JP2004208962A - 内視鏡 - Google Patents

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【課題】オートクレーブ滅菌及び過酸化物系滅菌に対する耐性を有し、なお且つ容易に処理することができるコーティング剤を施した内視鏡を提供する。
【解決手段】本発明の内視鏡10は、湾曲管1及びアングルワイヤー2及び操作部摺動を含めた摺動部位に、高温高圧水蒸気滅菌及び過酸化物系滅菌及び強酸性電解水系洗浄消毒に対して耐性のあるコーティング剤が施され、このコーティング剤は、固体潤滑剤成分として、フッ素樹脂,ポリイミド,ポリエチレン樹脂,尿素樹脂,芳香族ポリエステル,カーボングラファイト,窒化硼素及び軟質金属から選択された少なくとも1種を含み、その重量%が3〜20%、バインダー成分としてエポキシ樹脂とフェノール樹脂を少なくとも含み、それらの合計量が重量%で10〜40%であり、分散剤としての添加物が重量%で0.05〜10%で、溶剤成分がメチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン等の有機溶剤であって重量%が30〜85%での組成物で構成されている。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オートクレーブ滅菌(高圧高温水蒸気滅菌)及び過酸化物系滅菌に耐性を有し、且つ容易に処理のできるコーティング剤が施された内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、医療分野においては体腔内等に細長な挿入部を挿入することによって体腔内の深部等を観察したり、必要に応じて処置具を用いることにより治療観察等を行うことのできる内視鏡が広く用いられている。これら医療内視鏡においては、使用した内視鏡を確実に消毒滅菌することが、患者及び使用者に対する安全確保のためには必要不可欠になっている。
【0003】
従来では、この消毒滅菌処理は、エチレンオキサイドガス(以下、EOGと略す)等のガスや、消毒液に頼っていた。
【0004】
しかし、前者においては、滅菌作業は繁雑であり、滅菌に要する時間が長く、また、このようなガス滅菌では、ランニングコストが高くなってしまう。
【0005】
一方、後者の消毒液による処理においては、十分な滅菌がなされないこともあり、また管理が煩雑な上、廃液を発生することもあるため、処理液の廃棄処理に多大な費用が必要となるといった不都合があった。
【0006】
そこで、最近では、医療器具の滅菌として実用化されているオートクレーブ滅菌(高圧高温水蒸気滅菌)を内視鏡に適用することが望まれている。この高圧高温水蒸気滅菌は、水を使用するため残留毒性がなく、滅菌力もあり、滅菌時間も短く、さらにはランニングコストも安く、廃液も発生しないという利点がある。また、他の滅菌方法としては、過酸化物系滅菌法、例えば過酸化水素系低温プラズマ滅菌法が最近注目されており、この過酸化水素系低温プラズマ滅菌法は、常温で低湿化において滅菌ができるだけでなく、滅菌効率も高く、また滅菌による二次的作用もなく、つまり、安全性が高いという利点があることから、これを内視鏡に適用することも合わせて望まれている。
【0007】
ところが、前者のオートクレーブ滅菌の高圧高温水蒸気は、内視鏡を構成している部材であるゴム,プラスチック等の高分子材料、接着剤等を透過する性質をもっていることから、従来の水密構造に構成されている内視鏡を高圧高温水蒸気滅菌装置に投入して滅菌した場合、Oリング,接着剤等の一般的な方法により水密に構成された内視鏡の内部にも水蒸気が侵入する場合がある。また、オートクレーブ滅菌の際には、湾曲管外皮の破裂を防ぐために、内視鏡内外を連通させた状態でオートクレーブ滅菌装置中に置くことが一般的であるが、この際にも、内視鏡内部には高圧高温水蒸気が侵入することもある。
【0008】
このため、一般のステンレス等の金属素線を束ねて撚り線に形成したワイヤーを内視鏡湾曲部を操作するためのアングルワイヤ及び湾曲管及び操作部摺動部を含めた金属摺動部として使用している内視鏡の場合、内視鏡内部に水蒸気が進入した場合には、この水蒸気が前記アングルワイヤ及び湾曲管及び操作部摺動部を含めた金属摺動部に接触し、前記アングルワイヤ及び湾曲管及び操作部摺動部を含めた金属摺動部に酸化劣化が生じてしまう虞れがあることから、高圧高温水蒸気滅菌に充分に耐えうる構造が要求される。
【0009】
また、後者の過酸化水素系低温プラズマ滅菌法では、滅菌装置内でプラズマとあわせてヒドロキシラジカル,スーパーオキシド,ヒドロキシペルオキラジカルなどのフリーラジカルが発生し、これらは内視鏡を構成している部材であるゴム,プラスチック等の高分子材料,接着剤等を透過する性質をもっており、また、該過酸化水素系低温プラズマ滅菌法を実施する際には、送気するためのチャンネルチューブ内を確実に滅菌するために、ブースターと呼ばれる少量の容器内に過酸化水素を充填したものを接続し、負圧がかかった際にチャンネル内に噴出させることが一般的であるが、この際、上記理由により内視鏡内部に過酸化水素が侵入することもあることから、この過酸化水素滅菌に充分に耐えうる構造が要求される。
【0010】
これらの要求に鑑み、従来より、上述の滅菌方法に対して充分な耐性を備えた内視鏡も数多く提案がなされており、特に高圧高温水蒸気滅菌については、例えば特願平11−222856号公報によって、ワイヤ素線を束ねて構成したアングルワイヤの各素線の隙間に高温高圧水蒸気耐性を有する防錆剤を充填し、同時にこの防錆剤でアングルワイヤ表面を被覆することにより、オートクレーブ滅菌を行っても湾曲部の湾曲不良を起こさないように構成した内視鏡が提案されている。
【0011】
【特許文献1】
特願平11−222856号公報(第8−9頁、第5図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、この種の内視鏡において、上述の高温高圧蒸気滅菌や過酸化水素滅菌の耐性向上を考慮すると、例えば湾曲部及びアングルワイヤー等の摺動部位に施されているコーティング剤(該コーティング剤を含めた塗料で一般的に言われているバインダー)の耐性特性を向上させることが望ましい。
【0013】
例えば、前記バインダーの成分を挙げれば、オートクレーブ滅菌(高温高圧水蒸気滅菌)に対しては、焼付け温度が150℃以上のバインダーが適している。その内、エポキシ樹脂が一般的なバインダーであるが、このエポキシ樹脂単独のバインダーは、オートクレーブ滅菌下では、一度焼付けを行ったものでも再溶融し、膨張し、組み合わされる他の部材と固着を生じることがあるため、例えばアングルワイヤーの場合、その外周を覆うコイルとに固着が生じる。
【0014】
他の高温焼付けのバインダーとしては、ポリアミドイミド等の250℃以上の高温焼付け樹脂が考えられるが、この種のバインダーは、処理を施そうとする基材を事前に暖めることが必要であるため、アングルワイヤーに塗布する処理等の全体的な処理が煩雑である。
【0015】
また、過酸化物系滅菌に関しては、高温高圧水蒸気滅菌で固着を生じない、例えばフェノール樹脂をバインダーとして用いたコーティング剤を用いると、過酸化水素低温プラズマ滅菌法を繰り返し施した場合、コーティング剤の剥離が生じ、摩擦抵抗が大きくなることも考えられる。
【0016】
このようなコーティング剤の耐性特性の向上化が望まれる中、前記特願平11−222856号公報に記載の内視鏡では、特に高圧高温水蒸気滅菌については、ワイヤ素線を束ねて構成したアングルワイヤの各素線の隙間に高温高圧水蒸気耐性を有する防錆剤を充填し、同時にこの防錆剤でアングルワイヤ表面を被覆することにより、オートクレーブ滅菌を行っても湾曲部の湾曲不良を起こさないように構成されているが、この種の内視鏡においては、さらに、長期に渡り湾曲部の安定した湾曲動作を確保するためには、より高圧高温水蒸気滅菌の耐性を向上させる同時に過酸化水素滅菌に対しても耐性を向上させることができ、且つ容易に処理することができるコーティング剤が望まれている。
【0017】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、オートクレーブ滅菌及び過酸化物系滅菌に対する耐性を有し、なお且つ容易に処理することができるコーティング剤を施した内視鏡を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、細長な挿入部の先端部付近に設けられた湾曲部と、この湾曲部先端を牽引して前記湾曲部を湾曲させるためのアングルワイヤーを有する内視鏡において、前記湾曲管及びアングルワイヤー及び操作部摺動を含めた摺動部位に、高温高圧水蒸気滅菌及び過酸化物系滅菌及び強酸性電解水系洗浄消毒に対して耐性のあるコーティング剤を施したことを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の内視鏡において、前記コーティング剤は、前記高温高圧水蒸気滅菌及び過酸化物系滅菌及び強酸性水系消毒滅菌のいずれにも耐えるための固体潤滑剤成分として、フッ素樹脂,ポリイミド,ポリエチレン樹脂,尿素樹脂,芳香族ポリエステル,カーボングラファイト,窒化硼素及び軟質金属から選択された少なくとも1種を含み、その重量%が3〜20%、バインダー成分としてエポキシ樹脂とフェノール樹脂を少なくとも含み、それらの合計量が重量%で10〜40%であり、分散剤としての添加物が重量%で0.05〜10%で、溶剤成分がメチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン等の有機溶剤であって重量%が30〜85%での組成物であることを特徴とするものである。
【0020】
さらに、請求項3の発明は、請求項1に記載の内視鏡において、前記コーティング剤は、バインダー成分として含むエポキシ樹脂とフェノール樹脂との比率が6対1から1対2の範囲内となるように構成したことを特徴とするものである。
【0021】
この構成によれば、本発明の組成のコーティング剤は内視鏡の湾曲管及びアングルワイヤー及び操作部摺動を含めた摺動部位に対し容易にスプレー等の方法での塗布・焼き付けが可能である。また、本発明の組成のコーティング剤をアングルワイヤーに用いた場合、高温高圧水蒸気滅菌を行っても初期と同等の摺動特性を長期にわたって保持する他、バインダーの高温高圧水蒸気による膨潤が抑制されているため、アングルワイヤーを覆う外周のコイル内面との固着も生じない。さらに、過酸化物系滅菌を行っても、アングルワイヤー上でのコーティングの劣化及びアングルワイヤーからの剥離を生じない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1は本発明が適用された内視鏡の一例を概略的に表す全体構成図である。なお、図1に示す内視鏡10は、本発明に係る各実施の形態の共通のものとして説明する。
【0024】
図1に示すように、本発明の内視鏡10においては、その概略構成は周知のように湾曲可能な内視鏡であり、操作部5と、内視鏡挿入部として構成され湾曲管1を先端に有する可撓管4とが連結されており、可撓管4内にはコイル状のガイド部材3が配置されている。
【0025】
さらに、操作部5に一方の端部が固定されたアングルワイヤー2が、このガイド部材3の中を通じて湾曲管1まで案内されている。また、アングルワイヤー2の他方の端部はこの湾曲管1に固定されている。
【0026】
操作部5内においては、ドラム部材6が回動可能に軸支されており、このドラム部材7の外周に設けられた図示しない溝部に前記アングルワイヤー2が所定のテンションで接続固定されている。また、このドラム部材6の回動軸には、該ドラム部材6の回転を操作することにより、前記湾曲管1を湾曲動作させるためのアングルレバー7が取付けられ、このアングルレバー7は、操作部本体5Aの外側に配されるようになっている。
【0027】
上記構成の内視鏡10においては、前記操作部5のアングルレバー7を図中に示すB矢印方向に操作することにより、アングルワイヤー2の牽引によって、関節群1a,1cにより湾曲可能な湾曲管1は任意の方向に湾曲することができるようになっている。なお、図中に示す例では、上下2方向に湾曲可能な基本的な構成例を示しているが、これに限定されるものではなく、上下,左右方向の湾曲可能となるように前記アングルワイヤー2及びドラム部材6を複数設けると同時にこれを操作するジョイスティック等のアングルレバーを操作部5に設けて構成しても良い。
【0028】
本発明の内視鏡10は、上記目的を達成するための改良がなされている。すなわち、本発明の内視鏡10への適用としては、アングルワイヤー2の外周面に、固体潤滑剤成分としてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、カーボングラファイト、窒化硼素から選択された少なくとも1種を含み、その重量%が3〜20%、バインダー成分としてエポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計量が重量%で10〜40%であって、なおかつエポキシ樹脂とフェノール樹脂の比が6対1から1対2であり、分散剤としての添加物が重量%で0.05から10%で、溶剤成分がメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の有機溶剤であって重量%が30から85%であるコーティング組成物をコーティング層として形成したことが特徴である。
【0029】
次に、実際に本発明の前記コーティング組成物をコーティング層としてアングルワイヤー2に施して内視鏡10を構成した2つの第1及び第2実施の形態を説明するとともに、これらの実施の形態におけるコーティング層を施したアングルワイヤーの特性を、比較対照するための4つのサンプルとで比較を行い比較結果を説明する。
【0030】
第1の実施の形態:
第1の実施の形態の前記コーティング組成物を、コーティング剤Aとすると、このコーティング剤Aは、固体潤滑剤PTFE10%、バインダーのエポキシ樹脂30%、バインダーのフェノール樹脂:5%で、すなわちエポキシ樹脂対フェノール樹脂の比が6対1、分散剤が5%、溶剤メチルエチルケトン50%となるように構成する。
【0031】
その後、前記コーティング剤Aを脱脂されたφ0.5の寸法のアングルワイヤー(SUS316製)2にスプレー塗布し、溶剤を自然乾燥させた後、190℃で1時間焼付けを行い、膜厚10μmのコーティング層を形成した。
【0032】
このコーティング層を湾曲管1に固定し、内視鏡10の内蔵物として組立てた。
【0033】
第2の実施の形態:
第2の実施の形態の前記コーティング組成物を、コーティング剤Bとすると、このコーティング剤Bは、固体潤滑剤PTFE10%、バインダーのエポキシ樹脂13%、バインダーのフェノール樹脂:26%で、すなわちエポキシ樹脂対フェノール樹脂の比が1対2、添加物1%、溶剤メチルエチルケトン50%となるように構成する。
【0034】
その後、前記コーティング剤Bを脱脂されたφ0.5の寸法のアングルワイヤー(SUS316製)2にスプレー塗布し、溶剤を自然乾燥させた後、190℃で1時間焼付けを行い、膜厚10μmのコーティング層を形成した。
【0035】
このコーティング層を湾曲管1に固定し、前記第1の実施の形態と同様に内視鏡10の内蔵物として組立てた。
【0036】
次に、前記第1及び第2の実施の形態のコーティング層を形成したワイヤー単品の特性を説明するために、以下、比較対照となる4つのサンプルの構成例(参考例)を下記に示す。
【0037】
(参考例1)
前記第1の実施の形態にて説明したコーティング組成物のコーティング剤Aと比較対照するためのエポキシ樹脂のバインダーのみのコーティング剤をコーティング剤Eとすると、このコーティング剤Eは、固体潤滑剤がフッ素樹脂としてPTFE10%、バインダーがエポキシ樹脂40%、添加物1%、溶剤メチルエチルケトン49%となるように構成する。
【0038】
そして、前記コーティング剤Eを同じく脱脂されたφ0.5の寸法のアングルワイヤー2にスプレーし、190℃で1時間焼付けを行い膜厚10μmのコーティング層を形成した。
【0039】
(参考例2)
前記第1の実施の形態にて説明したコーティング組成物のコーティング剤Aと比較対照するためのフェノール樹脂のみのコーティング剤をコーティング剤Pとすると、このコーティング剤Pは、固体潤滑剤PTFE10%、バインダーのフェノール樹脂40%、添加物1%、溶剤メチルエチルケトン49%となるように構成する。
【0040】
そして、前記コーティング剤Pを同じく脱脂されたφ0.5の寸法のアングルワイヤー2にスプレーし、190℃で1時間焼付けを行い膜厚10μmのコーティング層を形成した。
【0041】
(参考例3)
前記第1の実施の形態にて説明したコーティング組成物のコーティング剤Aと比較対照するためのエポキシ樹脂とフェノール樹脂比率が7対1のコーティング剤をコーティング剤Xとすると、このコーティング剤Xは、固体潤滑剤PTFE10%、バインダーのエポキシ樹脂35%、バインダーのフェノール樹脂:5%で、すなわちエポキシ樹脂対フェノール樹脂の比が7対1、分散剤が1%、溶剤メチルエチルケトン49%となるように構成する。
【0042】
そして、前記コーティング剤Xを同じく脱脂されたφ0.5の寸法のアングルワイヤー2にスプレーし、190℃で1時間焼付けを行い膜厚10μmのコーティング層を形成した。
【0043】
(参考例4)
前記第2の実施の形態にて説明したコーティング組成物のコーティング剤Bと比較対照するためのエポキシ樹脂とフェノール樹脂比率が1対3のコーティング剤をコーティング剤XXとすると、このコーティング剤XXは、固体潤滑剤PTFE10%、バインダーのエポキシ樹脂10%、バインダーのフェノール樹脂30%で、すなわちエポキシ樹脂対フェノール樹脂の比が1対3、分散剤が1%、溶剤メチルエチルケトン49%となるように構成する。
【0044】
そして、前記コーティング剤XXを同じく脱脂されたφ0.5の寸法のアングルワイヤー2にスプレーし、190℃で1時間焼付けを行い膜厚10μmのコーティング層を形成した。
【0045】
ここで、上記4つの比較対照となるサンプルと、本発明に係る第1及び第2の実施の形態におけるコーティング層を施したアングルワイヤーとでその特性の違いを比較する。
【0046】
なお、この場合、第1の試験として、片側5μmのクリアランスをもつ内径φ0.53のSUS304製のコイル中に入れ、100回のオートクレーブ滅菌(高温高圧水蒸気滅菌)を実施し、このオートクレーブ滅菌100例でのコイルとの固着を調べた結果と、第2の試験として、過酸化水素低温プラズマ滅菌を100回実施した後のコーティング層の状態を調べた結果を、下記の表1に示した。
【0047】
【表1】
Figure 2004208962
したがって、上記表1からも解るように、オートクレーブ滅菌100例後のコイルとの固着については、前記コーティング剤Eは固着してしまい、コーティング剤Xはわずかに固着してしまうが、コーティング剤P,XXと、本発明の第1及び第2の実施の形態のコーティング剤A,Bとは固着しないといった結果が第1の試験から得られた。
【0048】
また、過酸化水素低温プラズマ100例後のコーティング層の状態については、コーティング剤Pは剥離してしまい、コーティング剤XXは数カ所微少な剥離が生じてしまうが、コーティング剤E,Xと、本発明の第1及び第2の実施の形態のコーティング剤A,Bとは剥離せず変化なしといった結果が第2の試験から得られた。
【0049】
すなわち、表1に示すように、総合評価では、サンプル(参考例)としてのコーティング剤E,Pは使用不可であり、コーティング剤X,XXは使用に不安があり好ましいものとはいえない。しかしながら、本発明の第1及び第2の実施の形態のコーティング剤A,Bは、総合的にも内視鏡に使用可能であり上記課題を達成し得る特性を有していることが解る。
【0050】
これらの結果をもとに、本発明のバインダーである、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合比率と、内視鏡用コーティング部品としてのアングルワイヤーの総合評価を概念的に示したものが図2に示されている。なお、図中でX軸はエポキシ樹脂の含有%、Y軸はフェノール樹脂の含有%を示している。
【0051】
図2に示すように、4つのグラフ1〜4が表され、これら4つのグラフ1〜4によって7つの領域C,D,E,G,H,P,Sが配されている。
【0052】
この場合、図2において、グラフ1はエポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計が40%を示し、グラフ2はエポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計が10%の場合をそれぞれ示している。そして、グラフ3はエポキシ樹脂・フェノール樹脂の比が1対2を示し、グラフ4はエポキシ・フェノール樹脂の比が6対1であることを示している。
【0053】
前述したコーティング剤A,B(本発明に係る第1,第2の実施の形態)及びサンプルとしてのコーティング座位E,P,X,XXを、この図2のグラフに示すと同時に、各領域の示す部品特性を考えると、グラフで囲まれたGの領域が本発明に係る第1,第2の実施の形態の良好なコーティング組成である。
【0054】
また、グラフ3を上回るフェノール樹脂の多い領域Cは、過酸化水素プラズマに対して剥離傾向のある領域であり、グラフ4を下回る、エポキシ樹脂の多い領域Dは、高温高圧水蒸気滅菌で固着を生じやすい領域が示されている。
【0055】
そして、塗布された部品の性質として、図中に示すHの領域は、ワイヤー部品としてしなやかさの欠ける領域を示しており、さらにSの領域は、膜圧を稼ぎにくい他、被膜が脆弱な傾向を示す領域を示している。
【0056】
したがって、前記表1に示す実験結果及び図2からも解るように、本発明に係る第1,第2の実施の形態のいずれのコーティング剤A,Bは、内視鏡10の湾曲管1及びアングルワイヤー2及び操作部摺動を含めた摺動部位に対し容易にスプレー等の方法での塗布・焼き付けが可能であり、さらに、このようなコーティング剤A,Bをアングルワイヤー2に用いた場合には、オートクレーブ滅菌(高温高圧水蒸気滅菌)を行っても初期と同等の摺動特性を長期にわたって保持する他、バインダーの高温高圧水蒸気による膨潤が抑制されているため、アングルワイヤー2を覆う外周のコイル内面との固着も生じず、また、過酸化物系滅菌を行っても、アングルワイヤー2上でのコーティングの劣化及びアングルワイヤー2からの剥離を生じないといった効果が得られる。
【0057】
なお、本発明に係る第1,第2の実施の形態においては、上述したバインダーである、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合比率に限定されるものではなく、例えば図2中の領域Gに対応したものであれば良い。
【0058】
また、本発明は上記第1,第2の実施の形態に限定されるものではなく、これらの実施の形態の応用や組み合わせについても適用される。
【0059】
【発明の効果】
以上、述べたように本発明によれば、固体潤滑剤成分としてフッ素樹脂、ポリイミド、ポリエチレン樹脂、尿素樹脂、芳香族ポリエステル、カーボングラファイト、窒化硼素及び軟質金属から選択された少なくとも1種を含みその重量%が3〜20%、バインダー成分としてエポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計量が重量%で10〜40%であって、なおかつエポキシ樹脂とフェノール樹脂の比が6対1から1対2であり、分散剤としての添加物が重量%で0.05から10%で、溶剤成分がメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の有機溶剤であって重量%が30から85%であるコーティング剤組成のコーティング剤を塗布したことを特徴とする内視鏡用コーティング部品としてのアングルワイヤーを用いると、高温高圧水蒸気滅菌を繰り返し施した後も、組み合わされるコイルとの固着を生じず、摩擦抵抗が低く保持され、また、過酸化物系滅菌を繰り返し施した後も、バインダーが軟化したり、コート膜のクラック・剥離を生じず、摩擦抵抗が低く保持されることになる。すなわち、オートクレーブ滅菌及び過酸化物系滅菌に対する耐性を有し、なお且つ容易に処理することができるコーティング剤を施した内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された内視鏡の一例を概略的に表す全体構成図。
【図2】本発明のバインダーのエポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合比率と、内視鏡用コーティング部品としてのアングルワイヤーの総合評価を概念的に示した特性図。
【符号の説明】
1…湾曲管、
2…アングルワイヤー、
3…ガイド部材、
4…可撓管、
5…操作部、
5A…操作部本体、
コーティング剤A…第1の実施の形態のコーティング剤、
コーティング剤B…第2の実施の形態のコーティング剤、
コーティング剤E…参考例1のサンプルコーティング剤、
コーティング剤P…参考例2のサンプルコーティング剤、
コーティング剤X…参考例3のサンプルコーティング剤、
コーティング剤XX…参考例4のサンプルコーティング剤。

Claims (3)

  1. 細長な挿入部の先端部付近に設けられた湾曲部と、この湾曲部先端を牽引して前記湾曲部を湾曲させるためのアングルワイヤーを有する内視鏡において、
    前記湾曲管及びアングルワイヤー及び操作部摺動を含めた摺動部位に、高温高圧水蒸気滅菌及び過酸化物系滅菌及び強酸性電解水系洗浄消毒に対して耐性のあるコーティング剤を施したことを特徴とする内視鏡。
  2. 前記コーティング剤は、前記高温高圧水蒸気滅菌及び過酸化物系滅菌及び強酸性水系消毒滅菌のいずれにも耐えるための固体潤滑剤成分として、フッ素樹脂,ポリイミド,ポリエチレン樹脂,尿素樹脂,芳香族ポリエステル,カーボングラファイト,窒化硼素及び軟質金属から選択された少なくとも1種を含み、その重量%が3〜20%、バインダー成分としてエポキシ樹脂とフェノール樹脂を少なくとも含み、それらの合計量が重量%で10〜40%であり、分散剤としての添加物が重量%で0.05〜10%で、溶剤成分がメチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン等の有機溶剤であって重量%が30〜85%での組成物であることを特徴とする請求項1記載の内視鏡。
  3. 前記コーティング剤は、バインダー成分として含むエポキシ樹脂とフェノール樹脂との比率が6対1から1対2の範囲内となるように構成したことを特徴とする請求項1記載の内視鏡。
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