JP2004207348A - レーザ発振装置およびレーザ加工機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガスレーザにおける送風機の風量特性を改善し、レーザ出力の増大を図る。
【解決手段】レーザ媒体を励起する放電手段と、翼車の回転によりレーザガスを送風する送風手段と、放電手段と送風手段との間のレーザガスの循環経路を形成するレーザガス経路とを備え、翼車の回転軸と前記レーザガス流路の中心軸とは同一軸上にないように配置したり、送風手段は、遠心送風機や軸流送風機で構成したり、レーザガス流路は送風手段の吸入口に翼車の回転面に複数個平行に設けたり、レーザガス流路は送風手段の吸入口に翼車の回転面に複数個傾斜させて設けたり、送風手段の吸入口にハニカムなどの整流手段を配置することにより、送風手段の流量を増大し、レーザ出力の増大が図れる。
【選択図】 図1
【解決手段】レーザ媒体を励起する放電手段と、翼車の回転によりレーザガスを送風する送風手段と、放電手段と送風手段との間のレーザガスの循環経路を形成するレーザガス経路とを備え、翼車の回転軸と前記レーザガス流路の中心軸とは同一軸上にないように配置したり、送風手段は、遠心送風機や軸流送風機で構成したり、レーザガス流路は送風手段の吸入口に翼車の回転面に複数個平行に設けたり、レーザガス流路は送風手段の吸入口に翼車の回転面に複数個傾斜させて設けたり、送風手段の吸入口にハニカムなどの整流手段を配置することにより、送風手段の流量を増大し、レーザ出力の増大が図れる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は送風手段を用いたレーザ発振装置およびレーザ加工機に関する物であり、特に長期に渡って安定して使用できる信頼性の高い装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9に、従来のガスレーザ装置の概略構成図を示す。
【0003】
図9において、ガスレーザ装置51には放電励起用のガスレーザ媒質を封入する気密容器52が設けられている。
【0004】
この気密容器52内には陰極と陽極とからなる一対の主放電電極53が配設され、気密容器52内には送風手段としての貫流ファン54と、この貫流ファン54から送風されるガス流を主放電電極53の間へ導く流路を気密容器52内に形成するための複数の流路ガイド部材55とが配設されている。そして、ガスレーザ装置51の動作時には貫流ファン54によって気密容器52内の封入ガスを循環させ、流路ガイド部材55に沿って主放電電極53間に流れるガス流を形成させ、また、貫流ファン54にはファン本体56と、このファン本体56を収容するファンケーシング57と、ファン本体56を回転軸58を中心に回転駆動する。
【0005】
また、L1は主放電電極53の下流側の流路の距離、L2は主放電電極53の上流側の流路の距離で、57aは貫流ファン14のファンケーシング57の吹出口、57bは主放電電極53の下流側のガス流が吸込み口である。
【0006】
また、バッファタンク本体63の他側部上面にはガス流路66のガス流入口64と、このガス流入口64よりも開口面積が大きいガス流出口65が形成されている。
【0007】
そして、ガスレーザ装置51の動作中は貫流ファン54が駆動され、主放電電極53の下流側のガス流が吸込み口57bから貫流ファン54のファンケーシング57の内部に吸込まれ、吹出口57aから吹出される(例えば特許文献1参照)。
【0008】
また、図10に別の従来のレーザ発振装置の概略構成の一例を示す。以下、図10を参照しながら従来のレーザ発振装置を説明する。
【0009】
この図に於いて、1はガラスなどの誘電体よりなる放電管であり、2,3は放電管周辺に設けられた電極である。4は電極に接続された電源である。5は前記電極2,3間に挟まれた放電管1内の放電空間である。6は全反射鏡、7は部分反射鏡であり、この全反射鏡6、部分反射鏡7は放電空間5の両端に固定配置され、光共振器を形成している。8は部分反射鏡7より出力されるレーザビームである。矢印9はレーザガスの流れる方向を示しており、軸流型ガスレーザ発振装置の中を循環している。
【0010】
10はレーザガス流路であり、11および12は放電空間5における放電と送風手段の運転により温度上昇したレーザガスの温度を下げるための熱交換機、13はレーザガスを循環させるための送風手段であり、この送風手段13により放電空間5にて約100m/sec程度のガス流を得ている。また送風手段13はインバータ13aによって、羽根車の回転駆動周波数を制御されている。レーザガス流路10と放電管1は、レーザガス導入部14で接続されている。
【0011】
以上が従来のレーザ発振装置の構成であり、次にその動作について説明する。
【0012】
送風手段13より送り出されたレーザガスは、レーザガス流路10を通り、レーザガス導入部14より放電管1内へ導入される。この状態で電源4に接続された電極2、3から放電空間5に放電を発生させる。放電空間5内のレーザガスは、この放電エネルギーを得て励起され、その励起されたレーザガスは全反射鏡6および部分反射鏡7により形成された光共振器で共振状態となり、部分反射鏡7からレーザビーム8が出力される。このレーザビーム8がレーザ加工等の用途に用いられる。
【0013】
図11は従来のレーザ加工機の概略構成の一例を示す。
【0014】
この図に於いて、レーザビーム8は、反射鏡15にて反射され、ワーク16近傍へ導かれる。レーザビーム8は、トーチ17内部に備えられた集光レンズ18によって高密度のエネルギビームに集光され、ワーク16に照射され、加工が行われる。ワーク16は加工テーブル19上に固定されており、X軸モータ20あるいはY軸モータ21によって、トーチ17はワーク16に対して相対的に移動する事で、所定の形状の加工が行われる。
【0015】
レーザ出力は、放電空間5を流れるレーザガスの質量流量が大きいほど、増大する。よって、いかに大きな質量流量のレーザガスを流せるかが、レーザ出力増大に関するポイントであり、そのためには送風手段13の性能向上、およびレーザガス流路10での圧損低減などが、技術課題として挙げられる。
【0016】
また、図12,13に一般的なガスレーザ発振装置用の送風手段としての遠心送風機の構造を示す。
【0017】
重力方向に対して、遠心送風機は、下側にモータ22が配置され、モータ22の回転軸は重力方向に対して鉛直方向に配置されている。回転軸の先端に、翼車23およびディヒューザ24が備えられている。レーザガスは、吸入口25から重力方向の上方向より吸入され、翼車23の回転による遠心力によって運動エネルギを与えられ、その後、ディヒューザ24によって、運動エネルギは圧力へと変換され、吸入口25よりも約1.5倍程度の圧力となったガスは、吐出口26より吐き出される。
【0018】
以上の従来のレーザ装置は、いずれも送風機の翼車の回転軸とレーザガス流路の中心軸とは同一軸上にある。
【0019】
【特許文献1】
特開平10−242547号公報(第3−4頁、第1図)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
この様な従来のレーザ発振装置、およびレーザ加工機は、下記課題を有している。
【0021】
送風手段の役割は、循環しているレーザガスの質量流量を少しでも増加させ、レーザ出力を増大させる事にある。しかし構造上、送風手段の吸入口〜吐出口に至るまでの各所で、どうしてもある程度の圧力損失が発生する。遠心送風機自体の構造は、翼車とディヒューザとで構成された極めてシンプルなものであり、風量特性の改善にも限界があり、レーザ出力増大に関しても、一定の壁を越えられずにいた。送風手段として、遠心送風機と並んで代表的なものに軸流送風機が挙げられるが、これを用いた場合も遠心送風機と同様の課題を抱えていた。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明のレーザ発振装置は、レーザ媒体を励起する放電手段と、翼車の回転によりレーザガスを送風する送風手段と、前記放電手段と前記送風手段との間のレーザガスの循環経路を形成するレーザガス経路とを備え、前記翼車の回転軸と前記レーザガス流路の中心軸とは同軸上にないため、送風手段の流量が増大し、レーザ出力の増大を実現できる。
【0023】
また、送風手段は整流手段としてハニカムとしたため、さらに送風手段の流量が増大し、レーザ出力の増大を実現できる。
【0024】
さらに、本発明のレーザ加工機は、加工ワークを乗せる加工テーブルと、前記加工テーブルの移動とレーザ加工トーチの少なくとも一方を移動する駆動手段と、前記駆動手段を制御する数値制御装置と、レーザ光を発生する前記レーザ発振装置とを備えたため、レーザ出力の増大を実現できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1,2は本発明の実施の形態であり、レーザガス流路を送風手段の吸入口に翼車の回転面に複数個平行に設けたレーザ発振装置の構成図である。
【0026】
レーザガス流路10は送風機13の吸入口25に翼車23の回転面に平行に2個接続され、かつ送風機13の吸入口25においてオフセット(翼車23の回転軸とレーザガス流路10の中心軸とは同一軸上にない、以下同様)させて接続されている。送風機13は吸入口方向からみて反時計回りに回転する構造となっており、吸入口25のオフセット方向も同様に、吸入口25から見て反時計回り方向になっている。図に示す一点鎖点はレーザガスの流れを示している。
【0027】
また、送風機13の吸入口25とレーザガス流路10との間には、両者を接続した吸入ポート27が配置され、吸入ポート27は翼車23の回転面に垂直方向に配置されている。
【0028】
上記構成において、オフセットしたレーザガス流路10より吸入ポート27へ進入したレーザガス流においては、吸入口25から見て反時計回り方向に渦が発生する。この渦の持つ運動エネルギのベクトルは、翼車23の回転方向と一致しているため、結果として翼車23の回転を補助する役目を果たす。すなわち、オフセット無し(翼車23の回転軸とレーザガス流路10の中心軸とは同一軸上、以下同様)でレーザガスが進入した場合に比べ、スムーズにレーザガスが反時計回り回転に乗り、翼車23からディヒューザ24へと至るガスの流れが非常に効率的になる。結果として、風量特性の改善により、送風機13の質量流量が増大し、レーザ出力の増大を実現出来る。
【0029】
図3,4は本発明の実施の形態であり、レーザガス流路を送風手段の吸入口に翼車の回転面に複数個傾斜させて設けたレーザ発振装置の構成図である。
【0030】
レーザガス流路10は図3,4と同様に、送風機13の吸入口25に翼車23の回転面に平行に2個接続され、かつ送風機13の吸入口25においてオフセットさせて接続されているが、前述の図1,2で示した構成と比べ、翼車23の回転面に複数個傾斜させて接続されている。この場合においても、オフセット無しでレーザガスが進入した場合に比べ、スムーズにレーザガスが反時計回り回転に乗り、翼車23からディヒューザ24へと至るガスの流れが非常に効率的になる。結果として、風量特性の改善により、送風機13の質量流量が増大し、レーザ出力の増大を実現出来る。
【0031】
図5,6は送風手段の吸入ポートに、例えばハニカムなどの整流手段28を設けたものを示したレーザ発振装置の構成図である。
【0032】
レーザガス流路10よりオフセットした状態で進入したレーザガスは、前述したようにスムーズにレーザガスが反時計回り回転に乗り、翼車23からディヒューザ24へと至るガスの流れが非常に効率的になる。但し厳密に見ればレーザガスが吸入口25に導入される過程で、ある程度圧力損失の原因となる渦が発生してしまう。ここで吸入口25に例えばハニカムなどの整流手段28を挿入することで、渦の発生を抑制し、スムーズな流れを作り出す事が出来る。結果として、風量特性の改善により、送風機13の質量流量が増大し、レーザ出力の増大を実現できる。
【0033】
図7は、本発明の実施の形態において、前述のレーザ発振装置に関してレーザ出力特性を示した図である。また整流手段としてハニカムを備えたレーザ発振装置に関するレーザ出力特性も示している。
【0034】
本改良によりレーザ出力の著しい増大を図れていることが判る。また整流手段無しの場合に比べ、有りの場合の方が、よりガスの流れがスムーズに流れ、効果的であるが、整流手段無しの場合でも、従来例に比べ充分な効果が得られている事がわかる。
【0035】
図8は、本発明の実施の形態であり、送風手段として軸流送風機を用いた場合においても、遠心送風機を用いた場合と同様の効果が得られる。
【0036】
また図11に示した、加工ワークを乗せる加工テーブルと、加工テーブルの移動とレーザ加工トーチの少なくとも一方を移動する駆動手段と、駆動手段を制御する数値制御装置とを備えたレーザ加工機において、上述のレーザ発振装置を有することにより、送風手段の質量流量が増大により、レーザ出力の増大を実現できるレーザ加工機が得られる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のレーザ発振装置やレーザ加工機は、ガスレーザにおける送風機の風量特性を改善出来、レーザ出力の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における第1のレーザ発振装置の平面構成図
【図2】同実施の形態における第1のレーザ発振装置の正面構成図
【図3】本発明の実施の形態における第2のレーザ発振装置の平面構成図
【図4】同実施の形態における第2のレーザ発振装置の正面構成図
【図5】本発明の実施の形態における第3のレーザ発振装置の平面構成図
【図6】同実施の形態における第3のレーザ発振装置の正面構成図
【図7】同実施の形態におけるレーザ出力特性を示した図
【図8】同実施の形態における第4のレーザ発振装置の構成図
【図9】従来におけるガスレーザ装置の構成図
【図10】別の従来のガスレーザ装置の概略構成図
【図11】従来のガスレーザ加工機の概略構成図
【図12】一般的なガスレーザ発振装置用遠心送風機の平面構成図
【図13】一般的なガスレーザ発振装置用遠心送風機の正面構成図
【符号の説明】
9 レーザガスの流れる方向
10 レーザガス流路
13 送風機
23 翼車
25 吸入口
28 整流手段
29 軸流送風機
【発明の属する技術分野】
本発明は送風手段を用いたレーザ発振装置およびレーザ加工機に関する物であり、特に長期に渡って安定して使用できる信頼性の高い装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9に、従来のガスレーザ装置の概略構成図を示す。
【0003】
図9において、ガスレーザ装置51には放電励起用のガスレーザ媒質を封入する気密容器52が設けられている。
【0004】
この気密容器52内には陰極と陽極とからなる一対の主放電電極53が配設され、気密容器52内には送風手段としての貫流ファン54と、この貫流ファン54から送風されるガス流を主放電電極53の間へ導く流路を気密容器52内に形成するための複数の流路ガイド部材55とが配設されている。そして、ガスレーザ装置51の動作時には貫流ファン54によって気密容器52内の封入ガスを循環させ、流路ガイド部材55に沿って主放電電極53間に流れるガス流を形成させ、また、貫流ファン54にはファン本体56と、このファン本体56を収容するファンケーシング57と、ファン本体56を回転軸58を中心に回転駆動する。
【0005】
また、L1は主放電電極53の下流側の流路の距離、L2は主放電電極53の上流側の流路の距離で、57aは貫流ファン14のファンケーシング57の吹出口、57bは主放電電極53の下流側のガス流が吸込み口である。
【0006】
また、バッファタンク本体63の他側部上面にはガス流路66のガス流入口64と、このガス流入口64よりも開口面積が大きいガス流出口65が形成されている。
【0007】
そして、ガスレーザ装置51の動作中は貫流ファン54が駆動され、主放電電極53の下流側のガス流が吸込み口57bから貫流ファン54のファンケーシング57の内部に吸込まれ、吹出口57aから吹出される(例えば特許文献1参照)。
【0008】
また、図10に別の従来のレーザ発振装置の概略構成の一例を示す。以下、図10を参照しながら従来のレーザ発振装置を説明する。
【0009】
この図に於いて、1はガラスなどの誘電体よりなる放電管であり、2,3は放電管周辺に設けられた電極である。4は電極に接続された電源である。5は前記電極2,3間に挟まれた放電管1内の放電空間である。6は全反射鏡、7は部分反射鏡であり、この全反射鏡6、部分反射鏡7は放電空間5の両端に固定配置され、光共振器を形成している。8は部分反射鏡7より出力されるレーザビームである。矢印9はレーザガスの流れる方向を示しており、軸流型ガスレーザ発振装置の中を循環している。
【0010】
10はレーザガス流路であり、11および12は放電空間5における放電と送風手段の運転により温度上昇したレーザガスの温度を下げるための熱交換機、13はレーザガスを循環させるための送風手段であり、この送風手段13により放電空間5にて約100m/sec程度のガス流を得ている。また送風手段13はインバータ13aによって、羽根車の回転駆動周波数を制御されている。レーザガス流路10と放電管1は、レーザガス導入部14で接続されている。
【0011】
以上が従来のレーザ発振装置の構成であり、次にその動作について説明する。
【0012】
送風手段13より送り出されたレーザガスは、レーザガス流路10を通り、レーザガス導入部14より放電管1内へ導入される。この状態で電源4に接続された電極2、3から放電空間5に放電を発生させる。放電空間5内のレーザガスは、この放電エネルギーを得て励起され、その励起されたレーザガスは全反射鏡6および部分反射鏡7により形成された光共振器で共振状態となり、部分反射鏡7からレーザビーム8が出力される。このレーザビーム8がレーザ加工等の用途に用いられる。
【0013】
図11は従来のレーザ加工機の概略構成の一例を示す。
【0014】
この図に於いて、レーザビーム8は、反射鏡15にて反射され、ワーク16近傍へ導かれる。レーザビーム8は、トーチ17内部に備えられた集光レンズ18によって高密度のエネルギビームに集光され、ワーク16に照射され、加工が行われる。ワーク16は加工テーブル19上に固定されており、X軸モータ20あるいはY軸モータ21によって、トーチ17はワーク16に対して相対的に移動する事で、所定の形状の加工が行われる。
【0015】
レーザ出力は、放電空間5を流れるレーザガスの質量流量が大きいほど、増大する。よって、いかに大きな質量流量のレーザガスを流せるかが、レーザ出力増大に関するポイントであり、そのためには送風手段13の性能向上、およびレーザガス流路10での圧損低減などが、技術課題として挙げられる。
【0016】
また、図12,13に一般的なガスレーザ発振装置用の送風手段としての遠心送風機の構造を示す。
【0017】
重力方向に対して、遠心送風機は、下側にモータ22が配置され、モータ22の回転軸は重力方向に対して鉛直方向に配置されている。回転軸の先端に、翼車23およびディヒューザ24が備えられている。レーザガスは、吸入口25から重力方向の上方向より吸入され、翼車23の回転による遠心力によって運動エネルギを与えられ、その後、ディヒューザ24によって、運動エネルギは圧力へと変換され、吸入口25よりも約1.5倍程度の圧力となったガスは、吐出口26より吐き出される。
【0018】
以上の従来のレーザ装置は、いずれも送風機の翼車の回転軸とレーザガス流路の中心軸とは同一軸上にある。
【0019】
【特許文献1】
特開平10−242547号公報(第3−4頁、第1図)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
この様な従来のレーザ発振装置、およびレーザ加工機は、下記課題を有している。
【0021】
送風手段の役割は、循環しているレーザガスの質量流量を少しでも増加させ、レーザ出力を増大させる事にある。しかし構造上、送風手段の吸入口〜吐出口に至るまでの各所で、どうしてもある程度の圧力損失が発生する。遠心送風機自体の構造は、翼車とディヒューザとで構成された極めてシンプルなものであり、風量特性の改善にも限界があり、レーザ出力増大に関しても、一定の壁を越えられずにいた。送風手段として、遠心送風機と並んで代表的なものに軸流送風機が挙げられるが、これを用いた場合も遠心送風機と同様の課題を抱えていた。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明のレーザ発振装置は、レーザ媒体を励起する放電手段と、翼車の回転によりレーザガスを送風する送風手段と、前記放電手段と前記送風手段との間のレーザガスの循環経路を形成するレーザガス経路とを備え、前記翼車の回転軸と前記レーザガス流路の中心軸とは同軸上にないため、送風手段の流量が増大し、レーザ出力の増大を実現できる。
【0023】
また、送風手段は整流手段としてハニカムとしたため、さらに送風手段の流量が増大し、レーザ出力の増大を実現できる。
【0024】
さらに、本発明のレーザ加工機は、加工ワークを乗せる加工テーブルと、前記加工テーブルの移動とレーザ加工トーチの少なくとも一方を移動する駆動手段と、前記駆動手段を制御する数値制御装置と、レーザ光を発生する前記レーザ発振装置とを備えたため、レーザ出力の増大を実現できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1,2は本発明の実施の形態であり、レーザガス流路を送風手段の吸入口に翼車の回転面に複数個平行に設けたレーザ発振装置の構成図である。
【0026】
レーザガス流路10は送風機13の吸入口25に翼車23の回転面に平行に2個接続され、かつ送風機13の吸入口25においてオフセット(翼車23の回転軸とレーザガス流路10の中心軸とは同一軸上にない、以下同様)させて接続されている。送風機13は吸入口方向からみて反時計回りに回転する構造となっており、吸入口25のオフセット方向も同様に、吸入口25から見て反時計回り方向になっている。図に示す一点鎖点はレーザガスの流れを示している。
【0027】
また、送風機13の吸入口25とレーザガス流路10との間には、両者を接続した吸入ポート27が配置され、吸入ポート27は翼車23の回転面に垂直方向に配置されている。
【0028】
上記構成において、オフセットしたレーザガス流路10より吸入ポート27へ進入したレーザガス流においては、吸入口25から見て反時計回り方向に渦が発生する。この渦の持つ運動エネルギのベクトルは、翼車23の回転方向と一致しているため、結果として翼車23の回転を補助する役目を果たす。すなわち、オフセット無し(翼車23の回転軸とレーザガス流路10の中心軸とは同一軸上、以下同様)でレーザガスが進入した場合に比べ、スムーズにレーザガスが反時計回り回転に乗り、翼車23からディヒューザ24へと至るガスの流れが非常に効率的になる。結果として、風量特性の改善により、送風機13の質量流量が増大し、レーザ出力の増大を実現出来る。
【0029】
図3,4は本発明の実施の形態であり、レーザガス流路を送風手段の吸入口に翼車の回転面に複数個傾斜させて設けたレーザ発振装置の構成図である。
【0030】
レーザガス流路10は図3,4と同様に、送風機13の吸入口25に翼車23の回転面に平行に2個接続され、かつ送風機13の吸入口25においてオフセットさせて接続されているが、前述の図1,2で示した構成と比べ、翼車23の回転面に複数個傾斜させて接続されている。この場合においても、オフセット無しでレーザガスが進入した場合に比べ、スムーズにレーザガスが反時計回り回転に乗り、翼車23からディヒューザ24へと至るガスの流れが非常に効率的になる。結果として、風量特性の改善により、送風機13の質量流量が増大し、レーザ出力の増大を実現出来る。
【0031】
図5,6は送風手段の吸入ポートに、例えばハニカムなどの整流手段28を設けたものを示したレーザ発振装置の構成図である。
【0032】
レーザガス流路10よりオフセットした状態で進入したレーザガスは、前述したようにスムーズにレーザガスが反時計回り回転に乗り、翼車23からディヒューザ24へと至るガスの流れが非常に効率的になる。但し厳密に見ればレーザガスが吸入口25に導入される過程で、ある程度圧力損失の原因となる渦が発生してしまう。ここで吸入口25に例えばハニカムなどの整流手段28を挿入することで、渦の発生を抑制し、スムーズな流れを作り出す事が出来る。結果として、風量特性の改善により、送風機13の質量流量が増大し、レーザ出力の増大を実現できる。
【0033】
図7は、本発明の実施の形態において、前述のレーザ発振装置に関してレーザ出力特性を示した図である。また整流手段としてハニカムを備えたレーザ発振装置に関するレーザ出力特性も示している。
【0034】
本改良によりレーザ出力の著しい増大を図れていることが判る。また整流手段無しの場合に比べ、有りの場合の方が、よりガスの流れがスムーズに流れ、効果的であるが、整流手段無しの場合でも、従来例に比べ充分な効果が得られている事がわかる。
【0035】
図8は、本発明の実施の形態であり、送風手段として軸流送風機を用いた場合においても、遠心送風機を用いた場合と同様の効果が得られる。
【0036】
また図11に示した、加工ワークを乗せる加工テーブルと、加工テーブルの移動とレーザ加工トーチの少なくとも一方を移動する駆動手段と、駆動手段を制御する数値制御装置とを備えたレーザ加工機において、上述のレーザ発振装置を有することにより、送風手段の質量流量が増大により、レーザ出力の増大を実現できるレーザ加工機が得られる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のレーザ発振装置やレーザ加工機は、ガスレーザにおける送風機の風量特性を改善出来、レーザ出力の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における第1のレーザ発振装置の平面構成図
【図2】同実施の形態における第1のレーザ発振装置の正面構成図
【図3】本発明の実施の形態における第2のレーザ発振装置の平面構成図
【図4】同実施の形態における第2のレーザ発振装置の正面構成図
【図5】本発明の実施の形態における第3のレーザ発振装置の平面構成図
【図6】同実施の形態における第3のレーザ発振装置の正面構成図
【図7】同実施の形態におけるレーザ出力特性を示した図
【図8】同実施の形態における第4のレーザ発振装置の構成図
【図9】従来におけるガスレーザ装置の構成図
【図10】別の従来のガスレーザ装置の概略構成図
【図11】従来のガスレーザ加工機の概略構成図
【図12】一般的なガスレーザ発振装置用遠心送風機の平面構成図
【図13】一般的なガスレーザ発振装置用遠心送風機の正面構成図
【符号の説明】
9 レーザガスの流れる方向
10 レーザガス流路
13 送風機
23 翼車
25 吸入口
28 整流手段
29 軸流送風機
Claims (8)
- レーザ媒体を励起する放電手段と、翼車の回転によりレーザガスを送風する送風手段と、前記放電手段と前記送風手段との間のレーザガスの循環経路を形成するレーザガス経路とを備え、前記翼車の回転軸と前記レーザガス流路の中心軸とは同一軸上にないレーザ発振装置。
- 送風手段は、遠心送風機である請求項1記載のレーザ発振装置。
- 送風手段は、軸流送風機である請求項1記載のレーザ発振装置。
- レーザガス流路は送風手段の吸入口に翼車の回転面に複数個平行に設けた請求項1から3のいずれかに記載のレーザ発振装置。
- レーザガス流路は送風手段の吸入口に翼車の回転面に複数個傾斜させて設けた請求項1から4のいずれかに記載のレーザ発振装置。
- 送風手段は整流手段を有した請求項1から5のいずれかに記載のレーザ発振装置。
- 整流手段はハニカムである請求項6記載のレーザ発振装置。
- 加工ワークを乗せる加工テーブルと、前記加工テーブルの移動とレーザ加工トーチの少なくとも一方を移動する駆動手段と、前記駆動手段を制御する数値制御装置と、レーザ光を発生する請求項1から7のいずれかに記載のレーザ発振装置とを備えたレーザ加工機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002372212A JP2004207348A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | レーザ発振装置およびレーザ加工機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002372212A JP2004207348A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | レーザ発振装置およびレーザ加工機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004207348A true JP2004207348A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=32810871
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002372212A Pending JP2004207348A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | レーザ発振装置およびレーザ加工機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004207348A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017143107A (ja) * | 2016-02-08 | 2017-08-17 | ファナック株式会社 | レーザ媒質循環管を備えるレーザ発振装置 |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002372212A patent/JP2004207348A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017143107A (ja) * | 2016-02-08 | 2017-08-17 | ファナック株式会社 | レーザ媒質循環管を備えるレーザ発振装置 |
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