媒体T1を用いた場合でもインクリボンRに寄れやシワの発生を抑制して、巻取り方向(矢印E方向)に良好に巻取ることができる。
【0048】
なお、上記した第1及び第2の実施の形態では、被印字媒体の幅情報を媒体カセットの認識部として有させたが、印字装置に被印字媒体の幅を検出するフォトセンサ等の検出手段を有させてもよく、その際にコロ軸やテンション板を検出結果に基づいてモータやソレノイド等の駆動手段を用いて移動させてもよい。
【0049】
また、本発明に係る印字装置は本実施の形態に限定されるものではなく、全てのインクリボンを用いる片側基準の印字装置に適用可能であり、被印字媒体も短冊やカード等、様々な媒体に適用可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、インクリボンの幅に対して幅狭の被印字媒体を用いた場合でも、インクリボンの幅方向に対するテンション(引張力)が基準側と非基準側とで均一になるように調整することができるので、幅狭の被印字媒体を用いた場合でもインクリボンに寄れやシワの発生を抑制して良好に巻取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1、2に係る印字装置を示す概略斜視図。
【図2】本発明の実施の形態1におけるリボンカセットを示す概略平面図。
【図3】本発明の実施の形態1における媒体カセットの本体への係止部を示す概略断面。
【図4】本発明の実施の形態1における媒体カセットとインクリボンを示す概略平面図。
【図5】本発明の実施の形態1におけるコロ軸とコロを示す概略断面。
【図6】本発明の実施の形態1における印字動作時のコロの傾き動作を説明するための面。
【図7】本発明の実施の形態1における印字動作時のコロの傾き動作を説明するための面。
【図8】本発明の実施の形態2における媒体カセットとインクリボンを示す概略平面図。
【図9】本発明の実施の形態2におけるテンション板示す図。
【図10】本発明の実施の形態2における印字動作時の加圧ニップ近傍を示す図。
【符号の説明】
1 印字装置
2 媒体カセット
14 サーマルヘッド
15 ピンチローラ
30 リボンカートリッジ
34、35 コロ
40、60 揺動板(調整手段)
41、61 傾斜部(調整手段)
71 テンション板(調整手段)
72 パッド(調整手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクリボンを用いた印字装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクリボンを用いた印字装置印字装置は、インクリボンを供給する供給軸と、供給されたインクリボンを巻取る巻取り軸とを備えており、供給軸と巻取り軸との間におけるインクリボンの搬送経路上に、サーマルヘッドとプラテンローラとを圧接離間可能に設けているものがある。この種の印字装置では、サーマルヘッドとプラテンローラとの間にインクリボンと印字媒体を搬送させながら、サーマルヘッドを印字情報に応じて駆動して発熱素子を発熱させることにより、インクリボンのインクを印字媒体に転写して印字が行われる。
【0003】
このような印字装置では、印字媒体の所定位置に正確に印字するために、印字媒体を印字ヘッドに対して位置決めする必要がある。また、印字媒体の所定位置に正確に印字するためには、インクリボンがその幅方向にずれないようにして安定して搬送させる必要があり、インクリボンの幅方向へのずれを抑制するずれ防止部材を備えた印字装置も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
印字媒体を印字ヘッドに対して位置決めする際の位置決め基準は、印字装置を構成するフレーム等の条件により、サーマルヘッドの長手方向の中心に印字媒体の長手方向中央部を合わせるセンター基準と、サーマルヘッドの一方の端部に印字媒体の一側縁を合わせてセットする片側基準とに大別することができる。
【0005】
センター基準の印字装置では、印字媒体をインクリボンの幅方向の中心に搬送させるために、印字媒体の両側にガイド等の移動部材を設ける必要がある。更に、インクリボンの幅方向の中心位置を印字媒体の幅方向の中央に来るように移動させる必要があり、装置の大型化や構造の複雑化等によってコストが高くなるといった問題があった。このため、従来では小型化とコスト低減のために片側基準の印字装置が広く用いられている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−181168号公報(図2、段落番号[0008]〜[0012])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、片側基準の印字装置では、巻取り軸を回転させてインクリボンを巻取りながらインクリボンよりも幅の狭い印字媒体に対して印字を行う場合に、サーマルヘッドとプラテンローラ間のニップ近傍において、サーマルヘッドとプラテンローラによる加圧ニップは、インクリボンの幅方向に対して均一に作用しなくなる。このため、印字媒体が位置していないインクリボンの非基準側に作用する巻取り方向のテンション(引張力)の方が、基準側に作用する巻取り方向のテンション(引張力)よりも大きくなることによって、巻取られるインクリボンが基準側とは逆方向に寄れて行ってしまうという不具合が発生していた。
【0008】
このインクリボンの寄れによってインクリボンにシワなどが発生し易くなり、印字不良が生じる、あるいはインクリボンが印字媒体から外れてしまうというおそれがあった。
【0009】
また、上記した特許文献1のようにずれ防止部材を備えていても、インクリボンよりも幅の狭い印字媒体に対して印字を行う場合には、上記と同様に、印字媒体が位置していないインクリボンの非基準側に作用する巻取り方向のテンションの方が、基準側に作用する巻取り方向のテンションよりも大きくなることによって、巻取られるインクリボンが基準側とは逆方向に寄れて行ってしまう。
【0010】
そこで本発明は、片側基準の印字装置において、インクリボンよりも幅の狭い印字媒体に対して印字を行う場合でも、巻取られるインクリボンが基準側とは逆方向に寄れることを抑制することができる印字装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、サーマルヘッドとプラテン間で、熱転写リボンと被印字媒体を加圧挟持して、前記被印字媒体の幅方向における一方の縁を位置決め基準として前記被印字媒体を搬送し、前記サーマルヘッドの発熱により前記被印字媒体に印字を行う印字装置において、前記サーマルヘッドとプラテン間の加圧ニップ近傍で、前記熱転写リボンの幅方向での前記熱転写リボンの巻取り方向の引張力を略均一に調整する調整手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
なお、前記被印字媒体は該被印字媒体の幅情報を有する媒体カセットに収納され、前記調整手段は前記媒体カセットの着脱に連動して調整を行うようにしてもよい。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、サーマルヘッドとプラテン間で、熱転写リボンと被印字媒体を加圧挟持して、前記被印字媒体の幅方向における一方の縁を位置決め基準として前記被印字媒体を搬送し、前記サーマルヘッドの発熱により前記被印字媒体に印字を行う印字装置において、前記サーマルヘッドとプラテン間の加圧ニップ近傍で、前記熱転写リボンの幅方向での前記熱転写リボンの巻取り方向の引張力を前記位置決め基準側の方が大きくなるように調整する調整手段を備えたことを特徴としている。
【0014】
なお、前記被印字媒体は該被印字媒体の幅情報を有する媒体カセットに収納され、前記調整手段は前記媒体カセットの着脱に連動して調整を行うようにしてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0016】
〈実施の形態1〉
図1は、本発明の実施の形態1に係る印字装置(本実施の形態では可搬式のラベル印刷機)を示す概略斜視図である。
【0017】
この印字装置1にはキーボード11が設けられており、印字したい文字や記号等を各キーボード11を用いて入力する。入力された文字や記号等は表示部12に表示される。
【0018】
この印字装置1で印字される被印字媒体Tは、ラベル、熱収縮チューブ、IDストリップ、塩ビチューブ等である。ラベルは薄膜状ラベル基体の裏側に粘着層が被着され、さらに接着層に剥離フィルムが粘着されたものである。また、厚さは薄く一定であるが、幅寸法が6、9、12、18、25mmそれぞれ相違する複数種類のラベルに印字する。そこで、各種類毎にロール状に巻回して媒体カセット2内に格納されている。
【0019】
また、熱収縮チューブや塩ビチューブは、チューブを形成する素材の厚みが比較的薄いので扁平に押しつぶし、ロール状に巻回してラベルと同じく媒体カセット2に格納されている。なお、熱収縮チューブや塩ビチューブは直径が相違する複数種類のものがあり、直径が相違するため扁平に押し潰すと幅寸法の相違する帯状の形状になって媒体カセット2内に格納される。
【0020】
また、IDストリップは、電線等に予め取付けられたストリップホルダーに差し込まれるもので、厚みが比較的厚く(1mm程度)、かつ幅寸法が4、6、9、12、18、25mmそれぞれの幅が用意される。このIDストリップも上記ラベル、熱収縮チューブ、塩ビチューブと同じくロール状に巻回されて媒体カセット2内に格納される。このように、ほとんどの被印字媒体Tの種類を取り替える際には、媒体カセット2を交換することによって容易に行うことができる。
【0021】
この印字装置1に上記した媒体カセット2をセットすると、被印字媒体Tは一対の送りローラ13の間に挟まれ、印字を行うサーマルヘッド14側に送り出される。
【0022】
図1において、15はサーマルヘッド14の下流側に配置したピンチローラであり、印字された被印字媒体Tはピンチローラ15と押さえ部材4の間を通してカッター16へ搬送され、所定の長さ毎にカッター16により切断され、あるいは半切りされる。カバー17の内側には、図2に示すようにインクリボンRを格納したリボンカートリッジ30が装着されている。
【0023】
図2に示すように、供給コア31に巻かれた状態のインクリボンRは、本体側のサーマルヘッド14とプラテンローラ18で挟持搬送されると同時に巻取り機構(不図示)により、巻取りコア32に巻かれていく。このときのインクリボンRは、搬送路中に配置したコロ33、34、35、36により所定の軌道をたどってリボンシワ、寄れ、たるみ等がないように巻かれていく。
【0024】
図3に示すように、ケース17の側面には係合面17aが形成されており、媒体カセット2を上方から印字装置1にセットすると抜け止め部22が弾性変形した後、係合部23が係合面17aに係合することにより、媒体カセット2が印字装置1にガタツキなく装着される。また、係合部23の上面である係合面23aは、係合面17に対して下り傾斜しており、そのため抜け止め部22の弾性力により常に係合面23aが係合面17aに押接する。よって、印字装置1に装着された媒体カセット2の浮き上がりを防止することができる。なお、53は後述する認識部である。
【0025】
図4に示すように、印字装置1内に配設した摺動板40は、一端側に前方に向かって下り傾斜する傾斜部41を備えており、他端側にギア部42を備えている。摺動板40の両端側にそれぞれ形成した長穴状のガイドピン孔43、44には、印字装置1側に形成したガイドピン45、46がそれぞれ係止されており、摺動板40は、ガイドピン孔43、44に沿って図4の左右方向に摺動可能に保持されている。
【0026】
また、リボンカートリッジ30に設けた回動板47の両端側には、前記コロ34、35の位置に対応して軸48、49が取付けられている。また、回動板47の中間部には円弧状のギヤ部50が形成されており、摺動板40のギヤ部42と係合させている。回動板47は、その中間部に形成した円弧状のガイドピン孔52には、ガイドピン51が係止されており、回動板47は、ガイドピン孔52に沿って摺動可能に保持されている。
【0027】
媒体カセット2を印字装置1にセットしたときに摺動板40の傾斜部41が位置する部分に開口した認識部53が形成されており、媒体カセット2を印字装置1の上方から印字装置1にセットすると、認識部53の端部53aが摺動板40の傾斜部41に摺接することにより、摺動板40は図4の左方向へ移動する。摺動板40の図4の左方向へ移動量は、認識部53の端部53aの位置及び傾斜部41の傾斜度によって調整することができる。
【0028】
即ち、インクリボンRの幅に対して小さい幅の被印字媒体Tを用いた媒体カセット2をセットする場合には、移動量が多くなるように認識部53の端部53aを媒体カセット2の外面近くまで伸ばして形成し、インクリボンRの幅に対して略同じ幅の被印字媒体Tを用いた媒体カセット2をセットする場合には、移動量が略ゼロになるように認識部53の端部53aを媒体カセット2の外面から離れる内側に形成する。また、傾斜部41の傾斜度を変化させることによっても、同様に摺動板40の図4の左方向へ移動量を調整することができる。
【0029】
また、リボンカートリッジ30を印字装置1内にセットした場合には、図5に示すように、リボンカートリッジ30に設けた穴(不図示)から、軸48、49が内部のそれぞれのコロ軸54に入り込むようになっている。コロ軸54は、リボンカートリッジ30の一方の外板30aに隙間を設けて揺動自在に配置されている。各コロ軸54に一端側がそれぞれ取付けられているコロ34、35の他端側は、リボンカートリッジ30の他方の外板30bに揺動自在に支持されている。
【0030】
従って、媒体カセット2を印字装置1内にセットすることにより、摺動板40が図4の左方向に移動するとそれに応じてコロ軸54が揺動し、それに応じてコロ34、35が傾くことになる。コロ34、35の傾きは、傾斜部41の傾きと認識部53の位置で調節することができ、インクリボンRの幅に対してその幅よりも狭い被印字媒体を用いた媒体カセット2の場合は、認識部53を揺動板40の先端側に近づくように設けて摺動板40の移動量を多くし、インクリボンRの幅に対してその幅と略同じ被印字媒体を用いた媒体カセット2の場合は、認識部53を揺動板40の先端側から離れるように設けて摺動板40の移動量を小さくする。これにより、幅の狭い被印字媒体を用いた媒体カセット2の場合は、コロ34、35の傾きを大きくすることができる。
【0031】
次に、本実施の形態の印字装置を用いた場合における、印字動作時のコロ34、35の傾き動作について説明する。
【0032】
図6(a)に示すように、コロ34、35が傾かない構成で、インクリボンRの幅と略同じ幅の被印字媒体T1を用いた媒体カセット2の場合は、不図示のサーマルヘッドとプラテンローラによる加圧ニップAが被印字媒体T1とインクリボンRの幅方向に略均一に作用する。このため、加圧ニップAと巻取りコア32との間においては、巻取りコア3側への巻取り方向の基準側のテンション(引張力)B1と非基準側のテンション(引張力)B2が、インクリボンRに長手均一に作用して巻取られることによって、インクリボンRに寄れ、シワが発生することはない。
【0033】
また、図6(b)、図7(a)に示すように、コロ34、35が傾かない構成で、インクリボンRの幅に対して大幅に小さい幅の被印字媒体T2を用いた媒体カセット2の場合は、不図示のサーマルヘッドとプラテンローラによる加圧ニップAは被印字媒体T2が位置している基準側に作用する。このため、加圧ニップAと巻取りコア32との間においては、巻取りコア3側への巻取り方向の基準側のテンション(引張力)B1よりも非基準側のテンション(引張力)B2の方が大きくなり、巻取られるインクリボンRに対して非基準側(矢印C方向)に寄り始めて、シワが発生する。また、加圧ニップAのインクリボン巻取り方向に対して上流側のコロ34近傍における、巻取りコア3側への巻取り方向の基準側のテンション(引張力)B3は、上記の非基準側のテンション(引張力)B2よりも小さい。
【0034】
これに対し、図6(c)、図7(b)に示す本実施の形態のように、インクリボンRの幅に対して大幅に小さい幅の被印字媒体T2を用いた媒体カセット2の場合には、上記したように媒体カセット2の装着によって摺動板40が図4の左方向に移動し、更に、回動板47が揺動することにより、それに応じてコロ軸54が揺動してコロ34、35が傾く。これにより、加圧ニップAのインクリボン巻取り方向に対して下流側に位置しているコロ34の、被印字媒体T2が位置している基準側がプラテンローラ18に近づき、加圧ニップAのインクリボン巻取り方向に対して上流側に位置しているコロ35の、被印字媒体T2が位置している基準側がプラテンローラ18から遠のく。
【0035】
よって、コロ35近傍では、基準側でインクリボンRに対する負荷が増して、基準側のテンション(引張力)B1が大きくなり、非基準側のテンション(引張力)B2が小さくなる。また、コロ34近傍では、非基準側でインクリボンRに対する負荷が増して、非基準側のテンション(引張力)B3が大きくなる。これにより、加圧ニップA近傍ではインクリボンRに対して矢印D方向の非基準側から基準側への力が作用し、かつ基準側のテンション(引張力)B1が大きくなっているので、幅狭の被印字媒体T2を用いた場合でもインクリボンRに寄れやシワの発生を抑制して、巻取り方向(矢印E方向)に良好に巻取ることができる。
【0036】
また、図6(d)に示すように、インクリボンRの幅に対して略同じ幅の被印字媒体T1を用いた媒体カセット2の場合においても、図6(c)、図7(b)の場合と同様にコロ34、35を傾けると、コロ35近傍では基準側でインクリボンRに対する負荷が増し過ぎて、基準側のテンション(引張力)B1が大きくなり、非基準側のテンション(引張力)B2が小さくなる。これにより、加圧ニップA近傍では、インクリボンRに対して矢印方向Fの非基準側から基準側への力が作用し、インクリボンRに巻取り不良が発生する。
【0037】
よって、本実施の形態では、インクリボンRの幅に対して略同じ幅の被印字媒体T1を用いた媒体カセット2をセットした場合には、摺動板40が図4の左方向に移動しない位置に媒体カセット2の認識部53を形成する。そして、インクリボンRの幅に対して小さい幅の被印字媒体T1を用いた媒体カセット2の場合には、摺動板40が図4の左方向に移動する位置に媒体カセット2の認識部53を形成する。
【0038】
なお、上記した実施の形態では、コロ34、35を傾けたときのコロ34、35の傾き角度が5度程度で十分な効果が得られたが、インクリボンRの幅に対して被印字媒体Tの幅が大幅に小さい場合には、コロ34、35の傾き角度を更に大きくなるようにする。
【0039】
このように本実施の形態では、インクリボンRの幅に対して小さい幅の被印字媒体T2を用いた媒体カセット2をセットした場合には、インクリボンRの搬送路に設けたコロ34、35を傾ける構成により、インクリボンRに作用するテンション(引張力)が調整され、幅狭の被印字媒体T2を用いた場合でもインクリボンRに寄れやシワの発生を抑制して、巻取り方向(矢印E方向)に良好に巻取ることができる。
【0040】
また、上記した実施の形態では、サーマルヘッドとプラテンローラによる加圧ニップAの上流側と下流側にそれぞれ傾き自在なコロ34、35を有していたが、加圧ニップAの下流側のみに傾き自在なコロを備えた構成でもよい。
【0041】
〈実施の形態2〉
図8は、本発明の実施の形態2に係る印字装置(本実施の形態では可搬式のラベル印刷機)の媒体カセットとリボンカートリッジを示す概略平面図である。なお、実施の形態1の印字装置と同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0042】
本実施の形態では、図8に示すように、印字装置内に配設した摺動板60は、一端側に前方に向かって下り傾斜する傾斜部61を備えている。摺動板60の両端側にそれぞれ形成した長穴状のガイドピン孔62、63には、印字装置側に設けたガイドピン64、65がそれぞれ係止されており、摺動板60は、ガイドピン孔62、63に沿って図8の左右方向に摺動可能に保持されている。また、摺動板60の一端側は、印字装置内に配置したバネ67によって図8の右側方向に付勢力が作用している。
【0043】
媒体カセット2には、媒体カセット2を印字装置にセットしたときに摺動板60の傾斜部61が位置する部分に開口した認識部53が形成されており、媒体カセット2を印字装置の上方から印字装置にセットすると、認識部53の端部53aが摺動板60の傾斜部61に摺接することにより、摺動板60は図8の左方向へ移動する。摺動板60の図8の左方向へ移動量は、認識部53の端部53aの位置及び傾斜部61の傾斜度によって調整することができる。
【0044】
即ち、実施の形態1と同様に、インクリボンRの幅に対して小さい幅の被印字媒体Tを用いた媒体カセット2をセットする場合には、移動量が多くなるように認識部53の端部53aを媒体カセット2の外面近くまで伸ばして形成し、インクリボンRの幅に対して略同じ幅の被印字媒体Tを用いた媒体カセット2をセットする場合には、移動量が略ゼロになるように認識部53の端部53aを媒体カセット2の外面から離れる内側に形成する。また、傾斜部61の傾斜度を変化させることによっても、同様に摺動板60の図4の左方向へ移動量を調整することができる。
【0045】
摺動板60の他端側には軸66が設けられており、リボンカートリッジ30にはこの軸66の位置に対応して弾性自在なテンション板71が設けられている。リボンカートリッジ70を印字装置にセットすると、軸66がテンション板71の背面側に当接するように構成されている。
【0046】
テンション板71は、図9(a)、(b)、(c)に示すように、軸66と当接する背面側と反対の表面側の先端部にパッド72が貼り付けられている。パッドは、可撓性と摺動性を備えた材質としてフェルトを用いている。テンション板71の基端部73は、リボンカートリッジ30内に設けたリブ75で固定されている。テンション板71に貼り付けたパッド72は、図10に示すように、不図示のサーマルヘッドとプラテンローラによる加圧ニップAに対してインクリボン搬送方向の上流側に設けたコロ34の非基準側にのみ設けられている。なお、パッドはインクリボンに適度なテンションを付加可能なものであれば他の材質であってもよく、その形状も、例えば回転自在なゴムローラ等であってもよい。
【0047】
よって、図10に示すように、インクリボンRの幅に対して小さい幅の被印字媒体Tを用いた媒体カセット2をセットした場合には、上記したように媒体カセット2の装着によって摺動板60が図8の左方向に移動し、当接する軸66によってテンション板71が対向するコロ34に押圧される。これにより、被印字媒体Tが位置していない非基準側は、インクリボンRに対する負荷が増す。これにより、加圧ニップAの下流側に設けたコロ35近傍では、インクリボンRの幅方向に対する基準側と非基準側の各テンション(引張力)の大きさが略均一になることによって、幅狭の被印字媒体T1を用いた場合でもインクリボンRに寄れやシワの発生を抑制して、巻取り方向(矢印E方向)に良好に巻取ることができる。
【0048】
なお、上記した第1及び第2の実施の形態では、被印字媒体の幅情報を媒体カセットの認識部として有させたが、印字装置に被印字媒体の幅を検出するフォトセンサ等の検出手段を有させてもよく、その際にコロ軸やテンション板を検出結果に基づいてモータやソレノイド等の駆動手段を用いて移動させてもよい。
【0049】
また、本発明に係る印字装置は本実施の形態に限定されるものではなく、全てのインクリボンを用いる片側基準の印字装置に適用可能であり、被印字媒体も短冊やカード等、様々な媒体に適用可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、インクリボンの幅に対して幅狭の被印字媒体を用いた場合でも、インクリボンの幅方向に対するテンション(引張力)が基準側と非基準側とで均一になるように調整することができるので、幅狭の被印字媒体を用いた場合でもインクリボンに寄れやシワの発生を抑制して良好に巻取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1、2に係る印字装置を示す概略斜視図。
【図2】本発明の実施の形態1におけるリボンカセットを示す概略平面図。
【図3】本発明の実施の形態1における媒体カセットの本体への係止部を示す概略断面。
【図4】本発明の実施の形態1における媒体カセットとインクリボンを示す概略平面図。
【図5】本発明の実施の形態1におけるコロ軸とコロを示す概略断面。
【図6】本発明の実施の形態1における印字動作時のコロの傾き動作を説明するための面。
【図7】本発明の実施の形態1における印字動作時のコロの傾き動作を説明するための面。
【図8】本発明の実施の形態2における媒体カセットとインクリボンを示す概略平面図。
【図9】本発明の実施の形態2におけるテンション板示す図。
【図10】本発明の実施の形態2における印字動作時の加圧ニップ近傍を示す図。
【符号の説明】
1 印字装置
2 媒体カセット
14 サーマルヘッド
15 ピンチローラ
30 リボンカートリッジ
34、35 コロ
40、60 揺動板(調整手段)
41、61 傾斜部(調整手段)
71 テンション板(調整手段)
72 パッド(調整手段)
Claims (6)
- サーマルヘッドとプラテン間で、熱転写リボンと被印字媒体を加圧挟持して、前記被印字媒体の幅方向における一方の縁を位置決め基準として前記被印字媒体を搬送し、前記サーマルヘッドの発熱により前記被印字媒体に印字を行う印字装置において、
前記サーマルヘッドとプラテン間の加圧ニップ近傍で、前記熱転写リボンの幅方向での前記熱転写リボンの巻取り方向の引張力を略均一に調整する調整手段を備えた、
ことを特徴とする印字装置。 - 前記調整手段は、前記熱転写リボンの幅に対して前記被印字媒体の幅が狭い場合に前記調整動作を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の印字装置。 - 前記被印字媒体は該被印字媒体の幅情報を有する媒体カセットに収納され、前記調整手段は前記媒体カセットの着脱に連動して調整を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印字装置。 - サーマルヘッドとプラテン間で、熱転写リボンと被印字媒体を加圧挟持して、前記被印字媒体の幅方向における一方の縁を位置決め基準として前記被印字媒体を搬送し、前記サーマルヘッドの発熱により前記被印字媒体に印字を行う印字装置において、
前記サーマルヘッドとプラテン間の加圧ニップ近傍で、前記熱転写リボンの幅方向での前記熱転写リボンの巻取り方向の引張力を前記位置決め基準側の方が大きくなるように調整する調整手段を備えた、
ことを特徴とする印字装置。 - 前記調整手段は、前記熱転写リボンの幅に対して前記被印字媒体の幅が狭い場合に前記調整動作を行う、
ことを特徴とする請求項4に記載の印字装置。 - 前記被印字媒体は該被印字媒体の幅情報を有する媒体カセットに収納され、前記調整手段は前記媒体カセットの着脱に連動して調整を行う、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の印字装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002382410A JP2004209815A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 印字装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002382410A JP2004209815A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 印字装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004209815A true JP2004209815A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=32817977
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002382410A Withdrawn JP2004209815A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 印字装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004209815A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114590035A (zh) * | 2022-03-02 | 2022-06-07 | 苏州峦胜机械科技有限公司 | 一种用于热转印打印机的打印组件 |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002382410A patent/JP2004209815A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114590035A (zh) * | 2022-03-02 | 2022-06-07 | 苏州峦胜机械科技有限公司 | 一种用于热转印打印机的打印组件 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7819597B2 (en) | Printing method and printer having a printing head and thermal activation head | |
KR100812580B1 (ko) | 잉크 리본 카세트 | |
TWI276551B (en) | Printing apparatus and method for passbooks | |
JP6324062B2 (ja) | プリンタ | |
JP2004209815A (ja) | 印字装置 | |
JP5009997B2 (ja) | テープ状記録媒体用給送ガイド及びそれを備えたプリンタ | |
JP3883754B2 (ja) | 両面印刷用プリンタ | |
JP3740077B2 (ja) | プリンタ | |
JP6889763B2 (ja) | プリンタ | |
JP5916303B2 (ja) | フィルム状媒体搬送装置 | |
JP2951819B2 (ja) | ラインサーマルラベルプリンタ | |
JP2001158555A (ja) | サーマルプリンタにおける用紙搬送機構 | |
JP2019014084A (ja) | プリンタ | |
JP6723336B2 (ja) | プリンタ | |
JP3732790B2 (ja) | プリンタ | |
JP6526117B2 (ja) | ロール支持体およびそれを備えるプリンタ | |
JP2003251837A (ja) | プリンタ | |
JP2975503B2 (ja) | ラインサーマルプリンタ | |
JPH11245463A (ja) | サーマル印字装置 | |
JP3278121B2 (ja) | ラインサーマルプリンタ | |
JP2931178B2 (ja) | ラインサーマルプリンタ | |
JP3507550B2 (ja) | プリンタ装置 | |
JP2022067334A (ja) | フィルムセット及び画像形成装置 | |
JP4848713B2 (ja) | 印刷装置 | |
JP2008023859A (ja) | ラベル発行装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20041022 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20041215 |
|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060307 |