JP2004207345A - 裏面入射型受光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】半導体基板と電極間に生じる静電容量(寄生容量)を小さくできる裏面入射型受光素子を提供し、裏面入射型受光素子の応答速度を向上させる。
【解決手段】裏面入射型受光素子1は、裏面9から光が入射される半導体基板3の表面5にp電極15とn電極17が設けられ、各電極15、17に対応して電極パターン113、115が設けられたサブマウント基板119に対し、半導体基板3の表面5を下にして各電極15、17と電極パターン113、115との間が直接ボンディングされる。半導体基板3の表面5で、p電極15とサブマウント基板119の電極パターン113とが対向する一部分には、厚み方向に低くした凹部23を形成する。これにより、電極パターン113と半導体基板3の表面5との間隔が凹部23の深さ分だけ拡大し、半導体基板と電極との間に生じる寄生容量が小さくなる。
【選択図】 図1
【解決手段】裏面入射型受光素子1は、裏面9から光が入射される半導体基板3の表面5にp電極15とn電極17が設けられ、各電極15、17に対応して電極パターン113、115が設けられたサブマウント基板119に対し、半導体基板3の表面5を下にして各電極15、17と電極パターン113、115との間が直接ボンディングされる。半導体基板3の表面5で、p電極15とサブマウント基板119の電極パターン113とが対向する一部分には、厚み方向に低くした凹部23を形成する。これにより、電極パターン113と半導体基板3の表面5との間隔が凹部23の深さ分だけ拡大し、半導体基板と電極との間に生じる寄生容量が小さくなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ通信に用いる裏面入射型受光素子に関し、さらに詳しくは、光ファイバからの光を半導体基板の裏面に入射させ、この入射した光を半導体基板の表面に設けた受光部で受光し、この受光量に応じた電気信号(光電流)を出力する裏面入射型受光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバを利用した光通信では、光ファイバから伝送されてくる光信号を受光素子に入射させて電気信号に変換している。この受光素子としては、図4に示す構成の裏面入射型受光素子111が提案されている。この裏面入射型受光素子111は、受光部103と、その電極(p電極105、n電極107)とがn−InP半導体基板100の表面101に設けられている。この裏面入射型受光素子111では、図示しない光ファイバからの光を半導体基板100の裏面109に入射させ、表面101に設けた受光部103で受光し、この受光量に応じた光電流を発生して出力している。
【0003】
この種の裏面入射型受光素子111において、各電極105、107から信号を取り出す場合には、各電極105、107と導通接続される図5に示す電極パターン113、115が例えばセラミック基板117に形成されたサブマウント基板119が用いられる。半導体基板100は、表面101を下にしたフェースダウン状態で、電極パターン113にP電極105、電極パターン115にN電極107を直接ボンディングし、図6に示すようにサブマウント基板119に固定する。これにより、半導体基板100の下面に位置する各電極105、107からの信号は、サブマウント基板119の表出した電極パターン113、115を介して取り出し可能となった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サブマウント基板119を用いて信号の取り出しを行う上記構成による裏面入射型受光素子111では、図7に示すように、半導体基板100とサブマウント基板119上の電極パターン113、115とが狭い間隔dを挟んで対向している。そして、n電極107は、低抵抗の半導体基板100と電気的に繋がっているため、半導体基板100と電極パターン113との間で大きな静電容量が生じ、半導体基板100と電極105との間に寄生容量CP を有している。
【0005】
例えば半導体基板100の厚みt1が100μm、サブマウント基板119の厚みt2が250μm、電極パターン113、115の厚みt3が1μmで構成された裏面入射型受光素子111の場合、電極パターン113、115の幅Wを60μm、長さLを300μm、間隔dを5μmとすると、CP =ε0 εS (W・L)/dの式(但し、ε0 は真空中の誘電率、εS は誘電体の誘電率)によって算出できる。この場合、誘電体は空気なので、寄生容量CP は、CP =ε0 εS (W・L)/d=8.85×10-12 ×(0.06×10-3×0.3×10-3)/0.005×10-3≒32fFとなる。
【0006】
また、裏面入射型受光素子111の受光層が持つ寄生容量CAPD は、受光径によって異なるが、10GHzの周波数帯で受光径がφ30〜φ40μmの場合、120fF程度となる。
【0007】
従って、全体の寄生容量Ctotal は、Ctotal =CP +CAPD =152fFと大きくなる。そして、この寄生容量Ctotal が大きいと、入出力電極間寄生容量の場合、帰還容量として高周波利得の安定性に欠けるという問題がある。また、接地電極との間の寄生容量の場合には、利得帯域幅を悪くし、その結果、応答速度が低下するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであって、半導体基板と電極間に生じる静電容量(寄生容量)を小さくでき、応答速度の向上を図ることができる裏面入射型受光素子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の請求項1記載の裏面入射型受光素子は、裏面9から光が入射される半導体基板3の表面5にp電極15とn電極17が設けられ、前記各電極に対応して電極パターン113、115が設けられたサブマウント基板119に対し、前記半導体基板の表面を下にして前記各電極と前記電極パターンとの間を直接ボンディングする裏面入射型受光素子1であって、
前記電極パターンの幅をW、長さをL、前記半導体基板と前記サブマウント基板との間隔dとしたときに、前記半導体基板と前記サブマウント基板との間の静電容量Cp を示す式Cp =ε0 εS (W・L)/d(但し、ε0 は真空中の誘電率、εS は誘電体の誘電率)のdを大きくする凹部(23)が前記半導体基板の表面に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の裏面入射型受光素子は、裏面9から光が入射される半導体基板3の表面5にp電極15とn電極17が設けられ、前記各電極に対応して電極パターン113、115が設けられたサブマウント基板119に対し、前記半導体基板の表面を下にして前記各電極と電極パターンとの間を直接ボンディングする裏面入射型受光素子1であって、
前記半導体基板の表面で、少なくとも前記p電極と前記サブマウント基板の前記電極パターンとが対向する一部分には、厚み方向に低くした凹部23が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の裏面入射型受光素子は、請求項2記載の裏面入射型受光素子1において、
前記凹部23は、前記半導体基板表面5の周縁37を残して形成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る裏面入射型受光素子1では、サブマウント基板119上に、半導体基板の表面5を下にしてフリップチップ接続した場合、半導体基板3とサブマウント基板119との間隔d、すなわち電極パターンをなすp電極用信号ライン113と半導体基板表面5との間隔が凹部23の深さ分だけ拡大される。これにより、凹部23を形成しない場合に比べ、間隔dが拡大した分、半導体基板3とp電極用信号ライン113との間に生じる寄生容量が小さくなり、裏面入射型受光素子1における応答速度が高まる。
【0013】
また、半導体基板表面5の周縁37を残して凹部23を形成すれば、半導体基板3の側面41に周縁37の一部分が薄厚となった切欠部の出現することがなく、この切欠部による基板強度の低下が防止される。これにより、複数の素子パターンが形成された素板を切断し、多数の半導体基板3を製造する際、基板強度の低下した切欠部から半導体基板3にヒビが入る、所謂へき開等による素子破壊が防止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る裏面入射型受光素子の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明に係る裏面入射型受光素子を表面から見た平面図、図2は図1の裏面入射型受光素子とサブマウント基板とのフリップチップ接続の状況を示す斜視図、図3はフリップチップ接続された裏面入射型受光素子とサブマウント基板との縦断面図である。
【0016】
なお、本発明において、図4〜図7に示した部材・部位と同一の部材・部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
【0017】
本実施の形態による裏面入射型受光素子(以下、単に「受光素子」という)1は、半導体基板3の表面5側に受光部7が設けられ、半導体基板3の裏面9側が光ファイバ11からの光が入射される受光面13となる。そして、この受光素子1では、光ファイバ11からの光が受光面13に入射されると、その光が半導体基板3を透過して受光部7に入射する。
【0018】
受光素子1は、p電極15とn電極17を有している。本例では、受光部7の中央上部にp電極15が形成され、受光部7の周囲に一つ又は複数(図1の例ではp電極を挟むように受光部7の左右上下に4つ)のn電極17が形成され、半導体基板3中にはpn接合部が形成されている。受光素子1は、受光面13に光が入射すると、光によって対生成された電子及び正孔が接合部の内部電界により、p領域の電子がn領域に移動し、n領域の正孔がp領域に移動する。その結果、n領域が負に帯電し、p領域が正に帯電する。これにより、p電極15及びn電極17に接続した不図示の外部回路の両端に電圧(光起電力)が発生し、光電流が流れる。
【0019】
受光素子1のn電極17には逆バイアス電圧が加えられ、感光領域内(接合部とその近傍)でつくられたキャリアが全部光電流として有効に収集されるようになっている。すなわち、p電極15は、n電極17にバイアス電圧が与えられている状態で、光が入射したときに、その光電流を出力として取り出すための電極となっている。
【0020】
なお、本例の受光素子1には、内部に電流増倍作用を持つアバランシェフォトダイオード(APD:avalanche photodiode)を採用しているが、本発明の適用範囲はAPDに限定されるものではなく、例えばp層とn層との間に高抵抗層を設けたpin接合形のPINフォトダイオードであっても良い。
【0021】
この受光素子1の各電極15、17から信号を取り出す場合には、図2に示すような各電極15、17と導通接続される電極パターン113、115が例えばセラミック基板117に形成されたサブマウント基板119が用いられる。受光素子1は、表面5を下にしたフェースダウン状態で、電極パターン113にp電極15、電極パターン115にn電極17を直接ボンディングし、図3に示すように、サブマウント基板119に固定する。これにより、半導体基板3の下面に位置する各電極15、17からの信号は、サブマウント基板119の表出した電極パターン113、115を介して取り出し可能となっている。
【0022】
ここで、サブマウント基板119の電極パターン(p電極用信号ライン)113と対面する半導体基板3の表面5における対面領域21の少なくとも一部分には、表面5を厚み方向に低くした凹部23が形成されている。図1の例では、p電極用信号ライン113と対面する半導体基板3の表面5における対面領域21のみを二点鎖線で示している。そして、p電極から所定距離をおいた位置から端部にかけて電極パターン113に沿って直線状の凹部23が半導体基板3の表面5に形成されている。これにより、サブマウント基板119に半導体基板3を固定した状態で、この凹部23には他の部分より大きな空隙25が形成されることになる。
【0023】
本実施の形態において、凹部23は、図1〜図3に示すように、電極パターン113に沿うように直線状に形成され、半導体基板3の周縁37を含めて側面41の端部まで連通して彫り込んだ溝で構成される。これにより、凹部23の内周面39は、半導体基板3の側面41で開放されている。
【0024】
また、凹部23は、半導体基板3の表面5の周縁37(図1の破線部の周縁37a参照)を残して形成し、内周面39が側面41で開放されないものであっても良い。このような凹部23の形状とすれば、半導体基板3の側面41に周縁37の一部分が薄厚となった切欠部がなく、この切欠部による基板強度の低下が防止される。これにより、複数の素子パターンが形成された素板を切断し、多数の半導体基板3を製造する際、基板強度の低下した切欠部から半導体基板3にヒビが入る、所謂へき開等による素子破壊を防止することができる。
【0025】
なお、上述した凹部23は、電極パターン113、115の幅をW、長さをL、半導体基板3とサブマウント基板119との間隔dとしたときに、ε0 εS (W・L)/d(但し、ε0 は真空中の誘電率、εS は誘電体の誘電率)の式中のdを大きくする形状で半導体基板3の表面5に形成されていれば良い。
【0026】
そして、上記のように凹部23を有した本実施の形態による受光素子1では、従来と同様に、半導体基板3の厚みt1が100μm、サブマウント基板119の厚みt2が250μm、電極パターン113の厚みt3が1μmの場合、電極パターン113、115の幅Wを60μm、長さLを300μm、さらに凹部23を設けたことによる間隔dの増分を30μmとすると、CP =ε0 εS (W・L)/dの式によって半導体基板3とサブマウント基板119との間の静電容量(寄生容量)CP が算出できる。この場合、誘電体は空気なので、寄生容量CP は、CP =ε0 εS (W・L)/d=8.85×10-12 ×(0.06×10-3×0.3×10-3)/(0.005+0.03)×10-3≒5fFとなる。
【0027】
また、受光素子1の受光層が持つ寄生容量CAPD は、10GHzの周波数帯で受光径がφ30〜φ40μmの場合、120fF程度である。従って、全体の寄生容量Ctotal は、Ctotal =CP +CAPD =125fFとなる。これにより、従来の受光素子の寄生容量Ctotal =152fFと比較した場合、寄生容量を125/152≒0.8倍小さくすることができる。
【0028】
このように、上記した構成を有する受光素子1によれば、サブマウント基板119上に、半導体基板3の表面5を下にしてフリップチップ接続した場合、p電極用信号ライン(電極パターン113)と半導体基板表面5との間隔が、凹部23の深さ分だけ拡大される。これにより、凹部23を形成しない場合に比べ、間隔が拡大した分、半導体基板3と電極パターン113との間に生じる寄生容量が小さくなり、受光素子1における応答速度を向上させることができる。
【0029】
なお、本実施の形態による受光素子1では、半導体基板3をサブマウント基板119に安定して固定する目的で、半導体基板3に5つの電極(p電極15が1つ、n電極17が4つ)を備えた構成としているが、1つのp電極15と2つのn電極17、或いはp電極15とn電極17とを1つずつ備える構成としてもよい。この場合、p電極15の電極パターン113と対面する半導体基板3の対面領域に凹部を設ければ、寄生容量を減らして、応答速度を向上させることができる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る裏面入射型受光素子によれば、サブマウント基板上に半導体基板をフリップチップ接続した場合、電極パターン(特にp電極信号ライン)と半導体基板表面との間隔が凹部の深さ分だけ拡大し、凹部を形成しない場合に比べ、半導体基板と電極パターン(p電極)との間に生じる寄生容量を小さくすることができる。この結果、裏面入射型受光素子における応答速度を向上させることができる。
【0031】
また、半導体基板表面の周縁を残して凹部を形成すれば、凹部の内周面が開放されない構造になり、半導体基板の側面に周縁の一部分が薄厚となった切欠部の出現がなく、この切欠部による基板強度の低下を防止することができる。この結果、複数の素子パターンを形成した素板を切断して多数の半導体基板を製造する際、へき開による素子破壊を防止して歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る裏面入射型受光素子を表面から見た平面図である。
【図2】図1に示す裏面入射型受光素子とサブマウント基板とのフリップチップ接続の状況を示す斜視図である。
【図3】フリップチップ接続された裏面入射型受光素子とサブマウント基板との縦断面図である。
【図4】(a)裏面入射型受光素子を表面から見た平面図である。
(b)同素子を裏面から見た平面図である。
【図5】図4の裏面入射型受光素子とサブマウント基板とのフリップチップ接続の状況を示す斜視図である。
【図6】フリップチップ接続された図4の裏面入射型受光素子とサブマウント基板との斜視図である。
【図7】図6の縦断面図である。
【符号の説明】
1…受光素子(裏面入射型受光素子)、3…半導体基板、5…表面、9…裏面、15…p電極、17…n電極、21…対面領域、23…凹部、37…周縁、39…内周面、113…電極パターン(p電極用信号ライン)、115…電極パターン、119…サブマウント基板。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ通信に用いる裏面入射型受光素子に関し、さらに詳しくは、光ファイバからの光を半導体基板の裏面に入射させ、この入射した光を半導体基板の表面に設けた受光部で受光し、この受光量に応じた電気信号(光電流)を出力する裏面入射型受光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバを利用した光通信では、光ファイバから伝送されてくる光信号を受光素子に入射させて電気信号に変換している。この受光素子としては、図4に示す構成の裏面入射型受光素子111が提案されている。この裏面入射型受光素子111は、受光部103と、その電極(p電極105、n電極107)とがn−InP半導体基板100の表面101に設けられている。この裏面入射型受光素子111では、図示しない光ファイバからの光を半導体基板100の裏面109に入射させ、表面101に設けた受光部103で受光し、この受光量に応じた光電流を発生して出力している。
【0003】
この種の裏面入射型受光素子111において、各電極105、107から信号を取り出す場合には、各電極105、107と導通接続される図5に示す電極パターン113、115が例えばセラミック基板117に形成されたサブマウント基板119が用いられる。半導体基板100は、表面101を下にしたフェースダウン状態で、電極パターン113にP電極105、電極パターン115にN電極107を直接ボンディングし、図6に示すようにサブマウント基板119に固定する。これにより、半導体基板100の下面に位置する各電極105、107からの信号は、サブマウント基板119の表出した電極パターン113、115を介して取り出し可能となった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サブマウント基板119を用いて信号の取り出しを行う上記構成による裏面入射型受光素子111では、図7に示すように、半導体基板100とサブマウント基板119上の電極パターン113、115とが狭い間隔dを挟んで対向している。そして、n電極107は、低抵抗の半導体基板100と電気的に繋がっているため、半導体基板100と電極パターン113との間で大きな静電容量が生じ、半導体基板100と電極105との間に寄生容量CP を有している。
【0005】
例えば半導体基板100の厚みt1が100μm、サブマウント基板119の厚みt2が250μm、電極パターン113、115の厚みt3が1μmで構成された裏面入射型受光素子111の場合、電極パターン113、115の幅Wを60μm、長さLを300μm、間隔dを5μmとすると、CP =ε0 εS (W・L)/dの式(但し、ε0 は真空中の誘電率、εS は誘電体の誘電率)によって算出できる。この場合、誘電体は空気なので、寄生容量CP は、CP =ε0 εS (W・L)/d=8.85×10-12 ×(0.06×10-3×0.3×10-3)/0.005×10-3≒32fFとなる。
【0006】
また、裏面入射型受光素子111の受光層が持つ寄生容量CAPD は、受光径によって異なるが、10GHzの周波数帯で受光径がφ30〜φ40μmの場合、120fF程度となる。
【0007】
従って、全体の寄生容量Ctotal は、Ctotal =CP +CAPD =152fFと大きくなる。そして、この寄生容量Ctotal が大きいと、入出力電極間寄生容量の場合、帰還容量として高周波利得の安定性に欠けるという問題がある。また、接地電極との間の寄生容量の場合には、利得帯域幅を悪くし、その結果、応答速度が低下するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであって、半導体基板と電極間に生じる静電容量(寄生容量)を小さくでき、応答速度の向上を図ることができる裏面入射型受光素子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の請求項1記載の裏面入射型受光素子は、裏面9から光が入射される半導体基板3の表面5にp電極15とn電極17が設けられ、前記各電極に対応して電極パターン113、115が設けられたサブマウント基板119に対し、前記半導体基板の表面を下にして前記各電極と前記電極パターンとの間を直接ボンディングする裏面入射型受光素子1であって、
前記電極パターンの幅をW、長さをL、前記半導体基板と前記サブマウント基板との間隔dとしたときに、前記半導体基板と前記サブマウント基板との間の静電容量Cp を示す式Cp =ε0 εS (W・L)/d(但し、ε0 は真空中の誘電率、εS は誘電体の誘電率)のdを大きくする凹部(23)が前記半導体基板の表面に形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の裏面入射型受光素子は、裏面9から光が入射される半導体基板3の表面5にp電極15とn電極17が設けられ、前記各電極に対応して電極パターン113、115が設けられたサブマウント基板119に対し、前記半導体基板の表面を下にして前記各電極と電極パターンとの間を直接ボンディングする裏面入射型受光素子1であって、
前記半導体基板の表面で、少なくとも前記p電極と前記サブマウント基板の前記電極パターンとが対向する一部分には、厚み方向に低くした凹部23が形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の裏面入射型受光素子は、請求項2記載の裏面入射型受光素子1において、
前記凹部23は、前記半導体基板表面5の周縁37を残して形成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る裏面入射型受光素子1では、サブマウント基板119上に、半導体基板の表面5を下にしてフリップチップ接続した場合、半導体基板3とサブマウント基板119との間隔d、すなわち電極パターンをなすp電極用信号ライン113と半導体基板表面5との間隔が凹部23の深さ分だけ拡大される。これにより、凹部23を形成しない場合に比べ、間隔dが拡大した分、半導体基板3とp電極用信号ライン113との間に生じる寄生容量が小さくなり、裏面入射型受光素子1における応答速度が高まる。
【0013】
また、半導体基板表面5の周縁37を残して凹部23を形成すれば、半導体基板3の側面41に周縁37の一部分が薄厚となった切欠部の出現することがなく、この切欠部による基板強度の低下が防止される。これにより、複数の素子パターンが形成された素板を切断し、多数の半導体基板3を製造する際、基板強度の低下した切欠部から半導体基板3にヒビが入る、所謂へき開等による素子破壊が防止される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る裏面入射型受光素子の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明に係る裏面入射型受光素子を表面から見た平面図、図2は図1の裏面入射型受光素子とサブマウント基板とのフリップチップ接続の状況を示す斜視図、図3はフリップチップ接続された裏面入射型受光素子とサブマウント基板との縦断面図である。
【0016】
なお、本発明において、図4〜図7に示した部材・部位と同一の部材・部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
【0017】
本実施の形態による裏面入射型受光素子(以下、単に「受光素子」という)1は、半導体基板3の表面5側に受光部7が設けられ、半導体基板3の裏面9側が光ファイバ11からの光が入射される受光面13となる。そして、この受光素子1では、光ファイバ11からの光が受光面13に入射されると、その光が半導体基板3を透過して受光部7に入射する。
【0018】
受光素子1は、p電極15とn電極17を有している。本例では、受光部7の中央上部にp電極15が形成され、受光部7の周囲に一つ又は複数(図1の例ではp電極を挟むように受光部7の左右上下に4つ)のn電極17が形成され、半導体基板3中にはpn接合部が形成されている。受光素子1は、受光面13に光が入射すると、光によって対生成された電子及び正孔が接合部の内部電界により、p領域の電子がn領域に移動し、n領域の正孔がp領域に移動する。その結果、n領域が負に帯電し、p領域が正に帯電する。これにより、p電極15及びn電極17に接続した不図示の外部回路の両端に電圧(光起電力)が発生し、光電流が流れる。
【0019】
受光素子1のn電極17には逆バイアス電圧が加えられ、感光領域内(接合部とその近傍)でつくられたキャリアが全部光電流として有効に収集されるようになっている。すなわち、p電極15は、n電極17にバイアス電圧が与えられている状態で、光が入射したときに、その光電流を出力として取り出すための電極となっている。
【0020】
なお、本例の受光素子1には、内部に電流増倍作用を持つアバランシェフォトダイオード(APD:avalanche photodiode)を採用しているが、本発明の適用範囲はAPDに限定されるものではなく、例えばp層とn層との間に高抵抗層を設けたpin接合形のPINフォトダイオードであっても良い。
【0021】
この受光素子1の各電極15、17から信号を取り出す場合には、図2に示すような各電極15、17と導通接続される電極パターン113、115が例えばセラミック基板117に形成されたサブマウント基板119が用いられる。受光素子1は、表面5を下にしたフェースダウン状態で、電極パターン113にp電極15、電極パターン115にn電極17を直接ボンディングし、図3に示すように、サブマウント基板119に固定する。これにより、半導体基板3の下面に位置する各電極15、17からの信号は、サブマウント基板119の表出した電極パターン113、115を介して取り出し可能となっている。
【0022】
ここで、サブマウント基板119の電極パターン(p電極用信号ライン)113と対面する半導体基板3の表面5における対面領域21の少なくとも一部分には、表面5を厚み方向に低くした凹部23が形成されている。図1の例では、p電極用信号ライン113と対面する半導体基板3の表面5における対面領域21のみを二点鎖線で示している。そして、p電極から所定距離をおいた位置から端部にかけて電極パターン113に沿って直線状の凹部23が半導体基板3の表面5に形成されている。これにより、サブマウント基板119に半導体基板3を固定した状態で、この凹部23には他の部分より大きな空隙25が形成されることになる。
【0023】
本実施の形態において、凹部23は、図1〜図3に示すように、電極パターン113に沿うように直線状に形成され、半導体基板3の周縁37を含めて側面41の端部まで連通して彫り込んだ溝で構成される。これにより、凹部23の内周面39は、半導体基板3の側面41で開放されている。
【0024】
また、凹部23は、半導体基板3の表面5の周縁37(図1の破線部の周縁37a参照)を残して形成し、内周面39が側面41で開放されないものであっても良い。このような凹部23の形状とすれば、半導体基板3の側面41に周縁37の一部分が薄厚となった切欠部がなく、この切欠部による基板強度の低下が防止される。これにより、複数の素子パターンが形成された素板を切断し、多数の半導体基板3を製造する際、基板強度の低下した切欠部から半導体基板3にヒビが入る、所謂へき開等による素子破壊を防止することができる。
【0025】
なお、上述した凹部23は、電極パターン113、115の幅をW、長さをL、半導体基板3とサブマウント基板119との間隔dとしたときに、ε0 εS (W・L)/d(但し、ε0 は真空中の誘電率、εS は誘電体の誘電率)の式中のdを大きくする形状で半導体基板3の表面5に形成されていれば良い。
【0026】
そして、上記のように凹部23を有した本実施の形態による受光素子1では、従来と同様に、半導体基板3の厚みt1が100μm、サブマウント基板119の厚みt2が250μm、電極パターン113の厚みt3が1μmの場合、電極パターン113、115の幅Wを60μm、長さLを300μm、さらに凹部23を設けたことによる間隔dの増分を30μmとすると、CP =ε0 εS (W・L)/dの式によって半導体基板3とサブマウント基板119との間の静電容量(寄生容量)CP が算出できる。この場合、誘電体は空気なので、寄生容量CP は、CP =ε0 εS (W・L)/d=8.85×10-12 ×(0.06×10-3×0.3×10-3)/(0.005+0.03)×10-3≒5fFとなる。
【0027】
また、受光素子1の受光層が持つ寄生容量CAPD は、10GHzの周波数帯で受光径がφ30〜φ40μmの場合、120fF程度である。従って、全体の寄生容量Ctotal は、Ctotal =CP +CAPD =125fFとなる。これにより、従来の受光素子の寄生容量Ctotal =152fFと比較した場合、寄生容量を125/152≒0.8倍小さくすることができる。
【0028】
このように、上記した構成を有する受光素子1によれば、サブマウント基板119上に、半導体基板3の表面5を下にしてフリップチップ接続した場合、p電極用信号ライン(電極パターン113)と半導体基板表面5との間隔が、凹部23の深さ分だけ拡大される。これにより、凹部23を形成しない場合に比べ、間隔が拡大した分、半導体基板3と電極パターン113との間に生じる寄生容量が小さくなり、受光素子1における応答速度を向上させることができる。
【0029】
なお、本実施の形態による受光素子1では、半導体基板3をサブマウント基板119に安定して固定する目的で、半導体基板3に5つの電極(p電極15が1つ、n電極17が4つ)を備えた構成としているが、1つのp電極15と2つのn電極17、或いはp電極15とn電極17とを1つずつ備える構成としてもよい。この場合、p電極15の電極パターン113と対面する半導体基板3の対面領域に凹部を設ければ、寄生容量を減らして、応答速度を向上させることができる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る裏面入射型受光素子によれば、サブマウント基板上に半導体基板をフリップチップ接続した場合、電極パターン(特にp電極信号ライン)と半導体基板表面との間隔が凹部の深さ分だけ拡大し、凹部を形成しない場合に比べ、半導体基板と電極パターン(p電極)との間に生じる寄生容量を小さくすることができる。この結果、裏面入射型受光素子における応答速度を向上させることができる。
【0031】
また、半導体基板表面の周縁を残して凹部を形成すれば、凹部の内周面が開放されない構造になり、半導体基板の側面に周縁の一部分が薄厚となった切欠部の出現がなく、この切欠部による基板強度の低下を防止することができる。この結果、複数の素子パターンを形成した素板を切断して多数の半導体基板を製造する際、へき開による素子破壊を防止して歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る裏面入射型受光素子を表面から見た平面図である。
【図2】図1に示す裏面入射型受光素子とサブマウント基板とのフリップチップ接続の状況を示す斜視図である。
【図3】フリップチップ接続された裏面入射型受光素子とサブマウント基板との縦断面図である。
【図4】(a)裏面入射型受光素子を表面から見た平面図である。
(b)同素子を裏面から見た平面図である。
【図5】図4の裏面入射型受光素子とサブマウント基板とのフリップチップ接続の状況を示す斜視図である。
【図6】フリップチップ接続された図4の裏面入射型受光素子とサブマウント基板との斜視図である。
【図7】図6の縦断面図である。
【符号の説明】
1…受光素子(裏面入射型受光素子)、3…半導体基板、5…表面、9…裏面、15…p電極、17…n電極、21…対面領域、23…凹部、37…周縁、39…内周面、113…電極パターン(p電極用信号ライン)、115…電極パターン、119…サブマウント基板。
Claims (3)
- 裏面(9)から光が入射される半導体基板(3)の表面(5)にp電極(15)とn電極(17)が設けられ、前記各電極に対応して電極パターン(113、115)が設けられたサブマウント基板(119)に対し、前記半導体基板の表面を下にして前記各電極と前記電極パターンとの間を直接ボンディングする裏面入射型受光素子(1)であって、
前記電極パターンの幅をW、長さをL、前記半導体基板と前記サブマウント基板との間隔dとしたときに、前記半導体基板と前記サブマウント基板との間の静電容量Cp を示す式Cp =ε0 εS (W・L)/d(但し、ε0 は真空中の誘電率、εS は誘電体の誘電率)のdを大きくする凹部(23)が前記半導体基板の表面に形成されていることを特徴とする裏面入射型受光素子。 - 裏面(9)から光が入射される半導体基板(3)の表面(5)にp電極(15)とn電極(17)が設けられ、前記各電極に対応して電極パターン(113、115)が設けられたサブマウント基板(119)に対し、前記半導体基板の表面を下にして前記各電極と前記電極パターンとの間を直接ボンディングする裏面入射型受光素子(1)であって、
前記半導体基板の表面で、少なくとも前記p電極と前記サブマウント基板の前記電極パターンとが対向する一部分には、厚み方向に低くした凹部(23)が形成されていることを特徴とする裏面入射型受光素子。 - 前記凹部(23)は、前記半導体基板表面(5)の周縁(37)を残して形成された請求項2記載の裏面入射型受光素子。
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- 2002-12-24 JP JP2002372181A patent/JP2004207345A/ja active Pending
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