JP4623716B2 - 核酸検出用カートリッジ及び核酸検出方法 - Google Patents
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Description
以上のように、現在、前記の要求を満たすものは、未だ実用化されていない。
(イ) 核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの試料注入口または試料槽、
(ロ) 該注入口または試料槽と連通する少なくとも1つの排出口または廃液槽、
(ハ) (イ)と(ロ)を連通する流路、
(ニ) 前記核酸捕捉物質に捕捉された核酸を溶出するために供される液体をカートリッジに導入する少なくとも1つの溶液注入口または溶液槽、
(ホ) 少なくとも2つの核酸増幅反応試薬用リザーバー、
(ヘ) (ニ)と(ホ)を連通する流路、
(ト) (ハ)及び(ヘ)は共通する流路部分を有し、該共通する流路部分に設置させる前記核酸捕捉物質、
(チ) (ロ)及び(ホ)にそれぞれ備えられたベント構造、
を有することを特徴とする核酸検出用カートリッジ。
(3) (ホ)に備えられたベント構造が、少なくとも2つのリザーバーの出口を一にするカプラを含むことを特徴とする前記(1)または前記(2)に記載の核酸検出用カートリッジ。
(4) ベント構造が多孔質かつ疎水性の膜を含むことを特徴とする、前記(1)ないし前記(3)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(5) 排出口または廃液槽と連通し、核酸捕捉物質の洗浄を目的とする液をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または溶液槽を、さらに包含することを特徴とする前記(1)ないし前記(4)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(6) 廃液槽内に吸水能力を備える物質を備え、同時に廃液槽への入り口と排出口を貫通する吸水能力を持つ物質が存在しない流路を備えることを特徴とする、前記(1)ないし前記(5)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(8) 核酸増幅反応用リザーバーに少なくとも1種の核酸増幅用反応試薬が収納されたことを特徴とする前記(1)ないし前記(7)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(9) 核酸増幅反応試薬の少なくとも1種が非流動性を備え、あらかじめ核酸増幅反応用リザーバーに収容されたことを特徴とする前記(8)に記載の核酸検出用カートリッジ。
(10) 核酸溶出に供される溶液が非流動性を備える該反応試薬の溶解液も兼ねることを特徴とする前記(9)に記載の核酸検出用カートリッジ。
(11) 核酸溶出に供される溶液が陰イオン系あるいは非イオン系、または等電点以上のpH溶液における両イオン性表面活性剤を含むものであることを特徴とする前記(1)ないし前記(10)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(12) 試料注入口に核酸と夾雑物とを分離する能力を備えることを特徴とするゲル濾過デバイスが接続されることを特徴とする、前記(1)ないし前記(11)のいずれかにに記載の核酸検出用カートリッジ。
(13) 核酸を含む試料が核酸を捕捉させるために核酸捕捉物質を通過する方向と、該核酸捕捉物質に捕捉された核酸を溶出するために供される液体が該核酸捕捉物質を通過する方向が、相対向することを特徴とする前記(1)ないし前記(12)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(15) 核酸捕捉物質が、核酸捕捉フィルターからなることを特徴とする前記(1)ないし前記(14)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(16) 核酸捕捉フィルターが、濾紙、織布、不織布、マトリックスまたは膜からなることを特徴とする前記(15)に記載の核酸検出用カートリッジ。
(17) カートリッジの少なくとも一部を加熱および/または冷却して温度制御する手段を有することを特徴とする前記(1)ないし前記(16)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(18) 温度制御する手段が等温度制御するものであることを特徴とする前記(17)に記載の核酸検出用カートリッジ。
(19) 核酸増幅反応によって新たに生成した核酸の検出手段を有することを特徴とする前記(1)ないし前記(18)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(20) 核酸の検出手段が、核酸増幅反応によって新たに生成した核酸を、核酸と共存させることにより蛍光強度が変化する物質を用いて、光学的に検出するものであることを特徴とする前記(19)に記載の核酸検出用カートリッジ。
(21) 蛍光強度が変化する物質が核酸インターカレーターであることを特徴とする前期(20)に記載の核酸検出カートリッジ。
(22) 核酸の検出手段が、核酸増幅反応によって新たに生成した核酸を、該核酸と相補的な配列を持つ核酸を含む物質を用いて検出するものであることを特徴とする前記(19)ないし前記(21)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(23) 核酸増幅反応によって生成したピロリン酸イオンの検出手段を有することを特徴とする前記(1)ないし前記(18)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(24) ピロリン酸イオンの検出手段が、不溶性沈殿を生成させる化学反応を利用したものであることを特徴とする前記(23)に記載の核酸検出用カートリッジ。
(25) 不溶性沈殿を肉眼で観察することにより検出することを特徴とする前記(24)に記載の核酸検出用カートリッジ。
(26) 不溶性沈殿を含む懸濁液に光を照射し、照射された光の散乱を検出することを特徴とする前記(24)に記載の核酸検出用カートリッジ。
(27) ピロリン酸イオンの検出手段が、有色の色素を生成させる化学反応を利用したものであることを特徴とする前記(23)に記載の核酸検出用カートリッジ。
(28) 有色色素を計測するピロリン酸イオンの検出手段が、励起光が該有色色素に吸収される波長を持ち、それにより発生する光熱変換効果を利用したものであることを特徴とする前記(27)に記載の核酸検出用カートリッジ。
(29) 化学反応が、ピロリン酸イオン、モリブデン酸塩および還元剤の反応であることを特徴とする前記(27)または前記(28)に記載の核酸検出用カートリッジ。
(30) 核酸増幅反応が、ピロリン酸イオンとマグネシウムイオンの反応であることを特徴とする前記(24)から前記(26)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(31) カートリッジを形成する素材の少なくとも一部が検出に必要な波長の電磁波を透過するものであることを特徴とする、前記(20)ないし前記(30)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(32) カートリッジを形成する素材が樹脂である前記(1)ないし前記(31)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(33) カートリッジを形成する素材の少なくとも一部が透明である前記(1)ないし前記(32)のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
(35) 核酸の検出方法が、核酸増幅反応によって新たに生成した核酸の検出であることを特徴とする前記(34)に記載の核酸検出方法。
(36) 核酸の検出方法が、核酸増幅反応によって生成したピロリン酸イオンの検出であることを特徴とする前記(34)に記載の核酸検出方法。
(37) ピロリン酸イオンの検出が、励起光が該有色色素に吸収される波長を持ち、それにより発生する光熱変換効果によるものであることを特徴とする前記(36)に記載の核酸検出方法。
(38) 核酸増幅反応が、等温度の反応によって行われることを特徴とする前記(34)ないし前記(37)のいずれかに記載の核酸検出方法。
本発明で開示される技術は、核酸を含む試料から、核酸捕捉物質に核酸を選択的に捕捉させた後、試薬溶解用バッファー等をこの核酸捕捉物質に流すことにより捕捉された核酸を捕捉物質より溶出し、増幅反応を行う反応槽に移送する。その後、溶出された核酸を鋳型にして核酸増幅反応を行い、核酸増幅反応の有無を検出する一連の操作を実施することを可能にする。検出試薬は、核酸増幅反応試薬の中に含まれる。この場合、検出試薬は、核酸増幅反応に影響を与えないような物質である必要がある。本発明では、試料は導入口から入り、核酸を捕捉した後の不要分は廃棄槽などへ導かれる。そして、捕捉された核酸は、試薬バッファ等の液体を捕捉物質に流すことで再度溶出し、そしてこの場合廃棄槽ではなく反応槽に移送される。このようにすることで、反応槽内にはDNA、反応試薬など必要な物質のみを存在させることとなり、前工程の不要な溶液を意図して除くといった追加の工程は不要である。すなわち、各リザーバー、導入口等から順に試料、各試薬溶液等を供給していくことだけで、核酸検出まで行うことができる。また、カートリッジの試料注入口に核酸と夾雑物とを分離する能力を備えるゲル濾過デバイスを接続すれば、試料の前処理もカートリッジでのみで行うことができ便利である。
「ベント構造」
試料や試薬溶液のカートリッジ内の移動を実現するためには、移動先に至るキャピラリ(溝)の中の空気を、流路外へ排出するベント構造を形成する必要がある。液体がカートリッジ外にあふれ出てしまう状況になると周囲を試料で汚染してしまう恐れがある。その際、カートリッジ内に液体を確実に留めるには、気体は通して液体は通さない機構をベントとして流路の端部に設けることが望ましい。
気体を通すが液体は通さない目的を達成するために、疎水性の小孔や疎水性膜を、液体を通さずに空気のみを通すベントとする技術が、キャピラリーの場合より遥に大きな液量を対象として、かなり以前から検討されている。例えば、人工透析装置などの血液処理装置における血液からの空気抜きは、特開昭57-17659号公報や特表平09-500809号公報等に記載されている。また、一般の工場などで用いる薬液や水中の自動空気抜きフィルターとして、カートリッジよりも相当大きな装置に設ける例が、特開平02-2812号公報に記載されている。これらはいずれも、本発明が対象とする1μl以下の液量に比べ、かなり大量の液体を対象としたものである。
本発明のカートリッジは、核酸増幅反応以降の工程を、カートリッジの中の密閉された空間内で達成することが可能な構造を備える。これにより核酸の捕捉、増幅反応およびそれ以降の工程が密閉された空間内で達成されるので、核酸増幅反応によって増幅された特定の配列の核酸が、別の試料に混入することが避けられる。もし、このような混入が起きた場合には、もともとの試料には、目的の核酸が含まれていないにもかかわらず、核酸が含まれているという誤った結果を与えることになる。
「液送り(吸引)」
試薬を擁する反応槽に核酸を含む液体を導入し、試薬を溶解させると同時に反応を行う時、複数の反応槽が存在し、それぞれに繋がる流路がカートリッジ内で合流している場合、それぞれを別に用意された手段で吸引すると、圧力の差などにより、反応槽によっては逆流が発生、液体が反応槽より流出する可能性がある。そのため、本発明ではベント構造を持つ複数のリザーバーを同時に吸引できるようカプラ構造を設けている。
本発明のカートリッジにおいて、核酸捕捉物質が、核酸捕捉フィルターで構成されていてもよい。ここでフィルターとは、一方の面から他方の面に連通する多数の微細な孔を有する通気性のフィルム、シート、膜、板、塊状、繊維状、粒状等の任意の形態を意味する。フィルターの孔の形状やその連通状態、フィルターの厚さ、寸法等は、試料導入口から廃液槽に至る連通部分のいずれかに設置できるものであればよい。
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維からなる織布および不織布が好ましい。
また本発明の特徴は、核酸捕捉物質より核酸を溶出させる溶液に、界面活性剤を含んでいることである。溶出に用いる界面活性剤としては陰イオン系、非イオン系を用いることができる。また等電点以上のpH条件において陰イオン性を帯びる一部の両イオン性界面活性剤も用いることが可能である。本発明における陰イオン系界面活性剤として、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシル-N-サルコシン酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム等が挙げられる。非イオン系界面活性剤として、例えばポリオキシエチレン(POE)高級アルコールエーテル、POE第2級アルコールエトキシレート、POEアルキルフェニルエーテル、POE脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。さらに、両イオン性界面活性剤として、例えばアルキルジアミノエチルグリシン、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸、パルミトイルリゾレシチン、ドデシル-N-ベタイン、ドデシル-β-アラニン等が挙げられる。
カートリッジの少なくとも一部を加熱および/または冷却して温度制御することにより本発明の核酸増幅反応が遂行される。この核酸増幅反応は、等温度の反応によって行われる反応を用いることが好ましい。例えば、核酸増幅反応として広く実施されているポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)を用いる場合、カートリッジ内における核酸捕捉物質が保持されている反応槽の部分を、少なくとも2つの異なる温度に交互に加温、冷却を繰り返す必要がある。しかし、核酸増幅反応が等温度で進行する反応を用いれば、一定温度への制御のみで核酸増幅反応が実施される。そのため、2つの温度に加温と冷却を行う場合に比べて、はるかに容易に実施することが可能である。
発熱源をカートリッジ内部に、エネルギー源をカートリッジ外部にすることも可能である。また、中和反応や水和反応などの化学的な発熱および/または吸熱反応を用いてもよい。
等温度の核酸増幅反応として、既に実用化されている方法を用いることが好ましい。このような反応として、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification),ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids),SDA(Strand Displacement Amplification)、TMA(Transcription―Mediated Amplification)、NASBA(Nucleic Acid Sequence Based Amplification)、SCAR、SMART、bDNA(Branched DNA Assay)、CPT(Cycling Probe Technology)、Q―Beta Replicase Amplification Technology、RCAT(Rolling Circle Amplification Technology)、などが挙げられる。特に、LAMP法は、増幅の効率が高く、反応時間が短いので好ましい。
本発明における検出方法は、核酸増幅反応によって新たに生成した核酸を検出する方法であることが好ましい。その方法として、核酸と共存させることにより蛍光強度が変化する物質を用いて、光学的に検出する方法がより好ましい。このような物質として、核酸インターカレーターを用いると検出が容易になるので好ましい。インターカレーターは、核酸増幅反応により生成した核酸と結合し、照射した光(励起光)よりも波長の長い光(放出光)を発するようになる(一般的に蛍光と呼ばれる)。例えば、エチジウムブロマイド、サイバーグリーン(SYBR(R) Green、Molecular Probes社製)、ピコグリーン(PicoGreen(R)、Molecular Probes社製)、オリグリーン(OliGreen(R)、Molecular Probes社製)、ヘキスト33256(Hoechst33258、Molecular Probes社製)などの、市販のインターカレーターを用いることができる。
検出する方法として、ピロリン酸イオンとマグネシウムイオンの化学反応による白色の沈殿形成反応を利用する場合には、検出試薬としてマグネシウムイオンを核酸増幅反応試薬にあらかじめ添加しておけば、化学反応として、検出試薬リザーバーを別途カートリッジ内に設置する必要が無いので好ましい。
検出する方法として、ピロリン酸イオン、モリブデン酸塩および還元剤による化学反応を用いる場合、モリブデン酸塩としては、ピロリン酸イオンと錯体をつくるものであれば如何なるものでも使用可能である。このようなモリブデン酸塩の例としては、モリブデン酸アンモニウムがある。還元剤としては、ピロリン酸イオンとモリブデン酸アンモニウムが反応してできる錯体を還元して、青緑色の化合物を生成させるものであれば如何なるものでも使用可能である。このような還元剤の例としては、2-メルカプトエタノール、1-チオグリセロール、DL-ジチオトレイトール(DTT)などのメルカプト基を有する還元剤が挙げられる。
いずれにしろ、光学的な手法により検出する場合、反応槽を取り囲む領域の少なくとも一部分は検出に必要な波長の電磁波を透過することが必要である。
本発明のカートリッジの材質としては、金属、ガラス、セラミックスなどを用いることもできるが、加工の容易さからプラスチックが好ましい。プラスチックを素材として利用するのは生体物質を取り扱うためカートリッジをディスポーザブルにする上でも好ましいといえる。使用されるプラスチック素材としては、ポリ塩化ビニール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
特に、透明な素材を使用すると、カートリッジ内の液の流れを目視しながら吸引操作が行えるので好ましい。
ベント構造に用いられる膜の設置についても、貼り合わせ同様、接着剤、両面テープ、熱溶着等が使用可能である。これについては、膜の性質を変えてしまわない方法を用いるよう気をつける必要がある。
本発明の核酸検出用カートリッジを用いて行う検出対象となる核酸を含有する材料としては、例えば、人の疾患の診断に用いる臨床試料である喀痰、唾液、尿、便、精液、血液、組織、臓器、その他の体液、これらの体液の分画、微生物汚染の検査に用いる食品、飲料水、土壌、排水、河川水、海水、ふき取り液、ふき取り綿などが挙げられる。また、例えば大腸菌などの細菌懸濁液を使用することができる。カートリッジに導入するまでの試料の前処理については、マイクロピペットなどを用いて手動で遂行する。試料を直接カートリッジに導入することも可能である。また前処理操作をカートリッジ内の工程に組み込むことも可能である。
実施例中に記載された長さ、深さ、直径等の数値は単なる例示であって、本発明はこれらの数値に限定されるものではない。なお、実施例で用いた図面中、寸法の単位はmmである。
カートリッジに形成される流路の全体像を図8に示されているものである。そしてこの構造を実現するために、3枚のアクリル板に対し図11のように溝を刻む。図11に示されたカバーシートに挟めれる真中の板は両面に溝を形成するため、片面を加工した後、反転して他の面の加工を行った。溝の加工にはNC工作機(ローラント゛DG社製:EGX-300)を用いた。使用したCADはAutodesk社製のAutoCAD LTとInventorで、まずAutoCAD LTを用いて2D図面を製作した後、Inventorにより3D構造へ変換する。その後、NC工作機が使用するフォーマットへとローラント゛DG社が供給するソフト(MODELA Player)を用いて変換した。なお、2枚のカバーシートに挟まれる真中のアクリル板に対しては両面に溝形成を行うため、一方の流路パターンについてはCAD上で鏡面コピーを施して使用することに気をつける必要がある。
次に反応槽のベント部分を覆う形状を持つカプラを両面テープで接着することで、カートリッジとして完成される。完成されたカートリッジを図14、図15に示す。
廃液槽の排出口、及びカプラにはピペットチップ先端部を切り取ったものを接着剤で貼り付けてあり、このピペットチップにシリコンゴム製チューブをはめ込み、反対端に10mLのシリンジ(テルモ製)をはめ込んだ。
なお、本実施例では、乾燥試薬は用いず、DNA溶出時の試薬に必要な全てを含ませて実験を行った。
反応に必要なカートリッジの加熱は、カートリッジを必要な温度に調整された鉄板上に置くことで行ったが、これはカートリッジ本体の厚みが薄いこともあって問題無いことを確認した後、実験を実施した。
牛血液1μlを、1mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム、25mMのEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を含むpH=7.6の10mMのトリス緩衝液で溶解し、核酸を含む試料とした。
洗浄液1:0.2mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、100mMの塩化ナトリウム、25mMのEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を含むpH=7.6の10mMのトリス緩衝液(トリスヒドロキシメチルアミノメタン/塩酸)
洗浄液2:0.2mlの1Mの塩化ナトリウムを含むpH=7.4の10mMのリン酸ナトリウム緩衝液
洗浄液3:0.2mlのTE緩衝液(1mMのEDATを含む10mMのトリス緩衝液)
核酸増幅反応試薬:50μlの牛胎児胚雌雄判別キット(栄研化学)の反応液(プライマー、基質、酵素を含む)なお、本キットで使用されている増幅法は栄研化学が開発したLAMP法である。
実験は乾燥試薬を使用しなかったため2つのカートリッジを使用し、それぞれ雄特異的プライマー、雌雄共通プライマーを含む試薬で実験を行った。それぞれのプライマーを乾燥試薬化し、別々の反応槽に設置すればカートリッジは1個で足りるのは云うまでもない。
核酸の捕捉、抽出、増幅のための操作は実施例1と同様に行い、反応槽内容物の変化を観測した。その結果、実施例1と同様に白濁する反応槽が見られる一方、増幅のために必要なプライマーが存在しない反応槽では白濁は見られなかった。すなわち、このカートリッジにより、試料に含まれる牛胎児胚由来のDNAを特異的に検出されたことが明らかになった。
Claims (26)
- 核酸を含む試料中の核酸を核酸捕捉物質に捕捉させ、その後核酸捕捉物質に捕捉した核酸を溶出して核酸増幅反応槽に移送した後、該核酸を鋳型として核酸増幅反応を行わせ、核酸増幅反応の有無を検出するための核酸検出用カートリッジであって、該カートリッジは、
(イ) 核酸を含む試料をカートリッジに導入する少なくとも1つの試料注入口または試料槽、
(ロ) 該試料注入口または試料槽と連通する少なくとも1つの排出口または廃液槽、
(ハ) (イ)と(ロ)を連通する流路、
(ニ) 前記核酸捕捉物質に捕捉された核酸を溶出するために供される液体をカートリッジに導入する少なくとも1つの溶液注入口または溶液槽、
(ホ) 少なくとも2つの核酸増幅反応用リザーバー、
(ヘ) (ニ)と(ホ)を連通する流路、
(ト) (ハ)及び(ヘ)は共通する流路部分を有し、該共通する流路部分に設置させる前記核酸捕捉物質、
(チ) (ロ)及び(ホ)にそれぞれ備えられたベント構造、
を有し、核酸を含む試料が核酸を捕捉させるために核酸捕捉物質を通過する方向と、該核酸捕捉物質に捕捉された核酸を溶出するために供される液体が該核酸捕捉物質を通過する方向が、相対向することを特徴とする核酸検出用カートリッジ。 - それぞれのベント構造に吸引手段が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の核酸検出用カートリッジ。
- (ホ)に備えられたベント構造が、少なくとも2つのリザーバーの出口を一にするカプラを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の核酸検出用カートリッジ。
- それぞれのベント構造が多孔質かつ疎水性の膜を含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- 排出口または廃液槽と連通し、核酸捕捉物質の洗浄を目的とする液をカートリッジに導入する少なくとも1つの注入口または溶液槽を、さらに包含することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- 廃液槽内に吸水能力を備える物質を備え、同時に廃液槽への入り口と排出口を貫通する吸水能力を持つ物質が存在しない流路を備えることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- 試料注入口および溶液注入口が開閉可能な蓋を備え、蓋の開閉により、流れる液を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸増幅反応用リザーバーに少なくとも1種の核酸増幅用反応試薬が収納されたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸増幅反応試薬の少なくとも1種が非流動性を備え、あらかじめ核酸増幅反応用リザーバーに収納されたことを特徴とする請求項8に記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸溶出に供される溶液が非流動性を備える該反応試薬の溶解液も兼ねることを特徴とする請求項9に記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸溶出に供される溶液が陰イオン系あるいは非イオン系、または等電点以上のpH溶液における両イオン性表面活性剤を含むものであることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- 試料注入口に核酸と夾雑物とを分離する能力を備えることを特徴とするゲル濾過デバイスが接続されることを特徴とする、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸捕捉物質に捕捉された核酸を溶出するために供される液体の流れる方向が、核酸捕捉物質の上面から下面に向かう方向であることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸捕捉物質が、核酸捕捉フィルターからなることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸捕捉フィルターが、濾紙、織布、不織布、マトリックスまたは膜からなることを特徴とする請求項14に記載の核酸検出用カートリッジ。
- カートリッジの少なくとも一部を加熱および/または冷却して温度制御する手段を有することを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- 温度制御する手段が等温度制御するものであることを特徴とする請求項16に記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸増幅反応によって新たに生成した核酸の検出手段を有することを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸の検出手段が、核酸増幅反応によって新たに生成した核酸を、核酸と共存させることにより蛍光強度が変化する物質を用いて、光学的に検出するものであることを特徴とする請求項18に記載の核酸検出用カートリッジ。
- 蛍光強度が変化する物質が核酸インターカレーターであることを特徴とする請求項19に記載の核酸検出カートリッジ。
- 核酸の検出手段が、核酸増幅反応によって新たに生成した核酸を、該核酸と相補的な配列を持つ核酸を含む物質を用いて検出するものであることを特徴とする請求項18ないし請求項20のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- 核酸増幅反応によって生成したピロリン酸イオンの検出手段を有することを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- カートリッジを形成する素材の少なくとも一部が検出に必要な波長の電磁波を透過するものであることを特徴とする、請求項19ないし請求項22のいずれかに記載の核酸検出用カートリッジ。
- 少なくとも1つの排出口または廃液槽に備えられたベント構造の吸引手段を作動させ、試料注入口または試料槽から核酸捕捉物質を通過して少なくとも1つの排出口または廃液槽に向かって試料を移動させて試料中の核酸を該核酸捕捉物質に捕捉させ、次いで、少なくとも2つの核酸増幅反応試薬リザーバーに備えられたベント構造の吸引手段を作動させ、溶液注入口または溶液槽から核酸捕捉物質を通過して少なくとも2つの核酸増幅反応試薬リザーバーに向かって溶液を移動させて該核酸捕捉物質に捕捉された核酸を溶離し溶液とともに核酸増幅反応試薬リザーバーに移送させることを特徴とする、請求項1に記載の核酸検出用カートリッジを使用した核酸検出方法。
- 核酸の検出方法が、核酸増幅反応によって新たに生成した核酸を検出するものであることを特徴とする請求項24に記載の核酸検出方法。
- 核酸の検出方法が、核酸増幅反応によって生成したピロリン酸イオンを検出するものであることを特徴とする請求項24に記載の核酸検出方法。
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