JP2006280497A - 内視鏡の可撓管 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐薬品性および耐久性に優れた内視鏡の可撓管を提供することを目的とする。
【解決手段】 曲げ方向に可撓性のある筒状構造体1を筒状網体2で覆い、この筒状網体にウレタン樹脂からなる外皮層3が積層されて、そのほぼ全長にわたって曲げ方向に可撓性を有する内視鏡の可撓管10において、前記筒状構造体1と筒状網体2との間に、耐薬品性ゴム材料からなるチューブ層5を設けたものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は内視鏡の可撓管に関し、特に耐薬品性および耐久性に優れた内視鏡の可撓管に関する。
医療用として広く用いられる内視鏡は、図5に示すように、体腔内に挿入される挿入部101の基端部に本体操作部102を連設し、また本体操作部102には光源装置(図示せず)に着脱可能に接続されるライトガイドを連設することによって構成される。
挿入部101は、本体操作部102への連設部から大半の長さをしめる可撓管部101aと、可撓管部に連設されるアングル部101bと、その先端に連設される先端部101cとから構成される。
なお可撓管部101aは曲げ方向に可撓性を有し、この可撓管部101aを構成する可撓管100は、図6に示すように、最内側に金属帯片を螺旋状に巻回することにより形成される螺旋管11に、金属線を編組してなる筒状網体12が被覆され、この筒状網体12にウレタン樹脂等からなる外皮層13が積層された構成となっている。
ところで医療用の内視鏡は、完全に消毒・滅菌することが必要であり、特に体腔内に挿入される挿入部101には高度な消毒・滅菌が必要とされる。そして、可撓管100の外皮層13を構成するウレタン樹脂は、消毒・滅菌時に使用する薬液(例えば、過酸化水素プラズマ、過酢酸(CHCOOOH)、酸性水など)に対する耐性が低いため、前記薬液による外皮層の破壊を防止(腐食など)するべく、ウレタン樹脂からなる外皮層の外面には、耐薬品性のある例えばシリコン等を含有したコート膜を被覆していた。
しかしながら近年、過酸化水素プラズマなどの消毒ガスを用いて内視鏡を消毒するガス滅菌装置が普及し、前記ガス滅菌装置を使用して内視鏡を消毒すると、ウレタン樹脂からなる外皮層の外面に耐薬品性のあるコート膜を被覆しても、内視鏡の内部に浸入した消毒ガスにより、ウレタン樹脂からなる外皮層が内側から破壊されてしまうという問題が発生してきた。
ガス滅菌装置を使用して内視鏡を消毒する場合、内視鏡内外の気圧差で内視鏡が破壊されることを防ぐため、内視鏡の内気と外気とを連通するリーク弁を開放して、消毒ガスによる消毒・滅菌(ガス滅菌)をする。そして前記リーク弁を開放してガス滅菌をすると、内視鏡の内部に消毒ガスが浸入し、それによって内視鏡用可撓管の外皮層を構成するウレタン樹脂が内側から破壊されてしまっていた。
そこで、内視鏡の内部に浸入した消毒ガスによる外皮層の破壊を防止した内視鏡用可撓管の開発が望まれている(例えば特許文献1を参照)。
特開2002−95628号公報
例えば、内視鏡の内部に浸入した消毒ガスによる外皮層の破壊を防止した内視鏡用可撓管として、外皮層の構成材料であるウレタン樹脂をフッ素樹脂などの耐薬品性樹脂に変更することも考えられる。
しかしながら、内視鏡は微妙な操作感覚が要求される製品であり、ウレタン樹脂以外の材料で外皮層を形成すると内視鏡の操作感覚(曲げやすさ、ある程度のこし)が変化してしまうため、可撓管部を扱う医師に違和感を与えるような材料の変更は望ましくない。
また特許文献1のように、ウレタン樹脂の内側にフッ素樹脂を配した外皮層を設けた可撓管では、フッ素樹脂は筒状網体との密着性が低く、外皮層と筒状網体との剥離を防止するために、外皮層と筒状網体との密着性を高めるための工夫をしなければならなかった。また、特許文献1に開示されている材料では、耐薬品性が不十分であった。
そこで本発明は、曲げ方向に可撓性のある筒状構造体を筒状網体で覆い、この筒状網体にウレタン樹脂からなる外皮層が積層されて、そのほぼ全長にわたって曲げ方向に可撓性を有する内視鏡の可撓管において、前記筒状構造体と筒状網体との間に、耐薬品性ゴム材料からなるチューブ層を設けたものである。
またウレタン樹脂からなる外皮層よりも内側に、パーフルオロモノマー構造を有するゴム材料からなるチューブ層を設けたものである。
この発明による内視鏡の可撓管によれば、筒状構造体と筒状網体との間に耐薬品性ゴム材料からなるチューブ層を設けることによって、外皮層を構成するウレタン樹脂を変更することなく、外皮層における耐薬品性を確保することが、挿入部を患者の体腔内へ挿入する際、内視鏡を取り扱う医師に操作感覚の違和感を与える虞がない。また金属帯片を螺旋状に巻回してなる螺旋管(筒状構造体)の外周に被覆されるチューブ層の内側に凸部を形成するとともに、前記螺旋管の帯片間に前記凸部を螺旋管間隔に任意ピッチ間隔で介在させるとによって、可撓管の可撓性(硬さ)を容易に調整することができる。
さらにパーフルオロモノマー構造を有するゴム材料からなるチューブ層を外皮層よりも内側に設けた可撓管では、優れた耐薬品性を有するとともに、オートクレーブ滅菌(2気圧、132℃の加温加圧した水蒸気による滅菌方法)にも対応することができる。
本発明の実施例による内視鏡の可撓管を、図1から図4を参照して説明する。
図1はこの発明の第1実施例による内視鏡の可撓管を説明する図である。
内視鏡の挿入部の大半の長さをしめる可撓管部は、そのほぼ全長にわたって可撓性を持たせる必要があり、特に体腔等の内部に挿入される部位はより可撓性に富む構造となっていなければならない。ここで、前記可撓管部を構成する可撓管として要求される可撓性は、曲げ方向における可撓性であり、伸縮方向及び潰れ方向においては、十分な強度を持たせる必要がある。
図1に示す可撓管10は、最内側に金属帯片1aを螺旋状に巻回することにより形成される螺旋管からなる筒状構造体1に金属線を編組してなる筒状網体2で覆うようになし、この筒状網体2にはウレタン樹脂等からなる外皮層3を積層させて接着する構成としている。
また外皮層3の外面に、耐薬品性のある例えばシリコン等を含有したコート膜4をコーティングするとともに、筒状構造体1と筒状網体2との間に、パーフルオロモノマー構造を有するゴム材料や、フッ素ゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエン三元共重合体)などの耐薬品性ゴム材料からなるチューブ層5を設けることによって、消毒時、ウレタン樹脂からなる外皮層3の破壊(腐食など)を防止するようにした。
筒状構造体1と筒状網体2の間に耐薬品性ゴム材料からなるチューブ層5を設けた内視鏡の可撓管10では、筒状構造体1の外周全体が耐薬品性ゴム材料からなるチューブ層5によって覆われているため、ガス滅菌時に内視鏡内部に浸入した消毒ガスが前記チューブ層5によって食い止められ、外皮層3が内側から消毒ガスに曝されることがなく、ウレタン樹脂からなる外皮層3が内側から破壊される虞がない。
また、筒状網体2の外周にはウレタン樹脂からなる外皮層3が接着され積層される構造となるため、筒状網体2と外皮層3の密着性が高く、筒状網体2から外皮層3が剥離する虞がない。
続いて、この発明の第2実施例による内視鏡の可撓管10´について図2を参照して説明する。
図2に示す実施例では、筒状構造体1と筒状網体2との間に耐薬品性ゴム材料からなるチューブ層5を設けるにあたって、金属帯片1aを螺旋状に巻回することにより形成される螺旋管からなる筒状構造体1の外周に、内側に凸部5Aを形成したチューブ層5を設け、前記金属帯片1aと金属帯片1aの間の帯片間1bに、前記凸部5Aを任意ピッチ間隔で介在させることによって、可撓管10´の硬さを調整できるようにしたものである。
図2に示す可撓管10´の断面では、チューブ層5に形成した凸部5Aが帯片間1bを2つおきに介在するように配設されているが、それよりも柔らかく調整したい部分には、帯片間1bに介在する凸部Aのピッチ間隔を広げるようにして(例えば、帯片間1bを5つおきに介在するように)、チューブ層5の内側に凸部5Aを配設すればよい。
すなわちこの実施例によれば、帯片間1bに介在する凸部5Aのピッチ間隔を調整することによって、可撓管の硬さを容易に調整することができる。
なお第1及び第2実施例の何れの実施例においても、筒状構造体1と筒状網体2との間に、パーフルオロモノマー構造を有するゴム材料からなるチューブ層5を設けることが好ましい。
図3は、パーフルオロモノマー構造を有するゴム材料の分子構造を示す図である。同図において、Rfはアルキル基を示している。
パーフルオロモノマー構造は、炭素、フッ素、酸素のみで構成されており、PFA(四フッ化エチレンパーフロロアルキルビニルエーテル共重合体)と呼ばれるフッ素樹脂と同様の構造である。したがって、その性状は、PFAと同様の特性を備えており、以下のような利点がある。
(1)完全にフッ素化されているため、耐薬品性に優れ、酸化力の強い新薬液においても劣化しない。
(2)耐熱限界が300℃近く(一般には287℃以下)あり、オートクレーブに対応が可能である。
(3)毒性が無く、内視鏡等の医療機器に対応可能である。
(4)摩擦抵抗が小さく滑り性が良いので、可撓時にチューブ層が引き攣れる虞がない。
(5)シリコンと比較して機械的強度が大きい。
以上のことから、パーフルオロモノマー構造の高分子材料は、医療機器に適していると言える。
しかし、パーフルオロモノマー構造の高分子材料は、一般にフッ素樹脂として使用され、延び率や弾性といったゴム特有の性質が失われ、最悪の場合には塑性変形を起こすという欠点がある。
そこで、パーフルオロモノマー構造の高分子材料を平均分子量が2000以下で構成し、さらにこれを加硫する。高分子材料においては、分子量が小さくなるほど軟化するので、平均分子量を樹脂(通常、平均分子量が2100〜9200)よりも小さくすることにより樹脂の剛性が無くなり、軟化した高分子材料が得られる。
さらにこの高分子材料を加硫することにより、前記高分子材料は、架橋反応を起こして、2次元的な線状モノマーが3次元網目構造になり、弾性の性質を持つようになる。これにより、耐薬品性、耐熱性、機械的強度等に優れたゴム材料、即ち、過酸化水素プラズマなどの消毒ガスを用いたガス滅菌及びオートクレーブ滅菌に対応可能であり、摺動部分にも使用可能なゴム材料を得ることができる。なお、分子量の大きさや加硫の程度は、成形したゴム硬度が60〜70になるように調節する。また、前記加硫は、1,1‐ジ(t−ブチルパーオキシ)‐3,3,5‐トリメチルシロキサン等のパーオキサイドや硫黄などの架橋剤を混ぜて加熱する方法が一般的であるが、それ以外の試薬(アミン、フェノール樹脂等)や熱以外のエネルギー(紫外線、電子線、放射線等)によって行っても良い。
次に、この発明の第3実施例による内視鏡の可撓管10´´を、図4を参照して説明する。
この実施例は、ウレタン樹脂からなる外皮層3よりも内側に、上述のパーフルオロモノマー構造を有するゴム材料からなるチューブ層5を設けたものである。
図4に示すように、外皮層3と筒状網体2の間にパーフルオロモノマー構造を有するゴム材料からなるチューブ層5を設けた可撓管10´´では、優れた耐薬品性をもつチューブ層5(パーフルオロモノマー構造を有するゴム材料)によって筒状網体2の外周全体が覆われているため、ガス滅菌時に内視鏡内部に浸入した消毒ガスが前記チューブ層5によって食い止められ、外皮層3が内側から消毒ガスに曝されることがなく、ウレタン樹脂からなる外皮層3が内側から破壊される虞がない。
なお、パーフルオロモノマー構造を有するゴム材料からなるチューブ層5は、ウレタン樹脂からなる外皮層3よりも内側を覆うように設けられていればよく、ウレタン樹脂からなる外皮層3に接触しない位置に設けられていてもよい。
この発明の第1実施例による内視鏡の可撓管の構成を示す説明図である。 この発明の第2実施例による内視鏡の可撓管の構成を示す説明図である。 パーフルオロモノマー構造を有するゴム材料の分子構造図である。 この発明の第3実施例による内視鏡の可撓管の構成を示す説明図である。 内視鏡の全体構成を示す説明図である。 従来技術による内視鏡の可撓管の構成を示す説明図である。
符号の説明
1 筒状構造体
1a 金属帯片
1b 帯片間
2 筒状網体
3 外皮層
4 コート膜
5 チューブ層
5A 凸部
10,10´,10´´ 可撓管

Claims (4)

  1. 曲げ方向に可撓性のある筒状構造体(1)を筒状網体(2)で覆い、この筒状網体にウレタン樹脂からなる外皮層(3)が積層されて、そのほぼ全長にわたって曲げ方向に可撓性を有する内視鏡の可撓管(10)において、
    前記筒状構造体(1)と筒状網体(2)の間に、耐薬品性ゴム材料からなるチューブ層(5)を設けたことを特徴とする内視鏡の可撓管。
  2. 金属帯片を螺旋状に巻回することにより形成される螺旋管からなる筒状構造体(1)の外周に、内側に凸部(5A)を形成したチューブ層(5)を設け、
    金属帯片を螺旋状に巻回されてなる螺旋管の帯片間(1b)に、任意ピッチ間隔で前記凸部(5A)を介在せしめたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡の可撓管。
  3. パーフルオロモノマー構造を有するゴム材料からなるチューブ層(5)を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡の可撓管。
  4. 曲げ方向に可撓性のある筒状構造体(1)を筒状網体(2)で覆い、この筒状網体にウレタン樹脂からなる外皮層(3)が積層されて、そのほぼ全長にわたって曲げ方向に可撓性を有する内視鏡の可撓管(10)において、
    前記外皮層(3)よりも内側に、パーフルオロモノマー構造を有するゴム材料からなるチューブ層(5)を設けたことを特徴とする内視鏡の可撓管。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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