JP2004209074A - 皮膚貼付シート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、木酢液組成物の皮膚残り、剥離フィルムへの転移等を抑え、使用感及び使用性に優れるとともに、木酢液本来の効果を長時間にわたり持続可能な皮膚貼付シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】木酢液と含水ゲルとからなる粘着層が基材上に形成され、該粘着層が剥離フィルムで覆われていることを特徴とする。基材は、不織布/非通気性フィルム又は不織布/非通気性フィルム/不織布の積層基材とするのが好ましい。以上のシートは、所定の間隔をあけて配置された2つのローラの間で、基材及び剥離フィルムを重ね合わせる構成とし、木酢液を含む第1液とポリアクリル酸塩と架橋剤とを含む第2液とを混合した後、上記重なり合う位置に滴下してゲル状の液溜まりを形成し、2つのローラの回転とともに基材と剥離フィルムとの間に所定の厚さのゲル状粘着層を挟み込むようにして作製する。
【選択図】 図1
【解決手段】木酢液と含水ゲルとからなる粘着層が基材上に形成され、該粘着層が剥離フィルムで覆われていることを特徴とする。基材は、不織布/非通気性フィルム又は不織布/非通気性フィルム/不織布の積層基材とするのが好ましい。以上のシートは、所定の間隔をあけて配置された2つのローラの間で、基材及び剥離フィルムを重ね合わせる構成とし、木酢液を含む第1液とポリアクリル酸塩と架橋剤とを含む第2液とを混合した後、上記重なり合う位置に滴下してゲル状の液溜まりを形成し、2つのローラの回転とともに基材と剥離フィルムとの間に所定の厚さのゲル状粘着層を挟み込むようにして作製する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は皮膚貼付シート及びその製造方法にかかり、特に、木酢液の効果を長時間にわたり維持できると共に使用性に優れた皮膚貼付シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
木酢液は、皮膚疾患の改善、消炎、血行促進等の効果があることから、その水溶液を患部に塗布等して使用されている。しかし、単に塗布するだけでは、木酢液水溶液は蒸発してしまい十分な効果を得ることできないことから、例えば、木酢液をデキストリンや粉炭と練ってペースト状とした組成物を患部に塗布して用いる方法が提案されている。木酢液をデキストリン及び/又は粉炭と練り合わせた組成物は、これを皮膚に塗布することにより、木酢液自体の効果を損なうことなく、長時間にわたりその効果を持続することが可能となった。さらに、使用性を高めるべくこの組成物をポリエチレン等の非滲出性基材上に形成した皮膚貼付シートが併せて提案されている(特開2002−212093公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記組成物は、当然のことながら皮膚上に残り、ふき取り・洗浄する必要があるため、面倒で使用性が悪いという問題があった。
また、シート材の場合は、組成物を剥離フィルム及び例えばポリエチレシートで挟んたサンドイッチ構造とすると取扱は簡便になるものの、剥離フィルムを剥がすとき組成物がフィルム側に転移したり、さらには皮膚に貼って使用すると皮膚上に組成物が残ってしまい、同様に、ふき取り、洗浄する必要があった。
さらに、シート材の形態にするには、通常、塗工機及び打ち抜き機が用いられるが、上記従来の組成物では所定の厚さに塗工するのは容易でなく又生産性が低いという問題があった。さらに、打抜刃に組成物が付着し易いため、連続した打ち抜きは困難で、頻繁なメンテナンスが必要という問題があった。
【0004】
かかる状況において、本発明者は木酢液組成物の材料、組成比、製造方法等を種々検討したところ、ポリアクリル酸ナトリウムを架橋させゲル化したものに木酢液を含ませる構成とすることにより、上記の問題を解決でき、木酢液の効果を損なうことのない皮膚貼付シートを安定して量産できることが分かった。
本発明は、かかる知見を基にさらに検討を加えて完成したものであり、木酢液組成物の皮膚残り、剥離フィルムへの転移等を抑え、使用感及び使用性に優れるとともに、木酢液本来の効果を長時間にわたり持続可能な皮膚貼付シートを提供することを目的とする。また、経皮吸収を向上させて木酢液の効果を一層高めた皮膚貼付シートを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、以上の皮膚貼付シートを生産性良く量産することが可能な製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の皮膚貼付シートは、木酢液と含水ゲルとからなる粘着層が基材上に形成され、該粘着層が剥離フィルムで覆われていることを特徴とする。かかる構成とすることにより、適度な粘着力及び凝集力を有する粘着層を形成することが可能となる。この結果、粘着層が剥離フィルムや皮膚に転移することがなくなり、その一方で、皮膚へしっかり貼り付け固定することが可能となる。
前記基材は、不織布/非通気性フィルム又は不織布/非通気性フィルム/不織布の積層基材とするのが好ましい。かかる基材を用い、不織布上に前記粘着層を形成することにより、粘着層はより強固に基材に固定され、剥離フィルムや皮膚への転移を防止する効果が一層向上する。さらに、水分等の蒸散が抑えられることから、より長時間にわたり木酢液の効果が維持されるとともに、粘着層の柔軟性が維持され使用感の低下を抑えることができる。
【0006】
前記含水ゲルは、水溶性高分子を架橋したものが好ましく、ポリアクリル酸塩を架橋したものがより好ましい。ポリアクリル酸塩を用いることにより、ゲル中の木酢液の分布がより均一となって、木酢液の消炎・治癒効果等を向上させるともにより長時間その効果を維持させることができる。また、使用感が向上する。
なお、前記基材の前記粘着層と反対側の面に、空気との接触により発熱する発熱体を貼り付ける等してもよい。
【0007】
本発明の皮膚貼付シートの製造方法は、木酢液を含有する含水ゲルからなる粘着層が基材上に形成され、前記粘着層が剥離フィルムに覆われた皮膚貼付シートの連続製造方法であって、所定の間隔をあけて配置された2つのロールの間に、基材ロール及び剥離フィルムロールから前記基材及び前記剥離フィルムが連続的に繰り出され、該2つのロールの間で重ね合われた後、下方に共に移動する構成とし、木酢液を含む第1液とポリアクリル酸塩と架橋剤とを含む第2液とをそれぞれ別個に用意し、第1液と第2液とを混合した後、前記基材と前記剥離フィルムとが重なり合う位置に滴下してゲル状の液溜まりを形成し、前記2つのロールの回転と共に前記基材と前記剥離フィルムとの間に所定の厚さのゲル状粘着層を挟み込むことを特徴とする。
【0008】
2つの液を混合した後、吐出・滴下して、基材と剥離フィルム間上にゲル溜まりを形成する構成とすることにより、ゲル化の速度を制御することができ、3層構造の皮膚貼付シートを生産性よく連続して製造することができる。
このような工程で作製した皮膚貼付シートは、例えば、所望の形状に安定して打ち抜くことができ、歩留まり良く量産することができる。ここで、前記基材と前記剥離フィルムと間に挟み込まれる際の前記ゲル状の液溜まりの粘度を300,000〜1,000,000cpsとするのが好ましい。ゲル状液溜まりの粘度を以上の範囲とすることで、皮膚貼付シートの厚さを安定させるのみならず、粘着層をより均質とすることができる。
【0009】
さらに、前記架橋剤は、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートであり、混合した後の液のpHが5〜6.5となるように前記第1液に酒石酸を加えることを特徴とする。かかるpH範囲とすることにより使用感が向上し、また酒石酸を加えることによりゲル化の制御を容易に行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施形態を図1に示す。図1は、本発明の皮膚貼付シートの一例を示す模式的断面図である。
本実施形態の皮膚貼付シート10は、図1に示すように、シート基材1上に木酢液を含有するゲル状の粘着層2が形成されたものである。ゲル状粘着層2の表面は剥離フィルム3で覆われて、使用時には剥離フィルムを取り除き、粘着層を皮膚に押し当て貼付する。また、皮膚貼付シート10は、通常、非通気性の袋体4内で保管する。
【0011】
ゲル状粘着層2は、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子を架橋、ゲル化させて、その内部に木酢液を保持できるように構成したものであり、水溶性高分子や架橋剤の種類、添加量によりゲルの弾性や粘着性等を調製することができる。架橋剤としては、多価金属イオン、アルデヒド、エポキシ化合物等の公知のものを用いることができるが、このうち、木酢液を含む本発明においては、主として水酸化アルミニウムやジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート等のアルミニウム系架橋剤が用いられ、特にジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートが好適に用いられる。
【0012】
ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートを用いることによって、より一層均一なゲルを作製できるとともに、ゲル化の過程及び時間の制御が容易ととなり、生産工程における基材への塗工や打抜き(切断)に適したゲル状態を得ることが可能となる。この結果として、安定した品質の皮膚貼付シートを生産性、歩留まり良く製造することができる。ここで、第1液に酒石酸を配合しておき、混合後のpHが5〜6.5となるようにするのが特に好ましい。これにより、一層均一なゲルを作製することができる。
一方、水酸化アルミニウムを用いる場合はジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートと比べて水に対する溶解性が高いため、ゲル化が速くなり不均一になりやすいことから、本発明の場合、溶解速度を低下させるために、EDTA等を加える必要がある。
【0013】
本発明に用いる木酢液は、樹木を炭化するときに抽出される淡黄色から淡紅色の液体であり、例えば、北部産業株式会社製木酢液等、市販のものを用いることができる。配合量は、多いほど皮膚吸収が促進され消炎・治癒効果等が向上するが、その一方木酢液特有の匂いが強くなるため、通常、1〜80%であり、1〜40%が好適に用いられる。
【0014】
水溶性高分子としては、ポリアクリル酸塩の他に、例えば、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース塩、ポリビニールアルコール、ポリビニールピロリドン、ポリビニールピロリドン・ビニールアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、ゼラチン、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガカントガム、カラヤガム、メチルビニールエーテル、無水マレイン酸共重合体があげられるが、特に、カルボキシル基を有するものが好適に用いられる。水溶性高分子の配合量は、通常1〜20%程度であり、5〜15%が好ましい。また、架橋剤の配合量は水溶性高分子によって異なるが、0.01〜10%程度が用いられ、0.02〜2.0%が好適に用いられる。
【0015】
また、皮膚貼付シートを使用中及び保管中において、保湿性及びゲルの柔軟性を維持するために、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールが好適に添加される。特にグリセリンが好ましい。添加量は通常5〜60%程度である。さらに、ゲルの保形性を維持し又は皮膚貼付シート使用中のベタつき感を抑えるべく、種々の吸水性ポリマーが好適に配合される。この吸水性ポリマーとしては、例えば、デンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト重合体、架橋性ポリアクリル酸ナトリウム等が用いられる。この他、必要に応じて、防腐剤、タルク・カオリン・酸化鉄等の無機粉体、粉炭等を配合しても良い。
【0016】
図1の基材としては、高分子フィルム、織布、不織布又はこれらを組み合わせたものが用いられるが、粘着層の保持性から不織布が好適に用いられ、粘着層の皮膚残り及び剥離フィルムへの転移を防止することができる。なお、基材の材質としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、レーヨンが用いられる。剥離フィルムは、一般のパッブ(又は湿布)シート用の剥離フィルムが用いられ、具体的にはポリエチレン、ポリエステル、PET等のフィルムのゲルが接触する面をシリコーン加工したものが好適に用いられる。
さらに、本発明において、基材としては、不織布/非通気性フィルム又は不織布/非通気性フィルム/不織布の積層構造のものが好適に用いられ、これにより、水分等の蒸散が抑えられる。この結果、木酢液の効果をより長時間持続させることが可能となる。また、粘着層の柔軟性の低下が抑制され、優れた使用感を維持することができる。
【0017】
本実施形態の皮膚貼付シートは、剥離フィルムが粘着層に付着することなく容易に剥がれ、また、適度の粘着性を有するため、しっかり皮膚に貼り付き、また剥すときにも皮膚に残ることもないし、また、汚れることもない。さらに、木酢液はゲル内に保持されるため成分は徐々に経皮吸収され、長時間にわたり木酢液の効果を発揮・持続させることが可能となる。
【0018】
次に、図1の皮膚貼付シートの製造方法を図3に基づいて説明する。
図3は、皮膚貼付シートの製造装置の一構成例を示す模式図である。図3に示すように、皮膚貼付シートの製造装置は、混合機30と、メインロール35,吸引ロール36,一対のニップロール37、ロール38とから構成され、混合機30は、ミキサー部31に第1液導入管32、第2液導入管33及び混合液吐出管34が取り付けられた構造を有している。
【0019】
基材シート1及び剥離フィルム3は、基材ロール39及び剥離フィルムロール40から所定の速度で繰り出され、メインロール35と吸引ロール36との間で重ね合わされ、ここで木酢液含有ゲル2が所定の厚さに挟み込まれ、ニップロール37,ロール38を経て、不図示の打ち抜き機に送られる。混合機30においては、第1液タンクから、木酢液を含む第1液が導入管32を介してミキサー部31に送られる。同時に、第2液タンクから、水溶性ポリマー及び架橋剤が均一に分散された第2液が導入管33を介してミキサー部31に送られる。
ここで、第2液の分散媒としては、多価アルコールが用いられるが、グリセリンが特に好適に用いられる。なお、ソルビトールのように水を含むものは避けるべきであり、第2液を調製中にゲル化が開始し、ゲル化の制御が困難となる。
【0020】
ミキサ部31で両液が混合し、ゲル化が開始する。両液はミキサー内を下降しながら均一に混合され、均一相となる。ここで、第1液は、通常1〜10cps程度であり、第2液は1000〜10000cpsとするのが好ましい。この範囲とすることで、混合液の均一性は一層向上する。均一な混合液は、吐出管34から放出され、ロール35,36の間の基材シートと剥離フィルムとの最近接部上にゲル液溜まり2を形成する。なお、吐出される混合液の粘度(ゲル化の進行状態)は、各液の導入流量、ミキサー回転数及びミキサー部の長さ等を適宜選択することにより決定できるため、種々の生産量、装置寸法等に対応することができる。本発明において、基材と剥離フィルムと間に挟み込まれる際のゲル状の液溜まりの粘度を300,000〜1,000,000cps程度とするのが好ましく、均質で均一な厚さのシートを安定して作製できるとともに、後工程の打ち抜きをより一層安定して行うことができる。
【0021】
ゲルを挟んだ基材シート1及び剥離フィルム3は下方に送られ、ニップロール37でさらに厚さが制御され、木酢液含有皮膚貼付シートが作製される。これらは、連続して、例えばトムソン打ち抜き機又はダイロール型打ち抜き機に送られ、所定の形状に打ち抜き、切断される。その後、非通気性袋体に封入されて完成する。
【0022】
本発明の第2の実施形態を図2の模式的断面図に示す。
図2の皮膚貼付シートは、図1に示した皮膚貼付シートに発熱体シートを取り付けたものであり、これにより木酢液の有効成分の皮膚吸収を促進させ、種々の消炎・治癒効果等をより一層高めることが可能となる。
即ち、本実施形態の皮膚貼付シートは、不織布5、所定の通気量を有する通気性フィルム6、発熱組成物7、非通気性フィルム8とからなる発熱シート20を、不織布1、ゲル状粘着層2及び剥離フィルム3からなる図1の皮膚貼付シート10に粘着剤(不図示)を介して貼りつけたものである。
【0023】
発熱シート20はこの構成に限ることはなく、一般の医療用発熱体シート、使い捨てカイロ等に用いられるものであればどのような構成であってもよいが、上記粘着層での温度が39〜41℃程度に維持できるように、発熱組成物、通気性フィルムの通気度や透湿度を選択するのが好ましく、ゲル状粘着層に含まれる木酢液配合量は、1〜40%とするのが好ましい。このように設定することにより、長時間にわたり経皮吸収が大きく促進され、木酢液自体の消炎・治癒効果等が一層向上する。
なお、本実施形態の皮膚貼付シートも図1と同様に非通気性の袋体中で保管する。
【0024】
次に実施例をあげて本発明をより詳細に説明する。
図3に示す装置を用いて、以下に示す手順で皮膚貼付シートを連続して作製した。
まず、第1液として、木酢液(北部産業株式会社製)、防腐剤(上野製薬株式会社メッキンスM)のジプロピレングリコール溶液及び酒石酸の混合液を作製した。第2液として、水溶性高分子としてのポリアクリル酸ナトリウム部分中和物(昭和電工株式会社製ビスコメートNP−700)、架橋剤としてのジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート(協和化学工業株式会社製グリシナール)、吸水性ポリマーとしてのデンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト重合体(サンダイヤポリマー株式会社サンフレッシュST−100MC)、防腐剤のジプロピレングリコール溶液及び粉炭(北部産業株式会社製)を、保湿剤としての役割を果たすグリセリン中に均一に分散・混合した。各成分の割合(重量%)の一例を表1に示した。
【0025】
第1液及び第2液をそれぞれ293g/分及び411g/分の流量で混合機に導入した。また、基材には、幅24cmのポリエステル不織布(30g/m2)/ポリエチレンフィルム(20μm)/ポリエステル不織布(30g/m2)からなる積層シートを用い、剥離フィルムには、表面をシリコーン処理したPET製剥離フィルム(幅28cm、厚さ75μm)を用い、いずれも4m/分の速度で矢印の方向に送り出した。
粘着層の塗工量が800±100g/m2となるようにメインロールと吸引ロール間及びニップロール間の間隔を調節し、不図示のトムソン型打抜機で、7cmx9.5cmの寸法に切断して皮膚貼付シートを作製した。
【0026】
【表1】
【0027】
表1に示したいずれの試料についても、剥離フィルム側に粘着層を転移することなく容易に剥がすことができ、また、皮膚に貼付した直後及び6時間貼付した後も粘着層が皮膚に残ることなく完全にきれいな状態で剥がすことができた。
また、官能テストを行ったところ、いずれの試料についても、従来の木酢液組成物と同程度の消炎・治癒効果があることが分かり、さらに木酢液配合量が高いほどその効果が増加することが分かった。
さらに、市販の発熱シート(商品名「直貼」久光製薬株式会社)に試料1を貼り付け、同様に患部に貼って官能テストを行ったところ、試料1の試料であっても十分高い効果を示し、かつ短時間で顕著な効果が見られた。
【0028】
次に、試料6について、基材を三層構造の代わりに不織布単体を用い、同様にして皮膚貼付シートを作製し、これらを23℃、相対湿度44%の雰囲気中に放置した時の粘着層重量の変化を比較した。粘着層重量の減少量の割合(%)が時間とともに変化する様子を表2に示した。
【表2】
表2から明らかなように、不織布単体の場合と比べて三層構造の基材を用いた場合は、粘着層からの水分等の蒸散が大幅に抑えられることが分かる。また、不織布単体の場合には若干皮膚のひきつりを感じるモニタもいたが、三層構造の場合はひきつりを感じるモニタはなく貼付時の使用感が維持されることが分かった。また、使用感のみならず、木酢液自体の効能もより長時間維持されることが分かった。
【0029】
さらに、試料4について、第1液と第2液とを混合後、基材と剥離フィルム間に挟時させる際の粘度と粘着層の均質性及び厚さ均一性との関係について調べた。即ち、2液を混合して3秒間のミキシングを行った後、0.2mlサンプリングし、粘度の時間変化を円錐−平版型回転型粘度計(東機産業株式会社製RE550U)で測定した。その結果を図4に示す。ここで、コーン角3度のコーンロータを用い、ズリ速度2,回転数1rpm、温度23℃で測定した。
一方、図3の装置において、2液混合し3秒のミキシングした後、基材及び剥離フィルム間に挟持させるまでの時間を変えて(即ち、ゲルの粘度を変えて)、皮膚貼付シートを作製した。
図4から求められる粘度と作製した皮膚貼付シートの状態を比較したところ、粘度を300,000〜1,000,000cpsとすることにより、粘着層は極めて均質となりしかも均一となることが分かった。さらに、所望の形状の打ち抜きがより安定して行うことができることが分かった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明してきたことから明らかなように、本発明により、皮膚貼付シートの粘着層を木酢液を含有した含水ゲルで構成することにより、木酢液本来の様々な効果を損なうことなくしかも長時間持続させることができるともに、粘着層が皮膚に残ったり、剥離フィルムを剥がすときにフィルム側に転移したりすることを防止し、使用性・使用感に優れた皮膚貼付シートを提供することが可能となる。また、このような構成とすることにより、生産性が大幅に向上するとともに、様々な性能を有するシート及びその生産量への対応が容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の皮膚貼付シートの一例を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の皮膚貼付シートの他の例を示す模式的断面図である。
【図3】皮膚貼付シートの製造方法を説明する模式図である。
【図4】ゲル化時間と粘度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 シート基材(不織布)、
1’ 不織布、
2 粘着層、
3 剥離フィルム、
4 袋体、
4’非通気性フィルム、
5 発熱組成物、
6 通気性フィルム、
10 皮膚貼付シート、
20 発熱体シート、
30 混合機、
31 ミキサー部、
32 第1液導入管、
33 第2液導入管、
34 吐出管、
35 メインロール、
36 吸引ロール、
37 ニップロール、
38 ロール、
39 基材ロール、
40 剥離フィルムロール。
【発明の属する技術分野】
本発明は皮膚貼付シート及びその製造方法にかかり、特に、木酢液の効果を長時間にわたり維持できると共に使用性に優れた皮膚貼付シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
木酢液は、皮膚疾患の改善、消炎、血行促進等の効果があることから、その水溶液を患部に塗布等して使用されている。しかし、単に塗布するだけでは、木酢液水溶液は蒸発してしまい十分な効果を得ることできないことから、例えば、木酢液をデキストリンや粉炭と練ってペースト状とした組成物を患部に塗布して用いる方法が提案されている。木酢液をデキストリン及び/又は粉炭と練り合わせた組成物は、これを皮膚に塗布することにより、木酢液自体の効果を損なうことなく、長時間にわたりその効果を持続することが可能となった。さらに、使用性を高めるべくこの組成物をポリエチレン等の非滲出性基材上に形成した皮膚貼付シートが併せて提案されている(特開2002−212093公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記組成物は、当然のことながら皮膚上に残り、ふき取り・洗浄する必要があるため、面倒で使用性が悪いという問題があった。
また、シート材の場合は、組成物を剥離フィルム及び例えばポリエチレシートで挟んたサンドイッチ構造とすると取扱は簡便になるものの、剥離フィルムを剥がすとき組成物がフィルム側に転移したり、さらには皮膚に貼って使用すると皮膚上に組成物が残ってしまい、同様に、ふき取り、洗浄する必要があった。
さらに、シート材の形態にするには、通常、塗工機及び打ち抜き機が用いられるが、上記従来の組成物では所定の厚さに塗工するのは容易でなく又生産性が低いという問題があった。さらに、打抜刃に組成物が付着し易いため、連続した打ち抜きは困難で、頻繁なメンテナンスが必要という問題があった。
【0004】
かかる状況において、本発明者は木酢液組成物の材料、組成比、製造方法等を種々検討したところ、ポリアクリル酸ナトリウムを架橋させゲル化したものに木酢液を含ませる構成とすることにより、上記の問題を解決でき、木酢液の効果を損なうことのない皮膚貼付シートを安定して量産できることが分かった。
本発明は、かかる知見を基にさらに検討を加えて完成したものであり、木酢液組成物の皮膚残り、剥離フィルムへの転移等を抑え、使用感及び使用性に優れるとともに、木酢液本来の効果を長時間にわたり持続可能な皮膚貼付シートを提供することを目的とする。また、経皮吸収を向上させて木酢液の効果を一層高めた皮膚貼付シートを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、以上の皮膚貼付シートを生産性良く量産することが可能な製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の皮膚貼付シートは、木酢液と含水ゲルとからなる粘着層が基材上に形成され、該粘着層が剥離フィルムで覆われていることを特徴とする。かかる構成とすることにより、適度な粘着力及び凝集力を有する粘着層を形成することが可能となる。この結果、粘着層が剥離フィルムや皮膚に転移することがなくなり、その一方で、皮膚へしっかり貼り付け固定することが可能となる。
前記基材は、不織布/非通気性フィルム又は不織布/非通気性フィルム/不織布の積層基材とするのが好ましい。かかる基材を用い、不織布上に前記粘着層を形成することにより、粘着層はより強固に基材に固定され、剥離フィルムや皮膚への転移を防止する効果が一層向上する。さらに、水分等の蒸散が抑えられることから、より長時間にわたり木酢液の効果が維持されるとともに、粘着層の柔軟性が維持され使用感の低下を抑えることができる。
【0006】
前記含水ゲルは、水溶性高分子を架橋したものが好ましく、ポリアクリル酸塩を架橋したものがより好ましい。ポリアクリル酸塩を用いることにより、ゲル中の木酢液の分布がより均一となって、木酢液の消炎・治癒効果等を向上させるともにより長時間その効果を維持させることができる。また、使用感が向上する。
なお、前記基材の前記粘着層と反対側の面に、空気との接触により発熱する発熱体を貼り付ける等してもよい。
【0007】
本発明の皮膚貼付シートの製造方法は、木酢液を含有する含水ゲルからなる粘着層が基材上に形成され、前記粘着層が剥離フィルムに覆われた皮膚貼付シートの連続製造方法であって、所定の間隔をあけて配置された2つのロールの間に、基材ロール及び剥離フィルムロールから前記基材及び前記剥離フィルムが連続的に繰り出され、該2つのロールの間で重ね合われた後、下方に共に移動する構成とし、木酢液を含む第1液とポリアクリル酸塩と架橋剤とを含む第2液とをそれぞれ別個に用意し、第1液と第2液とを混合した後、前記基材と前記剥離フィルムとが重なり合う位置に滴下してゲル状の液溜まりを形成し、前記2つのロールの回転と共に前記基材と前記剥離フィルムとの間に所定の厚さのゲル状粘着層を挟み込むことを特徴とする。
【0008】
2つの液を混合した後、吐出・滴下して、基材と剥離フィルム間上にゲル溜まりを形成する構成とすることにより、ゲル化の速度を制御することができ、3層構造の皮膚貼付シートを生産性よく連続して製造することができる。
このような工程で作製した皮膚貼付シートは、例えば、所望の形状に安定して打ち抜くことができ、歩留まり良く量産することができる。ここで、前記基材と前記剥離フィルムと間に挟み込まれる際の前記ゲル状の液溜まりの粘度を300,000〜1,000,000cpsとするのが好ましい。ゲル状液溜まりの粘度を以上の範囲とすることで、皮膚貼付シートの厚さを安定させるのみならず、粘着層をより均質とすることができる。
【0009】
さらに、前記架橋剤は、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートであり、混合した後の液のpHが5〜6.5となるように前記第1液に酒石酸を加えることを特徴とする。かかるpH範囲とすることにより使用感が向上し、また酒石酸を加えることによりゲル化の制御を容易に行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施形態を図1に示す。図1は、本発明の皮膚貼付シートの一例を示す模式的断面図である。
本実施形態の皮膚貼付シート10は、図1に示すように、シート基材1上に木酢液を含有するゲル状の粘着層2が形成されたものである。ゲル状粘着層2の表面は剥離フィルム3で覆われて、使用時には剥離フィルムを取り除き、粘着層を皮膚に押し当て貼付する。また、皮膚貼付シート10は、通常、非通気性の袋体4内で保管する。
【0011】
ゲル状粘着層2は、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子を架橋、ゲル化させて、その内部に木酢液を保持できるように構成したものであり、水溶性高分子や架橋剤の種類、添加量によりゲルの弾性や粘着性等を調製することができる。架橋剤としては、多価金属イオン、アルデヒド、エポキシ化合物等の公知のものを用いることができるが、このうち、木酢液を含む本発明においては、主として水酸化アルミニウムやジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート等のアルミニウム系架橋剤が用いられ、特にジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートが好適に用いられる。
【0012】
ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートを用いることによって、より一層均一なゲルを作製できるとともに、ゲル化の過程及び時間の制御が容易ととなり、生産工程における基材への塗工や打抜き(切断)に適したゲル状態を得ることが可能となる。この結果として、安定した品質の皮膚貼付シートを生産性、歩留まり良く製造することができる。ここで、第1液に酒石酸を配合しておき、混合後のpHが5〜6.5となるようにするのが特に好ましい。これにより、一層均一なゲルを作製することができる。
一方、水酸化アルミニウムを用いる場合はジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートと比べて水に対する溶解性が高いため、ゲル化が速くなり不均一になりやすいことから、本発明の場合、溶解速度を低下させるために、EDTA等を加える必要がある。
【0013】
本発明に用いる木酢液は、樹木を炭化するときに抽出される淡黄色から淡紅色の液体であり、例えば、北部産業株式会社製木酢液等、市販のものを用いることができる。配合量は、多いほど皮膚吸収が促進され消炎・治癒効果等が向上するが、その一方木酢液特有の匂いが強くなるため、通常、1〜80%であり、1〜40%が好適に用いられる。
【0014】
水溶性高分子としては、ポリアクリル酸塩の他に、例えば、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース塩、ポリビニールアルコール、ポリビニールピロリドン、ポリビニールピロリドン・ビニールアセテート共重合体、ポリエチレンオキサイド、ゼラチン、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガカントガム、カラヤガム、メチルビニールエーテル、無水マレイン酸共重合体があげられるが、特に、カルボキシル基を有するものが好適に用いられる。水溶性高分子の配合量は、通常1〜20%程度であり、5〜15%が好ましい。また、架橋剤の配合量は水溶性高分子によって異なるが、0.01〜10%程度が用いられ、0.02〜2.0%が好適に用いられる。
【0015】
また、皮膚貼付シートを使用中及び保管中において、保湿性及びゲルの柔軟性を維持するために、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールが好適に添加される。特にグリセリンが好ましい。添加量は通常5〜60%程度である。さらに、ゲルの保形性を維持し又は皮膚貼付シート使用中のベタつき感を抑えるべく、種々の吸水性ポリマーが好適に配合される。この吸水性ポリマーとしては、例えば、デンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト重合体、架橋性ポリアクリル酸ナトリウム等が用いられる。この他、必要に応じて、防腐剤、タルク・カオリン・酸化鉄等の無機粉体、粉炭等を配合しても良い。
【0016】
図1の基材としては、高分子フィルム、織布、不織布又はこれらを組み合わせたものが用いられるが、粘着層の保持性から不織布が好適に用いられ、粘着層の皮膚残り及び剥離フィルムへの転移を防止することができる。なお、基材の材質としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、レーヨンが用いられる。剥離フィルムは、一般のパッブ(又は湿布)シート用の剥離フィルムが用いられ、具体的にはポリエチレン、ポリエステル、PET等のフィルムのゲルが接触する面をシリコーン加工したものが好適に用いられる。
さらに、本発明において、基材としては、不織布/非通気性フィルム又は不織布/非通気性フィルム/不織布の積層構造のものが好適に用いられ、これにより、水分等の蒸散が抑えられる。この結果、木酢液の効果をより長時間持続させることが可能となる。また、粘着層の柔軟性の低下が抑制され、優れた使用感を維持することができる。
【0017】
本実施形態の皮膚貼付シートは、剥離フィルムが粘着層に付着することなく容易に剥がれ、また、適度の粘着性を有するため、しっかり皮膚に貼り付き、また剥すときにも皮膚に残ることもないし、また、汚れることもない。さらに、木酢液はゲル内に保持されるため成分は徐々に経皮吸収され、長時間にわたり木酢液の効果を発揮・持続させることが可能となる。
【0018】
次に、図1の皮膚貼付シートの製造方法を図3に基づいて説明する。
図3は、皮膚貼付シートの製造装置の一構成例を示す模式図である。図3に示すように、皮膚貼付シートの製造装置は、混合機30と、メインロール35,吸引ロール36,一対のニップロール37、ロール38とから構成され、混合機30は、ミキサー部31に第1液導入管32、第2液導入管33及び混合液吐出管34が取り付けられた構造を有している。
【0019】
基材シート1及び剥離フィルム3は、基材ロール39及び剥離フィルムロール40から所定の速度で繰り出され、メインロール35と吸引ロール36との間で重ね合わされ、ここで木酢液含有ゲル2が所定の厚さに挟み込まれ、ニップロール37,ロール38を経て、不図示の打ち抜き機に送られる。混合機30においては、第1液タンクから、木酢液を含む第1液が導入管32を介してミキサー部31に送られる。同時に、第2液タンクから、水溶性ポリマー及び架橋剤が均一に分散された第2液が導入管33を介してミキサー部31に送られる。
ここで、第2液の分散媒としては、多価アルコールが用いられるが、グリセリンが特に好適に用いられる。なお、ソルビトールのように水を含むものは避けるべきであり、第2液を調製中にゲル化が開始し、ゲル化の制御が困難となる。
【0020】
ミキサ部31で両液が混合し、ゲル化が開始する。両液はミキサー内を下降しながら均一に混合され、均一相となる。ここで、第1液は、通常1〜10cps程度であり、第2液は1000〜10000cpsとするのが好ましい。この範囲とすることで、混合液の均一性は一層向上する。均一な混合液は、吐出管34から放出され、ロール35,36の間の基材シートと剥離フィルムとの最近接部上にゲル液溜まり2を形成する。なお、吐出される混合液の粘度(ゲル化の進行状態)は、各液の導入流量、ミキサー回転数及びミキサー部の長さ等を適宜選択することにより決定できるため、種々の生産量、装置寸法等に対応することができる。本発明において、基材と剥離フィルムと間に挟み込まれる際のゲル状の液溜まりの粘度を300,000〜1,000,000cps程度とするのが好ましく、均質で均一な厚さのシートを安定して作製できるとともに、後工程の打ち抜きをより一層安定して行うことができる。
【0021】
ゲルを挟んだ基材シート1及び剥離フィルム3は下方に送られ、ニップロール37でさらに厚さが制御され、木酢液含有皮膚貼付シートが作製される。これらは、連続して、例えばトムソン打ち抜き機又はダイロール型打ち抜き機に送られ、所定の形状に打ち抜き、切断される。その後、非通気性袋体に封入されて完成する。
【0022】
本発明の第2の実施形態を図2の模式的断面図に示す。
図2の皮膚貼付シートは、図1に示した皮膚貼付シートに発熱体シートを取り付けたものであり、これにより木酢液の有効成分の皮膚吸収を促進させ、種々の消炎・治癒効果等をより一層高めることが可能となる。
即ち、本実施形態の皮膚貼付シートは、不織布5、所定の通気量を有する通気性フィルム6、発熱組成物7、非通気性フィルム8とからなる発熱シート20を、不織布1、ゲル状粘着層2及び剥離フィルム3からなる図1の皮膚貼付シート10に粘着剤(不図示)を介して貼りつけたものである。
【0023】
発熱シート20はこの構成に限ることはなく、一般の医療用発熱体シート、使い捨てカイロ等に用いられるものであればどのような構成であってもよいが、上記粘着層での温度が39〜41℃程度に維持できるように、発熱組成物、通気性フィルムの通気度や透湿度を選択するのが好ましく、ゲル状粘着層に含まれる木酢液配合量は、1〜40%とするのが好ましい。このように設定することにより、長時間にわたり経皮吸収が大きく促進され、木酢液自体の消炎・治癒効果等が一層向上する。
なお、本実施形態の皮膚貼付シートも図1と同様に非通気性の袋体中で保管する。
【0024】
次に実施例をあげて本発明をより詳細に説明する。
図3に示す装置を用いて、以下に示す手順で皮膚貼付シートを連続して作製した。
まず、第1液として、木酢液(北部産業株式会社製)、防腐剤(上野製薬株式会社メッキンスM)のジプロピレングリコール溶液及び酒石酸の混合液を作製した。第2液として、水溶性高分子としてのポリアクリル酸ナトリウム部分中和物(昭和電工株式会社製ビスコメートNP−700)、架橋剤としてのジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート(協和化学工業株式会社製グリシナール)、吸水性ポリマーとしてのデンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト重合体(サンダイヤポリマー株式会社サンフレッシュST−100MC)、防腐剤のジプロピレングリコール溶液及び粉炭(北部産業株式会社製)を、保湿剤としての役割を果たすグリセリン中に均一に分散・混合した。各成分の割合(重量%)の一例を表1に示した。
【0025】
第1液及び第2液をそれぞれ293g/分及び411g/分の流量で混合機に導入した。また、基材には、幅24cmのポリエステル不織布(30g/m2)/ポリエチレンフィルム(20μm)/ポリエステル不織布(30g/m2)からなる積層シートを用い、剥離フィルムには、表面をシリコーン処理したPET製剥離フィルム(幅28cm、厚さ75μm)を用い、いずれも4m/分の速度で矢印の方向に送り出した。
粘着層の塗工量が800±100g/m2となるようにメインロールと吸引ロール間及びニップロール間の間隔を調節し、不図示のトムソン型打抜機で、7cmx9.5cmの寸法に切断して皮膚貼付シートを作製した。
【0026】
【表1】
【0027】
表1に示したいずれの試料についても、剥離フィルム側に粘着層を転移することなく容易に剥がすことができ、また、皮膚に貼付した直後及び6時間貼付した後も粘着層が皮膚に残ることなく完全にきれいな状態で剥がすことができた。
また、官能テストを行ったところ、いずれの試料についても、従来の木酢液組成物と同程度の消炎・治癒効果があることが分かり、さらに木酢液配合量が高いほどその効果が増加することが分かった。
さらに、市販の発熱シート(商品名「直貼」久光製薬株式会社)に試料1を貼り付け、同様に患部に貼って官能テストを行ったところ、試料1の試料であっても十分高い効果を示し、かつ短時間で顕著な効果が見られた。
【0028】
次に、試料6について、基材を三層構造の代わりに不織布単体を用い、同様にして皮膚貼付シートを作製し、これらを23℃、相対湿度44%の雰囲気中に放置した時の粘着層重量の変化を比較した。粘着層重量の減少量の割合(%)が時間とともに変化する様子を表2に示した。
【表2】
表2から明らかなように、不織布単体の場合と比べて三層構造の基材を用いた場合は、粘着層からの水分等の蒸散が大幅に抑えられることが分かる。また、不織布単体の場合には若干皮膚のひきつりを感じるモニタもいたが、三層構造の場合はひきつりを感じるモニタはなく貼付時の使用感が維持されることが分かった。また、使用感のみならず、木酢液自体の効能もより長時間維持されることが分かった。
【0029】
さらに、試料4について、第1液と第2液とを混合後、基材と剥離フィルム間に挟時させる際の粘度と粘着層の均質性及び厚さ均一性との関係について調べた。即ち、2液を混合して3秒間のミキシングを行った後、0.2mlサンプリングし、粘度の時間変化を円錐−平版型回転型粘度計(東機産業株式会社製RE550U)で測定した。その結果を図4に示す。ここで、コーン角3度のコーンロータを用い、ズリ速度2,回転数1rpm、温度23℃で測定した。
一方、図3の装置において、2液混合し3秒のミキシングした後、基材及び剥離フィルム間に挟持させるまでの時間を変えて(即ち、ゲルの粘度を変えて)、皮膚貼付シートを作製した。
図4から求められる粘度と作製した皮膚貼付シートの状態を比較したところ、粘度を300,000〜1,000,000cpsとすることにより、粘着層は極めて均質となりしかも均一となることが分かった。さらに、所望の形状の打ち抜きがより安定して行うことができることが分かった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明してきたことから明らかなように、本発明により、皮膚貼付シートの粘着層を木酢液を含有した含水ゲルで構成することにより、木酢液本来の様々な効果を損なうことなくしかも長時間持続させることができるともに、粘着層が皮膚に残ったり、剥離フィルムを剥がすときにフィルム側に転移したりすることを防止し、使用性・使用感に優れた皮膚貼付シートを提供することが可能となる。また、このような構成とすることにより、生産性が大幅に向上するとともに、様々な性能を有するシート及びその生産量への対応が容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の皮膚貼付シートの一例を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の皮膚貼付シートの他の例を示す模式的断面図である。
【図3】皮膚貼付シートの製造方法を説明する模式図である。
【図4】ゲル化時間と粘度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 シート基材(不織布)、
1’ 不織布、
2 粘着層、
3 剥離フィルム、
4 袋体、
4’非通気性フィルム、
5 発熱組成物、
6 通気性フィルム、
10 皮膚貼付シート、
20 発熱体シート、
30 混合機、
31 ミキサー部、
32 第1液導入管、
33 第2液導入管、
34 吐出管、
35 メインロール、
36 吸引ロール、
37 ニップロール、
38 ロール、
39 基材ロール、
40 剥離フィルムロール。
Claims (8)
- 木酢液と含水ゲルとからなる粘着層が基材上に形成され、該粘着層が剥離フィルムで覆われていることを特徴とする皮膚貼付シート。
- 前記基材は、不織布/非通気性フィルム又は不織布/非通気性フィルム/不織布の積層基材であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚貼付シート。
- 前記含水ゲルは、水溶性高分子を架橋したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚貼付シート。
- 前記水溶性高分子は、ポリアクリル酸塩であることを特徴とする請求項3に記載の皮膚貼付シート。
- 前記基材の前記粘着層と反対側の面に、空気との接触により発熱する発熱体を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚貼付シート。
- 木酢液を含有する含水ゲルからなる粘着層が基材上に形成され、前記粘着層が剥離フィルムに覆われた皮膚貼付シートの連続製造方法であって、
所定の間隔をあけて配置された2つのロールの間に、基材ロール及び剥離フィルムロールから前記基材及び前記剥離フィルムが連続的に繰り出され、該2つのロールの間で重ね合わせられた後、共に下方に移動する構成とし、
木酢液を含む第1液とポリアクリル酸塩と架橋剤とを含む第2液とをそれぞれ別個に用意し、第1液と第2液とを混合した後、前記基材と前記剥離フィルムとが重なり合う位置に滴下してゲル状の液溜まりを形成し、前記2つのロールの回転と共に前記基材と前記剥離フィルムとの間に所定の厚さのゲル状粘着層を挟み込むことを特徴とする皮膚貼付シートの製造方法。 - 前記基材と前記剥離フィルムと間に挟み込まれる際の前記ゲル状の液溜まりの粘度を300,000〜1,000,000cpsとしたことを特徴とする請求項6に記載の皮膚貼付シートの製造方法。
- 前記架橋剤は、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテートであり、混合した後の液のpHが5〜6.5となるように前記第1液に酒石酸を加えることを特徴とする請求項6又は7に記載の皮膚貼付シートの製造方法。
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