JP2004206899A - 燃料電池用濾過材及び燃料電池用濾過器、並びに多孔質イオン交換体 - Google Patents

燃料電池用濾過材及び燃料電池用濾過器、並びに多孔質イオン交換体 Download PDF

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裕久 久保田
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Abstract

【課題】過酷な環境下でも樹脂の損傷を生じ難く、長期間にわたって良好な脱塩性能を維持することが可能な、燃料電池用の濾過材を提供する。
【解決手段】気孔率が50%以上であるとともに、細孔の少なくとも一部が連続して連通空間を形成している、多孔質のイオン交換体を用いる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用の濾過材及び該濾過材を用いた燃料電池用の濾過器に関し、更には、該濾過材等に用いられるイオン交換体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、燃料電池に使用される各種の気体や液体を精製するために、濾過器が設けられている。
【0003】
図1は、一般的な燃料電池の基本構成単位である燃料電池セル(なお、本明細書では差し支えのない限りにおいて、「燃料電池」と「燃料電池セル」とを特に区別せず「燃料電池」と総称する。)の構成を模式的に表わす図である。図1に示すように、燃料電池(燃料電池セル)1は、空気極(酸素極,正極)2、燃料極(水素極,負極)3、電解質4を備えて構成される。そして、電気活物質(反応原料)として、空気極2に酸素又は空気が供給されるとともに、燃料極3に水素,メタノール,炭化水素などが供給され、電解質4を介してこれらの電気活物質が反応することにより発電が行なわれる。空気極2からは反応による生成物(H2O,CO2など)が発生するが、これらの反応生成物は排気ガスとして逐次外部に排出され、連続的に長く使用できるようになっている。電解質4としては、主に固体高分子膜型(PEM型)等のイオン交換膜が使用されており、空気極2から排出される反応生成物中の水分や外部から補給される水分が燃料極3を介して供給されることによって、常に湿潤な状態に保たれ、イオン伝導性が維持される。また、燃料極3に供給される水素を得るために、二酸化炭素,メタノール,炭化水素等を水蒸気と反応させて水素を生成する改質器5が設けられる場合がある。
【0004】
更に、図1の燃料電池1には、燃料電池で使用される各種の気体や液体を精製するために、各種の濾過器61〜66が設けられている。具体的に、濾過器61は、空気極2に供給される酸素や空気等の精製を行なうものであり、濾過器62は、燃料電池セル1を冷却するための熱媒体の精製を行なうものであり、濾過器63は、空気極2から発生して外部に排出されるる排気ガスの精製を行なうものであり、濾過器64は、空気極2から発生して燃料極3又は改質器5に再度供給される水又は水蒸気の精製を行なうものであり、濾過器65は、燃料極3に補給される水の精製を行なうものであり、濾過器66は、改質器5に供給される水又は水蒸気の精製を行なうものである。
【0005】
従来、これらの濾過器61〜66の濾過材としては、気体や液体中に存在する各種の不純物を濾別するために、一般的なフィルター等が用いられていた。また、特に濾過器61,62,64〜66の濾過材としては、各種の不純物の中でも特に燃料電池に影響を与える虞の大きいイオン種や塩等のイオン成分(イオン不純物)を捕捉・除去するために、イオン交換樹脂、イオン交換膜、イオン交換繊維、又はこれらの不織布など公知の様々なイオン交換体が使用されてきた(例えば特許文献1〜9)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−312166号公報
【特許文献2】
特開平5−315002号公報
【特許文献3】
特開平8−17457号公報
【特許文献4】
特開2001−35519号公報
【特許文献5】
特開平8−222257号公報
【特許文献6】
特開平8−31443号公報
【特許文献7】
特開平11−204123号公報
【特許文献8】
特開平10−214633号公報
【特許文献9】
特開平6−168732号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、燃料電池は、自動車,飛行機,船舶等の各種輸送機械における動力源、工業・産業施設や一般家庭等における電源、携帯電話やPDA等の携帯機器における電源など、激しい振動を受けたり凍結・乾燥等が生じたりする過酷な環境下での用途が主に想定されている。
【0008】
ここで、従来のイオン交換樹脂を濾過材として使用した場合、激しい振動を受ける環境下では、樹脂層の乱れや樹脂同士の摩擦による破砕・損耗が生じるため、脱塩不良が発生し易いという課題があった。更に、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを混合して使用する場合には、振動によって両イオン樹脂が分離してしまい、脱塩のバランスが悪化するという課題もあった。また、寒冷下、特に凍結条件下や温度変化の激しい条件下では、凍結や急激な温度変化による樹脂の破砕が生じるため、また、乾燥条件下では、樹脂同士の摩擦による破砕・損耗が生じるため、何れの場合も、脱塩不良が発生し易いという課題があった。
【0009】
この様に、従来のイオン交換樹脂を用いた濾過材は、振動条件や凍結・乾燥条件等の過酷な環境下で燃料電池を使用する場合に、樹脂の損傷による脱塩不良等の不具合を生じ易いという課題を有していた。また、イオン交換繊維やその不織布等を用いた濾過材は、損傷による脱塩不良等の不具合は少ないものの、不純物イオン成分の捕捉量が少ない、通気性が悪い等の課題があった。
【0010】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、過酷な環境下でも樹脂の損傷を生じ難く、長期間にわたって良好な脱塩性能を維持することが可能な、燃料電池用の濾過材及び該濾過材を用いた燃料電池用の濾過器を提供すること、並びに、該濾過材等に用いられるイオン交換体を提供することに存する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の値以上の気孔率を有する多孔質イオン交換体であって、その細孔の少なくとも一部が連続して連通空間を形成しているものを濾過材として用いることにより、濾過器の容器内部に隙間なく充填させて一体成型することができ、高い強度や形状安定性が得られることを見出した。また、この濾過材を用いて形成された濾過器は、振動条件や凍結・乾燥条件等の過酷な環境下でも濾過材の損傷が生じ難く、長期間にわたって良好な脱塩性能を維持できることを見出して、本発明を完成させた。
【0012】
即ち、本発明の要旨は、燃料電池に用いられる濾過材であって、気孔率が50%以上の多孔質イオン交換体からなるとともに、該多孔質イオン交換体の細孔の少なくとも一部が連続して連通空間を形成していることを特徴とする燃料電池用濾過材に存する。
【0013】
また、本発明の別の要旨は、燃料電池に使用される気体又は液体を精製するための濾過器であって、所定形状の容器の内部に上記の燃料電池用濾過材が充填されてなることを特徴とする燃料電池用濾過器に存する。
【0014】
更に、本発明の別の要旨は、下記一般式(4)及び/又は(5)で表わされる構造単位を有する架橋共重合体からなる多孔質イオン交換体であって、気孔率が50%以上であり、且つ、細孔の少なくとも一部が連続して連通空間を形成していることを特徴とする多孔質イオン交換体に存する。
【0015】
【化6】
Figure 2004206899
【0016】
(上記一般式(4)中、A’は、炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素数4〜8のアルキレンオキシメチレン基を表わし、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数4以下のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基を表わす。X-は、対アニオンを表わす。)
【0017】
【化7】
Figure 2004206899
【0018】
(上記一般式(5)中、A’、R1及びR2は何れも、上記一般式(4)において同じ符号を付した基と同様の定義の基を表わす。)
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき、更に詳細に説明する。
[1]本発明の濾過材の特徴:
本発明に係る燃料電池用濾過材(以下、適宜「本発明の濾過材」と称する。)は、以下の性質を有するイオン交換体からなることを特徴とする。
【0020】
まず、本発明に使用されるイオン交換体(以下、適宜「本発明のイオン交換体」と称する。)は、多数の細孔(気泡)を有する多孔質イオン交換体であるとともに、これらの細孔(気泡)の少なくとも一部、好ましくは大部分、更に好ましくは全てが連続して、連通空間を形成していることを特徴とする。この様な構造(連通孔構造、連続気泡構造)を有することによって、本発明のイオン交換体は、濾過器の容器内部に隙間なく充填させることができ、且つ、高い強度や形状安定性を得ることが可能となっている。
【0021】
なお、連通孔構造の存在を確認する方法としては、例えば、SEM(走査電子顕微鏡)等での観察による直接的な評価方法が挙げられる。
【0022】
本発明のイオン交換体の体積に対する上記細孔の体積の比率(気孔率)は、通常50%以上、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上である。また、本発明のイオン交換体の単位乾燥重量当たりの細孔容積は、通常1ml/g以上、好ましくは1.5ml/g以上、更に好ましくは2.3ml/g以上である。気孔率及び細孔容積の値が上記範囲以上であることによって、本発明のイオン交換体は、充分な通気・通液速度が確保され、濾過材としての好適な使用が可能となっている。しかし、気孔率及び細孔容積の値が高過ぎると、充分な強度や安定した形状を維持することが困難となるので、気孔率の上限値は通常99%以下、好ましくは95%以下、更に好ましくは90%以下である。また、細孔容積の上限値は通常100ml/g以下、好ましくは20ml/g以下、更に好ましくは10ml/g以下である。なお、これらの気孔率及び細孔容積を測定する手法としては、水銀圧入法を用いて測定する方法が挙げられる。水銀圧入法による測定には、例えば、島津製作所マイクロメリティクス社製オートポア9410型等を用いればよい。
【0023】
上記細孔の平均直径は、精製の対象とする気体や液体中に含まれるイオン成分等の不純物の大きさに応じて適切な値を選択すればよいが、通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上、更に好ましくは10μm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下の範囲が好適である。また、本発明のイオン交換体のマトリックス部分(上記細孔を除くイオン交換体の骨格部分)の平均の太さは、通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上、更に好ましくは2μm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下の範囲が好適である。
【0024】
また、本発明のイオン交換体のマトリックス部分には、更に微細な細孔が形成されていても良い。この様な微細細孔構造の存在は、例えば多孔質共重合体の単位体積又は単位重量当たりの比表面積を大きくしたい場合等に有効である。微細細孔の平均直径としては、通常10Å以上、好ましくは50Å以上、更に好ましくは100Å以上、また、通常5000Å以下、好ましくは2000Å以下の範囲が好適である。
【0025】
なお、以上説明した細孔の平均直径やマトリックス部分の平均太さ等の物性の評価方法としては、例えば、上述の水銀圧入法を用いて測定する方法等が挙げられる。
【0026】
本発明のイオン交換体の交換容量は、イオン交換基の種類や分子量、イオン交換体の種類や使用目的等によって、適切な値を適宜選択することが好ましい。但し、交換容量の値が余りに低過ぎるとイオン成分を捕捉する能力が充分でなく、濾過材として使用する上で好ましくないので、一般的には、単位乾燥重量当たりの値として、通常0.1meq/g以上、中でも0.3meq/g以上、更には1meq/g以上の範囲が好ましい。なお、本明細書において「meq」とは、ミリ交換基当量を表わす。単位乾燥重量当たりの交換容量の上限は特に制限されないが、通常は5meq/g以下である。
【0027】
また、イオン交換体の交換容量は、単位体積当たりの値としても規定することができる。この値はイオン交換体の気孔率や水分含有率によって異なるが、充分に含水させた状態(飽和膨潤状態)のイオン交換体の単位体積当たりの値として、通常0.01meq/mL以上、中でも0.1meq/mL以上、更には0.3meq/mL以上が好ましい。この値が上記範囲よりも低いと、充分な交換容量を得るために極めて大量のイオン交換体が必要となってしまい、実用上好ましくない。上限は特に制限されないが、通常は1meq/mL以下である。
【0028】
なお、以上説明したイオン交換体の単位重量又は体積当たりの交換容量の評価は、例えば、ダイヤイオンマニュアル(三菱化学)等を用いて行なうことができる。
【0029】
本発明のイオン交換体の化学構造は特に制限されず、後述する製造方法によって上述の連通孔構造(連続気泡構造)を形成できるものであれば、従来公知の各種の化学構造を採用することができるが、好ましい例としては、架橋共重合体にイオン交換基が結合した構造の化合物(イオン交換基含有架橋共重合体)が挙げられる。この場合、架橋共重合体やイオン交換基の種類は特に制限されず、従来公知の各種の架橋共重合体やイオン交換基を用いることが可能である。架橋共重合体とイオン交換基との組み合わせについても特に制限は無く、一の架橋共重合体に対して一種類のイオン交換基のみが結合していても良く、複数種類のイオン交換基が任意の組み合わせで結合していても良い。また、架橋共重合体中におけるイオン交換基の結合位置や存在比率も特に制限されず、イオン交換基が架橋共重合体の全体に存在していても局所的に偏在していても良く、密に存在していても疎らに存在していても良い。これらの条件は、架橋共重合体及びイオン交換基の種類や濾過材の用途等の条件に応じて適宜選択される。
【0030】
好ましい架橋共重合体の例としては、スチレンやその誘導体をジビニルベンゼン等の多官能性化合物と共重合させて架橋を施したスチレン系架橋共重合体が挙げられる。また、好ましいイオン交換基の例としては、アニオン交換基の場合、弱塩基性アニオン交換基として1〜3級アミノ基等が、強塩基性アニオン交換基として4級アンモニウム基等が挙げられ、カチオン交換基の場合、弱酸性カチオン交換基としてカルボキシ基、リン酸基等が、強酸性カチオン交換基としてスルホン酸基等が挙げられる。
【0031】
スチレン系架橋共重合体にイオン交換基が結合した構造のイオン交換体の中でも、アニオン交換体としては、下記一般式(1)及び/又は(2)で表わされる構造単位を含む架橋共重合体が好ましい。
【0032】
【化8】
Figure 2004206899
【0033】
【化9】
Figure 2004206899
【0034】
上記の一般式(1)及び一般式(2)において、Aは、架橋共重合体の主鎖とアニオン交換基とを連結する二価の連結基(スペーサ)であり、具体的には、炭素数1若しくは3〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は、メチレン基においてベンゼン環に結合する、炭素数4〜8のアルキレンオキシメチレン基を表わす。Aの炭素数が2の場合、構造的に不安定となってしまうため、また、Aの炭素数が9以上の場合、架橋共重合体の構成単位の分子量が大きくなり、重量あたりの交換容量並びに体積当たりの交換容量が低下してしまうため、何れも好ましくない。炭素数1若しくは3〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基の具体例としては、メチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等が挙げられる。炭素数4〜8のアルキレンオキシメチレン基の具体例としては、プロピレンオキシメチレン基、ブチレンオキシメチレン基、ペンチレンオキシメチレン基、ヘキシレンオキシメチレン基、ヘプチレンオキシメチレン基等が挙げられる。なお、上記例示基のうち構造異性基が存在するものについては、全ての構造異性基が例として含まれるものとする。
【0035】
また、上記一般式(1)において{−N+(R1)(R2)(R3)}で表わされる基、及び、上記一般式(2)において{−N(R1)(R2)}で表わされる基が、それぞれアニオン交換基として機能することになる。ここで、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数4以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基を表わす。炭素数4以下のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。炭素数4以下のヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基が挙げられる。なお、上記例示基のうち構造異性基が存在するものについては、全ての構造異性基が例として含まれるものとする。
【0036】
上記の一般式(1)及び一般式(2)におけるアニオン交換基の具体例としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ヒドロキシメチルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリメチルアンモニウム基、ジメチルエチルアンモニウム基、メチルジエチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、ピリジニウム基、エチレンジアミノ基、ジエチレントリアミノ、トリエチレンテトラメチル基、ポリエチレンイミノ基、ポリビニルアミノ基、イミノジ酢酸基、アミノリン酸基等が挙げられる。これらの中でも、トリメチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジエチレントリアミノ基、ジメチルアミノ基等が好ましい。
【0037】
また、上記一般式(1)において、X-は、対アニオンを表わす。X-の例としては、水酸イオン、塩化物イオン、臭素化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、蟻酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオンが挙げられる。上記例示の中でも、炭酸水素イオン又は水酸イオンが好ましい。とりわけ、イオン交換体を液相中で使用する場合には、X-としては水酸イオンが特に好ましく、気相中で使用する場合には、X-としては炭酸水素イオンが特に好ましい。
【0038】
上記の一般式(1)及び/又は一般式(2)で表される構造単位の架橋共重合体全体に対する存在比率は、通常50モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上の範囲である。得られるイオン交換体の交換容量を高くするためには、上記の構造単位の存在比率をできるだけ大きくすることが好ましい。この存在比率の値の上限は特に制限されないが、通常は99モル%以下である。
【0039】
上記の一般式(1)及び/又は一般式(2)で表される構造単位を含むアニオン交換体の単位乾燥重量当たりの交換容量は、通常0.1meq/g以上、好ましくは2meq/g以上、更に好ましくは3meq/g以上の範囲が好適である。上限は特に制限は無いが、通常10.0meq/g以下である。また、単位湿潤体積当たりの交換容量は、通常0.01meq/mL以上、好ましくは0.1meq/mL以上、更に好ましくは0.3meq/mL以上の範囲が好適である。上限は特に制限は無いが、通常1meq/mL以下である。
【0040】
一方、カチオン交換体としては、スルホン酸基をカチオン交換基として有する架橋共重合体、即ち、下記一般式(3)で表わされる構造単位を含む架橋共重合体が好ましい。
【0041】
【化10】
Figure 2004206899
【0042】
上記一般式(3)中、Y+は、対カチオンを表わす。Y+としては、例えば、水素イオン、Liイオン、Naイオン、Caイオン、Baイオン、アンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン等が挙げられる。上記例示の中でも、水素イオン又はNaイオンが好ましく、水素イオンが特に好ましい。
【0043】
上記の一般式(3)で表される構造単位の架橋共重合体全体に対する存在比率は、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上の範囲である。得られるイオン交換体の交換容量を高くするためには、上記の構造単位の存在比率をできるだけ大きくすることが好ましい。この存在比率の値の上限は特に制限されないが、通常は99モル%以下である。
【0044】
上記の一般式(3)で表される構造単位を含むカチオン交換体の単位乾燥重量当たりの交換容量は、通常0.1meq/g以上、好ましくは2meq/g以上、更に好ましくは3meq/g以上の範囲が好適である。上限は特に制限は無いが、通常5meq/g以下である。また、単位湿潤体積当たりの交換容量は、通常0.01meq/mL以上、好ましくは0.1meq/mL以上、更に好ましくは0.3meq/mL以上の範囲が好適である。上限は特に制限は無いが、通常1.5meq/mL以下である。
【0045】
以上説明したイオン交換基含有架橋共重合体は、一種類を単独で多孔質イオン交換体としても良く、異なる複数種類のイオン交換基含有架橋共重合体を任意に組み合わせて多孔質イオン交換体としても良い。後者の場合、イオン交換基含有架橋共重合体の組み合わせは任意であるが、濾過材の精製対象となる気体や液体には、通常は不純物としてアニオン成分とカチオン成分の双方が含まれているため、これらの成分を共に捕捉・除去できるように、アニオン交換基を有する一種又は二種以上の架橋共重合体と、カチオン交換基を有する一種又は二種以上の架橋共重合体とを組み合わせて多孔質イオン交換体とすることが好ましい。特に好ましい組み合わせとしては、上記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表される構造単位を含む一種又は二種以上の架橋共重合体と、上記一般式(3)で表される構造単位を含む一種又は二種以上の架橋共重合体との組み合わせが挙げられる。
【0046】
なお、上記の一般式(1)及び一般式(2)においてAが炭素数3以上の場合には、得られる多孔質イオン交換体は特に優れた耐熱性を示す。従って、この様な構造単位、即ち、下記一般式(4)及び/又は(5)で表わされる構造単位を含む架橋共重合体を有する多孔質イオン交換体は、高温条件下で使用される濾過材として特に好適に用いることができる。また、濾過材以外にも、高い耐熱性や強度、形状の安定性が要求される各種の用途、例えば半導体製造用のクリーンルームのエアフィルターや、(展示場、ホール、家庭、病院等の)空調用のエアフィルター、熱水・温水等の濾過材、(生体物質、アミノ酸、糖液、医薬、有機物質、蛋白質等の)生化学分野や医薬分野における各種物質の濾過材、電気脱イオン法(EDI)用の脱塩器、演算処理機構素子の脱塩器等の用途に好適に用いることができる。
【0047】
【化11】
Figure 2004206899
【0048】
上記一般式(4)中、A’は、炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素数4〜8のアルキレンオキシメチレン基を表わし、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数4以下のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基を表わす。X-は、対アニオンを表わす。
【0049】
【化12】
Figure 2004206899
【0050】
上記一般式(5)中、A’、R1及びR2は何れも、上記一般式(4)において同じ符号を付した基と同様の定義の基を表わす。
【0051】
[2]本発明の濾過材の製造方法:
本発明の濾過材の製造方法は任意であるが、好ましい方法としては、架橋共重合体の原料となる単量体成分、界面活性剤、及び水を混合し、油中水滴型乳濁液様の重合反応液を得、これを所望の容器に充填して重合させる方法が挙げられる。油中水滴型乳濁液様の重合反応液中では、主に単量体成分等からなる油相と水相とが相分離を起こして乳濁液化しているので、重合反応によって油相を硬化させた後に水相のみを取り除くことによって、多孔質の架橋共重合体が得られる。
ここで、予め目的のイオン交換基を有する単量体成分を用いて重合させるか、又は、架橋共重合体を製造した後に目的のイオン交換基を何らかの手法で導入することにより、多孔質のイオン交換体を容易に製造することができる。以下、この方法について詳細に説明する。
【0052】
架橋共重合体の原料となる単量体成分としては、目的とする架橋共重合体の種類に応じて適切なものを選択すれば良い。例えば、スチレン系架橋共重合体を製造する場合には、スチレン及び/又はその誘導体(スチレン系単量体成分)と、ジビニルベンゼン等の多官能性化合物(架橋性単量体成分)が用いられる。
【0053】
スチレン系単量体成分としては、スチレン;メチルスチレン、エチルスチレン等のアルキルスチレン;クロロスチレン、ブロモスチレン等のハルゲノアルキルスチレン;クロロメチルスチレン、ブロモブチルスチレン等のハロゲノアルキルスチレン;クロロブチロキシメチルスチレン、ブロモプロピロキシメチルスチレン等のハロゲノアルキレンオキシメチルスチレン;その他、ヒドロキシアルキルスチレン等の各種スチレン誘導体が挙げられる。これらの化合物は、何れか一種を単独で用いても良く、何れか二種以上を任意に組み合わせて用いても良い。これらの化合物は、目的とする架橋共重合体の種類や導入するイオン交換基の種類に応じて適宜選択される。通常はスチレン単体が好ましく用いられるが、架橋共重合体の製造後に特定のイオン交換基を導入する目的で、ハロゲノアルキルスチレンやハロゲノアルキレンオキシメチルスチレン等の他のスチレン誘導体を、単独又はスチレン単体と組み合わせて用いるのも好ましい。特に、上記一般式(4)や(5)の構造単位を含むイオン交換体を製造する場合には、これらの原料となるハロゲノアルキルスチレンやハロゲノアルキレンオキシメチルスチレン等のスチレン誘導体を単独で用いることが好ましい。
【0054】
架橋性単量体成分としては、ジビニルベンゼンやトリビニルベンゼン等の多官能性スチレン誘導体や、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のアクリル系多官能性化合物などが挙げられる。これらの化合物は、何れか一種を単独で用いても良く、何れか二種以上を任意に組み合わせて用いても良い。これらの化合物は、目的とする架橋共重合体の種類に応じて適宜選択すればよいが、中でもエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等が好ましく、ジビニルベンゼンが特に好ましい。
【0055】
架橋性単量体成分の使用量は、全単量体成分に対して通常0.5重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、また、通常80重量%以下、好ましくは65重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。架橋性単量体成分の使用量が上記範囲よりも少ないと、架橋が充分形成されないため濾過材の体積変化が大きくなってしまい、濾過材を容器と一体成型した後で容器との空隙が発生したり、細孔構造が閉塞したりする虞があるため好ましくない。また、架橋性単量体成分の使用量が上記範囲よりも多いと、架橋の形成が多くなり過ぎて通気・通液性を損なったり、充分な量のイオン交換基を導入できなくなったりする虞があるため、やはり好ましくない。
【0056】
これらのスチレン系単量体成分及び架橋性単量体成分に加えて、その他の単量体成分(第3の単量体成分)を使用しても良い。第3の単量体成分を使用する場合、例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、ビニルホルムアミド、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル等が挙げられる。これらの化合物は、何れか一種を単独で用いても良く、何れか二種以上を任意に組み合わせて用いても良い。これらの化合物は、目的とする架橋共重合体の種類に応じて適宜選択すればよい。第3の単量体成分の使用量はその種類及び組み合わせによって異なるが、全単量体成分に対して通常0重量%以上、また、50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
【0057】
なお、上述の単量体成分(スチレン系単量体成分及び架橋性単量体成分、並びに必要に応じて使用される第3の単量体成分)の他に、別の有機溶媒や高分子物質を加えても良い。重合反応に関与しない有機溶剤や高分子物質を加えることによって、重合反応時に、単量体成分とこれらの有機溶剤や高分子物質との間に相分離が発生する。その後、これらの有機溶剤や高分子物質を除去することによって、得られる多孔質共重合体のマトリックス部分に、先に述べた微細な細孔構造を形成することができる。微細細孔構造の物性は、使用する有機溶剤や高分子物質の種類、使用量、分子量等によって調節可能であり、その詳細は、例えばMacromolecules、24巻、P117(1991)等に記載されている。
【0058】
有機溶媒としては、単量体成分の重合反応に関与せず、且つ、単量体成分に対して好ましからぬ反応を引き起こさないものであれば、その種類は特に制限されないが、具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、イソオクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ベンジルアルコール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類、二塩化エチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化合物等が挙げられる。中でも、ヘプタン、イソオクタンが好ましい。有機溶媒の使用量は、その使用目的に応じて適宜変更すれば良いが、全単量体成分に対して通常0重量%以上、好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上であり、通常200重量%以下、好ましくは150重量%以下、更に好ましくは100重量%以下である。
【0059】
高分子物質としては、単量体成分の重合反応に関与せず、且つ、単量体成分に対して好ましからぬ反応を引き起こさないものであって、重合反応液の油相成分に溶解するものであれば、その種類は特に制限されない。高分子物質の分子量は、その種類によっても異なるが、通常1000以上、好ましくは2000以上、更に好ましくは5000以上であり、通常10万以下、好ましくは5万以下である。高分子物質の分子量が小さ過ぎると、充分な大きさの細孔を形成することができないので好ましくない。一方、高分子物質の分子量が大き過ぎると、重合反応液に溶解し難い、溶解に時間がかかる、重合反応液が粘調になる等の理由に加えて、必要以上に大きな細孔が形成されてしまい、架橋共重合体の形状安定性を阻害する虞があるので、やはり好ましくない。高分子物質の具体例としては、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリクロロスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。中でも、ポリスチレンが好ましい。高分子物質の使用量は、その使用目的に応じて適宜変更すれば良いが、全単量体成分に対して通常0重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、通常200重量%以下、好ましくは100重量%以下、更に好ましくは70重量%以下である。
【0060】
水の使用量は、全単量体成分に対して通常3重量倍以上、更には5重量倍以上が好ましく、また、通常50重量倍以下、更には20重量倍以下が好ましい。水の使用量が多過ぎる場合には、得られる架橋共重合体の強度が低くなってしまい、粉化し易くなるために好ましくない。一方、水の使用量が少な過ぎる場合には、充分な数及び大きさの細孔や連通孔が形成されず、濾過材として使用する場合に通気性・通液性が悪くなってしまい、イオン交換効率が低下してしまうので、やはり好ましくない。
【0061】
なお、水に塩等を溶解させて使用しても良い。これによって、単量体成分の水相への分配を抑制することができる。使用可能な塩としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。中でも、塩化ナトリウム、塩化カルシウムが好ましい。塩を使用する場合、その使用率は水に対して通常0重量%以上、好ましくは1重量%以上であり、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
【0062】
界面活性剤としては、重合反応液において水を保持して油中水滴型の乳濁液状態を形成できるものであれば、その種類は特に限定されず、公知のものを選択して使用することができる。例えば、ノニオン性界面活性剤として、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、グリセロールステアレート、ジグリセリンモノオレート、ポリエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンオニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジステアレート等が挙げられ、カチニオン性界面活性剤として、ステアリルトリメチルアンモニウムメチル硫酸塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩化物塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩化物塩等が挙げられ、アニオン性界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。界面活性剤の使用量は、使用される界面活性剤の種類や、その他の配合物の種類に応じて異なるが、一般には、水相(連続相)に対して通常0.01重量%以上、更には0.1重量%以上、また、通常10重量%以下、更には5重量%以上が好ましい。
【0063】
上述の各種成分に加えて、重合反応を簡単且つ確実に開始できるように、重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤の種類は特に制限されず、公知の各種の重合開始剤を使用することが可能である。具体例としては、過酸化ベンゾイル(BPO)、過酸化ラウロイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤、アゾイソブチロニトリル(AIBN)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:V−65(和光純薬))等のアゾ系重合開始剤、過硫酸カリウム等が挙げられる。中でも、BPO,AIBNが好ましい。その使用量は、全単量体成分に対して通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上であり、また、通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下である。
【0064】
製造の手順としては、まず、上に説明した単量体成分(スチレン系単量体成分及び架橋性単量体成分、並びに必要に応じて使用される第3の単量体成分)、水、界面活性剤、必要に応じて使用される有機溶媒及び/又は高分子物質、並びに必要に応じて使用される重合開始剤を混合して攪拌することにより、油中水滴型の乳濁液様の重合反応液を作成する。攪拌は、通常の攪拌機、ホモジナイザー、ミキサー等を用いて機械的に行なうことが好ましい。界面活性剤の種類や攪拌の条件等を変更することによって、乳濁液の物性を調整することができ、ひいてはそれによって得られるイオン交換体の細孔構造を制御することができる。
【0065】
なお、上記の攪拌を不活性気体の存在下で行なうとともに、この不活性気体が重合反応液中に気泡として取り込まれる様に激しく攪拌すると、不活性気体の気泡を有するムース様の重合反応液が得られる。このムース様の重合反応液を重合反応させることによって、より大きな細孔構造を有する架橋共重合体を製造することができる。不活性気体を使用する場合、その種類としては、窒素、アルゴン、空気、酸素、二酸化炭素等が挙げられるが、重合反応を阻害する虞の少なさや安全性の高さの点から、窒素ガスが好ましい。重合反応液(油相+水相)に対する不活性気体の混合率は、通常0体積%以上、また、通常200体積%以下、更には100体積%以下が好ましい。不活性気体の混合率が高過ぎると、必要以上の細孔が形成されてしまい、得られる架橋共重合体が脆弱になってしまうため好ましくない。形成される気泡の直径は、攪拌や重合の条件によって異なるが、通常0.5mm以上、好ましくは1mm以上であり、また、通常数十cm以下、好ましくは1cm以下である。
【0066】
上述の攪拌は、重合反応を行なう容器内で実施しても良く、それとは別の容器で実施しても良い。前者の手法では、攪拌後に重合反応液を別の容器に移し替える手間が省けるので効率的であるが、重合反応用の容器の形状が複雑な場合には、容器内の重合反応液を全体に均一に攪拌するのは困難である。一方、後者の手法では、攪拌後に得られた重合反応液を重合反応用の容器に充填する工程が必要となるが、適切な形状の容器を用いて攪拌を行なうことにより、重合反応用の容器の形状に制限されることなく、重合反応液を確実に均一となるよう攪拌できる。よって、後述する重合反応用の容器の形状に応じて、何れかの手順を選択するのが好ましい。
【0067】
上述の攪拌の後、得られた乳濁液様(或いはムース様)の重合反応液を、重合反応用の容器に充填した状態で重合反応させることにより、架橋共重合体を製造する。重合反応用の容器は特に制限されないが、目的とする濾過器の外枠となる容器、又はそれと同じ内部形状を有する容器を使用することが好ましい。これによって、濾過器の容器の内部形状に合わせて濾過材が成型されるので、濾過材と容器との間に隙間の無い、耐振動性や耐凍結・乾燥性に優れた濾過器を得ることができる。特に、目的とする濾過器の容器そのものを重合反応用の容器として用いることにより、濾過材を濾過器の容器と一体成型することができ、効率的であるとともに、濾過材を容器から取り外す必要が無いので濾過材と容器との密着性が損なわれず、濾過器の耐振動性や耐凍結・乾燥性がより向上する。
【0068】
重合反応用の容器の材質としては、重合反応液に含まれる単量体成分や有機溶媒に対する耐性、並びに、重合反応時の高温・高圧等の条件に対する耐熱性・耐圧性を有する材質であれば、任意に選択することができる。例えば、ガラス容器、プラスチック容器、金属容器等が挙げられるが、安全性、成型性、経済性の点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等のプラスチック容器が好ましい。容器の形状も任意であり、目的とする濾過器の形状に合わせて適切な形状とすれば良い。例えば、濾過器をフィルターとして製造する場合には、フィルターの外套容器を重合容器として用いれば良い。また、容易に取り外し/分解可能な形状の容器、例えば蓋付きの容器やシリンダー状の容器等も好ましい。
【0069】
なお、重合時には油相と水相との熱対流が起こり難いため、内部への熱伝導性が低下してしまう虞がある。従って、重合反応用の容器の形状は、外部の熱が内部まで伝わり易い形状とすることが好ましい。また、熱伝導性の改善のため、容器中に熱媒体を流通できる配管を多数配置しても良い。この場合、得られる架橋共重合体中の配管が存在した部分に孔部が形成されるが、この孔部を後述する通気又は通液のための流路として用いてもよい。
【0070】
重合反応は、不活性気体の雰囲気下、例えば、酸素を除いた窒素等の雰囲気下で行なう。重合の形式としては、熱重合、放射線重合、光重合等の何れの形式でも良く、これらの重合形式に応じた熱、放射線、光等の条件を加えることにより重合反応を実施する。特に、重合反応液に重合開始剤を加えた場合には、重合開始剤の種類に応じて適切な条件を与える。例えば、熱重合の場合には、上記の重合反応液を充填させた容器を反応釜に入れ、外部から加熱して重合すればよい。
【0071】
重合温度は、重合開始剤の半減期温度や含有率、単量体成分の種類等の各種条件によって異なるが、充分な反応速度を得るためには、ある程度の高温下で重合反応を行なうことが好ましい。具体的には、通常40℃以上、好ましくは60℃以上の範囲が好適である。但し、重合温度が高過ぎると容器に多大な負担がかかることから、通常250℃以下、好ましくは150℃以下である。
【0072】
また、重合圧力も、上記の各種条件や重合温度等によって異なるが、通常常圧又は好ましくは0.1MPa以上の範囲が好適である。特に、重合温度を100℃以上とする場合には、反応液中に水が含有されているため、加圧下で重合反応を行なう必要がある。但し、重合圧力が高過ぎるとやはり反応容器に多大な負担がかかることから、通常1MPa以下、好ましくは0.5MPa以下である。
【0073】
重合時間は、重合反応が充分に進行するまで行なう。具体的な時間は、反応圧力や反応温度等の条件によって異なるが、できるだけ短時間とすることが好ましく、通常24時間以下、好ましくは12時間以下の範囲が好適である。下限は特に制限されないが、通常0.01時間以上、更には0.05時間以上である。
【0074】
重合反応後の反応生成物中には、目的の架橋共重合体の他に、未重合の単量体成分や、有機溶媒、高分子物質、界面活性剤、塩等が残留する。よって、水や有機溶媒等の溶剤を用いて洗浄することにより、これらの残留成分を取り除く必要がある。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、トルエン、クロロベンゼン、ニ塩化エチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられる。洗浄の際の溶剤の使用量は、単量体成分の種類や重合反応の条件等によって異なるが、通常1倍量以上、好ましくは2倍量以上、また、通常100倍量以下、好ましくは10倍量以下の範囲である。洗浄時には反応生成物を加熱することによって、洗浄の効率を高めることが可能である。
この場合、洗浄に用いられる溶剤の沸点以下の温度に加熱しながら洗浄を行なうことが好ましい。また、水を溶剤として用いる場合には、水や温水の他、水蒸気を通気しながら洗浄することも可能である。
【0075】
以上の手順により多孔質の架橋共重合体を得ることができるが、これにイオン交換基を導入する方法としては、上述の様に、予め目的のイオン交換基を有する単量体成分を用いて重合させる方法と、架橋共重合体を製造した後に目的のイオン交換基を何らかの手法で導入する方法とが挙げられる。これらの方法は何れも公知であり、架橋共重合体の種類や導入するイオン交換基の種類、導入量等に応じて適宜選択すれば良いが、前者の方法では重合反応中にイオン交換基が変性又は消失してしまう虞があるので、後者の方法で重合反応後にイオン交換基を導入することが好ましい。
【0076】
具体例として、架橋共重合体にカチオン交換基としてスルホン基を導入し、上記一般式(3)の構造単位を含むカチオン交換体を製造する場合には、架橋共重合体にスルホン化試薬を作用させてベンゼン環をスルホン化すれば良い。スルホン化試薬としては、濃硫酸、発煙硫酸、クロロ硫酸等の各種の硫酸・硫酸化合物、及び、これらの硫酸・硫酸化合物を二塩化エチレン、ニトロベンゼン、ジオキサン、クロロベンゼン等の溶媒と混合したものが挙げられる。硫酸・硫酸化合物を溶媒と混合してスルホン化試薬とする場合には、その混合比を調整することによって、スルホン基の導入量を調整することができる。スルホン化試薬に架橋共重合体を浸すことにより、架橋共重合体のスルホン化を行なう。スルホン化の際の反応温度は、通常50℃以上、好ましくは70℃以上である。スルホン化の際の反応時間は、通常1時間以上、好ましくは2時間以上、また、通常24時間以下、好ましくは12時間以下である。
【0077】
なお、従来のイオン交換膜やイオン交換樹脂の製造においては、スルホン化の終了後にスルホン化試薬の濃度を急激に下げると、イオン交換膜やイオン交換樹脂が破損する虞があるため、徐々にスルホン化試薬の濃度を下げていかなかればならなかった。しかし、本発明においては、連通孔状の多孔質構造を有しているので、架橋共重合体に生じた歪みが連通空間の存在によって緩和され、スルホン化試薬の濃度を急激に下げても破砕する虞がなく、スルホン化の作業効率が極めて良い。
【0078】
また、上記の一般式(1)や一般式(2)の構造単位を含むアニオン交換体を製造する場合には、下記の一般式(6)で表わされる構造単位を有する架橋共重合体を製造し、次いで、この架橋共重合体に下記一般式(7)又は下記一般式(8)で表わされる構造のアミン類又はその誘導体を含むアミノ化試薬を作用させて、ハロゲンを置換してアミノ化すれば良い。
【0079】
【化13】
Figure 2004206899
【0080】
上記一般式(6)中、Aは、上記一般式(1)において同じ符号を付した基と同様の定義の基を表わす。また、Xはハロゲンを表わす。ハロゲンの種類としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられるが、塩素又は臭素が好ましい。
【0081】
上記一般式(6)の構造単位を有する架橋共重合体を得るためには、重合反応により得られたスチレン系架橋共重合体のスチレン残基に、上記一般式(6)中の−AXで表わされるハロゲノアルキル基又はハロゲノアルコキシメチル基を導入すれば良い。これらのハロゲノアルキル基やハロゲノアルコキシメチル基の導入は、イオン交換樹脂の分野で一般に知られている公知の方法に従えばよい。
【0082】
また、上記一般式(6)の構造単位を有する架橋共重合体を得る別の手法として、上記一般式(6)の構造単位に対応するスチレン誘導体(ハロゲノアルキルスチレン又はハロゲノアルキレンオキシメチルスチレン)を予め単量体成分として用いて重合反応を行なう手法が挙げられる。
【0083】
【化14】
Figure 2004206899
【0084】
上記一般式(7)中、R1,R2及びR3は何れも、上記一般式(1)において同じ符号を付した基と同様の定義の基を表わす。
【0085】
【化15】
Figure 2004206899
【0086】
上記一般式(8)中、R1及びR2は何れも、上記一般式(2)において同じ符号を付した基と同様の定義の基を表わす。
【0087】
上記一般式(7)又は一般式(8)で表わされるアミン類又はその誘導体の具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルアミン等が挙げられる。
【0088】
上述のアミン類が液体の場合にはそのまま若しくは他の溶媒と混合して、また、固体の場合には他の溶媒に溶解させて、アミノ化試薬とする。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、アセトン等、並びにこれらの化合物のうち二種以上の混合溶媒が挙げられる。得られたアミノ化試薬に架橋共重合体を浸すことにより、架橋共重合体のアミノ化を行なう。アミノ化の際の反応温度は通常25℃以上、好ましくは40℃以上である。反応時間は通常0.1時間以上、好ましくは1時間以上、また、通常24時間以下、好ましくは12時間以下である。
【0089】
以上説明した手法でイオン交換基を導入した後、得られたイオン交換体を必要に応じて溶剤で洗浄し、残留する各種の原料や分解/溶出した共重合体の断片を除去する。洗浄に使用する溶剤としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、MIBK、MTBE、トルエン、クロロベンゼン、ニ塩化エチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等、並びに、これらのうち二種以上の混合溶媒が挙げられる。溶剤の使用量は、イオン交換体に対する体積当たりの値として、通常1倍量以上、通常100倍量以下である。
【0090】
洗浄後、得られたイオン交換体は、そのままの状態で、又は必要に応じて以下の再生や乾燥の処理を行なった上で、本発明の濾過材として使用できる。
【0091】
再生処理の要・不要は、イオン交換基の種類によって異なる。カチオン交換体の場合、カルボキシ基等を有する弱酸性カチオン交換体も、スルホン酸基等を有する強酸性カチオン交換体も、一般に、希塩酸溶液等の酸性溶液を通液して再生を行なうことが好ましい。
【0092】
アニオン交換体の場合、1〜3級アミノ基等を有する弱塩基性アニオン交換体であれば、再生処理は不要である。一方、4級アンモニウム基等を有する強塩基性アニオン交換体の場合、塩基性溶液を通液して再生を行なってから使用する。
再生に使用する塩基性溶液は、このアニオン交換基の種類やイオン交換体の使用形態に応じて、イオン交換体が適切なイオン形となる様に選択する。例えば、イオン交換体を液相中で使用する場合には、水酸化ナトリウムやその水溶液等を通液して再生し、水酸イオン形とすることが好ましい。この場合、空気中の炭酸を吸収して炭酸水素イオン形となってしまう虞があるので、再生後に加工等の作業を行なう際には、空気に直接触れない様な環境で行なう。一方、イオン交換体を気相中で使用する場合には、炭酸水素ナトリウムやその水溶液等を通液して再生し、炭酸水素イオン形とすることが好ましい。また、水酸化ナトリウムやその水溶液等を通液して水酸イオン形とした後、ドライアイス、二酸化炭素、空気等と接触させることにより炭酸水素イオン形に変換しても良い。
【0093】
また、乾燥処理は、イオン交換体を液相で使用する場合には不要であるが、気相中で使用する場合には必要となる。本発明のイオン交換体は水を保持し易く、また、熱伝導性が低いため、乾燥に多大の時間を要する。従って、乾燥を簡便にするために、イオン交換体を水よりも沸点の低く、且つ、水と双溶性を有する有機溶媒に含浸させた後、取り出して乾燥するのが好ましい。また、遠心分離器を用いて水や有機溶媒の除去を行なっても良い。更には、イオン交換体が乾燥し易い形状にイオン交換体を切除・加工したり、予め適切な形状の重合反応用の容器を用いてそのような形状に成型したりしても良い。
【0094】
本発明の濾過材の形状は特に制限されず、使用される濾過器の大きさや形状に合わせて、任意の形状に加工・成型することができる。また、その大きさも特に制限されないが、通常は各辺が1cm以上、数百cm以下程度である。
【0095】
[3]本発明の濾過材の用途:
本発明の濾過材は、一般的な燃料電池に設けられ、各種の液体又は気体を精製するための、各種の濾過器における濾過材として使用される。
【0096】
濾過材の精製対象となる気体や液体には、通常は不純物としてアニオン成分とカチオン成分の双方が含まれているため、これらのイオン不純物の捕捉・除去を行なうためには、アニオン交換体とカチオン交換体の両方が必要である。本発明では、アニオン交換基を有する一種又は二種以上の架橋共重合体と、カチオン交換基を有する一種又は二種以上の架橋共重合体とを混合して混床状態のイオン交換体を製造し、これを濾過材として使用しても良く、アニオン交換体からなる濾過材とカチオン交換体からなる濾過材とを別に用意し、これらを組み合わせて使用しても良い。前者の構成とすれば、濾過器を一つに纏めることができ、管理の簡素化化や省スペース化に繋がるのに対して、後者の構成とすれば、カチオン交換体とアニオン交換体を個別に交換・再生することができ、より効率的な管理が可能となる。
【0097】
混床状態のイオン交換体を製造する場合、アニオン交換体とカチオン交換体との混合比は、目的に応じて使い分ければ良い。酸性ガスやアニオン種等のアニオン不純物が多い条件下では、アニオン交換体の含有率を高くすることが望ましく、塩基性ガスやカチオン種等のカチオン不純物が多い条件下では、カチオン交換体の含有率を多くすることが望ましい。
【0098】
一方、アニオン交換体とカチオン交換体とを別に用意する場合には、これらを直列に配置しても良く、並列に連結して配置しても良い。直列に配置する場合、どちらのイオン交換体を先に配置しても良い。また、それぞれ複数個配置しても良い。また、それぞれイオン交換体の交換容量やイオン成分の漏出濃度が異なるため、容器の大きさは異なっていても良い。なお、アニオン不純物又はカチオン不純物の何れか一方のみを捕捉・除去すれば良い環境ならば、アニオン交換体とカチオン交換体の何れか一方のみを使用すれば良い。
【0099】
燃料電池は一般に、半年に1回から3年に1回程度の点検が行なわれる場合が多く、濾過器や濾過材の交換もその際に行なわれると推測される。従って、濾過材の寿命をできるだけ長くするため、イオン交換体の塩形変換率は高いことが望ましい。本発明の濾過材の塩形変換率は、通常90%以上、好ましくは95%以上と極めて高く、燃料電池における長期間の使用に適している。
【0100】
本イオン交換体への通気・通液速度は、燃料電池やイオン交換体やその細孔構造、電導度の条件、媒体、温度によっても異なるが、気体の場合には、通常SV500以上、好ましくはSV2000以上、また、通常SV200,000以下、好ましくはSV100,000以下の範囲で通気する。また、液体の場合には、通常SV1以上、好ましくはSV5以上、また、通常SV300以下、好ましくはSV100以下の範囲で通液する。なお、本明細書においてSVとは、単位空間当たりの通気速度又は通液速度を表わす。
【0101】
なお、本発明の濾過材が、微粒子やゴミ等の付着により物理的に汚染された場合には、その使用の前に、付着物で汚染された箇所を切除してから使用しても良い。また、有機物等により化学的に汚染された場合には、その使用の前に、溶媒で洗浄した上で、再生してから使用しても良い。洗浄に使用可能な溶媒としては、トルエン、ヘキサン、メタノ−ル、エタノール、DMF、アセトン、二塩化エチレン等、またはこれらの水溶液などが挙げられる。これらの溶媒の使用量は、イオン交換体の体積に対して通常0.5倍量以上、通常5倍量以下である。
【0102】
勿論、本発明の濾過材は、イオン交換によって各種のイオン不純物を捕捉・除去するイオン交換体として機能するとともに、気体や液体中に存在するゴミ、微粒子、粉塵等の不純物を物理的に濾別・除去するフィルターとしても機能する。
濾別可能な不純物の大きさは、濾過材の有する気泡の大きさを制御することによって調整できる。但し、濾別される不純物が余りに多過ぎると、本発明の濾過材のイオン交換体としての機能が阻害されることになるため、特に多くの不純物の存在が想定される用途の場合には、本発明の濾過材を有する濾過器の前段又は後段に不織布や活性炭等からなるフィルターを設け、本発明の濾過材の負荷を低減してもよい。
【0103】
本発明の濾過材を気相中で使用する場合には、気体を高速で通気する必要がある。また、液相中で使用する場合でも、粘性の高い液体を精製する際には、液体の流通速度が低下し易い。よって、気体や液体の高い流速を確保するために、濾過材中に通気・通液のための孔状の流路を設けても良い。この流路は、その体積が容器の全体積に対して通常10%以上、通常70%以下の範囲となる様にする。流路の体積が上記範囲よりも大きいと、濾過材の体積当たりの交換容量が低下するので好ましくない一方、上記範囲よりも小さいと、充分な通気性・通液性を確保することができない。流路の形成は、濾過材の成型後に加工を施すことにより行なっても良いが、濾過材の成型時に同時に形成しても良い。後者の場合、重合反応時に管状又は棒状の型などを重合反応液に挿入しておき、重合反応後にそれを取り除くことによって、容易に形成することができる。特に、上述した熱媒体を流通させるための配管を重合反応用の容器内に配置する場合には、その配管によって形成された孔部を流路として用いても良い。
【0104】
本発明の濾過器の用途として、具体的には、図1に示す濾過器61〜66としての用途が挙げられる。なお、図1は従来の技術の説明に用いた図であるが、図1に示す燃料電池1の基本的な構成は本発明の適用時も変わらないので、同様に図1を用いて説明することにする。
【0105】
第1の用途は、燃料電池1の空気極2に供給される、酸素を含有する気体(酸素源)を精製するための濾過器61である。一般的な燃料電池1では、この酸素源として、外気を取り入れて空気極2に供給する場合が多い。空気中には、種々のイオン種や塩等のイオン成分が、不純物として浮遊している。例えば、カチオン種としては、酸性ガス由来の二酸化イオウ、一酸化イオウ、二酸化窒素、酸化窒素、塩酸(ガス)、硫酸ミスト、臭化水素ガス、リン酸、フッ化物イオン、塩化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン等が挙げられる。また、アニオン種としては、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等が挙げられる。これらのイオン成分(イオン不純物)の存在は、燃料電池に致命的な影響を与える虞があるので、空気中からこれらのイオン不純物を捕捉、除去するために濾過器61が使用される。
【0106】
本用途の濾過器61は、種々の過酷な環境で使用されることになる。例えば、濾過器61が精製する空気の温度は環境中の温度に大きく依存するため、極めて高温(例えば50℃以上)又は低温(例えば−30以下)の条件下での使用が想定される。また、外気を取り込んで精製するため、基本的に気相中、乾燥条件下で使用される上に、外気の湿度条件の変化をそのまま蒙ることになる。また、外部の激しい振動等や結露等の影響を受ける場合も多い。よって、本用途の濾過器61には、上述した各種の過酷な条件(高温・低温(凍結)条件、高湿・低湿(乾燥)条件、振動条件、結露条件など)に対する耐性が要求される。更に、海岸付近等の環境では、海水由来のイオン不純物(塩化ナトリウム結晶、ナトリウムイオン、塩素イオン等)を高濃度に含む空気を精製することから、高い脱塩性能を長期間維持する必要がある。本発明の濾過材は、上述の過酷な条件下でも濾過材の損傷が生じ難く、且つ、長期間にわたって良好な脱塩性能を維持することが可能であるので、濾過器61の濾過材として好適に用いられる。
【0107】
なお、高温条件下ではイオン交換体が熱によって劣化し易い上に、アニオン交換体の場合にはアニオン交換基の分解によってトリメチルアミン等の分解物が生成し、これが臭気の原因となったり、併用するカチオン交換体へのイオン負荷となってカチオン交換体のイオン交換効率を低下させたりする虞がある。従って、アニオン交換体としては、例えば上記一般式(1)や(2)の構造単位、特に上記一般式(4)や(5)の構造単位を含む架橋共重合体の様な、耐熱性に優れたアニオン交換体を使用することが望ましい。
【0108】
加えて、特に自動車,飛行機,船舶等の各種輸送機械の燃料電池に使用する場合には、濾過器61は気体を高速条件下で取り込んで精製する必要があるため、充分な気体流路の確保も必要となる。よって、濾過材に気体を流通させるための通路を設けておくことが好ましい。
【0109】
なお、アニオン交換体を気相中で使用すると、空気中の炭酸ガスを吸収して炭酸水素イオン形となるため、アニオン交換体の対イオンは炭酸水素イオン(重炭酸イオン)とすることが好ましい。塩化物イオン形、フッ化物イオン形、有機酸イオン形の状態では、イオンの選択性が高いためにイオンの捕捉能力に劣る。また、弱塩基型アニオン交換体(例えば、上記の一般式(2)や(5)の構造単位を含む架橋共重合体等)も使用可能であるが、イオンの捕捉能力が充分でないことから、強塩基型アニオン交換体(例えば、上記の一般式(1)や(4)の構造単位を含む架橋共重合体等)を使用することが望ましい。
【0110】
一方、カチオン交換体としては、弱酸性カチオン交換体(例えば、カルボキシ基を有する架橋共重合体等)も使用できるが、やはりイオンの捕捉能力が充分でないことから、強酸性カチオン交換体(上記一般式(3)の構造単位を含むスルホン酸型の架橋共重合体等)が適切である。また、カチオン交換体の対イオンは水素イオン形とすることが好ましい。
【0111】
第2の用途は、燃料電池1本体を冷却する熱媒体を精製するための濾過器62である。燃料電池1は作動中に発熱するので、熱交換によってこの熱を燃料電池1の外部に排出し、燃料電池1の温度を一定に維持するために、燃料電池1の周囲に熱媒体が循環する通路が配置されている。この熱媒体の中には、燃料電池1の各種部材や燃料等に由来する各種のイオン不純物が混入する。例えば、金属部材由来のイオン、プラスチック類由来のイオン、可塑剤成分の溶出、分解物イオン、熱媒体が分解されて生じた酸類、電解質4として用いられるイオン交換膜由来の硫酸イオン、フッ化物イオン、燃料由来の酸類、触媒由来の金属イオン、無機イオン、空気極2由来の空気中のイオン成分、炭酸ガス等が挙げられる。これらのイオン不純物の存在は、熱媒体の循環を妨げて熱交換効率を低下させる虞があるほか、熱媒体の電気電導度を上昇させて液絡を引き起こす虞もあるので、熱媒体からこれらのイオン不純物を捕捉、除去するために濾過器62が使用される。
【0112】
熱媒体としては様々な媒体が使用されるが、燃料電池1の作動時の温度は一般に100℃を越える一方、特に屋外等の寒冷な環境等では0℃未満の温度に低下する場合もあるので、一般的には水以外の媒体及びそれらの水溶液が使用される。例としては、モノエチレングリコール(MEG)、ジエチレングリコール、グリセリン等、及びそれらの水溶液が挙げられるが、中でもMEGの水溶液がよく使用されている。これらの媒体は様々な濃度で使用されているが、熱媒体の蒸気圧や毒性、比熱、危険物としての取り扱い等を考慮して、通常は30%以上、また80%以下、更には70%以下という比較的低濃度の水溶液として使用されている。
【0113】
本用途の濾過器62は、上述の様に極めて高温(例えば100℃を超える温度)の熱媒体や、場合によっては極めて低温(例えば0℃未満)の熱媒体を取り込んで精製することになる。また、外部の激しい振動等の影響を受ける場合も多い。よって、本用途の濾過器62には、各種の過酷な条件(高温・低温条件、振動条件など)に対する耐性が要求される。更に、燃料電池1の各種部材や燃料等に由来する各種のイオン不純物を高濃度に含む熱媒体を精製することから、高い脱塩性能を長期間維持する必要がある。本発明の濾過材は、上述の過酷な条件下でも濾過材の損傷が生じ難く、且つ、長期間にわたって良好な脱塩性能を維持することが可能であるので、濾過器62の濾過材としても好適に用いられる。
【0114】
本用途の濾過器62に本発明の濾過材を使用する場合、上述の様に各種のイオン不純物を捕捉するため、通常はアニオン交換体、カチオン交換体とも再生形で使用される。また、高濃度に存在するこれらのイオン不純物を確実に吸着するために、カチオン交換体は強酸性カチオン交換体、アニオン交換体は強塩基性アニオン交換体であることが好ましい。
【0115】
濾過器62の配置としては、熱媒体の循環通路の途中に濾過器62を挿入して、熱媒体の全量を直接精製しても良く、熱媒体の循環通路にバイパスを設けてそこに濾過器62を挿入し、熱媒体の一部をバイパスさせて精製しても良い。また、濾過器62への通液量、通液速度や循環時間の条件も任意であり、燃料電池1の使用条件や熱媒体の種類等に応じて、熱媒体の絶縁性や熱交換効率を維持することができる様に適宜選択すればよい。
【0116】
なお、高温条件下では、熱によるイオン交換体の劣化に加えて、上述した様にトリメチルアミン等の分解物が生成する虞がある。従って、アニオン交換体としては、例えば上記一般式(1)や(2)の構造単位、特に上記一般式(4)や(5)の構造単位を含む架橋共重合体の様な、耐熱性に優れたアニオン交換体を使用することが望ましい。
【0117】
第3の用途は、燃料電池1の電解質4におけるプロトンの移動に伴い、空気極2から発生する水和水や水蒸気を精製するための濾過器64である。一般的な燃料電池1では、空気極2から発生するこれらの水や水蒸気を再び燃料極3に供給し、電解質4として主に用いられているイオン交換膜を湿潤状態に保つ必要がある。しかし、これらの水や水蒸気には、上述の熱媒体と同様、燃料電池1の各種部材や熱媒体、燃料、空気等に由来する各種のイオン不純物が混入する。燃料極3に供給された水分は燃料電池1の性能に大きな影響を与えるので、燃料電池1の性能を維持するためにこれらの水分を極めて純度の高い状態に保つ必要がある。よって、空気極2から発生する水や水蒸気からこれらのイオン不純物を捕捉、除去するために濾過器64が使用される。
【0118】
本用途の濾過器64は、上述の濾過器62と同様に、各種の過酷な条件(高温・低温条件、振動条件など)に対する耐性が要求される。加えて、濾過器64の精製対象は主に水であるため、寒冷地等では濾過材が凍結する虞もある。よって、凍結条件に対する耐性も必要となる。更に、燃料電池1内に供給される水や水蒸気を精製することから、極めて高い脱塩性能を維持する必要がある。本発明の濾過材は、上述の過酷な条件下でも濾過材の損傷が生じ難く、且つ、長期間にわたって良好な脱塩性能を維持することが可能であるので、この濾過器64の濾過材としても好適に用いられる。
【0119】
特に、電解質4で使用される水分にカチオン不純物が残留していると、電解質4のイオン交換膜が有するスルホン酸基等のカチオン交換基のプロトンが選択性の高いカチオン成分で汚染される結果、放置しておくと起電力が低下する可能性がある。通常、燃料電池1の使用中はプロトンの発生によりイオン交換膜は再生され、ある程度のイオン交換膜の自己修復/イオンの再生は可能である。しかしながら、カルシウムイオン、金属由来の鉄イオン、クロムイオン、ニッケルイオン、触媒由来の白金イオン等の選択性の高いカチオン不純物がイオン交換膜に配位すると、イオン交換膜のカチオン交換基が再生するまでに長時間を要したり、場合によっては再生が不可能となったりする場合がある。このため、水分中に選択性の高いカチオン不純物が存在する場合は、これをできる限り濾過器64で捕捉、除去しなければならない。従って、濾過器64に本発明の濾過材を用いる場合には、これらの選択性の高いカチオン不純物を捕捉、除去するために、キレート性のカチオン交換基を有するカチオン交換体からなる濾過材を用いるのが好ましい。例えば、イミノジ酢酸基を導入したカチオン交換体、アミノリン酸基を導入したカチオン交換体等があげられる。
【0120】
また、空気極2から発生する水分中にフッ化物イオン、塩化物イオン、硫酸イオン、有機酸イオン、炭酸イオン等のアニオン不純物が溶解していると、燃料電池1の各種部材の腐食の原因となる。また、リン酸型燃料電池の場合には、リン酸の揮発によりリン酸イオンが水分中に溶解する場合があり、これもやはり腐食を引き起こす虞がある。従って、濾過器64の濾過材としては、上述のカチオン交換体に加えて、これらのアニオン不純物を捕捉・除去するために、アニオンイオン交換体からなる濾過材を併用するのが好ましい。
【0121】
第4の用途は、燃料電池1の燃料極3や改質器5に供給される水を精製して純水とするための濾過器65,66である。上述の様に、固体高分子膜型(PEM型)等の電解質4は湿潤状態を維持する必要があるが、空気極2から発生する水分を燃料極3に再供給する過程において多少なりとも水分のロスが発生するため、外部から水分を燃料極3に補給する必要がある。また、改質器5では燃料(天然ガス、ブタンガス)を金属触媒により水素に変換する反応や、副生した一酸化炭素を毒性の少ない二酸化炭素に変換する反応が行なわれるが、これらの反応のために外部から改質器5に水分を水蒸気の形態で供給する必要がある。燃料極3や改質器5に供給された水分は燃料電池1の性能に大きな影響を与えるので、燃料電池1の性能を維持するために極めて純度の高い水分を使用する必要がある。
通常は純水を供給するが、燃料電池1の各種部材等に由来するイオン不純物が混入する虞があるため、これらのイオン不純物を捕捉、除去するために濾過器65,66が使用される。
【0122】
本用途では、イオン交換体は脱塩を主目的とするため、アニオン交換体はOH形、カチオン交換体はH形で使用することが好ましい。さらに、本用途でも濾過材の使用温度は燃料電池1の作動温度に応じて極めて高くなることが予想されるので、高い耐熱性を備えたイオン交換体を使用することが好ましい。
【0123】
第5の用途は、燃料電池1の空気極2から排出される排気ガスを精製するための濾過器63である。空気極2から発生するガスに含まれるのは通常は水蒸気(及び多少の空気や酸素)だけであり、これらの水蒸気は基本的に捕集されて濾過器64で精製され、燃料極3に再供給されるが、一部の不要なガスは排気ガスとして燃料電池1の外部に排出される。この排気ガスには微量ながら、燃料電池1の各種部材や燃料、空気等に由来する各種のイオン不純物が混入する場合がある。よって、これらのイオン不純物を捕捉、除去するために濾過器63が使用される。
【0124】
以上、図1に示した各濾過器61〜66に本発明の濾過材を使用する場合について説明したが、本発明の濾過材の応用例はこれらに限定される訳ではなく、その要旨を越えない限りにおいて、従来の濾過材が用いられてきた各種用途を含む様々な用途への応用が可能である。
【0125】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0126】
[実施例1]
単量体成分としてスチレン(St)8.5gとジビニルベンゼン(純度80%)1.5gを混合し、これに重合開始剤である過酸化ベンゾイル(純度40%)0.15gを溶解して、重合反応液の油相成分となる溶液を調製した。また、水50gに界面活性剤であるスパン80(ソルビタンモノオレアート)(東京化成)2.8gを溶解して、重合反応液の水相成分となる溶液を調製した。これらの溶液をビーカーに入れて重合反応液とした。この重合反応液を窒素で10分間バブリングし、溶存している酸素を除去した後、ミキサーを用いて回転速度2000rpmで5分間攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液をビーカーごと90℃のウォーターバスに浸して5時間加温し、熱重合反応を行なった。重合反応後、得られた白色発泡体状の架橋共重合体をビーカーから取り出し、カッターナイフで約5mmの厚さに裁断して、ガラスカラムに充填した。カラム中の架橋共重合体を脱塩水で3回洗浄した後、遠心分離機で水切りして付着水を除いた。この架橋共重合体8gに、ニトロベンゼン200mL及び濃硫酸100mLgを加え、100℃に加熱してスルホン化を行なった。得られたカチオン交換体を水洗し、更にニトロベンゼン臭がなくなるまでメタノールで洗浄した上で、真空乾燥器を用いて50℃で5時間かけて乾燥して、最終的に多孔質カチオン交換体からなる濾過材を得た。
【0127】
[実施例2]
単量体成分としてp−クロロメチルスチレン(CMS)9.0gとジビニルベンゼン(純度80%)1.0gを混合し、これに重合開始剤である過酸化ベンゾイル(純度40%)0.15gを溶解して、重合反応液の油相成分となる溶液を調製した。一方、水90gに界面活性剤であるスパン80(東京化成)0.5gを溶解して、重合反応液の水相成分となる溶液を調製した。これらの溶液をビーカーに入れて重合反応液とした。この重合反応液を窒素ガスで10分間バブリングし、溶存している酸素を除去した後、マグネチックスターラーで激しく攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液をビーカーごと90℃のウォーターバスに浸して10時間加温し、熱重合反応を行なった。重合反応後、得られた白色発泡体状の架橋共重合体をビーカーから取り出し、カッターナイフで約1cmの大きさに裁断して、ガラスカラムに充填した。カラム中の架橋共重合体を脱塩水500mlで洗浄した後、更にメタノール100mlで洗浄した。この架橋共重合体をカラムから取り出して500mlのフラスコに入れ、30%トリメチルアミン水溶液30ml及びメタノール100mlを加え、徐々に昇温して30℃で24時間攪拌しながら静置して、アミノ化反応を行なった。アミノ化反応後、フラスコ中の溶液を塩酸で中和した上で、得られたアニオン交換体を取り出してガラスカラムに充填した。カラム中のアニオン交換体をメタノール100mlで洗浄した後、脱塩水500mlで水洗した。更に、カラムに2N水酸化ナトリウム水溶液500mlをSV5で通液してアニオン交換体を再生し、最終的に多孔質アニオン交換体からなる濾過材を得た。
【0128】
[実施例3]
単量体成分として4−ブロモブチルスチレン(BBS)8.4gとジビニルベンゼン(純度80%)1.6gを混合し、これに重合開始剤であるV−65(2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):和光純薬)0.10g及び界面活性剤であるスパン80(東京化成)3.2gを溶解させ、重合反応液の油相成分となる溶液を調製した。一方、水50gに塩化ナトリウム1gを溶解して、重合反応液の水相成分となる溶液を調製した。これらの溶液をビーカーに入れて重合反応液とした。この重合反応液を窒素ガスで10分間バブリングし、溶存している酸素を除去した後、マグネチックスターラーで激しく攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液をビーカーごと85℃のウォーターバスに浸して10時間加温し、熱重合反応を行なった。重合反応後、得られた白色発泡体状の架橋共重合体をビーカーから取り出し、カッターナイフで約1cmの大きさに裁断して、ガラスカラムに充填した。カラム中の架橋共重合体を脱塩水500mlで洗浄した後、更にエタノール100mlで洗浄した。この架橋共重合体をカラムから取り出して500mlのフラスコに入れ、30%トリメチルアミン水溶液30ml及びエタノール50mlを加え、徐々に昇温して40℃で10時間攪拌しながら静置して、アミノ化反応を行なった。アミノ化反応後の操作は実施例2と同様に行ない、最終的に多孔質アニオン交換体からなる濾過材を得た。
【0129】
[実施例4]
実施例3において水相の脱塩水の量を80gとした以外は、実施例3と同様の操作を行ない、最終的に多孔質アニオン交換体からなる濾過材を得た。
【0130】
[実施例5]
実施例3において、重合反応液の油相における4−ブロモブチルスチレンの量を7.6g、ジビニルベンゼンの量を2.4gとした以外は、実施例3と同様の操作を行ない、最終的に多孔質アニオン交換体からなる濾過材を得た。
【0131】
[実施例6]
実施例3と同様の操作で重合反応液の作成及び攪拌を行なった後、得られた乳濁液に窒素ガスを緩やかに通気したところ、乳濁液が窒素ガスを抱き込んで、体積が約1.5倍のムース様液が得られた。このムース様液をビーカーごと80℃のウォーターバスに浸して10時間加温し、熱重合反応を行なった。この後は実施例3と同様の操作を行ない、最終的に多孔質アニオン交換体からなる濾過材を得た。
【0132】
[実施例7]
実施例3で、重合性単量体としてBBSの代わりにブロモブトキシメチルスチレン(BOMS)を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行ない、最終的に多孔質アニオン交換体からなる濾過材を得た。
【0133】
[実施例8]
実施例3で、高分子物質として分子量17,000のポリスチレン4g、及び、有機溶媒としてトルエン4gを油相容液に加え、他は同様にして重合反応液を作成した。また、重合反応の終了後、エタノールの代わりにトルエンで架橋共重合体を洗浄し、架橋共重合体中のポリスチレンを溶解・除去した。これ以外は実施例3と同様の操作を行ない、最終的に多孔質アニオン交換体からなる濾過材を得た。
【0134】
[実施例9]
実施例3と同様の操作で重合反応液の作成及び攪拌を行なった後、得られた乳濁液を内径10cm×20cm長のSUSカラムに一杯となるまで充填した。このカラム中に、直径15mmのテフロン(登録商標)管10本を均等に挿入して配置し、両端を密閉して、90℃のオイルバス中にカラムごと浸して5時間加温し、熱重合反応を行なった。重合反応後、管を抜き出して、SUSカラムを外部の配管と接続し、液体クロマトグラフィー用のポンプに接続した。この液体クロマトグラフィー用ポンプに、30%トリメチルアミン水溶液300mlを含む1,4−ジオキサン溶液1800mlを接続した。このトリメチルアミン−ジオキサン溶液を50℃に加温しながら、20ml/分の速度で上向流でカラムに循環させながら6時間通液し、カラム中の架橋共重合体のアミノ化を行なった。その後、カラムからトリメチルアミン−ジオキサン溶液を抜き出し、メタノール2Lを速度30ml/分で下向流でカラムに通液し、更に脱塩水を同様にカラムに通液して、得られたアニオン交換体を洗浄した。その後、5%塩化ナトリウム水溶液5Lをカラムに通液して、アニオン交換体の対イオンをCl形に変換し、更に水洗して、最終的に多孔質アニオン交換体からなる濾過材を得た。濾過材には重合反応時の管の存在に由来する孔が存在したが、その内径は約10mmと、管の外径よりも縮小していた。
【0135】
[実施例10]
実施例2において、トリメチルアミンの代わりにジエチレントリアミン35mlを用い、70℃で7時間かけてアミノ化を行なった以外は、実施例2と同様の操作を行ない、最終的に多孔質アニオン交換体からなる濾過材を得た。
【0136】
[交換容量の測定法]
実施例1〜10で製造された濾過材について、交換容量の測定を行なった。カチオン交換体からなる濾過材は対イオンをNa形に、アニオン交換体からなる濾過材は対イオンをCl形にそれぞれ変換してから、負荷形を基準に測定を行なった。濾過材をカラムに充填した後、2N水酸化ナトリウム水溶液又は2N塩酸水溶液を用いてイオン交換基を再生し、中性塩の分解容量又は総交換容量を測定して、濾過材の単位乾燥重量当たり又は単位湿潤体積当たりの交換容量を算出した。濾過材の湿潤体積としては、濾過材の寸法から算出したおおよその体積の値を用いた。結果を下記表1に示した。
【0137】
【表1】
Figure 2004206899
【0138】
[実施例11/脱塩性評価1]
実施例1で製造された濾過材(カチオン交換体)と、実施例3で製造された濾過材(アニオン交換体)とを、それぞれ2N塩酸水溶液及び2N水酸化ナトリウム水溶液を用いて再生した。再生後、実施例1の濾過材500mlと実施例3の濾過材400mlをいずれも1cm角に裁断し、それぞれ内径5cm×50cmのアクリルカラム内に均一な混合状態となる様に充填した。充填後、これらのカラムを直列に接続して、脱塩水をSV20でカラムに通水し、30分間かけてこれらの濾過材を水洗した。試験溶液として、塩化ナトリウムが50ppm、硫酸ナトリウムが10ppm、塩化カルシウムが10ppmの重量濃度となる様に調製した水溶液を用意し、これを80℃、SV30で、カチオン交換体、カチオン交換体の順にカラムに通液し、脱塩試験を行なった。試験溶液の通液開始から1時間後にカラムからの流出液の比抵抗を測定したところ、9.4MΩ/cmであった。
【0139】
[実施例12/脱塩性評価2]
実施例11において、試験溶液の通液時のカラム温度を80℃から5℃に変更した以外は、実施例11と同様の条件で脱塩試験を行なった。試験溶液の通液開始1時間後のカラムからの流出液の比抵抗は12.2MΩ/cmであった。
【0140】
[実施例13/脱塩性評価3]
実施例1で製造された濾過材(カチオン交換体)と、実施例4で製造された濾過材(アニオン交換体)とを、それぞれ2N塩酸水溶液及び2N水酸化ナトリウム水溶液を用いて再生した。再生後、実施例1の濾過材500mlと、実施例4の濾過材400mlとをいずれも1cm角に裁断し、それぞれ内径5cm×50cmのアクリルカラム内に均一な混合状態になる様に充填した。充填後、これらのカラムを直列に接続して、脱塩水をSV20で通水し、30分間かけてこれらの濾過材を水洗した。試験溶液として、酢酸が10ppm、硫酸が10ppm、水酸化ナトリウムが10ppm、塩化ナトリウムが5ppmの重量濃度となる様に溶解した50体積%エチレングリコール水溶液を用意し、これを80℃、SV10で、カチオン交換体、カチオン交換体の順にカラムに通液し、脱塩試験を行なった。流出液の電気電導度を測定したところ、試験溶液の通液開始から30分後に値が安定し、その値は0.028μS/cmであった。
【0141】
[実施例14/脱塩性評価4]
実施例12において、実施例1及び実施例3の濾過材をそれぞれ2N塩酸水溶液及び2N水酸化ナトリウム水溶液を用いて再生した点、及び、試験溶液の通液時のカラム温度を−10℃、通液速度をSV20に変更した以外は、実施例12と同様の条件で操作を行ない、脱塩試験を実施した。流出液の電気電導度を測定したところ、試験溶液の通液開始から1時間後に値が安定し、その値は1.8μS/cmであった。
【0142】
[実施例15/ガス捕集性評価1]
実施例1の濾過材(カチオン交換体)1.5Lと、実施例3の濾過材(アニオン交換体:イオン形は炭酸水素イオン形)1.5Lを、いずれも1辺10cm×10cm、長さ30cmの直方体形状に裁断し、同寸法の直方体形状の内形を有するカラム内にそれぞれ充填した。濾過材の裁断及びカラムへの充填時の相対湿度は55%、温度は26℃であった。一方、試験ガスとして、アンモニア、塩酸ガス、二酸化イオウの混合気体を調製した。上記のカラムを直列に接続し、試験ガスを秒速2cm/秒で、カチオン交換体、カチオン交換体の順に通気するとともに、これらのカラムの通過前と通過後のイオン不純物(トリメチルアミン、アンモニア、硫酸イオン、塩化物イオン)の濃度を測定した。濾過材への通気時の試験ガスの相対湿度は50%、温度は25℃であった。濾過材通過前のイオン不純物濃度から濾過材通過後のイオン不純物濃度を引いた値に100を掛けて、これをイオン不純物の除去率(%)とした。
【0143】
【表2】
Figure 2004206899
【0144】
【発明の効果】
本発明の濾過材は、特定の気孔率を有する多孔質のイオン交換体であって、その細孔の少なくとも一部が連続して連通空間を形成しているものを使用しているので、濾過器の容器内部に隙間なく充填させて一体成型することにより、高い強度や形状安定性を得ることが可能となる。また、この濾過材を用いて形成された本発明の濾過器は、振動条件や凍結・乾燥条件等の過酷な環境下でも濾過材の損傷が生じ難く、長期間にわたって良好な脱塩性能を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の濾過材を用いた濾過器が備えられる、一般的な燃料電池の主要部の構成を模式的に表わす図である。
【符号の説明】
1 燃料電池(燃料電池セル)
2 空気極(酸素極,正極)
3 燃料極(水素極,負極)
4 電解質
5 改質器
61〜66 濾過器

Claims (8)

  1. 燃料電池に用いられる濾過材であって、気孔率が50%以上の多孔質イオン交換体からなるとともに、該多孔質イオン交換体の細孔の少なくとも一部が連続して連通空間を形成していることを特徴とする燃料電池用濾過材。
  2. 該多孔質イオン交換体の単位乾燥重量当たりの細孔容積が1ml/g以上であることを特徴とする、請求項1記載の燃料電池用濾過材。
  3. 該多孔質イオン交換体の単位乾燥重量当たりの交換容量が0.1meq/g以上である(ここで「meq」はミリ交換基当量を表わす。)ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の燃料電池用濾過材。
  4. 該多孔質イオン交換体が、下記一般式(1)〜(3)の少なくとも何れかで表わされる構造単位を含む一種以上の架橋共重合体を含有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の燃料電池用濾過材。
    Figure 2004206899
    (上記一般式(1)中、Aは、炭素数1若しくは3〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素数4〜8のアルキレンオキシメチレン基を表わし、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数4以下の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基を表わす。X-は、対アニオンを表わす。)
    Figure 2004206899
    (上記一般式(2)中、A、R1及びR2は何れも、上記一般式(1)において同じ符号を付した基と同様の定義の基を表わす。)
    Figure 2004206899
    (上記一般式(3)中、Y+は、対カチオンを表わす。)
  5. 上記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表される構造単位を含む一種又は二種以上の架橋共重合体と、上記一般式(3)で表される構造単位を含む一種又は二種以上の架橋共重合体とを共に含有することを特徴とする、請求項4記載の燃料電池用濾過材。
  6. 自動車に搭載される燃料電池用の濾過材として用いられることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の燃料電池用濾過材。
  7. 燃料電池に使用される気体又は液体を精製するための濾過器であって、所定形状の容器の内部に請求項1〜6の何れか一項に記載の燃料電池用濾過材が充填されてなることを特徴とする燃料電池用濾過器。
  8. 下記一般式(4)及び/又は(5)で表わされる構造単位を有する架橋共重合体からなる多孔質イオン交換体であって、気孔率が50%以上であり、且つ、細孔の少なくとも一部が連続して連通空間を形成していることを特徴とする多孔質イオン交換体。
    Figure 2004206899
    (上記一般式(4)中、A’は、炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素数4〜8のアルキレンオキシメチレン基を表わし、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数4以下のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基を表わす。X-は、対アニオンを表わす。)
    Figure 2004206899
    (上記一般式(5)中、A’、R1及びR2は何れも、上記一般式(4)において同じ符号を付した基と同様の定義の基を表わす。)
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