JP2004208512A - 核酸検出用カートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】検体から、核酸の精製、増幅および検出について、一貫してカートリッジ内で行える核酸検出用カートリッジを、簡単な構造で、安価に構築すること。
【解決手段】核酸を含む試料から、核酸吸着物質に核酸を吸着させ、核酸吸着物質上の核酸を鋳型にして核酸増幅反応を行い、増幅された産物を検出する一連の工程を、カートリッジで達成することにより、検体中の核酸の有無を迅速簡便に検出することのできる核酸検出用カートリッジ。
【選択図】 図18
【解決手段】核酸を含む試料から、核酸吸着物質に核酸を吸着させ、核酸吸着物質上の核酸を鋳型にして核酸増幅反応を行い、増幅された産物を検出する一連の工程を、カートリッジで達成することにより、検体中の核酸の有無を迅速簡便に検出することのできる核酸検出用カートリッジ。
【選択図】 図18
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な構造を有する核酸検出用カートリッジに関する。詳しくは、核酸を含む試料から、核酸吸着物質に核酸を吸着させ、核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型にして核酸増幅反応を行い、核酸増幅反応の有無を検出する一連の工程を行うのに用いられる核酸検出用カートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療における臨床検査の現場では、患者から採取した検体を、臨床の現場において、迅速、かつ、簡便に検査し、結果を判断してすぐに診療に生かす、いわゆる”ポイント・オブ・ケアー・テスト”と呼ばれる診断法が求められている。また、河川、海洋、廃棄物中の有害物質の分析といった環境分野や、食品の細菌や毒物による汚染検査といった食品分野の分析についても、それぞれの現場または現場の近傍で分析・計測を行う”ポイント・オブ・フィールド・テスト”が注目されている。これらの簡易迅速検査においては、できるだけ短時間に、手動で行う操作を減らすことが要求される。すなわち、検体の処理から検出までの工程を、”カートリッジ”と呼ばれる装置の中で完結することが望ましい。
【0003】
特許文献1に記載の「核酸抽出、増幅および検出を統合する自己充足装置」には、核酸抽出、増幅および検出を行うシリンダー状の装置が開示されている。この発明は、核酸抽出、増幅および検出を統合するとしてものと規定されている。
しかし、この発明は、装置内での反応液などの送液の問題が充分に解決されていない。実際、この特許文献の実施例に示されているのは、核酸の抽出工程、増幅工程および検出工程について、それぞれの要素技術を開示しているにとどまり、「自己充足装置」として要求される各工程を一貫して実施した例は開示されていない。すなわち、シリンダー状の装置では、(イ)液体を送液する場合の流路を作成したり、弁構造を導入する場合に於いて複雑な構造を要求され安価に製造することが困難になる、(ロ)装置内の溶液を送液する場合において、外部からの力を、例えば、ピストンの様な構造体で送液の圧力に結びつけることが困難である、といった問題がある。
以上のように、現在、前記の要求を満たすものは、未だ実用化されていない。
【0004】
【特許文献1】
特表平12−509100号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、検体から、核酸の精製、増幅および検出について、一貫してカートリッジ内で行える核酸検出用カートリッジを、簡単な構造で、安価に構築することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、これらの課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
本発明において、核酸とは、DNA(deoxyribonucleic acid)またはRNA(ribonucleic acid)を意味し、対象となる材料に含まれるDNAまたはRNAを意味する。
【0007】
請求項1に係る発明は、核酸を含む試料中の核酸を核酸吸着物質に吸着させ、核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジであって、該カートリッジは、(イ)核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または試料槽、(ロ)注入口または試料槽と連通し、核酸吸着物質が設置され、核酸増幅反応の有無が検出可能である少なくとも1つの反応槽、(ハ)反応槽と連通し、核酸増幅反応試薬が収納された少なくとも1つの核酸増幅反応試薬リザーバー、(ニ)反応槽と連通する少なくとも1つの排出口または廃液槽、を包含することを特徴とする核酸検出用カートリッジである。
【0008】
本発明により、核酸を含む試料から、核酸吸着物質に核酸を吸着させ、該核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出する一連の操作を実施することが可能になる。検出試薬は、核酸増幅反応試薬の中に含まれる。この場合、検出試薬は、核酸増幅反応に影響を与えないような物質である必要がある。カートリッジ内での各工程は、反応槽内にある前工程の溶液を完全に除く必要はなく、リザーバーから順に各試薬を供給していくことにより、核酸検出まで行うことができる。
【0009】
このカートリッジにおいて、反応槽と連通し、洗浄液が収納された少なくとも1つの洗浄液リザーバーを、さらに包含していてもよい。これにより、核酸を含む試料中に、核酸増幅反応を阻害する物質が含まれている場合において、核酸吸着物質に核酸を吸着させた後、核酸増幅反応を適用する前に、核酸吸着物質を洗浄することができるので、核酸増幅反応が阻害されなくなるので好ましい。
請求項3に係る発明は、核酸を含む試料中の核酸を核酸吸着物質に吸着させ、該核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジであって、該カートリッジは、(イ)核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または試料槽、(ロ)注入口または試料槽と連通し、核酸吸着物質が設置された少なくとも1つの反応槽、(ハ)反応槽と連通し、核酸反応試薬が収納された核酸増幅反応試薬リザーバー、(ニ)反応槽と連通し、核酸増幅反応の有無を検出する少なくとも1つの検出槽、(ホ)反応槽および/または検出槽と連通する少なくとも1つの廃液の排出口または廃液槽、を包含することを特徴とする核酸検出用カートリッジである。
【0010】
反応槽とは別の位置に検出槽を設ける本発明によって、(イ)反応槽に設置された核酸吸着物質が検出を妨害する場合、(ロ)カートリッジや反応槽部分を加熱する場合において、加熱装置が検出を妨害する場合など、反応槽で検出することが困難な時でも検出可能になるので有用である。
このカートリッジは、反応槽および/または検出槽と連通し、洗浄液が収納された少なくとも1つの洗浄液リザーバーを、さらに包含していてもよい。これにより、核酸を含む試料中に、核酸増幅反応を阻害する物質が含まれている場合において、核酸吸着物質に核酸を吸着させた後、核酸増幅反応を適用する前に、核酸吸着物質を洗浄液で洗浄することができるので、核酸増幅反応が阻害されなくなり有用である。
【0011】
前記のカートリッジは、反応槽と連通し、検出試薬が収納された少なくとも1つの検出試薬リザーバーを、さらに包含していてもよい。これにより、検出試薬が、核酸増幅反応を阻害するような物質の場合でも、検出試薬を核酸増幅反応試薬とは別試薬にすることができ、核酸増幅反応が終了した後に、検出試薬を反応槽および/または検出槽に導入することが可能になって、核酸増幅反応の有無の検出が容易になるので有用である。
【0012】
請求項6に係る発明は、核酸を含む試料中の核酸を核酸吸着物質に吸着させ、核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、該核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジであって、該カートリッジは、(イ)核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または試料槽、(ロ)注入口または試料槽と連通し、核酸吸着物質が設置され核酸増幅反応の有無が検出可能である少なくとも1つの反応槽、(ハ)反応槽と連通している少なくとも1つの排出口を含む第一カートリッジと、(ニ)第一カートリッジと接合可能な接合部、(ホ)接合部にあり、第一カートリッジの排出口または注入口と連通可能な接合口、(ヘ)接合口に連通し、核酸増幅反応試薬が収納された少なくとも1つの核酸増幅反応試薬リザーバーを含む第二カートリッジ、の少なくとも2つの分離可能なカートリッジから形成される核酸検出用カートリッジである。この第二カートリッジに、接合口と連通し、洗浄液が収納された少なくとも1つの洗浄液リザーバーを、さらに包含していてもよい。
【0013】
請求項8に係る発明は、核酸を含む試料中の核酸を核酸吸着物質に吸着させ、核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジであって、該カートリッジは、(イ)核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または試料槽、(ロ)注入口または試料槽と連通し、核酸吸着物質が設置された少なくとも1つの反応槽、(ハ)反応槽と連通している少なくとも1つの排出口を含む第一カートリッジと、(ニ)第一カートリッジと接合可能な接合部、(ホ)接合部にあり、第一カートリッジの排出口または注入口と連通可能な接合口、(ヘ)接合口に連通し、核酸増幅反応試薬が収納された少なくとも1つの核酸増幅反応試薬リザーバー、(ト)接合口に連通し、核酸増幅反応の有無を検出する少なくとも1つの検出槽、(チ)検出槽と連通している少なくとも1つの排出口または廃液槽を含む第二カートリッジ、の少なくとも2つの分離可能なカートリッジから形成される核酸検出用カートリッジである。
【0014】
この第二カートリッジに、接合口および/または検出槽と連通し、洗浄液が収納された少なくとも1つの洗浄液リザーバーを、さらに包含していてもよい。また、第二カートリッジに、接合口と連通し、検出試薬が収納された少なくとも1つの検出試薬リザーバーを、さらに包含していてもよい。
請求項6および8に係るカートリッジは、請求項1および3に係るカートリッジについて、核酸増幅反応を適用する前の工程と、後の工程について、カートリッジを分割したものである。カートリッジを分割することにより、カートリッジの構造をより簡便にすることが可能になるので好ましい。
【0015】
第一カートリッジと第二カートリッジの結合の形態としては、(イ)第一カートリッジ全体を、第二カートリッジに封入する、(ロ)第一カートリッジ全体と、第二カートリッジ全体を対等に結合させる、(ハ)第一カートリッジの反応槽を含む一部を取り出して、第二カートリッジに封入する、(ニ)第一カートリッジの反応槽を含む一部を取り出して、第二カートリッジに結合させる、などが挙げられる。
【0016】
第一カートリッジを第二カートリッジに結合させる前の操作において、第一カートリッジへ洗浄液を導入する場合は、(イ)第一カートリッジに洗浄液リザーバーと、該リザーバーと反応槽を連通する流路を設ける、(ロ)試料の導入口の部分に、取り外し可能な洗浄液リザーバーを取り付けて、洗浄液を供給する、(ハ)リザーバーを用いずに、外部のマイクロピペット等を用いて洗浄液を供給する、などの方法を用いる。第一カートリッジの排出口を、第二カートリッジの接合口に結合させる場合は、第一カートリッジの注入口が、接合後のカートリッジの排出口を兼ねることも可能である。第一カートリッジの注入口を、第二カートリッジの接合口に結合させる場合は、第一カートリッジの排出口が、接合後のカートリッジの排出口を兼ねることも可能である。
【0017】
本発明のカートリッジにおいて、連通する部分の少なくとも1つが流路であってもよい。連通する部分を流路として設置することにより、リザーバーや各槽の間の送液が容易になるので好ましい。さらに、流路の少なくとも1カ所について、開通および/または閉止、または流路の連通先が変更可能である弁を備えることができる。これにより、反応、液体の流れなどの制御をより正確に行うことができる。
【0018】
弁の構造は限定されるものではないが、例えば、本出願人に係る別途の発明である化学反応用カートリッジ(特願第2001−393445号)に開示されている弁を用いると、カートリッジ内の流路において、その流路の開通および/または閉止を制御する弁を容易に作成することができる。この弁は、棒状部材を有し、該棒状部材は該カートリッジ内の流路に対して移動が可能であり、該棒状部材は、開区間と閉区間を有する。開区間は、閉区間よりも移動方向に対する垂直な面への投影面積が小さい構造である。棒状部材の移動によって、カートリッジ内の流路と、棒状部材の開区間が連通することにより、弁が開通となり、棒状部材の移動によって、カートリッジ内の流路が棒状部材の閉区間によってふさがれることで、弁が閉止となる。
【0019】
その他にも、市販されている静脈点滴注射に用いられるプラスチック製の三方弁に類似した構造のものを、カートリッジ内の流路に設けることでも達成できる。このような回転型構造の弁の場合、複数流路について、同時に連通する先を変更する弁を作成することが可能になる。
各リザーバーと流路との接合部、および各槽と流路との接合部の少なくとも1カ所に、開通および/または閉止を制御する弁を備えていてもよい。この弁により、リザーバーや反応槽からの液体の制御がより正確に行われるので好ましい。
弁の構造は特定されるものではないが、例えば、リザーバーまたは槽の出口になるカートリッジ流路との接合部を、あらかじめ破損可能なシール材料で接着し、閉止状態にしておいて、開通状態にする必要がある時に、リザーバーや槽に圧力をかけ、圧力によりシール材料またはシール材料の一部を破損させる、などにより閉止状態から開通状態に変更可能な弁を作成することができる。
【0020】
以上述べた本発明のカートリッジにおいて、核酸増幅反応以降の工程を、カートリッジの中の密閉された空間内で達成してもよい。これにより、核酸増幅反応およびそれ以降の工程が密閉された空間内で達成されるので、核酸増幅反応によって増幅された特定の配列の核酸が、別の検体に混入することがさけられる。もし、このような混入が起きた場合には、もともとの検体には、目的の核酸が含まれていないにもかかわらず、核酸が含まれているという誤った結果を与えることになる。
【0021】
密閉構造を達成するための構造は限定されないが、例えば、(イ)外気と連通する全ての流路において、弁を閉じて密閉する、(ロ)注入口、排出口などの外気に接触する部分に、栓またはベント膜(気体分子は通過させるが、液体は通過させない膜)を用いて密閉構造にする、(ハ)カートリッジ内の液体や気体と、外気との接触部分にベント膜を用いて密閉する、などが挙げられる。特に、カートリッジに、反応後の液体を収納する廃液槽を設ける場合は、その構造を密閉構造にすることは有用である。
廃液槽を密閉構造にする方法には限定されないが、例えば、(イ)ピストンを設置した密閉構造とし、廃液の導入と連動させてピストンを移動して廃液槽の体積を増加させる、(ロ)蛇腹やゴムなどのエラストマーで作成し、廃液の導入と連動させて廃液槽の体積を増加させる、(ハ)密閉した減圧状態にしておき、陰圧によって廃液を導入する、などの方法が挙げられる。
【0022】
本発明のカートリッジにおいて、各リザーバーおよび廃液槽のうちの少なくとも1つが、カートリッジから取り外した状態で保管され、使用時にカートリッジに設置して使用する構造であってもよい。リザーバーの取り外しが可能であれば、リザーバーに収納されている試薬を、(イ)リザーバー部分を冷凍、冷蔵などで低温保存し、使用時にカートリッジ本体に設置して使用する、(ロ)リザーバー内の試薬を凍結乾燥などの手法によって乾燥状態で保存しておき、使用時に液体を添加して溶解しカートリッジ本体に設置して使用する、(ハ)同一の導入口または注入口から、複数のリザーバーを順次取り換えながらカートリッジ内に試薬を送液する、などの手段が可能になるので好ましい。また、廃液槽の取り外しが可能であれば、例えば、内部を真空状態に保った廃液槽をカートリッジから取り外した状態で保存しておき、使用時にカートリッジ本体に設置して使用することが可能になる。この場合、廃液槽の陰圧を、カートリッジ内の液体の送液に使うことも可能である。
【0023】
本発明のカートリッジにおいて、核酸吸着物質が、核酸吸着フィルターで構成されていてもよい。核酸吸着物質として、核酸吸着フィルターを用いた核酸検出用カートリッジを用いることにより、核酸吸着物質を反応槽に容易に設置することが可能になり、検体からの核酸を効率よく、核酸吸着物質上に吸着させることが可能になる。ここでフィルターとは、一方の面から他方の面に連通する多数の微細な孔を有する通気性のフィルム、シート、膜、板、塊状、繊維状、粒状等の任意の形態を意味する。フィルターの孔の形状やその連通状態、フィルターの厚さ、寸法等は、反応槽に設置できるものであればよい。
【0024】
多孔質体からなるフィルターは、有機材料および無機材料のいずれからなっていてもよく、また天然材料、合成材料または半合成材料からなっていてもよい。
具体的には、ナイロン、ポリプロピレン、セルロース、セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ガラス、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、セラミック、金属、ポリカーボネート、ポリエステル、セルロースエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、XRレジンまたはパーフルオロスルホン(カルボン)酸などがフィルターの素材として使用可能である。
【0025】
フィルターの例としては、天然、合成、半合成または再生の、有機または無機繊維からなる多孔質体;有機または無機発泡体(例えばスポンジ、フォームなど);孔成分の溶出、焼結、延伸、穿孔などにより孔形成された有機、無機多孔質体;有機または無機の微粒子や細片を充填または結合した多孔質体などを挙げることができる。
膜の種類としては、焼結膜、延伸膜、飛跡―浸蝕膜、非対称型・多孔質相転換膜、非対称膜、複合膜、均質膜、イオン交換膜などが挙げられる(バイオ分離工学ハンドブック p230、 サイエンスフォーラム)。具体的には、ワットマン社製の濾紙、ミリポア社製のミリポアフィルター、多孔質ポリウレタンシート(テルモ社製のイムガード(登録商標)III―RCのメインフィルターなど)、GENERATION(登録商標)DNA Purification Capture ColumnTMで使用されているマトリックス(Gentra Systems社製)、シリカ膜などが使用可能である。
【0026】
本発明でいうメンブランフィルターとは、前記のミリポアフィルターに代表される均一な細孔を有する合成高分子膜のことである。ネットフィルターとは、縦糸と横糸とが交錯して規則正しい網目構造を形成している網のことである。本発明には、孔径が0.2〜30μmのメンブランフィルターまたはネットフィルターを使用できる。フィルターの孔径が0.2μm未満では濾過が困難になり、30μmを越えると核酸の吸着が起こりにくくなる。
【0027】
核酸吸着フィルターとして濾紙を用いた場合は、材料として安価であり、実験用の資材として市販されているものを用いることができるので好ましい。濾紙として、セルロースを主成分とする濾紙を用いることが好ましい。
織布または不織布は、材料として安価である上に、濾紙よりも機械的強度が強いので好ましい。織布とは、縦糸と横糸とが交錯してできた布地を意味する。不織布とは、短繊維またはフィラメントを機械的、熱的、化学的な手段を用いて接着または交絡させて作るシート状またはウェブ構造のものである(第二版 繊維便覧 繊維学会編 丸善)。
【0028】
不織布は、さまざまな方法で生産されるが、基本的な工程は、ウェブ(繊維の方向がある程度揃った繊維塊のシート状のもの)の形成工程、ウェブの接着工程、および仕上げ工程である。不織布には天然繊維から化学繊維まで種々の繊維が用いられているが、一般的に用いられているのは綿、レーヨン、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維であり、その他にもアクリル繊維、ビニロン、ガラス繊維、パルプ、炭素繊維なども使用される。ウェブを形成する方式は、湿式、乾式および直接式に大別される。直説法は、紡糸直結式ともいわれる方法で、溶融高分子溶液から紡糸された繊維を集めて直接ウェブとする工程である。これに含まれる方法は、スパンレース法、スパンボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などであるが、本発明には、メルトブロー法でつくられた超極細繊維不織布が最も適している。
【0029】
このような不織布として、本出願人に係る国際特許出願PCT/JP02/06939号には、核酸を単離し増幅する方法に用いられる不織布が開示されている。不織布の孔径は2〜150μmのものが好ましく、7〜13μmのものがより好ましい。ここで、不織布の平均孔径とは、水銀ポロシメーターによって測定した測定値(メディアン値)をいう。平均孔径は、フィルター要素を構成する繊維の絡み具合や空隙の大きさに関連している指標である。
【0030】
織布の素材としては、木綿、絹、人絹、アクリル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維などが用いられる。その他、布地に織ることができるもの、不織布に加工できるものであれば素材は限定されない。
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維からなる織布および不織布が好ましい。
【0031】
本発明の核酸吸着物質として、核酸吸着樹脂を用いてもよい。核酸吸着樹脂は、フィルター以外の形状にも加工することができるため、反応槽への設置の制約が少ないので好ましい。この樹脂は、流路内で液体の流れによって移動しないように、メッシュ状のもので固定されていることが好ましい。樹脂の材質として、例えば、国際公開第98/46797パンフレットに記載されているシリコン、硼素、アルミニウムの元素を含むものを用いることが好ましい。このような樹脂としてXtrana社よりXtraAmpTMの商品名で市販されている、プラスチック容器内に固定されている核酸吸着樹脂を用いることができる。
【0032】
カートリッジの少なくとも一部を加熱および/または冷却して温度制御することにより本発明の核酸増幅反応が遂行される。この核酸増幅反応は、等温度の反応によって行われる反応を用いることが好ましい。例えば、核酸増幅反応として広く実施されているポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)を用いる場合、カートリッジ内における核酸吸着物質が保持されている反応槽の部分を、少なくとも2つの異なる温度に交互に加温、冷却を繰り返す必要がある。しかし、核酸増幅反応が等温度で進行する反応を用いれば、一定温度への制御のみで核酸増幅反応が実施される。そのため、2つの温度に加温と冷却を行う場合に比べて、はるかに容易に実施することが可能である。
【0033】
等温度の核酸増幅反応を行う為には、カートリッジ全体を核酸増幅反応の温度に加温することもできるが、温度の効率、制御の容易さなどの理由から、カートリッジの反応槽を加熱することが好ましい。加熱は、カートリッジの外部に設置した装置で行うことができる。例えば、温度検出器、電気による発熱体および制御装置を組み合わせた外部装置によって達成される。温度制御をより厳密に行うために、冷却装置を付け加えて加熱と冷却を同時に行ってもよい。温度検出器としては、熱電対が使われるが、その他の温度検出器も使用可能である。
【0034】
発熱源として、温度によって抵抗値の変わる素子(PTC素子)を利用して一定温度の加熱を達成することもできる。この場合は、温度検出器を省略することができる。外部装置を必要としない、カートリッジ内に加温装置を備えた構造にすることも可能である。この場合、カートリッジ内に、加熱および/または冷却するためのエネルギー源を必要とする。例えば、エネルギー源として乾電池を用いて、カートリッジ内の発熱源を加熱および/または冷却して温度制御を行うことができる。
【0035】
発熱源をカートリッジ内部に、エネルギー源をカートリッジ外部にすることも可能である。また、中和反応や水和反応などの化学的な発熱および/または吸熱反応を用いてもよい。
カートリッジへの加熱および/または冷却が正しく行われることを確認するために、(イ)カートリッジまたは反応槽に近い部分に温度計を設置する、(ロ)カートリッジまたは反応槽に近い部分に、温度によって変色するラベルなどを貼付する、ことも有用である。加熱および/または冷却は、核酸増幅反応に必要な時間だけ行われればよいので、所要時間経過した後、温度制御を停止したり、警報を鳴らす為のタイマーを設置してもよい。
【0036】
等温度の核酸増幅反応として、既に実用化されている方法を用いることが好ましい。このような反応として、LAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification),ICAN(Isothermal and Chimeric primer−initiated Amplification of Nucleic acids),SDA(Strand Displacement Amplification)、TMA(Transcription―Mediated Amplification)、NASBA(Nucleic Acid Sequence Based Amplification)、SCAR、SMART、bDNA(Branched DNA Assay)、CPT(Cycling Probe Technology)、Q―Beta Replicase Amplification Technology、RCAT(Rolling Circle Amplification Technology)、などが挙げられる。特に、LAMP法は、増幅の効率が高く、反応時間が短いので好ましい。
【0037】
本発明における検出方法は、核酸増幅反応によって新たに生成した核酸を検出する方法であることが好ましい。その方法として、核酸と共存させることにより蛍光強度が変化する物質を用いて、光学的に検出する方法がより好ましい。このような物質として、核酸インターカレーターを用いると検出が容易になるので好ましい。インターカレーターは、核酸増幅反応により生成した核酸と結合し、照射した光(励起光)よりも波長の長い光(放出光)を発するようになる(一般的に蛍光と呼ばれる)。例えば、エチジウムブロマイド、サイバーグリーン(SYBR(登録商標)Green、Molecular Probes社製)、ピコグリーン(PicoGreen(登録商標)、Molecular Probes社製)、オリグリーン(OliGreen(登録商標)、MolecularProbes社製)、ヘキスト33256(Hoechst33258、Molecular Probes社製)などの、市販のインターカレーターを用いることができる。
【0038】
インターカレーターの代わりに、核酸増幅反応によって新たに生成した核酸と相補的な配列を持つ核酸を含む物質を用いて検出すれば、増幅された核酸の配列を特異的に検出することが可能になり好ましい。このような物質として、増幅された核酸と相補的な配列をもつオリゴ核酸に蛍光を発する低分子や、蛍光を消光させる低分子を結合させたプローブを用いることができる。プローブは、増幅により生成した核酸とハイブリダイズさせることにより蛍光を発するようになる、またはプローブがもともと持っている蛍光が消失するように設計することも可能である。
【0039】
検出は、これらの物質が核酸と共存することにより、紫外線や可視光線等を照射した場合の蛍光や蛍光の消失を、光センサーや目視で行う。簡便な検出が必要な場合には、目視によって識別できる方法が好ましい。一方、検出結果を電子媒体などに記憶する場合には、光センサーを用いて機械的に検出する方法が好ましい。
励起光および放出光の波長は、使用する物質により最適な値が異なる。励起光が紫外線で、放出光が可視光となる物質を使用した場合、カートリッジの反応槽または検出槽に紫外線をあてることにより、目視で検出することができる。励起光と放出光が、共に可視光となる物質を使用した場合は、励起光を通さず、放出光を通すフィルター(干渉フィルター)、または励起光を通し、放出光を通さないフィルターを用いる方法が用いられる。これらの干渉フィルターを両方使用してもよい。フィルターの代わりに分光器(プリズム、グレーディング等)を用いる方法もあるが、検出する機器が高価になる。
【0040】
核酸増幅反応においては、目的の核酸が存在しない場合でも、核酸増幅反応に用いるプライマーどうしが酵素の働きにより二本鎖のDNAになる、いわゆるプライマーダイマーを生成する場合がある。この場合、インターカレーターは、プライマーダイマーにも反応するので、単なる蛍光の検出だけでは、検体中に目的の核酸が存在したことによる特異的な増幅なのか、プライマーダイマー生成による非特異増幅なのか区別がつきにくい場合がある。このような場合には、プローブを用いた検出が好ましい。
【0041】
非特異的に増幅したプライマーダイマーと特異的な増幅産物を分離して検出することも可能である。例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて分子量による分離を行うことが考えられる。乾燥したゲルをシート状にしておき、一方から核酸増幅反応を終えた試料を注入する。増幅物は分子量が大きいので、シートの先端側に移動する。一方、プライマーダイマーは、遅れて移動する。シートが溶液で満たされた後は、毛細管現象が見られなくなるので、試料溶液は移動しなくなる。この後、シートの先端部分について蛍光等を用いて検出する。この際、インターカレーターは、あらかじめ反応溶液に加えることもできる。また、ゲル内にあらかじめしみこませておき、試料の移動とともに試料内に溶け出して反応するといった方法が考えられる。
【0042】
非特異的に増幅したプライマーダイマーと特異的な増幅産物を分離する別の方法として、増幅産物を含む溶液を、別の核酸吸着物質に、もう一度吸着させる方法が考えられる。例えば、核酸増幅反応を終えた液をインターカレーターと混合し、カートリッジ内の反応槽とは異なる部分に設置した不織布に導くことにより、特異的な増幅産物は不織布上に残り、非特異的に増幅したプライマーダイマーは不織布上に残らずに廃液側に導かれる。不織布上に残っている特異的増幅産物のDNAを検出すれば、特異的増幅の有無を検出することが可能である。
【0043】
更に、増幅した核酸を電気泳動によって分離して検出する方法、増幅された核酸と相補的な配列をもつオリゴ核酸を用いてハイブリダゼーションの手法で検出する方法など、当業者の間で一般的に行われている核酸の検出方法が適用可能である。しかし、これらの手法を用いて、カートリッジで検出を行う場合、複雑な機構を必要とする。
本発明における別の検出方法として、核酸増幅反応によって生成したピロリン酸イオンを検出することによる核酸増幅反応の検出も適用可能である。ピロリン酸イオンを検出する方法としては、化学反応による方法が有用である。さらに、化学反応が、沈殿形成の反応または有色の発色反応であれば、肉眼による検出、吸光度測定、散乱光測定、熱レンズを用いた検出などが可能になる。化学反応が発光を伴う反応であれば、肉眼での検出、光センサーを用いた検出などが可能になる。簡便な検出が必要な場合には、目視よって識別できる方法が好ましい。
【0044】
一方、検出結果を電子媒体等に記憶する場合には、吸光度、散乱光、熱レンズ、光センサー等、機械的に測定する方が好ましい。沈殿形成反応の場合、生成した沈殿を多孔質フィルター上に捕捉すれば、肉眼での検出がさらに容易になる。この場合、沈殿とフィルターの色は異なっていることが望ましい。すなわち、沈殿の色が白色の場合には、フィルターは有色であることが好ましく、沈殿が有色の場合には、白色または沈殿と異なる色調のものであることが好ましい。また、検出槽に連通する洗浄液リザーバーを設置して、検出反応によって生成した不溶性沈殿をフィルターに捕捉した後、そのフィルターを洗浄すれば、洗浄によって検出反応が停止されるので、最適な検出ポイントで反応を停止して目視判定でき、また、時間が経過した後に結果を確認することも可能になるので有用である。
この時に用いられる洗浄液は、フィルターに捕捉された色素を可溶化することなく、ピロリン酸イオン検出のための試薬やピロリン酸、リン酸、またはこれらを発生させる化合物を洗浄できる溶液であればよい。例えば、モリブデン酸アンモニウムの硫酸溶液、2―メルカプトエタノール、ピロリン酸イオンの3つの物質の反応で生成した青色色素の洗浄には硫酸が使用できる。
【0045】
検出する方法として、ピロリン酸イオンとマグネシウムイオンの化学反応による白色の沈殿形成反応を方法を用いる場合には、検出試薬としてマグネシウムイオンを核酸増幅反応試薬にあらかじめ添加しておけば、化学反応として、検出試薬リザーバーを別途カートリッジ内に設置する必要が無いので好ましい。
その他、ピロリン酸イオンと化学反応して白色の沈殿を生じる物質として、バリウムイオン、銀イオン、マグネシウムイオン、カドミウムイオンが挙げられる。銅イオンは青白色の沈殿を生じる。これらのイオンを含む溶液を検出試薬として使用することができる。
【0046】
検出する方法として、ピロリン酸イオン、モリブデン酸塩および還元剤による化学反応を用いる場合、モリブデン酸塩としては、ピロリン酸イオンと錯体をつくるものであれば如何なるものでも使用可能である。このようなモリブデン酸塩の例としては、モリブデン酸アンモニウムがある。還元剤としては、ピロリン酸イオンとモリブデン酸アンモニウムが反応してできる錯体を還元して、青緑色の化合物を生成させるものであれば如何なるものでも使用可能である。このような還元剤の例としては、2−メルカプトエタノール、1−チオグリセロール、DL−ジチオトレイトール(DTT)などのメルカプト基を有する還元剤が挙げられる。
【0047】
その他、ピロリン酸をATPに変換してルシフェリン−ルシフェラーゼの系で発光させて検出する方法は、感度が高いので核酸増幅反応が微妙にしか起こらない場合に検出手法として有用である。ピロリン酸イオンをリン酸イオンに分解して、リン酸イオンを検出することも可能である。
本発明のカートリッジの作成方法は限定されるものではないが、例えば、本出願人に係る別途の発明である化学反応用カートリッジ(特願第2001−393445号)を用いれば、容易に作成することが可能である。この化学反応用カートリッジは、(イ)弾性材料からなる少なくとも1枚の気密用平板状部材を、該弾性材料よりも低い弾性と高い硬度を有する材料からなる少なくとも2枚の基板用平板状部材が交互に挟み圧着して構成される3層以上の積層構造を有し、(ロ)該流路は、該基板用平板状部材に設けられた溝及び/または穴、該気密用平板状部材に設けられた溝及び/または穴、あるいは、該試料、該試薬または該混合流体の圧力によって気密用平板状部材の部分が変形することにより形成される空隙、からなる群より選択される少なくとも1つにより構成され、(ハ)該リザーバー及び/または反応槽は、該気密用平板状部材及び/または該基板用平板状部材に設けられた溝及び/または穴により構成されている。
【0048】
本発明のカートリッジの材質としては、金属、ガラス、セラミックスなどを用いることもできるが、加工の容易さからプラスチックが好ましい。具体的には、ポリ塩化ビニール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0049】
カートリッジ内に、弁や、流路内の液体、気体の気密性を保つためにパッキングとして、ゴムなどの弾性体を用いてもよい。このような弾性体としては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等のゴム類、軟質塩化ビニール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ナイロン樹脂などが挙げられる。
【0050】
カートリッジとしての形状を完成するための部品、弁に用いる部品、加熱および/または冷却する場合において熱を効率良く伝える為の部品などは、プラスチックの他、アルミニウム、真鍮、鉄、銅、ステンレス、チタン合金、マグネシウム合金、ジュラルミンなどの金属であってもよい。カートリッジに熱を加える場合には、その加熱部分が設定した温度において、機械的強度を維持できる材質が必要である。
【0051】
本発明のカートリッジにおける送液は、(イ)リザーバー部分をカートリッジ外の装置に設置されたアクチュエータで押し、その圧力によって送液する、(ロ)リザーバー部分を手で押し、その圧力によって送液する、(ハ)排出口から吸引して送液する、(ニ)廃液槽を陰圧にして送液する、(ホ)液体にかかる重力により送液する、(ヘ)カートリッジ外部から、またはカートリッジに内蔵した電池から電気を供給して、カートリッジ内に設置されたポンプで送液する、(ト)カートリッジ外部から、またはカートリッジに内蔵した電池から電気を供給して、電気浸透流(EOF:electroosmotic flow)を利用して送液する、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
本発明のカートリッジには、一連の反応工程を達成できる複数の槽、リザーバー、流路などを作成して、複数試料を同時に測定することも可能である。特に、核酸増幅反応が正しく達成させたことを確認する陽性対照(ポジティブコントロール)および/または陰性対照(ネガティブコントロール)を同一のカートリッジ内で達成できるようにすることが好ましい。複数試料を測定する場合には、同一のリザーバー内の試薬を複数の反応槽などへ導いて測定しても、それぞれ別のリザーバーを用いてもよい。
【0053】
本発明のカートリッジにおいて、測定する試料を区別するためにラベルを貼付したり、コンピューター等に読みとらせることが可能なバーコードやICチップなどを取り付けておくことは有用である。
本発明の核酸検出用カートリッジを用いて行う検出対象となる核酸を含有する材料としては、例えば、人の疾患の診断に用いる臨床検体である喀痰、唾液、尿、便、精液、血液、組織、臓器、その他の体液、これらの体液の分画、微生物汚染の検査に用いる食品、飲料水、土壌、排水、河川水、海水、ふき取り液、ふき取り綿などが挙げられる。また、例えば大腸菌などの細菌懸濁液を使用することができる。カートリッジに導入するまでの試料の前処理については、マイクロピペットなどを用いて手動で遂行する。試料を直接カートリッジに導入することも可能である。また前処理操作をカートリッジ内の工程に組み込むことも可能である。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、何らこれに限定されるものではない。
実施例中に記載された長さ、深さ、直径等の数値は単なる例示であって、本発明はこれらの数値に限定されるものではない。なお、実施例で用いた図面中、寸法の単位はmmである。
【0055】
【実施例1】
本発明のカートリッジを以下の方法によって作成した。図1〜図8に示す4種類の基板(1a、2a、3a、4a)を、それぞれアクリル板で作成した。
図1は、直径1.6mmの多数の穴(1b)、およびM4の10個の雌ネジ穴(1c)が設けられた縦32mm、横112mm、厚さ3mmの基板(1a)の平面図、図2は、図1のA−A’に沿って切断した断面図、図3は、直径1.6mmの多数の穴(2b)、直径0.5mmの10個の穴(2c)、直径7.5mmの1個の穴(2d)、幅0.5mm、深さ0.5mmの5本の溝(2e)が設けられた縦32mm、横112mm、厚さ1mmの基板(2a)の平面図、図4は、図3のB−B’に沿って切断した断面図、図5は、直径1.6mmの多数の穴(3b)、直径0.5mmの1個の穴(3c)、直径7.5mmの2個の穴(3d)、幅0.5mm、深さ0.5mmの2本の湾曲した溝(3e)が設けられた縦32mm、横112mm、厚さ1mmの基板(3a)の平面図、図6は、図5のC−C’に沿って切断した断面図、図7は、直径1.6mmの多数の穴(4b)、幅0.5mm、深さ0.5mmの2本の溝(4e)が設けられた縦32mm、横112mm、厚さ1mmの基板(4a)の平面図、図8は、図7のD−D’に沿って切断した断面図である。
【0056】
図9〜図13に示す3種類の気密板(5a、6a、7a)を、それぞれシリコンゴム板で作成した。
図9は、直径1.8mmの多数の穴(5b)、直径4.0mmの10個の穴(5c)、直径7.5mmの1個の穴(5d)が設けられら縦32mm、横112mm、厚さ1mmの気密板(5a)の平面図、図10は、図9のE−E’に沿って切断した断面図、図11は、直径1.8mmの多数の穴(6b)、直径1mmの2個の穴(6e)、直径5mmの1個の穴(6c)、直径7.5mmの1個の穴(6d)が設けられた縦32mm、横112mm、厚さ1mmの気密板(6a)の平面図、図12は、図11のF−F’に沿って切断した断面図、図13は、直径1.8mmの多数の穴(7b)、直径5mmの1個の穴(7c)、直径7.5mmの1個の穴(7d)、直径1mmの穴が2個(7e)が設けられた縦32mm、横112mm、厚さ1mmの気密板(7a)の平面図、図14は、図13のG−G’に沿って切断した断面図である。
【0057】
図15に示す円柱形の棒状部材(8)をステンレス棒で作成した。
直径7mmに切断した円盤状のポリエレンテレフタレート製の不織布(旭化成社製)を基板(3a)の7.5mmの穴の部分(図16の9aに相当する図5の3d)に挿入し、シリコンゴム製のパッキン(9b)(外径7.5mm、内径5mm、厚さ1mm)で押さえた。基板(1a、2a、3a、4a)および気密板(5a、6a、7a)を交互に積層して、ステンレス製鍋ネジとナット(9g)(M1.6、長さ12mm)を用いて固定し、核酸検出用カートリッジの本体部分(10)を作成した。カートリッジ本体の平面図を図16に、そのH−H’に沿って切断した断面図を図17に示す。図16の9c、9d、9e、9fの部分は、棒状部材(8)を挿入して弁を形成した。
【0058】
各リザーバーとして、7本のプラスチック製注射筒(1ml、テルモ社製)の先端を、基板1a(図1)の雌ネジ穴とかみ合うように雄ネジに加工(M4)した。各注射筒に、下記に示す所定の溶液を充填した後、先端部分に、破損可能なシール材として、直径3mmの円形に切断したパラフィルムを貼付した。カートリッジ本体部分(10)の取り付け口(9h、9i、9j、9k、9l、9m、9n)に、各リザーバーをそれぞれ取り付けた。廃液槽1(11p)として、プラスチック製注射筒(2.5ml、テルモ社製)の先端を、前記と同様に雄ネジ加工(M4)したものを、カートリッジ本体(10)の取り付け口(9p)に取り付け、図18に示す本発明のカートリッジ(12)を作成した。
【0059】
洗浄液リザーバー1(11h):0.2mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム、25mMのEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を含むpH=7.6の10mMのトリス緩衝液(トリスヒドロキシメチルアミノメタン/塩酸)
洗浄液リザーバー2(11i):0.2mlの1Mの塩化ナトリウムを含むpH=7.4の10mMのリン酸ナトリウム緩衝液
洗浄液リザーバー3(11j):0.2mlのTE緩衝液(1mMのEDATを含む10mMのトリス緩衝液)
核酸増幅反応試薬リザーバー1(11k):50μlの牛胎児胚雌雄判別キット(栄研化学)の反応液(プライマー、基質、酵素を含む)
検出試薬リザーバー1(11l):、50μlの0.2Mのβ−メルカプトエタノール水溶液
検出試薬リザーバー2(11m):50μlの2W/V%のモリブデン酸アンモニウムを含む4Nの硫酸溶液
洗浄液リザーバー4(11n):0.2mlの2Nの硫酸溶液
【0060】
図19は、カートリッジに加熱装置を配置した様子を示す断面図である。直径1.5cm、厚さ1mmの銅板(13a)に、ヒーター(13d)としてセラミック製電気抵抗を、温度センサー(13e)として熱電対を取り付けた。制御装置(13b)(E5CN−RTC、オムロン社製)に、ヒーターと温度センサーを配線して加熱装置とした。ヒーターは定電圧直流電源(13c)を直列に介して配線した。この加熱装置の銅板部分(13a)を、カートリッジ(12)の反応槽(11a)の反応槽の上側と下側の部分(11b)に設置し、反応槽部分が65度に加熱できるようにした。
【0061】
牛血液1μlを、1mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム、25mMのEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を含むpH=7.6の10mMのトリス緩衝液で溶解し、核酸を含む検体とした。この検体を、前記と同様に、先端を雄ネジ加工(M4)したプラスチック製注射筒(2.5ml、テルモ社製)に入れ、図18の注入口(11o)に取り付けた。
弁1(11c)および弁3(11e)を開通にし、廃液槽1(11p)のピストンを引きながら、検体を入れた注射筒のピストンを押して、検体を反応槽に設置した不織布に吸着させた。ついで、廃液槽の注射筒のピストンを引きながら、順に洗浄液リザーバー1〜3(11h、11i、11j)のピストンを押して、合計3回、不織布を洗浄した。
【0062】
弁1(11c)を閉じた後、弁2(11d)を開通にして、核酸増幅試薬リザーバー1(11k)のピストンを押し、核酸増幅試薬を反応槽(11a)に導いた。弁2(11d)および弁3(11e)を閉じた後、制御装置(13b)を作動させ、反応槽(11a)を65度に加熱し、30分間、核酸増幅反応を行った。次に、弁2(11d)および弁3(11e)を開通し、廃液槽1(11p)の注射筒のピストンを引きながら、検出試薬リザーバー1および2(11lおよび11m)のピストンを同時に押して、検出試薬の混合液を反応槽(11a)に導いた。
【0063】
2分間反応させた後、廃液槽1(11p)の注射筒のピストンを引きながら、洗浄液リザーバー4(11n)のピストンを押して、反応槽にある不織布を洗浄した。加熱装置の銅板部分(13a)を除去し、反応槽の不織布部分の発色の有無を確認した。その結果、図20に示す写真のように、不織布部分に濃い青色の発色(14)が観測された。すなわち、本実施例のカートリッジにより、検体中の牛由来の核酸の存在が検出された。
【0064】
【参考例1】
実施例1において、核酸を含む検体の代わりに、核酸を含まない1mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウムおよび25mMのEDTAを含む、pH=7.6の10mMのトリス緩衝液を検体として、同様の実験を行ったところ、反応槽に設置した不織布上には、青色発色は観察されなかった。その結果、検体中に目的の核酸が存在しない場合は、このカートリッジでは、検出されないことが確認された。
【0065】
【実施例2】
実施例1において、不織布の代わりに、濾紙(ワットマン社製)を用いてカートリッジを作成した。シリコンゴムパッキンの代わりに、ナイロン製のメッシュを濾紙と同じ直径7mmの大きさに切断し、濾紙の裏面に重ねて反応槽に設置した。
実施例1と同様の操作を行い、反応槽に設置した濾紙の発色を観察した。その結果、実施例1と同様に反応槽の濾紙部分に濃い青色の発色がみられた。すなわち、このカートリッジにより、牛血液中の牛由来の核酸が検出された。
【0066】
【実施例3】
実施例1において、洗浄液リザーバー4、検出試薬リザーバー2を省略し、検出試薬リザーバー1に検出試薬として、サイバーグリーン(SYBR(登録商標)Green、Molecular Probes社製)のDMSOに溶解された原液を1/10000に希釈した溶液を100μl注入した。また、実施例1に示すリザーバー、廃液槽1以外に、さらに廃液槽2(11q)として、プラスチック製注射筒(1ml、テルモ社製)の先端を、前記と同様に雄ネジ加工(M4)したものを、カートリッジの取り付け口(9q)に取り付けた。
【0067】
核酸増幅反応の前工程まで、実施例1と同様の操作を行い、核酸増幅反応後、弁2(11d)、弁4(11f)を開通にし、検出試薬リザーバー1(11l)のピストンを押し、核酸増幅反応後の液と検出試薬1の混合液を反応槽を経由して検出槽(11r)に導いた。
この検出槽(11r)に、干渉フィルター(470nm:Edmund Industrial Optics社製)を通した青色発光ダイオード(HewletPackard社製)の励起光を、カートリッジの下方から当て、別の干渉フィルター(540nm:Edmund Industrial Optics社製)を通して、カートリッジ上方から検出槽(11r)の放出光を肉眼で観察した。その結果、緑色の蛍光が確認された。すなわち、このカートリッジにより検体中の牛由来の核酸の存在が検出された。
【0068】
【実施例4】
第一カートリッジを作成した。図21は、第一のカートリッジ(20)の平面図、図22は、そのI−I’における断面図である。第一のカートリッジは、注入口(21b)として、M4の雌ネジ穴を加工した外形5mm、内径3mm、長さ10mmのポリプロピレン製の円筒(21c)、2枚の外形3mm、内径2mmのテフロン(登録商標)製ワッシャー(21d)、および直径3mmのポリエレンテレフタレート製の不織布(21e)(旭化成社製)から構成されている。
このカ―トリッジにおける反応槽(21f)は、円筒の内側の、図22の図中に薄い円形で示す不織布の近傍の部分である。排出口(21g)は注入口(21b)と反対側の円筒の末端である。
【0069】
3本のプラスチック製注射筒(1ml、テルモ社製)の先端を、第一カートリッジの注入口(21b)の雌ネジ穴とかみ合うように雄ネジに加工(M4)した。この注射筒にそれぞれ、下記溶液を充填し、洗浄液リザーバー5〜7とした。
洗浄液リザーバー5:0.2mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム、25mMのEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を含むpH=7.6の10mMのトリス緩衝液(トリスヒドロキシメチルアミノメタン/塩酸)
洗浄液リザーバー6:0.2mlの1Mの塩化ナトリウムを含むpH=7.4の10mMのリン酸ナトリウム緩衝液
洗浄液リザーバー7:0.2mlのTE緩衝液(1mMのEDATを含む10mMのトリス緩衝液)
【0070】
図23〜図28に示す3種類の基板(22a、23a、24a)を、それぞれアクリル板で作成した。図23は、直径1.6mmの多数の穴(22b)、直径5mmの1個の穴(22c)、およびM4の4個の雌ネジ穴(22d)が設けられた縦30mm、横80mm、厚さ3mmの基板(22a)の平面図、図24は、図23のJ−J’に沿って切断した断面図、図25は、直径1.6mmの多数の穴(23b)、直径5mmの1個の穴(23c)、および直径1mmの4個の穴(23d)が設けられた縦30mm、横80mm、厚さ3mmの基板(23a)の平面図、図26は、図25のK−K’に沿って切断した断面図、図27は、直径1.6mmの多数の穴(24b)、および幅0.5mm、深さ0.5mmの1本の溝(24c)が設けられた縦30mm、横80mm、厚さ1mmの基板(24a)の平面図、図28は、図27のL−L’に沿って切断した断面図である。
【0071】
図29および30に示す気密板(25a)を、シリコンゴム板で作成した。図29は、直径1.6mmの多数の穴(25b)、直径5mmの1個の穴(25c)、および直径1mmの4個の穴(25d)を設けた縦30mm、横80mm、厚さ1mmの気密板(25a)の平面図、図30は、図29のM−M’に沿って切断した断面図である。
各基板(22a、23a、24a)、2枚の気密板(25a)、およびステンレス製鍋ネジとナット(26a)(M1.6、長さ12mm)を用いて、第二カートリッジ本体(27)を作成した。第二カートリッジ本体の平面図を図31、そのN−N’に沿って切断した断面図を図32に示す。
【0072】
各リザーバーとして、4本のプラスチック製注射筒(1ml、テルモ社製)の先端を、基板22a(図23)のM4の雌ネジ穴とかみ合うように雄ネジに加工(M4)した。各注射筒に、下記に示す所定の溶液を充填した後、先端部分に、破損可能なシール材として、直径3mmの円形に切断したパラフィルムを貼付した。第二カートリッジ本体部分(27)の取り付け口(26d、26e、26f、26g)に、各リザーバーをそれぞれ取り付け第二カートリッジを作成した。図33に、第二カートリッジ(29)に第一カートリッジを結合させた状態を示す。
【0073】
核酸増幅反応試薬リザーバー2(28d):50μlの牛胎児胚雌雄判別キット(栄研化学)の反応液(プライマー、基質、酵素を含む)
検出試薬リザーバー4(28e):50μlの0.2Mのβ−メルカプトエタノール水溶液
検出試薬リザーバー5(28f):50μlの2W/V%のモリブデン酸アンモニウムを含む4Nの硫酸溶液
洗浄液リザーバー8(28g):0.2mlの2Nの硫酸溶液
牛血液1μlを、1mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム、25mMのEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を含むpH=7.6の10mMのトリス緩衝液で溶解し、核酸を含む検体とした。この検体を、図22の雌ネジ孔とかみ合うように先端を雄ネジ加工(M4)したプラスチック製注射筒(2.5ml、テルモ社製)に入れ、第一カートリッジの注入口(21b)に取り付けた。
【0074】
注射筒のピストンを押して試料を第一カートリッジ内に導き、排出口(21g)から廃液した。注入口の注射筒を洗浄液リザーバー5に取り替え、ピストンを押して洗浄を行った。同様の操作を、洗浄液リザーバー6、洗浄液リザーバー7で行った。洗浄液リザーバー7(28b)を取り付けたまま、第一カートリッジ(28a)を、第二カートリッジに結合させた。この挿入状態を図33に示した。すなわち、第一カートリッジ(20)の下部が、図23の22c、図25の23c、図29の25cにより形成された第二カートリッジ本体(27)の接合部(26b)に挿入され、第一カートリッジの排出口(21g)が、第二カートリッジの接合口(26c)と連通する。第一カートリッジの注入口(21b)は、接合後は、排出口となるので、第一カートリッジに取り付けられた洗浄液リザーバー7(28b)は、廃液を溜める廃液槽となる。
【0075】
第二カートリッジの核酸増幅反応試薬リザーバー2(28d)のピストンを押して、核酸増幅試薬を反応槽(21f)に導いた。そのまま、カートリッジ全体を65℃の恒温に保たれているインキュベーターに入れ、30分間、核酸増幅反応を行った。次に、検出試薬リザーバー4(28e)と検出試薬リザーバー5(28f)のピストンを同時に押し、検出試薬を反応槽に導いた。2分反応させた後、洗浄液リザーバー8(28g)ピストンを押すと同時に第一カートリッジに残した洗浄液リザーバー7(28b)のピストンを引いて、反応槽(21f)にある不織布(21e)を洗浄した。その後、不織布部分の発色の有無を第二カートリッジの底面から目視によって確認した。その結果、不織布部分に濃い青色の発色が観測された。すなわち、本実施例のカートリッジにより、検体中の牛由来の核酸の存在が検出された。
【0076】
【発明の効果】
本発明により、核酸を含有する検体から特定の配列の核酸を増幅させ、核酸増幅反応物の有無を検出することができ、特定の配列の核酸について、検体中の存在の有無を簡便に高感度に検出することが可能になる。そのため、検体中の特定微生物の存在を検出する場合や、人の遺伝子診断を行ったりする場合において、高感度の検出が容易に達成される。すなわち、本発明による核酸検出用カートリッジを使って、医療分野、食品分野、環境分野等における遺伝子診断を、簡便、迅速、安全に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカートリッジを構成する基板(1a)の平面図。
【図2】図1のA−A’における断面図。
【図3】本発明のカートリッジを構成する基板(2a)の平面図。
【図4】図3のB−B’における断面図。
【図5】本発明のカートリッジを構成する基板(3a)の平面図。
【図6】図5のC−C’における断面図。
【図7】本発明のカートリッジを構成する基板(4a)の平面図。
【図8】図7のD−D’における断面図。
【図9】本発明のカートリッジを構成する気密板(5a)の平面図。
【図10】図9のE−E’における断面図。
【図11】本発明のカートリッジを構成する気密板(6a)の平面図。
【図12】図11のF−F’における断面図。
【図13】本発明のカートリッジを構成する気密板(7a)の平面図。
【図14】図13のG−G’における断面図。
【図15】本発明のカートリッジを構成する棒状部材(8)の平面図。
【図16】本発明のカートリッジの本体部分の平面図。
【図17】図16のH−H’における断面図。
【図18】本発明の核酸検出用カートリッジの模式図。
【図19】カートリッジに加熱装置を配置した様子を示す断面図。
【図20】実施例1おいて、核酸が検出されたことを示す有色の沈殿部の写真。
【図21】本発明の第一カートリッジの平面図。
【図22】図21のI−I’における断面図。
【図23】本発明の第二カートリッジを構成する基板(22a)の平面図。
【図24】図23のJ−J’における断面図。
【図25】本発明の第二カートリッジを構成する基板(23a)の平面図。
【図26】図25のK−K’における断面図。
【図27】本発明の第二カートリッジを構成する基板(24a)の平面図。
【図28】図27のL−L’における断面図。
【図29】本発明の第二カートリッジを構成する気密板(25a)の平面図。
【図30】図29のM−M’における断面図。
【図31】本発明の第二カートリッジの本体部分の組み立て図の平面図。
【図32】図31のN−N’における断面図。
【図33】本発明の第一および第二カートリッジが結合した状態の模式図。
【符号の説明】
1a:基板、1b:穴、1c:雌ネジ穴
2a:基板、2b:穴、2c:穴、2d:穴、2e:溝
3a:基板、3b:穴、3c:穴、3d:穴、3e:溝
4a:基板、4b:穴、4e:溝
5a:気密板、5b:穴、5c:穴、5d:穴
6a:気密板、6b:穴、6c:穴、6d:穴、6e:穴
7a:気密板、7b:穴、7c:穴、7d:穴、7e:穴
8:棒状部材
9a:不織布、9b:パッキン
9c:弁取り付け穴、9d:弁取り付け穴
9e:弁取り付け穴、9f:弁取り付け穴
9g:鍋ネジとナット
9h:リザーバー取り付け口、9i:リザーバー取り付け口
9j:リザーバー取り付け口、9k:リザーバー取り付け口
9l:リザーバー取り付け口、9m:リザーバー取り付け口
9n:リザーバー取り付け口
10:カートリッジ本体
11a:反応槽
11b:反応槽の上下部分
11c:弁1、11d:弁2
11e:弁3、11f:弁4
11h:洗浄液リザーバー1、11i:洗浄液リザーバー2
11j:洗浄液リザーバー3、11k:核酸増幅反応試薬リザーバー1
11l:検出試薬リザーバー1、11m:検出試薬リザーバー2
11n:洗浄液リザーバー4、11o:注入口
11p:廃液槽1、11q:廃液槽2
11r:検出槽
12:カートリッジ
13a:銅板、13b:制御装置、13c:電源
13d:ヒーター、13e:温度センサー
14:不織布部分の青色沈殿
20:第一カートリッジ
21b:注入口、21c:円筒
21d:ワッシャー、21e:不織布、
21f:反応槽、21g:排出口、
22a:基板、22b:穴、22c:穴、22d:雌ネジ穴
23a:基板、23b:穴、23c:穴、23d:穴
24a:基板、24b:穴、24c:溝
25a:気密板、25b:穴、25c:穴、25d:穴
26a:鍋ネジとナット
26b:接合部、26c:接合口
26d:リザーバー取り付け口、26e:リザーバー取り付け口
26f:リザーバー取り付け口、26g:リザーバー取り付け口
27:第二カートリッジ本体
28a:第一カートリッジ
28b:洗浄液リザーバー7
28d:核酸増幅反応試薬リザーバー2,28e:検出試薬リザーバー4
28f:検出試薬リザーバー5、28g:洗浄液リザーバー8
29:第二カートリッジ
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な構造を有する核酸検出用カートリッジに関する。詳しくは、核酸を含む試料から、核酸吸着物質に核酸を吸着させ、核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型にして核酸増幅反応を行い、核酸増幅反応の有無を検出する一連の工程を行うのに用いられる核酸検出用カートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療における臨床検査の現場では、患者から採取した検体を、臨床の現場において、迅速、かつ、簡便に検査し、結果を判断してすぐに診療に生かす、いわゆる”ポイント・オブ・ケアー・テスト”と呼ばれる診断法が求められている。また、河川、海洋、廃棄物中の有害物質の分析といった環境分野や、食品の細菌や毒物による汚染検査といった食品分野の分析についても、それぞれの現場または現場の近傍で分析・計測を行う”ポイント・オブ・フィールド・テスト”が注目されている。これらの簡易迅速検査においては、できるだけ短時間に、手動で行う操作を減らすことが要求される。すなわち、検体の処理から検出までの工程を、”カートリッジ”と呼ばれる装置の中で完結することが望ましい。
【0003】
特許文献1に記載の「核酸抽出、増幅および検出を統合する自己充足装置」には、核酸抽出、増幅および検出を行うシリンダー状の装置が開示されている。この発明は、核酸抽出、増幅および検出を統合するとしてものと規定されている。
しかし、この発明は、装置内での反応液などの送液の問題が充分に解決されていない。実際、この特許文献の実施例に示されているのは、核酸の抽出工程、増幅工程および検出工程について、それぞれの要素技術を開示しているにとどまり、「自己充足装置」として要求される各工程を一貫して実施した例は開示されていない。すなわち、シリンダー状の装置では、(イ)液体を送液する場合の流路を作成したり、弁構造を導入する場合に於いて複雑な構造を要求され安価に製造することが困難になる、(ロ)装置内の溶液を送液する場合において、外部からの力を、例えば、ピストンの様な構造体で送液の圧力に結びつけることが困難である、といった問題がある。
以上のように、現在、前記の要求を満たすものは、未だ実用化されていない。
【0004】
【特許文献1】
特表平12−509100号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、検体から、核酸の精製、増幅および検出について、一貫してカートリッジ内で行える核酸検出用カートリッジを、簡単な構造で、安価に構築することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、これらの課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
本発明において、核酸とは、DNA(deoxyribonucleic acid)またはRNA(ribonucleic acid)を意味し、対象となる材料に含まれるDNAまたはRNAを意味する。
【0007】
請求項1に係る発明は、核酸を含む試料中の核酸を核酸吸着物質に吸着させ、核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジであって、該カートリッジは、(イ)核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または試料槽、(ロ)注入口または試料槽と連通し、核酸吸着物質が設置され、核酸増幅反応の有無が検出可能である少なくとも1つの反応槽、(ハ)反応槽と連通し、核酸増幅反応試薬が収納された少なくとも1つの核酸増幅反応試薬リザーバー、(ニ)反応槽と連通する少なくとも1つの排出口または廃液槽、を包含することを特徴とする核酸検出用カートリッジである。
【0008】
本発明により、核酸を含む試料から、核酸吸着物質に核酸を吸着させ、該核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出する一連の操作を実施することが可能になる。検出試薬は、核酸増幅反応試薬の中に含まれる。この場合、検出試薬は、核酸増幅反応に影響を与えないような物質である必要がある。カートリッジ内での各工程は、反応槽内にある前工程の溶液を完全に除く必要はなく、リザーバーから順に各試薬を供給していくことにより、核酸検出まで行うことができる。
【0009】
このカートリッジにおいて、反応槽と連通し、洗浄液が収納された少なくとも1つの洗浄液リザーバーを、さらに包含していてもよい。これにより、核酸を含む試料中に、核酸増幅反応を阻害する物質が含まれている場合において、核酸吸着物質に核酸を吸着させた後、核酸増幅反応を適用する前に、核酸吸着物質を洗浄することができるので、核酸増幅反応が阻害されなくなるので好ましい。
請求項3に係る発明は、核酸を含む試料中の核酸を核酸吸着物質に吸着させ、該核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジであって、該カートリッジは、(イ)核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または試料槽、(ロ)注入口または試料槽と連通し、核酸吸着物質が設置された少なくとも1つの反応槽、(ハ)反応槽と連通し、核酸反応試薬が収納された核酸増幅反応試薬リザーバー、(ニ)反応槽と連通し、核酸増幅反応の有無を検出する少なくとも1つの検出槽、(ホ)反応槽および/または検出槽と連通する少なくとも1つの廃液の排出口または廃液槽、を包含することを特徴とする核酸検出用カートリッジである。
【0010】
反応槽とは別の位置に検出槽を設ける本発明によって、(イ)反応槽に設置された核酸吸着物質が検出を妨害する場合、(ロ)カートリッジや反応槽部分を加熱する場合において、加熱装置が検出を妨害する場合など、反応槽で検出することが困難な時でも検出可能になるので有用である。
このカートリッジは、反応槽および/または検出槽と連通し、洗浄液が収納された少なくとも1つの洗浄液リザーバーを、さらに包含していてもよい。これにより、核酸を含む試料中に、核酸増幅反応を阻害する物質が含まれている場合において、核酸吸着物質に核酸を吸着させた後、核酸増幅反応を適用する前に、核酸吸着物質を洗浄液で洗浄することができるので、核酸増幅反応が阻害されなくなり有用である。
【0011】
前記のカートリッジは、反応槽と連通し、検出試薬が収納された少なくとも1つの検出試薬リザーバーを、さらに包含していてもよい。これにより、検出試薬が、核酸増幅反応を阻害するような物質の場合でも、検出試薬を核酸増幅反応試薬とは別試薬にすることができ、核酸増幅反応が終了した後に、検出試薬を反応槽および/または検出槽に導入することが可能になって、核酸増幅反応の有無の検出が容易になるので有用である。
【0012】
請求項6に係る発明は、核酸を含む試料中の核酸を核酸吸着物質に吸着させ、核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、該核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジであって、該カートリッジは、(イ)核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または試料槽、(ロ)注入口または試料槽と連通し、核酸吸着物質が設置され核酸増幅反応の有無が検出可能である少なくとも1つの反応槽、(ハ)反応槽と連通している少なくとも1つの排出口を含む第一カートリッジと、(ニ)第一カートリッジと接合可能な接合部、(ホ)接合部にあり、第一カートリッジの排出口または注入口と連通可能な接合口、(ヘ)接合口に連通し、核酸増幅反応試薬が収納された少なくとも1つの核酸増幅反応試薬リザーバーを含む第二カートリッジ、の少なくとも2つの分離可能なカートリッジから形成される核酸検出用カートリッジである。この第二カートリッジに、接合口と連通し、洗浄液が収納された少なくとも1つの洗浄液リザーバーを、さらに包含していてもよい。
【0013】
請求項8に係る発明は、核酸を含む試料中の核酸を核酸吸着物質に吸着させ、核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジであって、該カートリッジは、(イ)核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または試料槽、(ロ)注入口または試料槽と連通し、核酸吸着物質が設置された少なくとも1つの反応槽、(ハ)反応槽と連通している少なくとも1つの排出口を含む第一カートリッジと、(ニ)第一カートリッジと接合可能な接合部、(ホ)接合部にあり、第一カートリッジの排出口または注入口と連通可能な接合口、(ヘ)接合口に連通し、核酸増幅反応試薬が収納された少なくとも1つの核酸増幅反応試薬リザーバー、(ト)接合口に連通し、核酸増幅反応の有無を検出する少なくとも1つの検出槽、(チ)検出槽と連通している少なくとも1つの排出口または廃液槽を含む第二カートリッジ、の少なくとも2つの分離可能なカートリッジから形成される核酸検出用カートリッジである。
【0014】
この第二カートリッジに、接合口および/または検出槽と連通し、洗浄液が収納された少なくとも1つの洗浄液リザーバーを、さらに包含していてもよい。また、第二カートリッジに、接合口と連通し、検出試薬が収納された少なくとも1つの検出試薬リザーバーを、さらに包含していてもよい。
請求項6および8に係るカートリッジは、請求項1および3に係るカートリッジについて、核酸増幅反応を適用する前の工程と、後の工程について、カートリッジを分割したものである。カートリッジを分割することにより、カートリッジの構造をより簡便にすることが可能になるので好ましい。
【0015】
第一カートリッジと第二カートリッジの結合の形態としては、(イ)第一カートリッジ全体を、第二カートリッジに封入する、(ロ)第一カートリッジ全体と、第二カートリッジ全体を対等に結合させる、(ハ)第一カートリッジの反応槽を含む一部を取り出して、第二カートリッジに封入する、(ニ)第一カートリッジの反応槽を含む一部を取り出して、第二カートリッジに結合させる、などが挙げられる。
【0016】
第一カートリッジを第二カートリッジに結合させる前の操作において、第一カートリッジへ洗浄液を導入する場合は、(イ)第一カートリッジに洗浄液リザーバーと、該リザーバーと反応槽を連通する流路を設ける、(ロ)試料の導入口の部分に、取り外し可能な洗浄液リザーバーを取り付けて、洗浄液を供給する、(ハ)リザーバーを用いずに、外部のマイクロピペット等を用いて洗浄液を供給する、などの方法を用いる。第一カートリッジの排出口を、第二カートリッジの接合口に結合させる場合は、第一カートリッジの注入口が、接合後のカートリッジの排出口を兼ねることも可能である。第一カートリッジの注入口を、第二カートリッジの接合口に結合させる場合は、第一カートリッジの排出口が、接合後のカートリッジの排出口を兼ねることも可能である。
【0017】
本発明のカートリッジにおいて、連通する部分の少なくとも1つが流路であってもよい。連通する部分を流路として設置することにより、リザーバーや各槽の間の送液が容易になるので好ましい。さらに、流路の少なくとも1カ所について、開通および/または閉止、または流路の連通先が変更可能である弁を備えることができる。これにより、反応、液体の流れなどの制御をより正確に行うことができる。
【0018】
弁の構造は限定されるものではないが、例えば、本出願人に係る別途の発明である化学反応用カートリッジ(特願第2001−393445号)に開示されている弁を用いると、カートリッジ内の流路において、その流路の開通および/または閉止を制御する弁を容易に作成することができる。この弁は、棒状部材を有し、該棒状部材は該カートリッジ内の流路に対して移動が可能であり、該棒状部材は、開区間と閉区間を有する。開区間は、閉区間よりも移動方向に対する垂直な面への投影面積が小さい構造である。棒状部材の移動によって、カートリッジ内の流路と、棒状部材の開区間が連通することにより、弁が開通となり、棒状部材の移動によって、カートリッジ内の流路が棒状部材の閉区間によってふさがれることで、弁が閉止となる。
【0019】
その他にも、市販されている静脈点滴注射に用いられるプラスチック製の三方弁に類似した構造のものを、カートリッジ内の流路に設けることでも達成できる。このような回転型構造の弁の場合、複数流路について、同時に連通する先を変更する弁を作成することが可能になる。
各リザーバーと流路との接合部、および各槽と流路との接合部の少なくとも1カ所に、開通および/または閉止を制御する弁を備えていてもよい。この弁により、リザーバーや反応槽からの液体の制御がより正確に行われるので好ましい。
弁の構造は特定されるものではないが、例えば、リザーバーまたは槽の出口になるカートリッジ流路との接合部を、あらかじめ破損可能なシール材料で接着し、閉止状態にしておいて、開通状態にする必要がある時に、リザーバーや槽に圧力をかけ、圧力によりシール材料またはシール材料の一部を破損させる、などにより閉止状態から開通状態に変更可能な弁を作成することができる。
【0020】
以上述べた本発明のカートリッジにおいて、核酸増幅反応以降の工程を、カートリッジの中の密閉された空間内で達成してもよい。これにより、核酸増幅反応およびそれ以降の工程が密閉された空間内で達成されるので、核酸増幅反応によって増幅された特定の配列の核酸が、別の検体に混入することがさけられる。もし、このような混入が起きた場合には、もともとの検体には、目的の核酸が含まれていないにもかかわらず、核酸が含まれているという誤った結果を与えることになる。
【0021】
密閉構造を達成するための構造は限定されないが、例えば、(イ)外気と連通する全ての流路において、弁を閉じて密閉する、(ロ)注入口、排出口などの外気に接触する部分に、栓またはベント膜(気体分子は通過させるが、液体は通過させない膜)を用いて密閉構造にする、(ハ)カートリッジ内の液体や気体と、外気との接触部分にベント膜を用いて密閉する、などが挙げられる。特に、カートリッジに、反応後の液体を収納する廃液槽を設ける場合は、その構造を密閉構造にすることは有用である。
廃液槽を密閉構造にする方法には限定されないが、例えば、(イ)ピストンを設置した密閉構造とし、廃液の導入と連動させてピストンを移動して廃液槽の体積を増加させる、(ロ)蛇腹やゴムなどのエラストマーで作成し、廃液の導入と連動させて廃液槽の体積を増加させる、(ハ)密閉した減圧状態にしておき、陰圧によって廃液を導入する、などの方法が挙げられる。
【0022】
本発明のカートリッジにおいて、各リザーバーおよび廃液槽のうちの少なくとも1つが、カートリッジから取り外した状態で保管され、使用時にカートリッジに設置して使用する構造であってもよい。リザーバーの取り外しが可能であれば、リザーバーに収納されている試薬を、(イ)リザーバー部分を冷凍、冷蔵などで低温保存し、使用時にカートリッジ本体に設置して使用する、(ロ)リザーバー内の試薬を凍結乾燥などの手法によって乾燥状態で保存しておき、使用時に液体を添加して溶解しカートリッジ本体に設置して使用する、(ハ)同一の導入口または注入口から、複数のリザーバーを順次取り換えながらカートリッジ内に試薬を送液する、などの手段が可能になるので好ましい。また、廃液槽の取り外しが可能であれば、例えば、内部を真空状態に保った廃液槽をカートリッジから取り外した状態で保存しておき、使用時にカートリッジ本体に設置して使用することが可能になる。この場合、廃液槽の陰圧を、カートリッジ内の液体の送液に使うことも可能である。
【0023】
本発明のカートリッジにおいて、核酸吸着物質が、核酸吸着フィルターで構成されていてもよい。核酸吸着物質として、核酸吸着フィルターを用いた核酸検出用カートリッジを用いることにより、核酸吸着物質を反応槽に容易に設置することが可能になり、検体からの核酸を効率よく、核酸吸着物質上に吸着させることが可能になる。ここでフィルターとは、一方の面から他方の面に連通する多数の微細な孔を有する通気性のフィルム、シート、膜、板、塊状、繊維状、粒状等の任意の形態を意味する。フィルターの孔の形状やその連通状態、フィルターの厚さ、寸法等は、反応槽に設置できるものであればよい。
【0024】
多孔質体からなるフィルターは、有機材料および無機材料のいずれからなっていてもよく、また天然材料、合成材料または半合成材料からなっていてもよい。
具体的には、ナイロン、ポリプロピレン、セルロース、セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ガラス、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、セラミック、金属、ポリカーボネート、ポリエステル、セルロースエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、XRレジンまたはパーフルオロスルホン(カルボン)酸などがフィルターの素材として使用可能である。
【0025】
フィルターの例としては、天然、合成、半合成または再生の、有機または無機繊維からなる多孔質体;有機または無機発泡体(例えばスポンジ、フォームなど);孔成分の溶出、焼結、延伸、穿孔などにより孔形成された有機、無機多孔質体;有機または無機の微粒子や細片を充填または結合した多孔質体などを挙げることができる。
膜の種類としては、焼結膜、延伸膜、飛跡―浸蝕膜、非対称型・多孔質相転換膜、非対称膜、複合膜、均質膜、イオン交換膜などが挙げられる(バイオ分離工学ハンドブック p230、 サイエンスフォーラム)。具体的には、ワットマン社製の濾紙、ミリポア社製のミリポアフィルター、多孔質ポリウレタンシート(テルモ社製のイムガード(登録商標)III―RCのメインフィルターなど)、GENERATION(登録商標)DNA Purification Capture ColumnTMで使用されているマトリックス(Gentra Systems社製)、シリカ膜などが使用可能である。
【0026】
本発明でいうメンブランフィルターとは、前記のミリポアフィルターに代表される均一な細孔を有する合成高分子膜のことである。ネットフィルターとは、縦糸と横糸とが交錯して規則正しい網目構造を形成している網のことである。本発明には、孔径が0.2〜30μmのメンブランフィルターまたはネットフィルターを使用できる。フィルターの孔径が0.2μm未満では濾過が困難になり、30μmを越えると核酸の吸着が起こりにくくなる。
【0027】
核酸吸着フィルターとして濾紙を用いた場合は、材料として安価であり、実験用の資材として市販されているものを用いることができるので好ましい。濾紙として、セルロースを主成分とする濾紙を用いることが好ましい。
織布または不織布は、材料として安価である上に、濾紙よりも機械的強度が強いので好ましい。織布とは、縦糸と横糸とが交錯してできた布地を意味する。不織布とは、短繊維またはフィラメントを機械的、熱的、化学的な手段を用いて接着または交絡させて作るシート状またはウェブ構造のものである(第二版 繊維便覧 繊維学会編 丸善)。
【0028】
不織布は、さまざまな方法で生産されるが、基本的な工程は、ウェブ(繊維の方向がある程度揃った繊維塊のシート状のもの)の形成工程、ウェブの接着工程、および仕上げ工程である。不織布には天然繊維から化学繊維まで種々の繊維が用いられているが、一般的に用いられているのは綿、レーヨン、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維であり、その他にもアクリル繊維、ビニロン、ガラス繊維、パルプ、炭素繊維なども使用される。ウェブを形成する方式は、湿式、乾式および直接式に大別される。直説法は、紡糸直結式ともいわれる方法で、溶融高分子溶液から紡糸された繊維を集めて直接ウェブとする工程である。これに含まれる方法は、スパンレース法、スパンボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などであるが、本発明には、メルトブロー法でつくられた超極細繊維不織布が最も適している。
【0029】
このような不織布として、本出願人に係る国際特許出願PCT/JP02/06939号には、核酸を単離し増幅する方法に用いられる不織布が開示されている。不織布の孔径は2〜150μmのものが好ましく、7〜13μmのものがより好ましい。ここで、不織布の平均孔径とは、水銀ポロシメーターによって測定した測定値(メディアン値)をいう。平均孔径は、フィルター要素を構成する繊維の絡み具合や空隙の大きさに関連している指標である。
【0030】
織布の素材としては、木綿、絹、人絹、アクリル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維などが用いられる。その他、布地に織ることができるもの、不織布に加工できるものであれば素材は限定されない。
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維からなる織布および不織布が好ましい。
【0031】
本発明の核酸吸着物質として、核酸吸着樹脂を用いてもよい。核酸吸着樹脂は、フィルター以外の形状にも加工することができるため、反応槽への設置の制約が少ないので好ましい。この樹脂は、流路内で液体の流れによって移動しないように、メッシュ状のもので固定されていることが好ましい。樹脂の材質として、例えば、国際公開第98/46797パンフレットに記載されているシリコン、硼素、アルミニウムの元素を含むものを用いることが好ましい。このような樹脂としてXtrana社よりXtraAmpTMの商品名で市販されている、プラスチック容器内に固定されている核酸吸着樹脂を用いることができる。
【0032】
カートリッジの少なくとも一部を加熱および/または冷却して温度制御することにより本発明の核酸増幅反応が遂行される。この核酸増幅反応は、等温度の反応によって行われる反応を用いることが好ましい。例えば、核酸増幅反応として広く実施されているポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)を用いる場合、カートリッジ内における核酸吸着物質が保持されている反応槽の部分を、少なくとも2つの異なる温度に交互に加温、冷却を繰り返す必要がある。しかし、核酸増幅反応が等温度で進行する反応を用いれば、一定温度への制御のみで核酸増幅反応が実施される。そのため、2つの温度に加温と冷却を行う場合に比べて、はるかに容易に実施することが可能である。
【0033】
等温度の核酸増幅反応を行う為には、カートリッジ全体を核酸増幅反応の温度に加温することもできるが、温度の効率、制御の容易さなどの理由から、カートリッジの反応槽を加熱することが好ましい。加熱は、カートリッジの外部に設置した装置で行うことができる。例えば、温度検出器、電気による発熱体および制御装置を組み合わせた外部装置によって達成される。温度制御をより厳密に行うために、冷却装置を付け加えて加熱と冷却を同時に行ってもよい。温度検出器としては、熱電対が使われるが、その他の温度検出器も使用可能である。
【0034】
発熱源として、温度によって抵抗値の変わる素子(PTC素子)を利用して一定温度の加熱を達成することもできる。この場合は、温度検出器を省略することができる。外部装置を必要としない、カートリッジ内に加温装置を備えた構造にすることも可能である。この場合、カートリッジ内に、加熱および/または冷却するためのエネルギー源を必要とする。例えば、エネルギー源として乾電池を用いて、カートリッジ内の発熱源を加熱および/または冷却して温度制御を行うことができる。
【0035】
発熱源をカートリッジ内部に、エネルギー源をカートリッジ外部にすることも可能である。また、中和反応や水和反応などの化学的な発熱および/または吸熱反応を用いてもよい。
カートリッジへの加熱および/または冷却が正しく行われることを確認するために、(イ)カートリッジまたは反応槽に近い部分に温度計を設置する、(ロ)カートリッジまたは反応槽に近い部分に、温度によって変色するラベルなどを貼付する、ことも有用である。加熱および/または冷却は、核酸増幅反応に必要な時間だけ行われればよいので、所要時間経過した後、温度制御を停止したり、警報を鳴らす為のタイマーを設置してもよい。
【0036】
等温度の核酸増幅反応として、既に実用化されている方法を用いることが好ましい。このような反応として、LAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification),ICAN(Isothermal and Chimeric primer−initiated Amplification of Nucleic acids),SDA(Strand Displacement Amplification)、TMA(Transcription―Mediated Amplification)、NASBA(Nucleic Acid Sequence Based Amplification)、SCAR、SMART、bDNA(Branched DNA Assay)、CPT(Cycling Probe Technology)、Q―Beta Replicase Amplification Technology、RCAT(Rolling Circle Amplification Technology)、などが挙げられる。特に、LAMP法は、増幅の効率が高く、反応時間が短いので好ましい。
【0037】
本発明における検出方法は、核酸増幅反応によって新たに生成した核酸を検出する方法であることが好ましい。その方法として、核酸と共存させることにより蛍光強度が変化する物質を用いて、光学的に検出する方法がより好ましい。このような物質として、核酸インターカレーターを用いると検出が容易になるので好ましい。インターカレーターは、核酸増幅反応により生成した核酸と結合し、照射した光(励起光)よりも波長の長い光(放出光)を発するようになる(一般的に蛍光と呼ばれる)。例えば、エチジウムブロマイド、サイバーグリーン(SYBR(登録商標)Green、Molecular Probes社製)、ピコグリーン(PicoGreen(登録商標)、Molecular Probes社製)、オリグリーン(OliGreen(登録商標)、MolecularProbes社製)、ヘキスト33256(Hoechst33258、Molecular Probes社製)などの、市販のインターカレーターを用いることができる。
【0038】
インターカレーターの代わりに、核酸増幅反応によって新たに生成した核酸と相補的な配列を持つ核酸を含む物質を用いて検出すれば、増幅された核酸の配列を特異的に検出することが可能になり好ましい。このような物質として、増幅された核酸と相補的な配列をもつオリゴ核酸に蛍光を発する低分子や、蛍光を消光させる低分子を結合させたプローブを用いることができる。プローブは、増幅により生成した核酸とハイブリダイズさせることにより蛍光を発するようになる、またはプローブがもともと持っている蛍光が消失するように設計することも可能である。
【0039】
検出は、これらの物質が核酸と共存することにより、紫外線や可視光線等を照射した場合の蛍光や蛍光の消失を、光センサーや目視で行う。簡便な検出が必要な場合には、目視によって識別できる方法が好ましい。一方、検出結果を電子媒体などに記憶する場合には、光センサーを用いて機械的に検出する方法が好ましい。
励起光および放出光の波長は、使用する物質により最適な値が異なる。励起光が紫外線で、放出光が可視光となる物質を使用した場合、カートリッジの反応槽または検出槽に紫外線をあてることにより、目視で検出することができる。励起光と放出光が、共に可視光となる物質を使用した場合は、励起光を通さず、放出光を通すフィルター(干渉フィルター)、または励起光を通し、放出光を通さないフィルターを用いる方法が用いられる。これらの干渉フィルターを両方使用してもよい。フィルターの代わりに分光器(プリズム、グレーディング等)を用いる方法もあるが、検出する機器が高価になる。
【0040】
核酸増幅反応においては、目的の核酸が存在しない場合でも、核酸増幅反応に用いるプライマーどうしが酵素の働きにより二本鎖のDNAになる、いわゆるプライマーダイマーを生成する場合がある。この場合、インターカレーターは、プライマーダイマーにも反応するので、単なる蛍光の検出だけでは、検体中に目的の核酸が存在したことによる特異的な増幅なのか、プライマーダイマー生成による非特異増幅なのか区別がつきにくい場合がある。このような場合には、プローブを用いた検出が好ましい。
【0041】
非特異的に増幅したプライマーダイマーと特異的な増幅産物を分離して検出することも可能である。例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて分子量による分離を行うことが考えられる。乾燥したゲルをシート状にしておき、一方から核酸増幅反応を終えた試料を注入する。増幅物は分子量が大きいので、シートの先端側に移動する。一方、プライマーダイマーは、遅れて移動する。シートが溶液で満たされた後は、毛細管現象が見られなくなるので、試料溶液は移動しなくなる。この後、シートの先端部分について蛍光等を用いて検出する。この際、インターカレーターは、あらかじめ反応溶液に加えることもできる。また、ゲル内にあらかじめしみこませておき、試料の移動とともに試料内に溶け出して反応するといった方法が考えられる。
【0042】
非特異的に増幅したプライマーダイマーと特異的な増幅産物を分離する別の方法として、増幅産物を含む溶液を、別の核酸吸着物質に、もう一度吸着させる方法が考えられる。例えば、核酸増幅反応を終えた液をインターカレーターと混合し、カートリッジ内の反応槽とは異なる部分に設置した不織布に導くことにより、特異的な増幅産物は不織布上に残り、非特異的に増幅したプライマーダイマーは不織布上に残らずに廃液側に導かれる。不織布上に残っている特異的増幅産物のDNAを検出すれば、特異的増幅の有無を検出することが可能である。
【0043】
更に、増幅した核酸を電気泳動によって分離して検出する方法、増幅された核酸と相補的な配列をもつオリゴ核酸を用いてハイブリダゼーションの手法で検出する方法など、当業者の間で一般的に行われている核酸の検出方法が適用可能である。しかし、これらの手法を用いて、カートリッジで検出を行う場合、複雑な機構を必要とする。
本発明における別の検出方法として、核酸増幅反応によって生成したピロリン酸イオンを検出することによる核酸増幅反応の検出も適用可能である。ピロリン酸イオンを検出する方法としては、化学反応による方法が有用である。さらに、化学反応が、沈殿形成の反応または有色の発色反応であれば、肉眼による検出、吸光度測定、散乱光測定、熱レンズを用いた検出などが可能になる。化学反応が発光を伴う反応であれば、肉眼での検出、光センサーを用いた検出などが可能になる。簡便な検出が必要な場合には、目視よって識別できる方法が好ましい。
【0044】
一方、検出結果を電子媒体等に記憶する場合には、吸光度、散乱光、熱レンズ、光センサー等、機械的に測定する方が好ましい。沈殿形成反応の場合、生成した沈殿を多孔質フィルター上に捕捉すれば、肉眼での検出がさらに容易になる。この場合、沈殿とフィルターの色は異なっていることが望ましい。すなわち、沈殿の色が白色の場合には、フィルターは有色であることが好ましく、沈殿が有色の場合には、白色または沈殿と異なる色調のものであることが好ましい。また、検出槽に連通する洗浄液リザーバーを設置して、検出反応によって生成した不溶性沈殿をフィルターに捕捉した後、そのフィルターを洗浄すれば、洗浄によって検出反応が停止されるので、最適な検出ポイントで反応を停止して目視判定でき、また、時間が経過した後に結果を確認することも可能になるので有用である。
この時に用いられる洗浄液は、フィルターに捕捉された色素を可溶化することなく、ピロリン酸イオン検出のための試薬やピロリン酸、リン酸、またはこれらを発生させる化合物を洗浄できる溶液であればよい。例えば、モリブデン酸アンモニウムの硫酸溶液、2―メルカプトエタノール、ピロリン酸イオンの3つの物質の反応で生成した青色色素の洗浄には硫酸が使用できる。
【0045】
検出する方法として、ピロリン酸イオンとマグネシウムイオンの化学反応による白色の沈殿形成反応を方法を用いる場合には、検出試薬としてマグネシウムイオンを核酸増幅反応試薬にあらかじめ添加しておけば、化学反応として、検出試薬リザーバーを別途カートリッジ内に設置する必要が無いので好ましい。
その他、ピロリン酸イオンと化学反応して白色の沈殿を生じる物質として、バリウムイオン、銀イオン、マグネシウムイオン、カドミウムイオンが挙げられる。銅イオンは青白色の沈殿を生じる。これらのイオンを含む溶液を検出試薬として使用することができる。
【0046】
検出する方法として、ピロリン酸イオン、モリブデン酸塩および還元剤による化学反応を用いる場合、モリブデン酸塩としては、ピロリン酸イオンと錯体をつくるものであれば如何なるものでも使用可能である。このようなモリブデン酸塩の例としては、モリブデン酸アンモニウムがある。還元剤としては、ピロリン酸イオンとモリブデン酸アンモニウムが反応してできる錯体を還元して、青緑色の化合物を生成させるものであれば如何なるものでも使用可能である。このような還元剤の例としては、2−メルカプトエタノール、1−チオグリセロール、DL−ジチオトレイトール(DTT)などのメルカプト基を有する還元剤が挙げられる。
【0047】
その他、ピロリン酸をATPに変換してルシフェリン−ルシフェラーゼの系で発光させて検出する方法は、感度が高いので核酸増幅反応が微妙にしか起こらない場合に検出手法として有用である。ピロリン酸イオンをリン酸イオンに分解して、リン酸イオンを検出することも可能である。
本発明のカートリッジの作成方法は限定されるものではないが、例えば、本出願人に係る別途の発明である化学反応用カートリッジ(特願第2001−393445号)を用いれば、容易に作成することが可能である。この化学反応用カートリッジは、(イ)弾性材料からなる少なくとも1枚の気密用平板状部材を、該弾性材料よりも低い弾性と高い硬度を有する材料からなる少なくとも2枚の基板用平板状部材が交互に挟み圧着して構成される3層以上の積層構造を有し、(ロ)該流路は、該基板用平板状部材に設けられた溝及び/または穴、該気密用平板状部材に設けられた溝及び/または穴、あるいは、該試料、該試薬または該混合流体の圧力によって気密用平板状部材の部分が変形することにより形成される空隙、からなる群より選択される少なくとも1つにより構成され、(ハ)該リザーバー及び/または反応槽は、該気密用平板状部材及び/または該基板用平板状部材に設けられた溝及び/または穴により構成されている。
【0048】
本発明のカートリッジの材質としては、金属、ガラス、セラミックスなどを用いることもできるが、加工の容易さからプラスチックが好ましい。具体的には、ポリ塩化ビニール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0049】
カートリッジ内に、弁や、流路内の液体、気体の気密性を保つためにパッキングとして、ゴムなどの弾性体を用いてもよい。このような弾性体としては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等のゴム類、軟質塩化ビニール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ナイロン樹脂などが挙げられる。
【0050】
カートリッジとしての形状を完成するための部品、弁に用いる部品、加熱および/または冷却する場合において熱を効率良く伝える為の部品などは、プラスチックの他、アルミニウム、真鍮、鉄、銅、ステンレス、チタン合金、マグネシウム合金、ジュラルミンなどの金属であってもよい。カートリッジに熱を加える場合には、その加熱部分が設定した温度において、機械的強度を維持できる材質が必要である。
【0051】
本発明のカートリッジにおける送液は、(イ)リザーバー部分をカートリッジ外の装置に設置されたアクチュエータで押し、その圧力によって送液する、(ロ)リザーバー部分を手で押し、その圧力によって送液する、(ハ)排出口から吸引して送液する、(ニ)廃液槽を陰圧にして送液する、(ホ)液体にかかる重力により送液する、(ヘ)カートリッジ外部から、またはカートリッジに内蔵した電池から電気を供給して、カートリッジ内に設置されたポンプで送液する、(ト)カートリッジ外部から、またはカートリッジに内蔵した電池から電気を供給して、電気浸透流(EOF:electroosmotic flow)を利用して送液する、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
本発明のカートリッジには、一連の反応工程を達成できる複数の槽、リザーバー、流路などを作成して、複数試料を同時に測定することも可能である。特に、核酸増幅反応が正しく達成させたことを確認する陽性対照(ポジティブコントロール)および/または陰性対照(ネガティブコントロール)を同一のカートリッジ内で達成できるようにすることが好ましい。複数試料を測定する場合には、同一のリザーバー内の試薬を複数の反応槽などへ導いて測定しても、それぞれ別のリザーバーを用いてもよい。
【0053】
本発明のカートリッジにおいて、測定する試料を区別するためにラベルを貼付したり、コンピューター等に読みとらせることが可能なバーコードやICチップなどを取り付けておくことは有用である。
本発明の核酸検出用カートリッジを用いて行う検出対象となる核酸を含有する材料としては、例えば、人の疾患の診断に用いる臨床検体である喀痰、唾液、尿、便、精液、血液、組織、臓器、その他の体液、これらの体液の分画、微生物汚染の検査に用いる食品、飲料水、土壌、排水、河川水、海水、ふき取り液、ふき取り綿などが挙げられる。また、例えば大腸菌などの細菌懸濁液を使用することができる。カートリッジに導入するまでの試料の前処理については、マイクロピペットなどを用いて手動で遂行する。試料を直接カートリッジに導入することも可能である。また前処理操作をカートリッジ内の工程に組み込むことも可能である。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、何らこれに限定されるものではない。
実施例中に記載された長さ、深さ、直径等の数値は単なる例示であって、本発明はこれらの数値に限定されるものではない。なお、実施例で用いた図面中、寸法の単位はmmである。
【0055】
【実施例1】
本発明のカートリッジを以下の方法によって作成した。図1〜図8に示す4種類の基板(1a、2a、3a、4a)を、それぞれアクリル板で作成した。
図1は、直径1.6mmの多数の穴(1b)、およびM4の10個の雌ネジ穴(1c)が設けられた縦32mm、横112mm、厚さ3mmの基板(1a)の平面図、図2は、図1のA−A’に沿って切断した断面図、図3は、直径1.6mmの多数の穴(2b)、直径0.5mmの10個の穴(2c)、直径7.5mmの1個の穴(2d)、幅0.5mm、深さ0.5mmの5本の溝(2e)が設けられた縦32mm、横112mm、厚さ1mmの基板(2a)の平面図、図4は、図3のB−B’に沿って切断した断面図、図5は、直径1.6mmの多数の穴(3b)、直径0.5mmの1個の穴(3c)、直径7.5mmの2個の穴(3d)、幅0.5mm、深さ0.5mmの2本の湾曲した溝(3e)が設けられた縦32mm、横112mm、厚さ1mmの基板(3a)の平面図、図6は、図5のC−C’に沿って切断した断面図、図7は、直径1.6mmの多数の穴(4b)、幅0.5mm、深さ0.5mmの2本の溝(4e)が設けられた縦32mm、横112mm、厚さ1mmの基板(4a)の平面図、図8は、図7のD−D’に沿って切断した断面図である。
【0056】
図9〜図13に示す3種類の気密板(5a、6a、7a)を、それぞれシリコンゴム板で作成した。
図9は、直径1.8mmの多数の穴(5b)、直径4.0mmの10個の穴(5c)、直径7.5mmの1個の穴(5d)が設けられら縦32mm、横112mm、厚さ1mmの気密板(5a)の平面図、図10は、図9のE−E’に沿って切断した断面図、図11は、直径1.8mmの多数の穴(6b)、直径1mmの2個の穴(6e)、直径5mmの1個の穴(6c)、直径7.5mmの1個の穴(6d)が設けられた縦32mm、横112mm、厚さ1mmの気密板(6a)の平面図、図12は、図11のF−F’に沿って切断した断面図、図13は、直径1.8mmの多数の穴(7b)、直径5mmの1個の穴(7c)、直径7.5mmの1個の穴(7d)、直径1mmの穴が2個(7e)が設けられた縦32mm、横112mm、厚さ1mmの気密板(7a)の平面図、図14は、図13のG−G’に沿って切断した断面図である。
【0057】
図15に示す円柱形の棒状部材(8)をステンレス棒で作成した。
直径7mmに切断した円盤状のポリエレンテレフタレート製の不織布(旭化成社製)を基板(3a)の7.5mmの穴の部分(図16の9aに相当する図5の3d)に挿入し、シリコンゴム製のパッキン(9b)(外径7.5mm、内径5mm、厚さ1mm)で押さえた。基板(1a、2a、3a、4a)および気密板(5a、6a、7a)を交互に積層して、ステンレス製鍋ネジとナット(9g)(M1.6、長さ12mm)を用いて固定し、核酸検出用カートリッジの本体部分(10)を作成した。カートリッジ本体の平面図を図16に、そのH−H’に沿って切断した断面図を図17に示す。図16の9c、9d、9e、9fの部分は、棒状部材(8)を挿入して弁を形成した。
【0058】
各リザーバーとして、7本のプラスチック製注射筒(1ml、テルモ社製)の先端を、基板1a(図1)の雌ネジ穴とかみ合うように雄ネジに加工(M4)した。各注射筒に、下記に示す所定の溶液を充填した後、先端部分に、破損可能なシール材として、直径3mmの円形に切断したパラフィルムを貼付した。カートリッジ本体部分(10)の取り付け口(9h、9i、9j、9k、9l、9m、9n)に、各リザーバーをそれぞれ取り付けた。廃液槽1(11p)として、プラスチック製注射筒(2.5ml、テルモ社製)の先端を、前記と同様に雄ネジ加工(M4)したものを、カートリッジ本体(10)の取り付け口(9p)に取り付け、図18に示す本発明のカートリッジ(12)を作成した。
【0059】
洗浄液リザーバー1(11h):0.2mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム、25mMのEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を含むpH=7.6の10mMのトリス緩衝液(トリスヒドロキシメチルアミノメタン/塩酸)
洗浄液リザーバー2(11i):0.2mlの1Mの塩化ナトリウムを含むpH=7.4の10mMのリン酸ナトリウム緩衝液
洗浄液リザーバー3(11j):0.2mlのTE緩衝液(1mMのEDATを含む10mMのトリス緩衝液)
核酸増幅反応試薬リザーバー1(11k):50μlの牛胎児胚雌雄判別キット(栄研化学)の反応液(プライマー、基質、酵素を含む)
検出試薬リザーバー1(11l):、50μlの0.2Mのβ−メルカプトエタノール水溶液
検出試薬リザーバー2(11m):50μlの2W/V%のモリブデン酸アンモニウムを含む4Nの硫酸溶液
洗浄液リザーバー4(11n):0.2mlの2Nの硫酸溶液
【0060】
図19は、カートリッジに加熱装置を配置した様子を示す断面図である。直径1.5cm、厚さ1mmの銅板(13a)に、ヒーター(13d)としてセラミック製電気抵抗を、温度センサー(13e)として熱電対を取り付けた。制御装置(13b)(E5CN−RTC、オムロン社製)に、ヒーターと温度センサーを配線して加熱装置とした。ヒーターは定電圧直流電源(13c)を直列に介して配線した。この加熱装置の銅板部分(13a)を、カートリッジ(12)の反応槽(11a)の反応槽の上側と下側の部分(11b)に設置し、反応槽部分が65度に加熱できるようにした。
【0061】
牛血液1μlを、1mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム、25mMのEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を含むpH=7.6の10mMのトリス緩衝液で溶解し、核酸を含む検体とした。この検体を、前記と同様に、先端を雄ネジ加工(M4)したプラスチック製注射筒(2.5ml、テルモ社製)に入れ、図18の注入口(11o)に取り付けた。
弁1(11c)および弁3(11e)を開通にし、廃液槽1(11p)のピストンを引きながら、検体を入れた注射筒のピストンを押して、検体を反応槽に設置した不織布に吸着させた。ついで、廃液槽の注射筒のピストンを引きながら、順に洗浄液リザーバー1〜3(11h、11i、11j)のピストンを押して、合計3回、不織布を洗浄した。
【0062】
弁1(11c)を閉じた後、弁2(11d)を開通にして、核酸増幅試薬リザーバー1(11k)のピストンを押し、核酸増幅試薬を反応槽(11a)に導いた。弁2(11d)および弁3(11e)を閉じた後、制御装置(13b)を作動させ、反応槽(11a)を65度に加熱し、30分間、核酸増幅反応を行った。次に、弁2(11d)および弁3(11e)を開通し、廃液槽1(11p)の注射筒のピストンを引きながら、検出試薬リザーバー1および2(11lおよび11m)のピストンを同時に押して、検出試薬の混合液を反応槽(11a)に導いた。
【0063】
2分間反応させた後、廃液槽1(11p)の注射筒のピストンを引きながら、洗浄液リザーバー4(11n)のピストンを押して、反応槽にある不織布を洗浄した。加熱装置の銅板部分(13a)を除去し、反応槽の不織布部分の発色の有無を確認した。その結果、図20に示す写真のように、不織布部分に濃い青色の発色(14)が観測された。すなわち、本実施例のカートリッジにより、検体中の牛由来の核酸の存在が検出された。
【0064】
【参考例1】
実施例1において、核酸を含む検体の代わりに、核酸を含まない1mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウムおよび25mMのEDTAを含む、pH=7.6の10mMのトリス緩衝液を検体として、同様の実験を行ったところ、反応槽に設置した不織布上には、青色発色は観察されなかった。その結果、検体中に目的の核酸が存在しない場合は、このカートリッジでは、検出されないことが確認された。
【0065】
【実施例2】
実施例1において、不織布の代わりに、濾紙(ワットマン社製)を用いてカートリッジを作成した。シリコンゴムパッキンの代わりに、ナイロン製のメッシュを濾紙と同じ直径7mmの大きさに切断し、濾紙の裏面に重ねて反応槽に設置した。
実施例1と同様の操作を行い、反応槽に設置した濾紙の発色を観察した。その結果、実施例1と同様に反応槽の濾紙部分に濃い青色の発色がみられた。すなわち、このカートリッジにより、牛血液中の牛由来の核酸が検出された。
【0066】
【実施例3】
実施例1において、洗浄液リザーバー4、検出試薬リザーバー2を省略し、検出試薬リザーバー1に検出試薬として、サイバーグリーン(SYBR(登録商標)Green、Molecular Probes社製)のDMSOに溶解された原液を1/10000に希釈した溶液を100μl注入した。また、実施例1に示すリザーバー、廃液槽1以外に、さらに廃液槽2(11q)として、プラスチック製注射筒(1ml、テルモ社製)の先端を、前記と同様に雄ネジ加工(M4)したものを、カートリッジの取り付け口(9q)に取り付けた。
【0067】
核酸増幅反応の前工程まで、実施例1と同様の操作を行い、核酸増幅反応後、弁2(11d)、弁4(11f)を開通にし、検出試薬リザーバー1(11l)のピストンを押し、核酸増幅反応後の液と検出試薬1の混合液を反応槽を経由して検出槽(11r)に導いた。
この検出槽(11r)に、干渉フィルター(470nm:Edmund Industrial Optics社製)を通した青色発光ダイオード(HewletPackard社製)の励起光を、カートリッジの下方から当て、別の干渉フィルター(540nm:Edmund Industrial Optics社製)を通して、カートリッジ上方から検出槽(11r)の放出光を肉眼で観察した。その結果、緑色の蛍光が確認された。すなわち、このカートリッジにより検体中の牛由来の核酸の存在が検出された。
【0068】
【実施例4】
第一カートリッジを作成した。図21は、第一のカートリッジ(20)の平面図、図22は、そのI−I’における断面図である。第一のカートリッジは、注入口(21b)として、M4の雌ネジ穴を加工した外形5mm、内径3mm、長さ10mmのポリプロピレン製の円筒(21c)、2枚の外形3mm、内径2mmのテフロン(登録商標)製ワッシャー(21d)、および直径3mmのポリエレンテレフタレート製の不織布(21e)(旭化成社製)から構成されている。
このカ―トリッジにおける反応槽(21f)は、円筒の内側の、図22の図中に薄い円形で示す不織布の近傍の部分である。排出口(21g)は注入口(21b)と反対側の円筒の末端である。
【0069】
3本のプラスチック製注射筒(1ml、テルモ社製)の先端を、第一カートリッジの注入口(21b)の雌ネジ穴とかみ合うように雄ネジに加工(M4)した。この注射筒にそれぞれ、下記溶液を充填し、洗浄液リザーバー5〜7とした。
洗浄液リザーバー5:0.2mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム、25mMのEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を含むpH=7.6の10mMのトリス緩衝液(トリスヒドロキシメチルアミノメタン/塩酸)
洗浄液リザーバー6:0.2mlの1Mの塩化ナトリウムを含むpH=7.4の10mMのリン酸ナトリウム緩衝液
洗浄液リザーバー7:0.2mlのTE緩衝液(1mMのEDATを含む10mMのトリス緩衝液)
【0070】
図23〜図28に示す3種類の基板(22a、23a、24a)を、それぞれアクリル板で作成した。図23は、直径1.6mmの多数の穴(22b)、直径5mmの1個の穴(22c)、およびM4の4個の雌ネジ穴(22d)が設けられた縦30mm、横80mm、厚さ3mmの基板(22a)の平面図、図24は、図23のJ−J’に沿って切断した断面図、図25は、直径1.6mmの多数の穴(23b)、直径5mmの1個の穴(23c)、および直径1mmの4個の穴(23d)が設けられた縦30mm、横80mm、厚さ3mmの基板(23a)の平面図、図26は、図25のK−K’に沿って切断した断面図、図27は、直径1.6mmの多数の穴(24b)、および幅0.5mm、深さ0.5mmの1本の溝(24c)が設けられた縦30mm、横80mm、厚さ1mmの基板(24a)の平面図、図28は、図27のL−L’に沿って切断した断面図である。
【0071】
図29および30に示す気密板(25a)を、シリコンゴム板で作成した。図29は、直径1.6mmの多数の穴(25b)、直径5mmの1個の穴(25c)、および直径1mmの4個の穴(25d)を設けた縦30mm、横80mm、厚さ1mmの気密板(25a)の平面図、図30は、図29のM−M’に沿って切断した断面図である。
各基板(22a、23a、24a)、2枚の気密板(25a)、およびステンレス製鍋ネジとナット(26a)(M1.6、長さ12mm)を用いて、第二カートリッジ本体(27)を作成した。第二カートリッジ本体の平面図を図31、そのN−N’に沿って切断した断面図を図32に示す。
【0072】
各リザーバーとして、4本のプラスチック製注射筒(1ml、テルモ社製)の先端を、基板22a(図23)のM4の雌ネジ穴とかみ合うように雄ネジに加工(M4)した。各注射筒に、下記に示す所定の溶液を充填した後、先端部分に、破損可能なシール材として、直径3mmの円形に切断したパラフィルムを貼付した。第二カートリッジ本体部分(27)の取り付け口(26d、26e、26f、26g)に、各リザーバーをそれぞれ取り付け第二カートリッジを作成した。図33に、第二カートリッジ(29)に第一カートリッジを結合させた状態を示す。
【0073】
核酸増幅反応試薬リザーバー2(28d):50μlの牛胎児胚雌雄判別キット(栄研化学)の反応液(プライマー、基質、酵素を含む)
検出試薬リザーバー4(28e):50μlの0.2Mのβ−メルカプトエタノール水溶液
検出試薬リザーバー5(28f):50μlの2W/V%のモリブデン酸アンモニウムを含む4Nの硫酸溶液
洗浄液リザーバー8(28g):0.2mlの2Nの硫酸溶液
牛血液1μlを、1mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム、25mMのEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を含むpH=7.6の10mMのトリス緩衝液で溶解し、核酸を含む検体とした。この検体を、図22の雌ネジ孔とかみ合うように先端を雄ネジ加工(M4)したプラスチック製注射筒(2.5ml、テルモ社製)に入れ、第一カートリッジの注入口(21b)に取り付けた。
【0074】
注射筒のピストンを押して試料を第一カートリッジ内に導き、排出口(21g)から廃液した。注入口の注射筒を洗浄液リザーバー5に取り替え、ピストンを押して洗浄を行った。同様の操作を、洗浄液リザーバー6、洗浄液リザーバー7で行った。洗浄液リザーバー7(28b)を取り付けたまま、第一カートリッジ(28a)を、第二カートリッジに結合させた。この挿入状態を図33に示した。すなわち、第一カートリッジ(20)の下部が、図23の22c、図25の23c、図29の25cにより形成された第二カートリッジ本体(27)の接合部(26b)に挿入され、第一カートリッジの排出口(21g)が、第二カートリッジの接合口(26c)と連通する。第一カートリッジの注入口(21b)は、接合後は、排出口となるので、第一カートリッジに取り付けられた洗浄液リザーバー7(28b)は、廃液を溜める廃液槽となる。
【0075】
第二カートリッジの核酸増幅反応試薬リザーバー2(28d)のピストンを押して、核酸増幅試薬を反応槽(21f)に導いた。そのまま、カートリッジ全体を65℃の恒温に保たれているインキュベーターに入れ、30分間、核酸増幅反応を行った。次に、検出試薬リザーバー4(28e)と検出試薬リザーバー5(28f)のピストンを同時に押し、検出試薬を反応槽に導いた。2分反応させた後、洗浄液リザーバー8(28g)ピストンを押すと同時に第一カートリッジに残した洗浄液リザーバー7(28b)のピストンを引いて、反応槽(21f)にある不織布(21e)を洗浄した。その後、不織布部分の発色の有無を第二カートリッジの底面から目視によって確認した。その結果、不織布部分に濃い青色の発色が観測された。すなわち、本実施例のカートリッジにより、検体中の牛由来の核酸の存在が検出された。
【0076】
【発明の効果】
本発明により、核酸を含有する検体から特定の配列の核酸を増幅させ、核酸増幅反応物の有無を検出することができ、特定の配列の核酸について、検体中の存在の有無を簡便に高感度に検出することが可能になる。そのため、検体中の特定微生物の存在を検出する場合や、人の遺伝子診断を行ったりする場合において、高感度の検出が容易に達成される。すなわち、本発明による核酸検出用カートリッジを使って、医療分野、食品分野、環境分野等における遺伝子診断を、簡便、迅速、安全に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカートリッジを構成する基板(1a)の平面図。
【図2】図1のA−A’における断面図。
【図3】本発明のカートリッジを構成する基板(2a)の平面図。
【図4】図3のB−B’における断面図。
【図5】本発明のカートリッジを構成する基板(3a)の平面図。
【図6】図5のC−C’における断面図。
【図7】本発明のカートリッジを構成する基板(4a)の平面図。
【図8】図7のD−D’における断面図。
【図9】本発明のカートリッジを構成する気密板(5a)の平面図。
【図10】図9のE−E’における断面図。
【図11】本発明のカートリッジを構成する気密板(6a)の平面図。
【図12】図11のF−F’における断面図。
【図13】本発明のカートリッジを構成する気密板(7a)の平面図。
【図14】図13のG−G’における断面図。
【図15】本発明のカートリッジを構成する棒状部材(8)の平面図。
【図16】本発明のカートリッジの本体部分の平面図。
【図17】図16のH−H’における断面図。
【図18】本発明の核酸検出用カートリッジの模式図。
【図19】カートリッジに加熱装置を配置した様子を示す断面図。
【図20】実施例1おいて、核酸が検出されたことを示す有色の沈殿部の写真。
【図21】本発明の第一カートリッジの平面図。
【図22】図21のI−I’における断面図。
【図23】本発明の第二カートリッジを構成する基板(22a)の平面図。
【図24】図23のJ−J’における断面図。
【図25】本発明の第二カートリッジを構成する基板(23a)の平面図。
【図26】図25のK−K’における断面図。
【図27】本発明の第二カートリッジを構成する基板(24a)の平面図。
【図28】図27のL−L’における断面図。
【図29】本発明の第二カートリッジを構成する気密板(25a)の平面図。
【図30】図29のM−M’における断面図。
【図31】本発明の第二カートリッジの本体部分の組み立て図の平面図。
【図32】図31のN−N’における断面図。
【図33】本発明の第一および第二カートリッジが結合した状態の模式図。
【符号の説明】
1a:基板、1b:穴、1c:雌ネジ穴
2a:基板、2b:穴、2c:穴、2d:穴、2e:溝
3a:基板、3b:穴、3c:穴、3d:穴、3e:溝
4a:基板、4b:穴、4e:溝
5a:気密板、5b:穴、5c:穴、5d:穴
6a:気密板、6b:穴、6c:穴、6d:穴、6e:穴
7a:気密板、7b:穴、7c:穴、7d:穴、7e:穴
8:棒状部材
9a:不織布、9b:パッキン
9c:弁取り付け穴、9d:弁取り付け穴
9e:弁取り付け穴、9f:弁取り付け穴
9g:鍋ネジとナット
9h:リザーバー取り付け口、9i:リザーバー取り付け口
9j:リザーバー取り付け口、9k:リザーバー取り付け口
9l:リザーバー取り付け口、9m:リザーバー取り付け口
9n:リザーバー取り付け口
10:カートリッジ本体
11a:反応槽
11b:反応槽の上下部分
11c:弁1、11d:弁2
11e:弁3、11f:弁4
11h:洗浄液リザーバー1、11i:洗浄液リザーバー2
11j:洗浄液リザーバー3、11k:核酸増幅反応試薬リザーバー1
11l:検出試薬リザーバー1、11m:検出試薬リザーバー2
11n:洗浄液リザーバー4、11o:注入口
11p:廃液槽1、11q:廃液槽2
11r:検出槽
12:カートリッジ
13a:銅板、13b:制御装置、13c:電源
13d:ヒーター、13e:温度センサー
14:不織布部分の青色沈殿
20:第一カートリッジ
21b:注入口、21c:円筒
21d:ワッシャー、21e:不織布、
21f:反応槽、21g:排出口、
22a:基板、22b:穴、22c:穴、22d:雌ネジ穴
23a:基板、23b:穴、23c:穴、23d:穴
24a:基板、24b:穴、24c:溝
25a:気密板、25b:穴、25c:穴、25d:穴
26a:鍋ネジとナット
26b:接合部、26c:接合口
26d:リザーバー取り付け口、26e:リザーバー取り付け口
26f:リザーバー取り付け口、26g:リザーバー取り付け口
27:第二カートリッジ本体
28a:第一カートリッジ
28b:洗浄液リザーバー7
28d:核酸増幅反応試薬リザーバー2,28e:検出試薬リザーバー4
28f:検出試薬リザーバー5、28g:洗浄液リザーバー8
29:第二カートリッジ
Claims (35)
- 核酸を含む試料中の核酸を核酸吸着物質に吸着させ、核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジであって、該カートリッジは、(イ)核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または試料槽、(ロ)注入口または試料槽と連通し、核酸吸着物質が設置され、核酸増幅反応の有無が検出可能である少なくとも1つの反応槽、(ハ)反応槽と連通し、核酸増幅反応試薬が収納された少なくとも1つの核酸増幅反応試薬リザーバー、(ニ)反応槽と連通する少なくとも1つの排出口または廃液槽、を包含することを特徴とする核酸検出用カートリッジ。
- 反応槽と連通し、洗浄液が収納された少なくとも1つの洗浄液リザーバーを、さらに包含することを特徴とする請求項1記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸を含む試料中の核酸を核酸吸着物質に吸着させ、核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジであって、該カートリッジは、(イ)核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または試料槽、(ロ)注入口または試料槽と連通し、核酸吸着物質が設置された少なくとも1つの反応槽、(ハ)反応槽と連通し、核酸反応試薬が収納された核酸増幅反応試薬リザーバー、(ニ)反応槽と連通し、核酸増幅反応の有無を検出する少なくとも1つの検出槽、(ホ)反応槽および/または検出槽と連通する少なくとも1つの排出口または廃液槽、を包含することを特徴とする核酸検出用カートリッジ。
- 反応槽および/または検出槽と連通し、洗浄液が収納された少なくとも1つの洗浄液リザーバーを、さらに包含することを特徴とする請求項3記載の核酸検出用カートリッジ。
- 反応槽と連通し、検出試薬が収納された少なくとも1つの検出試薬リザーバーを、さらに包含することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸を含む試料中の核酸を核酸吸着物質に吸着させ、核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジであって、該カートリッジは、(イ)核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または試料槽、(ロ)注入口または試料槽と連通し、核酸吸着物質が設置され核酸増幅反応の有無が検出可能である少なくとも1つの反応槽、(ハ)反応槽と連通している少なくとも1つの排出口を含む第一カートリッジと、(ニ)第一カートリッジと接合可能な接合部、(ホ)接合部にあり、第一カートリッジの排出口または注入口と連通可能な接合口、(ヘ)接合口に連通し、核酸増幅反応試薬が収納された少なくとも1つの核酸増幅反応試薬リザーバーを含む第二カートリッジ、の少なくとも2つの分離可能なカートリッジから形成されていることを特徴とする核酸検出用カートリッジ。
- 第二カートリッジに、接合口と連通し、洗浄液が収納された少なくとも1つの洗浄液リザーバーを、さらに包含することを特徴とする請求項6記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸を含む試料中の核酸を核酸吸着物質に吸着させ、核酸吸着物質に吸着した核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジであって、該カートリッジは、(イ)核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または試料槽、(ロ)注入口または試料槽と連通し、核酸吸着物質が設置された少なくとも1つの反応槽、(ハ)反応槽と連通している少なくとも1つの排出口を含む第一カートリッジと、(ニ)第一カートリッジと接合可能な接合部、(ホ)接合部にあり、第一カートリッジの排出口または注入口と連通可能な接合口、(ヘ)接合口に連通し、核酸増幅反応試薬が収納された少なくとも1つの核酸増幅反応試薬リザーバー、(ト)接合口に連通し、核酸増幅反応の有無を検出する少なくとも1つの検出槽、(チ)検出槽と連通している少なくとも1つの排出口または廃液槽を含む第二カートリッジ、の少なくとも2つの分離可能なカートリッジから形成されていることを特徴とする核酸検出用カートリッジ。
- 第二カートリッジに、接合口および/または検出槽と連通し、洗浄液が収納された少なくとも1つの洗浄液リザーバーを、さらに包含することを特徴とする請求項8記載の核酸検出用カートリッジ。
- 第二カートリッジに、接合口と連通し、検出試薬が収納された少なくとも1つの検出試薬リザーバーを、さらに包含することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の核酸検出用カートリッジ。
- 第一カートリッジの排出口または注入口に連通し、廃液を収納する少なくとも1つの廃液槽を、さらに包含することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の核酸検出用カートリッジ。
- 連通する部分の少なくとも1つが流路であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の核酸検出用カートリッジ。
- 流路の少なくとも1カ所について、開通および/または閉止、または流路の連通先が変更可能である弁を備えることを特徴とする請求項12記載の核酸検出用カートリッジ。
- リザーバーと流路との接合部、および槽と流路との接合部の少なくとも1カ所について、開通および/または閉止を制御する弁を備えることを特徴とする請求項12または13記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸増幅反応以降の工程が、カートリッジの中の密閉された空間内で行われることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の核酸検出用カートリッジ。
- リザーバーおよび廃液槽のうちの少なくとも1つが、カートリッジ本体部分から取り外した状態で保管され、使用時にカートリッジ本体に設置されて核酸単離用カートリッジとして使用されうることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸吸着物質が、核酸吸着フィルターからなることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸吸着フィルターが、濾紙、織布、不織布、マトリックスまたは膜からなることを特徴とする請求項17記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸吸着物質が核酸吸着樹脂からなることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸増幅反応が、等温度の反応によって行われることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の核酸検出用カートリッジ。
- カートリッジの少なくとも一部を加熱および/または冷却して温度制御することを特徴とする請求項20記載の核酸検出用カートリッジ。
- 検出方法が、核酸増幅反応によって新たに生成した核酸を検出する方法であることを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸増幅反応によって新たに生成した核酸を、核酸と共存させることにより蛍光強度が変化する物質を用いて、光学的に検出することを特徴とする請求項22記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸と共存させることにより、蛍光強度が変化する物質が核酸インターカレーターであることを特徴とする請求項23記載の核酸検出カートリッジ。
- 核酸増幅反応によって新たに生成した核酸を、該核酸と相補的な配列を持つ核酸を含む物質を用いて検出することを特徴とする請求項22または23記載の核酸検出用カートリッジ。
- 検出方法が、核酸増幅反応によって生成したピロリン酸イオンを検出することを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載の核酸検出用カートリッジ。
- ピロリン酸イオンの検出反応が、不溶性沈殿を生成させる化学反応であることを特徴とする請求項26記載の核酸検出用カートリッジ。
- 不溶性沈殿を肉眼で観察することにより検出することを特徴とする請求項27記載の核酸検出用カートリッジ。
- 不溶性沈殿を含む懸濁液に光を照射し、照射された光の散乱を検出することを特徴とする請求項27または28記載の核酸検出用カートリッジ。
- 不溶性沈殿を多孔質体フィルターで濾過して捕捉することを特徴とする請求項27記載の核酸検出用カートリッジ。
- 不溶性沈殿が捕捉されたフィルターを、洗浄液で洗って化学反応を止めることを特徴とする請求項30記載の核酸検出用カートリッジ。
- 沈殿の捕捉によるフィルターの色の変化を目視で検出することを特徴とする請求項30または31記載の核酸検出用カートリッジ。
- 化学反応が、ピロリン酸イオンとマグネシウムイオンの反応であることを特徴とする請求項27〜32のいずれか1項に記載の核酸検出用カートリッジ。
- ピロリン酸イオンの検出反応が、有色の色素を生成させる化学反応であることを特徴とする請求項26記載の核酸検出用カートリッジ。
- 化学反応が、ピロリン酸イオン、モリブデン酸塩および還元剤の反応であることを特徴とする請求項27〜32のいずれか1項、または請求項34記載の核酸検出用カートリッジ。
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