JP2011043355A - ナトリウムイオン検出試薬、ナトリウムイオン検出方法、及びナトリウムイオン検出装置 - Google Patents

ナトリウムイオン検出試薬、ナトリウムイオン検出方法、及びナトリウムイオン検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】試料中のナトリウムイオン濃度が低い場合であっても、ナトリウムイオンを精度高く検出可能なナトリウムイオン検出試薬、前記ナトリウムイオン検出試薬を用いた、ナトリウムイオン検出方法及びナトリウムイオン検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】分子内に、カリックス[4]アレーンと、プロトン解離平衡により発色しうる発色性有機基とを有する化合物を含有するナトリウムイオン検出試薬を用いる。具体的には、例えば、光熱変換測定法において、測定対象物として、前記ナトリウムイオン検出試薬によって、ナトリウムイオンを捕捉したものを測定することによって、試料中のナトリウムイオンを検出するナトリウムイオン検出方法を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナトリウムイオン検出試薬、前記ナトリウムイオン検出試薬を用いた、ナトリウムイオン検出方法及びナトリウムイオン検出装置に関する。
半導体工場や発電所等の産業設備施設等では、超純水等の極めて純度の高い液体が用いられる場合があり、そのような場合、不純物混入が継続的に抑制されていることが求められる。不純物混入の継続的な抑制のためには、まず、不純物の混入を検出できる必要があり、その検出方法としては、精度の高いものが求められている。そして、検出対象の不純物の中でも、ナトリウムイオンは、人間が作業をする施設においては、混入不可避なものとして知られており、そのナトリウムイオンの精度の高い検出が、純水管理には特に重要視されている。
そこで、ナトリウムイオンの検出に用いられる化合物としては、特許文献1に記載の化合物等が挙げられる。特許文献1には、4個のフェノール単位からなるカリックスアレーンにおいて、隣接しないフェノール単位の1対が(CHO(CHO(CH鎖で架橋され、かつ2,4−ジニトロフェニルアゾ基のような発色性有機基が結合したカリックスアレーン化合物が記載されている。この化合物は、金属イオンと錯形成して呈色するため、透過光型イオンセンサや光導波路型イオンセンサに利用できることが開示されている。
また、上記のような不純物の検出等の、試料中の含有成分の分析方法としては、特許文献2及び特許文献3に記載の方法等が挙げられる。
特許文献2には、光学顕微鏡において、励起光を入射し、励起光が試料中に照射されることにより形成される熱レンズに検出光を入射し、熱レンズによる試料透過後の検出光の拡散を測定することにより試料中の物質の検出を行う熱レンズ顕微鏡を用いた超微量分析方法であって、光学的調整により、試料中における励起光および検出光の焦点位置が一致しないようにする超微量分析方法が記載されている。この方法によれば、高い分解能による分析が可能になることが開示されている。
また、特許文献3には、励起光が照射された試料の光熱効果により生じる前記試料の特性変化を測定する光熱変換装置であって、前記試料に所定の測定光を照射する測定光照射手段と、前記測定光の照射部に前記励起光を照射することによる前記試料を通過後の前記測定光の位相変化を光干渉法により測定する位相変化測定手段とを具備してなる光熱変換装置が記載されている。この装置を用いることにより、安定的かつ高感度な試料分析を行うことが可能であることが開示されている。
特開平11−106384号公報 特開2000−356611号公報 特開2004−301520号公報
半導体工場等で用いられる超純水は、不純物濃度が非常に低い、純度の高いものが求められている。具体的には、先端的な半導体工場等での、ナトリウムイオンの管理濃度は、10ppt程度以下であることが多い。よって、10ppt程度以下の低いナトリウムイオン濃度が検出されることが求められている。
しかしながら、特許文献1に記載のカリックスアレーン化合物を、透過光型イオンセンサや光導波路型イオンセンサ等のイオンセンサに用いて、ナトリウムイオンの検出を行っても、感度が不充分であった。具体的には、前記カリックスアレーン化合物を、透過光型イオンセンサや光導波路型イオンセンサに用いた検出では、10−7mol/L[=23×0.0000001g/1kg(約2ppb:質量比率)]オーダーの感度を達成しているが、上記のような低いナトリウムイオン濃度でナトリウムイオンを検出することは困難であった。
また、特許文献2及び特許文献3に記載の方法では、試料に含まれる検出対象物が励起光によって吸収される必要があるが、ナトリウムイオンのままでは吸収されにくい。そこで、特許文献1に記載のカリックスアレーン化合物を用いて、ナトリウムイオンと錯形成して呈色させたものを、特許文献2及び特許文献3に記載の方法で検出する方法が考えられる。しかしながら、このように、特許文献2及び特許文献3に記載の方法に特許文献1に記載のカリックスアレーン化合物を適用しただけでは、上記のような低いナトリウムイオン濃度を検出することは困難であった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、試料中のナトリウムイオン濃度が低い場合であっても、ナトリウムイオンを精度高く検出可能なナトリウムイオン検出試薬、前記ナトリウムイオン検出試薬を用いた、ナトリウムイオン検出方法及びナトリウムイオン検出装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、ナトリウムイオンの検出方法として、高感度かつ微量分析が可能なレーザ干渉光熱変換測定法等の、光熱効果、すなわち、測定対象物に励起光を照射したときにその照射部位が励起光を吸収して発熱する効果を利用した光熱変換測定法に着目した。
そして、このような光熱変換測定法において測定する測定対象物としては、励起光が吸収されやすく、かつ、励起光とは別に、光熱効果を測定するために照射する測定光が吸収されにくいことが求められている。本発明は、ナトリウムイオンを検出するものであるが、ナトリウムイオンは、そのままでは励起光に吸収されにくいので、例えば、上記引用文献1に記載のカリックスアレーン化合物を用いて、ナトリウムイオンと錯形成して呈色させたものを用いることが考えられる。
しかしながら、得られた呈色物は、光熱変換測定法において検出効率の高い検出光として一般的に用いられる、550〜800nmの波長のレーザ光を吸収してしまうため、これを用いて光熱変換測定法でナトリウムイオンを検出することが困難であった。このため、波長を変更した検出光を用いても、試料中のナトリウムイオン濃度が低い場合において、ナトリウムイオンを精度高く検出することは困難であった。
そこで、ナトリウムイオンを、前記測定光に吸収されにくいが、前記測定光とは別の励起光、具体的には、例えば、365〜532nmの波長のレーザ光等を吸収されやすくすることができるような試薬として、詳細に検討した結果、以下のような本発明に想到するに到った。
本発明の一態様に係るナトリウムイオン検出試薬は、分子内に、カリックス[4]アレーンと、プロトン解離平衡により発色しうる発色性有機基とを有する化合物を含有することを特徴とするものである。
このような構成によれば、試料中のナトリウムイオン濃度が低い場合であっても、ナトリウムイオンを精度高く検出可能なナトリウムイオン検出試薬が得られる。すなわち、得られたナトリウムイオン検出試薬は、ナトリウムイオンを高選択的かつ高感度に検出可能なものである。また、前記ナトリウムイオン検出試薬としては、具体的には、例えば、光熱変換測定法を用いてナトリウムイオンを精度高く検出可能にするナトリウムイオン検出試薬が得られる。より具体的には、例えば、ナトリウムイオンを、前記測定光に吸収されにくいが、前記測定光とは別の励起光を吸収されやすくすることができるナトリウムイオン検出試薬が得られる。
ナトリウムイオンの検出は、以下の作用機構によると推察される。
まず、前記ナトリウムイオン検出試薬を構成するカリックス[4]アレーンは、ナトリウムイオンを捕捉することができると考えられる。そして、捕捉されたナトリウムイオンは、前記ナトリウムイオン検出試薬を構成する発色性有機基のプロトン解離を誘起させると考えられる。プロトン解離が誘起された場合、前記発色性有機基による発色が起こる。すなわち、前記ナトリウムイオン検出試薬は、前記カリックス[4]アレーンにナトリウムイオンを捕捉させ、そして、捕捉されたナトリウムイオンを介して、前記発色性有機基による発色が起こるためと考えられる。
また、前記ナトリウムイオン検出試薬は、具体的には、以下の構成であることが好ましい。
また、前記カリックス[4]アレーンが、tert−ブチルカリックス[4]アレーンであり、前記発色性有機基が、前記tert−ブチルカリックス[4]アレーンの水酸基に結合されていることが好ましい。このような構成によれば、試料中のナトリウムイオンを、より高選択的かつより高感度に検出可能である。
また、前記発色性有機基が、ベンゼン環に、発色団と、ナトリウムイオンとイオン結合可能な助色団とが結合したものであることが好ましい。このような構成によれば、試料中のナトリウムイオンを、より高選択的かつより高感度に検出可能である。
また、前記発色団が、ニトロ基及びアゾ基の少なくともいずれか一方であることが好ましい。このような構成によれば、試料中のナトリウムイオンを、より高選択的かつより高感度に検出可能である。
また、前記助色団が、水酸基であることが好ましい。このような構成によれば、試料中のナトリウムイオンを、より高選択的かつより高感度に検出可能である。
また、前記発色性有機基が、ジニトロフェノール構造を有する基、及びアゾフェノール構造を有する基の少なくともいずれか一方であることが好ましい。このような構成によれば、試料中のナトリウムイオンを、より高選択的かつより高感度に検出可能である。
また、前記化合物が、下記一般式(1)で表されるものであることが好ましい。このような構成によれば、試料中のナトリウムイオンを、より高選択的かつより高感度に検出可能である。
Figure 2011043355
[式(1)中、Rは、下記一般式(2)で表される官能基を示し、Rは、下記式(3)で表される官能基を示す。]
Figure 2011043355
[式(2)中、Rは、−NO、又は下記式(4)で表される官能基を示す。]
Figure 2011043355
Figure 2011043355
また、本発明の他の一態様に係るナトリウムイオン検出方法は、試料中のナトリウムイオンを検出するナトリウムイオン検出方法であって、前記試料と、及び有機溶媒とを混合する工程と、前記混合により得られた混合物から、前記ナトリウムイオン検出試薬を含有する前記有機溶媒を分離する工程と、前記分離された有機溶媒に対して、励起光を照射する工程と、前記励起光が照射されている有機溶媒に、前記励起光とは別の測定光を照射する工程と、前記有機溶媒を透過した測定光の位相変化を測定する工程とを備え、前記ナトリウムイオン検出試薬として、前記ナトリウムイオン検出試薬を前記試料に混合し、前記励起光として、前記混合により得られた、前記ナトリウムイオン検出試薬と前記ナトリウムイオンとの複合体が吸収可能な波長の光を照射することを特徴とするものである。
このような構成によれば、まず、前記試料と、ナトリウムイオン検出試薬及び有機溶媒とを混合し、前記混合により得られた混合物から、前記ナトリウムイオン検出試薬を含有する前記有機溶媒を分離することによって、前記試料中に存在するナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬が有機溶媒に抽出される。よって、ナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬を含有する有機溶媒が得られる。その際、ナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬は、前記励起光に吸収されるが、前記励起光とは別の検出光、例えば、上記のような光熱変換測定法において、検出効率が高い検出光として一般的に用いられる、550〜800nmの波長のレーザ光の吸収が抑制されたものとなる。
このナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬を含有する有機溶媒に対して、前記混合により得られた、前記ナトリウムイオン検出試薬と前記ナトリウムイオンとの複合体が吸収可能な波長の光、例えば、波長が365〜532nmの励起光を照射することによって、ナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬に光熱効果を発揮させることができる。
そして、前記励起光が照射されている有機溶媒に、前記励起光とは別の測定光、すなわち、前記励起光とは、波長が異なる光、例えば、550〜800nmの測定光を照射し、前記有機溶媒を透過した測定光の位相変化を測定することによって、ナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬に発揮された光熱効果を測定することができる。なお、前記測定光は、前記ナトリウムイオンの有無にかかわらず、前記ナトリウムイオン検出試薬をほとんど吸収しないものである。すなわち、前記測定光の波長と前記ナトリウムイオン検出試薬の吸収波長とは異なるものである。
その結果として、試料中のナトリウムイオンを、例えば、試料中のナトリウムイオン濃度が低い場合であっても、精度高く検出することができる。
また、本発明の他の一態様に係るナトリウムイオン検出方法は、所定の流路を流れる試料中のナトリウムイオンを検出するナトリウムイオン検出方法であって、前記流路を流れる試料の一部をこのラインから分岐させて予め設けられたサンプリング部に導入する工程と、前記サンプリング部に導入された試料と、ナトリウムイオン検出試薬及び有機溶媒とを混合する工程と、前記混合により得られた混合物から、前記ナトリウムイオン検出試薬を含有する前記有機溶媒を分離する工程と、前記分離された有機溶媒に対して、励起光を照射する工程と、前記励起光が照射されている有機溶媒に、前記励起光とは別の測定光を照射する工程と、前記有機溶媒を透過した測定光の位相変化を測定する工程とを備え、前記ナトリウムイオン検出試薬として、前記ナトリウムイオン検出試薬を前記試料に混合し、前記励起光として、前記混合により得られた、前記ナトリウムイオン検出試薬と前記ナトリウムイオンとの複合体が吸収可能な波長の光を照射することを特徴とするものである。
このような構成によれば、所定の流路での前記試料の流通を止めることなく、前記試料を所定の流路を流したまま、すなわち、オンラインで、上述したような、試料中のナトリウムイオンの精度高い検出を行うことができる。
また、前記励起光の波長が、365〜532nmであることが好ましい。このような構成によれば、試料中のナトリウムイオンをより精度高く、かつ安定して検出することができる。
また、前記励起光が、ヘリウム−ネオンレーザ光又は半導体レーザ光であることが好ましい。このような構成によれば、励起光、例えば、波長が365〜532nmの励起光を安定して照射することができ、試料中のナトリウムイオンを、より精度高く検出することができる。
また、前記測定光の波長が、550〜800nmであることが好ましい。この波長の測定光は、上記のような光熱変換測定法において、検出効率が高い検出光として一般的に用いられるものであり、このような波長の検出光を用いることによって、試料中のナトリウムイオンを、より精度高く検出することができる。
また、前記位相変化を測定する工程が、前記測定光から参照光を分光して、この分光した参照光と前記有機溶媒を透過した測定光とを干渉させる工程と、前記干渉後の光の強度を検出する工程とを備えることが好ましい。このような構成によれば、前記参照光と前記有機溶媒を透過した測定光とを干渉させた後の光の強度を測定するという、比較的簡便な方法で前記位相変化を測定できる。また、前記参照光を用いることによって、信号対雑音比(S/N比)を向上させることができる。よって、試料中のナトリウムイオンを、容易に精度高く検出できる。
また、本発明の他の一態様に係るナトリウムイオン検出装置は、試料中のナトリウムイオンを検出するナトリウムイオン検出装置であって、ナトリウムイオン検出試薬を前記試料に添加する試薬添加部と、有機溶媒を前記試料に添加する有機溶媒添加部と、前記試料、前記ナトリウムイオン検出試薬、及び前記有機溶媒を混合する混合部と、前記混合により得られた混合物から、前記ナトリウムイオン検出試薬を含有する前記有機溶媒を分離する分離部と、前記分離された有機溶媒に対して、励起光を照射する励起光照射装置と、前記励起光が照射されている有機溶媒に、前記励起光とは別の測定光を照射する測定光照射装置と、前記有機溶媒を透過した測定光の位相変化を測定する位相変化検出装置とを備え、前記励起光照射装置が、前記励起光として、前記混合により得られた、前記ナトリウムイオン検出試薬と前記ナトリウムイオンとの複合体が吸収可能な波長の光を照射可能なレーザ光照射装置であり、前記試薬添加部は、ナトリウムイオン検出試薬として、前記ナトリウムイオン検出試薬を添加することを特徴とするものである。
このような構成によれば、まず、前記試料と、ナトリウムイオン検出試薬及び有機溶媒とを混合し、前記混合により得られた混合物から、前記ナトリウムイオン検出試薬を含有する前記有機溶媒を分離することによって、前記試料中に存在するナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬が有機溶媒に抽出される。よって、ナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬を含有する有機溶媒が得られる。その際、ナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬は、前記励起光に吸収されるが、前記励起光とは別の検出光、例えば、上記のような光熱変換測定法において、検出効率が高い検出光として一般的に用いられる、550〜800nmの波長のレーザ光の吸収が抑制されたものとなる。
このナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬を含有する有機溶媒に対して、前記混合により得られた、前記ナトリウムイオン検出試薬と前記ナトリウムイオンとの複合体が吸収可能な波長の光、例えば、波長が365〜532nmの励起光を照射することによって、ナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬に光熱効果を発揮させることができる。
そして、前記励起光が照射されている有機溶媒に、前記励起光とは別の測定光、すなわち、前記励起光とは、波長が異なる光、例えば、550〜800nmの測定光を照射し、前記有機溶媒を透過した測定光の位相変化を測定することによって、ナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬に発揮された光熱効果を測定することができる。
その結果として、試料中のナトリウムイオンを、例えば、試料中のナトリウムイオン濃度が低い場合であっても、精度高く検出することができる。
また、本発明の他の一態様に係るナトリウムイオン検出装置は、所定の流路を流れる試料中のナトリウムイオンを検出するナトリウムイオン検出装置であって、前記流路から分岐し、前記流路を流れる試料の一部が導入されるサンプリング部と、ナトリウムイオン検出試薬を、前記サンプリング部に導入された試料に添加する試薬添加部と、前記サンプリング部に導入された試料に有機溶媒を添加する有機溶媒添加部と、前記試料、前記ナトリウムイオン検出試薬、及び前記有機溶媒を混合する混合部と、前記混合により得られた混合物から、前記ナトリウムイオン検出試薬を含有する前記有機溶媒を分離する分離部と、前記分離された有機溶媒に対して、励起光を照射する励起光照射装置と、前記励起光が照射されている有機溶媒に、前記励起光とは別の測定光を照射する測定光照射装置と、前記有機溶媒を透過した測定光の位相変化を測定する位相変化検出装置とを備え、前記励起光照射装置が、前記励起光として、前記混合により得られた、前記ナトリウムイオン検出試薬と前記ナトリウムイオンとの複合体が吸収可能な波長の光を照射可能なレーザ光照射装置であり、前記試薬添加部は、ナトリウムイオン検出試薬として、前記ナトリウムイオン検出試薬を添加することを特徴とするものである。
このような構成によれば、所定の流路での前記試料の流通を止めることなく、前記試料を所定の流路を流したまま、すなわち、オンラインで、上述したような、試料中のナトリウムイオンの精度高い検出を行うことができる。
また、前記レーザ光照射装置が、365〜532nmの波長の光を照射可能なものであることが好ましい。このような構成によれば、試料中のナトリウムイオンをより精度高く、かつ安定して検出することができる。
また、前記レーザ光照射装置が、ヘリウム−ネオンレーザ光又は半導体レーザ光を照射可能なものであることが好ましい。このような構成によれば、励起光、例えば波長が365〜532nmの励起光を安定して照射することができ、試料中のナトリウムイオンを、より精度高く検出することができる。
また、前記測定光照射装置が、550〜800nmの波長の光を照射可能なものであることが好ましい。この波長の測定光は、上記のような光熱変換測定法において、検出効率が高い検出光として一般的に用いられるものであり、このような波長の検出光を用いることによって、試料中のナトリウムイオンを、より精度高く検出することができる。
また、前記位相変化検出装置が、前記測定光から参照光を分光して、この分光した参照光と前記有機溶媒を透過した測定光とを干渉させる分光装置と、前記干渉後の光の強度を検出する光検出装置とを備えることが好ましい。このような構成によれば、前記参照光と前記有機溶媒を透過した測定光とを干渉させた後の光の強度を測定するという、比較的簡便な方法で前記位相変化を測定できる。また、前記参照光を用いることによって、信号対雑音比(S/N比)を向上させることができる。よって、試料中のナトリウムイオンを、容易に精度高く検出できる。
本発明によれば、試料中のナトリウムイオン濃度が低い場合であっても、ナトリウムイオンを精度高く検出可能なナトリウムイオン検出試薬を提供することができる。また、前記ナトリウムイオン検出試薬を用いた、ナトリウムイオン検出方法及びナトリウムイオン検出装置が提供される。
光熱変換測定法を用いたナトリウムイオン検出装置1の構成を示す構成図である。 所定の流路を流通する試料中のナトリウムイオンを検出する水質検査装置2の構成を示す構成図である。 所定の流路を流通する試料中のナトリウムイオンを検出する他の水質検査装置3の構成を示す構成図である。 前記試料収容部40の構成を示す概略断面図である。 前記試料収容部40の変形例を示す概略断面図である。 図5に示す前記試料収容部40を用いたときの、各光の経路の一例を説明するための説明図である。 図5に示す前記試料収容部40を用いたときの、各光の経路の他の一例を説明するための説明図である。 励起光Leの波長が異なる2つの励起光を用いる場合における、前記試料収容部40を示す概略断面図である。 図8に示す前記試料収容部40を用いたときの、各光の経路の一例を説明するための説明図である。 分光光度計での測定結果を示したグラフである。 分光光度計での測定において、金属イオンの種類を検討した結果を示すグラフである。 吸光光度法を用いた場合の出力結果(吸光度)と光熱変換測定法を用いた場合との出力結果を示すグラフである。 光熱変換測定法を用いた場合の出力結果とナトリウムイオン濃度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
まず、本発明の一態様に係るナトリウムイオン検出試薬について説明する。
本発明の一態様に係るナトリウムイオン検出試薬は、分子内に、カリックス[4]アレーンと、プロトン解離平衡により発色しうる発色性有機基とを有する化合物を含有することを特徴とするものである。
前記カリックス[4]アレーンとしては、4個のベンゼン環がそれぞれメチレン基を介して結合された筒状構造であって、ナトリウムイオンを捕捉できるものであれば、特に限定されず、各種官能基が結合されたものであってもよい。具体的には、例えば、tert−ブチルカリックス[4]アレーン、及びオクチルカリックス[4]アレーン等の、カリックス[4]アレーンのアルキル基置換誘導体等が挙げられ、tert−ブチルカリックス[4]アレーンが好ましく用いられる。
前記発色性有機基としては、プロトン解離平衡により発色しうるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ベンゼン環に、発色団と、ナトリウムイオンとイオン結合可能な助色団とが結合したものであることが好ましい。そして、前記発色性有機基としては、カリックス[4]アレーンの水酸基に結合されていることが好ましい。すなわち、tert−ブチルカリックス[4]アレーンの場合には、tert−ブチルのパラ位に結合されていることが好ましい。また、前記発色性有機基は、カリックス[4]アレーンとエステル結合を介して結合されていることが好ましい。また、前記発色性有機基は、カリックス[4]アレーンに複数個結合されていてもよいが、1個結合されているものが以下の点から好ましい。すなわち、前記発色性有機基が1個結合された化合物は、ナトリウムイオンと錯体(複合体)を形成する際、プロトン解離して生成したフェノラートイオン(1価のアニオン)とナトリウムイオン(1価のカチオン)とが電荷相殺して安定化する点から好ましい。また、前記発色性有機基が結合されていない水酸基は、アルキルエステル基が結合されていることが、ナトリウムイオンを高選択性で捕捉できる点から好ましい。
前記発色団としては、プロトン解離平衡により発色しうる発色性有機基を構成できるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、1個又は複数個の、ニトロ基及びアゾ基等が挙げられ、ニトロ基及びアゾ基の少なくともいずれか一方であることが好ましい。
前記助色団としては、ナトリウムイオンとイオン結合可能なものであって、助色団として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、及びアミノ基等が挙げられ、水酸基が好ましい。また、前記助色団は、ベンゼン環に1個結合されていてもよいし、複数個結合されていてもよいが、1個結合されているものが好ましい。
また、前記発色性有機基としては、上述したように、ベンゼン環に、前記発色団と前記助色団とが結合したものを限定なく使用できるが、具体的な例示としては、例えば、ジニトロフェノール構造を有する基、及びアゾフェノール構造を有する基の少なくともいずれか一方であることが好ましく、ジニトロフェノール構造を有する基がより好ましい。このことは、後述する理由による。
そして、さらに、前記化合物のより具体的な例示としては、下記一般式(1)で表されるものが挙げられ、これらの化合物が好ましく用いられる。
Figure 2011043355
[式(1)中、Rは、下記一般式(2)で表される官能基を示し、Rは、下記式(3)で表される官能基を示す。]
Figure 2011043355
[式(2)中、Rは、−NO、又は下記式(4)で表される官能基を示す。]
Figure 2011043355
Figure 2011043355
上記ナトリウムイオン検出試薬は、試料中のナトリウムイオン濃度が低い場合であっても、ナトリウムイオンを精度高く検出可能である。また、具体的には、例えば、光熱変換測定法においてナトリウムイオンを精度高く検出するために用いることができる。
上記のナトリウムイオンの検出は、以下の作用機構によると推察される。
まず、前記ナトリウムイオン検出試薬を構成するカリックス[4]アレーンは、ナトリウムイオンを捕捉させることができると考えられる。そして、捕捉されたナトリウムイオンによって、前記ナトリウムイオン検出試薬を構成する発色性有機基のプロトン解離を誘起させると考えられる。このようにプロトン解離が誘起された場合、前記発色性有機基による発色が起こる。よって、前記ナトリウムイオン検出試薬は、ナトリウムイオンを捕捉すると、そして、捕捉されたナトリウムイオンを介して前記発色性有機基による発色が起こるためと考えられる。
上記考察をより具体的に推察すると、例えば、前記発色性有機基としてジニトロフェノール構造を有する基である場合、前記ナトリウムイオン検出試薬は、プロトン付加型の状態では近紫外領域(350nm付近)に吸収が存在する。一方、プロトン解離型の状態、すなわち、カリックス[4]アレーンに捕捉されたナトリウムイオンとイオン結合(塩形成)した状態では、発生したフェノラートアニオンの電子供与性が増大し、π電子の共鳴により、新しい共役系が発生するため、ナトリウムイオンの存在により長波長側に吸収がシフト(レッドシフト)すると考えられる。そして、このレッドシフトにより、ナトリウムイオンを精度高く、すなわち、高選択性かつ高感度に検出することができると考えられる。
さらに、前記発色性有機基としてジニトロフェノール構造を有する基を備えるナトリウムイオン検出試薬が好ましい。このことは、以下の点から好ましい。助色団である、ジニトロフェノール構造のフェノール性水酸基の酸解離定数が大きい点から好ましい。そして、プロトン解離前後の吸収スペクトル変化が、光熱変換測定法を用いた装置、例えば、レーザ干渉光熱変換装置の励起光の波長(例えば、447nm等)に適している。すなわち、プロトン解離前では吸収がほとんどなく、無色であるのに対して、プロトン解離後では吸収極大波長が420nm付近に存在することによる。さらに、前記発色性有機基としてジニトロフェノール構造を有する基を備えるナトリウムイオン検出試薬は、合成が比較的容易である点からも好ましい。
また、前記ナトリウムイオン検出試薬は、前記化合物を含有していればよく、ナトリウムイオンの検出を阻害しないものであれば、他の化合物を含有していてもよい。なお、前記ナトリウムイオン検出試薬としては、前記化合物からなるものであってもよい。
前記ナトリウムイオン検出試薬に含有される化合物の合成方法としては、上記のような構成のものを合成できれば、特に限定されない。具体的には、例えば、下記実施例記載の合成方法等が挙げられる。
また、前記ナトリウムイオン検出試薬は、有機溶媒とともに、ナトリウムイオンの存在等を検出したい水溶液試料と混合することによって、前記試料にナトリウムイオンが混入されていれば、ナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬が前記有機溶媒に抽出される。また、前記試料にナトリウムイオンが混入されていなければ、ナトリウムイオンが捕捉されていないナトリウムイオン検出試薬が前記有機溶媒に抽出される。この有機溶媒に抽出されたナトリウムイオン検出試薬(ナトリウムイオン検出試薬を含む有機溶媒)を測定、例えば、光熱変換測定法等を施すことによって、ナトリウムイオンを検出することができる。
また、前記有機溶媒としては、前記ナトリウムイオン検出試薬を溶解させることができ、前記試料、例えば、水等と相溶しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル等が挙げられる。この中でも、溶媒の毒性や沸点等を考慮して、ジクロロエタンが好ましく、1,2−ジクロロエタンがより好ましい。
また、ナトリウムイオン検出試薬を含む有機溶媒と混合されるナトリウムイオン水溶液試料のpHは、7〜9であることが好ましく、9であることが特に好ましい。pH範囲が上記範囲内であると、前記レッドシフトが好適に起こり、例えば、光熱変換測定法等を施すことによって、ナトリウムイオンを好適に検出することができる。このpHは、例えば、pH調整剤を添加することによって、調整してもよい。pH調整剤としては、前記ナトリウムイオン水溶液試料に溶解し、pHを調整でき、かつ、前記ナトリウムイオン検出試薬と反応しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、トリスヒドロキシメチルアミノメタン−塩酸緩衝液(トリス緩衝液)等が挙げられる。
次に、本発明の他の一態様に係るナトリウムイオン検出方法及びナトリウムイオン検出装置について説明する。
まず、装置内の試料収容部に、前述したような、ナトリウムイオン検出試薬を含む有機溶媒を測定対象物として収容されている状態で、ナトリウムイオンを検出するナトリウムイオン検出方法及びその方法を用いる装置について説明する。
図1は、光熱変換測定法を用いたナトリウムイオン検出装置1の構成を示す構成図である。前記ナトリウムイオン検出装置1は、励起光照射装置10と、測定装置20と、ダイクロイックミラー17と、試料収容部40とを備える。そして、前記試料収容部40には、後述するように、前述したような、ナトリウムイオン検出試薬を含む有機溶媒を測定対象物として収容される。
前記励起光照射装置10は、前記試料収容部40の所定の位置に収容される測定対象物に励起光を照射するためのものである。また、前記励起光照射装置10は、励起光源12と、分光器14と、変調器16と、集光レンズ18と、ミラー19とを備える。
前記励起光源12としては、前記測定対象物に、前記ナトリウムイオン検出試薬と前記ナトリウムイオンとの複合体が吸収可能な波長の光、例えば、波長が365〜532nmの励起光を照射できるようなものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、白色光を出力するキセノンランプ、紫外光を出力する水銀ランプ、450nm半導体レーザダイオード、405nm半導体レーザダイオード、488nm半導体レーザダイオード、457nm、488nm、514nmArレーザ装置、及び450〜500nm固体レーザ装置等が挙げられる。この中でも、450nm半導体レーザダイオードが好ましく用いられる。また、前記分光器14は、前記励起光源12から出力された光を分光することができれば、特に限定されない。前記変調器16は、分光された光を変調して、好適な励起光Leとすることができるものであれば、特に限定されない。前記集光レンズ18は、変調された励起光Leを、前記試料収容部40内の測定対象物に集光できれば、特に限定されない。また、前記ミラー19は、励起光Leを反射させて、前記試料収容部40内の試料に励起光Leを導ければ、特に限定されない。
前記励起光照射装置10は、上記構成によって、前記励起光源12から出力された光を、前記分光器14で分光し、前記変調器16で分光された光を変調して、好適な励起光Leとした後、前記集光レンズ18で集光して、前記ミラー19に90°反射させることによって、励起光Leを前記試料収容部40内の測定対象物に導く。そうすると、この励起光を前記測定対象物が吸収して発熱する。この発熱による温度変化分だけ前記測定対象物の屈折率は変化する。
前記測定装置20は、前記測定対象物の屈折率を測定するための測定光Lmを前記測定対象物に照射する測定光照射装置と、その測定光Lmの位相変化によって、前記屈折率を測定する位相変化検出装置からなるものである。前記測定装置20は、測定光源22と必要な光学系、光検出器36、及び信号処理装置38を備える。
前記測定光源22としては、前記測定対象物に、例えば、波長が550〜800nmの測定光を照射できるようなものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、出力1mWの周波数安定化He−Neレーザ光発生器、及び700〜800nmの外部共振器付周波数安定化ダイオードレーザ等が挙げられる。なお、波長が550〜800nmの測定光は、溶媒に透明な領域で周波数安定化レーザが存在しうる領域の波長である点からも好ましい。この測定光源22から照射される測定光は、図1に示すように、λ/2波長板23で偏光面の調節を受けた後、偏光ビームスプリッタ24によって、互いに直交する2つの偏光、すなわち、参照光Lrと測定光Lmとに分光される。
前記参照光Lrは、音響光学変調器25Aによって光周波数のシフト(周波数変換)を受けた後、ミラー26Aで90°反射して偏光ビームスプリッタ28に入力され、そこでまた、90°反射されて、偏光ビームスプリッタ30に導かれる。そして、前記参照光Lrは、偏光ビームスプリッタ30を透過して、前記ダイクロイックミラー17に導かれる。
また、前記測定光Lmは、音響光学変調器25Bによって光周波数のシフト(周波数変換)を受けた後、ミラー26Bで90°反射して偏光ビームスプリッタ28に入力され、そして、前記偏光ビームスプリッタ28をそのまま透過して、偏光ビームスプリッタ30に導かれる。そして、前記測定光Lmは、偏光ビームスプリッタ30を透過して、前記ダイクロイックミラー17に導かれる。
前記ダイクロイックミラー17は、前記測定装置20から送られてくる参照光Lr及び測定光Lmは、90°反射させて、前記試料収容部40に導く一方、前記励起光照射装置10から送られてくる励起光Leはそのまま透過させて、前記測定光Lmと同軸で前記試料収容部40に導く。
前記試料収容部40は、詳細は後述するが、前記測定対象物を収容する測定セル41と参照セル42とを備える。前記参照セル42は、前記測定セル41と光学距離を合わせるためのものである。
前記参照光Lr及び前記測定光Lmは、それぞれ前記ダイクロイックミラー17で90°反射して、前記参照光Lrは、前記参照セル42を通過させ、前記測定光Lmは、前記測定セル41を通過させる。そして、前記参照光Lr及び前記測定光Lmは、各セルをそれぞれ通過後、ミラー34で180°反射し、もう一度、前記試料収容部40をそれぞれ通過し、前記ダイクロイックミラー17に導く。そして、前記参照光Lr及び前記測定光Lmは、それぞれ前記ダイクロイックミラー17で90°反射し、前記偏光ビームスプリッタ30まで戻る。そして、前記偏光ビームスプリッタ30まで戻った参照光Lr及び測定光Lmは、それぞれ前記偏光ビームスプリッタ30で90°反射し、それぞれ複数のミラー32で反射して、偏光ビームスプリッタ33で合流し、前記光検出器36へと向かう。
前記偏光ビームスプリッタ33で合流した参照光Lr及び測定光Lmは、光熱効果による屈折率の変化及びこれに伴う測定光Lmの位相の変化によって、互いに干渉し、その干渉光の光強度を前記光検出器36が電気信号(検出信号)に変換する。すなわち、前記測定装置20は、前記測定光源22から発せられる光を前記参照光Lr及び前記測定光Lmとに分光して、前記参照セル42を通過する参照光Lrと前記測定セル41を通過する測定光Lmとを干渉させる分光用光学系を含んでおり、この分光用光学系と前記光検出器36とが位相変化検出装置を構成する。
前記光検出器36の検出信号は、前記信号処理装置38に入力される。この信号処理装置38は、前記検出信号を前記変調器14の変調操作の周期と同期するタイミングで取り込む。すなわち、周期的にサンプリングする。
前記信号処理装置38は、サンプリングした前記検出信号に基づき、前記測定光Lmの位相変化、すなわち、前記測定光Lmが前記測定対象物を通過したことによる位相の変化を演算する。さらに、この信号処理装置38は、前記位相変化の時間的変化に関するデータを作成し、かつ、後述のように、当該データに基づいて屈折率の変化さらには前記測定対象物中におけるナトリウムイオンの有無を判断する。
前記干渉光の強度S1は、下記式(5)で表される。
S1=C1+C2・cos(2π・fb・t+φ) (5)
この式において、C1及びC2は、前記偏光ビームスプリッタ等の光学系や測定対象物に対する光の透過率により定まる定数であり、φは、前記参照光Lrの光路長と前記測定光Lmの光路長との差による位相差であり、fbは、前記参照光Lrと前記測定光Lmとの周波数差である。この式(5)によれば、前記干渉光強度S1の変化(すなわち、前記励起光Leが照射されないとき若しくはその光強度が小さいときとその光強度が大きいときとの差)から前記位相差φの変化が求まることを示している。前記信号処理装置38は、式(5)に基づいて前記位相差φの変化を算出する。
前記励起光Leの強度が前記変調器14の変調操作(例えばチョッパの回転)により周波数fで周期的に変調されていると、測定対象物に対する光の透過率及び測定光Lmの光路長がそれぞれ前記周波数fで変化する。その一方、前記参照光Lrの光路長は一定なので、前記位相差φも周波数fで変化する。従って、この位相差φの変化を前記周波数fの成分(前記励起信号の強度変調周期と同周期成分)について測定(算出)すべく前記検出信号のサンプリングのタイミングを前記変調操作に同期させることが、周波数fの成分を有しないノイズの影響を除去しつつ液体の屈折率変化のみを測定することを可能にする。この測定は、前記位相差φの測定の信号対雑音比(S/N比)を向上させる。
なお、前記励起光源12がレーザダイオードやLEDである場合、その励起光源12の電源を電気回路でコントロールすることにより前記変調を行うことも可能である。
また、前記ナトリウムイオン検出装置1は、前記試料収容部40の前記測定セル41に、測定対象物が収容されていれば、測定することができ、測定対象物を測定毎に入れ替えて測定する場合や、後述するような、前記試料収容部40の前記測定セル41に測定対象物を順次流入させて測定する場合のいずれにも適用可能である。
次に、前記試料収容部40の前記測定セル41に測定対象物を順次流入させて測定する場合について説明する。すなわち、所定の流路を流通する試料中のナトリウムイオンを検出するナトリウムイオン検出方法及びその方法を用いた装置(水質検査装置)について説明する。
図2は、所定の流路を流通する試料中のナトリウムイオンを検出する水質検査装置2の構成を示す構成図である。この水質検査装置2は、前述した、ナトリウムイオン検出装置1を備え、所定の流路を流通する試料(例えば、超純水や工程水等の液体)を部分的に採取して、その試料に含まれるナトリウムイオンを検出するものである。また、前記水質検査装置2は、前記試料が流通している前記流路51から分岐された分岐配管52と、前記分岐配管52の上流から順に、試薬添加部54と、混合部56と、分離部57と、前記ナトリウムイオン検出装置1を備える。
前記分岐配管52は、前記試料が流通している前記流路51から分岐された配管であり、バルブ53を備えている。前記バルブ53を開放することにより、前記分岐配管52内に試料を導入する。
前記試薬添加部54は、バルブ55を介して、前記分岐配管52に接続されている。前記試薬添加部54には、前記ナトリウム検出試薬を前記有機溶媒に溶解させた試薬溶液が貯留されており、前記バルブ55を開放することにより、前記試薬溶液が、前記分岐配管52を流通する試料に添加される。ここでは、前記試薬添加部54が、前記ナトリウム検出試薬と前記有機溶媒との両方を添加するものを記載したが、前記ナトリウム検出試薬を添加する添加部と前記有機溶媒を添加する添加部とを別個備えていてもよい。
前記混合部56は、前記試料と前記ナトリウム検出試薬と前記有機溶媒とを混合する。そして、前記分離部57は、前記混合部56で得られた混合物を、前記試料由来の水と前記試薬溶液由来の有機溶媒とに分離し、前記水を、排水タンク58に流す。なお、得られた有機溶媒には、前記試料にナトリウムイオンが含有されていれば、そのナトリウムイオンを捕捉したナトリウムイオン検出試薬を含んでいる。そして、前記分岐配管52は、前記ナトリウムイオン検出装置1の試料収容部40に接続されており、前記ナトリウムイオン検出装置1の試料収容部40の所定の位置に、得られた有機溶媒を測定対象物として流入させる。
また、前記ナトリウムイオン検出装置1の試料収容部40には、参照試料添加部60が、バルブ59を介して接続されていてもよい。前記参照試料添加部60には、前記励起光Leで励起しない参照試料が貯留されており、前記バルブ59を開放することにより、前記ナトリウムイオン検出装置1の試料収容部40の所定の位置に流入させる。
前記ナトリウムイオン検出装置1は、流入された測定対象物や、必要に応じて参照試料を用いて、上述の方法により、ナトリウムイオンを検出する。そして、検出後、前記ナトリウムイオン検出装置1に接続されている排液タンク61に、測定対象物を順次排出する。
次に、所定の流路を流通する試料中のナトリウムイオンを検出するナトリウムイオン検出方法及びその方法を用いた装置(水質検査装置)の変形例について説明する。
図3は、所定の流路を流通する試料中のナトリウムイオンを検出する他の水質検査装置3の構成を示す構成図である。この水質検査装置3については、前記水質検査装置2と異なる部分について説明する。
前記水質検査装置3は、前記試料添加部54と前記混合部56との間にpH調整剤添加部65を備える。前記pH調整剤添加部65は、バルブ66を介して前記分岐配管52と接続し、前記バルブ66を開放することによって、前記分岐配管52に流れる試料を含む液体にpH調整剤を添加することができる。また、前記バルブ53と前記試料添加部54との間に、逆流防止弁63を設けてもよい。そうすることによって、前記試薬溶液や前記pH調整剤を添加した液体が、前記流路51に逆流することを防止できる。すなわち、ナトリウムイオン検出装置を備えることによって、前記流路51を流通する試料に不純物が混入することを抑制できる。
次に、前記試料収容部40について説明する。
図4は、前記試料収容部40の構成を示す概略断面図である。また、図4(a)は、前記測定セル41のみからなる場合を示し、図4(b)は、前記測定セル41と前記参照セル42とからなる場合を示す。なお、図4は、図1とは位置関係が異なる。また、前記測定光Lmと前記励起光Leとは、実際には同軸である。
前記試料収容部40には、図4(a)に示すように、前記分岐配管52から測定対象物を流入できる測定用流路44を備える。また、前記参照セル42を備える場合には、図4(b)に示すように、前記測定用流路44だけではなく、前記参照光Lrを透過させるための参照用流路45を備える。前記参照用流路45には、例えば、前記参照試料添加部60から参照試料を流入できるようにしておいてもよい。そして、前記試料収容部40は、前記測定光Lm、前記励起光Le、及び前記参照光Lrの透過を許容し、前記測定対象物や前記参照試料によって損傷を受けない材質のものからなる。具体的には、例えば、石英やポリジメチルシロキサン(PDMS)等が挙げられる。また、前記試料収容部40の、前記測定光Lm、前記励起光Le、及び前記参照光Lrが透過する面43は、光学研磨が施されていることが好ましい。
また、前記試料収容部40の大きさとしては、特に限定されないが、例えば、以下のような大きさである。図4(a)に示す場合、前記測定用流路44の流通方向に直角な方向の大きさは、例えば、長さD1が5mmの正方形状である。図4(b)に示す場合、前記測定用流路44の流通方向に直角な方向の大きさは、例えば、長さD3が20mmの正方形状である。また、前記測定用流路44の流通方向に平行な方向の長さD2は、例えば、15mmである。そして、前記測定用流路44及び前記参照用流路45の大きさとしては、特に限定されないが、例えば、以下のような大きさである。具体的には、例えば、流路断面が、1mm×1mmであり、流通方向に平行な方向の長さ(流路長さ)が、10mmである。
図5は、前記試料収容部40の変形例を示す概略断面図である。図6は、図5に示す前記試料収容部40を用いたときの、各光の経路の一例を説明するための説明図である。なお、図6は、図1とは位置関係が異なり、各光の経路が図6に示すようになるようにすること以外は、図1に示すナトリウムイオン検出装置1と同様である。
前記試料収容部40は、図5に示すように、前記測定セル41及び前記参照セル42だけでなく、対照セル46を備える。前記対照セル46は、前記励起光Leで励起されない参照試料を流入するための対照用流路47を備えられる。なお、図5では、図4とは異なり、各流路に流入口や流出口を省略している。
前記測定セル41には、図6に示すように、前記測定光Lmを分光器71で分光した第1測定光Lm1と、前記励起光Leを分光器72で分光した第1励起光Le1とを透過させる(Ch1)。また、前記対照セル46には、図6に示すように、前記測定光Lmを分光器71で分光した第2測定光Lm2と、前記励起光Leを分光器72で分光した第2励起光Le2とを透過させる(Ch2)。また、前記参照セル42には、前記参照光Lrを透過させる(Ref)。そして、ここでのダイクロイックミラー17は、前記測定光Lm、例えば、波長が633nmの光を反射させ、前記励起光Le、例えば、波長が450nmの光を透過させるものである。よって、各セルを透過した光は、前記ダイクロイックミラー17を反射し、再び、各セルを透過して、前記偏光ビームスプリッタ30で90°反射して、前記偏光ビームスプリッタ33へ導かれる。そして、前記偏光ビームスプリッタ33に導かれた各光は、図6に示すように、まず、前記偏光ビームスプリッタ33に導かれた第1測定光Lm1と前記参照光Lrとが合成されて、その合成された光が、前記光検出器36の第1光検出器74へ導かれる。一方、前記偏光ビームスプリッタ33に導かれた第2測定光Lm2と前記参照光Lrとが合成されて、その合成された光が、前記光検出器36の第2光検出器75へ導かれる。すなわち、前記第1光検出器74では、Ch1とRefとの干渉によって得られる光熱効果の測定信号を得ることができ、前記第2光検出器75では、Ch2とRefとの干渉によって得られる光熱効果の測定信号を得ることができる。この得られた各測定信号を比較する(差をとる)ことによって、Naの検出を行うことができる。
また、図7は、図5に示す前記試料収容部40を用いたときの、各光の経路の他の一例を説明するための説明図である。なお、図7は、前記偏光ビームスプリッタ33及び前記光検出器36の周辺のみを記載し、そのほかの部分は、図6と同様である。
図7に示す場合、前記第1光検出器74では、前記偏光ビームスプリッタ33に導かれた第1測定光Lm1と第2測定光Lm2とが合成されて、その合成された光が、前記光検出器36の第1光検出器74へ導かれる。すなわち、Ch1とCh2との干渉によって得られる光熱効果の測定信号を直接、得ることができ、そのままNaの検出を行うことができる。その代わり、信頼性を高めるために、ナトリウムイオンを含有しうる試料を流通させる前に、図7(a)に示す状態にして、Ch2とRefとの干渉によって得られる光熱効果の測定信号を得て、その後、図7(b)に示す状態にして、Ch1とRefとの干渉によって得られる光熱効果の測定信号を得て、それらの測定信号が同等の大きさとなるように調整する。
次に、前記励起光Leの波長が異なる2つの励起光を用いる場合について説明する。通常、単一の波長の励起光のみを用いるが、波長の異なる2以上の励起光を用いてもよい。具体的には、例えば、前記ナトリウム検出試薬に異常がある場合が考えられる。このような場合、波長が異なる2以上の励起光を用いることによって、上記異常を発見できる。また、特にメインピークである400〜450nm付近の波長の励起光を用いて測定すれば、ピーク近辺の急峻な吸光度変化を利用でき、高感度化も期待できる。
図8は、励起光Leの波長が異なる2つの励起光を用いる場合における、前記試料収容部40を示す概略断面図である。図9は、図8に示す前記試料収容部40を用いたときの、各光の経路の一例を説明するための説明図である。なお、図9は、図1とは位置関係が異なり、各光の経路が図9に示すようになるようにすること以外は、図1に示すナトリウムイオン検出装置1と同様である。
前記試料収容部40は、図5と同様、前記測定セル41及び前記参照セル42だけでなく、対照セル46を備える。ここでの前記対照セル46には、前記測定セル41と同様の測定対象物を流入するための対照用流路47を備えられる。なお、図8では、図4とは異なり、各流路に流入口や流出口を省略している。
前記測定セル41には、図9に示すように、前記測定光Lmを分光器71で分光した第1測定光Lm1と、第1励起光Le1、例えば、波長450nmの励起光とを透過させる(Ch1)。また、前記対照セル46には、図9に示すように、前記測定光Lmを分光器71で分光した第3測定光Lm3と、第3励起光Le3、例えば、波長365nmや405nmの励起光とを透過させる(Ch3)。また、前記参照セル42には、前記参照光Lrを透過させる(Ref)。そして、ここでのダイクロイックミラー17は、前記測定光Lm、例えば、波長が633nmの光を反射させ、前記励起光Le、例えば、波長が450nmの光を透過させるものである。よって、各セルを透過した光は、前記ダイクロイックミラー17を反射し、再び、各セルを透過して、前記偏光ビームスプリッタ30で90°反射して、前記偏光ビームスプリッタ33へ導かれる。そして、前記偏光ビームスプリッタ33に導かれた各光は、図9に示すように、まず、前記偏光ビームスプリッタ33に導かれた第1測定光Lm1と前記参照光Lrとが合成されて、その合成された光が、前記光検出器36の第1光検出器74へ導かれる。一方、前記偏光ビームスプリッタ33に導かれた第3測定光Lm3と前記参照光Lrとが合成されて、その合成された光が、前記光検出器36の第2光検出器75へ導かれる。すなわち、前記第1光検出器74では、Ch1とRefとの干渉によって得られる光熱効果の測定信号を得ることができ、前記第2光検出器75では、Ch3とRefとの干渉によって得られる光熱効果の測定信号を得ることができる。この得られた各測定信号を比較する(差をとる)ことによって、Naの検出を行うことができる。
このような構成によれば、第3励起光Le3で多少励起されたもの等を信号から除去できる。そして、コンタミネーションの発生や、pHの変動も同時にチェックすることができる。
また、このような構成であっても、図7に示すように、前記第1光検出器74でCh1とCh3との干渉によって得られる光熱効果の測定信号を得るようにしてもよい。
[ナトリウムイオン検出試薬の合成]
以下の合成方法に従って、ナトリウムイオン検出試薬(ナトリウムイオン検出試薬の主成分)である、5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25−[(2’,4’−ジニトロフェノール−6’−イル)メトキシカルボニルメトキシ]−26,27,28−トリス(エトキシカルボニルメトキシ)カリックス[4]アレーンを合成した。ここでは、ナトリウムイオン検出試薬は、このナトリウムイオン検出試薬の主成分からなるものである。
(5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25−カルボキシメトキシ−26,27,28−トリス(エトキシカルボニルメトキシ)カリックス[4]アレーンの合成)
まず、5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25−カルボキシメトキシ−26,27,28−トリス(エトキシカルボニルメトキシ)カリックス[4]アレーンを、「Volker Bohmer et al, J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2, 1992, 1595-1601」に従って合成した(下記式(6))。
Figure 2011043355
[式(6)中、Rは、上記式(3)で表される官能基を示し、Rは、−OCHCOOH基を示す。]
(2−クロロメチル−4,6−ジニトロフェノールの合成)
2−クロロメチル−4,6−ジニトロフェノールは、下記式(7)に従って合成した。より具体的には、まず、アルカリトラップを備えた3つ口フラスコ(300mL)に、窒素雰囲気下、2,4−ジニトロフェノール(15.5g,84.3mmol)、クロロメチルメチルエーテル(120mL)、及び塩化アルミニウム(35.2g,264mmol)を乳鉢で砕いたものを入れ、70時間還流撹拌した。前記攪拌により得られた反応溶液を放冷した後、イオン交換水(200mL)を撹拌しながら、そのイオン交換水に前記反応溶液をゆっくりと滴下した。その後、水相をクロロホルム(100mL)で3回抽出した。クロロホルム相を硫酸マグネシウムで30分間乾燥した後、クロロホルムを減圧留去した。シクロヘキサンにより再結晶し、目的物を黄色針状結晶として単離した。
Figure 2011043355
(5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25−[(2’,4’−ジニトロフェノール−6’−イル)メトキシカルボニルメトキシ]−26,27,28−トリス(エトキシカルボニルメトキシ)カリックス[4]アレーンの合成)
最後に、上記のようにして得られた、5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25−カルボキシメトキシ−26,27,28−トリス(エトキシカルボニルメトキシ)カリックス[4]アレーン、及び2−クロロメチル−4,6−ジニトロフェノールを用いて、下記式(8)に従って合成した。
より具体的には、まず、3つ口フラスコ(100mL)に5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25−カルボキシメトキシ−26,27,28−トリス(エトキシカルボニルメトキシ)カリックス[4]アレーン(5.80g,6.00mmol)、炭酸カリウム(0.77g,6.00mmol)、ヨウ化カリウム(0.83g,6.00mmol)、DMF(20mL)を入れ、90℃で10分間撹拌した。その攪拌している液体に、2−クロロメチル−4,6−ジニトロフェノール(1.10g,5.00mmol)を10mLのDMFに溶かしたものを10分間かけて滴下した。その後、90℃で4時間加熱攪拌した。前記加熱攪拌による反応により得られた反応溶液を放冷した後、イオン交換水(100mL)を攪拌しながら、そのイオン交換水に前記反応溶液を注ぎ、析出した固体(黄色固体)を吸引濾過により回収した。得られた黄色固体をクロロホルムに溶解させ、1N塩酸(100mL)で2回、イオン交換水(100mL)で2回洗浄し、クロロホルム相を回収し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製を行ない、目的物を単離した。
Figure 2011043355
[式(8)中、Rは、上記一般式(2)で表される官能基を示し、Rは、上記式(3)で表される官能基を示し、Rは、−OCHCOOH基を示す。]
そして、得られた化合物の分析結果を示す。
H−核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)(400MHz,CDCl,TMS)δ(ppm);0.99(18H,s,C(C )、1.15(9H,s,C(C )、1.16(9H,s,C(C )、1.21〜1.28(9H,m,CH )、3.19(4H,dd,J=12.8Hz,4.12Hz,Ar−C −Ar)、4.16〜4.22(6H,m,C CH)、4.62〜4.89(10H,m,Ar−C −Ar,O−C −COO)、5.13(2H,s,O−C −COO)、5.37(2H,s,O−C −Ar)、6.89(4H,s,Ar−)、8.62(1H,d,J=2.76Hz,Ar−)、9.03(1H,d,J=2.76Hz,Ar−)、11.4(1H,br.s,O)。
この分析結果から、得られた化合物が、目的とするナトリウムイオン検出試薬(5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25−(6‘−メトキシカルボニルメトキシ−2’,4‘−ジニトロフェノール)−26,27,28−トリス(カルボキシメトキシ)カリックス[4]アレーン)であることが確認できた。
得られたナトリウムイオン検出試薬を以下のようにして、評価した。
(評価1)
まず、得られたナトリウムイオン検出試薬でナトリウムイオンを検出させたときの光吸収スペクトルの変化について評価した。
水層成分として、5×10−5mol/Lの塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を用意した。その際、溶媒として、1×10−2mol/L、pH8のトリス塩酸緩衝液を用いた。
有機層成分として、5×10−5mol/Lの前記ナトリウムイオン検出試薬溶液を用意した。その際、溶媒として、1,2−ジクロロエタンを用いた。
そして、前記水層成分と前記有機層成分とを、それぞれ5mLずつ、25℃、177rpm、10分間攪拌混合した。そして、得られた混合物を、25℃、15000rpm、10分間遠心分離した。そうすることによって、有機層と水層とに分離され、水層に存在したナトリウムイオンが有機層に抽出された。
ナトリウムイオンが抽出された有機層を、分光光度計[日本分光株式会社製の可視−紫外分光光度計(JASCO V−550)]で測定した結果を、図10に示す。なお、図10は、分光光度計での測定結果を示したグラフである。その際、縦軸には、吸光度を示し、横軸には、波長を示し、測定結果を曲線101で示す。
そして、上記測定方法において、NaClを含有させなかったこと以外、同様の方法で測定した結果も併せて、図10に示す。その結果は、曲線102で示す。
図10からわかるように、得られたナトリウムイオン検出試薬は、ナトリウムイオンを検出すると、波長が450nm程度の光を吸収するのに対して、ナトリウムイオンが存在しないと、波長が450nm程度の光をほとんど吸収しない。すなわち、得られたナトリウムイオン検出試薬は、ナトリウムイオンが存在すると、大きくレッドシフトすることが確認できる。よって、このナトリウムイオン検出試薬を用いることによって、分光光度計を用いた吸光光度法でナトリウムイオンを検出でき、さらに、吸光光度法だけではなく、上記光熱変換測定法によっても、ナトリウムイオンを検出できることがわかる。
(評価2)
次に、ナトリウムイオン以外の金属イオンを用いた場合について検討した。ナトリウムイオンを構成する塩である塩化ナトリウムの代わりに、他の金属イオン(リチウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン)を構成する塩を用いたこと以外、上記評価1の方法と同様に行った。そして、波長447nmのときの吸光度を図11に示すグラフにまとめた。なお、図11は、分光光度計での測定において、金属イオンの種類を検討した結果を示すグラフである。
図11からわかるように、得られたナトリウムイオン検出試薬は、ナトリウムイオン以外の金属イオンでは、波長447nmの光をほとんど吸収せず、レッドシフトしなかった。このことから、得られたナトリウムイオン検出試薬は、ナトリウムイオンに対して非常に高い選択性を有することがわかった。
(評価3)
次に、得られたナトリウムイオン検出試薬を用いたナトリウムイオンの検出を、吸光光度法を用いた場合と光熱変換測定法とを用いた場合とを比較検討した。
具体的には、ナトリウムイオン濃度を振ったときの、吸光光度法を用いた場合の出力結果(吸光度)と光熱変換測定法を用いた場合の出力結果との相関関係を調べた。
水層成分として、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液で、ナトリウムイオン濃度として0〜0.92ppmの範囲で濃度を振った溶液(具体的には、例えば、0,0.046,0.14,0.23,0.46,0.92ppm)を用意した。その際、溶媒として、1×10−2mol/L、pH9のトリス塩酸緩衝液を用いた。
有機層成分として、5×10−5mol/Lの前記ナトリウムイオン検出試薬溶液を用意した。その際、溶媒として、1,2−ジクロロエタンを用いた。
そして、前記水層成分と前記有機層成分とを、それぞれ5mLずつ、25℃、177rpm、10分間攪拌混合した。そして、得られた混合物を、25℃、15000rpm、10分間遠心分離した。そうすることによって、有機層と水層とに分離され、水層に存在したナトリウムイオンが有機層に抽出された。すなわち、水層に存在したナトリウムイオン濃度に対応する、各ナトリウムイオンが抽出された有機層を、それぞれ吸光光度法及び光熱変換測定法を用いて測定した。その際、光熱変換測定法の測定条件としては、励起光源の出力を5mWとし、測定セルの光路長を10mmとした。その測定結果を、図12に示す。なお、図12は、吸光光度法を用いた場合の出力結果(吸光度)と光熱変換測定法を用いた場合との出力結果を示すグラフである。その際、縦軸には、光熱変換測定法を用いて測定した場合の出力結果(mV)を示し、横軸には、吸光光度法を用いて測定した場合の出力結果、すなわち、波長447nmでの吸光度を示す。
図12からわかるように、吸光光度法を用いた場合と光熱変換測定法を用いた場合とで高い相関関係がある。具体的には、相関係数Rが0.9985である。このことから、前記ナトリウムイオン検出試薬を用いることで、光熱変換測定法によって、ナトリウムイオンの濃度を測定できることがわかる。また、吸光光度法を用いても、10ppb程度のナトリウムイオンを検出可能であり、前記ナトリウムイオン検出試薬を用いることで、吸光光度法でも充分に水質管理ができることがわかった。
(評価4)
最後に、得られたナトリウムイオン検出試薬を用い、低濃度のナトリウムイオンの検出を、光熱変換測定法とを用いて行った場合について検討した。
水層成分として、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液で、ナトリウムイオン濃度として0〜23ppbの範囲で濃度を振った溶液を用意した。その際、溶媒として、1×10−2mol/L、pH9のトリス塩酸緩衝液を用いた。
有機層成分として、5×10−5mol/Lの前記ナトリウムイオン検出試薬溶液を用意した。その際、溶媒として、1,2−ジクロロエタンを用いた。
そして、前記水層成分と前記有機層成分とを、それぞれ5mLずつ、25℃、177rpm、10分間攪拌混合した。そして、得られた混合物を、25℃、15000rpm、10分間遠心分離した。そうすることによって、有機層と水層とに分離され、水層に存在したナトリウムイオンが有機層に抽出された。すなわち、水層に存在したナトリウムイオン濃度に対応する、各ナトリウムイオンが抽出された有機層を、それぞれ光熱変換測定法を用いて測定した。その際、光熱変換測定法の測定条件としては、励起光源の出力を5mWとし、測定セルの光路長を10mmとした。その測定結果を、図13に示す。なお、図13は、光熱変換測定法を用いた場合の出力結果とナトリウムイオン濃度との関係を示すグラフである。その際、縦軸には、出力結果(mV)を示し、横軸には、ナトリウムイオン濃度(ppb)を示す。
図13から、ブランクの信号強度とNaを加えたときの信号強度との差を信号の揺らぎ(1σ)をノイズとして定義し、その比率をS/Nとして、S/Nが40を超えると検出可能であった。すなわち、25pptのナトリウムイオンを検出することが可能である。
また、光熱変換測定法の信号強度は、励起光強度に比例することから、より低濃度を検出する際には励起光の強度を上げればよいことが知られている。実験に用いた励起光源(LD)の最大出力は、40mW程度であったので、計測時の4倍まで励起光強度を増強できるため、理論的には6ppt程度の感度を有することになる。
1 ナトリウムイオン検出装置
2,3 水質検査装置
10 励起光照射装置
12 励起光源
14,71,72 分光器
16 変調器
17 ダイクロイックミラー
18 集光レンズ
19,32,34 ミラー
20 測定装置
22 測定光源
23 λ/2波長板
24 偏光ビームスプリッタ
25A,25B 音響光学変調器
26A,26B ミラー
28,30,33 偏光ビームスプリッタ
36 光検出器
38 信号処理装置
40 試料収容部
41 測定セル
42 参照セル
44 測定用流路
45 参照用流路
46 対照セル
47 対照用流路
52 分岐配管
53,55,59,66 バルブ
54 試薬添加部
56 混合部
57 分離部
58 排水タンク
60 参照試料添加部
61 排液タンク
63 逆流防止弁
65 調整剤添加部
74 第1光検出器
75 第2光検出器

Claims (19)

  1. 分子内に、カリックス[4]アレーンと、プロトン解離平衡により発色しうる発色性有機基とを有する化合物を含有することを特徴とするナトリウムイオン検出試薬。
  2. 前記カリックス[4]アレーンが、tert−ブチルカリックス[4]アレーンであり、
    前記発色性有機基が、前記tert−ブチルカリックス[4]アレーンの水酸基に結合されている請求項1に記載のナトリウムイオン検出試薬。
  3. 前記発色性有機基が、ベンゼン環に、発色団と、ナトリウムイオンとイオン結合可能な助色団とが結合したものである請求項1又は請求項2に記載のナトリウムイオン検出試薬。
  4. 前記発色団が、ニトロ基及びアゾ基の少なくともいずれか一方である請求項3に記載のナトリウムイオン検出試薬。
  5. 前記助色団が、水酸基である請求項3又は請求項4に記載のナトリウムイオン検出試薬。
  6. 前記発色性有機基が、ジニトロフェノール構造を有する基、及びアゾフェノール構造を有する基の少なくともいずれか一方である請求項1〜5のいずれか1項に記載のナトリウムイオン検出試薬。
  7. 前記化合物が、下記一般式(1)で表される請求項1〜6のいずれか1項に記載のナトリウムイオン検出試薬。
    Figure 2011043355

    [式(1)中、Rは、下記一般式(2)で表される官能基を示し、Rは、下記式(3)で表される官能基を示す。]
    Figure 2011043355

    [式(2)中、Rは、−NO基、又は下記式(4)で表される官能基を示す。]
    Figure 2011043355

    Figure 2011043355
  8. 試料中のナトリウムイオンを検出するナトリウムイオン検出方法であって、
    前記試料と、及び有機溶媒とを混合する工程と、
    前記混合により得られた混合物から、前記ナトリウムイオン検出試薬を含有する前記有機溶媒を分離する工程と、
    前記分離された有機溶媒に対して、励起光を照射する工程と、
    前記励起光が照射されている有機溶媒に、前記励起光とは別の測定光を照射する工程と、
    前記有機溶媒を透過した測定光の位相変化を測定する工程とを備え、
    前記ナトリウムイオン検出試薬として、請求項1〜7のいずれか1項に記載のナトリウムイオン検出試薬を前記試料に混合し、
    前記励起光として、前記混合により得られた、前記ナトリウムイオン検出試薬と前記ナトリウムイオンとの複合体が吸収可能な波長の光を照射することを特徴とするナトリウムイオン検出方法。
  9. 所定の流路を流れる試料中のナトリウムイオンを検出するナトリウムイオン検出方法であって、
    前記流路を流れる試料の一部をこのラインから分岐させて予め設けられたサンプリング部に導入する工程と、
    前記サンプリング部に導入された試料と、ナトリウムイオン検出試薬及び有機溶媒とを混合する工程と、
    前記混合により得られた混合物から、前記ナトリウムイオン検出試薬を含有する前記有機溶媒を分離する工程と、
    前記分離された有機溶媒に対して、励起光を照射する工程と、
    前記励起光が照射されている有機溶媒に、前記励起光とは別の測定光を照射する工程と、
    前記有機溶媒を透過した測定光の位相変化を測定する工程とを備え、
    前記ナトリウムイオン検出試薬として、請求項1〜7のいずれか1項に記載のナトリウムイオン検出試薬を前記試料に混合し、
    前記励起光として、前記混合により得られた、前記ナトリウムイオン検出試薬と前記ナトリウムイオンとの複合体が吸収可能な波長の光を照射することを特徴とするナトリウムイオン検出方法。
  10. 前記励起光の波長が、365〜532nmである請求項8又は請求項9に記載のナトリウムイオン検出方法。
  11. 前記励起光が、ヘリウム−ネオンレーザ光又は半導体レーザ光である請求項8〜10のいずれか1項に記載のナトリウムイオン検出方法。
  12. 前記測定光の波長が、550〜800nmである請求項8〜11のいずれか1項に記載のナトリウムイオン検出方法。
  13. 前記位相変化を測定する工程が、前記測定光から参照光を分光して、この分光した参照光と前記有機溶媒を透過した測定光とを干渉させる工程と、前記干渉後の光の強度を検出する工程とを備える請求項8〜12のいずれか1項に記載のナトリウムイオン検出方法。
  14. 試料中のナトリウムイオンを検出するナトリウムイオン検出装置であって、
    ナトリウムイオン検出試薬を前記試料に添加する試薬添加部と、
    有機溶媒を前記試料に添加する有機溶媒添加部と、
    前記試料、前記ナトリウムイオン検出試薬、及び前記有機溶媒を混合する混合部と、
    前記混合により得られた混合物から、前記ナトリウムイオン検出試薬を含有する前記有機溶媒を分離する分離部と、
    前記分離された有機溶媒に対して、励起光を照射する励起光照射装置と、
    前記励起光が照射されている有機溶媒に、前記励起光とは別の測定光を照射する測定光照射装置と、
    前記有機溶媒を透過した測定光の位相変化を測定する位相変化検出装置とを備え、
    前記励起光照射装置が、前記励起光として、前記混合により得られた、前記ナトリウムイオン検出試薬と前記ナトリウムイオンとの複合体が吸収可能な波長の光を照射可能なレーザ光照射装置であり、
    前記試薬添加部は、ナトリウムイオン検出試薬として、請求項1〜7のいずれか1項に記載のナトリウムイオン検出試薬を添加することを特徴とするナトリウムイオン検出装置。
  15. 所定の流路を流れる試料中のナトリウムイオンを検出するナトリウムイオン検出装置であって、
    前記流路から分岐し、前記流路を流れる試料の一部が導入されるサンプリング部と、
    ナトリウムイオン検出試薬を、前記サンプリング部に導入された試料に添加する試薬添加部と、
    前記サンプリング部に導入された試料に有機溶媒を添加する有機溶媒添加部と、
    前記試料、前記ナトリウムイオン検出試薬、及び前記有機溶媒を混合する混合部と、
    前記混合により得られた混合物から、前記ナトリウムイオン検出試薬を含有する前記有機溶媒を分離する分離部と、
    前記分離された有機溶媒に対して、励起光を照射する励起光照射装置と、
    前記励起光が照射されている有機溶媒に、前記励起光とは別の測定光を照射する測定光照射装置と、
    前記有機溶媒を透過した測定光の位相変化を測定する位相変化検出装置とを備え、
    前記励起光照射装置が、前記励起光として、前記混合により得られた、前記ナトリウムイオン検出試薬と前記ナトリウムイオンとの複合体が吸収可能な波長の光を照射可能なレーザ光照射装置であり、
    前記試薬添加部は、ナトリウムイオン検出試薬として、請求項1〜7のいずれか1項に記載のナトリウムイオン検出試薬を添加することを特徴とするナトリウムイオン検出装置。
  16. 前記レーザ光照射装置が、365〜532nmの波長の光を照射可能なものである請求項14又は請求項15に記載のナトリウムイオン検出装置。
  17. 前記レーザ光照射装置が、ヘリウム−ネオンレーザ光又は半導体レーザ光を照射可能なものである請求項14〜16のいずれか1項に記載のナトリウムイオン検出装置。
  18. 前記測定光照射装置が、550〜800nmの波長の光を照射可能なものである請求項14〜17のいずれか1項に記載のナトリウムイオン検出装置。
  19. 前記位相変化検出装置が、前記測定光から参照光を分光して、この分光した参照光と前記有機溶媒を透過した測定光とを干渉させる分光装置と、
    前記干渉後の光の強度を検出する光検出装置とを備える請求項14〜18のいずれか1項に記載のナトリウムイオン検出装置。
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